JP2007112011A - 画像形成装置、印刷ヘッド検査方法及びそのプログラム - Google Patents

画像形成装置、印刷ヘッド検査方法及びそのプログラム Download PDF

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宏典 遠藤
Seiji Izumio
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Abstract

【課題】印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれをより迅速に把握することができる。
【解決手段】印刷ヘッド検査装置50は、印刷ヘッド24を往路方向や復路方向に移動しながら、帯電したインク滴をノズル23からインク受け領域52に向かって吐出する操作を第1領域52aから第2領域52bにわたって行う。この制御の実行中に受け領域52で検出された電圧は、印刷ヘッド24から第1及び第2領域52a,52bまでの距離同士が異なることから、第1及び第2領域52a,52bの境界位置Pを境にして異なる値になる。このため、この電圧に基づいて境界位置Pに対する印刷ヘッド24のインクの吐出位置のずれを把握し、各ノズル列43間のずれや往路・復路間のずれが生じないようなインクの吐出タイミングを設定する。そして、この吐出タイミングを用いて印刷処理を実行する。なお、移動中の印刷ヘッド24の傾きを求めることもできる。
【選択図】図11

Description

本発明は、画像形成装置、印刷ヘッド検査方法及びそのプログラムに関する。
従来、プリンタとしては、印刷ヘッドの往路印刷時及び復路印刷時に、主査方向及び副走査方向に規則正しく配列したドットマトリクスによるテストパターンを記録紙に印刷し、この記録紙をオペレータが目視し、印刷されたテストパターンに濃淡ムラが生じているか否かを判断することにより印刷ヘッドの往路印刷時と復路印刷時との吐出位置のずれを把握するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−48587号公報
しかしながら、この特許文献1に記載されたプリンタでは、印刷ヘッドの往路印刷時のインク吐出位置と復路印刷時のインク吐出位置とのずれを把握するにあたり、テストパターンを記録紙に印刷し該印刷した記録紙に印刷されたテストパターンを確認する必要があり、インク吐出位置のずれを把握するのに時間がかかるという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、印刷ヘッドの吐出位置のずれをより迅速に把握することができる画像形成装置、印刷ヘッド検査方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の画像形成装置は、
複数のノズルから印刷記録液を印刷媒体へ吐出する印刷ヘッドと、
前記ノズルから吐出した前記印刷記録液を受けることが可能であり前記印刷ヘッドとの間に生じる電界強度が互いに異なる第1及び第2領域に分けられた印刷記録液受け領域と、
前記印刷ヘッドを所定の主走査方向に移動可能であり前記ノズルから前記印刷記録液を吐出させる印刷ヘッド駆動手段と、
前記印刷記録液受け領域での電気的変化を検出する電気的変化検出手段と、
前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、該検出した電気的変化に基づいて前記第1領域と前記第2領域との境界位置に対する前記ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれを把握する制御手段と、
を備えたものである。
この画像形成装置では、印刷ヘッドが主走査方向に移動しながら、帯電した印刷記録液をノズルより第1領域から第2領域へわたって吐出したときの印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を検出し、該検出した電気的変化に基づいて第1領域と第2領域との境界位置に対するノズルが印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれを把握する。このときの電気的変化は、第1及び第2領域の境界線を境にして異なる値になる。その理由は、帯電した印刷記録液がノズルから第1領域に到達する過程で静電誘導によって生じる電気的変化と、帯電した印刷記録液がノズルから第2領域に到達する過程で静電誘導によって生じる電気的変化とは、印刷ヘッド−第1領域間に生じる電界強度と印刷ヘッド−第2領域間に生じる電界強度とが異なることから、互いに異なった値となることにあると推察される。このため、印刷記録液受け領域で検出された電気的変化に基づいて第1領域と第2領域との境界位置に対する印刷ヘッドのインクの吐出位置がわかり、この境界位置に対する吐出位置に基づいて印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれを把握可能である。このように、印刷記録液を吐出したときに印刷ヘッドの吐出位置のずれがわかるため、例えばテストパターンを印刷媒体に形成させて印刷ヘッドの吐出位置のずれを把握するものなどに比べ、印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれをより迅速に把握することができる。
本発明の画像形成装置において、前記制御手段は、前記境界位置に対して予め定められた前記ノズルの基準位置と前記電気的変化に基づいて求めた吐出位置との差を前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれとして把握してもよい。
本発明の画像形成装置において、前記印刷ヘッドは、前記複数のノズルを配列し各色の前記印刷記録液を吐出する1以上のノズル列を備え、前記制御手段は、前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を各々の前記ノズル列のノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、該検出した電気的変化に基づいて前記境界位置に対する前記ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて各々の前記ノズル列の吐出位置同士のずれを前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれとして把握してもよい。こうすれば、各々のノズル列の吐出位置同士のずれをより迅速に把握することができる。
本発明の画像形成装置において、前記印刷ヘッド駆動手段は、前記印刷ヘッドを前記主走査方向のうち往路方向へ移動する際に前記ノズルから前記印刷記録液を吐出させると共に前記印刷ヘッドを前記主走査方向のうち復路方向へ移動する際に前記ノズルから前記印刷記録液を吐出させ、前記制御手段は、前記印刷ヘッドが前記往路方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出すると共に、前記印刷ヘッドが前記復路方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルより前記第2領域から前記第1領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、該検出した電気的変化に基づいて前記境界位置に対する前記ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて前記往路方向への前記印刷ヘッドの移動中の吐出位置と前記復路方向への前記印刷ヘッドの移動中の吐出位置とのずれを前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれとして把握してもよい。こうすれば、往路印刷での印刷記録液の吐出位置と復路印刷での印刷記録液の吐出位置とのずれをより迅速に把握することができる。
本発明の画像形成装置において、前記制御手段は、前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルのうち第1特定ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルのうち前記第1特定ノズルと異なる第2特定ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、該検出した電気的変化に基づいて前記境界位置に対する前記第1及び第2特定ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置をそれぞれ求め、該第1及び第2特定ノズルの吐出位置に基づいて前記主走査方向に移動しているときの前記印刷ヘッドの傾きを前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれとして把握してもよい。こうすれば、主走査方向に移動しているときの前記印刷ヘッドの傾きをより迅速に把握することができる。
本発明の画像形成装置において、前記制御手段は、前記把握した印刷ヘッドの吐出位置のずれを利用して前記ノズルから前記印刷記録液を吐出するタイミングを設定してもよい。こうすれば、印刷記録液を吐出するタイミングを利用して印刷媒体に印刷された画像のずれを抑制することができる。
本発明の画像形成装置において、前記印刷記録液受け領域は、プラテン上の印刷可能領域に形成されていてもよい。こうすれば、印刷可能領域に配置された印刷媒体の上を印刷ヘッドが移動するのと同じ条件で印刷記録液受け領域へ印刷記録液を吐出可能であるため、印刷状態に適した印刷ヘッドの吐出位置のずれを把握することができる。
本発明の画像形成装置において、前記印刷記録液受け領域は、表面に段差を有し、該段差をなす上段面及び下段面の一方が前記第1領域であり、該段差をなす上段面及び下段面のもう一方が前記第2領域であってもよい。こうすれば、印刷ヘッド−第1領域間の距離と印刷ヘッド−第2領域間の距離とが互いに異なるため、比較的簡易な構成で印刷ヘッド−第1領域間の電界強度と印刷ヘッド−第2領域間の電界強度とを異なる値とすることができる。
本発明の画像形成装置において、前記印刷記録液受け領域は、所定の検査用プレートのエッジによって前記第1領域と前記第2領域とに分けられ、該検査用プレートの一部の面及び該検査用プレートに覆われていない面の一方が前記第1領域であり、該検査用プレートの一部の面及び該検査用プレートに覆われていない面のもう一方が前記第2領域であってもよい。こうすれば、検査用プレートのエッジを利用して比較的容易に印刷記録液受け領域を第1領域と第2領域とに分けることができる。
本発明の画像形成装置において、前記制御手段は、前記印刷ヘッドの複数のノズルの各々について、前記印刷記録液が前記印刷記録液受け領域へ向かって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記電気的変化検出手段の検出結果に基づいて前記ノズルから前記印刷記録液が正常に吐出するか否かの検査を行ってもよい。こうすれば、印刷ヘッドから印刷記録液が正常に吐出するか否かの検査と印刷ヘッドの吐出位置のずれの検査とを同じ印刷記録液受け領域で実行可能であるため、印刷記録液が正常に吐出するか否かの検査を行うための領域を新たに設ける必要がない。
