JP2005255819A - マンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体及びプラズマディスプレイパネル - Google Patents

マンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体及びプラズマディスプレイパネル Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、発光輝度が高く残光時間が短いマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体を得ることであり、該蛍光体を用いた、輝度の高い、滑らかな動画表示のプラズマディスプレイパネルを提供することである。
【解決手段】 マンガン平均含有率が粒子内部よりも、粒子表面において高い粒子から、実質的になることを特徴とするマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、マンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう)は、電極を備えた2枚のガラス基板と、基板間に設けられた隔壁によって形成される多数のセル内に蛍光体層が設けられている。電極間に電圧を印加してセルを放電させると、セル内に封入された放電ガスに起因する紫外線が発生し、これにより蛍光体が励起されて可視光を発光する。現在、PDP用の蛍光体として主に使用されているものに、(Y、Gd)BO3:Eu(赤)、Zn2SiO4:Mn(緑)、BaMgAl1017:Eu(青)等がある。
PDP等のディスプレイにおいては、輝度向上や滑らかな動画表示が求められている。輝度を高める手段の一つとして、蛍光体の発光強度の向上が挙げられる。特に、緑色蛍光体は視感度が高く、白色輝度向上の為には、緑色蛍光体の発光強度を高めることが重要である。一方、滑らかな動画表示の為には、極めて短い単位時間ごとに次々と情報を表示しなければならないが、緑色の蛍光体として用いられる前記Zn2SiO4:Mn(緑)は他の色と比べて残光時間が長く、次の新たな情報を表示したときに生じる残像や画像のちらつき等を生じる恐れがあり、発光強度の向上とともに残光時間の短縮化が求められている。
一般に、Zn2SiO4:Mn等のマンガンを賦活したケイ酸亜鉛蛍光体は、賦活剤であるマンガン量を変化させることにより発光強度や残光時間等をコントロールすることができる。しかしながら、発光強度と残光時間は多くの場合トレードオフの関係にあり、Zn2SiO4:Mn蛍光体に於いても、マンガン賦活量を多くすると残光時間は短くなるが一方で発光強度は低下していた。
蛍光体粒子において、表面層に蛍光体を分布させ、安価で輝度の高い蛍光体を得ようとする試みは例えば、特許文献1に記載されているが、本発明のごとく、粒子内部と表面層の組成変化により発光特性を改善しようとする試みはこれまで知られていない。
特開2002−180041号公報
本発明の目的は、発光輝度が高く残光時間が短いマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体を得ることであり、該蛍光体を用いた、輝度の高い、滑らかな動画表示のプラズマディスプレイパネルを提供することである。
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
(請求項1)
マンガン平均含有率が粒子内部よりも、粒子表面において高い粒子から、実質的になることを特徴とするマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体。
(請求項2)
粒子内部におけるマンガン平均含有率の値に対する粒子表面における平均マンガン含有率の値の比が50モル%以上、99モル%以下である粒子から、実質的になることを特徴とする請求項1に記載のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体。
(請求項3)
粒子表面におけるマンガン平均含有率の標準偏差(σ)が、0≦σ≦10の範囲であることを特徴とするマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体。
(請求項4)
粒子表面におけるマンガン平均含有率の標準偏差(σ)が、0≦σ≦10の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体。
(請求項5)
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体を含有する蛍光体層を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
本発明により、従来以上に、残光時間が短く、発光強度がたかい緑色発光のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体が得られ、またこれを用いた、輝度が高く滑らかな動画表示のプラズマディスプレイパネルが得られる。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
