JP2007099332A - 艶消しコーティング層を有する容器用ラベル、及びラベル付き容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造ラインにおける容器の転倒や詰まり、自動販売機に装填した場合の詰まり等を抑制、防止できる艶消しコーティング層を有する容器用ラベルを提供する。
【解決手段】 容器用ラベルは、容器に対して非接触側の表面の一部に艶消しコーティング層が設けられた、容器本体胴部全周を被覆するための容器用ラベルであって、容器に対して非接触側の表面のうち前記艶消しコーティング層が設けられた部位以外の表面に滑剤を含有するトップコート層が露出した状態で形成されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、艶消しコーティング層を有する容器用ラベルと、該ラベルが容器本体胴部全周を被覆するようにして装着されたラベル付き容器に関する。
清涼飲料水やお茶、コーヒー飲料などの飲料用のプラスチックボトルや、金属缶、ガラス瓶等の容器には、商品名やデザイン、内容物に関する説明等の表示が印刷されたシュリンクラベル等のラベルが、容器本体胴部の全周を被覆するようにして装着されている。近年、意匠性や表現性を高めるため、ラベルの容器に対して非接触側の表面の一部に艶消しコーティング層(マット層)を設けることが多く行われている(例えば、特許文献1参照)。このようなラベルでは、ラベル表面において基材フィルム本来の艶が発現している部分と艶消しされたマット部分とが共存するため、斬新なデザインが創出される。しかしながら、このようなラベルを装着した容器は、表面に滑り性の低い露出した基材フィルム部と滑り性の高い艶消しコーティング層部が存在するため、表面摩擦が部位によって相違する。このため、内容物の充填工程等の製造ラインにおいては、容器とライン壁面とが接触する際に、容器における接触部位によって抵抗が異なることから、容器の流れが不規則となり、容器が転倒したり、ラインが停滞するという問題が生じる。また、内容物入り容器(商品)を自動販売機に装填した場合には、商品の設置台から商品取り出し口に至る通路の床面や側壁に容器が接触する際、容器の接触部位により抵抗が異なるため、通路の途中で止まったり、進行方向に対して斜めに移動して側壁に当たって止まったりして、商品がスムーズに取り出し口に排出されないという問題も生じる。
特開2005−91806号公報
本発明の目的は、製造ラインにおける容器の転倒や詰まり、自動販売機に装填した場合の詰まり等を抑制、防止できる艶消しコーティング層を有する容器用ラベル、及び該容器用ラベルを装着したラベル付き容器を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、艶消しコーティング層を有する容器用ラベルにおいて、容器に対して非接触側の表面のうち艶消しコーティング層が設けられた部位以外の表面において特定のトップコート層が露出した状態で形成されていると、内容物充填ライン等の製造ラインにおいて、ボトルが倒れたり詰まったりすることなく円滑に流れること、また自動販売機に装填した場合にも商品が円滑に取り出し口まで落下することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、容器に対して非接触側の表面の一部に艶消しコーティング層が設けられた、容器本体胴部全周を被覆するための容器用ラベルであって、滑剤を含有するトップコート層が、容器に対して非接触側の表面のうち前記艶消しコーティング層が設けられた部位以外の部位において露出した状態で設けられている容器用ラベルを提供する。
本発明は、また、前記の容器用ラベルが容器本体胴部全周を被覆して装着されているラベル付き容器を提供する。
本発明によれば、容器に対して非接触側の表面のうち前記艶消し印刷層が設けられた部位以外の表面には滑剤を含有するトップコート層が露出しているので、艶消し印刷層部位とそれ以外の部位との滑り性の差が小さくなり(容器の表面摩擦が均等化し)、容器の他の容器又は搬送路壁面等との摩擦が均一化する。このため、内容物充填ラインなどの製造ラインにおいて、容器の転倒やラインの詰まりを抑制、防止できるとともに、内容物入り容器を自動販売機に装填した場合にも、商品の設置台から商品取り出し口に至る通路等で詰まることがなく、円滑に取り出し口に排出される。
