JP2007100862A - クラッチ用のレリーズフォークとそのサポートの組合せ - Google Patents
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Abstract
【課題】摺動時において双方の摺動面の馴染み性を向上させて、アブレシブ摩耗及び凝着摩耗を抑制して、相手攻撃性を含めた耐摩耗性を向上させ、低摩擦係数を維持することができるクラッチ用のレリーズフォークとそのサポートの組合せを提供する。
【解決手段】車両のクラッチ10を構成するレリーズフォーク12と該レリーズフォーク12を支承するサポート12aとの組合せであって、前記レリーズフォーク12の表面のうち少なくとも前記サポート12aと摺動する摺動面には、四酸化三鉄(Fe3O4)の層が形成されており、該摺動面と摺動するサポート12aの摺動面には、非晶質炭素被膜が形成されてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】車両のクラッチ10を構成するレリーズフォーク12と該レリーズフォーク12を支承するサポート12aとの組合せであって、前記レリーズフォーク12の表面のうち少なくとも前記サポート12aと摺動する摺動面には、四酸化三鉄(Fe3O4)の層が形成されており、該摺動面と摺動するサポート12aの摺動面には、非晶質炭素被膜が形成されてなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両のクラッチを構成するレリーズフォークと該レリーズフォークを支承するサポートとの組合せに係り、特に、耐摩耗性を向上させ、低摩擦係数を維持することができるこれら部材の組合せに関する。
従来から、自動車において、エンジン、トランスミッション、クラッチなど様々な機器に摺動部材が用いられており、この摺動部材の摺動特性を向上させることにより、機器の動作不良を防止し、信頼性を高めるための様々な開発がなされている。
図3に示すように、例えば、自動車には、エンジン20とトランスミッション30間に、変速時や停止時における動力を切断し、かつ、車両の発進及び加減速時においてエンジンに大きな負担をかけずに確実にその動力を伝達するために、クラッチ10が設けられている。このようなクラッチ10は、運転者50がクラッチペダル11を踏むと、クラッチペダル11とリンク機構により接続されたレリーズフォーク12がサポート12aを回転中心として回動し、その他端がフライングホイール13内に配設されたクラッチシャフト14を介してレリーズレバー15を揺動させる。この結果、レリーズレバー15がエンジン20側にプレッシャプレート16を移動させてクラッチスプリング18によるクラッチディスク19への押圧を解除し、エンジン20からトランスミッション30への動力が切断される。このように、運転者50がクラッチ10を操作したときに、サポート12aに支承されたレリーズフォーク12は、サポート12aに高面圧を付与しながら摺動するので、長期間の使用によりフォーク摺動部分が摩耗し、クラッチ10の作動不良の原因となる虞があった。このような問題を鑑みて、クラッチフォークの摺動面に低摩擦材料を形成した自動車用乾式クラッチが提案されている(特許文献1参照)。
ところで、近年では、自動車機器の摺動部材の表面の摩擦係数の低減化、耐摩耗性の向上を図るべく、そのコーティング技術として、摺動部材の摺動面に非晶質炭素被膜(DLC被膜)を被覆する技術が注目されている。このDLC被膜を被覆する技術は、DLC被膜の表面粗さと相手摺動部材の表面粗さとを小さくし、摺動時に双方の摺動面を馴染ませて、DLC被膜が相手摺動部材を削るようなアブレシブ摩耗を抑制すると共に膜表面のグラファイト化を発現させて凝着摩耗を抑制することを目的としている。また、潤滑油を供給して摺動させた場合には、双方の摺動面の表面粗さを小さくすると、潤滑油により摺動面の油膜が保持されて境界潤滑状態に近づくので、更なる摺動特性の向上が期待される。そして、車両のクラッチ用のレリーズフォークとそのサポートであっても、摺動面にDLC被膜を形成する場合には、同様に双方の摺動面の表面粗さを小さくすることが求められる。しかし、図3に示すようなクラッチ用のレリーズフォークの形状は複雑であるために、サポートと摺動するレリーズフォークの摺動面の表面粗さを小さくすることは困難であり、たとえサポートの摺動表面にDLC被膜を形成したとしても、レリーズフォークの摺動面の表面粗さが大きいと摺動時に過多の摩耗粉が発生し、充分な耐摩耗性を得ることができない。