従来の、固相法等により形成したマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体粒子は、発光強度を強めようとすると残光時間が長くなるという現象から、発光輝度が高いと同時に残光の少ない蛍光体が得られなかったのに対し、本発明に係わるマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体粒子は、賦活剤であるマンガンの含有率を、粒子内部よりも、粒子表面において高くなるよう分布をもたせることにより、従来よりも発光強度が高く、且つ残光時間の短い蛍光体を得えるという目的が達成された。
本発明のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体粒子は、賦活剤であるマンガン平均含有率が粒子内部よりも粒子表面の方が高いことが特徴である。具体的には、粒子内部におけるマンガン平均含有率の値が粒子表面におけるマンガン平均含有率の値に対し50モル%以上99モル%以下であることが好ましく、60モル%以上90モル%以下であることが更に好ましく、70モル%以上80モル%以下であることが最も好ましい。粒子内部におけるマンガン平均含有率が、粒子表面におけるマンガン平均含有率の50モル%未満になると粒子の結晶性が悪くなり、所望の特性が得られない。
したがって本発明は、実質的に、賦活剤であるマンガンの含有率が、粒子内部よりも、粒子表面において高い蛍光体粒子からなるマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体粒子である。
実質的にとは、マンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体を構成する粒子の80%以上、好ましくは90%以上が前記の表面および粒子内部でのマンガンの分布を有することをいう。
本発明において、蛍光体粒子表面のマンガン含有率は、X線光電子分光法(ESCA)によって(例えばX線光電子分光分析装置ESCA Lab 200R等(VGエレメンタル社製)等を用い)求めることができる。
X線光電子分光法とは試料に単色化されたX線を照射して表面から放出された光電子の運動エネルギーを分析する方法であり、試料表面の深さ数nmに存在する元素組成を定性および定量することができる。さらに各元素のスペクトルには隣接する元素の影響を受けて化学シフト、電荷移動遷移に基づくとされるサテライト、多重項結合による内殻順位の分裂等が出現することから、各元素の化学状態の情報が得られる。
従って、X線光電子分光法により分析される表面とは、X線光電子分光法により分析が可能な表面より深さ約5nmまでの部分におけるマンガン含有率である。
個々の蛍光体粒子について表面分析を行うことは非常に時間がかかるので、本発明においては、蛍光体粒子表面のマンガン含有率を、以下のように近似的に求める方法により定義する。
即ち、蛍光体サンプルをよく攪拌し均一化した後に、無作為に50サンプルを分割して(約500mg程度をサンプリングする)、各分割サンプルについてX線光電子分光法(ESCA)によってマンガン元素の含有率を2回測定する。2回の平均を各分割サンプルのマンガン元素の平均含有率とする。このように50サンプルの測定を行うことで、各50サンプルに含まれる蛍光体粒子の平均値としてのマンガン元素の含有率が得られ、分割した各50サンプルについて測定したそれぞれの平均含有率を、50サンプルについて平均し、これを近似的に蛍光体の粒子表面のマンガン元素の平均含有率とみなす。これにより個々の蛍光体粒子総ての表面についての分析を行うことなく、近似的に蛍光体表面のマンガン平均含有率をうることができる。(単位は例えば、原子濃度atoms/cm3で得られる。)
また、測定した蛍光体の50分割サンプル間でのマンガン元素の平均含有率の標準偏差(σ)をとり、これを蛍光体の粒子表面のマンガン元素の平均含有率の粒子間でのバラツキの尺度に近似した。
本発明のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体は、これを構成する蛍光体粒子をの前記の方法により測定した、表面におけるマンガン平均含有率が、後述する、やはり近似的に求めた蛍光体粒子内部におけるマンガン元素の平均含有率に対し、高い特徴を有しており、これにより、本発明の効果である発光強度の向上と残光時間の短縮化がをもたらされる。
前記の通り、粒子内部におけるマンガン平均含有率は粒子表面におけるマンガン含有率の50モル%以上、99モル%以下であることが特に好ましい。
また、本発明のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体粒子において、上記により求めた、粒子表面におけるマンガン平均含有率の標準偏差(σ)は0≦σ≦10であることが好ましい。更に、0≦σ≦5であることが好ましく、0≦σ≦2であることがより好ましい。マンガンが局在化した粒子が存在すると、濃度消光や残光時間が長くなる等の問題を引き起こしやすくなり、所望の特性が得られない。
次に、前記蛍光体粒子内部におけるマンガン元素の平均含有率(組成)について説明する。
本発明において、蛍光体粒子内部におけるマンガン組成は、誘導結合プラズマ発光分光法によって確認を行うものである。
誘導結合プラズマ発光分光法とはアルゴンプラズマの高温中に試料を導入し,発生する各元素に特有の光を測定する方法であり、その光の強度は試料中の元素の量に比例することから,試料の高感度定性・定量分析が可能である。プラズマが高温であるためにほとんどの元素の最適測定条件がほぼ同じで,多元素同時分析や多元素逐次分析が可能である。
