JP2007106784A - ポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリフェニレンスルフィド(PPS)重合反応混合物からPPSオリゴマーを効率的、経済的に回収する方法を得る。
【解決手段】少なくともポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤および有機極性溶媒を含有する混合物を加熱してポリフェニレンスルフィド樹脂を重合し、220℃以下に冷却して得られた、少なくとも顆粒状のポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンスルフィドオリゴマー、有機極性溶媒、水、およびハロゲン化アルカリ金属塩を含むスラリー(A)からポリフェニレンスルフィドオリゴマーを分離回収する方法であって、分離回収する工程で酸を添加することを特徴とするポリフェニレンスルフィドオリゴマーを分離回収する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンスルフィド重合反応混合物からのポリフェニレンスルフィドオリゴマーを効率的、経済的に回収する方法に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)樹脂は優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに使用されている。
PPS樹脂を重合し、重合後徐冷することにより顆粒状のPPS樹脂が得られることは既に知られている。しかしこの際、低分子量のPPSオリゴマーを主成分とする微粒子状の固形物も副生する。多くの場合この微粒子状の固形物は、取り扱いが煩雑なため、例えば濾過助剤を被覆したフィルターで濾別回収し、濾過助剤と微粒子状の固形物の混合物は廃棄されてきた。
この低分子量のPPSオリゴマーを主成分とする微粒子状の固形物を効率的に回収し、再利用できれば、PPS樹脂を生産する上で経済的に有利となる。
この低分子量のPPSオリゴマーを主成分とする微粒子状の固形物の回収については、特定の重合条件で重合されたPPS重合物スラリーから微粒子状の固形物を回収する方法が開示されている(特許文献1)。しかし、該特許の方法では粘度の高い重合物スラリーに水を添加してスラリー粘度を下げているため、重合時に用いる有機極性溶媒と多量の水を分離することが必要となり、エネルギーコストがかかるため、経済的な方法とは言えなかった。また、オリゴマー回収工程でオリゴマー分離効率を向上させ、より効率的にオリゴマーを回収する方法についても何ら開示されていなかった。
特開昭63−215728号公報(実施例)
本発明は、ポリフェニレンスルフィド反応混合物からのポリフェニレンスルフィドオリゴマーを効率的、経済的に回収方法を提示することを課題とするものである。
すなわち本発明は、
(1)少なくともポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤および有機極性溶媒を含有する混合物を加熱してポリフェニレンスルフィド樹脂を重合し、220℃以下に冷却して得られた、少なくとも顆粒状のポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンスルフィドオリゴマー、有機極性溶媒、水、およびハロゲン化アルカリ金属塩を含むスラリー(A)からポリフェニレンスルフィドオリゴマーを分離回収する方法であって、分離回収する工程で酸を添加することを特徴とするポリフェニレンスルフィドオリゴマーを分離回収する方法、
(2)スラリー(A)からポリフェニレンスルフィドオリゴマーを分離回収する方法が、
(a)スラリー(A)に、重合で使用したスルフィド化剤1モルに対し、有機極性溶媒0.5〜10モルを添加し、希釈スラリー(B)を形成し、
(b)希釈スラリー(B)から、顆粒状のポリフェニレンスルフィド樹脂を回収し、少なくともポリフェニレンスルフィドオリゴマー、有機極性溶媒、水、およびハロゲン化アルカリ金属塩を含有する回収スラリー(C)を得、
(c)回収スラリー(C)から、少なくとも50重量%以上の有機極性溶媒を除去し、残留物を得、
(d)残留物に水を添加して形成した水スラリー(D)から、少なくとも残存有機極性溶媒およびハロゲン化アルカリ金属塩を除去し、
ポリフェニレンスルフィドオリゴマーを得る、分離回収工程であって、回収スラリー(C)および/または水スラリー(D)に酸を添加することを特徴とする(1)記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法、
(3)酸を添加することにより回収スラリー(C)および/または水スラリー(D)のpHを3〜8に調整することを特徴とする(2)記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法、
(4)(c)工程で加熱により有機極性溶媒を除去する(2)または(3)記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法、
(5)(d)工程で濾過および/または遠心分離後デカンテーションにより残存有機極性溶媒およびハロゲン化アルカリ金属塩を除去する(2)から(4)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法、
(6)(d)工程を少なくとも2回行い、少なくともその1回には水スラリー(D)に酸を添加することを特徴とする(2)から(5)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法、
(7)ポリフェニレンスルフィド樹脂を重合する際に、重合助剤を使用する(1)から(6)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法、