このような場合、耐摩耗性を向上させるために、レリーズフォークの表面に窒化浸炭などの表面処理を行うことも考えられるが、この焼入れによりレリーズフォークの摺動面の表面がさらに粗くなる虞もあり、この摺動面にDLC被膜を形成したサポートを摺動させても、双方が硬質であるために馴染み性が悪く、かえって初期摩耗粉が過多となり、摩耗が促進されてしまうこともある。
さらに、レリーズフォークの摺動面とそのサポートの摺動面は一般の摺動部材に比べて接触面圧が高いので、たとえ摺動面間に潤滑油を供給したとしても、摺動時には境界潤滑に近い状態となるため、凝着摩耗が発生し易い。よって、単に摩耗し易いレリーズフォークの摺動面(DLC被膜を形成していない摺動面)を硬質化したとしても、凝着摩耗を抑制することはできず、DLC被膜の一部が固体潤滑剤としてグラファイト化したとしても、充分な効果は期待できず、摺動時にDLC被膜を形成していない摺動面の表面を粗くしてしまう虞がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、たとえ複雑な形状により双方の摺動面の表面粗さを小さくすることができず、さらには、摺動面に高面圧が作用するような条件下で摺動するような、レリーズフォークとそのサポートの組合せであっても、摺動時において双方の摺動面の馴染み性を向上させて、アブレシブ摩耗及び凝着摩耗を抑制し、膜表面のグラファイト化を効率よく発現し、その結果として、相手攻撃性を含めた耐摩耗性を向上させ、低摩擦係数を維持することができるクラッチ用のレリーズフォークとそのサポートの組合せを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、クラッチ用のレリーズフォークとそのサポートの如く、摺動面の表面粗さを小さくできないレリーズフォークを高面圧条件下でサポートに摺動させた場合には、(1)レリーズフォークの表面をサポートの表面に馴染ませるように相対的に柔らかくし、かつ、(2)摺動面同士が凝着し難くするように、双方の表面の材質を選定することが重要であると考えた。
そこで、発明者らはこの考察に基づいて多くの実験と研究を行うことにより、このようなクラッチ用のレリーズフォークとそのサポートの材質の組合せとしては、表面粗さを小さくすることができないレリーズフォークの摺動面に四酸化三鉄(Fe3O4)を選定し、これに摺動する面には、非晶質炭素材料を選定することにより、上記(1)(2)の条件を満足するとの知見を得た。
本発明は、本発明者らが得た上記の新たな知見に基づくものであり、車両のクラッチを構成するレリーズフォークと該レリーズフォークを支承するサポートとの組合せであって、前記レリーズフォークの表面のうち少なくとも前記サポートと摺動する摺動面には、四酸化三鉄(Fe3O4)の層が形成されており、該摺動面と摺動するサポートの摺動面には、非晶質炭素被膜が形成されていることを特徴とする。
本発明の如きクラッチ用のレリーズフォークとサポートの組合せは、たとえレリーズフォークの表面の表面粗さを小さくすることができなくても、四酸化三鉄(Fe3O4)を選定したので、非晶質炭素被膜(DLC被膜)を形成した摺動面との馴染み性は向上し、DLC被膜によりレリーズフォークが削られるようなアブレシブ摩耗を抑制することができる。さらに、レリーズフォークとサポートとが摺動する摺動面に高面圧が作用しても、四酸化三鉄と非晶質炭素材料とが摺動するので、摺動面の凝着摩耗を抑制することができ、さらには摺動時の摺動抵抗を低減することができる。また、これらの部材の摺動面に介在するグリースや潤滑油が無くなったとしても、これら部材同士の摺動特性が損なわれることないので、クラッチの作動不良等を回避し、装置の信頼性を向上させることができる。
この非晶質炭素被膜を成膜する方法としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどを利用した物理気相成長法(PVD)により成膜してもよく、プラズマ処理などを利用した化学気相成長法(CVD)により成膜してもよい。
また、このレリーズフォークの摺動面の四酸化三鉄の層は、黒染め処理により形成されることがより好ましい。レリーズフォークは形状が複雑であるため摺動面の表面処理が難しいが、このような黒染め処理は処理液により浸漬させ表面処理を行うので、四酸化三鉄の層を均一に形成させることができ、安定した摺動特性を得ることができる。なお、本発明に係る「黒染め処理」とは、所定の温度に加熱した処理液中に被処理材を浸漬させて、被処理材の表面を酸化させる一般的な酸化処理のことであり、この処理液は、水酸化ナトリウム、ナトリウム系酸化剤等を主成分とするアルカリ系の処理液、または、クロム酸、硫酸を主成分とする酸系の処理液などが挙げられる。
