JP2007106778A - 蛍光体及びプラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】経時的な輝度の向上と放電特性の悪化の防止を両立させることができる蛍光体及びその製造方法、そのような蛍光体を用いて製造されるプラズマディスプレイパネルを提供すること。
【解決手段】本発明に係るMnを発光中心とする蛍光体は、Mnを発光中心とする蛍光体であって、蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対し0.3以上0.7以下であるものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係るMnを発光中心とする蛍光体は、Mnを発光中心とする蛍光体であって、蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対し0.3以上0.7以下であるものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、蛍光体及び蛍光体を用いて製造されるプラズマディスプレイパネルに関し、特に付活剤及び共付活剤を用いた蛍光体及び蛍光体を用いて製造されるプラズマディスプレイパネルに関する。
近年、コンピュータやテレビ等の画像表示に用いられているカラー表示デバイスにおいて、プラズマディスプレイパネルを用いたディスプレイ装置は、大型で薄型軽量を実現することのできるカラー表示デバイスとして注目されている。
プラズマディスプレイパネルは、電極を備えた2枚のガラス基板間に、放電ガスを封入した多数の放電セルを備えている。放電セルは、蛍光体層を備えており、電極間に電圧を印加して選択的に放電させることにより、真空紫外線を発生させるようになっており、これにより蛍光体は励起され、可視光を発光する。
ここで、蛍光体層を構成する蛍光体としては、一般的に以下のような母体材料に付活剤を分散させた材料が用いられている(非特許文献1)。
「青色蛍光体」:BaMgAl10O7
「緑色蛍光体」:Zn2SiO4:Mn
「赤色蛍光体」:(Yx,Gd1-x)BO3:Eu
「青色蛍光体」:BaMgAl10O7
「緑色蛍光体」:Zn2SiO4:Mn
「赤色蛍光体」:(Yx,Gd1-x)BO3:Eu
ところで、プラズマディスプレイパネル等のカラー表示デバイスでは、経時的な輝度劣化が著しい、すなわち、寿命が短いという問題点が挙げられる。
経時的な輝度劣化の原因としては、プラズマディスプレイパネルを駆動させた際に、プラズマディスプレイパネル内部での放電により発生する真空紫外線あるいはイオン衝撃により蛍光体が損傷して、劣化することがあげられる。特に、緑色蛍光体は他の色に比べて視感度が高いため、蛍光体の劣化が僅かに生じた場合でも、プラズマディスプレイパネルは大幅な白色輝度の劣化や色度変化を引き起こしてしまう。
そこで、経時的な輝度劣化を防ぐために、特許文献1では、蛍光体母体原料と付活剤原料とを焼成後に、さらに蛍光体母体原料を混合して焼成を行い、その際の焼成時間や焼成温度等を制御することにより、蛍光体粒子の内部における付活剤濃度を該粒子表面より低くなるように付活剤濃度を制御して、付活剤であるMnドープによる蛍光体粒子の結晶歪の防止を試みている。
また、前述した問題点のほか、カラー表示デバイスでは、放電特性が悪化するという問題点があった。放電特性の悪化の原因としては、プラズマディスプレイパネルを駆動させて放電する際の安定性が低いことがあげられる。放電する際の安定性が低いと、放電のバラツキ、あるいは放電が発生しないといった放電ミスが起こり表示品質を著しく劣化させてしまう。
そこで、放電特性の悪化を防ぐために、特許文献2では、Mnを発光中心とする緑色蛍光体について、(1)蛍光体粒子表面を+に荷電している酸化物で被覆して正帯電にする、あるいは、(2)蛍光体粒子を粉砕して新たな粒子表面を露出させて正帯電にする等の手段を用いて蛍光体を0から正電極側に荷電させることにより放電する際の安定性を高めて放電特性の悪化の改善を試みている。
特開2004−91622号公報
特開2003−18365号公報
「エレクトロニクス実装技術」P23〜26,1977、Vol.13,No.7
しかし、特許文献1のように、蛍光体粒子表面の付活剤濃度を低くすると寿命の劣化は改善されるものの、蛍光体の帯電量は負極性を示すため、放電特性の悪化がみられた。
一方、特許文献2のように、蛍光体を正帯電した酸化物でコーティングすると、時間の経過に従って酸化物の遊離などに起因する不具合が生じやすく、放電特性を悪化させてしまう恐れがある。また、蛍光体の粉砕操作を行うと、例え結晶面が破断しないように粉砕を行ったとしても、結晶自体に損傷を与えてしまうので、寿命が劣化しやすくなる。
このように、特許文献1及び2を含み、放電特性の悪化を防ぎ、かつ経時的な輝度劣化を防止することができる改善手段としては不十分であった。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、放電特性の安定化を図り、かつ経時的な輝度劣化を防止することができる蛍光体及びその製造方法及びそのような蛍光体を用いて製造されるプラズマディスプレイパネルを提供することである。
前記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、
Mnを発光中心とする珪酸亜鉛蛍光体であって、蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対して0.3以上0.7以下であることを特徴とする。
Mnを発光中心とする珪酸亜鉛蛍光体であって、蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対して0.3以上0.7以下であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、Mnを発光中心とする珪酸亜鉛蛍光体であって、蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対して0.3以上0.7以下であるので、Mnを発光中心とする珪酸亜鉛蛍光体において、このように蛍光体表面の付活材剤含有率を規定することにより、蛍光体表面と蛍光体内部の付活剤含有率を特に規定せず、蛍光体表面の付活剤含有率と蛍光体内部の付活剤含有率が同じである場合に比べ、蛍光体表面において付活剤ドープにより生じる付活剤周辺での母体材料の結晶構造の歪みを小さくさせて結晶性を高めることができる。
特に、この場合において蛍光体の帯電量が正極性側にある場合には、プラズマディスプレイパネルを構成させた際に、帯電量が正極性を示す蛍光体と同じ極性を示す蛍光体にすることができるので、放電バラツキや放電ミスを減らす等放電する際の安定性を高めることができる。
請求項2記載の発明は、
前記蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対して0.5以上0.7以下であることを特徴とする。
前記蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対して0.5以上0.7以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、前記蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対して0.5以上0.7以下とし、蛍光体粒子の表面の付活剤含有率の下限を高く設定するようにしたので、請求項1に記載の発明と比べて、蛍光体表面における母体材料の結晶構造の歪みをある程度抑えて、結晶性をある程度維持しつつ、より蛍光体の帯電量を正極性側にすることができ、結晶性の向上と、放電する際の安定性の向上を両立させることができる。
請求項3記載の発明は、
請求項1又は請求項2に記載の蛍光体であって、
帯電量が0〜+30クーロンμC/gの範囲内にあることを特徴とする。