本発明の画像形成装置は、前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に所定の電位差を発生させると共に前記ノズルから吐出する前の印刷記録液を帯電させる電位差発生手段、を備え、前記電位差発生手段は、前記印刷記録液を前記第1領域から前記第2領域にわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御する際には、前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記所定の電位差を発生させると共に前記ノズルから吐出する前の印刷記録液を帯電させてもよい。
本発明の印刷ヘッド検査方法は、
複数のノズルから印刷記録液を印刷媒体へ吐出する印刷ヘッドを、前記ノズルから吐出した前記印刷記録液を受けることが可能であり前記印刷ヘッドとの間に生じる電界強度が互いに異なる第1及び第2領域に分けられた印刷記録液受け領域を利用して検査する印刷ヘッド検査方法であって、
(a)前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を検出するステップと、
(b)前記ステップ(a)で検出した電気的変化に基づいて前記第1領域と前記第2領域との境界位置に対する前記ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれを把握するステップと、
を含むものである。
この印刷ヘッド検査方法では、印刷ヘッドが主走査方向に移動しながら、帯電した印刷記録液をノズルより第1領域から第2領域へわたって吐出したときの印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を検出し、該検出した電気的変化に基づいて第1領域と第2領域との境界位置に対するノズルが印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれを把握する。このときの電気的変化は、第1及び第2領域の境界線を境にして異なる値になる。その理由は、帯電した印刷記録液がノズルから第1領域に到達する過程で静電誘導によって生じる電気的変化と、帯電した印刷記録液がノズルから第2領域に到達する過程で静電誘導によって生じる電気的変化とは、印刷ヘッド−第1領域間に生じる電界強度と印刷ヘッド−第2領域間に生じる電界強度とが異なることから、互いに異なった値となることにあると推察される。このため、印刷記録液受け領域で検出された電気的変化に基づいて第1領域と第2領域との境界位置に対する印刷ヘッドのインクの吐出位置がわかり、この境界位置に対する吐出位置に基づいて印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれを把握可能である。このように、印刷記録液を吐出したときに印刷ヘッドの吐出位置のずれがわかるため、例えばテストパターンを印刷媒体に形成させて印刷ヘッドの吐出位置のずれを把握するものなどに比べ、印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれをより迅速に把握することができる。なお、この印刷ヘッド検査方法において、上述した画像形成装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した画像形成装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
本発明のプログラムは、上述した印刷ヘッド検査方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した印刷ヘッド検査方法の各ステップが実行されるため、該印刷ヘッド検査方法と同様の作用効果が得られる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である印刷ヘッド検査装置50を含むインクジェットプリンタ20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、印刷ヘッド24の説明図であり、図3は、紙送り機構31の説明図であり、図4は、印刷ヘッド検査装置50の構成の概略を示す構成図である。
本実施形態のインクジェットプリンタ20は、図1に示すように、印刷ヘッド24やキャリッジ22などにより構成されるプリンタ機構21と、駆動モータ33により駆動される紙送りローラ35を含む紙送り機構31と、プラテン44の右端近傍に形成されたキャップ装置40と、プラテン44の略中央近傍に形成され印刷ヘッド24から吐出されたインク滴を用いて印刷ヘッド24の検査などを行う印刷ヘッド検査装置50と、インクジェットプリンタ20全体をコントロールするコントローラ70とを備えている。なお、本発明の中核をなす構成は印刷ヘッド検査装置50と印刷ヘッド24であるが、その他の構成についても順次説明する。
プリンタ機構21は、キャリッジベルト32とキャリッジモータ34とによりガイド28に沿って左右方向(主走査方向)に往復動するキャリッジ22と、このキャリッジ22に搭載されイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ26と、各インクカートリッジ26から供給された各インクに圧力をかける印刷ヘッド24と、この印刷ヘッド24で加圧されたインク滴を記録紙Sに吐出するノズル23と、印刷中の記録紙Sを支持する支持部材としてのプラテン44とを備えている。キャリッジ22の近傍には、キャリッジ22の位置を検出するリニア式エンコーダ25が配置されており、このリニア式エンコーダ25を用いてキャリッジ22のポジションが管理可能となっている。インクカートリッジ26は、図示しないが、溶媒としての水に着色剤としての染料又は顔料を含有したシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)などの印刷用に用いる印刷記録液としてのインクを各々収納する容器として構成されており、キャリッジ22に着脱可能に装着されている。また、プラテン44の左端近傍には、フラッシング領域42が形成されている。このフラッシング領域42は、ノズル23の先端でインクが乾燥して固化するのを防止するために定期的又は所定のタイミングで印刷データとは無関係にインク滴を吐出させる、いわゆるフラッシング動作を行うときに利用される。
ここで、プリンタ機構21の多くの構成要素(キャリッジ22など)については周知であるためその詳細な説明を省略し、以下に本発明と関連性の高い印刷ヘッド24について説明する。印刷ヘッド24には、図2に示すように、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のインクを吐出する複数のノズル23を配列したノズル列43が設けられている。なお、ここでは、すべてのノズルをノズル23と総称し、すべてのノズル列をノズル列43と総称し、シアンのノズル及びノズル列をノズル23C及びノズル列43C、マゼンタのノズル及びノズル列をノズル23M及びノズル列43M、イエローのノズル及びノズル列をノズル23Y及びノズル列43Y、ブラックのノズル及びノズル列をノズル23K及びノズル列43Kと称する。以下ノズル23Kを用いて説明する。この印刷ヘッド24では、180個のノズル23Kが記録紙Sの搬送方向に沿って配列してノズル列43Kを構成している。ノズル23Kには、インク滴を吐出するための駆動素子として圧電素子48が設けられており、この圧電素子48に電圧をかけることによりこの圧電素子48を変形させてインクを加圧しノズル23Kから吐出する。
この印刷ヘッド24は、各ノズル23Kをそれぞれ駆動する複数の圧電素子48に対応して設けられた複数のマスク回路47を備えている。マスク回路47には、コントローラ70で生成された原信号ODRVや印刷信号PRTnが入力される。なお、印刷信号PRTnの末尾のnはノズル列に含まれるノズルを特定するための番号であり、本実施形態ではノズル列は180個のノズルからなるため、nは1から180のいずれかの整数値となる。この原信号ODRVは、一画素分の区間内(キャリッジ22が一画素の間隔を横切る時間内)において、図2下部に示すように、第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3との3つの駆動波形からなっている。この3つの駆動波形を繰り返し単位とする原信号ODRVを、本実施形態では1セグメントと称する。マスク回路47は、原信号ODRVや印刷信号PRTnが入力されると、これらの信号に基づいて第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とのうち必要なパルスを駆動信号DRVn(nの意味するところは印刷信号PRTnのnと同じ)としてノズル23Kの圧電素子48に向けて出力する。具体的には、マスク回路47から圧電素子48に第1パルスP1のみが出力されると、ノズル23Kから1ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには小さいサイズのドット(小ドット)が形成される。また、第1パルスP1と第2パルスP2とが圧電素子48に出力されると、ノズル23Kから2ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とが圧電素子48に出力されると、ノズル23Kから3ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには大きいサイズのドット(大ドット)が形成される。このように、インクジェットプリンタ20では、一画素区間において吐出するインク量を調整することにより3種類のサイズのドットを形成することが可能である。なお、他の色のノズル23C,23M,23Yやノズル列43C,43M,43Yについても上記ノズル23Kやノズル列43Kと同様である。また、印刷ヘッド24は、ここでは圧電素子48を変形させてインクを加圧する方式を採用しているが、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
紙送り機構31は、図3に示すように、給紙トレイ14に載置された記録紙Sを挿入する記録紙挿入口18と、給紙トレイ14に載置された記録紙Sを印刷ヘッド24に供給する給紙ローラ36と、印刷ヘッド24へ記録紙Sやロール紙を搬送する紙送りローラ35と、印刷後の記録紙Sを排紙する排紙ローラ37とを備えている。給紙ローラ36、紙送りローラ35及び排紙ローラ37は、図示しないギヤ機構を介して駆動モータ33(図1参照)により駆動される。なお、給紙ローラ36の回転駆動力と図示しない分離パッドの摩擦抵抗とによって、複数の記録紙Sが一度に給紙されることを防いでいる。