以下、本発明を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明のラベル付き容器の一例を示す斜視図である。このラベル付き容器1は、容器本体2と蓋体(キャップ)3とからなる容器(角筒状ボトル)と容器用ラベル4とで構成されている。容器用ラベル4は、容器に対して非接触側の表面に艶消しコーティング層(マット層)が設けられた上半分を占める艶消しコーティング層部4aと、容器に対して非接触側の表面に滑剤を含有するトップコート層が設けられた下半分を占めるトップコート層部4bとからなっており、容器本体2の胴部の全体と肩部の一部の全周を被覆するように装着されている。
図2は本発明のラベル付き容器の他の例を示す斜視図である。このラベル付き容器11は、容器本体2と蓋体(キャップ)3とからなる容器(角筒状ボトル)と容器用ラベル4とで構成されている。容器用ラベル4は、容器に対して非接触側の表面に艶消しコーティング層(マット層)が設けられた艶消しコーティング層部4aと、容器に対して非接触側の表面に滑剤を含有するトップコート層が露出しているトップコート層部4bとからなっており、容器本体2の胴部の全体と肩部の一部の全周を被覆するように装着されている。トップコート層部4bは容器胴部の正面中央に円形状にあり、ラベルのその他の部分が艶消しコーティング層部位4aである。
上記のようなラベル付き容器では、ラベル表面の一部分を占めるトップコート層部4bに滑剤が含まれているため、該トップコート層部4bのライン壁面(例えばステンレス等の金属製の壁面など)等に対する滑り性が、ラベル表面の他の部分を占める艶消しコーティング層部4aの前記ライン壁面等に対する滑り性と近似したものとなる。そのため、内容物充填ライン等の製造ラインで容器とライン壁面とが接触する場合や、自動販売機(特に、温度が高く滑り性が低下しやすいホットベンダー)内で内容物入り容器の胴部が商品取り出し口までの通路の床面や側壁に接触する場合において、容器表面の各部位の滑り性の違いに起因する不規則な動きや、ラインの渋滞、詰まり等を抑制、防止でき、容器を円滑に搬送、搬出することができる。
容器本体2の材質は特に限定されず、プラスチック製、金属製(アルミニウム製、ステンレス製等)、ガラス製、紙製等の何れであってもよい。プラスチック製容器の場合の素材としては、例えば、ポリエステル系樹脂[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など]、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、ポリオレフィン系樹脂[低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレンなど]、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アリレート樹脂などのブロー成形可能な熱可塑性樹脂などが挙げられる。
容器本体2の胴部の形状としては、特に制限はなく、例えば、断面が円や楕円である円筒状、断面が四角形や六角形である多角柱状、円錐状、多角錐状などが挙げられる。胴部表面は凹凸や平面等を有していてもよい。好ましい容器本体2には、断面略四角形や多角形の角形プラスチック製ボトルなどが含まれる。容器本体2は、例えば、口部、肩部、胴部、底部を有する。
容器用ラベル4としては、容器本体2の少なくとも胴部(全部又は一部)の全周を被覆するものであって、該胴部に相当する位置にある容器非接触側の表面が、艶消しコーティング層(マット層)である部位と、滑剤を含有するトップコート層である部位とで構成されていればよい。なお、容器用ラベル4が容器本体2の胴部以外の箇所(例えば肩部)をも被覆する場合、該胴部以外の箇所に相当する位置のラベル表面の滑り性は、搬送性に特に影響を及ぼさないので、該ラベル表面には、必ずしも前記滑剤を含有するトップコート層を設ける必要はない。
容器用ラベル4は、基材として熱収縮性フィルムを用いたシュリンクラベル、基材として自己伸縮性を有するフィルムを用いたストレッチラベル、基材として熱収縮性及び自己伸縮性を有するフィルムを用いたストレッチシュリンクラベル、基材の片面に粘着剤層を設けた粘着ラベル、基材の片面に感熱接着剤層を設けた感熱ラベル等の何れのラベルであってもよい。容器用ラベル4を構成する基材としては、自己支持性を有するものであればよく、ラベルの種類に応じて、例えば、プラスチックフィルム、紙、金属箔又はこれらの積層体などから適宜選択して使用できる。なお、艶のある外観を得るため、基材は、単層の場合にはプラスチックフィルムで、また積層体である場合には最外層を透明なプラスチックフィルムで構成するのが好ましい。商品名やイラスト、取り扱い注意事項等を表示する印刷層(表示印刷層)は、透明な基材の両面のうち、艶消しコーティング層及び滑剤を含有するトップコート層の側とは反対側の面に形成することできる。また、印刷層(表示印刷層)は、基材と艶消しコーティング層及び/又は滑剤を含有するトップコート層との間に形成することもできる。