請求項1又は請求項2に記載の蛍光体であって、
帯電量が0〜+30クーロンμC/gの範囲内にあることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の蛍光体であって、帯電量が0〜+30クーロンμC/gの範囲内にあるので、蛍光体表面において付活剤ドープにより生じる付活剤周辺での母体材料の結晶構造の歪みを小さくさせ、結晶性を高めながらも、このように規定された帯電量を有することによりプラズマディスプレイパネルを構成させた際に、帯電量が正極性を示す蛍光体と同じ極性を示すことができ、放電バラツキや放電ミスを減らす等放電する際の安定性を高めることができる。
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の前記蛍光体を放電セルに備えているプラズマディスプレイパネルであることを特徴とする。
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の前記蛍光体を放電セルに備えているプラズマディスプレイパネルであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の前記蛍光体を放電セルに備えているプラズマディスプレイパネルであるので、プラズマディスプレイパネルは請求項1〜請求項3で得られる効果と同一の効果を得ることができる。
請求項1に記載の発明によれば、Mnを発光中心とする珪酸亜鉛蛍光体において、このように蛍光体表面の付活材剤含有率を規定することにより、蛍光体表面と蛍光体内部の付活剤含有率を特に規定せず、蛍光体表面の付活剤含有率と蛍光体内部の付活剤含有率が同じである場合に比べ、蛍光体表面において付活剤ドープにより生じる付活剤周辺での母体材料の結晶構造の歪みを小さくさせて結晶性を高めることができるので、経時的な輝度の劣化を防止することができる。
特に、この場合において蛍光体の帯電量が正極性側にある場合には、プラズマディスプレイパネルを構成させた際に、帯電量が正極性を示す蛍光体と同じ極性を示す蛍光体にすることができるので、放電バラツキや放電ミスを減らす等放電する際の安定性を高めることができるので、放電特性の悪化を防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と比べて、蛍光体表面における母体材料の結晶構造の歪みをある程度抑えて、結晶性をある程度維持しつつ、より蛍光体の帯電量を正極性側にすることができ、結晶性の向上と、放電する際の安定性の向上を両立させることができるので、経時的な輝度の劣化を防止と、放電特性の悪化の防止をより両立させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、蛍光体表面において付活剤ドープにより生じる付活剤周辺での母体材料の結晶構造の歪みを小さくさせ、結晶性を高めながらも、このように規定された帯電量を有することによりプラズマディスプレイパネルを構成させた際に、帯電量が正極性を示す蛍光体と同じ極性を示すことができ、放電バラツキや放電ミスを減らす等放電する際の安定性を高めることができるので、経時的な輝度劣化を防止しながらも、放電特性の悪化を防止することができる。
請求項4に記載の発明によれば、プラズマディスプレイパネルは請求項1〜請求項3で得られる効果と同一の効果を得ることができる。したがって、プラズマディスプレイパネルは経時的な輝度劣化を防止しながらも、放電特性の悪化を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係る蛍光体について説明する。本発明の蛍光体は、マンガンを発光中心とし、珪酸亜鉛蛍光体を母体とするような付活剤を含有する蛍光体である。
まず、本発明に係る蛍光体について説明する。本発明の蛍光体は、マンガンを発光中心とし、珪酸亜鉛蛍光体を母体とするような付活剤を含有する蛍光体である。
本発明において、付活剤とは主にマンガンを示しているが、マンガンからなる付活剤にマンガン以外からなる付活剤を含有させる、すなわち、共付活剤を含有させてもよい。この場合、共付活剤に特に限定はなく、アルカリ土類金属や希土類金属等を適宜含有させることができる。特に好ましい共付活剤としては、マグネシウムやカルシウム、バリウム等が挙げられる。
また、本発明の蛍光体では、蛍光体粒子表面の付活剤含有率が蛍光体粒子内部の付活剤含有率に対して0.3以上0.7以下、好ましくは0.5以上0.7以下で存在している。
ここで、本発明における付活剤含有率とは、付活剤の平均含有率を意味しているとともに、本発明における蛍光体の表面とは、蛍光体粒子最表面から2〜5nm程度の深さの領域を指している。
この場合において、蛍光体粒子表面の付活剤含有率が蛍光体粒子内部の付活剤含有率に対して、0.3未満では、蛍光体の寿命に改善の効果が認められるものの、蛍光体の帯電量が負極性側にあり、放電特性の劣化が著しくなってしまう。一方、蛍光体粒子表面の付活剤含有率が蛍光体粒子内部の付活剤含有率に対して、0.7を超えると、蛍光体の帯電量は正極性側になり放電特性の劣化に改善が認められるものの、蛍光体の寿命が大幅に劣化してしまうことが明らかになった。
このように、蛍光体の帯電量は蛍光体表面の付活剤含有率と蛍光体内部の付活剤含有率とが近づくにつれて正極性を示しており、蛍光体表面の付活剤濃度と蛍光体内部の付活剤濃度の比率と蛍光体の帯電量との間には何らかの相関関係があり、寿命の改善と放電する際の安定性を両立させる蛍光体表面の付活剤濃度と蛍光体内部の付活剤濃度の比率及び蛍光体の帯電量が存在することが推定される。
その結果、このように蛍光体表面の付活剤濃度と蛍光体内部の付活剤濃度が規定されることにより、本発明の蛍光体では、帯電量が0以上+30μC/g以下となる。
なお、寿命の改善と放電する際の安定性を両立させる蛍光体表面の付活剤濃度と蛍光体内部の付活剤濃度の比率及び蛍光体の帯電量が存在する理由については定かではないが、本発明者らは前記理由について蛍光体が劣化する原因として挙げられる蛍光体中の欠陥や結晶構造の歪みと、放電特性の劣化を招く蛍光体が正極性側へ帯電する原因として挙げられる蛍光体粒子表面に露出されるSiO2の量とが関係していると推察しており、以下のような仮説を想定している。
蛍光体粒子表面にマンガン等の付活剤が少ないと、付活剤ドープにより生じる付活剤周辺での母体材料の結晶構造の歪みが小さくなる為、結晶性が高くなり、経時での輝度劣化、すなわち寿命が改善される。但し、この状態では蛍光体粒子の最表面はSiO2で覆われている為、帯電量は負極性側にあると考えられる。
一方、蛍光体粒子表面の付活剤を多くしていくと、付活剤周辺での母体材料の結晶構造の歪みが大きくなる為、寿命は劣化していく傾向にある。しかしながら、その傾向は微小なものである。付活剤が一定以上に多くなると、結晶内で局在化する傾向があることが知られており、むしろ、そのような状態になることで急激な輝度劣化が生じてしまうことが考えられる。また、この状態では粒子最表面のSiO2は少なくなるため、帯電量は正極性側に移動する。
したがって、蛍光体粒子表面の付活剤含有率が蛍光体粒子内部の付活剤含有率に対して0.3以上0.7以下、好ましくは0.5以上0.7以下で存在させることで、寿命を改善させながらも放電する際の安定性を両立させることができるようになる。
次に、前述したような特性が得られる蛍光体の製造方法について説明する。
本発明のマンガンを発光中心とする蛍光体は、蛍光体原料を混合して前駆体を形成する前駆体形成工程と、前駆体形成工程で得られた前駆体を焼成して蛍光体を得る焼成工程とを含む製造方法により得られる。なお、前駆体とは、製造される蛍光体の中間体化合物であり、前述したように焼成処理により蛍光体となる化合物である。
本発明のマンガンを発光中心とする蛍光体は、蛍光体原料を混合して前駆体を形成する前駆体形成工程と、前駆体形成工程で得られた前駆体を焼成して蛍光体を得る焼成工程とを含む製造方法により得られる。なお、前駆体とは、製造される蛍光体の中間体化合物であり、前述したように焼成処理により蛍光体となる化合物である。
