JP2007103036A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】正極活物質としてコバルト酸リチウムに異種元素としてジルコニウム及び亜鉛が含有された六方晶系のリチウム含有遷移金属複合酸化物を用いた、充填性に優れ、また保存安定性に優れた非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】発明の非水電解質二次電池の正極活物質は、異種元素としてジルコニウム及び亜鉛が共沈により含有されたコバルト化合物を原料として製造された、六方晶系コバルト酸リチウムからなる。この六方晶系コバルト酸リチウムのジルコニウム含有量はコバルトに対し0.01〜1.0モル%であり、亜鉛含有量はコバルトに対し0.01〜5.0モル%であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関し、特に、正極活物質としてコバルト酸リチウムに異種元素が添加された六方晶系のリチウム含有遷移金属複合酸化物を用いた、充填性に優れ、また保存安定性に優れた非水電解質二次電池に関する。
携帯型の電子機器の急速な普及に伴い、それに使用される電池への要求仕様は、年々厳しくなり、特に小型・薄型化、高容量でサイクル特性が優れ、性能の安定したものが要求されている。そして、二次電池分野では他の電池に比べて高エネルギー密度であるリチウム非水電解質二次電池が注目され、このリチウム非水電解質二次電池の占める割合は二次電池市場において大きな伸びを示している。
図1は、従来から作製されている円筒形の非水電解質二次電池を縦方向に切断して示す斜視図である。この非水電解質二次電池10は、正極板11と負極板12とがセパレータ13を介して巻回された渦巻状電極体14を、この渦巻状電極体14の上下にそれぞれ絶縁板15及び16を配置した後、負極端子を兼ねるスチール製の円筒形の電池外装缶17の内部に収容し、負極板12の集電タブ12aを電池外装缶17の内側底部に溶接するとともに正極板11の集電タブ11aを安全装置が組み込まれた電流遮断封口体18の底板部に溶接し、この電池外装缶17の開口部から所定の非水電解液を注入した後、電流遮断封口体18によって電池外装缶17を密閉することにより製造されている。このような非水電解質二次電池は、電池性能や電池の信頼性が高いという優れた効果を奏するものである。
この非水電解質二次電池に使用される負極活物質としては、黒鉛、非晶質炭素などの炭素質材料がリチウム金属やリチウム合金に匹敵する放電電位を有しながらも、デンドライトが成長することがないために安全性が高く、さらに初期効率に優れ、電位平坦性も良好であり、また、密度も高いという優れた性質を有していることから広く用いられている。
また、非水電解液の非水溶媒としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、エステル類などが単独であるいは2種類以上が混合されて使用されているが、これらの中では特に誘電率が大きく、非水電解液のイオン伝導度が大きいカーボネート類が多く使用されている。
一方、正極活物質としては、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)、LiFeO(鉄酸リチウム)等のリチウム複合酸化物が炭素材料からなる負極と組み合わせることにより高エネルギー密度の4V級の非水電解質二次電池が得られることが知られている。このうち、特に各種電池特性が他のものに対して優れていることから、コバルト酸リチウムが多く使用されているが、コバルトは高価であると共に資源としての存在量が少ないため、このコバルト酸リチウムを非水電解質二次電池の正極材料として使用し続けるには非水電解質二次電池のさらなる高性能化及び高寿命化が望まれている。
このようなコバルト酸リチウムを正極活物質として用いた非水電解質二次電池の更なる高性能化及び高寿命化には、電池の高容量化及び保存性能の向上が必須の課題である。しかしながら、正極活物質であるコバルト酸リチウムは、充電時にリチウム基準で4V以上の電位に曝されるため、充放電サイクルを重ねるとコバルト酸リチウム中のコバルトが溶出することによって劣化し、負荷性能が低下するとともに放電容量が低下する。そこで、正極活物質であるコバルト酸リチウムの合成時に、コバルトに換えて他の遷移元素Mを添加含有し、一般式LiCo1−xで表されるリチウム含有遷移金属複合酸化物とすることでコバルトの溶出を抑制し、コバルト酸リチウムを使用した場合と同等ないしはそれ以上の各種電池特性を達成すべく現在に至るまで多くの開発がなされている。
