JP2007107156A - 血流促進効果を有する布帛及びそれを用いた繊維製品 - Google Patents

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Abstract


【課題】着用時に血流促進効果、それによるあたたか効果を与えることを特徴とする布帛及びそれを用いた繊維製品を提供すること。また、その洗濯耐久性を備えた布帛及びそれを用いた繊維製品を提供すること。
【解決手段】布帛表面に、粒径10μm以下の、酸化ゲルマニウム微粒子と珪酸ジルコニウム微粒子とを付着させたことを特徴とする布帛及びそれを用いた繊維製品。酸化ゲルマニウム微粒子と珪酸ジルコニウム微粒子との比率が、1:10〜1:7であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維製品として用いた場合に血流促進効果を有し、それによりあたたか効果を発揮する布帛に関し、特に、衣服裏地等に好適に用いられる布帛に関する。
また、上記布帛を用いた繊維製品に関する。
近年、特殊な糸である先練糸を用いて織り上げたもの(例えば、チオクリーン オーミケンシ(株)製)で、血流促進効果を得るものが開発されている。
しかしながら、先練り糸は主に合成繊維であり、その技術は天然繊維に応用することは難しく、用途が限定される。
また、先練り糸を用いて織編を行なう場合に、前もって織編のデザインを決定する必要があり、顧客の多様なニーズに柔軟に対応できないと同時に、顧客から発注をもらってから納品までの工程期間が長くなる。
例えば、シャツ地やふとんカバー地等、天然繊維100%素材の場合は、先練り糸では対応が困難で、その他、先練り糸使いの織編品の場合でも、約2ケ月の工程期間が必要である。
一方、生地への後加工による付与方法では、天然・合成繊維の如何を問わずあらゆる生地への対応が可能であると同時に、工程期間も最短で1日での納品が可能であるため、顧客の多様なニーズに対応することができる。
そのため、ファッションおよびニーズの多様化が望まれる現代においては、いかなる布帛においても付与でき、かつ短納期である加工方法の開発が望まれていた。
生地に後加工で付与する方法としては、磁性体鉱物やセラミックス微粒子をバインダーを使って生地に付着する方法がある。(特許文献1及び2参照)
しかしながら、これらの方法では、生地が限定される、その効果が不十分である、剥離紙を用いる方法では工程が煩雑である等の問題があり、満足のいくものではなかった。
特許第2904726号 特許第3193653号
本発明は、これら問題点を解決するものであって、その目的は、ファッションの多様化のニーズに十分に応え得る、血流促進効果を有し、それによりあたたか効果を有する布帛及びそれを用いた繊維製品を提供することにある。
本発明の目的は、布帛表面に、粒径10μm以下の、酸化ゲルマニウム微粒子と珪酸ジルコニウム微粒子とを付着させたことを特徴とする布帛によって達成される。
更に本発明の目的は、酸化ゲルマニウムと珪酸ジルコニウムとの比率が、1:10〜1:1であることを特徴とする布帛によって達成される。
また本発明の目的は、上記ような布帛を用いた繊維製品によって達成される。
本発明により、血流促進効果を有し、それによりあたたか効果を有する布帛を提供することができる。
また、洗濯耐久性を兼ね備えた布帛を提供することができる。
また、本発明の布帛を用いることにより、ファッションの多様化のニーズや短納期に十分応え得る、血流促進効果、それによるあたたか効果を有する繊維製品を得ることができる。よって、ズボン、下着等の肌に直接触れる衣類やシーツ、布団カバー等の寝具類、ベルトの裏地等の繊維製品として使用したとき、血流促進効果、それによるあたたか効果を得ることができる。また、洗濯等により、血流促進効果、それによるあたたか効果の低下がない。
本発明の布帛は、布帛表面に、粒径10μm以下であり、血流促進効果を有する微粒子を付着させたことを特徴とする布帛である。
まず、本発明においては、粒径が10μm以下の微粒子を用いるものであり、好ましくは1〜10μmの微粒子である。