まず、前駆体形成工程について説明する。
前駆体形成工程では、液相法(「液相合成法」ともいう。)により前駆体を形成することが好ましい。
前駆体形成工程では、液相法(「液相合成法」ともいう。)により前駆体を形成することが好ましい。
液相法とは、液体の存在下又は液中で蛍光体前駆体を作製することにより蛍光体を得る方法である。液相法では、蛍光体原料を液相中で反応させるので、反応は蛍光体を構成する元素イオン間で行われ、化学量論的に高純度な蛍光体が得やすい。また、固相間反応と粉砕工程とを繰り返し行いながら蛍光体を製造する固相法と比して、粉砕工程を行わずとも微小な粒径の粒子を得ることができ、粉砕時にかかる応力による結晶中の格子欠陥を防ぎ、発光効率の低下を防止することができる。
また、本発明において、液相法として従来公知の共沈法、反応晶析法、ゾルゲル法等が好ましく用いられる。特に、Zn2SiO4:Mnでは、Si又はSiOX等のSi化合物を前駆体の母核とし、共沈法により前駆体を形成すると好ましい。
共沈法とは、共沈現象を利用して、蛍光体の原料となる元素を含む溶液を混合し、さらに沈殿剤を添加することによって、蛍光体前駆体の母核の周囲に付活剤となる金属元素等を析出させた状態で、蛍光体前駆体を合成する方法である。
共沈現象とは、溶液から沈殿を生じさせたとき、その状況では十分な溶解度があり、沈殿しないはずのイオンが沈殿に伴われる現象をいう。蛍光体の製造においては、蛍光体前駆体の母核の周囲に、付活剤を構成する金属元素などが析出する現象を指す。
例えば、ケイ素系化合物から構成される材料(Si系材料)を液体に分散させてなるSi系液状物及び沈殿剤を含有する溶液Aと、Zn化合物及びMn化合物を含有する溶液Bとを混合して前駆体分散液を作製する。この状態で、溶液Aと、Zn化合物及びMn化合物を含有し、溶液BよりもMn化合物の濃度が低い溶液Cとを混合して、前駆体分散液中に添加することにより、得られた前駆体表面のMn含有率を前駆体内部のMn含有率より低くさせることを可能にしている。なお、溶液B及び溶液Cにアルカリ土類金属化合物を含有すると更に好ましい。これらは、塩化物や硝酸塩等の各種金属化合物であると好ましく、溶媒中で陽イオンの状態で溶解するものであることが好ましい。
なお、前述したように前駆体を形成する際には、図1に示すようなY字型反応装置1を用いて行うことが好ましい。Y字型反応装置1は、2種類以上の液体を同時に等速添加し、分散することができるものであり、液体を混合させる反応容器2と、反応容器2の内部を攪拌する攪拌翼3とを備えており、この反応容器2の上方に取設されたY字型パイプ4を介してY字型パイプ4の他端に接続された各タンク5,6から、このタンク5,6に接続されたローラーポンプ7,8を作動させることにより、各タンク5,6内の液体の反応容器2内部への同時等速流入を可能にさせるものである。
溶媒としては、Si系材料を実質的に溶解しなければどのようなものでもよく、水若しくはアルコール類又はそれらの混合物であることが好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。特に、エタノールが好ましい。
沈殿剤としては、有機酸または水酸化アルカリを好ましく使用できる。有機酸または水酸化アルカリは金属元素と反応し、沈殿物として有機酸塩または水酸化物を形成する。このとき、これらの沈殿物がSi系材料の周囲に析出していることが好ましい。
有機酸としては、カルボン酸基(−COOH)を有するものが好ましく、具体的には、シュウ酸、蟻酸、酢酸、酒石酸等が挙げられる。また、加水分解等により、シュウ酸、蟻酸、酢酸、酒石酸等を生じるものであってもよい。
水酸化アルカリとしては、水酸基(−OH)を有するもの、あるいは水と反応して水酸基を生じたり、加水分解により水酸基を生じたりするものであればいかなるものでもよく、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素等が挙げられる。この中で、アンモニアが好ましく使用され、特に好ましくはアルカリ金属を含まないアンモニアである。
このようにして得られた蛍光体前駆体は、本発明の蛍光体の中間生成物であり、この蛍光体前駆体を後述するような所定の温度に従って焼成することにより蛍光体を得ることが好ましい。
次に、焼成工程について説明する。
焼成工程では、前記蛍光体形成工程により得た蛍光体前駆体を焼成処理することにより蛍光体を形成させる。
焼成工程では、前記蛍光体形成工程により得た蛍光体前駆体を焼成処理することにより蛍光体を形成させる。
焼成方法に特に限定はないが、蛍光体前駆体を焼成する際には、始めに酸化雰囲気で焼成を行い、その後、不活性雰囲気又は還元雰囲気又はこれら両方の雰囲気で焼成することが好ましい。その際、焼成温度や焼成時間は最も性能が高くなるように調整すればよいが、好ましい焼成温度の態様としては、酸化雰囲気焼成を1000℃〜1300℃の範囲で行い、不活性雰囲気又は還元雰囲気又はこれら両方の雰囲気で焼成を300℃〜1300℃の範囲で行うことである。更に好ましい態様としては酸化雰囲気温度を不活性雰囲気又は還元雰囲気又はこれら両方の雰囲気の温度よりも高温で焼成することである。
例えば、窒素79%−酸素21%の酸化雰囲気下において、1200℃程度で3時間焼成を行い蛍光体前駆体を酸化した後に、窒素95%−水素5%の還元雰囲気下において600℃で4時間焼成することにより、目的の組成の蛍光体を得ることができる。
例えば、窒素79%−酸素21%の酸化雰囲気下において、1200℃程度で3時間焼成を行い蛍光体前駆体を酸化した後に、窒素95%−水素5%の還元雰囲気下において600℃で4時間焼成することにより、目的の組成の蛍光体を得ることができる。
焼成装置(焼成容器)は現在知られているあらゆる装置を使用することができる。例えば箱型炉、坩堝炉、円柱管型、ボート型、ロータリーキルン等が好ましく用いられる。
また、焼成時に必要に応じて焼結防止剤を添加してもよい。焼結防止剤を添加する場合は、蛍光体前駆体形成時にスラリーとして添加することができる。また、粉状のものを乾燥済前駆体と混合して焼成してもよい。焼結防止剤は特に限定されるものではなく、蛍光体の種類、焼成条件によって適宜選択される。
焼成工程を行った後、冷却処理、分散処理等の諸工程を施してもよく、分級してもよい。
冷却処理工程では、焼成処理で得られた蛍光体を冷却する処理を行う。冷却処理は特に限定されないが、公知の冷却方法より適宜選択することができ、例えば、該焼成物を前記焼成装置に充填したまま冷却することができる。また、放置により温度低下させてもよいし、冷却機を用いて温度制御しながら強制的に温度低下させてもよい。
分散処理工程では、焼成処理工程で得られた蛍光体を分散して、適度な粘度に調整された蛍光体ペーストを作製する処理を行う。なお、蛍光体ペーストの調整は従来公知の方法により行うことができる。その際において、蛍光体ペースト中の蛍光体の含有量としては30質量%〜60質量%の範囲にするのが好ましい。
本発明において、蛍光体粒子を良好に分散させるのに適したバインダとしては、エチルセルロースあるいはポリエチレンオキサイド(エチレンオキサイドのポリマ)が挙げられ、特に、エトキシ基(−OC2H5)の平均含有率が49〜54%のエチルセルロースを用いるのが好ましい。また、バインダとして感光性樹脂を用いることも可能である。バインダの含有量としては0.15質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。なお、隔壁30間に塗布される蛍光体ペーストの形状を整えるため、バインダの含有量は、ペースト粘度が高くなり過ぎない範囲内で多めに設定するのが好ましい。
