JP2004149465A - 貼付剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】人体の所望の位置に貼付され、薬剤部と、該薬剤部が塗布される布部とによって構成される貼付剤において、前記薬剤部は、所定の放射線量を発する放射線物質を含有することにある。前記所定の放射線量は、線量当量0.01〜0.02マイクロシーベルト/時間であることが望ましい。また、前記放射性物質がγ線又はβ線のみを発する場合には、前記所定の放射線量は、吸収線量0.01マイクログレイ〜0.02マイクログレイ/時間であることが望ましく、前記放射性物質がα線を発する場合には、前記所定の放射線量は、吸収線量0.001マイクログレイ〜0.002マイクログレイ/時間であることが望ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、自発痛、放散痛、運動痛、痺れ感、突っ張り感、筋緊張、圧痛等の症状がある場合に、症状を和らげるために、その個所に貼付する貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1は、基材の湿布薬を塗布した湿布において、基材の湿布薬が塗布されていない面に、遠赤外線を輻射する素子を設けることを開示する。
【0003】
特許文献2は、メリヤス布地に温泉成分を浸み込ませた素肌密着布を開示する。また、この特許文献2は、温泉には、イオン、塩類、ガス、鉱物、放射性元素等の形態をした多種類の成分が含まれていることを開示する。具体的には、所定の濃度の温泉成分(CO2、H2S、CaSO4、Al2(SO4)6、MgSO4、Na2SO4、NaHCO3、NaCl、HCO3 −、Ca2+、Mg2+、Ra、Rn等)が1種類以上含有された温泉を用意し、所定温度に設定したこの温泉にメリヤス布地を所定時間浸漬し、ミセル間隙等を介して繊維内にイオン等を拡散させると共に、繊維表面に結晶、鉱物等を付着させ、この布地を所定濃度の付着力強化剤溶液に初手時間浸漬した後乾燥させて、浸漬処理布地を形成するものである。また、このように構成された素肌密着布を着用する場合、温泉成分のRa、Rnより所定量の放射線エネルギが放射されることを開示する。
【0004】
非特許文献1には、少ない放射線(5〜10センチグレイ)によって白血球の働きが逆に高まるという現象が報告され、生体を構成している細胞の中のさまざまな酵素の中には、少量の放射線によってその活性が高まるものがあることが最近の研究でわかってきたことが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
実開昭63−103648号公報
【特許文献2】
登録実用新案第3072149号公報
【非特許文献1】
新しい放射線の知識を学ぶ会、「生命と放射線−ホルミシスってなぁに?」、(社)日本電気協会新聞部、1998年12月25日発行,P.15−16
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1で開示される湿布では、遠赤外線を輻射する素子が湿布薬が塗布されてない面、つまり貼付面の反対側に接着されることから、素子から輻射させる遠赤外線の効果が薄くなるという問題点を有する。
【0007】
また、特許文献2で開示される素肌密着布において、特に、ラジウム(Ra)、ラドン(Rn)の濃度は、浸漬時間によって制御されるが、有効な範囲の放射線を得ることが難しく、規定以上の放射線に長時間さらされるという問題点が生じる。このため、人体に与える放射線量を適量に設定することが必要である。
【0008】
したがって、この発明は、適量の放射線を人体に与えることのできる貼付剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
よって、この発明は、人体の所望の位置に貼付され、薬剤部と、該薬剤部が塗布される布部とによって構成される貼付剤において、前記薬剤部は、所定の放射線量を発する放射線物質を含有することにある。
【0010】
また、前記所定の放射線量は、線量当量0.01〜0.02マイクロシーベルト/時間であることが望ましい。これにより、年間放射線量が、0.087ミリシーベルト〜0.1752ミリシーベルトとなり、年間の一般公衆の年限度に達することがなく、安全であると共に、放射線による効果を得ることができるものである。
【0011】
また、前記放射性物質がγ線又はβ線のみを発する場合には、前記所定の放射線量は、吸収線量0.01マイクログレイ〜0.02マイクログレイ/時間であることが望ましく、前記放射性物質がα線を発する場合には、前記所定の放射線量は、吸収線量0.001マイクログレイ〜0.002マイクログレイ/時間であることが望ましい。
【0012】
さらに、前記放射性物質は、薬剤部を構成する粘着ゲル内に所定の割合で含有されることが望ましい。
【0013】
また、前記放射線物質としては、炭素14、カリウム40、ナトリウム24、ラドン222、ラジウム226であることが望ましく、さらに、ウラン238、トリウム234、プロトアクチウム234、ウラン234、ポロニウム218、ビスマス210、ポロニウム210、ウラン235、ストロンチウム90、ヨウ素131、セシウム137、コバルト60、プルトニウム239であっても良い。
【0014】
さらにまた、花崗岩等の地中の深いところで固まった火成岩等の岩石、放射性元素を含有した鉱石、例えばフェルゲソン鉱石、モグサイト、珪酸ジルコニューム、及びチタン鉱石あることが望ましい。また、酸化チタンを製造するために使用していたチタン鉱石の残渣であり、マレーシア産のチタン鉱石に含まれていたモナズ石を用いても良い。このモナズ石には自然のウラン及びトリウムが含まれる。
【0015】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1で示すように、本願発明に係る貼付剤1は、綿等からなるシート2と、このシート2に固着されると共に、皮膚に接着される粘着ゲル部3とによって構成される。この粘着ゲル部3には、放射性物質4を所定の割合で含有している。
【0017】
