JP2007112860A - 水性顔料分散液、およびそれを用いたインク組成物 - Google Patents

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秀史 野村
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Abstract

【課題】室温および高温における顔料分散安定性に優れ、算術平均粒径の小さい水性顔料分散液を提供する。またピエゾ方式だけでなく高温におけるインクの安定性が要求されるサーマル方式においても長期に渡り安定なインクの吐出を実現でき、さらに、紙への定着性に優れるインク組成物を提供する。
【解決手段】(A)有機顔料、(B)該有機顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、および/または該有機顔料が有する化学構造の一部と同一の化学構造を有する顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、(C)一般式(1)で表されるフェノール樹脂、(D)水、(E)水溶性有機溶媒を含有する水性顔料分散液、および、この分散液を含有するインク組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ピエゾ方式やサーマル方式のインクジェットプリンターに使用される分散安定性と耐熱性に優れる水性顔料分散液およびそれを用いたインク組成物に関する。
近年、インクジェットプリンター用インクや筆記具用インクに利用される着色剤として、染料のかわりに堅牢性に優れる顔料の利用が検討されている。インクジェットにおけるインクの吐出方式としては、電圧をかけることで圧電素子を変形させインクを押し出すピエゾ方式と、加熱による発泡の際に生じる圧力によりインクをとばすサーマル方式がある。
民生用のインクジェットプリンター用インクでは溶媒として主に水が使用されるが、顔料は染料と異なり水に不溶なため、顔料を使用するインクジェットプリンター用インクでは顔料を微粒子の状態で水中に安定に分散させる必要がある。特に、サーマル方式では、インクが吐出時に瞬間的に400〜500℃の高温にさらされるため、高温における顔料の分散安定性が要求される。
有機顔料を水中に安定に分散させるために有機顔料スルホン酸誘導体を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1〜7参照)。これらの方法では、有機顔料スルホン酸誘導体が有機顔料表面に強く吸着し、スルホン酸誘導体の静電反発力により顔料の凝集が抑制される。しかし、これらの方法により得られたインク組成物は紙への定着性が不良である。そこで先の方法で得られた組成物の紙への定着性を向上させるために、アクリル系や酢酸ビニル系、ポリエステル系などの水溶性あるいは水分散性の樹脂を添加する方法がある。しかしながら、これらの樹脂をインク組成物に添加する場合、添加量が多いほど紙への定着性は向上するが、インク組成物の粘度が上昇し、インクジェットのヘッドからインク滴が吐出しがたくなるという問題が生じる。これらの樹脂の添加では紙への定着性とインク滴の吐出安定性を両立させることは困難であった。
紙への定着性とインク滴の吐出安定性を両立させる方法として、テルペンフェノール樹脂のエマルションをインク組成物に添加する方法が提案されている(特許文献8参照)。この方法ではインク組成物の粘度の著しい上昇を抑えつつ、紙への定着性を確保できる。しかし、このインク組成物には高温で分散状態が不安定化しサーマル方式では長期間安定して吐出することが困難である。
一方で、高温における有機顔料の分散状態を安定化する方法として、エトキシ化されたアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂のアニオン性誘導体を使用する方法が提案されている(特許文献9参照)。この方法で得られるインク組成物は高温における有機顔料の分散状態が安定なためサーマル方式の吐出に適応するが、紙への定着性が小さい。
特開平11−49974号公報(第3頁) 特開2002−121419号公報(第2頁) 特開2002−121460号公報(第3頁) 特開2002−241638号公報(第3頁) 特開2002−285067号公報(第2頁) 特開2002−309122号公報(第2頁) 特開2004−196893号公報(第3頁) 特許第3470484号公報(第2頁) 特開2002−167538号公報(第2頁)
本発明は、紙への定着性とインク滴の吐出安定性が両立したインク組成物を作製可能な水性顔料分散液を提供することを目的とし、さらにピエゾ方式だけでなく高温におけるインク組成物中の顔料分散安定性が要求されるサーマル方式においても、長期間にわたり安定なインクの吐出を実現できるインク組成物を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、(A)有機顔料、(B)該有機顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、および/または該有機顔料が有する化学構造の一部と同一の化学構造を有する顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、(C)一般式(1)で表されるフェノール樹脂、(D)水、(E)水溶性有機溶媒を含有する水性顔料分散液であり、それを用いるインク組成物である。
Figure 2007112860