以下、容器用ラベルがシュリンクラベルである場合を中心に説明する。図3は容器用ラベル4(本発明の容器用ラベル)の一例を示す概略断面図である。この容器用ラベル4は、基材5と、基材5の一方の面の一部(図では左半分)に形成された艶消しコーティング層(マット層)8と、基材5の一方の面の残りの部分(図では右半分)に形成された滑剤を含有するトップコート層(オーバーコート層)9と、基材5の他方の面に形成された印刷層6と、さらにその上に形成された白ベタ印刷層7とで構成されたシュリンクラベルである。前記白ベタ印刷層7の表面が容器に対して接触側の面であり、艶消しコーティング層8及びトップコート層9の表面が容器に対して非接触側の面となる。また、容器用ラベル4のうち、容器に対して非接触側の表面に艶消しコーティング層8が設けられている部分が艶消しコーティング層部4aであり、容器に対して非接触側の表面にトップコート層9が設けられている部分がトップコート層部4bである。
図4は容器用ラベル4(本発明の容器用ラベル)の他の例を示す概略断面図である。この容器用ラベル4は、基材5と、基材5の一方の面に設けられたトップコート層(オーバーコート層)9と、該トップコート層上の一部に形成された艶消しコーティング層(マット層)8と、基材5の他方の面に形成された印刷層6と、さらにその上に形成された白ベタ印刷層7とで構成されたシュリンクラベルである。前記白ベタ印刷層7の表面が容器に対して接触側の面であり、艶消しコーティング層8及びトップコート層9の表面が容器に対して非接触側の面となる。また、容器用ラベル4のうち、容器に対して非接触側の表面において艶消しコーティング層8が設けられている部分が艶消しコーティング層部4aであり、容器に対して非接触側の表面においてトップコート層9が露出している部分がトップコート層部4bである。本発明では、この例のように、トップコート層9は艶消しコーティング層部4aにおいて艶消しコーティング層8の内側(基材側)に存在していてもよい。
図5は容器用ラベル4(本発明の容器用ラベル)のさらに他の例を示す概略断面図である。この容器用ラベル4は、基材5と、基材5の一方の面に形成された印刷層6と、さらにその上の全表面の一部(図では左半分)に形成された艶消しコーティング層8と、全表面の残りの部分(図では右半分)に形成された滑剤を含有するトップコート層9とで構成されているシュリンクラベルである。この例では、基材5の印刷層6とは反対側の面が容器に対して接触側の面であり、艶消し印刷層8及びトップコート層9の表面が容器に対して非接触側の面でとなる。また、この容器用ラベル4においても前記図3と同様、容器に対して非接触側の表面に艶消しコーティング層8が設けられている部分が艶消しコーティング層部4aであり、容器に対して非接触側の表面にトップコート層9が設けられている部分がトップコート層部4bである。
前記基材5としては、熱収縮性を有するプラスチックフィルムが用いられる。該プラスチックフィルムの素材としては、例えば、ポリエステル、スチレン系樹脂(スチレン−ブタジエン共重合体など)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの熱可塑性樹脂が好適に使用される。前記ポリエステルには、ジカルボン酸成分とジオール成分とで構成される種々のポリエステルが含まれる。前記ポリエステルとしては、テレフタル酸及びエチレングリコールを、それぞれジカルボン酸成分及びジオール成分の主成分として用い、共重合成分として、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分を用いた共重合ポリエステルが好適に用いられる。
基材5は単層フィルム及び多層フィルムの何れで構成されていてもよい。基材5の厚みは、外観、ラベルの取扱性、コスト等を考慮して適宜選択できるが、一般には20〜80μm、好ましくは30〜60μm程度である。
印刷層6は、商品名やイラスト、取り扱い注意事項等を表示した層であり、グラビア印刷やフレキソ印刷等の慣用の印刷法により形成することができる。印刷層6の形成に用いられる印刷インキとしては、特に制限されず前記印刷法に応じて適宜選択できる。印刷層6の厚みとしては、特に制限されず、例えば0.1〜5μm程度である。