たとえば、下記特許文献1には、正極活物質としてリチウム化合物と添加元素Mを共沈することにより得られた添加元素共沈酸化コバルト(ただし、添加元素Mは、Mg、Al、Cu、Znの中から選ばれる少なくとも1種)を用いることにより、活物質比容量が高く、優れた充放電サイクル特性を有し、電池厚み増加を抑制し得る非水電解質二次電池が得られることが示されている。同じく下記特許文献2には、正極活物質として一般式LiCo(式中、MはMg、Al、Si、Ti、Zn、Zr及びSnから選択された少なくとも1種の元素を示す)で表されるLi含有遷移金属複合酸化物を使用すると、相転移が抑制され、結晶構造の崩壊が少なく、高容量を維持しつつ充電時の熱安定性が改善されるとともに、良好な充放電特性を実現し得ることが示されている。更に、下記特許文献3には、正極活物質として、リチウムとコバルトを含む複合酸化物の粒子からなり、前記複合酸化物はMg、Cu、及びZnよりなる群から選択された元素Mと、Al、Ca、Ba、Sr、Y及びZrからなる群から選択された元素Mとからなり、元素Mは前記粒子中に均一に分布しており、元素Mは前記粒子の内部よりも表層部に多く分布しているものを用いることにより、正極活物質のタップ密度を減少させずにサイクル寿命特性と熱安定性の向上を達成し得る非水電解液二次電池が得られることが示されている。
また、下記特許文献4には、正極活物質としてコバルト化合物の合成時に共沈によりジルコニウムが0.01モル%以上、0.9モル%以下添加された六方晶系のリチウム含有コバルト複合酸化物を使用すると、容量低下や安全性を損なうことなく、サイクル性能の向上を達成し得る非水電解質二次電池が得られることが示されている。また、下記特許文献5には、正極活物質として、共沈によりコバルト量に対してジルコニウムが0.01〜1.0モル%、マグネシウムが0.01〜3.0モル%及びアルミニウムが0.01〜3.0モル%添加されたコバルト源としてのコバルト化合物と、リチウム源としてのリチウム化合物との合成により得られた一般式がLiCo1−x(M=Zr、Mg、Al)で表される六方晶系のリチウム含有コバルト複合酸化物を用いると、電池容量を低下させることなく、電池容量、サイクル特性及び安全性が向上した非水電解質二次電池が得られることが示されている。
特開2002−198051号公報(特許請求の範囲、段落[0082]) 特開2003− 45426号公報(特許請求の範囲、段落[0087]) 特開2004− 47437号公報(特許請求の範囲、段落[0087]) 特開2004−200101号公報(特許請求の範囲、段落[0050]) 特開2005−129489号公報(特許請求の範囲、段落[0014])
上述のように、正極活物質として、コバルト酸リチウムの合成時に他の遷移元素を添加含有したリチウム含有遷移金属酸化物を使用すると、コバルト酸リチウムを用いた場合に比べて優れたサイクル特性、熱安定性、負荷特性等を示す非水電解質二次電池を得ることができることが知られているが、更なる電池特性の向上を期待すべく異種元素の含有量を増加させると、結晶成長が阻害されるため、特に活物質の充填性、電池容量及び保存性能が低下し易いという問題点が存在している。
本出願人は、上述のような非水電解質二次電池用の正極活物質の開発状況を踏まえて、さらに活物質の充填性、電池容量及び保存性能の向上を達成できる正極活物質を得るべく種々検討を重ねた結果、正極活物質として特定製法により得られた特定の組成と結晶構造を有する異種元素を含有する六方晶系コバルト酸リチウムを使用することにより、活物質の充填性、電池容量及び保存性能に優れた非水電解質二次電池を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、正極活物質として異種元素を含有する六方晶系コバルト酸リチウムを使用した、活物質の充填性に優れ、また保存安定性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1に係る非水電解質二次電池の発明は、
正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、
前記正極活物質は、異種元素としてジルコニウム及び亜鉛が共沈により含有するコバルト化合物を原料として製造された、六方晶系コバルト酸リチウムからなることを特徴とする。