本発明によれば、微粒子化された有機顔料の分散安定性が優れ、インク滴の吐出安定性と紙への定着性が両立することができる水性顔料分散液を提供でき、本発明の水性顔料分散液を用いて製造されるインク組成物は高温における顔料分散安定性に優れるため、ピエゾ方式だけでなくサーマル方式においても、長期間にわたって安定なインクの吐出を実現できる。
本発明は、(A)有機顔料、(B)該有機顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、および/または該有機顔料が有する化学構造の一部と同一の化学構造を有する顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、(C)一般式(1)で表されるフェノール樹脂、(D)水、(E)水溶性有機溶媒を含有する水性顔料分散液である。
本発明で用いる(A)有機顔料としては、フタロシアニン系、キナクリドン系、インジゴ系、イソインドリノン系、イソインドリン系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、金属錯体系など種々の系統の有機顔料が挙げられる。
フタロシアニン系顔料の例としては、青色顔料PB15、PB15:2、PB15:3、PB15:4、B15:5、PB15:6、PB16、緑色顔料PG7、PG36などが挙げられる。
キナクリドン系顔料の例としては、紫色顔料PV19、PV42、赤色顔料PR122、PR192、PR202、PR206、PR207、PR209、橙色顔料PO48、PO49などが挙げられる。
インジゴ系顔料の例としては、青色顔料PB63、PB66、赤色顔料PR88、PR181などが挙げられる。
イソインドリノン系顔料の例としては、黄色顔料PY109,PY110,PY173、橙色顔料PO61などが挙げられる。
イソインドリン系顔料の例としては、赤色顔料PR260、黄色顔料PY139、PY185、橙色顔料PO66、PO69などが挙げられる。
キノフタロン系顔料の例としては、黄色顔料PY138などが挙げられる。
ジケトピロロピロール系顔料の例としては、赤色顔料PR254、PR255、PR264、PR272、橙色顔料PO71、PO73などが挙げられる。
ベンズイミダゾロン系顔料の例としては、紫色顔料PV32、赤色顔料PR171、PR175、PR176、PR185、PR208、黄色顔料PY120、PY151、PY154、PY156、PY175、PY180、PY181、PY194、橙色顔料PO36、PO60、PO62、PO72などが挙げられる。
ペリレン系顔料の例としては、紫色顔料PV29、赤色顔料PR123、PR149、PR178、PR179、PR190、PR224などが挙げられる。
ペリノン系顔料の例としては、赤色顔料PR194、橙色顔料PO43などが挙げられる。
ジオキサジン系の例としては、紫色顔料PV23、PV37などが挙げられる。
アントラキノン系顔料の例としては、青色顔料PB60、赤色顔料PR168、PR177、黄色顔料PY24、PY108、PY147、PY193、橙色顔料PO51などが挙げられる。
不溶性アゾ系顔料の例としては、赤色顔料PR1、PR2、PR3、PR4、PR5、PR6、PR7、PR8、PR9、PR10、PR11、PR12、PR13、PR14、PR15、PR16、PR17、PR18、PR20、PR21、PR22、PR23、PR31、PR32、PR37、PR38、PR41、PR95、PR111、PR112、PR114、PR119、PR136、PR146、PR147、PR148、PR150、PR164、PR170、PR184、PR185、PR187、PR188、PR210、PR212、PR213、PR222、PR223、PR238、PR245、PR253、PR256、PR261、PR266、PR267、PR268、PR269、黄色顔料PY1、PY2、PY3、PY5、PY6、PY10、PY12、PY13、PY14、PY17、PY49、PY55、PY60、PY63、PY65、PY73、PY74、PY75、PY81、PY83、PY87、PY90、PY97、PY98、PY106、PY111、PY113、PY114、PY116、PY121、PY124、PY126、PY127、PY130、PY136、PY152、PY154、PY165、PY167、PY170、PY171、PY172、PY174、PY176、PY188、橙色顔料PO1、PO2、PO5、PO6、PO13、PO15、PO16、PO22、PO24、PO34、PO36、PO38、PO44などが挙げられる。
縮合アゾ系顔料の例としては、赤色顔料PR144、PR166、PR214、PR220、PR221、PR242、PR248、PR262、黄色顔料PY93、PY94、PY95、PY128、PY166、橙色顔料PO31などが挙げられる。
金属錯体系顔料の例としては緑色顔料PG10、黄色顔料PY117、PY129、PY153、PY177、PY179、PY257、PY271、橙色顔料PO59、PO65、PO68などが挙げられる。
インクジェットによるカラー描画は一般に減法混色により行われるため、カラーインクとしてシアン、マゼンダ、イエローの3色のインクが必須となる。大量に市販されているために比較的安価に入手でき、色調に優れ色再現範囲を広くすることができることから、シアンインク用の顔料にはフタロシアニン系顔料を使用することが好ましく、特にPB15:3の使用が好ましい。同様の理由からマゼンダインク用の顔料にはキナクリドン系顔料を使用することが好ましく、特にPR122またはPV19の使用が好ましい。また、イエロー用顔料には不溶性アゾ系顔料を使用することが好ましく、特にPY74の使用が好ましい。