溶剤としては、水酸基(OH基)を有する有機溶剤を混合したものを用いるのが好ましく、その有機溶剤の具体例としては、ターピネオール(C10H18O)、ブチルカルビトールアセテート、ペンタンジオール(2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート)、ジペンテン(Dipentene、別名Limonen)、ブチルカルビトール等が挙げられる。これらの有機溶剤を混合した混合溶剤は、前記のバインダを溶解させる溶解性に優れており、蛍光体ペーストの分散性が良好になり好ましい。
蛍光体ペースト中の蛍光体粒子の分散安定性を向上させるために、分散剤として、界面活性剤を添加すると好ましい。蛍光体ペースト中の界面活性剤の含有量としては、分散安定性の向上効果あるいは後述する除電効果等を効果的に得る観点から、0.05質量%〜0.3質量%が好ましい。
界面活性剤の具体例としては、(a)アニオン性界面活性剤、(b)カチオン性界面活性剤、(c)ノニオン性界面活性剤を用いることができ、それぞれ具体的には下記のようなものがある。
(a)アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸、エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸ポリカルボン酸高分子等が挙げられる。
(b)カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
(c)ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
(a)アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸、エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸ポリカルボン酸高分子等が挙げられる。
(b)カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
(c)ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
更に、蛍光体ペーストに除電物質を添加すると好ましい。前述の界面活性剤は、一般的に蛍光体ペーストの帯電を防止する除電作用も有しており、除電物質に該当するものが多い。但し、蛍光体、バインダ、溶剤の種類によって除電作用も異なるので、色々な種類の界面活性剤について試験を行って、結果の良好なものを選択するのが好ましい。除電物質としては、界面活性剤の他に、導電性の材料からなる微粒子も挙げることができる。導電性微粒子としては、カーボンブラックをはじめとするカーボン微粉末、グラファイトの微粉末、Al、Fe、Mg、Si、Cu、Sn、Agといった金属の微粉末、並びにこれらの金属酸化物からなる微粉末が挙げられる。このような導電性微粒子の添加量は、蛍光体ペーストに対して0.05〜1.0質量%の範囲とするのが好ましい。蛍光体ペーストに除電物質を添加することによって蛍光体ペーストの帯電により、例えば、パネル中央部のアドレス電極の切れ目における蛍光体層の盛り上がりや、セル内に塗布される蛍光体ペーストの量や溝への付着状態に若干のばらつきが生じる等の蛍光体層の形成不良を防ぎ、セル毎に均質な蛍光体層を形成することができる。
なお、前述したように除電物質として界面活性剤やカーボン微粉末を用いた場合には、蛍光体ペーストに含まれている溶剤やバインダを除去する蛍光体焼成工程において除電物質も蒸発あるいは焼失されるので、焼成後の蛍光体層中には除電物質が残存しない。従って、蛍光体層中に除電物質が残存することによってプラズマディスプレイパネルの駆動(発光動作)に支障が生じる可能性も無い。
本発明の蛍光体を前記各種混合物に分散する際には、例えば高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミルなど媒体メディアを装置内で運動させてその衝突(crush)及び剪断力の両方により微粒化するもの、又はカッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。
その後、前述したように調整した蛍光体ペーストを放電セル31に塗布又は充填する。なお、蛍光体ペーストを放電セル31に塗布又は充填する際には、スクリーン印刷法、フォトレジストフィルム法、インクジェット法など種々の方法で行うことができる。特に、インクジェット法は、隔壁30のピッチが狭く、放電セル31が微細に形成されている場合であっても、隔壁30間に低コストで容易に精度良く均一に蛍光体ペーストを塗布又は充填できるので好ましい。
次に、図2を参照して、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの実施形態について説明する。なお、プラズマディスプレイパネルには、電極の構造及び動作モードから大別すると、直流電圧を印加するDC型と、交流電圧を印加するAC型のものとがあるが、図2には、AC型プラズマディスプレイパネルの構成概略の一例を示した。
図2に示すプラズマディスプレイパネル9は、表示側に配置される基板である前面板10と前面板10に対向する背面板20とを備えている。
まず、前面板10について説明する。前面板10は、可視光を透過し、基板上に各種の情報表示を行うもので、プラズマディスプレイパネル9の表示画面として機能するものであり、前面板10には、表示電極11、誘電体層12、保護層13等が設けられている。
まず、前面板10について説明する。前面板10は、可視光を透過し、基板上に各種の情報表示を行うもので、プラズマディスプレイパネル9の表示画面として機能するものであり、前面板10には、表示電極11、誘電体層12、保護層13等が設けられている。
前面板10として、ソーダライムガラス(青板ガラス)等の可視光を透過する材料を好ましく使用できる。前面板10の厚さとしては、1〜8mmの範囲が好ましく、より好ましくは2mmである。
表示電極11は、前面板10の背面板20と対向する面に複数設けられ、規則正しく配置されている。表示電極11は、透明電極11aとバス電極11bとを備え、幅広の帯状に形成された透明電極11a上に、同じく帯状に形成されたバス電極11bが積層された構造となっている。なお、バス電極11bの幅は、透明電極11aよりも狭く形成されている。なお、表示電極11は所定の放電ギャップをあけて対向配置された2つの表示電極11で一組となっている。
透明電極11aとしては、ネサ膜等の透明電極を使用することができ、そのシート抵抗は、100Ω以下であることが好ましい。透明電極11aの幅としては、10〜200μmの範囲が好ましい。
バス電極11bは、抵抗を下げるためのものであり、Cr/Cu/Crのスパッタリング等により形成することができる。バス電極11bの幅としては、5〜50μmの範囲が好ましい。
誘電体層12は、前面板10の表示電極11が配された表面全体を覆っている。誘電体層12は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。誘電体層12の厚さとしては、20〜30μmの範囲が好ましい。誘電体層12の表面は保護層13により全体的に覆われる。保護層13は、MgO膜を使用することができる。保護層13の厚さとしては、0.5〜50μmの範囲が好ましい。
次に、背面板20について説明する。
背面板20には、アドレス電極21、誘電体層22、隔壁30、蛍光体層35R、35G、35B等が設けられている。
背面板20には、アドレス電極21、誘電体層22、隔壁30、蛍光体層35R、35G、35B等が設けられている。
背面板20は、前面板10と同様に、ソーダライムガラス等が使用できる。背面板20の厚さとしては、1〜8mmの範囲が好ましく、より好ましくは2mm程度である。
アドレス電極21は、背面板20の、前面板20と対向する面に複数設けられている。アドレス電極21も、透明電極11aやバス電極11bと同様に帯状に形成されている。アドレス電極21は、平面視において、表示電極11と直交するように、所定間隔毎に複数設けられている。