また、このレリーズフォークの摺動面に形成された四酸化三鉄の層の厚さは、1.0μm以上であり、このサポートの摺動面に形成された非晶質炭素被膜(DLC被膜)の膜厚は、0.1μm以上であることが好ましい。
四酸化三鉄の層の厚さまたはDLC被膜の膜厚のいずれかが、この規定厚さよりも小さい場合には、この規定値を満たしていない部材の層または膜が、摺動時に摩滅してしまうため、摩滅後の耐摩耗性を維持することができない。
また、レリーズフォークの四酸化三鉄の層の表面硬さは、Hv500〜1300であることが好ましい。すなわち、この表面硬さがHv500よりも小さい場合には、サポートのDLC被膜が相対的に硬いため、この硬質の被膜が相手摺動部材であるレリーズフォークの四酸化三鉄の層を攻撃してしまい、この表面硬さがHv1300よりも大きい場合には、レリーズフォークの四酸化三鉄の層の表面硬さがDLC被膜の表面硬さに近づくため、この四酸化三鉄の層の摺動面が、サポートのDLC被膜の表面に馴染み難くなり、たとえこのような材料を選定し凝着摩耗を抑制したとしても、アブレシブ摩耗は抑制することができず、摺動面の摩耗を低減することができない。
そして、このような表面硬さの四酸化三鉄の層は、クロムモリブデン鋼、ステンレス鋼、軸受鋼などの鋼、ねずみ鋳鉄などの鋳鉄、からなる鉄系合金材料を基材としてレリーズフォークを製作し、少なくともその摺動面に黒染め処理を行うことにより得られるが、鋼または鋳鉄の表面を、火炎焼入れ、高周波焼入れ、浸炭焼入れ等の表面焼入れ、または、ショットピーニング等の加工硬化処理などの表面処理を行ってから、少なくともその摺動面に黒染め処理を行っても良い。
サポートの摺動面の形成した非晶質炭素被膜の表面硬さはHv1000以上、表面粗さは、中心線平均粗さRa0.5μm以下である。この非晶質炭素被膜の表面硬さがHv1000より大きいである場合には、この被膜の摩耗が促進しされてしまい、中心線平均粗さRa0.5μmである場合には、この被膜表面が粗いため相手摺動部材であるレリーズフォークの摺動面の摩耗を促進してしまい、結果として、双方の部材が摩耗することになる。
また、このような表面硬さを維持できるのであれば、非晶質炭素被膜中に、Si、Ti、Cr、Mo、Fe、W、Bなどの添加元素を添加してもよく、このような元素を添加することにより、被膜の表面硬さを調整することもできる。さらに、このような表面粗さは、成膜の基材の表面粗さ、成膜条件を調整することにより、得ることができる。
本発明によれるクラッチ用のレリーズフォークとそのサポートの組合せは、摺動時において双方の摺動面の馴染み性を向上させて、アブレシブ摩耗及び凝着摩耗を抑制し、膜表面のグラファイト化を効率よく発現し、その結果として、相手攻撃性を含めた耐摩耗性を向上させ、低摩擦係数を維持することができる。
以下に、本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
本発明に係るクラッチ用のレリーズフォークとして円筒試験片を製作した。そのサポートとしてサイコロ試験片を製作した。
本発明に係るクラッチ用のレリーズフォークとして円筒試験片を製作した。そのサポートとしてサイコロ試験片を製作した。
サイコロ試験片(サポート):非晶質炭素被膜を形成する基材として、表面粗さを中心線平均粗さRa0.1μmにした16×6×10mmのステンレス鋼(JIS規格:SUS440C、焼入れ品、Hv500)の棒材を用いて製作し、この基材の16×6mmの表面にスパッタリング装置(神戸製鋼所製)を用いて、非晶質炭素被膜を基材表面に成膜した。この成膜条件としては、炭素材料からなるターゲット(グラファイトターゲット)を装置内に配置し、ターゲットと基材との間に、アルゴン(Ar)ガス(不活性ガス)と、メタン(CH4)ガス(炭化水素系ガス)とからなる処理ガスを、処理ガス中のメタンガスの体積率が5%となるよう調整して流した。そして、この処理ガスを流した状態で、成膜温度(具体的には基材の温度)を100℃に保持して、ターゲットと基材との間に100Vに調整したバイアス電圧をかけながら、プラズマを発生させて、基板の表面にこれらターゲットのスパッタ粒子をスパッタリングすることにより、膜厚(層厚)が1.5μm、表面粗さが中心線平均粗さRa0.12μm、膜の表面硬さHv2000となるようにDLC被膜を成膜した。
円筒試験片(レリーズフォーク):摺動面に四酸化三鉄(Fe3O4)の層を形成する基材として、寸法が外径35mm、内径30mm、幅10mm、表面粗さが十点平均粗さRz9.0μmとなるようにステンレス鋼(JIS規格:SUS440C)を用いて基材を製作し、この基材を温度150℃のアルカリ水溶液中に所定時間浸漬させて(常法の黒染め処理により)、層厚み15μm、中心線平均粗さRa0.16μm、表面硬さHv700の四酸化三鉄(Fe3O4)の層を形成した。