本発明における(B)該有機顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、および/または該有機顔料が有する化学構造の一部と同一の化学構造を有する顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体とは、(b−1)用いる(A)有機顔料と同じ顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、(b−2)用いる(A)有機顔料が有する化学構造の一部と同一の化学構造を有する顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体の2種類を指し、それぞれ(b−1)と(b−2)を単独でも、混合して用いても良い。例えば、(A)キナクリドン系赤色顔料PR122を用いる場合、(b−1)としてPR122にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、もしくは(b−2)として、PR122と一部の化学構造が同一である赤色顔料PR209にスルホン酸基が導入された顔料誘導体をそれぞれ単独か、あるいは組み合わせて用いられる。これらの顔料と顔料誘導体は分子間力により強く結合し、微粒子表面を負帯電させる。顔料と顔料誘導体との結合力をより大きくするためには、顔料とその顔料自体にスルホン酸基が導入された顔料誘導体を組み合わせることがさらに好ましい。なお、以下につづく説明において、(B)については、2種類をまとめて「スルホン酸基が導入された顔料誘導体」という。
本発明で用いられる(B)スルホン酸基が導入された顔料誘導体は、例えば次のような方法により合成される。前記の有機顔料を濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、またはこれらの混合液などに投入してスルホン化反応を行う。得られた反応液を水で希釈し、場合により金属アルカリ水溶液またはアミン水溶液で中和する。このようにして得られた懸濁液をろ過した後に水系の洗浄液で洗浄し、乾燥する。
上記の合成過程で中和を行う場合、金属アルカリ水溶液もしくはアミン水溶液を用いるが、好ましくはアミン水溶液を用いるほうが良い。インクジェットプリンター用インク組成物として金属アルカリを含有していると、基材にインク滴を付着させて溶媒を揮発させた後も金属アルカリ成分が基材に残留する。この場合、基材が再び水に濡れると、残留した金属アルカリ成分が着色した部分の親水性を高め、滲みを生じやすくするおそれがある。一方、アミンは揮発しやすいため、このような滲みが発生するおそれが小さい。
中和に用いるアミン水溶液としてはアンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの水溶液を用いることができる。本発明では特にこれらに限定されずに種々のアミン水溶液を使用することができるが、アンモニアの使用がその揮発のしやすさから好ましい。
本発明に用いられる(B)スルホン酸基が導入された顔料誘導体の、1分子あたりのスルホン酸の平均導入数は、好ましくは1個〜4個、より好ましくは1.1個〜3個である。スルホン酸の導入数が少なすぎると、顔料粒子間の静電反発力が弱くなり、分散が不安定化する場合がある。スルホン酸の導入数が多すぎると、水への溶解性が高すぎて分散不安定化する場合がある。
本発明において、(A)有機顔料と(B)スルホン酸基が導入された顔料誘導体との混合比は、重量比で有機顔料:スルホン酸基が導入された顔料誘導体=50〜99:50〜1、好ましくは60〜97:40〜3、より好ましくは70〜95:30〜5で混合される。顔料誘導体の量が少なすぎれば顔料分散安定化効果が発揮されず、逆に顔料化誘導体の量が多すぎれば、色調が好ましくないほど変化する可能性が生じる。
本発明で用いるフェノール樹脂は、水溶性であり、次の一般式(1)で表されるものが強い水素結合力を示し、基材との接着性が良好であるという点で良い。
Figure 2007112860
Rはフェノール性水酸基を1個または2個含有する有機基を表す。mは10〜200、nは0〜100の範囲にあり、m>nである。
一般式(1)で表されるフェノール樹脂は、ビスフェノールS成分を必須としており、その他のフェノール成分として一般式(1)のRで示される成分を有する。Rはフェノール性水酸基を1個または2個含有する有機基であるが、なかでもフェノール、クレゾール、キシレノール、カテコール、レジルシノール、ヒドロキノンや、フェノールスルホン酸、スルホン化されたクレゾールなどのスルホン酸基を有するフェノール構造を有する化合物が好ましい。これらは単独または複数混合して使用することができる。ただし、長鎖のアルキル基などを含むと、ビスフェノールS成分と組み合わせた場合に、フェノール樹脂が水溶性を示さなくなる場合がある。フェノール樹脂が水溶性でなければ高温における顔料分散状態が不安定化するため、フェノール樹脂が水溶性を示す程度にビスフェノールS以外の成分は親水性を持つ必要がある。上記に挙げたフェノール構造を有する化合物の中でも、親水性が大きくまた比較的強い水素結合力を示すことからフェノールスルホン酸が好ましい。
一般式(1)で表されるフェノール樹脂は次のようにして作製される。たとえば、反応容器中でジヒドロキシフェニルスルホン(ビスフェノールS)をmモルと、ビスフェノールS以外のフェノール性水酸基を1個または2個含有するフェノール類をnモルを混合し、これにホルムアルデヒド(m+n)モルを加え、40〜150℃の温度で1〜24時間縮合反応させることにより得ることができる。
一般式(1)で表されるフェノール樹脂として、ビスフェノールS/フェノールスルホン酸レゾール樹脂(例えば小西化学工業(株)BPR8220、BPR9120、BPR7320(いずれも製品番号))が挙げられる。