アドレス電極21は、Ag厚膜電極等の金属電極を使用することができる。アドレス電極21の幅は、100〜200μmの範囲が好ましい。
誘電体層22は、背面板20のアドレス電極21が配された表面全体を覆っている。この誘電体層22は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。誘電体層22の厚さとしては、20〜30μmの範囲が好ましい。
誘電体層22上のアドレス電極21の両側方には、長尺に形成された隔壁30が背面板20側から前面板10側に立設されており、平面視において隔壁30は表示電極11と直交している。また、隔壁30は、背面板20と前面板10との間をストライプ状に区画した複数の微少放電空間(以下、放電セルという)31を形成しており、各放電セル31の内側には、希ガスを主体とする放電ガスが封入されている。
なお、隔壁30は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。隔壁30の幅は、10〜500μmの範囲が好ましく、100μm程度がより好ましい。隔壁30の高さ(厚み)としては、通常、10〜100μmの範囲であり、50μm程度が好ましい。
放電セル31には、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかに発光する本発明の蛍光体から構成された蛍光体層35R、35G、35Bのいずれかが規則正しい順序で設けられている。一つの放電セル31内には、平面視において表示電極11とアドレス電極21が交差する点が多数存在するようになっており、これら一つ一つの交点を最小の発光単位として、左右方向に連続するR、G、Bの3つの発光単位により1画素を構成している。各蛍光体層35R、35G、35Bの厚さは特に限定されるものではないが、5〜50μmの範囲が好ましい。
なお、蛍光体層35Gの形成に当たっては、前述した本発明の蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散し、適度な粘度に調整された蛍光体ペーストを放電セル31に塗布又は充填し、その後乾燥又は焼成することにより隔壁側面30a及び底面30aに本発明の蛍光体が付着した蛍光体層35Gを形成させるものとする。
一方、蛍光体層35R及び35Bの形成に当たっては、従来公知の方法で製造された赤色及び青色の蛍光体及び蛍光体ペーストを作製し、蛍光体層35Gを形成する際と同様にして、隔壁側面30a及び底面30aに赤色及び青色の蛍光体が付着した蛍光体層35R及び35Bを形成させるものとする。
このようにプラズマディスプレイパネルを構成させることにより、表示の際には、アドレス電極21と一組の表示電極11、11のうちいずれか一方の表示電極との間で選択的にトリガー放電を行わせることにより、表示を行う放電セルを選択させる。その後、選択された放電セル内において一組の表示電極11、11間でサステイン放電を行わせることにより放電ガスに起因する紫外線を生じさせ、蛍光体層35R、35G、35Bから可視光を生じさせることを可能にする。
以上のことから、本発明では、Mnを発光中心とする珪酸亜鉛蛍光体において、蛍光体内部の付活材剤含有率に対する蛍光体表面の付活材剤含有率を0.3以上0.7以下、好ましくは0.5以上0.7以下に規定することにより、蛍光体の帯電量を0〜+30クーロンμC/gの範囲内に規定され、蛍光体表面において付活剤ドープにより生じる付活剤周辺での母体材料の結晶構造の歪みを小さくさせて結晶性を高めながらも、放電する際の安定性を高めることができる。
その結果、経時的な輝度を向上させながらも、放電特性の悪化を防止することができ、経時的な輝度の向上と放電特性の悪化の防止を両立させることができる。
したがって、本発明の蛍光体を使用したプラズマディスプレイパネルにおいては、経時的な輝度劣化が大幅に軽減されて寿命を長くすることが可能になる。
その結果、経時的な輝度を向上させながらも、放電特性の悪化を防止することができ、経時的な輝度の向上と放電特性の悪化の防止を両立させることができる。
したがって、本発明の蛍光体を使用したプラズマディスプレイパネルにおいては、経時的な輝度劣化が大幅に軽減されて寿命を長くすることが可能になる。
なお、前述したような本発明の蛍光体の特徴は以下の方法により確認できる。
本発明において、蛍光体粒子表面の付活剤含有率は、X線光電子分光法により確認することができる。
X線光電子分光法とは、試料に単色化されたX線を照射して表面から放出された光電子の運動エネルギーを分析する方法であり、試料表面の深さ数十Åに存在する元素組成を定性および定量することができる。さらに各元素のスペクトルには隣接する元素の影響を受けて化学シフト、電荷移動遷移に基づくとされるサテライト、多重項結合による内殻順位の分裂等が出現することから、各元素の化学状態の情報が得られる。
本発明において、蛍光体粒子表面の付活剤含有率は、X線光電子分光法により確認することができる。
X線光電子分光法とは、試料に単色化されたX線を照射して表面から放出された光電子の運動エネルギーを分析する方法であり、試料表面の深さ数十Åに存在する元素組成を定性および定量することができる。さらに各元素のスペクトルには隣接する元素の影響を受けて化学シフト、電荷移動遷移に基づくとされるサテライト、多重項結合による内殻順位の分裂等が出現することから、各元素の化学状態の情報が得られる。
また、蛍光体粒子内部の付活剤含有率は、誘導結合プラズマ発光分光法により確認することができる。
誘導結合プラズマ発光分光法とは、アルゴンプラズマの高温中に試料を導入し、発生する各元素に特有の光を測定する方法であり、その光の強度は試料中の元素の量に比例することから、試料の高感度な定性・定量分析が可能である。プラズマが高温であるためにほとんどの元素の最適測定条件がほぼ同じで、多元素同時分析や多元素逐次分析が可能である。
誘導結合プラズマ発光分光法とは、アルゴンプラズマの高温中に試料を導入し、発生する各元素に特有の光を測定する方法であり、その光の強度は試料中の元素の量に比例することから、試料の高感度な定性・定量分析が可能である。プラズマが高温であるためにほとんどの元素の最適測定条件がほぼ同じで、多元素同時分析や多元素逐次分析が可能である。
また、本発明において、蛍光体の帯電量は、ブローオフ法により確認することができる。
ブローオフ法とは、蛍光体のみを通過させ得る径を備えた開口を一部に有する金網(メッシュ)を張った金属容器中にキャリアと蛍光体の混合物を入れた後、乾燥空気等の気体を吹き付けて蛍光体とキャリアを攪拌しつつ、蛍光体のみを金属容器外へ吹き飛ばす方法であり、これにより容器全体として蛍光体の帯電量と同じ電荷量で逆極性を有する電荷が検出することができ、蛍光体の電荷量を検出することができる。なお、本実施形態において、蛍光体の帯電量は、キャリア(通常はフェライト(Fe2O3)やマグネタイト(Fe3O4)等に樹脂コートしたものや微量金属を混入させたものが好ましく用いられる)に対する帯電量として検出させている。
ブローオフ法とは、蛍光体のみを通過させ得る径を備えた開口を一部に有する金網(メッシュ)を張った金属容器中にキャリアと蛍光体の混合物を入れた後、乾燥空気等の気体を吹き付けて蛍光体とキャリアを攪拌しつつ、蛍光体のみを金属容器外へ吹き飛ばす方法であり、これにより容器全体として蛍光体の帯電量と同じ電荷量で逆極性を有する電荷が検出することができ、蛍光体の電荷量を検出することができる。なお、本実施形態において、蛍光体の帯電量は、キャリア(通常はフェライト(Fe2O3)やマグネタイト(Fe3O4)等に樹脂コートしたものや微量金属を混入させたものが好ましく用いられる)に対する帯電量として検出させている。
以下、本発明に係る実施例1を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例1では、緑色蛍光体(Zn2SiO4:Mn2+)として蛍光体1−1〜1−7を作製し、得られた蛍光体から作製した蛍光体ペーストを用いてプラズマディスプレイパネルを製造し、プラズマディスプレイパネルの発光輝度を評価した。まず、プラズマディスプレイパネルに用いられる蛍光体の作製について説明する。
