JP2007098827A - サーマルプリンタ、通電制御方法及びプログラム - Google Patents

サーマルプリンタ、通電制御方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】印刷ヘッドに列状に備えられている複数個の発熱素子への通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加することによって、高品質の印刷でありながら電力効率の良い印刷を実行することが可能なサーマルプリンタ、通電制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】通電時間の全範囲又は一部の範囲において、発熱体22の温度がT以上になったときに、最適なチョッピング間隔tcで通電パルスのチョッピングを実行し、発熱体22の温度の上昇による余剰のエネルギーを削減する。即ち、電流量を削減する。
【選択図】図3

Description

本発明は、印刷ヘッドに列状に備えられている複数個の発熱素子に対して、印刷データに基づいて、発熱素子への通電時間を制御して、複数個の発熱素子を選択的に駆動加熱させることによって印刷を行うサーマルプリンタ、通電制御方法及びプログラムに関する。特に、発熱素子への通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加することによって、消費電力を削減することが可能なサーマルプリンタ、通電制御方法及びプログラムに関する。
ラインサーマルプリンタ等のサーマルプリンタは、独立して駆動加熱される複数個の発熱素子を列状に有した印刷ヘッドを備え、印刷データに基づき発熱素子を選択的に駆動加熱して、対向配置した感熱紙の対応箇所をその熱により発色させることによって、所望の印刷を実現する。この様なサーマルプリンタにおいては、複数個の発熱素子から構成される発熱体の発熱量、即ち印刷ヘッドの温度を制御して、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加することにより、印刷の品質を向上させる方法が提案されている。以下、通電パルスを間欠的に印加することをチョッピング(間欠通電)と呼ぶ。
特許文献1では、印刷ヘッドに印加する電圧をチョッピングすることによって、印刷ヘッドの温度が所定の温度以上の領域に留まる時間幅を大きくして、綺麗な印字を高速に行う方法が提案されている。また、特許文献2では、連続通電期間から間欠通電期間への切り替えタイミングを用紙の紙送りタイミングに対して常に一定とすることにより、環境温度の高低にかかわらず転写開始位置を常に一定にして、適正かつ高品質の印刷を行う方法が提案されている。
特開昭62−227663号公報 特開2001−328291号公報
しかしながら、良好な印字品質を得るために、印刷ヘッドの温度を所定の温度近傍に留まるように通電時間を長くしながら通電パルスをチョッピングしたとき、チョッピング間隔が短いと、通電時間が長いことから、結果として発熱体での消費電流が大きくなってしまう場合があった。そのため、チョッピングすることにより全体として見ると、消費電力が増加してしまうという問題点があった。また、印刷速度が速く通電時間が短い場合にも同様のチョッピングをしようとすると、回路や基板による時定数などの影響で、発熱体に十分な熱量が加わらないうちに、チョッピングにより通電が一時停止され印刷品質が低下してしまう場合があった。
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、チョッピングをするかどうかを判断し、チョッピングを行う場合は、印刷ヘッドに列状に備えられている複数個の発熱素子への通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加することによって、高品質の印刷でありながら電力効率の良い印刷を実行することが可能なサーマルプリンタ、通電制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
本発明の第1の態様にかかるサーマルプリンタは、独立して駆動加熱される複数個の発熱素子を列状に有した印刷ヘッドと、印刷データに基づいて、発熱素子への通電時間を制御して、複数個の発熱素子を選択的に駆動加熱させる制御部と、を備え、制御部は、印刷速度又は通電時間に基づいて、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かを判定し、その判定した結果に基づいて、間欠通電を制御する間欠通電制御部を備えていることを特徴とする。
このような構成であれば、サーマルプリンタは、制御部によって、印刷データに基づいて、印刷ヘッドの複数個の発熱素子に対して、発熱素子への通電時間が制御されて、複数個の発熱素子が選択的に駆動加熱される。また、制御部は、間欠通電制御部によって、印刷速度又は通電時間に基づいて、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かが判定され、その判定された結果に基づいて、間欠通電が制御される。