印刷ヘッド検査装置50は、図4に示すように、印刷ヘッド24のノズル23から飛翔されたインク滴が着弾可能な検査ボックス51と、検査ボックス51に設けられたインク受け領域52と、インク受け領域52と印刷ヘッド24との間に電圧を印加する電圧印加回路53と、インク受け領域52の電圧を検出する電圧検出回路54とを備えている。検査ボックス51は、プラテン44の印刷可能領域の略中央に設けられ、略直方体で上部が開口した筐体である。インク受け領域52は、検査ボックス51の中に設けられ、インク滴が直接着弾する上側インク吸収体55と、この上側インク吸収体55に着弾したあと下方に透過してきたインク滴を吸収する下側インク吸収体56と、上側インク吸収体55と下側インク吸収体56との間に配置されたメッシュ状の電極部材57とにより構成されている。上側インク吸収体55は、電極部材57と同電位となるように導電性を有するスポンジによって作製されている。このスポンジは、着弾したインク滴が速やかに下方に移動可能な透過性の高いものであり、ここではエステル系ウレタンスポンジ(商品名:エバーライトSK−E,ブリジストン(株)製)が用いられている。また、上側インク吸収体55は、その表面に段差を有している。そして、段差をなす下段面が第1領域52a、上段面が第2領域52bとなっており、この結果、印刷ヘッド24から第1領域52aまでの距離は、印刷ヘッド24から第2領域52bまでの距離よりも長くなっている。また、両領域52a,52bの境界線(境界位置P)は記録紙Sの搬送方向と平行に延びている。下側インク吸収体56は、上側インク吸収体55に比べてインクの保持力が高いものであり、フェルトなどの不織布によって作製されており、ここでは不織布(商品名:キノクロス、王子キノクロス(株)製)が用いられている。電極部材57は、ステンレス(例えばSUS)製の金属からなる格子状のメッシュとして形成されている。このため、上側インク吸収体55に一旦吸収されたインクは格子状の電極部材57の隙間を通って下側インク吸収体56に吸収・保持される。インク受け領域52の搬送方向の長さは、ノズル列43よりも長くなるよう設計されている。
電圧印加回路53は、電極部材57が正極、印刷ヘッド24が負極となるように直流電源(例えば400V)と抵抗素子(例えば1MΩ)とを介して両者を電気的に接続している。ここで、電極部材57は、導電性を有する上側インク吸収体55と接触しているため、上側インク吸収体55の表面は、電極部材57と同電位となる。この電圧印加回路53は、回路の開閉を行うスイッチSWを有しており、このスイッチSWは後述するメインルーチンなどの実行時にオンにされるが、その他の場合にはオフにされる。電圧検出回路54は、インク受け領域52の電圧と同視される電極部材57の電圧を検出するように接続され、電極部材57の電圧信号を積分して出力する積分回路54aと、この積分回路54aから出力された信号を反転増幅して出力する反転増幅回路54bと、この反転増幅回路54bから出力された信号をA/D変換してコントローラへ出力するA/D変換回路54cとを備えている。積分回路54aは、1つのインク滴の飛翔・着弾による電圧変化が小さいことから、同一のノズル23から吐出された複数のインク滴の飛翔・着弾による電圧変化を積分することにより大きな電圧変化として出力するものである。反転増幅回路54bは、電圧変化の正負を反転させると共に回路構成によって決まる所定の増幅率で積分回路から出力された信号を増幅して出力するものである。A/D変換回路54cは、反転増幅回路54bから出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換してコントローラ70に出力するものである。
キャップ装置40は、図1に示すように、印刷休止中などにノズル23が乾燥するのを防止するためにノズル23を封止するときに利用されるものである。このキャップ装置40は、印刷ヘッド24がキャリッジ22と共に右端まで移動したときに該印刷ヘッド24のノズル形成面を覆うように作動される。なお、キャップ装置40の位置をホームポジションともいう。また、キャップ装置40には、図示しない吸引ポンプが接続されている。そして、例えば印刷ヘッド検査装置50でノズルのインク詰まりが検出されたときなど、必要に応じて、キャップ装置40で封止された印刷ヘッド24のノズル形成面に吸引ポンプの負圧を作用させてノズル23から詰まったインクを吸引排出させる。なお、吸引排出された廃インクは、図示しない廃液タンクに溜められる。
コントローラ70は、図1に示すように、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM73と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM74と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリ75と、外部機器との情報のやり取りを行うインタフェース(I/F)79と、図示しない入出力ポートとを備えている。ROM73には、後述するメインルーチンやインク吐出検査ルーチン、吐出位置把握設定ルーチン、印刷処理ルーチンなどの各処理プログラムが記憶されている。RAM74には、印刷バッファ領域が設けられており、この印刷バッファにユーザPC10からインタフェース(I/F)79を介して送られてきた印刷データが記憶される。フラッシュメモリ75には、後述する吐出位置把握設定ルーチンの実行処理により得られる吐出位置補正情報75aなどが保存されている。このコントローラ70には、印刷ヘッド検査装置50の電圧検出回路54から出力された電圧信号やリニア式エンコーダ25からのポジション信号などが入出力ポートを介して入力される。また、コントローラ70からは、印刷ヘッド24への駆動信号やキャリッジモータ34への駆動信号、キャップ装置40への信号などが入出力ポートを介して出力される。
次に、こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンタ20の動作について説明する。ここでは、まず、メインルーチンの動作について説明する。図5は、コントローラ70のCPU72により実行されるメインルーチンのフローチャートである。このルーチンは、ROM73に記憶され、インクジェットプリンタ20の電源がオンされたあと所定のタイミングごとに(例えば数msecごとに)CPU72により実行される。このルーチンが開始されると、CPU72は、まず、印刷待ち状態の印刷データが存在するか否かを判定する(ステップS100)。ここでは、ユーザPC10から受信した印刷データは、RAM74に形成された印刷バッファ領域に格納されて印刷待ち状態の印刷データとなるため、印刷データを受信したときに印刷中の場合だけでなく直ちに印刷可能な場合であっても印刷待ち状態の印刷データとなる。そして、ステップS100で印刷待ち状態の印刷データが存在しないときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS100で、印刷待ち状態の印刷データが存在したときには、インク吐出検査ルーチンを実行する(ステップS110)。
ここで、インク吐出検査ルーチンについて説明する。このルーチンは、図6に示すように、印刷ヘッド24に配置されたすべてのノズル23の詰まりの有無を検査する処理であり、ROM73に記憶されている。このルーチンが開始されると、CPU72は、電圧印加回路53のスイッチSWをオンすると共に、今回の検査位置、つまりノズル23からインクを吐出するインク受け領域52の位置を取得する(ステップS200)。ここでは、検査でのインクの吐出によりインク受け領域52の表面にインクに含まれる固形物が堆積することがあるため、検査ごとに検査位置を変更するように設定されている。図7は、印刷ヘッド検査処理における検査位置の説明図であり、図1の白抜き矢印方向からプリンタ機構21を見たときの模式図である。図7では複数の検査位置p1,p2,p3,p4が設定され、1回の検査においては、検査位置の違いによる誘導電圧の検出値のばらつきが生じないように、各ノズル列43で同じ検査位置にインクを吐出するよう設定されている。また、ある検査位置だけにインクの固形分が堆積し過ぎないように、次回の検査位置は今回の検査位置とは別の位置にインクを吐出するようになっている。
続いて、キャリッジモータ34を駆動して、印刷ヘッド24のノズル列43のうち検査対象となるノズル列43が検査位置に対向するようにキャリッジ22を移動する(ステップS210)。本実施形態では、印刷ヘッド24は、ノズル列43Yのリニア式エンコーダ25の値(リニアエンコーダ値ともいう。)を基準として位置決めされるものとする。ここで、各検査位置p1,p2,…はインク受け領域52内の予め定められた位置になるように設計されているため、各検査位置p1,p2,…に対応するリニア式エンコーダ25の値の位置にノズル列43Yを位置決めする。次に、CPU72は、検査対象となるノズル列43のうち1つのノズル23のマスク回路47及び圧電素子48(図2参照)を介してそのノズル23から帯電したインク滴を吐出させる(ステップS220)。そして、負に帯電したインク滴がノズル23から飛翔してインク受け領域52に着弾するまでにインク受け領域52の電圧が変化する。
ここで、帯電したインク滴が印刷ヘッド24のノズル23から飛翔してインク受け領域52の上側インク吸収体55に至る場合の電極部材57における電圧の推移について図8に基づいて説明する。図8は静電誘導によって誘導電圧が生じる原理の説明図である。このインク受け領域52での電圧の変化の原因は、以下の説明内容によるものと考えられる。図8(a)に示すように、印刷ヘッド24でノズル23から飛翔する前のインク滴は電圧印加回路53によって負に帯電している。このため、図8(b)に示すように、この負に帯電したインク滴がノズル23から飛翔して上側インク吸収体55へ近づくにつれ、静電誘導によって上側インク吸収体55の表面には正電荷が増加する。この結果、印刷ヘッド24と電極部材57との間の電圧は、静電誘導によって生じる誘導電圧により当初の電圧値よりも高くなる。その後、図8(c)に示すように、負に帯電したインク滴が上側インク吸収体55に達すると、インク滴の負電荷により上側インク吸収体55の正電荷が中和される。この結果、印刷ヘッド24と電極部材57との間の電圧は当初の電圧値を下回る。その後、印刷ヘッド24と電極部材57との間の電圧は当初の電圧値に戻る。このときの出力信号の振幅は、印刷ヘッド24から上側インク吸収体55(インク受け領域52)までの距離に依存するほか、飛翔するインク滴の有無や数、その大きさにも依存する。このため、ノズル23が詰まってインク滴が飛翔しなかったりインク滴が所定の大きさより小さかったりしたときには、出力信号の振幅が通常時に比べて小さくなるため、出力信号の振幅に基づいてノズル23の詰まりの有無を判定することができる。本実施形態では、インク滴が所定の大きさであっても1ショット分のインク滴による出力信号の振幅が極めて小さいことから、インク吐出数は、24ショットに設定されている。この吐出数では、駆動波形を表す1セグメントの第1〜第3パルスP1,P2,P3のすべてを出力する操作を8回行うことにより24ショット分のインク滴を吐出する。これにより、出力信号は24ショット分のインク滴による積分値となるため、電圧検出回路54からは十分大きな出力波形が得られる。なお、電圧検出回路54から出力される信号は、反転増幅回路54bを経由することから振幅の向きが逆転する(図8参照)。