一般に水性顔料を有するインク組成物によるインク滴は、紙に付着して乾燥する際に顔料が樹脂に包み込まれた状態になる。また、インクジェット印刷で用いられる光沢紙は、一般に紙表面にシリカやアルミナの微粒子が敷き詰められた構成になっている。本発明で用いるフェノール樹脂は、含有されるビスフェノールS成分の水酸基が強い水素結合力を示す。光沢紙表面にはシリカやアルミナの微粒子が敷き詰められているため、SiやAlに結合した水酸基が存在しているが、この水酸基とビスフェノール成分の水酸基が水素結合を形成することから樹脂が光沢紙の表面に強く接着する。このため、顔料は紙に良好に定着される。
一般式(1)のmは10〜200、nは0〜100の範囲にあり、m>nである。また重量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ソーダ換算)は、好ましくは15000〜30000の範囲である。分子量が小さすぎれば顔料を包み込んでいる樹脂の紙への接着力が低下し、顔料の紙への定着性が不良となり、分子量が大きすぎればインク組成物の粘度が大きくなり、吐出特性が低下する。
本発明において、一般式(1)で表されるフェノール樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)で測定し、ポリスチレンスルホン酸ソーダ換算で求めることができる。
本発明で用いるフェノール樹脂中のビスフェノールS成分は、上記に説明したように強い水素結合力による接着力の向上効果に寄与するため、モル比で50%より多い方が好ましい。ビスフェノールS成分は60モル%以上がより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましい。
本発明で、(A)有機顔料と(B)スルホン酸基が導入された顔料誘導体を有する色素固形分と(C)一般式(1)で表されるフェノール樹脂成分の混合比は、重量比で色素固形分:フェノール樹脂=3〜9:7〜1、好ましくは4〜8:6〜2、より好ましくは5〜7:5〜3で混合される。色素固形分の量が少なすぎればインクの着色力が低下し、逆に着色固形分の量が多すぎれば、紙への定着性が不良となる。
本発明では(E)水溶性有機溶媒が水系顔料分散液の表面張力を調節するために用いられる。使用される水溶性有機溶媒の比誘電率は5〜200、好ましくは10〜100である。水溶性有機溶媒の非誘電率が小さすぎると、水性顔料分散液の比誘電率も小さくなるために、顔料粒子間の静電反発力が弱くなり、分散安定性が低下する。
上記を満たす水溶性有機溶媒の例としては、エーテル類、アルコール類、エーテルアルコール類、エステル類、ケトン類、酸類、アミン類、酸アミド類などの種々のものを使用することができ、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチエルスルホキシド、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等を使用することができる。
本発明において、水と水溶性有機溶媒との混合比は重量比で、水:水溶性有機溶媒=95〜50:5〜50、好ましくは90〜60:10〜40である。水溶性有機溶媒の混合比が少なすぎると、表面張力を所望の値に調整するのが困難であり、逆に混合比が多すぎると顔料の分散安定性を低下させる場合がある。
本発明において、水性顔料分散液の25℃における表面張力は60mN/m以下、好ましくは50mN/m以下であることが望ましい。表面張力が60mN/mより大きいと、顔料および顔料誘導体の水への濡れ性が低下し、粗大粒子が残りやすい。また、表面張力が50mN/mより大きいと、分散機の分散エネルギーを均一に顔料粒子に伝達するのが難しくなる。そうすると顔料粒径の均一な顔料分散液を得ることが困難となり、インクの吐出特性が不良となる。一方、水性顔料分散液の25℃における表面張力は、好ましくは25mN/m以上である。水性顔料分散液の表面張力が小さすぎると、インク組成物の表面張力も小さくなるため、インクの紙への浸透性が高くなり滲みの原因となる場合がある。
本発明の水性顔料分散液の表面張力を調整する方法としては、水溶性有機溶媒を混合する以外に、水溶性フェノール樹脂の添加量を調節したり、界面活性剤を添加する方法等が挙げられる。しかし、表面張力の調製のしやすさを考慮すると水溶性有機溶媒を添加することが好ましい。
本発明の水性顔料分散液において、スルホン酸基が導入された顔料誘導体やビスフェノールSを含有するフェノール樹脂を合成する際に、硫酸イオンがこれらの化合物に混入する場合がある。硫酸イオンには静電反発力を低下させ顔料凝集を引き起こす作用があるため、この混入量をできる限り減少させる方がよい。(A)有機顔料と(B)スルホン酸基が導入された顔料誘導体を有する色素固形分の濃度が、水性顔料分散液全体量に対し4重量%のときの硫酸イオン濃度は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。硫酸イオン濃度が50ppmより高いと顔料分散液の分散状態が不安定化し、硫酸イオン濃度が20ppmより高いと顔料分散液の高温における分散安定性が悪くなる場合がある。また硫酸イオン濃度の下限は、好ましくは0.1ppmである。例えば、透析により硫酸イオン濃度を0.1ppmより小さくしようとすると、透析を繰り返す回数が非常に増大し、透析膜の目詰まりが起きるおそれが大きくなる。
本発明の水性顔料分散液は、色素固形分濃度に比例して硫酸イオン濃度が増大する。そのため水性顔料分散液の色素固形分が、水性顔料分散液全体量に対し4重量%より少ない場合は換算して硫酸イオン濃度を算出することができる。例えば、水性顔料分散液の色素固形分濃度が1重量%の場合は、測定で得られた値を4倍することで、4重量%における硫酸イオン濃度を算出することができる。