これにより、通電時間が長く印刷速度が低速の場合にだけ、電流削減効果が有効となるようなチョッピング間隔で通電パルスのチョッピングを行うことができ、印刷に無効である発熱素子の不要な発熱(消費電力)を減らすことができる。また、通電時間の短い印刷速度が高速の場合は、通電パルスのチョッピングを行わないことにより、十分な発熱量を与えることができる。従って、高品質の印刷でありながら電力効率の良い印刷を実行することが可能である。ここで、電流削減効果が有効となるようなチョッピング間隔は、実験等により決定される電流削減効果が得られる値である。
本発明の他の態様にかかるサーマルプリンタは、独立して駆動加熱される複数個の発熱素子を列状に有した印刷ヘッドと、印刷データに基づいて、発熱素子への通電時間を制御して、複数個の発熱素子を選択的に駆動加熱させる制御部と、を備え、制御部は、印刷速度に基づいて、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かを判定し、その判定した結果に基づいて、間欠通電を制御する間欠通電制御部を備えていることを特徴とする。
このような構成であれば、サーマルプリンタは、制御部によって、印刷データに基づいて、印刷ヘッドの複数個の発熱素子に対して、発熱素子への通電時間が制御されて、複数個の発熱素子が選択的に駆動加熱される。また、制御部は、間欠通電制御部によって、印刷速度に基づいて、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かが判定され、その判定された結果に基づいて、間欠通電が制御される。
これにより、通電時間が長く印刷速度が低速の場合にだけ、電流削減効果が有効となるようなチョッピング間隔で通電パルスのチョッピングを行い、印刷に無効である発熱素子の不要な発熱(消費電力)を減らすことができる。また、通電時間が短く印刷速度が高速の場合は、通電パルスのチョッピングを行わないことにより、十分な発熱量を与えることができる。従って、高品質の印刷でありながら電力効率の良い印刷を実行することが可能である。
本発明の他の態様にかかるサーマルプリンタは、上述した本発明の態様にかかるサーマルプリンタの間欠通電が、印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいた間欠通電間隔で、通電パルスを間欠的に印加することを特徴とする。
これにより、電流削減効果が有効となるようなチョッピング間隔で通電パルスのチョッピングを行うことができる。
本発明の他の態様にかかるサーマルプリンタは、上述した本発明の態様にかかるサーマルプリンタの間欠通電制御部が、印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいて予め設定されている所定の間欠通電間隔に基づいて、間欠通電を制御することを特徴とする。
これにより、電流削減効果が有効となるようなチョッピング間隔で通電パルスのチョッピングを行うことができる。
本発明の他の態様にかかるサーマルプリンタは、上述した本発明の態様にかかるサーマルプリンタの制御部が、印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいて、間欠通電間隔を決定する間欠通電間隔決定部を更に備え、間欠通電制御部は、間欠通電間隔決定部によって決定された間欠通電間隔に基づいて、間欠通電を制御することを特徴とする。
このような構成であれば、サーマルプリンタの制御部は、間欠通電間隔決定部によって、印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいて、間欠通電間隔が決定される。また、間欠通電間隔決定部によって決定された間欠通電間隔に基づいて、間欠通電が間欠通電制御部によって制御される。
これにより、印刷ヘッドの交換等により、印刷ヘッドの電流波形の時定数が変化したときも、予め印刷ヘッドの電流波形の時定数を決定して、決定した時定数に基づいて電流削減効果が有効となるようなチョッピング間隔を決定し、決定したチョッピング間隔で通電パルスのチョッピングを行うことができる。
本発明の他の態様にかかるサーマルプリンタは、上述した本発明の態様にかかるサーマルプリンタの制御部が、印刷ヘッドの電流波形の時定数を検出する時定数検出部を更に備え、間欠通電間隔決定部は、時定数検出部によって検出された印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいて、間欠通電間隔を決定することを特徴とする。
このような構成であれば、サーマルプリンタの制御部は、時定数検出部によって、印刷ヘッドの電流波形の時定数が検出される。また、時定数検出部によって検出された印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいて、間欠通電間隔が間欠通電間隔決定部によって決定される。
これにより、印刷ヘッドの交換等により、印刷ヘッドの電流波形の時定数が変化したとき、印刷ヘッドの電流波形の時定数を検出し、検出した時定数に基づいて電流削減効果が有効となるようなチョッピング間隔を決定し、決定したチョッピング間隔で通電パルスのチョッピングを行うことができる。
本発明の他の態様にかかるサーマルプリンタは、上述した本発明の態様にかかるサーマルプリンタの印刷速度が、少なくとも印刷データ、印刷ヘッドの温度、印刷ヘッドの電圧及び印刷濃度に基づいて決定されることを特徴とする。
本発明の他の態様にかかるサーマルプリンタは、予め設定した、印刷データ、印刷ヘッドの温度、印刷ヘッドの電圧及び印刷濃度と、印刷速度とを対応付けたテーブルを利用して、上述した本発明の態様にかかるサーマルプリンタの印刷速度を決定することを特徴とし、より最適な印刷品質を得ることができる。