さて、ステップS220で検査対象となるノズル列43のうちの1つのノズル23のマスク回路47や圧電素子48を介してそのノズル23から帯電したインク滴を吐出させたあと、電圧検出回路54から出力された電圧の極大値が閾値Vthr以上か否かを判定する(ステップS230)。この閾値Vthrは、設定された吐出数(24ショット分)のインクが正常に吐出されたときの出力信号波形の出力レベル(ピーク値)が超えるように、また設定された吐出数のインクが正常に吐出されなかったときにはノイズ等によって超えてしまうことのないように、経験的に定められた値である。ステップS230で出力レベルが閾値Vthr未満だったときには、今回のノズル23に詰まりなどの異常が生じているとみなし、そのノズル23を特定する情報(例えばどのノズル列の何番目のノズルかを示す情報)をRAM74の所定領域に記憶する(ステップS240)。
このステップS240のあと又はステップS230で出力レベルが閾値Vthr以上のとき(つまり今回のノズル23が正常だったとき)、現在検査中のノズル列43に含まれるすべてのノズル23について検査を行ったか否かを判定し(ステップS250)、現在検査中のノズル列に未検査のノズル23があるときには、検査対象となるノズル23を未検査のものに更新し(ステップS260)、その後再びステップS220〜S260の処理を行う。一方、ステップS250で現在検査中のノズル列に含まれるすべてのノズル23について検査を行ったときには、印刷ヘッド24に含まれるすべてのノズル列43について検査を行ったか否かを判定し(ステップS270)、未検査のノズル列43が存在するときには、検査対象となるノズル列43を未検査のノズル列43に更新し(ステップS280)、その後再びステップS210〜S280の処理を行う。一方、ステップS270で印刷ヘッド24に含まれるすべてのノズル列43について検査を行ったときには、CPU72は、電圧印加回路53のスイッチSWをオフし(ステップS290)、このインク吐出検査ルーチンを終了する。
さて、図5のメインルーチンに戻り、上述したインク吐出検査(ステップS110)を実行したあと、印刷ヘッド24に配列された全ノズル23のうち吐出異常が発生しているノズル23があるか否かをRAM74の所定領域の記憶内容に基づいて判定し(ステップS120)、吐出異常が発生しているノズル23があるときには、詰まりが原因となっていることを考慮して印刷ヘッド24のクリーニングを行うが、その前にクリーニングを行った回数が所定回数(例えば3回)未満か否かを判定する(ステップS130)。そして、クリーニングを行った回数が所定回数未満のときには、印刷ヘッド24のクリーニングを実行する(ステップS140)。具体的には、キャリッジモータ34を駆動して印刷ヘッド24がキャップ装置40と対向するホームポジションに来るまでキャリッジ22を移動させ、キャップ装置40を作動してキャップ装置40が印刷ヘッド24のノズル形成面を覆うようにした後、ノズル形成面に図示しない吸引ポンプの負圧を作用させてノズル23から詰まったインクを吸引排出させる。このクリーニングを実行した後、ノズル23の吐出異常が解消されたか否かを調べるため再びステップS110に戻る。なお、このステップS110では、吐出異常が発生していたノズル23のみを再検査してもよいが、何らかの原因でクリーニング時に正常だったノズル23に詰まりが発生することも考えられることから、印刷ヘッド24のすべてのノズル23について再検査を行う。一方、ステップS130でクリーニングを行った回数が所定回数以上だったときには、クリーニングを行ったとしても吐出異常が発生したノズル23は正常化しないとみなし、図示しない操作パネルにエラーメッセージを表示出力し(ステップS150)、このメインルーチンを終了する。
一方、ステップS120で異常が発生しているノズル23がなかったときには、各ノズル23のインク吐出位置のずれを定期的に把握し各ノズル23からのインクの吐出タイミングを定期的に更新する所定期間を経過しているか否かを判定する(ステップS160)。所定期間を経過しているか否かの判定は、所定期間が前回インクの吐出位置を把握したときからの経過期間(例えば1月など)として設定されており、図示しないクロックを用いてこの経過期間を計時することにより行う。所定期間を経過していないときには、印刷処理ルーチンを実行する(ステップS180)。
ここで、印刷処理ルーチンについて説明する。この印刷処理ルーチンは、図9に示すように、印刷データを印刷する処理であり、ROM73に記憶されている。ここでは、キャリッジ22の往路方向及び復路方向の移動時にインクを吐出する「双方向印刷」を例に説明する。このルーチンが開始されると、CPU72は、まず、給紙処理を実行する(ステップS300)。給紙処理は、駆動モータ33の駆動により給紙ローラ36(図3参照)を回転駆動させ給紙トレイ14に載置された記録紙Sを紙送りローラ35まで搬送する処理である。次に、CPU72は、キャリッジモータ34の駆動によりキャリッジ22をホームポジションなどから主走査方向のうち往路方向(図1において左方向)に移動させながら印刷ヘッド24からインクを吐出させ印刷データに基づいて往路印刷を実行する(ステップS310)。このとき、後述する吐出位置把握設定ルーチンで設定された吐出タイミングでインクが各ノズル列43のノズル23から吐出されるようマスク回路47及び圧電素子48を制御する。続いて、CPU72は、現在のパスの印刷が終了したあと印刷すべき次パスの印刷データがあるか否かを判定する(ステップS320)。ここで、「パス」とは、印刷ヘッド24が図1でのプラテン44上にある記録紙Sの一端から他端まで1回移動することをいう。ステップS320で次パスの印刷データがあるときには、紙送りローラ35を回転駆動し記録紙Sを所定量搬送する搬送処理を実行し(ステップS330)、キャリッジモータ34の駆動によりキャリッジ22を主走査方向のうち復路方向(図1において右方向)に移動させながら印刷ヘッド24からインクを吐出させ印刷データに基づいて復路印刷を実行する(ステップS340)。このとき、後述する吐出位置把握設定ルーチンで設定された吐出タイミングでインクが各ノズル列43のノズル23から吐出されるようマスク回路47及び圧電素子48を制御する。このため、各ノズル列43同士の印刷画像のずれや往路印刷・復路印刷間の印刷画像のずれが抑制される。続いて、CPU72は、次パスの印刷データがあるか否かを判定し(ステップS350)、次パスの印刷データがあるときには、紙送りローラ35を回転駆動し記録紙Sを所定量搬送する搬送処理を実行し(ステップS360)、ステップS310〜S350の処理を実行する。一方、ステップS320又はステップS350で現在印刷中の記録紙Sへ印刷すべき次パスの印刷データがないときには、CPU72は、記録紙Sを排紙する排紙処理を実行する(ステップS370)。排紙処理は、排紙ローラ37を回転駆動し、記録紙Sを排紙トレイに排出する処理である。ステップS370のあと、CPU72は、印刷すべき次のページがあるか否かを判定し(ステップS380)、印刷すべき次のページがあるときには、ステップS300〜S370の処理を実行し、印刷すべき次のページがないときには、この印刷処理ルーチンを終了する。また、図5のメインルーチンも、この印刷処理ルーチンが終了したあと終了する。
一方、図5のメインルーチンのステップS160で所定期間を経過しているときには、CPU72は、本発明の中核をなす制御である、吐出位置把握設定ルーチンを実行する(ステップS170)。図10は、吐出位置把握設定ルーチンのフローチャートである。この吐出位置把握設定ルーチンは、図10に示すように、印刷ヘッド24が往路方向及び復路方向へ移動しながら、ノズル23からインクを吐出するときのインクの吐出位置のずれを把握し、該把握したインクの吐出位置を補正するインク吐出タイミングを設定する処理であり、ROM73に記憶されている。この吐出位置把握設定ルーチンが開始されると、CPU72は、まず、電圧印加回路53のスイッチSWをオンすることにより印刷ヘッド24と上側インク吸収体55との間に電圧印加回路53により所定の電位差を発生させる(ステップS400)。次に、キャリッジ22の移動方向を主走査方向のうち往路方向に設定し(ステップS410)、設定した方向にキャリッジ22を移動させる(ステップS420)。ここで、キャリッジ22の移動は、印刷時と同条件でノズル23の吐出位置を把握する必要があるため、上述した印刷処理ルーチンでのキャリッジ22の移動と同じ速度で行うよう設定されている。
ステップS420でキャリッジ22を移動したあと、CPU72は、印刷ヘッド24が印刷ヘッド検査装置50のインク受け領域52に達したか否かをリニア式エンコーダ25の値に基づいて判定する(ステップS430)。ここで、インク受け領域52の配置位置は予め決まっているため、このインク受け領域52に対応するリニア式エンコーダ25の値から印刷ヘッド24がこの領域に達したか否かを判定可能である。キャリッジ22がインク受け領域52へ達していないときには、ステップS420でキャリッジ22の移動を継続し、キャリッジ22がインク受け領域52へ達したときには、キャリッジ22を移動しながら特定ノズル23spからインクを吐出させる(ステップS440)。ここで、特定ノズル23spは、各ノズル列43Y,43M,43C,43Kに含まれる、例えばノズル番号n=1のノズル23に設定されている。また、最初にインクを吐出するのはイエローの特定ノズル23Yspに設定されている。インクの吐出数は、1セグメントの第1〜第3パルスP1,P2,P3のすべてを出力する操作を1回行うことにより3ショット分のインク滴を吐出するよう設定されている。なお、この3ショットのインク滴は、一画素分の区間内に大ドットとして着弾する。次に、CPU72は、インクを吐出したときのリニアエンコーダ値をRAM74に記憶させ(ステップS445)、特定ノズル23Yspから吐出されたインク滴がインク受け領域52に到達することにより電圧検出回路54で検出される静電誘導による出力電圧をRAM74に記憶させる(ステップS450)。つまり、特定ノズル23Yspからインクを吐出した位置のリニアエンコーダ値とインク受け領域52で発生した出力電圧とを対応付けてRAM74に記憶させるのである。