本実施例1では、緑色蛍光体(Zn2SiO4:Mn2+)として蛍光体1−1〜1−7を作製し、得られた蛍光体から作製した蛍光体ペーストを用いてプラズマディスプレイパネルを製造し、プラズマディスプレイパネルの発光輝度を評価した。まず、プラズマディスプレイパネルに用いられる蛍光体の作製について説明する。
1.緑色蛍光体の作製
(1)蛍光体1−1の作製
二酸化ケイ素45gを含むコロイダルシリカ(扶桑化学工業株式会社製 PL−3)とアンモニア水(28%)219gを純水に混合して液量を1500ccに調整したものを溶液Aとした。同時に、硝酸亜鉛6水和物(関東化学株式会社製、純度99.0%)424gと硝酸マンガン6水和物(関東化学株式会社製、純度98.0%)21.5gを純水に溶解して液量を1500ccに調整したものを溶液Bとし、硝酸亜鉛6水和物(関東化学株式会社製、純度99.0%)424gを純水に溶解して液量を1500ccに調整したものを溶液Cした。
(1)蛍光体1−1の作製
二酸化ケイ素45gを含むコロイダルシリカ(扶桑化学工業株式会社製 PL−3)とアンモニア水(28%)219gを純水に混合して液量を1500ccに調整したものを溶液Aとした。同時に、硝酸亜鉛6水和物(関東化学株式会社製、純度99.0%)424gと硝酸マンガン6水和物(関東化学株式会社製、純度98.0%)21.5gを純水に溶解して液量を1500ccに調整したものを溶液Bとし、硝酸亜鉛6水和物(関東化学株式会社製、純度99.0%)424gを純水に溶解して液量を1500ccに調整したものを溶液Cした。
溶液Aと溶液Bをそれぞれタンク5,6にいれ、40℃に保温した後、ローラーポンプ7,8を使って1200cc/minの添加速度で図1に示すようなY字型反応装置1に供給して前駆体分散液を得た。そして前駆体分散液を反応容器2内で攪拌させる。この状態を保ちながら、次に、溶液Aと、溶液Cをそれぞれタンク5,6にいれ、40℃に保温し、ローラーポンプ7,8を用いて1200cc/minの添加速度で前駆体分散液の入っている反応容器2内に供給した。反応により得られた沈殿物を純水で希釈後、加圧ろ過を行い固液分離した。次いで、200℃、12時間乾燥を行い、乾燥済み前駆体を得た。
次に、得られた前駆体を酸化雰囲気下(窒素79%−酸素21%)で1280℃、9時間焼成後、不活性雰囲気下(窒素100%)で1100℃、6時間焼成して蛍光体1−1を得た。
(2)蛍光体1−2の作製
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を5.4g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−2を得た。
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を5.4g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−2を得た。
(3)蛍光体1−3の作製
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を7.1g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−3を得た。
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を7.1g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−3を得た。
(4)蛍光体1−4の作製
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を10.1g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−4を得た。
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を10.1g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−4を得た。
(5)蛍光体1−5の作製
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を11.6g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−5を得た。
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を11.6g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−5を得た。
(6)蛍光体1−6の作製
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を14.2g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−6を得た。
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を14.2g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−6を得た。
(7)蛍光体1−7の作製
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を15.7g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−7を得た。
溶液C中に硝酸マンガン6水和物を15.7g添加させること以外は、前記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−7を得た。
2.赤色蛍光体〔(Y,Gd)BO3:Eu〕の作製
保護コロイドの存在下で反応晶析法により赤色蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300mlにゼラチン(平均分子量約1万5千)をその濃度が5重量%となるように溶解し溶液Dとした。
保護コロイドの存在下で反応晶析法により赤色蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300mlにゼラチン(平均分子量約1万5千)をその濃度が5重量%となるように溶解し溶液Dとした。
また、硝酸イットリウム6水和物28.99gと、硝酸ガドリニウム15.88gと、硝酸ユウロピウム6水和物2.60gを純水に溶解して150mlに調整して溶液Eとした。さらに、ホウ酸8.20gを純水に溶解して150mlに調整して溶液Fとした。
次に、反応容器に溶液Dを入れ温度を60℃に保ち、攪拌翼を用いて攪拌を行った。その状態で同じく60℃に保った溶液E、溶液Fを溶液Dの入った反応容器に60ml/minの速度で等速添加を行った。添加後10分間熟成を行い、赤色前駆体を得た。その後赤色前駆体を濾過、乾燥(105℃、16時間)し、更に、1200℃酸化条件下で2時間焼成して赤色蛍光体を得た。
3.青色蛍光体(BaMgAl10O17:Eu)の作製
前記2の赤色蛍光体の作製方法と同様に、純水300mlにゼラチン(平均分子量約1万5千)をその濃度が5重量%となるように溶解し、溶液Gとした。また、硝酸バリウム5.80gと、硝酸ユウロピウム6水和物0.89gと、硝酸マグネシウム6水和物5.13gを純水295.22mlに溶解し、溶液Hとした。さらに、硝酸アルミニウム9水和物85.03gを純水268.85mlに溶解し、溶液Iとした。
前記2の赤色蛍光体の作製方法と同様に、純水300mlにゼラチン(平均分子量約1万5千)をその濃度が5重量%となるように溶解し、溶液Gとした。また、硝酸バリウム5.80gと、硝酸ユウロピウム6水和物0.89gと、硝酸マグネシウム6水和物5.13gを純水295.22mlに溶解し、溶液Hとした。さらに、硝酸アルミニウム9水和物85.03gを純水268.85mlに溶解し、溶液Iとした。
