以下、図面を参照して本発明の空調装置および空調装置用リモコン装置を、何れも浴室空調装置に適用した場合について説明する。
図1はこの発明を何れも適用できる浴室空調装置1の設置例であって、洗面所31に隣接した浴室32に浴室空調装置1が設置された状態を示す。浴室空調装置1は浴室32の天井に設置される。浴室32の天井パネルには、浴室空調装置1の下部側が入る開口部が形成され、浴室空調装置1は装置下部側の取り付けられたフロントパネル5が露出するように取り付けられる。実際には、天井裏から吊り下げて取り付けるか、天井パネルに固定した状態で取り付けられる。
浴室空調装置1に設けられた他室排気ダクト接続部33には他室排気ダクト34が接続される。他室排気ダクト34の先端部は、洗面所31の天井に設けられた洗面所排気吸込口35となされる。
浴室空調装置1に設けられた排気ダクト接続部36には排気ダクト37が接続される。排気ダクト37の先端部は、図示しない建物の外壁に取り付けた排気グリル38に接続される。この構成によって、浴室空調装置1で吸込んだ浴室32内の空気および他室排気ダクト34通じて吸込んだ、この例では洗面所31内の空気を、排気ダクト37を介して建物外に排気することができる。
浴室空調装置1は、洗濯物等を乾燥させる乾燥機能を有するので、浴室32には洗濯物等を掛けるランドリパイプ39を備える。ランドリパイプ39に吊り下げられた洗濯物に浴室空調装置1からの吹出す空気が当たるように、空気の吹出し方向が設定されている。浴槽32a外の洗い場32bに居る入浴者に吹出された空気が直接当たると、寒さを感じることがあるが、吹出し方向をランドリパイプ39側に設定することで、入浴者への直接的な吹出しを回避できる。なお、この吹出し方向の調整は自在である。
浴室32の入口に設置された浴室ドア40にはその下部などに空気取入口(ガラリ)40aを備えており、洗面所31等の空気を浴室32内に取り込めるようになっている。
図1では設置されている浴室空調装置1には他室排気ダクト接続部33(他室排気吸込口2c)が1つしかないようになっているが、実際には、その他にトイレからの他室排気ダクト接続部が設けられ、洗面所31からの排気だけではなく、トイレからの排気も可能なように構成されている。
もちろん、洗面所31と浴室32からの排気処理機構のみの浴室空調装置でも、この発明を適用できるし、他室排気吸込口を複数設け、複数の他室からの排気を吸込み、吸込んだ空気を他室排気ダクト34から排気する構成としても、さらには他室排気吸込口を設けず、他室からの排気の吸込みを行わない構成としてもよい。
図2はこの発明を浴室空調装置に適用したときの一例を示す要部を分解した概観図である。図3は図2構成のうち要部のA−A断面を示し、図4は同じく図2構成のうち要部のB−B断面を示す。また、図3および図4においては説明のため、一部の透視した状態を破線で示す。
図2〜図4に示すように、この浴室空調装置1は本体ケース2、換気ユニット3、循環ユニット4およびフロントパネル5を備える。本体ケース2は、図2のように所定の高さを有し、下部が開放された四角形状のケースである。図3および図4に示すように、換気ユニット3が循環ユニット4の上部に位置するように、換気ユニット3と循環ユニット4とが本体ケース2の内部に直接取り付けられる。ここに、換気ユニット3は本体ケース2に対して着脱自在に装着され、循環ユニット4は本体ケース2と換気ユニット3に対してそれぞれ着脱自在に装着される構成となっている。
図3に示すように、本体ケース2の下部開放部側にはフランジ2aが設けられ、このフランジ2aを用いてフロントパネル5が装着固定される。本体ケース2の側面には、屋外への排気のための排気口2bと、浴室以外の洗面所等から空気を吸込むための他室排気吸込口2cを備える。本体ケース2は不燃材が使用される。この例は製造性やコスト等を考慮して鉄材によって構成される。
換気ユニット3は、図3および図4に示すように換気ファンユニット6、換気用吸込部A7aおよび回路基板部8を有する。換気ファンユニット6は、多翼の換気ファン9と、この換気ファン9を回転駆動する換気ファンモータ10で構成され、さらに風路を形成する換気ファンケース11を有する。したがって、換気ファン9、換気ファンモータ10および換気ファンケース11とで換気手段が構成される。
換気ファンケース11は、換気ファン9の軸方向に沿って換気ファン吸込口9aが形成され、換気ファン吸込口9aが上面を向いた状態で、換気ファン9が本体ケース2に取り付けられる。換気ファンケース11は本体ケース2との間で、所定の高さLを保持するように本体ケース2に取り付け固定される。所定の風路を確保するためである。