こちらについても各蛍光体粒子について、しかも、表面を除いた内部のマンガン元素の平均含有率について、個々に、かつ正確に求めることは事実上困難なので、以下に示すように、表面も含めた蛍光体粒子全体のマンガン元素のバルクの平均含有率をもって、内部のマンガン元素の平均含有率とする。前記X線光電子分光法による表面の分析は表面からせいぜい数nmの範囲に限定されるため、粒子全体のバルクの平均含有率を用いても、これは内部のマンガン元素平均含有率を近似的に表しているものとみなせる。
したがって、蛍光体粒子内部のマンガン元素の平均含有率については近似的に、以下の様に求める。例えば、蛍光体粒子をフッ酸等により溶解した後、誘導結合プラズマ発光分光法を用いて、蛍光体粒子全体のマンガン元素平均含有率を測定する。
誘導結合プラズマ発光分光法に用いる測定機器としては、例えばセイコー電子工業製誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS5000或いはVGエレメンタル社製誘導結合プラズマ質量分析装置QP−Ω等がある。定量の際には別途基準濃度液を調整し、検量線法で定量を行う。このようにして粒子全体のマンガン元素平均含有率を求め、これを粒子内部のマンガン元素の平均含有率と近似的にみなす。(単位は、原子濃度atoms/cm3
本発明のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体の製造について詳細に説明する。
本発明のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体の製造としては、特に限定されず、公知の方法を利用して作製することができるが、従来用いられている蛍光体母体を構成する元素と賦活剤元素を含む原料粉体を単に混合し、微量のフラックスと共に焼成するという固体間反応を用いる固相法に比べ、本発明においては液相合成法を用いて作製することが好ましい。
液相合成法とは、蛍光体原料を液相中で混合して前駆体を形成する前駆体形成工程と、得られた前駆体を焼成して蛍光体を得る焼成工程からなる方法を言う。なお、前駆体とは製造される蛍光体の中間体化合物であり、焼成処理により賦活され蛍光体となる化合物である。
前駆体形成工程には、共沈法、反応晶析法、ゾルゲル法等が好ましく用いられるが、特に、ケイ素又はシリカ等のケイ素化合物を前駆体の母核とし、共沈法により前駆体を形成すると好ましい。共沈法とは、共沈現象を利用して、蛍光体の原料となる元素を含む溶液を混合し、さらに沈殿剤を添加することによって、蛍光体前駆体の母核の周囲に賦活剤となる金属元素等を析出させた状態で、蛍光体前駆体を沈殿析出させ合成する方法を言う。共沈現象とは、溶液から沈殿を生じさせたとき、その状況では十分な溶解度があり、沈殿しないはずのイオンが沈殿に伴われる現象をいう。蛍光体の製造においては、蛍光体前駆体の母核の周囲に、賦活剤を構成する金属元素などが析出する現象を指す。
本発明においては、例えば、ケイ素系材料を液体に分散させてなるケイ素系液状物と沈殿剤を含有する溶液Aと、亜鉛化合物及びマンガン化合物を含有する溶液Bとを混合する。この時、溶液Bにアルカリ土類金属化合物を含有すると更に好ましい。これらは、例えば、塩化物や硝酸塩等の各種金属化合物であると好ましく、溶媒中で陽イオンの状態で溶解するものであることが好ましい。
溶媒としては、ケイ素系材料を実質的に溶解しなければどのようなものでもよく、水若しくはアルコール類又はそれらの混合物であることが好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。特に、エタノールが好ましい。
沈殿剤としては、有機酸または水酸化アルカリを好ましく使用できる。有機酸または水酸化アルカリは金属元素と反応し、沈殿物として有機酸塩または水酸化物を形成する。このとき、これらの沈殿物がケイ素系材料の周囲に析出していることが好ましい。
有機酸としては、カルボン酸基(−COOH)を有するものが好ましく、具体的には、シュウ酸、蟻酸、酢酸、酒石酸等が挙げられる。また、加水分解等により、シュウ酸、蟻酸、酢酸、酒石酸等を生じるものであってもよい。
水酸化アルカリとしては、水酸基(−OH)を有するもの、あるいは水と反応して水酸基を生じたり、加水分解により水酸基を生じたりするものであればいかなるものでもよく、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素等が挙げられる。この中で、アンモニアが好ましく使用され、特に好ましくはアルカリ金属を含まないアンモニアである。
液相合成法、中でも共沈法による前駆体結晶の形成により、前記マンガン含有率が内部においてよりも表面において高い前駆体が得られるが、例えば、前記ケイ素系材料を液体に分散させてなるケイ素系液状物と沈殿剤を含有する溶液Aと、亜鉛化合物及びマンガン化合物を含有する溶液Bとを混合する際に、賦活剤であるマンガン化合物の濃度を変化させ、即ち、初期の濃度よりも後半を低下させる等、更に前駆体結晶の内部と、表面でマンガンの分布を更に変化させることも好ましい。