粒径が1〜10μmであれば、繊維に付着させる主たる方法のひとつであるプリント法を用いる時に、メッシュが詰まる可能性が低くなるため、操業安定性が良く、また、微粒子単体が肉眼では見え無い為、布帛のファッション性を損なわない。また、大部分の繊維径よりも小さい為に繊維1本1本の間に微粒子が入り込み、微粒子が繊維に接触する面積が大きくなり、布帛への微粒子付着、更に洗濯等に対する耐久性に優れる。
また、微粒子の形状は、球状が好ましいが、球状以外のものでもよい。
このような微粒子は、酸化ゲルマニウムと珪酸ジルコニウムとの組み合わせであり、その比率は、好ましくは1:10〜1:1、より好ましくは1:10〜1:7である。
また、このような微粒子は、法規制以下の放射性濃度であり、使用届出不要物質であることが生産管理を簡易にする為にも望ましい。
本発明において、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等の微粒子を固定する性能を有するものを併用すると好適である。
また、染料を併用することが望ましい。
本発明の布帛は、織物、編物、不織布、いずれの形態でもよい。
また、用いられる繊維は、綿、絹、羊毛等の天然繊維、または合成繊維等が挙げられ、単一繊維で構成される布帛の他、これらの糸が交織編されてなる織編物、これら繊維の混繊糸や引き揃え糸からなる織編物、これらの繊維が混綿されてなる不織布等が使用できる。
上記微粒子の布帛への付着方法は、コーティング法、プリント法、噴霧法等が挙げられ、好ましくはプリント法である。
具体的には、微粒子0.5〜10%owsの水溶液を用いて、前述の方法で布帛に付与することが好ましく、操業性および生産性を損なわない濃度が好ましい。
微粒子の布帛への好ましい付着量は、課題を解決する範囲内であればよいが、用いる微粒子が酸化ゲルマニウム:珪酸ジルコニウム=1:9の場合、布帛に付着させる微粒子は、布帛に対し好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは0.5〜1.5質量%である
ことが望ましい。
また、微粒子付与を視覚的に確認することが、品質管理の点で好ましい。具体的には、走査型電子顕微鏡で布帛表面を拡大し、確認する方法、もしくは、微粒子に特異的に反応する指示薬を布帛表面に滴下し、色変化を視覚的に確認する方法等がある。
本発明の布帛において、例えば、布帛を腹部に装着した場合、装着45分後の血流促進効果は、装着前に比べ、血流量が2割以上増加していることが好適である。
以上に述べた微粒子を付着させた布帛を、通常行われている方法にて種々の繊維製品とする。このような繊維製品としては、ズボン、シャツ、下着、衣服の裏地、布団カバー、シーツ、ベルト裏地等が挙げられる。
次に、本発明の実施例を示すが、これによって本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
経が綿20番手、織密度118本/2.54cm、緯が綿10番手、織密度52本/2.54cmの綾織物を常法により、精錬、晒、シルケット、染色の前工程の後、樹脂加工を行った。
アクリル樹脂(A1387(三井化学(株)製)63質量%(以下、%と記す)、GH35E(大原パラジウム化学(株)製)20%)、酸化ゲルマニウム/珪酸ジルコニウム微粒子(粒径0.2〜0.3μm、混合比率1:9、30%スラリー液、GZS30(トーコーテクノ(株)製))10%、増粘剤(REDUCER CONC(大日本インキ化学工業(株)製))7%を含む処理液を綿織物にプリント後、90℃×1分間の乾燥を行なった。
得られた布帛には、布帛に対し、酸化ゲルマニウム/珪酸ジルコニウム微粒子が 0.8%付着していた。
[実施例2]
実施例1に用いた綾織物を用い、実施例1と同様の前工程を行った後、樹脂加工を行った。
エマルジョン(カネポンC−ENF(大日本インキ化学工業(株)製))43%、バインダー(バインダーEDC−705(大日精化工業(株)製))41%、フィックス剤(リュウダイFIXER185(大日本インキ化学工業(株)製))2%、酸化ゲルマニウム/珪酸ジルコニウム微粒子(粒径0.2〜0.3μm、混合比率1:9、30%スラリー液、GZS30(トーコーテクノ(株)製))10%、増粘剤(REDUCER CONC(大日本インキ化学工業(株)製))4%を含む処理液を綿織物にプリント後、90℃×1分間の乾燥を行なった。