白ベタ印刷層7は印刷層6の背景となる層であり、印刷層6を覆うようにして基材5の全面に形成される。白ベタ印刷層7は、通常、酸化チタン等の隠蔽性の顔料を含む印刷インキをグラビア印刷等の慣用の印刷法を用いて印刷することにより形成される。白ベタ印刷層7の厚みは、例えば1.0〜10μm程度である。なお、白ベタ印刷層7は必ずしも設ける必要はない。
艶消しコーティング層8はベース樹脂と艶消し作用を有する粒子とで構成される。ベース樹脂としては、特に制限されず、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、セルロール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。ベース樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
艶消し作用を有する粒子としては、特に制限されず、公知乃至慣用のマット層形成用粒子を使用できる。該粒子として、例えば、アクリルビーズ、中空アクリルビーズ、メラミン樹脂などの有機粒子;シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機粒子が挙げられる。これらの粒子は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。艶消し作用を有する粒子の平均粒子径は、粒子の種類によっても異なるが、通常0.5〜30μm、好ましくは1〜20μmである。
艶消しコーティング層8中の艶消し作用を有する粒子の量は、デザイン性を損なわない範囲で適宜選択できるが、固形分換算で、一般に5〜50重量%、好ましくは7〜40重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。
艶消しコーティング層8は、必要に応じて、添加剤を含有していてもよい。このような添加剤として、例えば、沈降防止剤、滑剤、分散安定剤、体質顔料や各種着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などが例示される。
艶消しコーティング層8は、前記ベース樹脂と、艶消し作用を有する粒子と、溶媒と、必要に応じて各種添加剤とを含む艶消しコーティング剤(マットニス)を基材の所定部位に印刷又は塗布し、乾燥することにより形成できる。溶媒としては、特に制限はないが、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;トルエンなどの炭化水素類;これらの混合溶媒などが挙げられる。艶消しコーティング層8の厚みは、例えば0.5〜5μm程度である。
艶消しコーティング層8の光沢度(グロス)は、意匠性等を考慮して適宜選択できるが、通常5〜50、好ましくは7〜30である。光沢度は、JIS K 5600−4−7に準拠(角度60°)して測定した値である。
前記滑剤を含有するトップコート層9はベース樹脂と滑剤とで構成される。ベース樹脂としては、特に制限されず、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、セルロール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。ベース樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
滑剤としては、滑り性を高める作用を有するものであればよく、有機系滑剤、無機系滑剤の何れも用いることができる。滑剤としては、例えば、粒子状固体物質(特に、微粒子状固体物質)、ワックス、シリコーンオイルなどが挙げられる。滑剤は、単独で又は2種以上混合して使用できる。滑剤として2種以上を組み合わせて使用する場合、無機粒子(特に、無機微粒子)又はシリコーンオイルとワックスとの組み合わせが好ましい。
粒子状固体物質には無機粒子(粉末状無機物質等)と有機粒子(粉末状有機物質等)とがある。無機粒子としては、例えば、シリカ、タルク、雲母、カオリン、ベントナイト、クレー、黒鉛、フッ化黒鉛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス粉、アルミナ、金属粉などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸ブチル等の高級脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド等の高級脂肪酸アミド、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸の塩(金属石けん)、ポリアセタール、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸アミド、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、デンプン、セルロース系樹脂、フッ素樹脂などの粉末などが挙げられる。有機粒子の中でもフッ素樹脂が好ましい。