前記のように共沈法により得られた前駆体粒子(賦活剤を含有する蛍光体母体結晶)はこれを液中からロ過分離し、蒸発乾固、遠心分離等の方法で回収した後に好ましくは洗浄を行い、更に乾燥および焼成を行う。乾燥温度については特に制限は無いが、乾燥温度は使用した溶媒が気化する温度付近以上の温度であることが好ましく、具体的には50〜300℃の範囲であることが好ましい。焼成温度についても特に制限はないが一般に600〜1500℃の範囲を好ましく使用できる。乾燥温度が高い場合は乾燥と同時に焼成が施されることがある。焼成は還元雰囲気下、酸化雰囲気下等のどの条件でもよく適宜選択することができる。更に必要に応じて焼成の後に還元処理または酸化処理などを施しても良い。
本発明のPDP用蛍光体の粒径は4.0μm以下である。従来の固相法では5μm〜20μmの平均粒径であり、分布がかなり広い粒子が形成されており賦活剤の分散に偏りがあるばかりか焼成での拡散移動に大きな時間を要するなど、発光強度、また製造の観点からみても問題があったのに対し、本発明では4.0μm以下でしかも粒径分布がよくコントロールできるメリットがある。本発明において粒径は、好ましくは3μm〜0.5μmである。
これらの粒径は、体積平均粒子径であり、体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対して求める)の平均値から得られた円換算平均粒径を、球形換算して求める。或いは、大塚電子製レーザー粒径解析システムや、マルバーン社製、ゼータサイザーを用いて求める事も出来る。
また粒径の変動係数は、粒子径の標準偏差を粒径で割った値であるが、この値が大きいほど粒子径の分布が広い事を意味する。
本発明に係わる方法により得られた蛍光体粒子については、体積平均粒子径の変動係数は100%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。
本発明に係わるマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体は発光強度、残光特性に優れており、プラズマディスプレイパネル用の緑色用蛍光体として用いると好ましい。
以下、プラズマディスプレイパネル(PDP)の実施の形態について説明する。
以下、図1を参照して、本発明に係るプラズマディスプレイパネルを説明する。なお、PDPには、電極の構造及び動作モードから大別すると、直流電圧を印加するDC型と、交流電圧を印加するAC型のものとがあるが、図1には、AC型PDPの構成概略の一例を示した。
図1に示すPDP1は、電極11、21が設けられた2枚の基板10、20と、これらの基板10、20の間に設けられた隔壁30と、この隔壁30によって所定形状に区画される複数の微少放電空間(以下、放電セルという)31とを有している。図1に示した放電セル31は、いわゆるストライプ型と呼ばれるもので、基板10、20を水平に配置したときに、隔壁30が所定間隔毎に平行に(すなわち、ストライプ状に)設けられたものである。各放電セル31R、31G、31Bには赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかに発光する蛍光体から構成された蛍光体層35R、35G、35Bが設けられている。また、各放電セル31の内側には、放電ガスが封入されており、平面視において前記電極11、21が交差する点が少なくとも一つ設けられている。
以下、PDP1の各構成要素について説明する。
まず、2枚の基板のうち、表示側に配置される前面板10側の構成について説明する。前面板10は、放電セル31から発せられる可視光を透過し、基板上に各種の情報表示を行うもので、PDP1の表示画面として機能する。
前面板10として、ソーダライムガラス(青板ガラス)等の可視光を透過する材料を好ましく使用できる。前面板10の厚さとしては、1〜8mmの範囲が好ましく、より好ましくは2mmである。前面板10には、表示電極11、誘電体層12、保護層13等が設けられている。
表示電極11は、前面板10の背面板20と対向する面に複数設けられ、規則正しく配置されている。表示電極11は、透明電極11aとバス電極11bとを備え、幅広の帯状に形成された透明電極11a上に、同じく帯状に形成されたバス電極11bが積層された構造となっている。なお、バス電極11bの幅は、透明電極11aよりも狭く形成されている。また、表示電極11は、平面視において前記した隔壁30と直交している。なお、表示電極11は所定の放電ギャップをあけて対向配置された2つで一組となっている。この一組の表示電極11、11間で、プラズマ放電を行うことにより、蛍光体層35R、35G、35Bから可視光を生じさせることができる。
前記透明電極11aとしては、ネサ膜等の透明電極が使用でき、そのシート抵抗は、100Ω以下であることが好ましい。透明電極11aの幅としては、10〜200μmの範囲が好ましい。
前記バス電極11bは、抵抗を下げるためものであり、Cr/Cu/Crのスパッタリング等により形成できる。バス電極11bの幅としては、5〜50μmの範囲が好ましい。
前記誘電体層12は、前面板10の表示電極11が配された表面全体を覆っている。誘電体層12は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。誘電体層12の厚さとしては、20〜30μmの範囲が好ましい。上記の誘電体層12の表面は保護層13により全体的に覆われる。保護層13は、MgO膜を使用することができる。保護層13の厚さとしては、0.5〜50μmの範囲が好ましい。