また、換気ファンケース11の吹出し方向に形成された開口部が本体ケース2の排気口2bとなる。これによって、換気ファンケース11の内部と、本体ケース2の排気口2bが連通した排気風路12が形成される。
図4に示すように換気用吸込部A7aは、上面および下面がそれぞれ開放された筒状の部材により形成され、所定の高さLを保持した状態で換気ファンケース11の側部に取り付けられる。換気用吸込部A7aの下端面には、循環ユニット4に備えられた換気用吸込部B7bが接続される。換気用吸込部B7bも両端開放の筒状体であって、換気用吸込部A7aの内空間と連通された状態となる。この内空間は換気用吸込風路13の一部となる。
また、脱衣所、トイレ等の他室の空気を吸込む本体ケース2の他室排気吸込口2cと、本体ケース2内部の換気ファンユニット6上部の空間によって他室排気吸込風路14が形成される。
図3に示すように換気ファンユニット6の側部は回路基板部8となされる。回路基板部8には、浴室空調装置1の制御を行うための回路基板などが収納される。
図3および図4に示すように、循環ユニット4は循環ファンユニット15、加熱手段としてのヒータ16、吹出部17、換気用吸込部B7bおよびシャッタ26用の駆動室(電動室であって、図示はしない)とで構成される。
循環ファンユニット15は、多翼の循環ファン19と、循環ファン19を回転駆動する循環ファンモータ20を備える。また、循環ファンユニット15は、風路を形成するための循環ファンケース21を有し、その内部所定位置には循環ファン19と循環ファンモータ20が取り付け固定されている。図3に示す実施例では、循環ファン19は給気ファンとして機能し、循環ファンモータ20は給気ファンモータとして機能する。したがって、循環ファンケース21は給気ファンケースとして機能するので、これら循環ファン19、循環ファンモータ20および循環ファンケース21によって給気手段が構成されたことになる。
循環ファンケース21は、循環ファン19の軸方向に沿って循環用吸込口22が形成され、循環用吸込口22が下面を向いた状態で、本体ケース2に取り付けられる。循環ファンケース21の側面の開口部には、吹出部17が取り付けられる。吹出部17は、吸込側と吹出側の二箇所の開口部を備えた内部が空洞の筒状体である。吸込側の開口部は循環ファンケース21に取り付けられ、吹出側の開口部は下面を向いた状態になっている。この吹出部17の下面を向いた開口部が吹出口23となる。吹出部17の内部を通じて、吹出口23と循環ファンケース21の内部が連通するので、この連通部分が循環風路24として機能する。
循環風路24を形成する吹出部17の内部にはヒータ16が固定されている。ヒータ16としては、図示するようにPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを利用できる。加熱手段16としは、温水を用いた熱交換器などでもよい。
循環風路24内であって、循環ファンモータ20とヒータ16との間の空間内にはイオン発生装置(イオン発生手段)100が配される。図3の例では、循環ファンモータ20に近接した位置であって、ヒータ16の手前側に位置する循環ファンケース21の頂面に、その電極(放電極)が循環風路24内に臨むような形でイオン発生装置100が取り付け固定される。放電極がイオン放出面となる。イオン発生装置100を稼働すると、このイオン発生装置100で発生した正イオンと負イオンが、循環ファンモータ20からの循環風に乗って吹出口23から浴室内に送り出される。
イオン発生装置100の取り付け位置は、循環風路24内であればヒータ16の前方位置であってもよいし、循環ファンケース21の底面側でもよい。循環ファンケース21の底面側にイオン発生装置100を取り付け固定する場合には、
その底面側より浴室内にイオン発生操作手段100の本体が突出した状態で取り付けられることとなるが、この底面側は図1に示すフロントパネル5によってカバーされるため、特に問題はない。
イオン発生装置100は正イオンと負イオンの両方あるいは負イオンを発生する。正イオンと負イオンの発生原理を簡単に説明する。誘電体を介して対向させた一対の電極間に、家庭用交流電源などからの交流電圧を昇圧して印加すると、コロナ放電を起こす。コロナ放電によって空気中の酸素ないしは水分が電離する。この電離する際にエネルギーを受けて空気中の酸素や水分がイオン化し、H+(H2O)m(mは任意の自然数)と、O2 -(H2O)n(nは任意の自然数)を主体とするイオンを放出する。
これらイオンH+(H2O)mおよびO2 -(H2O)nは、浮遊菌の表面に付着することで化学反応を起こし、活性種であるH2O2又は・OHを生成する。ここに、・OHは活性種の一種であり、ラジカルのOHを示す。H2O2又は・OHは、極めて強力な活性を示すため、この活性種によって空気中の浮遊菌を取り込んで除去することができる。