続いて、CPU72は、インク受け領域52の走査を終了したか否かを判定する(ステップS460)。インク受け領域52の走査を終了したか否かの判定は、図1におけるインク受け領域52の右端部(ホームポジション側の端部)から左端部(フラッシング領域42側の端部)までキャリッジ22が移動したか否かに基づいて行う。なお、インク受け領域52の左端部の位置は、インク受け領域52の幅が所定の設計値であることからインク受け領域52の右端部からその幅だけ左方向に移動した位置として、リニア式エンコーダ25により認識することができる。インク受け領域52の走査を終了していないときには、CPU72は、ステップS440でキャリッジ22を移動しながら特定ノズル23Yspからインクを吐出させ、ステップS450でインク受け領域52で検出される出力電圧をRAM74に記憶する操作を繰り返し、ステップS460でインク受け領域52の走査が終了したときには、特定ノズル23Yspからのインクの吐出を停止してキャリッジ22をステップS410で設定した方向に移動させる(ステップS470)。続いて、CPU72は、現パスが終了したか否かを判定し(ステップS480)、現パスが終了していないときには、ステップS470でキャリッジ22の移動を継続する。ここでは、現パスが終了したか否かの判定は、リニア式エンコーダ25の値に基づき、キャリッジ22がプラテン44のフラッシング領域42側の端部に至ったか否かに基づいて行う。つまり、このステップS420〜S480での処理では、印刷時と同様の速度で、ホームポジション側からフラッシング領域42側へキャリッジ22を移動させ、インク受け領域52の上方を通過するときに第1領域52aから第2領域52bにわたって特定ノズル23Yspからインクを吐出させて出力電圧を検出するのである。
一方、ステップS480で現パスが終了したときには、CPU72は、終了した現パスが復路方向へのキャリッジ22の移動であるか否かを判定し(ステップS490)、現パスが復路方向の移動でないとき、つまり現パスが往路方向の移動であると判定されたときには、キャリッジ22の移動方向を復路方向に設定し(ステップS500)、ステップS420〜S490の処理を実行する。つまり、印刷時と同様の速度で、プラテン44のフラッシング領域42側からホームポジション側へキャリッジ22を移動させ、インク受け領域52の上方を通過するときに第1領域52aから第2領域52bにわたって特定ノズル23Yspからインクを吐出させて出力電圧を検出する。
一方、ステップS490で現パスが復路方向へのキャリッジ22の移動であると判定されたときには、CPU72は、全ノズル列43を処理したか否かを判定する(ステップS510)。ここでは、全ノズル列43を処理したか否かの判定は、各ノズル列43Y,43M,43C,43Kに定められた特定ノズル23spのすべてが処理されたか否かにより行う。全ノズル列43を処理していないと判定されたときには、CPU72は、他のノズル列43の特定ノズル23spに変更し(ステップS520)、ステップS410〜S510の処理を実行する。ここでは、特定ノズル23spの変更は、特定ノズル23Yspから、順次特定ノズル23Msp、23Csp,23Kspの順に変更するよう設定されている。一方、ステップS520で全ノズル列43を処理したと判定されたときには、CPU72は、電圧印加回路53のスイッチSWをオフし(ステップS530)、出力電圧の切り替わりに基づいて境界位置Pに対応する、実際にインクを吐出したときのノズル23の位置としてのリニアエンコーダ値を求める(ステップS540)。
ここで、出力電圧の切り替わりに基づいて境界位置Pに対応する、実際にインクを吐出したときのリニアエンコーダ値を求める方法の一例を説明する。図11は、往路方向での境界位置Pに対応するインク吐出位置を求める概念図であり、図12は、復路方向での境界位置Pに対応するインク吐出位置を求める概念図である。上側インク吸収体55の第1及び第2領域52a,52bでは、印刷ヘッド24に対する電位差は同じであるが印刷ヘッド24から第1領域52aまでの距離は印刷ヘッド24から第2領域52bまでの距離より長いため、電界強度は第1領域52aの方が第2領域52bより低い。この結果、第1領域52aで検出される誘導電圧は第2領域52bで検出される誘導電圧に比べて小さな値として得られる。ここでは、第2領域52bで検出される誘導電圧の最大値に基づいて定められた閾値V2が設定されている。この閾値V2は、設定された吐出数(3ショット分)のインクが正常に第2領域52bへ吐出されたときに出力電圧の最大値が超えるように、また、設定された吐出数のインクが正常に第2領域52bに吐出されなかったときにはノイズ等によって超えてしまうことのないように、経験的に定められた値である。また、第1領域52aで検出される誘電電圧の最大値に基づいて定められた閾値V1が設定されている。この閾値V1は、設定された吐出数のインクが正常に第1領域52aへ吐出されたときに出力電圧の最大値が超えるように、また、設定された吐出数のインクが正常に第1領域52aに吐出されなかったときにはノイズ等によって超えてしまうことのないように、経験的に定められた値である。したがって、検出された誘電電圧が閾値V2以上であるときには、ノズル23から吐出されたインク滴が第2領域52bに着弾したことがわかる。また、検出された誘電電圧が閾値V1以上且つ閾値V2未満であるときには、ノズル23から吐出されたインク滴が第1領域52aに着弾したことがわかる。以上のことから、RAM74に記憶された出力電圧、すなわち印刷時と同様の移動速度でキャリッジ22が移動する際に得られたインク受け領域52の出力電圧を比較判定することにより、境界位置Pに対応するインク吐出位置を求めることができる。図11に示すように、ステップS445でRAM74に記憶されたインクの吐出位置に対応するリニアエンコーダ値をkとすると、往路方向のキャリッジ22の移動において、吐出開始位置からリニアエンコーダ値(k+3)までのインク吐出では第1領域52aにインクが着弾したことを示す出力電圧が得られ、リニアエンコーダ値(k+4)以降のインク吐出では第2領域52bにインクが着弾したことを示す出力電圧が得られたとすると、境界位置Pに対応する位置をリニアエンコーダ値(k+3)の位置としてもよいし、リニアエンコーダ値(k+4)の位置としてもよいが、ここでは後者とする。また、図12に示すように、復路方向のキャリッジ22の移動において、吐出開始位置からリニアエンコーダ値(k+9)までのインク吐出では第2領域52bにインクが着弾したことを示す出力電圧が得られ、リニアエンコーダ値(k+8)のインク吐出以降では第1領域52aにインクが着弾したことを示す出力電圧が得られたとすると、境界位置Pに対応する位置をリニアエンコーダ値(k+9)の位置としてもよいし、リニアエンコーダ値(k+8)の位置としてもよいが、ここでは前者とする。このように、境界位置Pに対応する実際にインクを吐出した位置を求める処理を、ノズル列43Y,43、43C,43Kの往路方向への移動、復路方向への移動についてそれぞれ行う。そして得られた結果を位置情報74aとしてRAM74に記憶する。
さて、ステップS540のあと、CPU72は、境界位置Pに対するノズル23の吐出位置のずれを把握する(ステップS550)。本実施形態では、境界位置Pに対するノズル23の吐出位置のずれは、ステップS530で求めたリニアエンコーダ値(実測値)と吐出位置にずれがないとすれば境界位置Pに着弾すべきインク吐出位置、つまり設計上のインク吐出位置のリニアエンコーダ値(基準値)との差分を求めることにより把握するよう定められている。この吐出位置のずれの把握の一例について図13を用いて説明する。図13は、RAM74に記憶された位置情報74aの説明図である。位置情報74aは、ステップS540で境界位置Pに対応するリニアエンコーダ値を求める際に作成されRAM74に記憶される情報である。この位置情報74aには、各ノズル列43の往路方向及び復路方向の各ノズル列43における基準位置Pにインクが着弾すべき設計上のインク吐出位置に対応するリニアエンコーダ値(基準値)と、本ルーチンの検査により得られた基準位置Pに対する各ノズル列43の実測上のリニアエンコーダ値(実測値)とが含まれている。本実施例では、ノズル列43Yの位置に対応するリニアエンコーダ値に基づいてキャリッジ22のポジション管理を行うよう設定されているため、各ノズル列43同士の基準値は、ノズル列43Yからの間隔に相当する所定値(ここでは値5)ずつ異なる値になっている。また、各ノズル列43の往路と復路の基準値は、インクがキャリッジ22の移動方向に対して斜めに飛翔するため、所定値(ここでは値5)だけ異なる値になっている。そして、各ノズル列43において、基準値と実測値とが同じ値であれば印刷ヘッド24のインク吐出位置が設計上の位置からずれておらず、基準値と実測値とが異なる値であれば、その差分だけインク吐出位置が設計上の位置からずれていることがわかる。したがって、ここでは、リニア式エンコーダ25の実測値と基準値との差分値をとり、この差分値をインク吐出位置のずれとして把握する。このとき、図14に示すように、上側インク吸収体55のインクの着弾位置と印刷処理における記録紙Sの上面の着弾位置(高さ)とが異なるため、そのままの差分値を用いると印刷処理時に適切にずれを補正することができない。このため、ここでは、印刷ヘッド24から記録紙Sの上面までの距離と印刷ヘッド24から基準位置Pまでの距離との比に基づいてリニア式エンコーダ25の実測値と基準値との差分値を補正する。例えば、印刷ヘッド24から記録紙Sの上面までの距離が印刷ヘッド24から基準位置Pまでの距離の半分であるときには、差分値を半分に補正する。なお、図14は、往路方向の場合の説明図であるが、復路方向についても印刷ヘッド24から記録紙Sの上面までの距離と印刷ヘッド24から基準位置Pまでの距離との比に基づいて同様に補正する。
続いて、ステップS550のあと、CPU72は、各ノズル列間と各往路復路間の吐出タイミングを設定し(ステップS560)、結果をフラッシュメモリ75に保存してこのルーチンを終了する。ここでは、ステップS550で把握したインク吐出位置のずれとしてのリニア式エンコーダ25の実測値と基準値との補正後の差分値をインクの吐出タイミングの補正値として設定する。図15は、フラッシュメモリ75に記憶された基準位置Pからの吐出位置のずれを補正する吐出位置補正情報75aの説明図である。この吐出位置補正情報75aには、上述した補正後の差分値が格納されている。ここでは、印刷ヘッド24から記録紙Sの上面までの距離が印刷ヘッド24から基準位置Pまでの距離の半分である場合を示している。そして、印刷処理ルーチンでは、吐出位置補正情報75aを利用し、補正後のリニアエンコーダの差分値のキャリッジ22の移動(ずれ)に対応する時間を加味してインクを吐出するように吐出タイミングを設定する。つまり、ここでは、吐出位置補正情報75aを各ノズル列43のインク吐出タイミングとして設定し、フラッシュメモリ75に保存するのである。このように、インクの吐出位置を印刷ヘッド検査装置50を用いて各ノズル列43ごとのインクの吐出位置のずれ、及び往路・復路方向への移動時のインクの吐出位置のずれを把握し、各ノズル列43同士のインクの吐出位置やキャリッジ22の往路方向及び復路方向のインクの吐出位置をインク吐出タイミングを変えることにより基準位置Pに合うように補正する。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のインク受け領域52が本発明の印刷記録液受け領域に相当し、マスク回路47、圧電素子48、キャリッジベルト32及びキャリッジモータ34が印刷ヘッド駆動手段に相当し、電圧印加回路53が電位差発生手段に相当し、電圧検出回路54が電気的変化検出手段に相当し、CPU72が制御手段に相当する。また、本実施形態のインクが本発明の印刷記録液に相当し、記録紙Sが印刷媒体に相当し、リニア式エンコーダ25の基準値が境界位置に対して予め定められた基準位置に相当する。なお、本実施形態では、インクジェットプリンタ20の動作を説明することにより本発明の印刷ヘッド検査方法の一例も明らかにしている。また、第2領域52bを本発明の第1領域、第1領域52aを本発明の第2領域とみれば、復路方向への印刷ヘッド24の移動におけるインク受け領域52へのインク吐出を、本発明の「第1領域から第2領域にわたってインクを吐出」とみることもできる。