次に、2枚の基板10、20のうち、他方である背面板20側の構成について説明する。
背面板20には、アドレス電極21、誘電体層22、隔壁30、蛍光体層35R、35G、35B等が設けられている。
背面板20は、前面板10と同様に、ソーダライムガラス(青板ガラス)等が使用できる。背面板20の厚さとしては、1〜8mmの範囲が好ましく、より好ましくは2mm程度である。上記のアドレス電極21は、背面板20の、前面板20と対向する面に複数設けられている。アドレス電極21も、透明電極11aやバス電極11bと同様に帯状に形成されている。アドレス電極21は、平面視において、前記表示電極11と直交するように、所定間隔毎に複数設けられる。アドレス電極21は、Ag厚膜電極等の金属電極を使用することができる。アドレス電極21の幅は、100〜200μmの範囲が好ましい。
前記誘電体層22は、背面板20のアドレス電極21が配された表面全体を覆っている。この誘電体層22は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。誘電体層22の厚さとしては、20〜30μmの範囲が好ましい。上記の誘電体層22上に、背面板20側から前面板10側に突出するように、前記隔壁30が設けられる。隔壁30は長尺に形成され、アドレス電極21の両側方に設けられ、上記したように平面視においてストライプ状に放電セル31を形成する。隔壁30は、低融点ガラス等の誘電物質から形成することができる。隔壁30の幅は、10〜500μmの範囲が好ましく、100μm程度がより好ましい。隔壁30の高さ(厚み)としては、通常、10〜100μmの範囲であり、50μm程度が好ましい。放電セル31には、上述のように各色に発光する蛍光体層35R、35G、35Bのいずれかが規則正しい順序で設けられている。
各蛍光体層35R、35G、35Bのうち、緑色に発光する蛍光体層35Gは、前記式(1)で示される本発明に係るケイ酸亜鉛系蛍光体から構成すると好ましく、より好ましくは、Zn(2-X-Y)SiO4:MnX,MgYで表される蛍光体である。
赤色又は青色に発光する蛍光体層35R、35Bを構成する蛍光体については、特に限定されるものではないが、赤色に発光する蛍光体層35Rに用いる蛍光体としては、例えば、組成式が(Y,Gd)BO3:Euで示されるものを好ましく使用することができる。また、青色に発光する蛍光体層35Bに用いる蛍光体としては、例えば、組成式がBaMgAl1017:Euで示されるものを好ましく使用できる。また、上記各蛍光体層35R、35G、35Bの厚さは特に限定されるものではないが、5〜50μmの範囲が好ましい。
蛍光体層35Gの形成に当たっては、上記で製造したケイ酸亜鉛系蛍光体をバインダ、溶剤、分散剤などの混合物に分散し、適度な粘度に調整された蛍光体ペーストを放電セル31に塗布又は充填し、その後乾燥又は焼成することにより隔壁側面及び底面にケイ酸亜鉛系蛍光体が付着した蛍光体層35Gを形成する。蛍光体ペースト中のケイ酸亜鉛系蛍光体の含有量としては30質量%〜60質量%の範囲にするのが好ましい。
ケイ酸亜鉛系蛍光体粒子を良好に分散させるのに適したバインダとしては、エチルセルロースあるいはポリエチレンオキサイド(エチレンオキサイドのポリマー)が挙げられ、特に、エトキシ基(−OC25)の含有率が49〜54%のエチルセルロースを用いるのが好ましい。また、バインダとして感光性樹脂を用いることも可能である。バインダの含有量としては0.15質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。なお、隔壁30間に塗布される蛍光体ペーストの形状を整えるため、バインダの含有量は、ペースト粘度が高くなり過ぎない範囲内で多めに設定するのが好ましい。
溶剤としては、水酸基(OH基)を有する有機溶剤を混合したものを用いるのが好ましく、その有機溶剤の具体例としては、ターピネオール(C1018O)、ブチルカルビトールアセテート、ペンタンジオール(2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート)、ジペンテン(Dipentene、別名Limonen)、ブチルカルビトール等が挙げられる。これらの有機溶剤を混合した混合溶剤は、上記のバインダを溶解させる溶解性に優れており、蛍光体ペーストの分散性が良好になり好ましい。
蛍光体ペースト中の蛍光体粒子の分散安定性を向上させるために、分散剤として、界面活性剤を添加すると好ましい。蛍光体ペースト中の界面活性剤の含有量としては、分散安定性の向上効果あるいは後述する除電効果等を効果的に得る観点から、0.05質量%〜0.3質量%が好ましい。界面活性剤の具体例としては、(a)アニオン性界面活性剤、(b)カチオン性界面活性剤、(c)ノニオン性界面活性剤を用いることができ、それぞれ具体的には下記のようなものがある。
(a)アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸ポリカルボン酸高分子等が挙げられる。
(b)カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
(c)ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