(8)有機極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドンである(1)から(7)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法、
(9)(1)から(8)のいずれかに記載の方法で回収したポリフェニレンスルフィドオリゴマーを再利用するポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、ポリフェニレンスルフィド重合反応混合物からのポリフェニレンスルフィドオリゴマーを効率的、経済的に回収することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(1)PPS樹脂
本発明で言うところのPPS樹脂は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
Figure 2007106784
耐熱性の観点からは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 2007106784
本発明で重合されるPPS樹脂の溶融粘度に特に制限はないが、通常5Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)以上が好ましく、10Pa・s以上がさらに好ましい。上限については溶融流動性保持の点から600Pa・s以下であることが好ましい。
なお、溶融粘度は、310℃、剪断速度1000/sの条件下、東洋精機社製キャピログラフを用いて測定した値である。
以下に、本発明におけるPPS樹脂の製造方法について説明するが、まず、製造方法において使用するポリハロゲン芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
本発明で用いられるポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のPPS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.9から2.0モル、好ましくは0.95から1.5モル、更に好ましくは1.005から1.2モルの範囲が例示できる。
[スルフィド化剤]
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
本発明において、仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
重合時の有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選択される。
[分子量調節剤]
本発明においては、生成するPPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
[重合助剤]
本発明においては、顆粒状のPPS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるポリフェニレンスルフィド樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩および/または水、塩化リチウムが好ましく用いられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩とは、一般式R(COOM)n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これらアルカリ金属カルボン酸塩を重合助剤として用いる場合の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.01モル〜2モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.1〜0.6モルの範囲が好ましく、0.2〜0.5モルの範囲がより好ましい。
また水を重合助剤として用いる場合の添加量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.3モル〜15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6〜10モルの範囲が好ましく、1〜5モルの範囲がより好ましい。
これら重合助剤は2種以上を併用することももちろん可能であり、例えばアルカリ金属カルボン酸塩と水を併用すると、それぞれより少量で高分子量化が可能となる。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モル、より好ましくは0.04〜0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが添加が容易である点からより好ましい。
次に、本発明におけるPPS樹脂の製造方法について、前工程、重合反応工程、回収工程、および後処理工程と、順を追って具体的に説明する。
[前工程]
本発明におけるPPS樹脂の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるスルフィド化剤も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.3〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