このようにして生成されたほぼ同数の正イオンと負イオンを含んだ空気を、浴室32内に送風すれば、循環する空気に含まれる浮遊菌や、浴室32内の浮遊菌を除去して、カビなどの発生を抑制することができることになる。
さて、図4に示すように換気用吸込部B7bは、上面および下面が開放した筒状体であって、吹出部17の側部に位置する。換気用吸込部B7bの下面の開放部は、換気用吸込口25を形成する。循環ユニット4が本体ケース2および換気ユニット3に装着された状態では、循環ユニット4の換気用吸込部B7bの上面と、前述した換気ユニット3の換気用吸込部A7aの下面が接続されて一体となる。これにより、上述したように循環ユニット4の換気用吸込部A7aと換気ユニット3の換気用吸込部B7bとで換気用吸込部7が形成され、そしてその内部が換気用吸込風路13となる。
図4に示すように換気用吸込部B7bの換気用吸込口25の近傍には、シャッタ26が回動自在に設けられている。シャッタ26のシャッタ軸27には、図示しないが駆動ギアなどを介してシャッタ用の駆動モータ(図示しない)が連結されている。駆動モータは本体ケース2の電動室内に取り付け固定される。駆動モータとしてはステッピングモータが使用されている。シャッタ駆動モータを駆動することで、シャッタ26が回動し、シャッタ26の回動によって換気用吸込口25の開閉とその開閉度(開口度)を調整できる。
運転モードの一態様として、換気用吸込口25を開放した状態で換気ファン9を駆動する態様を考える。この運転モードでは浴室空調装置1の内部と外部にそれぞれ空気流が生じる。つまり換気ファン9によって、換気用吸込風路13を通じて換気用吸込口25から浴室空調装置1の外部空気を吸込む。さらに他室排気風路12を通じて他室排気吸込口2cから他室空気を吸込む。換気ファン9はこれら吸込んだ空気を、排気風路12を通じて排気口2bから浴室空調装置1の外部に吹出す(排気する)。
また、運転モードの他の態様として循環ファン19およびヒータ16を動作させた場合には、浴室空調装置1の内部と外部にそれぞれ空気流が生じる。循環ファン19が駆動されると、この循環ファン19によって循環用吸込口22から浴室空調装置1の外部空気を吸込む。そして吸込んだ空気を、循環風路24を通じて吹出口23から浴室空調装置1の外部に吹出す(排気する)。ヒータ16によって循環ユニット4の外部に吹出される空気が循環風路24の途中で温められる。さらに詳細な運転モードについては後述する。
なお、図2から図4のように浴室空調装置1を構成した場合には、金属製の本体ケース2に換気ユニット3および循環ユニット4を直接取り付ける構造であるため、浴室空調装置1を構成する各コンポーネントを取り付けるための空間を大きく取ることができる。
そのため、大口径のファンユニットを使用できるようになるから、より低速のファン回転数で同じ風量の吸込みおよび吹出しの空気の風量を得ることが可能になる。これによってファンの静音化や小型化を実現できる。
本体ケース2および換気ユニット3に対して、循環ユニット4が着脱自在に構成されているため、循環ユニット4および換気ユニット3等のメンテナンス性が向上するなどの特徴をがある。
図1に示すように、洗面所31の壁面の所定位置には、浴室空調装置1を制御するためのリモコン装置用リモコンパネル(操作部として機能する操作パネル)42が取り付けられている。リモコン装置50は図12に示すように制御部41を有する。
図5はリモコンパネル42の一例を示す構成図である。リモコンパネル42はLCDなどを使用した表示部42aと、各種操作ボタン等を備える。操作ボタンは運転モードを選択するためのボタン類であって、この例では、暖房運転モードを選択する暖房モードボタン42b、涼風運転モードを選択する涼風モードボタン42c、換気運転モードを選択する換気モードボタン42d、乾燥運転モードを選択する乾燥モードボタン42eを備える。
さらに前述した正イオンおよび負イオンを発生させるイオン発生モードボタン(除菌モードボタン)42fおよび24時間換気モードを選択するための24時間換気モードボタン42gを備える。除菌モード運転を行うに際しては、除菌モードボタン42fが押されてから各種モードボタン42b〜42eを選択して押してから、除菌モードボタン42fを押すようにしてもよい。
リモコンパネル42には、選択した運転モードを操作者が確認できるように、例えば各モードボタン42b〜42gに隣接して表示灯(ランプやLEDなどの表示部)52b〜52gが設けられる。選択された運転モードのモードボタンに対応する表示灯52b〜52gが点灯(このうち表示灯52fは点滅と点灯)する。リモコンパネル42にはさらにそれぞれの運転モードに対する稼働時間を設定するためのタイマ時間設定ボタン53が設けられている。この例ではアップダウンボタンで設定ボタン53が構成される。設定時間は表示部42aに表示される。この例では30分単位でタイマ時間を設定できるが、これは任意である。設定時間の上限を予め定めておくこともできる。