以上詳述した本実施形態のインクジェットプリンタ20によれば、印刷ヘッド24が主走査方向に移動しながら、帯電したインクをノズルより第1領域52aから第2領域52bへわたって吐出したときのインク受け領域52で生じる出力電圧を検出し、該検出した出力電圧に基づいて第1領域52aと第2領域52bとの境界位置Pに対するノズル23がインクを吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて印刷ヘッド24の移動時の吐出位置のずれを把握する。このときの出力電圧は、第1及び第2領域52a,52bの境界線を境にして異なる値になる。その理由は、帯電したインクがノズル23から第1領域52aに到達する過程で静電誘導によって生じる出力電圧と、帯電したインクがノズル23から第2領域52bに到達する過程で静電誘導によって生じる出力電圧とは、印刷ヘッド24−第1領域52a間に生じる電界強度と印刷ヘッド24−第2領域52b間に生じる電界強度とが異なることから、互いに異なった値となることにあると推測される。このため、インク受け領域52で検出された出力電圧に基づいて第1領域52aと第2領域52bとの境界位置Pに対する印刷ヘッド24のインクの吐出位置がわかり、この境界位置Pに対する吐出位置に基づいて、例えば、ノズル23の経年変化によりインクの飛翔方向が変化などして生じる印刷ヘッド24の移動時の吐出位置のずれを把握可能である。このように、インクを吐出したときに印刷ヘッド24の吐出位置のずれがわかるため、テストパターンを記録紙Sに形成させて印刷ヘッド24の吐出位置のずれを把握するものなどに比べ、印刷ヘッド24の移動時の吐出位置のずれをより迅速に把握することができる。また、テストパターンを記録紙Sに形成させて目視により印刷ヘッド24の吐出位置のずれを把握するものなどに比べ、印刷ヘッド24の移動時の吐出位置のずれをより正確に把握することができるし、記録紙Sの消費も低減することができる。また、CPU72が定期的にインクの吐出位置のずれを把握してインクの吐出位置を補正するため、ユーザが任意のタイミングでインクの吐出位置のずれの補正処理を実行させるものに比べて、インクの吐出位置のずれによって生じる印刷物の品質の低下を確実に抑制することができる。
また、電圧検出回路54により検出した出力電圧に基づいて各々のノズル列43の吐出位置同士のずれを把握するため、各々のノズル列43の吐出位置同士のずれをより迅速に把握することができる。また、電圧検出回路54により検出した出力電圧に基づいて往路方向と復路方向との印刷ヘッド24の移動中の吐出位置同士のずれを把握するため、往路印刷でのインクの吐出位置と復路印刷でのインクの吐出位置とのずれをより迅速に把握することができる。
更に、印刷ヘッド24の吐出位置のずれを利用してノズル23からインクを吐出するタイミングを設定するため、記録紙Sに印刷された画像のずれを抑制することができる。また、インク受け領域52は、プラテン44上の印刷可能領域に形成されているため、印刷可能領域に配置された記録紙Sの上を印刷ヘッド24が移動するのと同じ条件でインク受け領域52へインクを吐出可能であり、印刷状態に適した印刷ヘッド24のインク吐出位置のずれを把握することができる。更に、インク受け領域52は、表面に段差をなす第1領域52a及び第2領域52bとにより形成されているため、印刷ヘッド24−第1領域52a間の距離と印刷ヘッド24−第2領域52b間の距離とが互いに異なり、比較的簡易な構成で印刷ヘッド24−第1領域52a間の電界強度と印刷ヘッド24−第2領域52b間の電界強度とを異なる値とすることができる。更にまた、印刷ヘッド24からインクが正常に吐出するか否かの検査と印刷ヘッド24の吐出位置のずれを把握する検査とを同じインク受け領域52で実行可能であるため、新たなインク受け領域を設ける必要がない。そして、印刷ヘッド24とインク受け領域52との間に所定の電位差を発生させると共にノズル23から吐出する前のインクを帯電させる電圧印加回路53を備えているため、確実にインクの吐出による静電誘導を発生させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、段差が形成された上側インク吸収体55の表面の第1領域52aと第2領域52bとの境界位置Pを基準として印刷ヘッド24の移動時のインクの吐出位置を把握するとしたが、図16に示すように、所定の検査プレートのエッジを基準位置Pとしてインクの吐出位置を把握するとしてもよい。図16は、検査用プレート60を用いた印刷ヘッド検査装置150の説明図であり、(a)が検査用プレート60の説明図、(b)が(a)のA−A断面図である。なお、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。この検査用プレート60は、所定のサイズ(例えばA4サイズなど)に形成された樹脂製の平板であり、この検査用プレート60の先端部の中央近傍には搬送方向のインク受け領域152の奥行きよりも長い矩形状のスリット62が形成されている。このスリット62は、検査用プレート60の左端部を基準ガイドに沿って搬送すると、図15においてスリット62の右側のエッジである搬送側エッジ63が印刷ヘッド検査装置50の略中央を通過するよう形成されている。この搬送側エッジ63は、ノズル列43が配列する方向と平行になるように形成されている。また、上側インク吸収体55自体には段差が設けられていない。まず、検査用プレート60に形成されたスリット62が印刷ヘッド検査装置50の上方に来る位置に検査用プレート60を基準ガイドに対して平行に搬送する。検査用プレート60が配置されると、この検査用プレート60の上面と上側インク吸収体55の表面とにより段差が形成され、搬送側エッジ63を境界線(境界位置P)とし、検査用プレート60の上面がインク受け領域52のうちインク受け領域152の一部をなし、上側インク吸収体55の表面がインク受け領域52のうち第2領域152bをなす。このとき、境界位置Pとしての搬送側エッジ63の位置は、基準ガイドに沿って検査用プレート60が配置されたときのリニアエンコーダ値(基準値)として予め定められている。なお、インク受け領域152の一部をなす検査用プレート60は、例えばアースされた状態など、印刷ヘッド24と同電位になっている。この状態で、上述と同じように、往路方向及び復路方向に印刷ヘッド24を移動しながら各特定ノズル23Ysp,23Msp,23Csp,23Kspよりインクを吐出し、得られた出力電圧の切り替わりに基づいて境界位置Pに対応する実際のインク吐出位置としてのリニアエンコーダ値(実測値)を求める。なお、境界位置Pに対応する実際のインク吐出位置は、上述と同様に、インク滴が第1領域52aに吐出されたことを判別可能な閾値と、インク滴が第2領域52bに吐出されたことが判別可能な閾値とを用いて求める。そして、境界位置Pに対応する実測値と基準値との差分によって上述と同様に印刷ヘッド24の移動時のインク吐出位置のずれを把握する。こうすれば、検査用プレート60のエッジを利用して比較的容易にインク受け領域152を第1領域152aと第2領域152bとに分けることができる。また、検査用プレート60を印刷ヘッド検査装置150の上方に配置するか否かにより、容易にインク受け領域152を第1領域152aと第2領域152bとに分けるか否かを切り替えることができる。なお、検査用プレート60は、樹脂により形成されているとしたが、ガラス板、金属板などにより形成してもよいし、インク滴を吸収可能な材質の板状体(例えばスポンジなど)で形成してもよい。
あるいは、図17に示すように、記録紙Sの端部(ここでは左端部)を利用してインク受け領域252に段差を形成し、記録紙Sの上面と上側インク吸収体55の表面とを第1及び第2領域252a,252bとし、この記録紙Sの端部を基準位置Pとして印刷ヘッド24の移動時のインクの吐出位置のずれを把握してもよい。なお、記録紙Sは印刷ヘッド24と同電位とする。こうしても、印刷ヘッド24の移動時の吐出位置のずれをより迅速に把握することができる。あるいは、印刷ヘッド検査装置50の検査ボックス51の上面から上側インク吸収体55に至るエッジを利用してインク受け領域52に段差を形成し、検査ボックス51の上面と上側インク吸収体55の表面とを第1及び第2領域52a,52bとし、このエッジを基準位置Pとして印刷ヘッド24の移動時のインクの吐出位置のずれを把握してもよい。こうしても、印刷ヘッド24の移動時の吐出位置のずれをより迅速に把握することができる。あるいは、プラテン44から上側インク吸収体55に至るエッジを利用してインク受け領域52に段差を形成し、プラテン44の上面と上側インク吸収体55の表面とを第1及び第2領域52a,52bとし、このエッジを基準位置Pとして印刷ヘッド24の移動時のインクの吐出位置のずれを把握してもよい。こうしても、印刷ヘッド24の移動時の吐出位置のずれをより迅速に把握することができる。
上述した実施形態では、各ノズル列43間のインクの吐出位置がずれているときには、ノズル列43Y,43M,43C,43Kのインク吐出位置を基準位置Pに合わせるものとしたが、ノズル列43Y,43M,43C,43Kのうちいずれか1つのインク吐出位置を基準位置とし他の3色のノズル列を合わせるものとしてもよい。こうしても、各色のノズル列43間のインク吐出位置のずれは相対的になくなるため、各色のノズル列43からインクを吐出して得た画像のずれをなくして印刷物の画質低下を抑えることができる。また、上述した実施形態では、往路・復路間のインクの吐出位置がずれているときには、往路・復路間のインク吐出位置を基準位置Pに合わせるものとしたが、ノズル列43Y,43M,43C,43Kのうちいずれか1つの往路又は復路方向に移動時のインク吐出位置を基準位置としこの基準位置に他の3色のノズル列を合わせるものとしてもよい。例えば、ノズル列43Yの往路方向に移動したときの境界位置Pに対応するリニアエンコーダ値を基準値として、その他のノズル列43のインク吐出位置のリニアエンコーダ値をこの基準値に基づいて補正するのである。こうしても、往路・復路間のずれは相対的になくなるため、印刷物の画質低下を抑えることができる。