すなわち、請求項1に係る発明においては、異種元素としてのジルコニウム及び亜鉛の2元素をコバルト酸リチウムの合成用原料であるコバルト化合物調製時に共沈により同時に含有させる。この場合、異種元素としてのジルコニウム及び亜鉛ないしはこれらの化合物は、焼成後のコバルト酸リチウムに混合した場合や、リチウム原料、コバルト原料、ジルコニウム原料及び亜鉛原料を、粉末状態で混合して焼成した場合には(乾式混合焼成)、所定の効果は得られないが、予め共沈によりコバルト化合物中に同時に含有しておいてから六方晶系コバルト酸リチウムを合成することにより所定の効果を奏するようになる。
また、本発明においては、非水電解質二次電池を構成する非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、エステル類などを使用することができ、これら溶媒の2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中ではカーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好ましく、カーボネート類がさらに好適に用いられる。
具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、シクロペンタノン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3オキサゾリジン−2−オン、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、1,4−ジオキサンなどを挙げることができる。本発明では充放電効率を高める点からECを含む混合溶媒が好適に用いられるが、一般に環状カーボネートは高電位において酸化分解されやすいので、非水溶媒中のEC含有量を5体積%以上25体積%以下とすることが好ましい。
なお、本発明における非水電解液の溶質としては、非水電解質二次電池において一般に溶質として用いられるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。これらの中でも、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)が好ましく用いられる。高い充電電圧で充電する場合、正極の集電体として一般的に用いられているアルミニウムが溶解しやすくなるが、LiPFの存在下では、LiPFが分解することにより、アルミニウム表面に被膜が形成され、この被膜によってアルミニウムの溶解を抑制することができる。従って、リチウム塩としては、LiPFを用いることが好ましい。前記非水溶媒に対する溶質の溶解量は、0.5〜2.0モル/Lとするのが好ましい。また、これらの非水溶媒及び溶質を適当な高分子に含有させてゲル状としたものを用いることもできる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の非水電解質二次電池において、前記コバルト化合物はジルコニウム及び亜鉛が共沈により含有された炭酸コバルト又は水酸化コバルトであることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池において、前記六方晶系コバルト酸リチウム中のジルコニウム含有量はコバルトに対し0.01〜1.0モル%であり、亜鉛含有量はコバルトに対し0.01〜5.0モル%であることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池において、前記負極活物質が炭素質物からなることを特徴とする。この炭素質物としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、又はこれらの焼成体から選択された少なくとも一種を使用し得る。
請求項1に係る発明によれば、以下に実施例及び比較例を基に詳細に述べるように、活物質の充填性に優れ、また保存安定性に優れた、非水電解質二次電池が得られる。
また、請求項2に係る発明によれば、異種元素を含有したコバルト酸リチウムからなる正極活物質合成用のコバルト化合物としては、炭酸コバルト及び水酸化コバルト以外のコバルト化合物でも一応使用できるが、炭酸コバルト又は水酸化コバルトとして得る方がジルコニウム及び亜鉛と共に均質に効率よく共沈させることができ、しかも製法が簡便であり、また、安価となるために好ましい。