本発明においては、有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPPS樹脂を製造する。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜240℃、好ましくは100〜230℃の温度範囲で、有機極性溶媒とスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を混合する。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃〜260℃で一定時間反応させた後、270〜290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃〜260℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲が選択される。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である場合がある。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点であることが有効である。
なお、ポリハロゲン化芳香族化合物(ここではPHAと略記)の転化率は、以下の式で算出した値である。PHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(a)ポリハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)−PHA過剰量(モル)〕
(b)上記(a)以外の場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)〕
[ポリマー回収工程]
本発明におけるPPS樹脂の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。本発明で用いるPPS樹脂は、公知の如何なる回収方法を採用しても良いが、顆粒状のPPS樹脂を得る意味で、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法が好ましい。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分〜3℃/分程度である。徐冷工程の全行程において同一速度で徐冷する必要もなく、ポリマー粒子が結晶化析出するまでは0.1〜1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用しても良い。最終的には220℃以下まで冷却する。なお、ポリマー粒子晶析後、重合槽にベントをかけ、重合槽内の水分の一部或いは全部を予め除去しておく方法は、その後の溶媒回収工程を簡略化できる意味で好ましい方法である。
[ポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法]
上記の方法により、粒子径が0.04〜4mm、好ましくは0.1mmから2mmの顆粒状のポリフェニレンスルフィド樹脂、微粉状のポリフェニレンスルフィドオリゴマー、有機極性溶媒、水、副生物、ハロゲン化アルカリ金属塩及び場合により重合助剤を少なくとも含むスラリー(A)が得られる。
本発明ではスラリー(A)からポリフェニレンスルフィドオリゴマーを分離回収する方法であって分離回収するいずれかの工程で酸を添加することを特徴とする。これにより、ポリフェニレンスルフィドオリゴマーの分離効率化格段に向上するものである。本発明でもちいる好ましい方法をより具体的に以下で説明する。
まず(a)本発明では、まず上記スラリー(A)を有機溶媒で希釈して希釈スラリー(B)を形成することが望ましい。希釈することにより、スラリー(A)の粘性が下がり、下記(b)工程での濾過などによるPPS樹脂の回収効率が上昇する。この際、希釈に用いる有機極性溶媒量は、重合に用いるスルフィド化剤1モルに対し、0.5〜10モル範囲であり、好ましくは、0.7〜5モルの範囲である。
希釈に用いる有機極性溶媒種としては、前記重合溶媒と同じものが好ましい。その他、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒などでも良いが、水などの重合溶媒以外の溶媒で希釈すると、重合溶媒との分離が必要になり、また水のような重合溶媒との親和性の高い溶媒を用いると、両者の分離に多大なエネルギーを要するため経済的に不利となる。
(b)次に上記希釈スラリー(B)からPPS樹脂を回収する。このとき、希釈スラリー(B)中で、PPS樹脂は固体状態で存在し、PPSオリゴマー、水、ハロゲン化アルカリ金属塩は有機溶媒中に分散しているので、公知の固液分離によりPPS樹脂を回収することができる。このとき、希釈スラリー中には、重合助剤、重合時の副生物などを含有していてもよい。PPS樹脂の回収は、濾過による方法が好ましい。顆粒状のポリフェニレンスルフィド樹脂を濾別し、少なくともポリフェニレンスルフィドオリゴマー、有機極性溶媒、水、ハロゲン化アルカリ金属塩及び場合により重合助剤、副生物などを含む回収スラリー(C)を得る。
濾過の際のスラリー(B)の温度は特に制限は無いが、通常50〜200℃の範囲が選択され、60〜150℃の範囲がより好ましい。
この際に用いる濾材は、顆粒状のPPS樹脂を分離でき、ポリフェニレンスルフィドオリゴマー、有機極性溶媒、水、副生物、ハロゲン化アルカリ金属塩含むスラリーは通過するものを選ぶ必要がある。通常は10mesh(目開き1.651mm)〜200メッシュ(目開き0.074mm)、好ましくは48メッシュ(目開き0.295mm)〜100メッシュ(目開き0.147mm)程度のものが好ましい。濾過器としては、遠心濾過器、振動スクリーンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(c)上記(b)で得た、回収スラリー(C)から有機極性溶媒を除去する。有機極性溶媒の除去としては加熱し、常圧または減圧下に処理する方法、濾過する方法、あるいは両者の組み合わせが挙げられる。有機極性溶媒の除去は、最終的には少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上の有機極性溶媒を除去する。揮散除去する際の温度としては通常120℃〜300℃の範囲が選択され、140℃〜250℃がより好ましい。このときに回収スラリー(C)に含有する水も同時に揮散除去される。有機極性溶媒を除去する際に、減圧にする方法も採用できる。