前記フッ素樹脂としては、少なくともフッ素原子含有単量体をモノマー成分として含有する樹脂を用いることができる。すなわち、フッ素樹脂としては、フッ素原子含有単量体のみによる重合体であってもよく、フッ素原子含有単量体と、該フッ素原子含有単量体と共重合可能な共重合性単量体とによる共重合体であってもよい。
前記フッ素原子含有単量体としては、フッ素原子含有ビニル系単量体を好適に用いることができる。該フッ素原子含有ビニル系単量体としては、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン(ビニリデンフルオライド)、1,2−ジフルオロエチレン、モノフルオロエチレン(ビニルフルオライド)等のフッ化エチレン;ヘキサフルオロプロピレン等のフッ化プロピレン;ヘキサフルオロイソブチレン等のフッ化イソブチレン;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)などが挙げられる。フッ素原子含有単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、共重合性単量体としては、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィン系単量体の他、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素原子含有ビニル単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体などが挙げられる。共重合性単量体は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。共重合性単量体として、カルボキシル基含有ビニル単量体等の官能基を含有する共重合性単量体が用いられていてもよい。
フッ素樹脂の代表的な例として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(EPE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)などが例示される。本発明では、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、又はテトラフルオロエチレンと、他のフッ素原子含有単量体(ヘキサフルオロプロピレンやパーフルオロアルキルビニルエーテルなど)及び/又は共重合性単量体(エチレンなど)とによる共重合体(テトラフルオロエチレン系共重合体)を好適に用いることができる。フッ素樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
フッ素樹脂等の有機粒子(樹脂粉末等)において、その形態は特に制限されず、例えば、定形状(略球形状、略方形状、略扁平状、略針状など)であってもよく、断面が一定でない不定形状であってもよい。また、等方性又は異方性を有していてもよい。さらに、有機粒子の断面は、全体的に丸まっている形状(略円形状)や角張っている形状(略方形状)、鋸歯状やギザギザ状であってもよく、さらに尖った部分(尖状部)等を有する形状などであってもよい。例えば、フッ素樹脂の粉末としては、断面が一定ではなく、尖状部、凹状部、凸状部、糸状部、繊維状部、球状部、扁平状部、孔部等を有する不定形状を有する粉末状のフッ素樹脂を用いることができる。なお、繊維状(ファイバー状)の形状を有しているフッ素樹脂粉末は、アンカー効果を発揮することができる。
粒子状固体物質(例えば、フッ素樹脂粉末)において、その平均粒子径は、特に制限されないが、平均粒子径が15μm以下であることが好ましい。具体的には、粒子状固体物質の平均粒子径は、例えば、0.01〜20μm、好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは1〜12μm程度である。粒子状固体物質の平均粒子径が小さすぎると、滑り性の向上に寄与しなくなる場合がある。粒子状固体物質の平均粒子径が大きすぎると、トップコート層9形成部位の艶が低下して艶消しコーティング層8形成部位との差異が小さくなり、意匠性が下がるため好ましくない。