また、請求項3に係る発明によれば、六方晶系コバルト酸リチウムからなる正極活物質は、ジルコニウム含有量がコバルトに対し0.01〜1.0モル%であり、亜鉛含有量がコバルトに対し0.01〜5.0モル%の場合に良好な効果を奏する。この場合、ジルコニウムの含有量は、0.01モル%以上で保存特性向上効果が見られるが、1.0モル%を超えると活物質の充填性が低下するとともに電池容量の低下が見られるため、0.01〜1.0モル%の範囲であることが好ましい。亜鉛の含有量は、0.01モル%以上で保存特性向上効果が見られるが、5.0モル%を超えると電池容量の低下及び初期容量の低下が見られるため、0.01〜5.0モル%の範囲であることが好ましい。
また、請求項4に係る発明によれば、電池電圧は正極の電位と負極の電位との差で示され、電池電圧を大きくすることにより電池の容量を大きくすることができるが、負極活物質として電位の低い炭素質物(リチウム基準で約0.1V、例えば天然黒鉛や人造黒鉛)を用いると、電池電圧が高く、正極活物質の利用率の高い非水電解質二次電池が得られる。
以下、本願発明を実施するための最良の形態を実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための非水電解質二次電池の一例を例示するものであって、本発明をこの実施例に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
[実施例1〜7]
まず最初に、実施例1〜7の全てに共通する非水電解質二次電池の具体的製造方法について説明する。
[正極の作製]
異種元素含有コバルト酸リチウムは次のようにして作製した。まず、硫酸コバルト水溶液に所定量の硫酸ジルコニウムと硫酸亜鉛を添加した後、炭酸水素ナトリウムを加えることによって、ジルコニウム及び亜鉛が共沈した炭酸コバルトを得た。この後、このジルコニウム及び亜鉛が共沈した炭酸コバルトを酸素存在下において加熱分解反応を起こさせ、コバルト源の出発原料としてのジルコニウムと亜鉛が共沈にて含有された四酸化三コバルトを得た。
次いで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウムを用い、リチウムとコバルトとのモル比が1:1となるように炭酸リチウムとジルコニウム及び亜鉛が共沈にて含有された四酸化三コバルトとを秤量した。次いで、これらの化合物を乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中850℃で20時間焼成し、ジルコニウム及び亜鉛を含有する六方晶系コバルト酸リチウムの焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が10μmになるまで粉砕して正極活物質とした。得られた正極活物質中のジルコニウム及び亜鉛の含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析法により分析して求めた。
以上のようにして得られたジルコニウム及び亜鉛が共沈含有された六方晶系コバルト酸リチウム正極活物質粉末が85質量部、導電剤としての炭素粉末が10質量部、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン粉末が5質量部となるよう混合し、これをN−メチルピロリドン(NMP)溶液と混合してスラリーを調製した。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布、乾燥して、正極集電体の両面に活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて厚さ160μmに圧縮し、短辺の長さが55mm、長辺の長さが500mmの正極を作製した。
[負極の作製]
天然黒鉛粉末が95質量部、ポリフッ化ビニリデン粉末が5質量部となるように混合し、これをNMP溶液と混合してスラリーを調整し、このスラリーを厚さ18μmの銅製の集電体の両面にドクターブレード法により塗布、乾燥して、負極集電体の両面に活物質層を形成した。その後、圧縮ローラーを用いて155μmに圧縮し、短辺の長さが57mm、長辺の長さが550mmの負極を作製した。なお、黒鉛の電位はリチウム基準で0.1Vである。また、正極及び負極の活物質充填量は、設計基準となる正極活物質の電圧(例えば満充電電位がリチウム金属基準で4.3V)において、正極と負極の充電容量比(負極充電容量/正極充電容量)を1.1となるように調整した。