図6以下は選択した運転モードによって動作する浴室空調装置1の具体例である。
(1)換気運転モード
図6および図7は換気運転モード時の浴室空調装置1の動作状態を示す。換気モードボタン42dが押されたことを制御部41(後述する)で検出すると、換気運転モードを実行する。
換気運転モードでは換気ファンモータ10により換気ファン9が駆動されると共に、シャッタ26が回動して換気用吸込部7の換気用吸込口25が開放される。循環ファン19は停止制御となる。換気用吸込口25が開放されることで、フロントパネル5の換気用吸込口5cを介して、換気用吸込口25から浴室32の空気が吸込まれる。換気用吸込口25から吸込まれた空気は、換気用吸込風路13を通り換気ファン9に吸込まれる。
他室排気ダクト34および他室排気吸込口2cを通って、洗面所31等の他室の空気が吸込まれる。他室排気吸込口2cから吸込まれた空気は、他室排気風路12を通って換気ファン9に吸込まれる。換気ファン9に吸込まれた空気は、排気風路12および排気口2bを通り、さらに排気ダクト37を通って排気グリル38から屋外へ排気される。浴室32内の空気を屋外に排気することで、浴室ドア40に設けた空気取入口40aや他の居室のドアに設けたアンダーカット等から、洗面所31等やその他居室の空気が吸込まれる。
換気運転モードを実行することで、浴室32内の湯気や湿気を排気して結露等を抑制し、カビの発生を抑えることができる。
換気運転モードには、上述した通常の換気運転モードの他に、24時間換気運転モードなどがある。24時間換気運転モードにおいては、住宅全体又は住宅の所定エリアの容積について所定の換気回数(例えば0.5回/時間)を満たすように換気ファン9が動作して住宅内の換気が行われる。
24時間換気運転モードは、通常は連続運転されるが、断続運転によって所定の換気回数を実現することもできる。24時間換気運転モードは、図5に示すリモコンパネル42のボタン42hを操作することで実行される。24時間換気運転モードの動作時は、上述した通常の換気運転モードの動作時と同様に、換気ファンモータ10により換気ファン9が駆動される。さらにシャッタ用モータ30によりシャッタ26が回動され、換気用吸込部7の換気用吸込口25が開放される。
換気ファン9が駆動され、換気用吸込口25が開放されると、フロントパネル5の換気用吸込口5cを介して、換気用吸込口25から浴室32の空気が吸込まれる。換気用吸込口25から吸込まれた空気は、換気用吸込風路13を通り換気ファン9に吸込まれる。
他室排気ダクト34および他室排気吸込口2cを通って、洗面所31等の他室の空気が吸込まれる。他室排気吸込口2cから吸込まれた空気は、他室排気風路12を通って換気ファン9に吸込まれる。換気ファン9に吸込まれた空気は、排気風路12および排気口2bを通り、さらに排気ダクト37を通って排気グリル38から屋外へ排気される。
24時間換気運転モードが実行されている状態で、換気モードボタン42dが選択された際は、次に示すような方法により、住宅全体で換気される空気が所定の量に保たれる。24時間換気運転モードが実行されている状態で、換気モードボタン42dが選択されると、換気用吸込口25のシャッタ26の開度が広げられ浴室32内から吸込まれる空気の量が増やされる。これにより他室排気吸込口2cを介して吸込まれる他室の空気の量は少なくなり、住宅全体で換気される空気は所定の量に保たれる。
また、他室排気吸込口2cが複数備えられているような場合は、他室排気ダクト接続部33に電動式のシャッタを設け、このシャッタの開度を狭くすることにより洗面所31等の他室から吸込まれる空気の量を少なくし、住宅全体で換気される空気が所定の量に保たれるようにしてもよい。
洗面所31等の他室の照明スイッチ等を他室換気スイッチとして用いて、住宅全体で換気される空気が所定の量に保たれるようにしてもよい。他室換気スイッチが選択された際は、換気用吸込口25のシャッタ26の開度を狭くし、浴室32内から吸込まれる空気の量を少なくして、洗面所31等の他室の空気の吸込み量が増やされる。この結果、住宅全体などの所定のエリア内で換気量がほぼ一定に保たれる。
なお、換気ファン9の換気ファン吸込口9aが上面に配置されているので、24時間換気運転モードにより常時換気運転を行っても、ファンの運転音(騒音)が、浴室32内および浴室32を通じて洗面所31等に漏れることを防ぐことができる。
(2)暖房運転モード
