JP2007100280A - C型断面ポリエステル繊維の製法 - Google Patents

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輝彦 笠原
Yoshiyuki Tanaka
良幸 田中
Naoshi Kanashige
尚士 金重
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Abstract

【課題】 吸水拡散性、保水性、水分放散性に優れたC型断面を有するポリエステル繊維を容易且つ安定に製造し得る方法を提供する。
【解決手段】 孔径A=0.38〜0.52mmの紡糸吐出孔1個当たりの円周上に略均等配置した5〜9個の孔を有する紡糸口金から紡出された紡出糸を、紡糸口金直下に設けた冷却筒中を通過せしめる際、前記冷却筒から放出される流体が前記紡出糸と垂直に接触する点で前記紡出糸のポリマーの接着を阻害することによりC型断面を形成することを特徴とするC型断面ポリエステル繊維の製法、およびこの方法により製造された、単糸繊度2.2dtex以下、捲縮数10山/25mm以上、捲縮度が15%以上であることを特徴とするC型断面ポリエステル繊維。
【選択図】図5

Description

本発明は、C型断面を有するポリエステル繊維の製造方法に関するものである。
一般にC型断面形状を有する繊維は、その表面に親水化物を付与すると長手方向に連続した凹状部分の毛細管現象により、優れた吸水拡散性と保水性を発揮し、また一旦吸水した水分を迅速に放散させるという特徴を有している。従来、C型断面ポリエステル繊維を製造する方法として、湾曲スリットを2個向かい合わせに配置した紡糸孔を有する紡糸口金を用いて、スリットの内側から低溶融粘度ポリエステル、外側から高溶融粘度ポリエステルを接合して紡糸する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、ポリマー粘度の違うものを吐出することから、口金直下で糸の曲がりが生じたり、対面する糸との融着が生じるなど、安定してC型断面ポリエステルを得るのが困難であった。
特開昭59−187621号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、吸水拡散性、保水性、水分放散性に優れたC型断面を有するポリエステル繊維を容易且つ安定に製造し得る方法を提供することである。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
孔径A=0.38〜0.52mmの紡糸吐出孔1個当たりの円周上に略均等配置した5〜9個の孔を有する紡糸口金から紡出された紡出糸を、紡糸口金直下に設けた冷却筒中を通過せしめる際、前記冷却筒から放出される流体が前記紡出糸と垂直に接触する点で前記紡出糸のポリマーの接着を阻害することによりC型断面を形成することを特徴とするC型断面ポリエステル繊維の製法である。本発明の好ましい態様としては、冷却筒の風速が50〜100m/分である。また、本発明は、この方法により製造された、単糸繊度2.2dtex以下、捲縮数10山/25mm以上、捲縮度が15%以上であることを特徴とするC型断面ポリエステル繊維である。
本発明によれば、C型断面を有するポリエステル繊維を容易且つ安定に製造することができる。
本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明で使用する紡糸口金の一態様の平面図であり、紡糸孔を示している。すかかる紡糸孔からポリマーを紡出し、紡糸直下で冷却筒にて冷却することにより、吐出孔1個当たりの円周上に均等配置した5〜9個の孔を有する形状の口金から紡出された糸に対し、冷却筒のエアーが垂直に接触する点でのみ円周上の孔から紡出したポリマーの接着を阻害させることでC型断面形状の繊維となるのものである。
また、図2,図3は本発明により得られたC型断面ポリエステルの一態様の横断面の顕微鏡で撮影した断面写真である。本発明の繊維の断面形状がわかりやすくなっている。
本発明で使用する口金の孔は、紡糸孔1個当たりの円周上に均等配置した5〜9個の孔を有するものであるが、紡糸孔1個当たりの孔径Aは0.38〜0.52mm、好ましくは0.44〜0.52mmの範囲であることが必要であり、0.38mm未満であると円周上に均等配置する孔径が小さくなるため、ポリマー紡出時にポリマー中に含まれる異物により孔詰まりし易くなり、糸切れが多発し安定して製造することが困難となる。一方、0.52mm以上になると、得られる繊維の繊度が大きくなるため、繊維構造体形成時の緻密性が悪くなり毛細管現象による吸水効果に乏しくなる。更に、紡糸孔1個当たりの円周上に均等配置する孔数は5〜9個、好ましくは6〜8個の範囲であることが必要であり、紡糸孔1個当たりの円周上に均等配置する孔数が5個未満であれば、C型形状を形成することが困難となる。一方、孔数が9個以上になると1個の紡糸孔円周上に収まる孔数の孔径が小さくなるため、異物が詰まりやすくなり、紡糸で糸切れが多発する。