得られた布帛には、布帛に対し、酸化ゲルマニウム/珪酸ジルコニウム微粒子が0.8%付着していた。
[比較例1]
実施例1に用いた綾織物を用い、実施例1と同様の前工程を行った後、樹脂加工を行った。加工樹脂として、アクリル樹脂(A1387(三井化学(株)製)63%、GH35E(大原パラジウム化学(株)製))20%、増粘剤(REDUCER CONC(大日本インキ化学工業(株)製))7%、水10%を用い、これらを含む処理液を綿織物にプリント後、90℃×1分間の乾燥を行なった。
実施例1及び実施例2で得られた布帛それぞれについて、洗剤(アタック(花王(株)
製))を用いて、それぞれ10回、20回、30回洗濯を行なった。
このようにして得られた布帛を用いて各測定を行なった。
[電子顕微鏡による測定]
実施例1と実施例2の布帛の電子顕微鏡測定を行ない、単位面積あたりの微粒子残留塊をカウントし、下記5段階評価を行なった。
洗濯0回のものに対し、95%以上残存している場合には評価5、90%以上95%未満残存してい場合には評価4、85%以上90%未満残存している場合には評価3、80%以上85%未満残存している場合には評価2、75%以上80%未満残存している場合には評価1とした。
その結果、表1のとおり、実施例1、実施例2の布帛共に洗濯耐久性を有することがわかった。
Figure 2007107156
[ゲルマニウム残留測定]
蛍光X線分析装置((株)島津製作所製)を用いて、ジルコニウムの洗濯耐久性に関する測定を行なった。
その結果、表2のとおり、実施例1及び実施例2の布帛は、洗濯0回のジルコニウム量を100とすると、洗濯処理30回後において約85%の残留性能があった。
Figure 2007107156
[血流促進効果確認]
実施例1及び比較例1それぞれの幅30cmの布帛を腹部に巻きつけ、巻きつけた直後と45分後に、それぞれ3分間、血流センサー((株)エイエムアイ・テクノ社製)及びレーザー血流計((株)アドバンス製)を用いて、血液量、血流速度、血流量の測定を行ない、3分間平均値の比較を行なった。その結果、実施例1の布帛を巻きつけた45分後のそれぞれの値は、巻きつけ直後のそれぞれの値に比べ、血液量で1.4倍、血流速度で1.6倍、血流量で2.2倍、それぞれ上昇した。一方で、比較例1のそれぞれの値はあまり大きな変化が見られなかった。(図1、2、3参照)
[血液さらさら測定]
実施例1及び比較例1それぞれの幅30cmの布帛を腹部に巻きつけ、巻きつけた直後と45分後にそれぞれ中指から血液を採取し赤血球の観察を行なった。
その結果、実施例1の布帛が比較例1の布帛に比べ、赤血球の凝集が少なかった。
[サーモビューア試験]
以下の方法で実施した。
(1)20℃、65%の条件下で5分間、心臓の位置とほぼ同じ高さに、腕と手をリラックスして伸ばし、安静にした。
(2)3cm×10cmの実施例1又は比較例1の布帛を左腕前腕部にそれぞれ巻きつけ、0分後、5分後、10分後の手甲部皮膚表面温度の変化をサーモビューアにより分析した。
その結果、巻きつけ5分後もしくは10分後において、実施例1の布帛が比較例1の布帛に比べ、手甲部表面温度が上昇していた(図4参照)。
本発明は、血流促進効果を有し、それによりあたたか効果を有する、布帛組織に左右されない布帛を短納期に提供することができ、特に、ズボン、シャツ、下着、衣服の裏地、布団カバー、シーツ、ベルト裏地等の繊維製品として好適なものが得られる。
実施例1及び比較例1の布帛を装着した場合の血液量の変化を示すグラフ。 実施例1及び比較例1の布帛を装着した場合の血流速度の変化を示すグラフ。 実施例1及び比較例1の布帛を装着した場合の血流量の変化を示すグラフ。 実施例1及び比較例1の布帛を装着した場合の手甲部の温度変化を示す図。

Claims (3)

  1. 布帛表面に、粒径10μm以下の、酸化ゲルマニウム微粒子と珪酸ジルコニウム微粒子とを付着させたことを特徴とする布帛。
  2. 酸化ゲルマニウムと珪酸ジルコニウムとの比率が、1:10〜1:1であることを特徴とする請求項1記載の布帛。
  3. 請求項1又は2に記載の布帛を用いたことを特徴とする繊維製品。

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