図8および図9は暖房運転モード時の浴室空調装置1の動作状態を示す。暖房モードボタン42bが押されると、暖房運転モードを実行する。暖房運転モードでは、シャッタ26が回動されて、換気用吸込部7の換気用吸込口25が閉塞される。換気ファン9の回転は停止される。また暖房運転モードでは、循環ファンモータ20により循環ファン19が駆動される。さらに暖房運転モードではヒータ16が通電される。
循環ファンモータ20により循環ファン19が駆動されると、フロントパネル5の循環用吸込口5bを介して、循環用吸込口22から浴室32の空気が吸込まれる。循環用吸込口22から吸込まれた空気は、循環風路24を通り吹出口23から、フロントパネル5の吹出口5aを介して浴室32内に吹出される。ヒータ16は循環風路24に配置されているので、ヒータ16が通電され加熱された状態では、循環風路24を通る空気が暖められて吹出口23から吹出す。これにより、暖房運転モードを実行することができ、浴室32内の空気を循環させながら浴室32内を暖房して、室温を上げることができる。
上述では換気ファン9の回転は停止されるとした。しかし、洗面所31等の他室から吸込んだ空気を排気するために、暖房運転モード時に、換気用吸込部7の換気用吸込口25を閉塞した状態で換気ファン9を回転させるようにしてもよい。換気用吸込部7の換気用吸込口25を閉塞することにより、浴室32内の暖められた空気が浴室32の外に逃げることを防ぐことができる。
(3)乾燥運転モード
図10および図11は乾燥運転モード時の浴室空調装置1の動作状態を示す。
乾燥モードボタン42eが押されると、乾燥運転モードを実行する。乾燥運転モードでは、換気ファンモータ10により換気ファン9が駆動される。さらにシャッタ用モータ30によりシャッタ26が回動され、換気用吸込部7の換気用吸込口25が開放される。換気ファン9が駆動され、換気用吸込口25が開放されると、フロントパネル5の換気用吸込口5cを介して、換気用吸込口25から浴室32の空気が吸込まれる。換気用吸込口25から吸込まれた空気は、換気用吸込風路13を通り換気ファン9に吸込まれる。
他室排気ダクト34および他室排気吸込口2cを通って、洗面所31等の他室の空気が吸込まれる。他室排気吸込口2cから吸込まれた空気は、他室排気風路12を通って換気ファン9に吸込まれる。換気ファン9に吸込まれた空気は、排気風路12および排気口2bを通り、排気ダクト37を通って排気グリル38から屋外へ排気される。浴室32内の空気を屋外に排気することで、浴室ドア40に設けた空気取入口40aから、洗面所31等の空気が吸込まれる。
この乾燥運転モードでは、循環ファンモータ20により循環ファン19が駆動され、ヒータ16が通電される。循環ファンモータ20により循環ファン19が駆動されると、フロントパネル5の循環用吸込口5bを介して、循環用吸込口22から浴室32の空気が吸込まれる。循環用吸込口22から吸込まれた空気は、循環風路24を通り吹出口23から、フロントパネル5の吹出口5aを介して浴室32内に吹出される。ヒータ16は循環風路24に配置されるので、ヒータ16が通電され加熱された状態では、循環風路24を通る空気が暖められて吹出口23から吹出す。
これにより、乾燥運転モードを実行することで、浴室32内に温風を吹出して、ランドリパイプ39に掛けられた洗濯物を乾燥させることができる。浴室32内の空気の一部は屋外に排気され、空気取入口40aから洗面所31等の空気を取り込むことで、浴室32内の換気が行われるので、湿気等を排出して、洗濯物の乾燥を促進することができる。
(4)涼風運転モード
涼風運転モードを再び図10および図11を参照して説明する。涼風モードボタン42cが押されると、涼風運転モードを実行する。涼風運転モードでは、換気ファンモータ10により換気ファン9が駆動され、そしてシャッタ26が回動されて換気用吸込部7の換気用吸込口25が開放される。
換気ファン9が駆動され、換気用吸込口25が開放されると、フロントパネル5の換気用吸込口5cを介して、換気用吸込口25から浴室32の空気が吸込まれる。換気用吸込口25から吸込まれた空気は、換気用吸込風路13を通り換気ファン9に吸込まれる。他室排気ダクト34および他室排気吸込口2cを通って、洗面所31等の他室の空気が吸込まれる。他室排気吸込口2cから吸込まれた空気は、他室排気風路12を通って換気ファン9に吸込まれる。換気ファン9に吸込まれた空気は、排気風路12および排気口2bを通り、そして排気ダクト37を通って排気グリル38から屋外へ排気される。浴室32内の空気を屋外に排気することで、浴室ドア40に設けた空気取入口40aから、洗面所31等の空気が吸込まれる。
循環ファンモータ20により循環ファン19が駆動されると、フロントパネル5の循環用吸込口5bを介して、循環用吸込口22から浴室32の空気が吸込まれる。循環用吸込口22から吸込まれた空気は、循環風路24を通り吹出口23から、フロントパネル5の吹出口5aを介して浴室32内に吹出される。