水性顔料分散液の色素固形分が水性顔料分散液全体量に対し4重量%より多い場合は、水性顔料分散液をイオン交換水で希釈することで色素固形分の濃度を4重量%とし、硫酸イオン濃度を測定する。
本発明において、水性顔料分散液のpHは1.5〜6.5、より好ましくは2〜6である。顔料誘導体中に導入されたスルホン酸基が多いほど、顔料誘導体は水に溶解しやすいが、分散液を酸性状態にすることによって、2個以上のスルホン酸基が導入された顔料誘導体を水へ不溶化することができる。これにより、誘導体に2個以上のスルホン酸基を有する顔料誘導体も、スルホン酸基1個のみ有する顔料誘導体と同様に水に溶解せずに顔料表面に吸着し、顔料の分散安定化に寄与することが可能となる。一方、上記の範囲を超える酸性では、水性顔料分散液を希釈して製造するインクジェットプリンター用インク組成物を適正なpH範囲に収めることが困難となる。
なお、水性顔料分散液中の硫酸イオン濃度を低下させるためには、原料となる(A)有機顔料、(B)スルホン酸基が導入された顔料誘導体、(C)一般式(1)で表されるフェノール樹脂、(D)水、(E)水溶性有機溶媒のそれぞれに含まれる硫酸イオン濃度が低いことが好ましい。
本発明で用いる(D)水としては、例えばイオン交換水や蒸留水などの硫酸イオンを除去したものを使用することができる。
本発明で用いられる(A)有機顔料としては、例えばイオン交換水や蒸留水などで洗浄することで十分に硫酸イオンを洗浄したものを用いることが好ましい。有機顔料は水との親和性が低いために、公知の水洗ろ過などの方法で容易に硫酸イオンを除去することが可能である。
本発明で用いられる(B)スルホン酸基が導入された顔料誘導体中には、スルホン化反応後に原料となる硫酸イオンが大量に混入する。また(C)一般式(1)で表されるフェノール樹脂にもビスフェノールSを合成する際に混入する硫酸イオンが残留している場合がある。顔料誘導体中および一般式(1)で表されるフェノール樹脂から硫酸イオンを除去するためには、透析あるいはイオン交換樹脂を用いた手法が挙げられる。特に透析は顔料誘導体と水と硫酸イオンを有するスラリーや、一般式(1)で表されるフェノール樹脂と水と硫酸イオンを有する樹脂水溶液から、透析膜を通して水と硫酸イオンを取り除き、取り除いた量と同量のイオン交換水を添加するので、スラリーおよび樹脂水溶液から効果的に硫酸イオンを除去することが可能である。効率よく硫酸イオンを除去するためには、透析有効面積が大きい中空糸膜を用いることが好ましい。中空糸膜の材質としては、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどを使用することができる。
本発明の水性顔料分散液を得るための分散機としては、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、3本ロールミル、アトライターなどを用いる方法が好ましく採用される。メディアを使用する分散では、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、ガラスビーズなどを用いることができる。
本発明の水性顔料分散液において、(A)有機顔料と(B)スルホン酸基が導入された顔料誘導体を有する色素固形分の水性顔料分散液全体に対する濃度は、8〜20重量%、好ましくは10〜16重量%である。濃度が小さすぎると分散液の製造効率が低くコストがかさむ。一方濃度が高すぎると分散状態を安定化させることが非常に困難となる。
本発明において、水性顔料分散液中の顔料の算術平均粒径は5〜200nm、好ましくは10〜100nmの範囲にあることが好ましい。粒径が大きすぎるとインクジェットノズルの目詰まりを引き起こす可能性が高くなる。一方、粒径が小さすぎると、顔料の比表面積が大きくなりすぎ、顔料の分散状態が不安定化しやすくなる場合がある。
また、顔料の最大粒径は5μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下であることが望ましい。顔料の最大粒径が大きいと、顔料がインク吐出口につまり、ノズルの目詰まりを引き起こす可能性が高くなる。
本発明の水性顔料分散液の顔料分散性は、顔料分散液のCasson降伏値を測定することにより評価することができる。Casson降伏値は好ましくは1×10−2Pa以下、より好ましくは1×10−3Pa以下である。この範囲にあると、顔料の分散性は安定であるといえる。
本発明の水性顔料分散液の粘度は5〜50mPa・sの範囲にあることが好ましい。この範囲にあるとインク吐出に適当な粘度のインク組成物を作製することが容易となる。
本発明の水性顔料分散液の高温における顔料分散安定性は、65℃で30日間処理し、処理前後の粘度の変化率を測定することにより評価することができる。処理前後の粘度の変化率は好ましくは50%以下、より好ましくは10%以下であるのがよい。
本発明では、(A)有機顔料と(B)スルホン酸基が導入された顔料誘導体を有する色素固形分がインク組成物全体量に対し、1〜16重量%、好ましくは2〜8重量%含有されていることが好ましい。インク組成物中に当該色素固形分が少なすぎると着色力が小さくなり良好な描画ができなくなる。また、当該色素固形分が多すぎるとインクジェットノズルで目詰まりを起こす可能性が高くなる。
次に、本発明の水性顔料分散液を用いたインク組成物について説明する。上記のように、得られた水性顔料分散液を水で希釈し、以下に示すような添加物を加えることによってインク組成物が得られる。