[電解液の作製]
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの等体積混合溶媒にLiPFを1モル/Lとなる割合で溶解して電解液とし、これを電池作製に供した。
[電池の作製]
上記の正極、負極及び電解液を用い、また、セパレータとしてポリプロピレン製微多孔膜を用い、実施例1〜7の円筒形の非水電解質二次電池(高さ65mm、直径18mm)を作製した。
[比較例1〜2]
比較例1〜2の電池は、[正極の作製]において、ジルコニウムまたは亜鉛のどちらが含有されないこと以外は実施例1〜7と同様にして作製した。
[比較例3]
また、比較例3の電池は、[正極の作製]において、ジルコニウム及び亜鉛を全く添加せずに正極活物質を合成した以外は実施例1〜7と同様にして作製した。
[比較例4]
また、比較例4の電池は、[正極の作製]において、亜鉛を共沈にて含有せずに、四酸化三コバルトと炭酸リチウムを混合する際に混合にて含有(乾式含有)したこと以外は実施例1〜7と同様にして作製した。
[比較例5]
また、比較例5の電池は、[正極の作製]において、ジルコニウムを共沈にて含有せずに、四酸化三コバルトと炭酸リチウムを混合する際に混合にて含有(乾式含有)したこと以外は実施例1〜7と同様にして作製した。
[電池初期容量の測定]
上述のようにして作製した実施例1〜7及び比較例1〜5の各電池について、25℃において、1500mAの定電流で充電し、電池の電圧が4.2Vになった後は4.2Vの定電圧で充電電流値が30mAになるまで初期充電した。この初期充電した電池について1500mAの定電流で電池電圧が2.75Vに達するまで放電を行い、この時の放電容量を初期容量として求めた。
[充填性]
試料充填部の直径φ=2cmのペレッタに、実施例1〜7及び比較例1〜2のそれぞれにおいて作製された正極活物質粉末を充填し、0.3t/cm(2.9×10MPa)の荷重をかけた後に正極活物質粉末の充填密度を評価した。結果は、比較例1の充填密度を100とした場合の相対値で評価した。
[保存試験]
初期容量を測定した実施例1〜7及び比較例1〜5の各電池について、1500mAの定電流で充電し、電池の電圧が4.2Vになった後は4.2Vの定電圧で充電電流値が30mAになるまで充電し、この再充電した電池を70℃で500時間保存し、その後1500mAの定電流で電池電圧が2.75Vに達するまで放電を行い、この時の放電容量を保存後容量とした。そして、以下の計算式に従って保存特性として求めた。これらの測定結果を以下の表1〜表4にそれぞれ異種金属の組成ごとにまとめて示す。
保存特性(%)=(保存後容量/初期容量)×100
Figure 2007103036
Figure 2007103036
Figure 2007103036
Figure 2007103036
[亜鉛の含有量について]
ジルコニウム含有量をコバルトに対し0.5モル%一定とし、亜鉛含有量をコバルトに対し0〜6.0モル%と変化させた場合の結果をまとめた表1の結果から次のことが分かる。すなわち、亜鉛含有量を0.01モル%以上とすることにより、亜鉛を含有しない比較例1の電池と比すると、保存特性は顕著に向上するが、亜鉛含有量が6.0モル%の実施例4では初期容量の低下が認められる。また、亜鉛を含有しない比較例1の電池では、初期容量は良好な結果が得られているが、保存特性が劣る。従って、亜鉛の含有量は0.01〜5.0モル%が好ましい。
[ジルコニウムの含有量について]
亜鉛含有量をコバルトに対し1.0モル%一定とし、ジルコニウム含有量をコバルトに対し0〜2モル%と変化させた場合の結果をまとめた表2の結果から次のことが分かる。すなわち、ジルコニウム含有量を0.01モル%以上とすることにより、ジルコニウムを含有しない比較例2の電池と比すると、保存特性が顕著に向上するが、ジルコニウム含有量が2モル%の実施例7では充填性が劣っていることが認められる。また、ジルコニウムを含有しない比較例2の電池では、充填性は良好な結果が得られているが、保存特性が劣る。従って、ジルコニウム含有量は0.01〜1.0モル%が好ましい。
[亜鉛の共沈含有について]