前述したように調整した溶液G,H,Iを用いて前記2の赤色蛍光体の作製で示した方法と同様に反応晶析法により青色蛍光体前駆体を形成し、焼成等を行い、平均粒径0.52μmの青色蛍光体を得た。
2.蛍光体ペーストの調製
前述したように作製した蛍光体1−1〜蛍光体1−7からなる緑色蛍光体及び赤色蛍光体、青色蛍光体を用いて、それぞれ蛍光体ペースト2−1〜蛍光体ペースト2−7からなる緑色蛍光体ペースト及び赤色蛍光体ペースト、青色蛍光体ペーストを調整した。調整の際には、それぞれの蛍光体の固形分濃度が50質量%となるようにして、エチルセルロース、ポリオキシレンアルキルエーテル、ターピネオール及びペンタジオールの1:1混合液と共にそれぞれ混合した。
前述したように作製した蛍光体1−1〜蛍光体1−7からなる緑色蛍光体及び赤色蛍光体、青色蛍光体を用いて、それぞれ蛍光体ペースト2−1〜蛍光体ペースト2−7からなる緑色蛍光体ペースト及び赤色蛍光体ペースト、青色蛍光体ペーストを調整した。調整の際には、それぞれの蛍光体の固形分濃度が50質量%となるようにして、エチルセルロース、ポリオキシレンアルキルエーテル、ターピネオール及びペンタジオールの1:1混合液と共にそれぞれ混合した。
3.プラズマディスプレイパネルの製造
(1)プラズマディスプレイパネル3−1の製造
前述したように調整した蛍光体ペースト2−1と、赤色蛍光体ペースト、青色蛍光体ペーストを用いて、以下のように図2に示すプラズマディスプレイパネルを製造した。
(1)プラズマディスプレイパネル3−1の製造
前述したように調整した蛍光体ペースト2−1と、赤色蛍光体ペースト、青色蛍光体ペーストを用いて、以下のように図2に示すプラズマディスプレイパネルを製造した。
まず、前面板10となるガラス基板上に、透明電極11aとして透明電極を配置する。次に、Cr−Cu−Crをスパッタリングし、フォトエッチングを行うことによりバス電極11bを透明電極11a上に形成し、表示電極11とする。そして、前記表面ガラス基板10上に、表示電極11を覆うように低融点ガラスを印刷し、これを500〜600℃で焼成することにより誘電体層12を形成する。さらに誘電体層12の上に、MgOを電子ビーム蒸着して保護膜13を形成する。
一方、背面板20上に、Ag厚膜を印刷し、これを焼成することにより、アドレス電極21を形成する。そして、前記背面板20上で、且つ、アドレス電極21の両側方に隔壁30を形成する。隔壁30は、低融点ガラスをピッチ0.2mmで印刷し、焼成することにより形成できる。さらに、前記隔壁30により区画された放電セル31の底面(アドレス電極21上)31aと側面30aとに、前記蛍光体ペースト2−1と、赤色蛍光体ペースト、青色蛍光体ペーストを塗布又は充填する。
このとき、一つの放電セル31につき、一色の蛍光体ペーストを用いる。その後、蛍光体ペーストを乾燥又は焼成して、ペースト中の有機成分を除去し、放電セル31R、31G、31Bにそれぞれ発光色が異なる蛍光体層35R、35G、35Bを形成する。
そして、前記電極11、21等が配置された前記前面板10と背面板20とを、それぞれの電極配置面が向き合うように位置合わせし、約1mmのギャップを保った状態で、その周辺をシールガラス(図示略)により封止する。そして、前記基板10、20間に、放電により紫外線を発生するキセノン(Xe)と主放電ガスのネオン(Ne)とを混合したガスを封入して気密密閉した後、エージングを行い、プラズマディスプレイパネル3−1とした。
(2)プラズマディスプレイパネル3−2の製造
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−2を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−2を製造した。
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−2を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−2を製造した。
(3)プラズマディスプレイパネル3−3の製造
前記(1)において、蛍光体ペースト3−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−3を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−3を製造した。
前記(1)において、蛍光体ペースト3−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−3を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−3を製造した。
(4)プラズマディスプレイパネル3−4の製造
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−4を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−4を製造した。
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−4を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−4を製造した。
(5)プラズマディスプレイパネル3−5の製造
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−5を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−5を製造した。
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−5を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−5を製造した。
(6)プラズマディスプレイパネル3−6の製造
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−6を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−6を製造した。
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−6を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−6を製造した。
(7)プラズマディスプレイパネル3−7の製造
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−7を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−7を製造した。
前記(1)において、蛍光体ペースト2−1の代わりに、前述したように調製した蛍光体ペースト2−7を用いる以外は、前記(1)のプラズマディスプレイパネル3−1と同様にして、プラズマディスプレイパネル3−7を製造した。
4.評価
(1)付活剤含有率の比率の測定
まず、前記で作製した蛍光体1−1〜蛍光体1-7に対して、蛍光体粒子内部の付活剤含有率と蛍光体粒子表面の付活剤含有率とを測定し、蛍光体粒子内部の付活剤含有率に対する蛍光体粒子表面の付活剤含有率の比率を求め、その結果を下記表1に示した。
その際、蛍光体表面のマンガンの含有率の測定には、VGエレメンタル社製X線光電子分光分析装置ESCALab200Rを用いた。
また、蛍光体内部のマンガン含有率の測定には、フッ酸により蛍光体の最表面から2〜5nmの範囲の蛍光体表面を溶解させた後、セイコー電子工業社製誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS5000若しくはVGエレメンタル社製誘導結合プラズマ質量分析装置QP−Qを用いた。その際、別途関東化学社製の標準原液及び硝酸(関東化学社製 超高純度)を添加した基準濃度液を調整し、検量線法に従って定量を行った。