更に、蛍光体ペーストに除電物質を添加すると好ましい。上記挙げた界面活性剤は、一般的に蛍光体ペーストの帯電を防止する除電作用も有しており、除電物質に該当するものが多い。但し、蛍光体、バインダ、溶剤の種類によって除電作用も異なるので、色々な種類の界面活性剤について試験を行って、結果の良好なものを選択するのが好ましい。除電物質としては、界面活性剤の他に、導電性の材料からなる微粒子も挙げることができる。導電性微粒子としては、カーボンブラックをはじめとするカーボン微粉末、グラファイトの微粉末、Al、Fe、Mg、Si、Cu、Sn、Agといった金属の微粉末、並びにこれらの金属酸化物からなる微粉末が挙げられる。このような導電性微粒子の添加量は、蛍光体ペーストに対して0.05〜1.0質量%の範囲とするのが好ましい。蛍光体ペーストに除電物質を添加することによって蛍光体ペーストの帯電により、例えば、パネル中央部のアドレス電極の切れ目における蛍光体層の盛り上がりや、セル内に塗布される蛍光体ペーストの量や溝への付着状態に若干のばらつきが生じる等の蛍光体層の形成不良を防ぎ、セル毎に均質な蛍光体層を形成することができる。
なお、上記のように除電物質として界面活性剤やカーボン微粉末を用いた場合には、蛍光体ペーストに含まれている溶剤やバインダを除去する蛍光体焼成工程において除電物質も蒸発あるいは焼失されるので、焼成後の蛍光体層中には除電物質が残存しない。従って、蛍光体層中に除電物質が残存することによってPDPの駆動(発光動作)に支障が生じる可能性もない。
ケイ酸亜鉛系蛍光体を上記各種混合物に分散する際には、例えば高速攪拌型のインペラー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミル、サンドミルなど媒体メディアを装置内で運動させてその衝突(crush)及び剪断力の両方により微粒化するもの、又はカッターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等を用いることができる。
上記のように調整した蛍光体ペーストを放電セル31に塗布又は充填する際には、スクリーン印刷法、フォトレジストフィルム法、インクジェット法など種々の方法で行うことができる。特に、インクジェット法は、隔壁30のピッチが狭く、放電セル31が微細に形成されている場合であっても、隔壁30間に低コストで容易に精度良く均一に蛍光体ペーストを塗布又は充填できるので好ましい。
本発明の緑色蛍光体を使用したプラズマディスプレイパネル(PDP)は、輝度が向上し、動画を滑らかに表示することができる。特に、視感度の高い緑色の蛍光体の発光強度が向上し、且つ、残光時間が短くなるので、白色輝度が向上するとともに、残光による残像や画像のちらつき等を防ぐことができる。
次に、実施例1〜3を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれにより何等限定されるものではない。
実施例1
(1)蛍光体1−1の製造
二酸化ケイ素45gを含むコロイダルシリカ(扶桑化学工業株式会社製 PL−3)とアンモニア水(28%)219gを純水に混合して液量を1500mlに調整したものをA液とした。同時に、硝酸亜鉛6水和物(関東化学株式会社製、純度99.0%)424gと硝酸マンガン6水和物(関東化学株式会社製、純度98.0%)21.5gを純水に溶解して液量を1500mlに調整したものをB液とした。
A液とB液を40℃に保温した後、ローラーポンプを使って50ml/minの添加速度でB液中にA液を供給した。反応により得られた沈殿物を純水で希釈後、加圧ろ過を行い固液分離した。次いで、100℃、12時間乾燥を行い、乾燥済み前駆体を得た。
次に、得られた前駆体を窒素100%の雰囲気中で1200℃、3時間焼成して蛍光体1−1を得た。
(2)蛍光体1−2の製造
乾燥済み前駆体を5時間焼成する以外は上記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−2を得た。
(3)蛍光体1−3の製造
乾燥済み前駆体を8時間焼成する以外は上記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−3を得た。
(4)蛍光体1−4の製造
乾燥済み前駆体を16時間焼成する以外は上記(1)の蛍光体1−1と同様にして蛍光体1−4を得た。
〔評価〕
上記の(1)〜(4)で得られた蛍光体1−1〜1−4について、組成分析、発光強度、1/10残光時間について評価を行った。
1.組成分析
蛍光体粒子表面のマンガン元素の平均含有率についてはVGエレメンタル社製X線光電子分光分析装置ESCALab200Rを用いた。
この時、蛍光体サンプルをよく攪拌した後に無作為に50分割して(各約500mg)、各分割サンプルについてマンガン元素の含有率を2回測定した。2回の平均を取り各分割サンプルの平均含有率とした。各50分割について測定した平均含有率からそれぞれの蛍光体のマンガン元素の平均含有率を求め、これを粒子表面のマンガン元素の平均含有率とみなした。平均含有率は、蛍光体1−1を100とした相対値で表し、また、それぞれの蛍光体の50分割間での、標準偏差(σ)を求めた。