例えば、上述した実施形態では、ノズル列43に含まれるノズル23のうち1つの特定ノズル23spのインクの吐出位置のずれを把握し、これに合わせて、ノズル列43に含まれる他のノズル23のインク吐出タイミングを設定するとしたが、印刷ヘッド24の移動中のノズル列43に含まれるすべてのノズル23のインク吐出位置を求め、それぞれに対応するインクの吐出タイミングを設定してもよい。こうすれば、印刷ヘッド24の移動中のそれぞれのノズル23のインク吐出位置のずれを把握し、適切なインク吐出タイミングを設定することができる。
上述した実施形態では、メインルーチンのステップS170で吐出位置把握設定ルーチンを行うものとしたが、これに加えて又はこれに代えて、図18に示すヘッド傾き検査ルーチンを行ってもよい。図18は、ヘッド傾き検査ルーチンのフローチャートであり、図19は、印刷ヘッド24の移動中の傾きの説明図であり、(a)が往路方向への移動時、(b)が復路方向の移動時の説明図であり、図20は、印刷ヘッド24の傾き検査における境界位置Pに対応する実際のインク吐出位置を把握する説明図であり、図21は、印刷ヘッド24が傾いている際のインク吐出タイミングの設定の説明図である。ここで、図19に示すように、キャリッジモータ34によりキャリッジベルト32を介してキャリッジ22が移動するよう力を加えると、印刷ヘッド24が移動する際に傾く場合がある。この処理は、移動中の印刷ヘッド24の傾きを把握し、この印刷ヘッド24の傾きによる画像の品質低下を抑制するものである。具体的には、メインルーチンでROM73に記憶されたヘッド傾き検査ルーチンを実行し、このヘッド傾き検査ルーチンのステップS605でインクを吐出するノズルとして第1特定ノズル23sp1(例えばn=1のノズル23Y)を設定し、上述した吐出位置把握設定ルーチンのステップS400〜S510と同様の処理をステップS600〜710で行う。すなわち、ノズル23のうち第1特定ノズル23Ysp1(n=1)を用いて、印刷ヘッド24が主走査方向のうち往路方向に移動しながら、帯電したインクを第1領域52aから第2領域52bへわたって吐出させたときのインク受け領域52で生じる出力電圧を電圧検出回路54によって検出したあと、印刷ヘッド24が主走査方向のうち復路方向に移動しながら、帯電したインクを第2領域52bから第1領域52aへわたって吐出させたときのインク受け領域52で生じる出力電圧を電圧検出回路54によって検出する。そして、ステップS710ですべての特定ノズルで上述した処理を行っていないときには、CPU72は、インクを吐出するノズルを第1特定ノズル23sp1と異なる第2特定ノズル23sp2(例えばn=180のノズル23Y)に変更し(ステップS720)、ステップS600〜710の処理を行う。すなわち、ノズル23のうち第2特定ノズル23Ysp2(n=180)を用いて、印刷ヘッド24が主走査方向のうち往路方向に移動しながら、帯電したインクを第1領域52aから第2領域52bへわたって吐出させたときのインク受け領域52で生じる出力電圧を電圧検出回路54によって検出したあと、印刷ヘッド24が主走査方向のうち復路方向に移動しながら、帯電したインクを第2領域52bから第1領域52aへわたって吐出させたときのインク受け領域52で生じる出力電圧を電圧検出回路54によって検出する。続いて、CPU72は、電圧印加回路53のスイッチSWをオフし(ステップS730)、出力電圧の切り替わりに基づいて境界位置Pに対応するインク吐出位置を求める(ステップS740)。ここで、印刷ヘッド24が往路方向に移動中に、第1特定ノズル23Ysp1(n=1)から吐出したインク滴が第2領域52bに着弾したと判定されたあと(図20(a))、吐出したインク滴が第1領域52aに着弾したと判定されたときには(図20(b))、この後者の位置(リニアエンコーダ値)を境界位置Pに対応する位置として記憶する。同様に、復路方向へ移動させた際の第1特定ノズル23Ysp1(n=1)の境界位置Pに対応するインク吐出位置を求める。そして、第2特定ノズル23Ysp2(n=180)から吐出したインク滴が第1領域52aに着弾したと判定されたあと(図20(c))、吐出したインク滴が第2領域52bに着弾したと判定されたときには(図20(d))、この後者の位置を境界位置Pに対応する位置として記憶する。同様に、復路方向へ移動させた際の第2特定ノズル23Ysp2(n=180)の境界位置Pに対応するインク吐出位置を求める。そして、CPU72は、これら境界位置Pに対応するインク吐出位置に基づいて移動中の印刷ヘッド24の傾きについて把握する(ステップS750)。ここで、第1領域52aと第2領域52bとの境界線がノズル列43が並ぶ方向に平行となるよう形成されていることから、第1特定ノズル23Ysp1のインク吐出位置と第2特定ノズル23Ysp2のインク吐出位置が同じリニアエンコーダ値であるときには、移動中の印刷ヘッド24が傾いていないことがわかり、第1特定ノズル23Ysp1のインク吐出位置と第2特定ノズル23Ysp2のインク吐出位置とが異なるリニアエンコーダ値であるときには、移動中の印刷ヘッド24が傾いていることがわかる。更に、それぞれの境界位置Pに対応するインク吐出位置のリニアエンコーダ値の差を底辺とし、第1特定ノズル23Ysp1と第2特定ノズル23Ysp2との距離を斜辺とする直角三角形を用いて印刷ヘッド24の傾斜角θを求める。こうすれば、テストパターンを記録紙Sに形成して印刷ヘッド24の傾きを把握するものに比べて主走査方向に移動しているときの印刷ヘッド24の傾きをより迅速に把握することができる。続いて、CPU72は、把握した印刷ヘッド24の傾きに基づいて各ノズル23のインク吐出タイミングを設定する(ステップS760)。ここでは、印刷ヘッド24の傾斜角θとインク吐出タイミングとの関係が予め経験的に求められており、この関係を利用してインクの吐出タイミングを定めるものとした。図21に示すように、傾斜角θに応じた時間差を加味することにより、各ノズル23のインク吐出タイミングを設定する。例えば、印刷ヘッド24が主走査方向に移動する際に、インク吐出の遅れが大きくなるほど(ここではn=1側になるほど)インクの吐出タイミングが遅くなるようインクの吐出タイミングを設定する。こうすれば、移動中の印刷ヘッド24の傾きによる印刷物の品質低下を比較的容易に抑制することができる。なお、ここでは、CPU72は、印刷ヘッド24の傾斜角θに基づいてインク吐出タイミングを設定するとしたが、これに代えて、印刷ヘッド24が傾いている旨のメッセージ及び印刷ヘッド24の傾斜角θなどの情報を図示しない操作パネルのディスプレイに表示させてもよい。この表示を見たオペレータが、表示された印刷ヘッド24の傾斜角θに基づいて、例えばネジやレバーの位置などを操作することにより傾きを調節可能な、キャリッジ22に設けられた図示しない傾き調節機構を用いて印刷ヘッド24の傾きを調節してもよい。また、ここでは、第1特定ノズル23sp1と第2特定ノズル23sp2とはノズル列43Yのノズル23Y(n=1,180)としたが、他のノズル列43のものでもよいし、ノズル番号nを任意に定めてもよい。このとき、予め設定した第1特定ノズル23sp1と第2特定ノズル23sp2との設計上の位置関係(例えば2つのノズルを結ぶ基準線など)に基づいて印刷ヘッド24の傾きを把握するようにすればよい。ただし、第1及び第2特定ノズル23sp1,sp2同士の間隔が大きい方が印刷ヘッド24の移動中の傾きを求める精度の観点からは好ましい。更に、2以上の特定ノズルを用いて印刷ヘッド24の傾きを求めてもよい。こうすれば、印刷ヘッド24の傾きを求める精度をより高めることができる。
上述した実施形態では、メインルーチンのステップS160で所定のタイミングを経過したときに吐出位置把握設定ルーチンを実行するものとしたが、印刷待ちデータがあるときには必ず吐出位置把握設定ルーチンを実行するものとしてもよいし、インクジェットプリンタ20の電源オフ時に吐出位置把握設定ルーチンを実行するものとしてもよいし、ユーザからの実行指示により任意のタイミングで実行するものとしてもよい。あるいは、インクジェットプリンタ20の出荷前検査のとき吐出位置把握設定ルーチンを実行するとしてもよい。こうすれば、ユーザがインクジェットプリンタ20を入手したときに既にインク吐出位置のずれが修正された状態で使用することができる。また、インク吐出検査ルーチンの実行タイミングを、例えば、キャリッジ22の移動回数が所定回数に達するごと(例えば100パスごとなど)に設定してもよいし、所定のインターバルごと(例えば1日ごとや1週間ごとなど)に設定してもよいし、ユーザからの実行指示により任意のタイミングで実行するものとしてもよい。また、上述のメインルーチンからインク吐出検査ルーチンを省略してもよい。
上述した実施例では、上側インク吸収体55及び下側インク吸収体56を用いたインク受け領域52としたが、これらは必ずしも必須ではなく、少なくとも印刷ヘッド24との間に電位差を発生可能であり、インク滴の吐出により生じる電圧を検出可能な電極部材57を備え、インクの流出を防止可能な構成とすればよい。このとき、電極部材57に直接インク滴を着弾させる構成としてもよい。また、インク受け領域52にインク吸収材を設ける場合、インクの固形成分の透過性のよいものが好ましい。また、電極部材57により印刷ヘッド24との間に所定の電位差が生成されるため、上側インク吸収体55は、導電性を有しない材料で形成し液体に濡れることにより導電性を持つようにしてもよいし、インク吸収体自体が乾燥した状態で絶縁性の状態のまま検査を行ってもよい。
上述した実施形態では、印刷ヘッド検査装置50は、プラテン44の印刷可能領域に配置されているとしたが、これとは別の印刷ヘッド検査装置50をプラテン44の印刷可能領域外に設けてもよい。印刷可能領域外としては、例えば、フラッシング領域42の近傍や、フラッシング領域42内部、キャップ装置40の内部などが挙げられる。これらの場合、これら印刷ヘッド検査装置50を配置する場所のインクを受ける領域に電極部材57を設ける。こうすれば、印刷する記録紙Sがプラテン44上に配置されているとき、つまり、印刷処理が実行されているときにインク吐出検査を行うことができるし、上側インク吸収体55の表面への固形物の堆積の分散を図ることができる。特にキャップ装置40の内部に印刷ヘッド検査装置50を設けた場合、印刷ヘッド24とインク受け領域52とを近接させることが可能であるので、検出精度の点で好ましいし、また印刷ヘッド24を移動させることなくホームポジション位置のままでインク吐出検査及びクリーニング処理を実行可能となる。
上述した実施形態では、インクジェット方式を採用したフルカラーのインクジェットプリンタ20としたが、スキャナを搭載したマルチファンクションプリンタとしてもよいし、FAX機やコピー機などの複合印刷装置としてもよい。