(d)次に(c)工程で得られた残留物に水を添加し、残留物から水スラリー(D)を得た後、濾過あるいは遠心分離後デカンテーション、あるいは両者の組み合わせ等の方法で、少なくとも残存有機極性溶媒、ハロゲン化アルカリ金属塩、一部の副生物及び場合により重合助剤を除去し、ポリフェニレンスルフィドオリゴマーを得る。この際の添加をする水の量は、回収スラリー(C)1gに対し0.5〜5gの範囲が好ましく選択され、0.7〜2.5gの範囲が好ましい。水量が少なすぎると濾過に時間がかかりすぎ、多すぎると廃液量が多くなるので好ましくない。濾過の際の水スラリーの温度は特に制限は無いが、通常50〜200℃の範囲が選択され、60〜100℃の範囲がより好ましい。濾過の際に用いる濾材は、ポリフェニレンスルフィドオリゴマーを濾過回収できる程度の目開きのものが選択され、これは通常、1μm〜100μm、好ましくは2μm〜50μm程度である。濾過器としては、吸引濾過器、加圧濾過器などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。かかる工程(d)は2回以上行うことが、より高純度のポリフェニレンスルフィドオリゴマーを得る上で好ましい。
[ポリフェニレンスルフィドオリゴマー分離回収工程での酸の添加]
本発明においては、ポリフェニレンスルフィドオリゴマー分離回収工程における酸の添加が、回収効率の向上のために必要である。酸を加えることによって、オリゴマー分離速度が著しく向上し、分離効率の向上につながるのである。本発明では分離回収工程のなかでも、回収スラリー(C)および/または水スラリー(D)に酸を添加することが好ましい。ここで用いる酸の種類には特に制限はないが、具体例としてはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、アクリル酸、クロトン酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などの有機酸性化合物、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが例示でき、好ましくは有機酸性化合物である。かかる酸の添加量には特に制限は無いが、適量の酸を用いる観点から、酸を加えたスラリーのpHが3〜8の範囲が好ましく、4〜7範囲がより好ましい。pHが高すぎると濾過速度向上効果が減退し、あまり低くても一定以上の濾過速度向上効果が期待できないばかりか、使用酸量増大による経済的不利益や、装置の腐食を助長する可能性がある。
(d)工程で水スラリー(D)に酸を加える場合、最初から酸を加えて、好ましくは2回以上の濾過を行う方法や、まず水スラリー(D)に酸は加えずに遠心分離後デカンテーションを行い、次に得られた固形物に水および酸を加え、再び水スラリー(D)を形成し、濾過する方法などを採用することも可能である。特に後者の方法は、使用酸量を低減できる点で好ましい方法の一つである。
スラリー(A)または希釈スラリー(B)に220℃以下の温度で、乾燥ポリフェニレンスルフィド樹脂1kg当たり1kg以上の水を添加しないことは、好ましい態様の一つである。この理由は上述した様に、重合溶媒と多量の水が混合すると、両者の分離に多大なエネルギーを要し、経済的に不利であるためである。
工程(b)で回収して得た顆粒状のポリフェニレンスルフィド樹脂を1回以上有機極性溶媒にて再スラリー化して、濾別し、濾液を最初の濾液と混合して、上記(b)〜(d)工程を行うことは、より高純度なPPS樹脂を得る上で有効な手段である。この際、例えば2回スラリー化する場合、2回目のスラリー化液を濾過後、その濾液を1回目のスラリー化に使い回す方法は、有機極性溶媒の使用量を減らす意味で有効な方法である。
工程(d)で得られたポリフェニレンスルフィドオリゴマーを更に1回以上水スラリー化し、濾過することは、より純度の高いポリフェニレンスルフィドオリゴマーを得る上で有効な方法である。この際、例えば2回スラリー化する場合、2回目のスラリー化液を濾過後、その濾液を1回目のスラリー化に使い回す方法は、水の使用量を減らす意味で有効な方法である。
このようにして得られたポリフェニレンスルフィドオリゴマーは、そのまま或いは乾燥して種々の用途に用いることが可能である。
本発明の方法で得られたポリフェニレンスルフィドオリゴマーは、PPS樹脂を製造する際の原料として再利用することも可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
[参考例]
PPSの重合(PPS−1)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷し、スラリー(A)を得た。
[実施例1]
スラリー(A)を26300gのNMPで希釈し希釈スラリー(B)を得た。70℃に加熱したスラリー(B)200gをふるい(80mesh、目開き0.175mm)で濾別し、PPS樹脂と回収スラリー(C)150gを得た。濾過時間は9分であった。回収スラリー(C)をロータリーエバポレーターに仕込み、減圧下160℃で1時間処理した後、真空乾燥機で160℃、1時間処理した。得られた固形物中のNMP量は、3重量%であった。
この固形物にイオン交換水180g(回収スラリー(C)の1.2倍量)注ぎ、酢酸でpH6.4に調整し、70℃で30分撹拌し、水スラリー(D1)化した。この水スラリー(D1)を濾過面積9.6cm(目開き10〜16μm)のガラスフィルターで吸引濾過し、ポリフェニレンスルフィドオリゴマーを得た。濾過に要した時間は63秒であった。