この放射性物質4としては、炭素14、カリウム40、ナトリウム24、ラドン222、ラジウム226、ウラン238、トリウム234、プロトアクチウム234、ウラン234、ポロニウム218、ビスマス210、ポロニウム210、ウラン235、ストロンチウム90、ヨウ素131、セシウム137、コバルト60、プルトニウム239があるが、適量な放射線を得るためには、炭素14、カリウム14、ナトリウム24等が望ましく、また、温泉成分として抽出することができるラドン222、ラジウム226が望ましい。
【0018】
また、花崗岩等の地中の深いところで固まった火成岩等の粒子でも良い。さらに、放射性元素を含有した鉱石、例えば、トルマリン、フェルゲソン鉱石、モグサイト、珪酸ジルコニューム、チタン鉱石あることが望ましい。また、酸化チタンを製造するために使用していたチタン鉱石の残渣であり、マレーシア産のチタン鉱石に含まれていたモナズ石を用いても良い。このモナズ石には自然のウラン及びトリウムが含まれる。
【0019】
(実施例1)
350ベクレル(Bq)以下のフェルゲゾン鉱石、トルマリン、及び硅石をフェルゲゾン鉱石14重量%、トルマリン66重量%、硅石20重量%を混合して、250〜290Bqまでの放射性物質4とする。
【0020】
(実施例2)
350Bq以下のモグサイト又は珪酸ジルコニューム、長石及びトルマリンを2〜10μmの粒状に粉砕し、前記モグサイト又は珪酸ジルコニューム20重量%、長石20重量%、トルマリン60重量%を混合して、250〜290Bq、までの放射性物質4とする。
【0021】
そして、前記粘着ゲル部3を、上記実施例1又は実施例2によって製造された放射性物質4を45〜55重量%、粘着ゲル部3を形成する粘着剤を残りの配合割合として形成し、目付け80〜100Bq/m2の実験用貼付剤1を製造する。
【0022】
上記実験用貼付剤1を被験者の患部(背中の所定位置)に貼付し、所定時間経過後(12分後、18分後、22分後)の血管内腔内の平均血流速(MN)、最高血流速(S)、最低血流速(D)及び心拍数(BPM)を超音波血流計で計測し、且つSD=S/D、RP=(S−D)/S、PI=(ピーク間距離)/MNを演算により求めた(図2)。この結果として、貼付後、12分後には最大決流速(S)及び最低血流速(D)が減少する傾向にあったが、その後、両者とも増加する傾向があった。また、貼付前後において、平均脈拍数(BPM)が安定していることから、心臓に負担をかけることなく、血液の流れを助長する効果があることがわかる。尚、図3は、貼付剤1のハップ前後の血液の動態を示したものであり、Aは貼付前、Bは貼付後を示す。これにより、全体として血流量が増加しているのがわかる。
【0023】
また、図5は、貼付後、5分後、15分後、45分後の表面皮膚温度を計測したものである。このグラフから明らかなように、貼付前の表面皮膚温度が32.5°Cであったものが、貼付後15分で33.2°Cと皮膚温度の上昇が認められた。このように、皮膚温度が上昇することから、深部体温の上昇することが想定されるので、体内の血液の循環を改善され、筋肉の凝りや張りを図ることができると想定される。
【0024】
さらに、実験用貼付剤1として、放射性物質4としてカリウム40を粘着ゲル部3に含有させ、皮膚の吸収線量が、0.01μGy/h(マイクログレイ/時間)〜0.02μGy/hとなるようにした。これによっても、上述した実施例と同様の効果を奏することができるものである。
【0025】
尚、カリウム40は、β線とγ線を放出するため、実効線量当量は、1Gy=1Sv(シーベルト)と想定できるため、0.01μSv/h〜0.02μSv/hとなる。この数値を年換算すると、約0.09mSv〜0.18mSvとなり、公衆の年限度1mSvを大きく下回るため、安全である。また、上述して実施例1及び2における貼付剤1において、貼付剤(5cmφ)からは、0.3〔α/cm2・秒〕の放射線が検出された。このため、放射線がα線や中性子を含む場合、1Sv=0.1Gyと想定することが望ましいことから、吸収線量は、0.001μGy/h(マイクログレイ/時間)〜0.002μGy/hとなるようにすることが望ましい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のよれば、安全範囲内の微量の放射線を発するように放射性物質を含有するようにしたので、その貼付剤を患部に貼ることによって、その患部近傍の血流量を増加させることができると共に、表面皮膚温度を上昇させることができるために、筋肉の凝りや張りを改善することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本願発明の実施の形態に係る貼付剤の基本構成を示した構成図である。
【図2】
本願発明の実施の形態に係る貼付剤を貼付した場合の血流速の計測結果等を示
した表である。
【図3】
貼付剤の貼付前後の計測結果を示したグラフ図である。
【図4】
貼付剤の貼付前後の表面皮膚温度の変化を示したグラフ図である。
【符号の説明】
1 貼付剤
2 シート
3 粘着ゲル部
4 放射性物質
Claims (5)
- 人体の所望の位置に貼付され、薬剤部と、該薬剤部が塗布される布部とによって構成される貼付剤において、
前記薬剤部は、所定の放射線量を発する放射線物質を含有することを特徴とする貼付剤。 - 前記所定の放射線量は、線量率0.01〜0.02マイクロシーベルト/時間であることを特徴とする請求項1記載の貼付剤。
- 前記放射性物質がγ線又はβ線のみを発する場合には、前記所定の放射線量は、吸収線量0.01マイクログレイ〜0.02マイクログレイ/時間であることを特徴とする請求項1記載の貼付剤。
- 前記放射性物質がα線を発する場合には、前記所定の放射線量は、吸収線量0.001マイクログレイ〜0.002マイクログレイ/時間であることを特徴とする請求項1記載の貼付剤。
- 前記放射性物質は、薬剤部を構成する粘着ゲル内に所定の割合で含有されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の貼付剤。
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