本発明のインク組成物をインクジェットプリンターに用いる場合には、インク組成物の粘度が10mPa・s以下、好ましくは5mPa・s以下であることが好ましい。粘度が大きいと適当なサイズのインク滴を発生させてそれをとばすことが困難になる。
本発明のインク組成物には、印画の光沢を向上させるために、一般式(1)で表されるフェノール樹脂以外の水溶性樹脂をブレンドして含有させることができる。ブレンド可能な水溶性樹脂としてはアクリル系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系などの水溶性樹脂が挙げられる。これらの樹脂をインクジェットプリンター用インク組成物中に含有させる場合には、一般式(1)で表されるフェノール樹脂量に対し、1〜50重量%含有される。量が少なすぎると、印画の光沢を向上させる効果が得られない。一方、量が多すぎると、インク組成物の粘度を増大させたり、顔料の分散状態の不安定化を引き起こしたり、紙への定着性を低下させるおそれがある。
本発明のインクジェットプリンター用インク組成物には、インクジェットノズル部分でインク組成物が乾燥することを防止したり、インク組成物の基材への塗れ性や浸透性を改善する目的で、水溶性の有機溶媒を含有させることができる。使用される有機溶媒の例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、γ−ブチロラクトンやN−メチル−2−ピロリドン、ジメチエルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒のほか、アセチレングリコール類、アセチレンアルコール類、アルキレングリコール類などが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒の量は、インクの全溶媒に対し、50重量%以下に抑えられる。50重量%を越えて水溶性有機溶媒を含有させた場合、顔料の分散状態が不安定化するおそれがある。
本発明のインクジェットプリンター用インク組成物には、カビや細菌の混入を防止する目的で防腐剤を添加することができる。ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩などを好適に用いることができる。これらは、インク組成物中に0.05〜1重量%含有される。これらの添加量が少ないとカビや細菌の混入防止効果が発揮されず、添加量が多すぎると顔料の分散状態の不安定化を引き起こす可能性が生じる。
本発明のインクジェットプリンター用インク組成物のpHは、5〜10、好ましくは6〜9の範囲にあることが望ましい。この範囲にあれば人体に触れた場合でも大きな障害を及ぼすおそれが小さい。インクジェットプリンター用インク組成物のpHはアンモニア、有機アミンなどのpH調整剤やリン酸などの緩衝液を用いて適宜調整することができる。
本発明のインク組成物をピエゾ方式のインクジェットプリンター用インクとして使用する場合には、表面張力の調整や基材への浸透性の改善のためにアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤を添加することができ、泡の発生を防止するために消泡剤を添加してもよい。
本発明のインク組成物は室温、および高温下のいずれにおいても顔料の分散状態が安定で、長期間にわたりインクの吐出が可能であるため、ピエゾ方式インクジェットプリンターだけでなく、サーマル方式のインクジェットプリンターにも使用できる。このインク組成物を用いて紙に描画した画像は、紙への定着性に優れる。本発明のインク組成物はインクジェットプリンターなどのカラー印刷を行う広範な分野で利用できる。
以下、好ましい実施態様を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例中の顔料誘導体の分子あたりのスルホン酸基導入数、顔料分散液の粘度、降伏値、高温安定性、顔料粒径、およびインク組成物の印刷特性、紙への定着性の評価は以下の方法で行った。
<測定方法>
A.顔料誘導体の1分子あたりのスルホン酸基導入数の測定
m−ニトロベンジルアルコールをマトリックスとして用い、高速原子衝撃イオン化法質量分析装置(日本電子(株)製JMS−SX102A)を使用して顔料誘導体の負イオン測定を行った。測定はイオン化により生成したイオンの質量(m)と電荷(z)の比(m/z)で10〜2000の範囲で行い、得られたm/zの強度から顔料誘導体のスルホン酸基導入数を算出した。
B.顔料分散液の粘度測定
円錐平板型粘度計(東機産業(株)製RE100L)を用いて、25℃における顔料分散液の粘度を測定した。
C.顔料分散液の降伏値測定
円錐平板型粘度計(東機産業(株)製RE100L)を用い、異なるずり速度で粘度を3点測定し、Cassonの式を用いて降伏値を求めた。得られた降伏値の値より顔料分散液の保存安定性を評価した。
D.顔料分散液の高温安定性評価
顔料分散液を65℃で30日間の加熱処理を行い、加熱処理前後の粘度を比較することで顔料分散液の高温下による顔料分散安定性の指標とした。
E.顔料分散液中の顔料の粒径測定
顔料分散液を(A)有機顔料と(B)顔料誘導体の色素固形分の濃度が合わせて0.1重量%となるようイオン交換水で希釈し、動的光散乱式粒径分布測定装置((株)堀場製作所製LB−500)を用いて顔料分散液に含まれる顔料の算術平均粒子径を求めた。
F.インク組成物を用いた印刷時のインクかすれ評価
インク組成物をサーマル方式インクジェットプリンター(キヤノン(株)製“ピクサス”550i(商品名))のインクカートリッジに詰めて3台並べてインクジェットノズルから5時間連続普通紙(キヤノン(株)製ホワイトリサイクルペーパーEW−500)に印字を行い、次の評価を行った。5時間後に3台とも全てにインクかすれがなかった場合を◎、5時間後に1台以上インクかすれがあるが、インクジェットノズルのクリーニングによりかすれが改善された場合を○、5時間後に1台以上インクかすれがあり、クリーニングしてもかすれが改善されなかった場合を×とした。