滑剤としてのワックスには、マイクロクリスタリンワックス、酸化マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、酸化パラフィン、モンタンワックスなどの鉱物系ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス、塩素化ポリプロピレンワックス、エチレン−アクリル酸共重合体ワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス、ポリカーボネートワックスなどの合成ワックス;漆ロウ、密ロウ、白ロウ、木蝋、鯨蝋、ワセリン、ラノリン、カルナバワックス、ケーンワックス、キャンデリラワックス、セラックワックス、ライスワックス、シュガーワックスなどの天然ワックスなどが含まれる。シリコーンオイルとしては、特に制限されず、滑り性向上のために通常用いられるシリコーンオイルを使用できる。
滑剤としては、ポリエチレンワックスなどのワックスと、シリコーンオイルとを組み合わせて用いる場合、両者の割合は、広い範囲から選択することが可能であり、例えば、ワックス/シリコーンオイル=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10の範囲から選択することができる。
滑剤を含有するトップコート層9中の滑剤の量は、デザイン性やラベルの装着性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、固形分換算で、一般に0.3〜30重量%、好ましくは1〜25重量%である。
トップコート層9は、必要に応じて、添加剤を含有していてもよい。このような添加剤として、例えば、沈降防止剤、滑剤、分散安定剤、体質顔料や各種着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などが例示される。
トップコート層9は、前記ベース樹脂と、滑剤と、溶媒と、必要に応じて各種添加剤とを含むトップコート剤(透明ニス)を基材の所定部位に印刷又は塗布し、乾燥することにより形成できる。溶媒としては、特に制限はないが、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;トルエンなどの炭化水素類;これらの混合溶媒などが挙げられる。トップコート層9の厚みは、例えば0.5〜5μm程度である。
トップコート層9の光沢度(グロス)は、意匠性等を考慮して適宜選択できるが、通常60〜150、好ましくは80〜130である。光沢度は、JIS K 5600−4−7に準拠(角度60°)して測定した値である。トップコート層9の光沢度(グロス)は、用いる滑剤の種類、平均粒子径、及び添加量を調整することによりコントロールできる。
本発明においては、搬送性、自動販売機内における通路での滑り性の点から、ラベルにおけるトップコート層9の外面の摩擦係数(静摩擦係数又は動摩擦係数、特に静摩擦係数)及び艶消しコーティング層8の外面の摩擦係数(静摩擦係数又は動摩擦係数、特に静摩擦係数)がともに、ステンレス鋼板に対して、0.45以下(例えば、0.15〜0.45、特に0.15〜0.35、なかでも0.18〜0.25)であるのが好ましい。特に、トップコート層9の外面のステンレス鋼板に対する摩擦係数と、艶消しコーティング層8の外面のステンレス鋼板に対する摩擦係数が近い値ほど好ましい。例えば、トップコート層9の外面のステンレス鋼板に対する静摩擦係数と艶消しコーティング層8の外面のステンレス鋼板に対する静摩擦係数との差は、好ましくは0.10以内、さらに好ましくは0.07以内、特に好ましくは0.04以内である。このようなラベルを装着した容器(特に角形ボトル)では、例えば自動販売機に装填して販売する場合、自動販売機の設置台から容易に滑り出した後、取り出し口までの通路において、商品が進行方向に対して斜めに移動して通路の壁に容器外面が接しても、両者間の摩擦により容器が通路内で止まることがなく、確実に商品取り出し口に出て来る。なお、静摩擦係数、動摩擦係数は、JIS K 7125に準拠して測定することができる。
トップコート層9の外面の摩擦係数は、滑剤の種類や量、ベース樹脂の種類等を調整することによりコントロールできる。
容器用ラベル4(シュリンクラベル)は、基材の素材となる樹脂から押出法やカレンダー法等の公知の方法によってフィルム成形した後、延伸処理し、得られた基材の片面又は両面の所定箇所に、印刷層6、白ベタ印刷層7、艶消しコーティング層8、滑剤を含有するトップコート層9を印刷(例えば、グラビア印刷など)等の塗布方法により積層することにより製造できる。