共沈含有したジルコニウムの含有量をコバルトに対し0.5モル%一定とし、亜鉛含有量としてコバルトに対し、0モル%(比較例1)、5.0モル%を共沈含有(実施例3)及び乾式含有(比較例4)した場合、及びジルコニウム及び亜鉛ともに含有なし(比較例3)の場合の結果をまとめた表3の結果から次のことが分かる。すなわち、ジルコニウムが共沈含有されているとともに亜鉛を共沈含有した実施例3では保存特性として92%という優れた結果が得られているが、亜鉛を乾式含有した比較例4では保存特性は87%と劣っており、また、亜鉛含有なしの比較例1及び比較例3でも保存特性は86〜87%と劣っている。従って、表3からは、異種元素としてジルコニウム及び亜鉛が共沈により含有されたコバルト化合物を原料として合成された六方晶系コバルト酸リチウムからなる正極活物質を用いる本発明の非水電解質二次電池の効果が確認できる。
[ジルコニウムの共沈含有について]
共沈含有した亜鉛の含有量をコバルトに対し1.0モル%一定とし、ジルコニウム含有量としてコバルトに対し、0モル%(比較例2)、1.0モル%を共沈含有(実施例6)及び乾式含有(比較例4)した場合の結果をまとめた表4の結果から次のことが分かる。すなわち、亜鉛が共沈含有されているとともにジルコニウムを共沈含有した実施例6では保存特性として92%という優れた結果が得られているが、ジルコニウムを乾式含有した比較例4では保存特性は87%と劣っており、また、ジルコニウム無添加の比較例2でも保存特性は87%と劣っている。従って、表4からは、異種元素としてジルコニウム及び亜鉛が共沈により含有されたコバルト化合物を原料として合成された六方晶系コバルト酸リチウムからなる正極活物質を用いる本発明の非水電解質二次電池の効果が確認できる。
表3及び表4に示した実施例3及び実施例6の結果から明らかなように、ジルコニウム及び亜鉛の少なくとも一方が共沈含有されていない場合と比較すると、両者が共沈含有されている場合には保存特性が顕著に向上する。このような効果が得られることの理由は現在のところまだ明確には解明されていないが、以下の理由によるものと推測される。すなわち、上述の従来例で示唆されているように、ジルコニウムを含有することによって、正極が高電位に曝された際にコバルトの溶出が抑制されることが知られているが、ジルコニウムの含有によって結晶性が低下傾向となり、保存性能は顕著には向上しない。ところが、亜鉛を更に含有すると、結晶性の低下が見られない上、含有された亜鉛が活物質表面近傍で活物質と電解液との反応性を抑制するため、ジルコニウム及び亜鉛が同時に共沈含有されることによって、正極活物質中のコバルトの溶解の抑制、正極活物質と電解液との反応性の抑制、正極活物質の結晶性の低下抑制が相乗効果となって、顕著な保存特性の向上効果が得られたものと推測される。
なお、上記実施例1〜7においては、コバルト、ジルコニウム及び亜鉛の出発原料として硫酸塩を用いた例のみを示したが、これに限らず、これらの金属の他の水溶性塩を用いてもよいし、或は、これらの金属を硫酸、硝酸等の酸に溶解させた溶液を用いてもよい。更に、上記実施例1〜7においては、ジルコニウム及び亜鉛が共沈により含有されたコバルト化合物として炭酸塩を用いた例を示したが、アルカリ添加による水酸化物を用いることもできる。
従来から作製されている円筒形の非水電解質二次電池を縦方向に切断して示す斜視図である。
符号の説明
10 非水電解質二次電池
11 正極板
12 負極板
13 セパレータ
14 渦巻状電極体
15、16 絶縁板
17 電池外装缶
18 電流遮断封口体

Claims (4)

  1. 正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池において、
    前記正極活物質は、異種元素としてジルコニウム及び亜鉛を共沈により含有するコバルト化合物を原料として製造された、六方晶系コバルト酸リチウムからなることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記コバルト化合物はジルコニウム及び亜鉛を共沈により含有する炭酸コバルト又は水酸化コバルトであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記六方晶系コバルト酸リチウムのジルコニウム含有量はコバルトに対し0.01〜1.0モル%であり、亜鉛含有量はコバルトに対し0.01〜5.0モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記負極活物質が炭素質物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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