G.紙への定着性の評価
インク組成物をピエゾ方式インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製“カラリオ”PX−V600(商品名))のインクカートリッジにつめて、光沢紙(キヤノン(株)製“スーパーフォトペーパー”SP−101(商品名))に印字し、50mm×50mmのベタ画像を得た。室温で24時間放置後に幅15mmのセロハンテープ(ニチバン(株)製LP−15(商品名))を長さ30mmにわたって画像上に貼り付けた。1分後にセロハンテープを剥離し、剥離後のテープを目視で観察し、セロハンテープが着色した場合を×、セロハンテープが着色しなかった場合を○とした。
実施例1
PY74(ビーエーエスエフ社製“シコ”イエローFR1252(商品名))900gを室温で攪拌しながら98%濃硫酸12kg中に投入した。5時間攪拌した後、氷水20kg中に加えた。30分間放置後、生じた懸濁液をろ過し、得られた生成物を20kgの水で水洗した。水20kg中へ前記生成物を投入し、アンモニア水溶液で中和(pHが7になるまでアンモニア水溶液を添加)し、ろ過を行った。得られたウェット結晶を水で洗浄した後、80℃で乾燥し、1100gのPY74スルホン化誘導体を得た。
PY74スルホン化誘導体のスルホン酸の導入数を測定したところ、PY74にスルホン酸基が1個導入されたことを示すm/z=465のピークのみが観測され、分子あたりのスルホン酸導入数は1個であった。
次に、PY74スルホン化誘導体とイオン交換水を混合しスラリーを作製した。作製したスラリーはポリメチルメタクリレート透析モジュール(東レ(株)製“フィルトライザー”B3−20A(商品名))を用いて透析を行った後に乾燥してPY74スルホン化誘導体透析物を得た。
重量平均分子量20000、ビスフェノールSとフェノールスルホン酸のモル比が80:20(一般式(1)においてm=65.4、n=16.4に相当)である固形分濃度30重量%のビスフェノールS/フェノールスルホン酸レゾール樹脂水溶液(小西化学工業(株)製BPR8220(製品番号))に水を加えて15重量%にまで希釈し、上記と同様にして透析を行った。その後エバポレーターを用いて濃度50重量%まで濃縮した。
96gのPY74と24gのPY74スルホン化誘導体透析物、120gの濃度50重量%のBPR8220樹脂透析物水溶液を180gのトリエチレングリコールモノブチルエーテルとともにイオン交換水580gと混合しホモディスパーで攪拌してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーを循環式ビーズミル分散機(ウイリー・エ・バッコーフェン社製“ダイノーミル”KDL−A)とチューブでつなぎ、メディアとして直径0.3mmのジルコニアビーズを使用して1600rpmで分散処理を3時間継続して水性イエロー顔料分散液1を得た。41.8gの水性イエロー顔料分散液1にイオン交換水43.3g、グリセリン12g、エチレングリコール2.8g、トリエタノールアミン0.2gを加えイエローインク組成物1を作製した。
比較例1
固形分濃度34重量%のアクリル系水溶性樹脂水溶液(ジョンソンポリマー(株)製“ジョンクリル”J−62(商品名))に水を加えて15重量%にまで希釈し、上記と同様にして透析を行った。その後エバポレーターを用いて濃度50重量%まで濃縮した。
96gのPY74と24gのPY74スルホン化誘導体透析物、120gの濃度50重量%のアクリル系水溶性樹脂透析物水溶液を180gのトリエチレングリコールモノブチルエーテルとともにイオン交換水580gと混合し、実施例1と同様にして水性イエロー顔料分散液2を得た。41.8gの水性イエロー顔料分散液2にイオン交換水43.3g、グリセリン12g、エチレングリコール2.8g、トリエタノールアミン0.2gを加えイエローインク組成物2を作製した。
実施例2
PB15:3(クラリアント社製“ホスタパーム”ブルーB2G(商品名))900gを攪拌しながら70℃に加熱した発煙硫酸(28%SO)12kg中に投入した。3時間攪拌した後、氷22.5kg上に加えた。30分間放置後、生じた懸濁液をろ過し、得られた生成物を4.5kgの純水で洗浄した。純水30kg中へ前記生成物を投入し、アンモニア水溶液で中和(pHが7以上になるまでアンモニア水溶液を添加)し、ろ過を行った。得られたウェット結晶を純水で洗浄した後、80℃で乾燥した。乾燥して得られたウェット結晶を水で洗浄した後、80℃で乾燥し、1150gのPB15:3スルホン化誘導体を得た。
上記に示した方法により、スルホン酸の導入数を測定したところ、PB15:3にスルホン酸基が1個導入されたことを示すm/z=654のピーク、2個導入されたことを示すm/z=734のピーク、3個導入されたことを示すm/z=814のピークが観測された。これらのピーク強度比より、全誘導体中で、スルホン酸基が1個導入された誘導体は14%、2個導入された誘導体は86%、3個導入された誘導体は23%であり、分子あたりの平均スルホン酸導入数は2.2個であった。
次に、実施例1と同様に、透析を行った。50gのPB15:3スルホン化誘導体と5Lのイオン交換水を混合することで硫酸イオンを含むスラリーを作製して透析を行い、PB15:3スルホン化誘導体透析物を得た。