摩擦摩耗試験:実機のクラッチを構成するレリーズフォークとそのサポートの摺動条件に合わせて、サイコロ試験片の非晶質炭素被膜を形成した16×6mmの面と、円筒試験片の外周面とを接触させて、その接触面(摺動面)に、潤滑油(SAE粘度グレード5W−30の市販エンジン油)を供給しながら荷重30kgf、回転数160rpmの条件で円筒試験片を30分間回転させ、摩擦係数を測定した。そして、試験終了後のサイコロ試験片の摩耗痕深さ、円筒試験片の摩耗重量(試験前後の重量差)を測定し、これらを摩耗量とした。その結果を図1、2及び表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様のサイコロ試験片及び円筒試験片を製作した。実施例2の試験片が実施例1の試験片と異なる点は、サイコロ試験片に形成するDLC被膜を、成膜時に、バイアス電圧、メタンガス濃度等を調整して、DLC被膜の表面硬さをHv3000とした点と、円筒試験片の基材をステンレス鋼の代わりに、高炭素クロム軸受鋼鋼材(JIS規格:SUJ2)を用いて製作し、その表面を黒染め処理した点である。これらのサイコロ試験片と円筒試験片とを用いて実施例1と同じ条件で摩耗試験を行った。その結果を図1、2及び表1に示す。
実施例1と同様のサイコロ試験片及び円筒試験片を製作した。実施例2の試験片が実施例1の試験片と異なる点は、サイコロ試験片に形成するDLC被膜を、成膜時に、バイアス電圧、メタンガス濃度等を調整して、DLC被膜の表面硬さをHv3000とした点と、円筒試験片の基材をステンレス鋼の代わりに、高炭素クロム軸受鋼鋼材(JIS規格:SUJ2)を用いて製作し、その表面を黒染め処理した点である。これらのサイコロ試験片と円筒試験片とを用いて実施例1と同じ条件で摩耗試験を行った。その結果を図1、2及び表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様のサイコロ試験片及び円筒試験片を製作した。比較例1の試験片が実施例1の試験片と異なる点は、円筒試験片の基材としてステンレス鋼(SUS440C)を用いた代わりに実施例2と同じ高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2)用いて製作した点と、この基材を黒染め処理する代わりに焼入れ処理を行って表面硬さをHv700にした点である。これらのサイコロ試験片と円筒試験片とを用いて実施例1と同じ条件で摩耗試験を行った。その結果を図1、2及び表1に示す。
実施例1と同様のサイコロ試験片及び円筒試験片を製作した。比較例1の試験片が実施例1の試験片と異なる点は、円筒試験片の基材としてステンレス鋼(SUS440C)を用いた代わりに実施例2と同じ高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2)用いて製作した点と、この基材を黒染め処理する代わりに焼入れ処理を行って表面硬さをHv700にした点である。これらのサイコロ試験片と円筒試験片とを用いて実施例1と同じ条件で摩耗試験を行った。その結果を図1、2及び表1に示す。
(結果1)
図1及び表1から、実施例1,2の円筒試験片の摩耗量は、0.05g前後で同程度の摩耗量あり、比較例1の円筒試験片の摩耗量に比べてどちらも少なかった。実施例1,2、比較例1のサイコロ試験片の摩耗量は、いずれも同程度の摩耗量であった。
図1及び表1から、実施例1,2の円筒試験片の摩耗量は、0.05g前後で同程度の摩耗量あり、比較例1の円筒試験片の摩耗量に比べてどちらも少なかった。実施例1,2、比較例1のサイコロ試験片の摩耗量は、いずれも同程度の摩耗量であった。
(結果2)
図2から実施例1,2及び比較例3のいずれの試験片も、試験開始から10分程度までは、摩擦係数が小さくなった。また、実施例1,2の摩擦係数は、同程度の値であり、いずれの時間であっても比較例1の摩擦係数よりも小さい値であった。
図2から実施例1,2及び比較例3のいずれの試験片も、試験開始から10分程度までは、摩擦係数が小さくなった。また、実施例1,2の摩擦係数は、同程度の値であり、いずれの時間であっても比較例1の摩擦係数よりも小さい値であった。
(評価1)
結果1から、レリーズフォーク(円筒試験片)とそのサポート(サイコロ試験片)のように摺動面に高面圧が作用する場合を想定して、比較例1の如く単にレリーズフォークの表面を焼入れし、その表面硬さ、表面粗さを実施例1,2と同程度にしたとしても、レリーズフォークの摺動面の摩耗は充分に低減することができないのは、摺動面に高面圧が作用する環境下では、アブレシブ摩耗だけではなく、凝着摩耗も起因して、これらの部材が摩耗したものであると考えられる。そして、実施例1,2の如くDLC被膜と四酸化三鉄(Fe3O4)とを組み合わせて摺動させることにより、凝着摩耗が抑制され、耐摩耗性が向上したものと考えられる。