蛍光体粒子内部におけるマンガン元素の平均含有率についてはフッ酸による溶解の後、セイコー電子工業製誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS5000あるいはVGエレメンタル社製誘導結合プラズマ質量分析装置QP−Ωを用いた。定量の際には別途関東化学製の標準原液及び硝酸(関東化学製 超高純度)を添加した基準濃度液を調整し、検量線法で定量を行った。このように粒子全体のマンガン元素の平均含有率を求め、これを粒子内部のマンガン元素の平均含有率とみなした。尚、この粒子内部のマンガン平均含有率も蛍光体1−1の粒子表面のマンガン元素の平均含有率を100とした相対値で表した。
2.発光強度
0.1〜1.5Paの真空槽内でエキシマ146nmランプ(ウシオ電機社製)を用いて真空紫外線を照射して、蛍光体から緑色光を発光させた。次に、得られた緑色光を検出器(大塚電子株式会社製 MCPD−3000)を用いてその発光強度を測定した。そして、蛍光体1−1を100とした相対値で発光のピーク強度を求めた。
3.1/10残光時間
蛍光寿命測定器を用いて測定した。残光時間は、励起光を遮断した後の発光強度が遮断直前の発光強度の1/10になるまでの時間とし、蛍光体1−1を100とした相対値で1/10残光時間を求めた。
Figure 2005255819
結果は、表1に示した通りで、発光強度は蛍光体1−1(比較例1)を100とした時、本願蛍光体1−2〜1−4は105〜115であった。1/10残光時間についても蛍光体1−1(比較例1)を100とした時、本願蛍光体1−2〜1−4は98〜90であり、共に大幅な改善が認められた。
実施例2
(1)蛍光体2−1の製造
二酸化ケイ素45gを含むコロイダルシリカ(扶桑化学工業株式会社製 PL−3)とアンモニア水(28%)219gを純水に混合して液量を1500mlに調整したものをA液とした。同時に、硝酸亜鉛6水和物(関東化学株式会社製、純度99.0%)424gと硝酸マンガン6水和物(関東化学株式会社製、純度98.0%)21.5gを純水に溶解して液量を1500mlに調整したものをB液とした。
A液とB液を40℃に保温した後、ローラーポンプを使って1200ml/minの添加速度で図2に示すY字形反応装置に供給した。反応により得られた沈殿物を純水で希釈後、加圧ろ過を行い固液分離した。次いで、100℃、12時間乾燥を行い、乾燥済み前駆体を得た。
次に、得られた前駆体を窒素100%の雰囲気中で1200℃、7時間焼成して蛍光体2−1を得た。
(2)蛍光体2−2の製造
前駆体形成時におけるA液とB液の添加速度を1600ml/minにする以外は上記(1)の蛍光体2−1と同様にして蛍光体2−2を得た。
(3)蛍光体2−3の製造
前駆体形成時におけるA液とB液の添加速度を2200ml/minにする以外は上記(1)の蛍光体2−1と同様にして蛍光体2−3を得た。
〔評価〕
上記の(1)〜(3)で得られた蛍光体2−1〜2−3について、組成分析、発光強度、1/10残光時間について評価を行った。尚、評価値は実施例1における相対値をそのまま用いた。
Figure 2005255819
結果は、表2に示した通りで、発光強度は蛍光体1−1(比較例1)を100とした時、本願蛍光体2−1〜2−3は116〜118であった。1/10残光時間についても蛍光体1−1(比較例1)を100とした時、本願蛍光体2−1〜2−3は84〜71であり、共に大幅な改善が認められた。
実施例3
実施例1で製造した蛍光体1−1及び1−4と実施例2で製造した蛍光体2−3と、下記に示す方法で製造した青色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体と、これらの蛍光体を含む蛍光体層を備えたPDPを製造し、白色輝度について評価した。
1.蛍光体の製造
(1)赤色発光蛍光体〔(Y,Gd)BO3:Eu3+〕の作製
保護コロイドの存在下で反応晶析法により赤色発光蛍光体前駆体を形成した。まず、純水300mlにゼラチン(平均分子量約1万5千)をその濃度が5質量%となるように溶解しA液とした。
また、硝酸イットリウム6水和物28.99gと、硝酸ガドリニウム15.88gと、硝酸ユ−ロピウム6水和物2.60gを純水に溶解して150mlに調整してB液とした。さらに、ホウ酸8.20gを純水に溶解して150mlに調整してC液とした。
次に、反応容器にA液を入れ温度を60℃に保ち、攪拌翼を用いて攪拌を行った。その状態で同じく60℃に保ったB液、C液をA液の入った反応容器下部ノズルより60ml/minの速度で等速添加を行った。添加後10分間熟成を行い、赤色発光前駆体を得た。その後赤色発光前駆体を濾過、乾燥(105℃、16時間)し、乾燥赤色発光蛍光体前駆体を得た。さらに乾燥赤色発光蛍光体前駆体を1,200℃酸化条件下で2時間焼成して赤色発光蛍光体を得た。
(2)青色発光蛍光体(BaMgAl1018:Eu2+)の作製
上記(1)と同様に、純水300mlにゼラチン(平均分子量約1万5千)をその濃度が5質量%となるように溶解し、A液とした。また、硝酸バリウム5.80gと、硝酸ユーロピウム6水和物0.89gと、硝酸マグネシウム6水和物5.13gを純水295.22mlに溶解し、B液とした。さらに、硝酸アルミニウム9水和物85.03gを純水268.85mlに溶解し、C液とした。
上記の様に調整したA液、B液、C液を上記の1(1)で示した方法と同様に反応晶析法により青色発光蛍光体前駆体を形成し、焼成等を行い、平均粒径0.52μmの青色発光蛍光体を得た。
2.蛍光体ペーストの調製