インクジェットプリンタ20の構成の概略を示す構成図である。 印刷ヘッド24の説明図である。 紙送り機構31の説明図である。 印刷ヘッド検査装置50の構成の概略を示す構成図である。 メインルーチンのフローチャートである。 インク吐出検査ルーチンのフローチャートである。 インク吐出検査処理における検査位置の説明図である。 静電誘導によって誘導電圧が生じる原理の説明図である。 印刷処理ルーチンのフローチャートである。 吐出位置把握設定ルーチンのフローチャートである。 往路方向の境界位置Pに対応するインク吐出位置を求める概念図である。 復路方向の境界位置Pに対応するインク吐出位置を求める概念図である。 RAM74に記憶された位置情報74aの説明図である。 インクの吐出位置を記録紙S上の基準位置Pに補正する説明図である。 吐出位置のずれを補正する吐出位置補正情報75aの説明図である。 検査用プレート60を用いた印刷ヘッド検査装置150の説明図である。 記録紙Sの端部を用いた印刷ヘッド検査装置150の説明図である。 ヘッド傾き検査ルーチンのフローチャートである。 印刷ヘッド24の移動中の傾きの説明図である。 傾き検査での境界位置Pに対応する吐出位置を求める説明図である。 印刷ヘッド24の傾斜時の吐出タイミングを設定する説明図である。
符号の説明
10 ユーザPC、14 給紙トレイ、18 記録紙挿入口、20 インクジェットプリンタ、21 プリンタ機構、22 キャリッジ、23,23Y,23M,23C,23K ノズル、23sp 特定ノズル、23Ysp1 第1特定ノズル、23Ysp2 第2特定ノズル、24 印刷ヘッド、25 リニア式エンコーダ、26 インクカートリッジ、28 ガイド、31 紙送り機構、32 キャリッジベルト、33 駆動モータ、34 キャリッジモータ、35 紙送りローラ、36 給紙ローラ、37 排紙ローラ、40 キャップ装置、42 フラッシング領域、43,43Y,43M,43C,43K ノズル列、44 プラテン、47 マスク回路、48 圧電素子、50,150 印刷ヘッド検査装置、51 検査ボックス、52,152,252 インク受け領域、52a,152a,252a 第1領域、52b,152b,252b 第2領域、53 電圧印加回路、54 電圧検出回路、54a 積分回路、54b 反転増幅回路、54c A/D変換回路、55 上側インク吸収体、56 下側インク吸収体、57 電極部材、60 検査用プレート、62 スリット、63 搬送側エッジ、70 コントローラ、72 CPU、73 ROM、74 RAM、74a 位置情報、75 フラッシュメモリ、75a 吐出位置補正情報、79 インタフェース(I/F)。

Claims (13)

  1. 複数のノズルから印刷記録液を印刷媒体へ吐出する印刷ヘッドと、
    前記ノズルから吐出した前記印刷記録液を受けることが可能であり前記印刷ヘッドとの間に生じる電界強度が互いに異なる第1及び第2領域に分けられた印刷記録液受け領域と、
    前記印刷ヘッドを所定の主走査方向に移動可能であり前記ノズルから前記印刷記録液を吐出させる印刷ヘッド駆動手段と、
    前記印刷記録液受け領域での電気的変化を検出する電気的変化検出手段と、
    前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、該検出した電気的変化に基づいて前記第1領域と前記第2領域との境界位置に対する前記ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれを把握する制御手段と、
    を備えた画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、前記境界位置に対して予め定められた前記ノズルの基準位置と前記電気的変化に基づいて求めた吐出位置との差を前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれとして把握する、
    請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記印刷ヘッドは、前記複数のノズルを配列し各色の前記印刷記録液を吐出する1以上のノズル列を備え、
    前記制御手段は、前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を各々の前記ノズル列のノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、該検出した電気的変化に基づいて前記境界位置に対する前記ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて各々の前記ノズル列の吐出位置同士のずれを前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれとして把握する、
    請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記印刷ヘッド駆動手段は、前記印刷ヘッドを前記主走査方向のうち往路方向へ移動する際に前記ノズルから前記印刷記録液を吐出させると共に前記印刷ヘッドを前記主走査方向のうち復路方向へ移動する際に前記ノズルから前記印刷記録液を吐出させ、
    前記制御手段は、前記印刷ヘッドが前記往路方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出すると共に、前記印刷ヘッドが前記復路方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルより前記第2領域から前記第1領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、該検出した電気的変化に基づいて前記境界位置に対する前記ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて前記往路方向への前記印刷ヘッドの移動中の吐出位置と前記復路方向への前記印刷ヘッドの移動中の吐出位置とのずれを前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれとして把握する、
    請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記制御手段は、前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルのうち第1特定ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルのうち前記第1特定ノズルと異なる第2特定ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を前記電気的変化検出手段によって検出し、該検出した電気的変化に基づいて前記境界位置に対する前記第1及び第2特定ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置をそれぞれ求め、該第1及び第2特定ノズルの吐出位置に基づいて前記主走査方向に移動しているときの前記印刷ヘッドの傾きを前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれとして把握する、
    請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記制御手段は、前記把握した印刷ヘッドの吐出位置のずれを利用して前記ノズルから前記印刷記録液を吐出するタイミングを設定する、
    請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 前記印刷記録液受け領域は、プラテン上の印刷可能領域に形成されている、
    請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記印刷記録液受け領域は、表面に段差を有し、該段差をなす上段面及び下段面の一方が前記第1領域であり、該段差をなす上段面及び下段面のもう一方が前記第2領域である、
    請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記印刷記録液受け領域は、所定の検査用プレートのエッジによって前記第1領域と前記第2領域とに分けられ、該検査用プレートの一部の面及び該検査用プレートに覆われていない面の一方が前記第1領域であり、該検査用プレートの一部の面及び該検査用プレートに覆われていない面のもう一方が前記第2領域である、
    請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 前記制御手段は、前記印刷ヘッドの複数のノズルの各々について、前記印刷記録液が前記印刷記録液受け領域へ向かって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御したときの前記電気的変化検出手段の検出結果に基づいて前記ノズルから前記印刷記録液が正常に吐出するか否かの検査を行う、
    請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置であって、
    前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に所定の電位差を発生させると共に前記ノズルから吐出する前の印刷記録液を帯電させる電位差発生手段、を備え、
    前記電位差発生手段は、前記印刷記録液を前記第1領域から前記第2領域にわたって吐出するよう前記印刷ヘッド駆動手段を制御する際には、前記印刷ヘッドと前記印刷記録液受け領域との間に前記所定の電位差を発生させると共に前記ノズルから吐出する前の印刷記録液を帯電させる、
    画像形成装置。
  12. 複数のノズルから印刷記録液を印刷媒体へ吐出する印刷ヘッドを、前記ノズルから吐出した前記印刷記録液を受けることが可能であり前記印刷ヘッドとの間に生じる電界強度が互いに異なる第1及び第2領域に分けられた印刷記録液受け領域を利用して検査する印刷ヘッド検査方法であって、
    (a)前記印刷ヘッドが前記主走査方向に移動しながら、帯電した前記印刷記録液を前記ノズルより前記第1領域から前記第2領域へわたって吐出したときの前記印刷記録液受け領域で生じる電気的変化を検出するステップと、
    (b)前記ステップ(a)で検出した電気的変化に基づいて前記第1領域と前記第2領域との境界位置に対する前記ノズルが前記印刷記録液を吐出した吐出位置を求め、該吐出位置に基づいて前記印刷ヘッドの移動時の吐出位置のずれを把握するステップと、
    を含む印刷ヘッド検査方法。
  13. 請求項12に記載の印刷ヘッド検査方法の各ステップを1以上のコンピュータに実行させるためのプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016193538A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 ブラザー工業株式会社 インクジェットプリンタおよび位置情報管理方法

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