得られた固形物にイオン交換水180g(回収スラリー(C)の1.2倍量)注ぎ、70℃で30分撹拌し、再水スラリー(D2)化した。pHは6.3であった。この水スラリー(D2)を濾過面積9.6cm(目開き10〜16μm)のガラスフィルターで吸引濾過し、ポリフェニレンスルフィドオリゴマーを得た。濾過に要した時間は25秒であった。
[比較例1]
酸を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。水スラリー(D1)のpHは10.4、濾過時間は300秒、水スラリー(D2)のpHは9.5、濾過時間は210秒であった。
実施例1と比較例1の対比から、酸を添加することで濾過に要する時間が大幅に短縮できたことがわかる。
[実施例2]
スラリー(A)を26300gのNMPで希釈し希釈スラリー(B)を得た。70℃に加熱したスラリー(B)200gをふるい(80mesh、目開き0.175mm)で濾別し、PPS樹脂と回収スラリー(C)150gを得た。濾過時間は9分であった。回収スラリー(C)をロータリーエバポレーターに仕込み、減圧下160℃で1時間処理した後、真空乾燥機で160℃、1時間処理した。得られた固形物中のNMP量は、3重量%であった。
この固形物にイオン交換水180g(回収スラリー(C)の1.2倍量)注ぎ、まず酸は添加せずに遠心分離器にかけ、上澄み液と沈殿物を分離した。この沈殿物にイオン交換水180g注ぎ、酢酸でpH5.6に調整し、70℃で30分撹拌し、水スラリー(D3)化した。この際必要とした酢酸の量は実施例1の4/10量で済んだ。この水スラリー(D3)を濾過面積9.6cm(目開き10〜16μm)のガラスフィルターで吸引濾過し、ポリフェニレンスルフィドオリゴマーを得た。濾過に要した時間は25秒であった。
[実施例3]
実施例1と同様の方法で、酢酸の添加量を変えて種々のpHに調整し、濾過1回目、2回目の濾過時間を図示した。濾過1回目と2回目で、濾過時間のpH依存性に相違が認められたが、1回目、2回目でバランスよく良好な濾過時間が得られたのはpH3〜8の領域であることがわかる。
水スラリーのpHと濾過速度の関係(濾過1回目および2回目)

Claims (9)

  1. 少なくともポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤および有機極性溶媒を含有する混合物を加熱してポリフェニレンスルフィド樹脂を重合し、220℃以下に冷却して得られた、少なくとも顆粒状のポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンスルフィドオリゴマー、有機極性溶媒、水、およびハロゲン化アルカリ金属塩を含むスラリー(A)からポリフェニレンスルフィドオリゴマーを分離回収する方法であって、
    分離回収する工程で酸を添加することを特徴とするポリフェニレンスルフィドオリゴマーを分離回収する方法。
  2. スラリー(A)からポリフェニレンスルフィドオリゴマーを分離回収する方法が、
    (a)スラリー(A)に、重合で使用したスルフィド化剤1モルに対し、有機極性溶媒0.5〜10モルを添加し、希釈スラリー(B)を形成し、
    (b)希釈スラリー(B)から、顆粒状のポリフェニレンスルフィド樹脂を回収し、少なくともポリフェニレンスルフィドオリゴマー、有機極性溶媒、水、およびハロゲン化アルカリ金属塩を含有する回収スラリー(C)を得、
    (c)回収スラリー(C)から、少なくとも50重量%以上の有機極性溶媒を除去し、残留物を得、
    (d)残留物に水を添加して形成した水スラリー(D)から、少なくとも残存有機極性溶媒およびハロゲン化アルカリ金属塩を除去し、
    ポリフェニレンスルフィドオリゴマーを得る、分離回収工程であって、回収スラリー(C)および/または水スラリー(D)に酸を添加することを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法。
  3. 酸を添加することにより回収スラリー(C)および/または水スラリー(D)のpHを3〜8に調整することを特徴とする請求項2記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法。
  4. (c)工程で加熱により有機極性溶媒を除去する請求項2または3記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法。
  5. (d)工程で濾過および/または遠心分離後デカンテーションにより残存有機極性溶媒およびハロゲン化アルカリ金属塩を除去する請求項2から4のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法。
  6. (d)工程を少なくとも2回行い、少なくともその1回には水スラリー(D)に酸を添加することを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法。
  7. ポリフェニレンスルフィド樹脂を重合する際に、重合助剤を使用する請求項1から6のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法。
  8. 有機極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドンである請求項1から7のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の方法で回収したポリフェニレンスルフィドオリゴマーを再利用するポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法。
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