このように涼風運転モードでは、浴室32内の湿度の高い空気を排気し、浴室32内の空気を循環させながら、浴室32内の温度に応じた涼風が吹出され、浴室空調装置1を夏場等に扇風機として使用することができる。換気ファン9の回転を停止させ、換気用吸込口25を閉塞させてもよい。
なお、換気ファン9の換気ファン吸込口9aが上面に配置されているので、浴室32および他室内の空気を取り込む際のファンの運転音が、浴室32内に大きく漏れることを防ぐことができる。これにより、浴室32内に漏れる浴室空調装置1の運転音が低減する。
(5)除菌モード
上述した各種運転モードとは別個独立してイオン発生の運転モード(除菌モード)が存在する。この運転モードが選択されると、基本的にはイオン発生装置100が稼働して浴室32内に正イオンと負イオンが放出される。これらのイオンが浴室32内に放出されると、浮遊菌が除去されて、浴室32の壁や天井へのカビの発生を抑制することができる。
イオン発生の運転モード(除菌モード)と上述した運転モードとを併用する場合には、特定の運転モード、特定の条件の下ではイオン発生モードが解除又は一時的に禁止される。イオン発生モードが解除されるのは暖房モードであり、一時的に禁止されるのは乾燥モードである。これら併用運転モードについての詳細は後述する。
上述したような各種運転モードを実現するため、この浴室空調装置1には図12に示すようなリモコン装置50に関連した制御系が設けられている。制御系の一例を図12の要部系統図を参照して説明すると、装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)やメモリ等で構成される制御部41には、上述したように換気ファン9を駆動する換気ファンモータ10、循環ファン19を駆動する循環ファンモータ20、シャッタ26を駆動するシャッタ用モータ30、ヒータ16、リモコン装置50の操作系を構成するリモコンパネル(操作部)42、さらにはイオン発生装置100等が接続される。
リモコン装置50の主体として機能する制御部41は、ROMなどのメモリ手段(図示はしない)に格納された処理プログラムを起動することによって、暖房運転モード、換気運転モード、涼風運転モード、乾燥運転モードおよびイオン発生モード(除菌モード)などの各種の運転モードを、リモコンパネル42の操作状態(ボタン操作に基づくオンオフ信号)を監視しながら実行する。
この例では、温度センサ51と湿度センサ52からの各センサ出力も制御部41に集められ、室温と湿度が表示部42aに表示できるようになされている。
さて、次に、上述したイオン発生モードとその他の運転モードを同時に選択したときの処理例を図13以下を参照して説明する。以下の説明では、イオン発生モードを除菌モードとして、表示灯をLEDとしてそれぞれ説明する。また、この処理例では、除菌モードのみの運転モードは採用されていない。つまり、除菌モードは他の運転モードが選択されたとき始めて稼働状態に遷移できるような処理系となっている。
図13は運転モード全体の処理例を、除菌モードを中心にして整理したときのフローチャートである。まず、リモコンパネル42上の操作ボタンが監視され、除菌モードボタン42fが押されたときは除菌モード用のLED52fを点滅させると共に、次に操作される操作ボタンを監視する(ステップ111、112)。操作されたボタンが換気モードボタン42dであるときは換気モード用のLED52dを点灯させると共に、除菌モード用LED52fを点灯状態に切り替える(ステップ113,114,115)。除菌モード用LED52fの表示状態を点滅より点灯状態に制御することで、他の運転モードが選択されたことを視覚的に確認できる。
LEDの点灯制御の後に除菌・循環換気処理モードに遷移する(ステップ114,115,130)。除菌・循環換気処理モードは、この例ではサブルーチン構成である。
この例では、換気モードが選択された場合でも、運転モードとしては除菌・換気処理モードが選択されるのではなく、除菌・循環換気処理モード(ステップ130)が選択される。換気モードは上述したように浴室32内の空気を屋外に排気するモードであるから、特にヒータ16などの加熱手段を使用する運転モードとは異なるが、浴室32内の空気が排気されることから、浴室32内に正イオンおよび負イオンを放出しても浴室32内に充分供給されない。一方、循環換気モードは上述したように涼風モードと同一の動作であって、このモードは循環風を浴室32内に送風して循環させると共に、その一部の循環風を屋外に排気するモードであるから、特にヒータ16などの加熱手段を使用する運転モードではない。したがって、この換気ボタン42dが操作されたときには、先に選択した除菌モードとの併用運転が可能になる。