結果1から、レリーズフォーク(円筒試験片)とそのサポート(サイコロ試験片)のように摺動面に高面圧が作用する場合を想定して、比較例1の如く単にレリーズフォークの表面を焼入れし、その表面硬さ、表面粗さを実施例1,2と同程度にしたとしても、レリーズフォークの摺動面の摩耗は充分に低減することができないのは、摺動面に高面圧が作用する環境下では、アブレシブ摩耗だけではなく、凝着摩耗も起因して、これらの部材が摩耗したものであると考えられる。そして、実施例1,2の如くDLC被膜と四酸化三鉄(Fe3O4)とを組み合わせて摺動させることにより、凝着摩耗が抑制され、耐摩耗性が向上したものと考えられる。
また、実施例1及び2の結果より、ステンレス鋼(SUS440C)または高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2)を用いた場合であっても摩耗量は変化しなかったことから、レリーズフォーク(円筒試験片)の基材の材質は、鋼または鋳鉄などの鉄系合金材料とし、この合金材料に四酸化三鉄の層を形成することができるのであれば、同様の効果が得られると考えられる。
(評価2)
結果2より、実施例1及び2が比較例1に比べて摩擦係数が低くなったのは、上述したように、レリーズフォーク(円筒試験片)とそのサポート(サイコロ試験片)との摺動面が凝着し難くなったことによると考えられる。
結果2より、実施例1及び2が比較例1に比べて摩擦係数が低くなったのは、上述したように、レリーズフォーク(円筒試験片)とそのサポート(サイコロ試験片)との摺動面が凝着し難くなったことによると考えられる。
本発明は、車両のクラッチ用のレリーズフォークとそのフォークを支承するサポートには特に好適であるが、高面圧下において摺動させるような摺動部品に利用することが有効である。
10…クラッチ,11…クラッチペダル,12…レリーズフォーク,12a…サポート,13…フライングホイール,14…クラッチシャフト,15…レリーズレバー,16…プレッシャプレート,18…クラッチスプリング,19…クラッチディスク,20…エンジン,30…トランスミッション
Claims (5)
- 車両のクラッチを構成するレリーズフォークと該レリーズフォークを支承するサポートとの組合せであって、
前記レリーズフォークの表面のうち少なくとも前記サポートと摺動する摺動面には、四酸化三鉄(Fe3O4)の層が形成されており、該摺動面に摺動するサポートの摺動面には、非晶質炭素被膜が形成されていることを特徴とするクラッチ用のレリーズフォークとサポートの組合せ。 - 前記四酸化三鉄(Fe3O4)の層は、黒染め処理により形成されることを特徴とする請求項1に記載のクラッチ用のレリーズフォークとサポートの組合せ。
- 前記四酸化三鉄(Fe3O4)の層の厚さは、1.0μm以上であり、前記非晶質炭素被膜の膜厚は、0.1μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のクラッチ用のレリーズフォークとサポートの組合せ。
- 前記四酸化三鉄(Fe3O4)の層の表面硬さは、Hv500〜1300であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクラッチ用のレリーズフォークとサポートの組合せ。
- 前記非晶質炭素被膜の表面硬さはHv1000以上、表面粗さは、中心線平均粗さRa0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレリーズフォークとサポートの組合せ。
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JP2005292560A JP2007100862A (ja) | 2005-10-05 | 2005-10-05 | クラッチ用のレリーズフォークとそのサポートの組合せ |
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2005
- 2005-10-05 JP JP2005292560A patent/JP2007100862A/ja active Pending
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A02 | Decision of refusal |
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