重量平均分子量22000、ビスフェノールSとフェノールスルホン酸のモル比が90:10である(一般式(1)においてm=76.3、n=8.5に相当)固形分濃度30重量%のビスフェノールS/フェノールスルホン酸レゾール樹脂水溶液(小西化学工業(株)製BPR9120(製品番号))に水を加えて15重量%にまで希釈し、上記と同様にして透析を行った。その後エバポレーターを用いて濃度50重量%まで濃縮した。
128gのPB15:3と32gのPB15:3スルホン化誘導体透析物、160gの濃度50重量%のBPR9120樹脂透析物水溶液を240gのトリエチレングリコールモノブチルエーテルとともにイオン交換水460gと混合し、ホモディスパーで攪拌してスラリーを作製した。次いで実施例1と同様にして、水性シアン顔料分散液1を得た。31.4gの水性シアン顔料分散液1にイオン交換水53.7g、グリセリン12g、エチレングリコール2.8g、トリエタノールアミン0.2gを加えシアンインク組成物1を作製した。
比較例2
固形分濃度34重量%のアクリル系水溶性樹脂水溶液(ジョンソンポリマー(株)製“ジョンクリル”J−60(商品名))に水を加えて15重量%にまで希釈し、上記と同様にして透析を行った。その後エバポレーターを用いて濃度50重量%まで濃縮した。
128gのPB15:3と32gのPB15:3スルホン化誘導体透析物、160gの濃度50重量%のアクリル系水溶性樹脂透析物水溶液を240gのトリエチレングリコールモノブチルエーテルとともにイオン交換水460gと混合し、ホモディスパーで攪拌してスラリーを作製した。次いで実施例1と同様にして、水性シアン顔料分散液2を得た。31.4gの水性シアン顔料分散液2にイオン交換水交換水53.7g、グリセリン12g、エチレングリコール2.8g、トリエタノールアミン0.2gを加えシアンインク組成物2を作製した。
実施例3
9kgの98%濃硫酸と3kgの発煙硫酸(25%SO)を混合した溶液中に900gのPR122(クラリアント社製“ホスタパーム”ピンクEBtransp.(商品名))を室温で攪拌しながら投入した。5時間攪拌した後、氷水20kg中に加えた。30分間放置後、生じた懸濁液をろ過し、得られた生成物を20kgの水で水洗した。水20kg中へ前記生成物を投入し、アンモニア水溶液で中和(pHが7になるまでアンモニア水溶液を添加)し、ろ過を行った。得られたウェット結晶を水で洗浄した後、80℃で乾燥し、1100gのPR122スルホン化誘導体を得た。
上記に示した方法により、スルホン酸の導入数を測定したところ、PR122にスルホン酸基が1個導入されたことを示すm/z=419のピーク、2個導入されたことを示すm/z=499のピークが観測された。これらのピーク強度比より、全誘導体中で、スルホン酸基が1個導入された誘導体は47%、2個導入された誘導体は53%、分子あたりの平均スルホン酸導入数は1.5個であった。
次に、実施例1と同様に、透析を行った。50gのPR122スルホン化誘導体と5Lのイオン交換水を混合することで硫酸イオンを含むスラリーを作製して透析を行い、PR122スルホン化誘導体透析物を得た。
重量平均分子量23000、ビスフェノールSとフェノールスルホン酸のモル比が70:30である(一般式(1)においてm=68.3、n=29.3に相当)固形分濃度30重量%のビスフェノールS/フェノールスルホン酸レゾール樹脂水溶液(小西化学工業(株)製BPR7320(製品番号))に水を加えて15重量%にまで希釈し、上記と同様にして透析を行った。その後エバポレーターを用いて濃度50重量%まで濃縮した。
96gのPR122と24gのPR122スルホン化誘導体透析物、120gの濃度50重量%のBPR7320樹脂透析物水溶液を180gのトリエチレングリコールモノブチルエーテルとともにイオン交換水580gと混合し、ホモディスパーで攪拌してスラリーを作製した。次いで実施例1と同様にして、水性マゼンダ顔料分散液1を得た。41.8gの水性マゼンダ顔料分散液1にイオン交換水43.3g、グリセリン12g、エチレングリコール2.8g、トリエタノールアミン0.2gを加えマゼンダインク組成物1を作製した。
比較例3
96gのPR122と24gのPR122スルホン化誘導体透析物、130gの濃度46重量%のテルペンフェノール樹脂エマルション(ヤスハラケミカル(株)“スタロン”2130(商品名))を180gのトリエチレングリコールモノブチルエーテルとともにイオン交換水570gと混合しホモディスパーで攪拌してスラリーを作製した。次いで実施例1と同様にして、水性マゼンダ顔料分散液2を得た。
41.8gの水性マゼンダ顔料分散液2にイオン交換水43.3g、グリセリン12g、エチレングリコール2.8g、トリエタノールアミン0.2gを加え、マゼンダインク組成物2を作製した。
実施例1〜3、比較例1〜3で得られた水性顔料分散液およびインク組成物の評価結果を表1に示した。
Figure 2007112860

Claims (3)

  1. (A)有機顔料、(B)該有機顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、および/または該有機顔料が有する化学構造の一部と同一の化学構造を有する顔料にスルホン酸基が導入された顔料誘導体、(C)一般式(1)で表されるフェノール樹脂、(D)水、(E)水溶性有機溶媒を含有する水性顔料分散液。
    Figure 2007112860
    (Rはフェノール性水酸基を1個または2個含有する有機基を表す。mは10〜200、nは0〜100の範囲にあり、m>nである。)
  2. 一般式(1)で表されるフェノール樹脂のRがフェノールスルホン酸残基を表すフェノール樹脂である請求項1記載の水性顔料分散液。
  3. 請求項1または2記載の水性顔料分散液を含有するインク組成物。
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