そのため、換気モードボタン42dが操作されたときは、換気モード用LED52dは点灯させるものの、運転モードとしては除菌・循環換気モード(涼風運転モードと同一の動作)に遷移させることとする。
そのため、換気ボタン42dが操作されたときには、除菌・循環換気処理モードに遷移する。この除菌・循環換気処理ルーチンがコールされると、図14に示すようにまず除菌モードの稼働時間がセットされる(ステップ131)。併用運転であるため除菌モードの稼働時間がそのまま循環換気モードの稼働時間となる。稼働時間がセットされると次に前述した正イオンおよび負イオンを発生させる除菌モード用のイオン発生装置100が稼働するように制御される(ステップ132)。同時に循環換気モードが動作状態となる(ステップ134)。これによって、セットされた稼働時間が到来するまでの間、循環風が浴室32内に吹出されると共に、イオン発生装置100で発生させた正イオンと負イオンが浴室32内に放出されて、浮遊菌の除去がなされる(ステップ135,132,134)。
セットされた稼働時間が到来すると、除菌モード用イオン発生装置100の稼働と、循環換気モードの稼働がそれぞれ停止状態に制御される(ステップ136,137)。その後、除菌モード用LED52fと換気モード用LED52dのそれぞれが消灯状態に制御されてから(ステップ138)、メインルーチンにリターンする。このように、除菌・循環換気処理モードでは、何れの表示用LED52f、52cも点灯状態に制御されることから、除菌モードが稼働し、そして同時に循環換気モードが稼働していることが容易に把握できる。
図13に戻って、換気モードボタン42dの代わりに涼風モードボタン42cが操作されたときには、涼風モード用のLED52cは点灯制御され、そして除菌モード用LED52fは点滅状態から消灯状態に表示制御された後(ステップ116,117,118)、涼風処理(ステップ140)に遷移する。
図13において、操作されたボタンが涼風モードボタン42cでもなく、換気ボタン42dでもなく、暖房モードボタン42bであるときには(ステップ119)、まず暖房モード用LED52bを点灯させると共に、除菌モード用LEDを消灯状態に制御する(ステップ120,121)。
これは、上述したように暖房モードではヒータが使用されるため、イオン発生をさせても、カビの抑制等の除菌モードによる効果が期待できないため、暖房モードが選択されたときには、除菌モードが強制的に解除されたことをLED52fの消灯で告知するようにしたものである。
除菌モード用LED52fを消灯してから、暖房処理に遷移する(ステップ150)。暖房処理もサブルーチン構成であって、図15に示すようにこの場合にはまず暖房モードの稼働時間がセットされ(ステップ151)、その後暖房モードを稼働させる(ステップ152)。暖房モードの場合にはヒータ16への通電処理と、循環換気ファン21に対する駆動処理が行われる。これによって温風が浴室32内に吹出される。
設定された稼働時間が経過すると、暖房モードの運転を停止すると共に、暖房モード用LED52bの消灯処理が行われて、メインルーチンに戻る(ステップ153,154,155)。
再び図13に戻って説明する。操作されたボタンが乾燥モードボタン42eであるときには(ステップ122)、乾燥モード用LED123が点灯して、除菌・乾燥処理モードに遷移する(ステップ123,160)。
乾燥モードでは、ヒータが使用されて温風が浴室32内に送り出され、そして循環するようになっているため、乾燥モード期間中は除菌モードが禁止され、乾燥モード終了後に除菌モードの禁止状態が解除される。そのため、除菌モード用LED52fは点滅状態を継続させることで、除菌処理除菌モードが待機中であることが判るようになっている。
図16は除菌・乾燥処理例を示す。まず、除菌モード運転時間と乾燥時間がそれぞれセットされる(ステップ161)。これら稼働時間のセットが終了すると、乾燥モードの運転が開始される(ステップ162)。セットされた稼働時間が終了すると、乾燥モード用LED52eを消灯する(ステップ163,162,164)。
これと同時に、除菌モード用LED52fを点灯状態に切り替えて、除菌・涼風モードの運転を開始する(ステップ165,166)。これで、乾燥モードが終了したこと、乾燥モードの後に除菌・循環換気モードがスタートしたことをそれぞれ確認できる。除菌・循環換気モードでは、イオン発生装置100が駆動される。これと同時に涼風モードと同一の動作である循環換気モードが選択されて、循環風が浴室32内に送り出される。循環風に乗って浴室32内に正イオンと負イオンが放出されるため浮遊菌の除去によるカビ発生等の抑制が行われる。循環風の一部は屋外に排気される。