実施例1で製造した蛍光体1−1及び1−4と実施例2で製造した蛍光体2−3と上記で製造した赤色発光蛍光体、青色発光蛍光体を用いて、それぞれ蛍光体ペーストを調整した。調整の際には、それぞれの蛍光体の固形分濃度が50質量%となるようにして、エチルセルロース、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ターピネオール及びペンタンジオールの1:1混合液と共にそれぞれ混合した。得られた各混合物を、後述するPDPのセル内に塗布する蛍光体ペースト3−1〜3−3、及び赤色発光蛍光体ペースト、青色発光蛍光体ペーストとした。
3.PDPの製造
(1)PDP3−1の製造
上記で調整した蛍光体ペースト3−1と、赤色発光蛍光体ペースト、青色発光蛍光体ペーストを用いて、以下のように図1に示すPDPを製造した。
まず、前面板10となるガラス基板上に、透明電極11aとして透明電極を配置する。次に、Cr−Cu−Crをスパッタリングし、フォトエッチングを行うことによりバス電極11bを透明電極11a上に形成し、表示電極11とする。そして、前記表面ガラス基板10上に、表示電極11を覆うように低融点ガラスを印刷し、これを500〜600℃で焼成することにより誘電体層12を形成する。さらに誘電体層12の上に、MgOを電子ビーム蒸着して保護膜13を形成する。
一方、背面板20上には、Ag厚膜を印刷し、これを焼成することにより、アドレス電極21を形成する。そして、前記背面板20上で、且つ、アドレス電極21の両側方に隔壁30を形成する。隔壁30は、低融点ガラスをピッチ0.2mmで印刷し、焼成することにより形成できる。さらに、前記隔壁30により区画された放電セル31の底面(アドレス電極21上)と隔壁側面とに、上記蛍光体ペースト3−1と、赤色発光蛍光体ペースト、青色発光蛍光体ペーストを塗布又は充填する。このとき、一つの放電セル31につき、一色の蛍光体ペーストを用いる。その後、蛍光体ペーストを乾燥又は焼成して、ペースト中の有機成分を除去し、放電セル31R、31G、31Bにそれぞれ発光色が異なる蛍光体層35R、35G、35Bを形成する。
そして、前記電極11、21等が配置された前記前面板10と背面板20とを、それぞれの電極配置面が向き合うように位置合わせし、約1mmのギャップを保った状態で、その周辺をシールガラス(図示略)により封止する。そして、前記基板10、20間に、放電により紫外線を発生するキセノン(Xe)と主放電ガスのネオン(Ne)とを混合したガスを封入して気密密閉した後、エージングを行い、PDP3−1とした。
(2)PDP3−2の製造
上記(1)において、蛍光体ペースト3−1の代わりに、上記で調製した蛍光体ペースト3−2を用いる以外は、上記(1)のPDP3−1と同様にして、PDP3−2を製造した。
(3)PDP3−3の製造
上記(1)において、蛍光体ペースト3−1の代わりに、上記で調製した蛍光体ペースト3−3を用いる以外は、上記(1)のPDP3−1と同様にして、PDP3−3を製造した。
〔評価〕
1.白色輝度
上記で製造したPDP3−1〜3−3について、電極に同等維持電圧(180Vの交流電圧)を印加したときの白色輝度を測定した。そして、PDP3−1の白色輝度を100とした時のPDP3−2及びPDP3−3の相対値を求めた。
Figure 2005255819
結果は、表3に示した通りで、初期輝度はPDP3−1(比較例1)を100としたとき本願PDP3−2及び3−3は105及び109であった。
本願のケイ酸亜鉛系蛍光体によれば、マンガン平均含有率を粒子内部よりも粒子表面において高め、または、粒子表面においてマンガン平均含有率の標準偏差(σ)を0≦σ≦10の範囲とすることにより、発光強度を向上させ、且つ、残光時間も短くすることができる。
さらに、本願の蛍光体を用いたプラズマパネルディスプレイにおいては、パネル輝度の大幅な改善が可能になる。
本発明に係るプラズマパネルディスプレイの一例を示した概略構成図である。 実施例2で用いたY字形反応装置の概略構成図である。
符号の説明
1 PDP
10 前面板
20 背面板
30 隔壁
31 放電セル
35G、35B、35R 蛍光体層

Claims (5)

  1. マンガン平均含有率が粒子内部よりも、粒子表面において高い粒子から、実質的になることを特徴とするマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体。
  2. 粒子内部におけるマンガン平均含有率の値に対する粒子表面における平均マンガン含有率の値の比が50モル%以上、99モル%以下である粒子から、実質的になることを特徴とする請求項1に記載のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体。
  3. 粒子表面におけるマンガン平均含有率の標準偏差(σ)が、0≦σ≦10の範囲であることを特徴とするマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体。
  4. 粒子表面におけるマンガン平均含有率の標準偏差(σ)が、0≦σ≦10の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のマンガン賦活ケイ酸亜鉛系蛍光体を含有する蛍光体層を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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