更に、本発明の製法はポリマー紡出時の冷却方法として、紡糸口金直下で冷却筒を使用することが好ましく、冷却筒により360℃から中心に向かってエアーを吹き付けることで、図4に示すように、紡糸孔1個当たりの紡出糸表面に対し、一定方向の安定したエアーが吹き付けられるため、紡糸孔1個当たりの円周上に均等配置する5〜9個の孔から紡出された糸は、エアーが垂直に接触する点でのみ接着が阻害されることで、C型断面が形成されると共に、一つの口金より紡出される全ての糸に対し、安定した冷却を施すことができる。又、冷却時の風速は50〜100m/分が好ましく、50m/分以下であると冷却が不十分となり隣接する紡糸孔から紡出された糸との融着が発生し易くなり、100m/分以上であると糸の走行が乱れ糸切れが多発する。一方、その他冷却方法としてICチムニー冷却のように、口金から紡出された糸全体に対して、同一方向のみのエアーによる冷却では、全ての糸に対して均一なエアーがかからないため、冷却が不十分になりC型断面を形成することが困難となる。
本発明におけるC型断面ポリエステル繊維は、吸水拡散性、保水性、さらに実用面から単繊維繊度2.2dtex以下、捲縮数10山/25mm以上、捲縮度15%以上が好ましい。本発明のC型断面ポリエステル繊維の単繊維繊度が2.2dtex以上であると、繊維構造体形成時の緻密度が悪くなり、吸水後の拡散性に乏しくなり、捲縮数10山/25mm以下、捲縮度15%以下であると、絡合性不足により製品加工時の工程通過性が著しく悪くなる。
なお、本発明で使用されるポリエステル繊維は、テレフタル酸とエチレングリコールあるいは、ブチレングリコールの縮合反応によって生成される高分子重合体およびセバシン酸、アジピン酸、トリメリット酸、イソフタル酸、パラオキシ安息香酸などとエチレングリコール、ブチレングリコールの縮合体、ならびに他のポリエステル類を含むポリエステル重合体などを意味するが、特に限定されるものではない。
以下実施例により、本発明を具体的に説明する。
溶融ポリマー密度が1.18g/ccとなるポリエチレンテレフタレートを図1に示す孔径A=0.44mmの紡糸吐出孔1個当たりの円周上に均等配置した孔径0.12mmの8個の孔を有する口金を用い、紡糸温度290℃、吐出量500g/分、引き取り速度1200m/分、冷却筒風速70m/分、冷却温度23℃に各々設定し、紡糸したところ図2および図3に示す良好なC型断面の繊維が安定に得られた。
本発明によれば、優れた吸水拡散性、保水性、及び水分放散性を有するC型断面形状のポリエステル繊維を容易且つ安定に製造することができ、更にはウェットワイパー用途において、レーヨン並の吸水性・保水性を有するため、ポリエステル混率の増大にも繋がり、その工業的価値は極めて大である。
本発明で使用する紡糸口金の一態様を示す平面図である。 本発明により得られたC型断面ポリエステル繊維の一態様の横断面の顕微鏡で撮影した断面写真である。 本発明により得られたC型断面ポリエステル繊維の一態様の横断面の顕微鏡で撮影した断面写真である。 本発明の冷却筒の一態様の断面概略説明図である。 本発明により得られる繊維のC型断面形成のメカニズムを示す図である。

Claims (3)

  1. 孔径A=0.38〜0.52mmの紡糸吐出孔1個当たりの円周上に略均等配置した5〜9個の孔を有する紡糸口金から紡出された紡出糸を、紡糸口金直下に設けた冷却筒中を通過せしめる際、前記冷却筒から放出される流体が前記紡出糸と垂直に接触する点で前記紡出糸のポリマーの接着を阻害することによりC型断面を形成することを特徴とするC型断面ポリエステル繊維の製法。
  2. 冷却筒の風速が50〜100m/分であることを特徴とする請求項1記載のC型断面ポリエステル繊維の製法。
  3. 請求項1又は2記載の方法により製造された、単糸繊度2.2dtex以下、捲縮数10山/25mm以上、捲縮度が15%以上であることを特徴とするC型断面ポリエステル繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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