延伸は、テンター方式、チューブ方式の何れの方式で行うこともできる。延伸処理は、例えば、基材フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度等を考慮した適宜の温度で、容器の周方向に対応する方向[通常、幅方向(TD方向)]に1.5〜8倍、好ましくは4〜5倍程度延伸することにより行われる。なお、必要に応じて、前記方向に直交する方向[通常、長さ方向(MD方向)]にも、低い延伸倍率(例えば1.5倍程度以下)で延伸処理を施すことができる。また、延伸後、通常、60〜90℃程度の加熱ゾーンを約1〜10秒通過させるヒートセットが行われる。こうして得られるラベルはフィルムの主延伸方向に配向性を有し、該方向に大きな熱収縮性を示す。
容器用ラベル4は、さらに、所望の幅の長尺帯状に切断し、艶消しコーティング層8及び滑剤を含有するトップコート層9の側の面を外側にして、前記主延伸方向が周方向となるように筒状に丸め、両端辺を接着剤や熱、溶剤などで接着した後、必要に応じて所望の長さに切断し、筒状のシュリンクラベルとして使用される。
容器用ラベル4は、容器本体2の側面全体を覆うフルシュリンクラベル、図1や図2のように容器本体2の側面のうち胴部の全部及び肩部の一部を覆ういわゆるセミフルシュリンクラベル、容器本体2の側面の上方部分(胴部の上方部及び肩部の一部)を覆ういわゆるハーフシュリンクラベル等の何れの形態であってもよいが、円滑な搬送性を得るためには、容器本体2側面の略全面を覆っているフルシュリンクラベル又はセミフルシュリンクラベルの形態が好ましい。
容器用ラベル4の熱収縮率は特に制限されない。例えば、熱収縮率としては、90℃の熱水で10秒処理したとき、一方向X(容器の周方向に対応する方向)において40〜80%であり、好ましくは50〜75%である。該熱収縮率が40%未満の場合には、収縮が不十分となる場合がある。また、前記熱収縮率が80%を超える場合には、ラベルに歪みが生じるため好ましくない。
なお、容器用ラベル4としてストレッチラベル又はストレッチシュリンクラベルを用いる場合には、上記のシュリンクラベルの例において、基材5を自己伸縮性フィルム又は自己伸縮性と熱収縮性を併せ持つフィルムとすればよい。また、容器用ラベル4として粘着ラベル又は感熱ラベルを用いる場合には、上記シュリンクラベルの例において、基材5の両面のうち艶消しコーティング層8及びトップコート層9とは反対側の面の最外面に粘着層又は感熱接着剤層を設けることにより、該粘着ラベルを得ることができる。この場合には、基材5は必ずしもプラスチックフィルムである必要はない。
本発明のラベル付き容器は、前記容器用ラベルを、艶消しコーティング層が外側になるように、容器本体胴部全周を被覆して装着することにより製造できる。例えば、容器用ラベルがシュリンクラベルである場合には、前記筒状に形成されたシュリンクラベルを自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断した後、通常内容物を充填した容器(金属缶、PETボトル等)に、容器本体側面の略全面又は所定部位を覆うように連続的に被嵌し、加熱により熱収縮させて装着することにより製造することができる。容器本体に被嵌したシュリンクラベルの熱収縮は公知の何れの方法により行ってもよいが、均等に温度を伝えラベルの仕上がりをよくするという理由から、例えば80〜100℃程度のスチームトンネルを通過させることにより熱収縮させるのが好ましい。容器用ラベルがシュリンクラベル以外のものである場合には、ラベルの種類に応じ、公知乃至慣用の方法に準じて、ラベル付き容器を製造できる。
本発明のラベル付き容器では、艶消しコーティング層を有するラベルが装着されていても、ラベルの艶消しコーティング層以外の表面部位の滑り性を艶消しコーティング層の表面の滑り性と近似したものとし、ラベル最外面の滑り性を均一化しているため、内容物充填ライン等の製造ラインにおいては、容器とライン壁面との接触による不規則な動きや詰まりが解消され、内容物を容器に充填した商品を円滑に製造できる。また、内容物入りの商品を自動販売機に装填した場合にも、装填されている部位(設置台)から商品取り出し口に至る通路において、不規則な動き等による詰まりが解消され、商品の排出がスムーズに行われる。