次に、セットした除菌モード運転時間が経過すると、除菌・循環換気モードの運転が停止し、この運転停止と共に、除菌モード用LED52fを消灯してから、メインルーチンにリターンする(ステップ167,168,169)。
この例では、乾燥モードが終了すると、除菌・循環換気モードに遷移するため、乾燥モードが終了した段階で、乾燥モード用LED52eを消灯したが、涼風モード用LED52cを点灯させてもよい。実際の運転モードは循環換気モードによる循環風の送り出しであるからである。
乾燥モードと除菌・循環換気モードとの運転態様は種々考えられる。図18に示す乾燥モードと除菌・循環換気モードとの関係は、上述した説明と同じであって、所定時間Taだけ乾燥運転モードで、その直後より所定時間Tbだけ除菌・涼風モードととして運転される(図18A,B)。
これに対して、図19の場合は、同図A,Bに示すように乾燥モードが終了した時点から所定の時間ΔT経過後に除菌・循環換気モードをスタートさせる。乾燥モードの後に多少の冷却期間ΔTを置き、浴室32内の温度を多少下げてから除菌・循環換気モードをスタートさせる場合である。
図20の例は、図19の場合よりも積極的に冷却処理を行う例であって、冷却モードとしては換気モードなどが考えられる。冷却期間Tcが経過してから除菌・涼風モードがスタートする(図20A、B、C)。
図21は、図18の変形例であって、乾燥モードと除菌・循環換気モードを数回にわたり繰り返す例である。図21A,Bの例は2回繰り返して運転モードを終了させている。
さて、図13において、除菌モードボタン42fが押されたにも拘わらず、その他の運転モードを選択する操作ボタンの何れも操作されなく(ステップ111,113,116,119,122)、しかも所定の時間(5〜10秒)が経過したときは除菌モードを強制解除すべく、除菌モード用LED52fを消灯して、ボタン操作の無効を知らせる(ステップ125,126)。除菌モード単独の運転モードは用意されていないからである。
図13の処理例では、換気モードボタン42dが操作されたときは、換気モードボタン42dの操作であっても、除菌・循環換気処理モード130に遷移させているが、除菌・換気処理モードとすることもできる。間違って操作したような操作者の誤解を回避するために有効であると考えられるし、積極的な効果も期待できるからである。
換気ボタン42dが操作されると、除菌モード用LED52fを点灯状態に切り替えたのち、除菌・換気処理モード(図17参照)に遷移する。この場合においても、図14の場合と同様に、まず除菌モードの稼働時間がセットされる(ステップ141)。併用運転であるため除菌モードの稼働時間がそのまま換気モードの稼働時間となる。
稼働時間がセットされると次に前述した正イオンおよび負イオンを発生させる除菌モード用のイオン発生装置100が稼働状態に制御される(ステップ142)。同時に換気モードが動作状態となる(ステップ144)。これによって、セットされた稼働時間が到来するまでの間、浴室32内の換気処理が行われると共に、イオン発生装置100で発生させた正イオンと負イオンが浴室32内に放出される(ステップ145,142,144)。
セットされた稼働時間が到来すると、前述のイオン発生装置100の稼働と、換気モードの稼働がそれぞれ停止状態に制御される(ステップ146,147)。その後、除菌モード用LED52fと換気モード用LED52dのそれぞれが消灯状態に制御されてから(ステップ148)、メインルーチンにリターンする。このように、除菌・換気処理モードでは、何れの表示用LED52f、52dも点灯状態に制御されることから、除菌モードが稼働し、そして同時に換気モードが稼働していることが容易に把握できる。
また、浴室32内に放出した正負イオンの一部は、換気用吸込口5c、25から排気通路12内に吸込まれるので、換気用吸込口5c、25や、排気通路12を構成する換気ファンケース11などの浮遊菌を除去して積極的にカビの発生を抑制できるので、換気ユニット3内の衛生状態を維持できる。
上述した実施例では、各運転モードを選択するための操作ボタンを操作したときには対応する表示灯が点灯するか点滅するように制御したが、これらの処理と共に、音声メッセージを行ってもよい。例えば、除菌モード用ボタン42fが押されたときは、「除菌モードが選択されました。」と言うようなメッセージを起動することもできる。したがって、除菌モード用ボタン42fが操作されたにも拘わらず、他の運転モード選択のための操作ボタンが操作されなかったときには、「除菌モードが解除されました。」と言うようなメッセージを流すことで、正しい操作を促すことができる。
上述した実施例では、この発明に係る空調装置を浴室空調装置に適用した場合であるが、その他の部屋に設置して使用される空調装置にもこの発明を適用できる。