(1)付活剤含有率の比率の測定
まず、前記で作製した蛍光体1−1〜蛍光体1-7に対して、蛍光体粒子内部の付活剤含有率と蛍光体粒子表面の付活剤含有率とを測定し、蛍光体粒子内部の付活剤含有率に対する蛍光体粒子表面の付活剤含有率の比率を求め、その結果を下記表1に示した。
その際、蛍光体表面のマンガンの含有率の測定には、VGエレメンタル社製X線光電子分光分析装置ESCALab200Rを用いた。
また、蛍光体内部のマンガン含有率の測定には、フッ酸により蛍光体の最表面から2〜5nmの範囲の蛍光体表面を溶解させた後、セイコー電子工業社製誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS5000若しくはVGエレメンタル社製誘導結合プラズマ質量分析装置QP−Qを用いた。その際、別途関東化学社製の標準原液及び硝酸(関東化学社製 超高純度)を添加した基準濃度液を調整し、検量線法に従って定量を行った。
(2)帯電量の測定
前述した方法で作製した蛍光体1−1〜蛍光体1-7に対して、蛍光体の帯電量を測定し、その結果を下記表1に示した。
その際、蛍光体の帯電量の測定には、東芝ケミカル社製ブローオフ粉体帯電量測定装置Model TB−200を用い、蛍光体の帯電量は、キャリアに対する帯電量として表された。
前述した方法で作製した蛍光体1−1〜蛍光体1-7に対して、蛍光体の帯電量を測定し、その結果を下記表1に示した。
その際、蛍光体の帯電量の測定には、東芝ケミカル社製ブローオフ粉体帯電量測定装置Model TB−200を用い、蛍光体の帯電量は、キャリアに対する帯電量として表された。
まず、蛍光体粒子だけが通過できる400メッシュの導電性メッシュを備えた測定セルに蛍光体とキャリアが1:19となるように混合したものを投入する。次に測定セル内が0.5Kgf/cm2となるような圧縮空気を6秒間吹き付け、蛍光体粒子のみを測定セル外に分離除去する。このとき、測定セル内に残留するキャリア粒子は分離された蛍光体粒子がもつ帯電量と等価で、極性が異なる帯電量を保持しているので、その残留帯電量をエレクトロメータにより検出し、得られた検出帯電量の極性を逆に読み替えることで蛍光体の帯電量を求めることが可能となる。なお、キャリアには、樹脂コートしたフェライトキャリアDFC−C:平均粒径60μm(同和鉄粉工業社製)を使用し、下記表1に記載の帯電量は、各蛍光体試料1g当たりの帯電量で示した。
(3)劣化後の輝度の測定
前述した方法で製造したプラズマディスプレイパネル3−1〜プラズマディスプレイパネル3−7に対して、劣化後の輝度を以下のように測定した。
まず、プラズマディスプレイパネル3−1〜プラズマディスプレイパネル3−7に対して各プラズマディスプレイパネルの点灯直後の発光輝度(初期輝度)を測定するとともに、プラズマディスプレイパネル3−1に対して、プラズマディスプレイパネル3−1の発光輝度が初期輝度の50%になるまで緑色表示をし続けた時間を測定した。そして、プラズマディスプレイパネル3−2〜プラズマディスプレイパネル3−7に対し、プラズマディスプレイパネル3−1の輝度が初期輝度の50%になるまで緑色表示をし続けた時間と同じ時間点灯を行い、点灯終了時の発光輝度(劣化後の輝度)を測定した。その結果を下記表1に示す。なお、表1中に示す劣化後の輝度は、プラズマディスプレイパネル3−1の劣化後の輝度を100とした場合のプラズマディスプレイパネル3−2〜プラズマディスプレイパネル3−7の相対発光輝度である。
前述した方法で製造したプラズマディスプレイパネル3−1〜プラズマディスプレイパネル3−7に対して、劣化後の輝度を以下のように測定した。
まず、プラズマディスプレイパネル3−1〜プラズマディスプレイパネル3−7に対して各プラズマディスプレイパネルの点灯直後の発光輝度(初期輝度)を測定するとともに、プラズマディスプレイパネル3−1に対して、プラズマディスプレイパネル3−1の発光輝度が初期輝度の50%になるまで緑色表示をし続けた時間を測定した。そして、プラズマディスプレイパネル3−2〜プラズマディスプレイパネル3−7に対し、プラズマディスプレイパネル3−1の輝度が初期輝度の50%になるまで緑色表示をし続けた時間と同じ時間点灯を行い、点灯終了時の発光輝度(劣化後の輝度)を測定した。その結果を下記表1に示す。なお、表1中に示す劣化後の輝度は、プラズマディスプレイパネル3−1の劣化後の輝度を100とした場合のプラズマディスプレイパネル3−2〜プラズマディスプレイパネル3−7の相対発光輝度である。
(4)放電の安定性の測定
また、前記(3)の過程で放電の安定性を下記式(1)を用いて評価した。放電の安定性の評価には、一般に前記の式(1)が用いられる。
Nt/N0=exp(−(t−tf)/ts) ・・・(1)
前記式(1)において、Ntは時間tで放電の起きなかった回数(放電ミス回数)、N0は放電遅れ時間測定回数、tfは形成遅れ、tsは放電バラツキを指している。本実施例では、放電の安定性を放電ミス回数及び放電バラツキで評価し、下記表1に示した。
また、前記(3)の過程で放電の安定性を下記式(1)を用いて評価した。放電の安定性の評価には、一般に前記の式(1)が用いられる。
Nt/N0=exp(−(t−tf)/ts) ・・・(1)
前記式(1)において、Ntは時間tで放電の起きなかった回数(放電ミス回数)、N0は放電遅れ時間測定回数、tfは形成遅れ、tsは放電バラツキを指している。本実施例では、放電の安定性を放電ミス回数及び放電バラツキで評価し、下記表1に示した。
なお、放電ミス回数は、パルス入力100回に対し放電しない回数であり、これをカウントすることで放電ミス回数の測定を行った。
また、表1中に示す放電バラツキは、前記式(1)におけるtsであるが、その数値はプラズマディスプレイパネル3−1に対する相対値として表した。放電バラツキを表すtsは、その値が小さい程放電バラツキが小さくなることを示している。放電バラツキが大きいということは、入力に対し一定の時間で放電が始まらないことであり、表示品質を著しく低下させることを意味している。
結果は表1に示した通りである。経時劣化に関し、従来のプラズマディスプレイ3−1に対し、本発明のプラズマディスプレイ3−3〜プラズマディスプレイ3−6では、わずかに輝度劣化があるが、プラズマディスプレイ3−7では大幅に輝度劣化していることがわかる。また、放電の安定性に関しては、従来のプラズマディスプレイ3−1に対し、本発明のプラズマディスプレイ3−3〜プラズマディスプレイ3−6では、放電バラツキ、放電ミスともに大幅に改善していることがわかる。
9 プラズマディスプレイパネル
10 基板
20 基板
30 隔壁
31R、31G、31B 放電セル
35R、35G、35B 蛍光体層
10 基板
20 基板
30 隔壁
31R、31G、31B 放電セル
35R、35G、35B 蛍光体層
Claims (4)
- Mnを発光中心とする珪酸亜鉛蛍光体であって、蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対して0.3以上0.7以下であることを特徴とする蛍光体。
- 前記蛍光体粒子の表面の付活剤含有率が、前記蛍光体粒子の内部の付活剤含有率に対して0.5以上0.7以下であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
- 帯電量が0〜+30クーロンμC/gの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の前記蛍光体を放電セルに備えていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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