本発明のラベル付き容器は、例えば、お茶、コーヒー、紅茶、水、清涼飲料水、炭酸飲料、ジュースなどの飲料;日本酒、ワイン等の酒類;液状の洗剤類;しょうゆ、みりん、めんつゆ、油などの調味料類などの容器として利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。摩擦係数(トップコート層表面のステンレス鋼板に対する摩擦係数、艶消しコーティング層表面のステンレス鋼板に対する摩擦係数)は下記の方法により測定した。なお、比較例においては、トップコート層表面の代わりに露出している基材(ポリエステル系フィルム)表面を用いて測定した値である。
(トップコート層表面及び艶消しコーティング層表面のステンレス鋼板に対する摩擦係数)
シュリンクラベルについて、JIS K 7125に準拠して、ステンレス鋼板(SUS−304)に対して、静摩擦係数および動摩擦係数を測定した。
実施例1
ポリエステル系フィルム(東洋紡社製、商品名「S7561」、フィルム厚み50μm)の一方の表面の約1/2(ボトルに装着した際に上半分に相当する部位)に、艶消しコーティング剤[商品名「ファインラップPS マットメジウムR」、大日本インキ化学工業(株)製]を乾燥後の平均厚みが2.0μmとなるように、また残りの約1/2(ボトルに装着した際に下半分に相当する部位)にトップコート剤[商品名「ファインラップPS トップコートニス」、大日本インキ化学工業(株)製]を乾燥後の平均厚みが1.2μmとなるようにグラビア印刷により塗布して、艶消しコーティング層及びトップコート層を形成した。また、前記ポリエステル系フィルムの他方の面に、グラビア印刷により印刷層(インキ層)及び白ベタ印刷層を形成して、図3に示すような層構成を有するシュリンクラベルを調製した。このシュリンクラベルのトップコート層表面及び艶消しコーティング層表面の摩擦係数を測定した結果、トップコート層表面のステンレス鋼板に対する摩擦係数は、静摩擦係数が0.20、動摩擦係数が0.19であり、艶消しコーティング層表面のステンレス鋼板に対する摩擦係数は、静摩擦係数が0.20、動摩擦係数が0.20であった。
このシュリンクラベルを、印刷層側の面を内側にしてベースフィルムの幅方向が周方向となるように筒状に丸めて両端部を熱により溶着し、長尺筒状のシュリンクラベル連続体を得た。このシュリンクラベル連続体を自動ラベル装着装置に供給し、各ラベルに切断した後、お茶を充填した内容量500mlの断面形状が略四角形のPETボトルに外嵌し、スチームトンネル(温度90℃)を通過させて熱収縮させ、図1に示すようなラベル付き容器を作製した。実際に販売されている三洋電機(株)製の自動販売機に、上記シュリンクラベルを装着したお茶入りPETボトル(商品)を装填して、該商品(100個)が商品取り出し口に出て来るかについて調べた(実装評価)ところ、100個すべてが商品取り出し口に排出された。
比較例1
シュリンクラベルの表面にトップコート層を設けなかった点以外は実施例1と同様の操作を行い、シュリンクラベル及びラベル付き容器(お茶入りPETボトル)を作製した。シュリンクラベルの露出した基材表面に関する摩擦係数を測定した結果、露出した基材表面のステンレス鋼板に対する摩擦係数は、静摩擦係数が0.31、動摩擦係数が0.25であった。また、実施例1と同様にして実装評価を行ったところ、100個のうち1個以上の商品が商品取り出し口に排出されなかった。
本発明のラベル付き容器の一例を示す斜視図である。 本発明のラベル付き容器の他の例を示す斜視図である。 本発明の容器用ラベルの一例を示す概略断面図である。 本発明の容器用ラベルの他の例を示す概略断面図である。 本発明の容器用ラベルのさらに他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 ラベル付き容器
2 容器本体
3 蓋体(キャップ)
4 容器用ラベル
4a 艶消しコーティング層部
4b トップコート層部
5 基材
6 印刷層
7 白ベタ印刷層
8 艶消しコーティング層
9 トップコート層
11 ラベル付き容器

Claims (2)

  1. 容器に対して非接触側の表面の一部に艶消しコーティング層が設けられた、容器本体胴部全周を被覆するための容器用ラベルであって、滑剤を含有するトップコート層が、容器に対して非接触側の表面のうち前記艶消しコーティング層が設けられた部位以外の部位において露出した状態で設けられている容器用ラベル。
  2. 請求項1記載の容器用ラベルが容器本体胴部全周を被覆して装着されているラベル付き容器。
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