本発明の第1の態様にかかる通電制御方法は、サーマルプリンタの印刷ヘッドに列状に備えられている複数個の発熱素子に対して、印刷データに基づいて、発熱素子への通電時間を制御して、複数個の発熱素子を選択的に駆動加熱させる通電制御方法であって、(a)印刷速度を決定する速度条件情報を検出する速度条件検出工程と、(b)速度条件検出工程(a)によって検出された速度条件情報に基づいて印刷速度を決定する印刷速度決定工程と、(c)印刷速度決定工程(b)によって決定した印刷速度に基づいて通電時間を決定する通電時間決定工程と、(d)印刷速度決定工程(b)によって決定した印刷速度、及び通電時間決定工程(c)によって決定した通電時間に基づいて、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かを判定する間欠通電判定工程と、(e)間欠通電判定工程(d)によって、間欠通電を実行すると判定されたときに、印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいた間欠通電間隔で、通電パルスを間欠的に印加するように制御する間欠通電制御工程と、を備えていることを特徴とする。
これにより、上述した本発明の態様にかかるサーマルプリンタと同等の効果が得られる。
本発明の他の態様にかかる通電制御方法は、サーマルプリンタの印刷ヘッドに列状に備えられている複数個の発熱素子に対して、印刷データに基づいて、発熱素子への通電時間を制御して、複数個の発熱素子を選択的に駆動加熱させる通電制御方法であって、(a)印刷速度を決定する速度条件情報を検出する速度条件検出工程と、(b)速度条件検出工程(a)によって検出された速度条件情報に基づいて印刷速度を決定する印刷速度決定工程と、(c)印刷速度決定工程(b)によって決定した印刷速度に基づいて通電時間を決定する通電時間決定工程と、(d)印刷速度決定工程(b)によって決定した印刷速度に基づいて、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かを判定する間欠通電判定工程と、(e)間欠通電判定工程(d)によって、間欠通電を実行すると判定されたときに、印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいた間欠通電間隔で、通電パルスを間欠的に印加するように制御する間欠通電制御工程と、を備えていることを特徴とする。
これにより、上述した本発明の態様にかかるサーマルプリンタと同等の効果が得られる。
本発明の他の態様にかかる通電制御方法は、上述した本発明の態様にかかる通電制御方法の速度条件情報は、少なくとも印刷データ、印刷ヘッドの温度、印刷ヘッドの電圧及び印刷濃度であることを特徴とする。
本発明の第1の態様にかかるプログラムは、サーマルプリンタの印刷ヘッドに列状に備えられている複数個の発熱素子に対して、印刷データに基づいて、発熱素子への通電時間を制御して、複数個の発熱素子を選択的に駆動加熱させる処理を、制御装置に実行させるプログラムであって、請求項1から8のいずれか1項に記載のサーマルプリンタの各機能を実現させる処理を制御装置に実行させることを特徴とする。
このような構成であれば、制御装置によってプログラムが読み取られ、読み取られたプログラムによって、制御装置が処理を実行すると、上述した本発明の態様にかかるサーマルプリンタと同等の作用及び効果が得られる。
本発明によれば、通電時間が長く印刷速度が低速の場合にだけ、電流削減効果が有効となるようなチョッピング間隔で通電パルスのチョッピングを行い、発熱素子の不要な発熱を減らすことができる。また、通電時間が短く印刷速度が高速の場合は、通電パルスのチョッピングを行わないことにより、十分な発熱量を与えることができる。従って、高品質の印刷でありながら電力効率の良い印刷を実行することが可能である。
この発明の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
図1は、サーマルプリンタの概略構成を示すブロック図である。
サーマルプリンタ10とホスト装置52との間の通信は、通信インタフェース40を介して実行される。CPU32は、通信インタフェース40を介して受信したホスト装置52からの制御コマンド、印刷データ等の印刷制御情報に基づいて、用紙を搬送する搬送機構を駆動するためのモータ48を制御するモータドライバ44及び印刷ヘッド20を駆動する集積回路であるG/A(ゲートアレイ)46に、所要の情報を転送する。温度検出素子であるサーミスタ50によって検出された印刷ヘッド20の温度、印刷ヘッド20に印加されるヘッド電圧、モータ48に印加されるモータ電圧等は、A/D(アナログ/デジタル)変換器42を介してCPU32へ転送される。
ROM34は、サーマルプリンタ10の各種機能を実現するためのソフトウェア(ファームウェアを含む)およびデータを記憶しており、CPU32がこれを読み出し、実行することにより、各種機能を実現する。また、RAM36は、サーマルプリンタ10の各種機能を実現するときに必要なデータの一時記憶装置として機能する。また、フラッシュROM38は、サーマルプリンタ10の各種機能を実現するためのソフトウェア(ファームウェアを含む)およびデータを書き換え可能で不揮発に記憶しており、CPU32がこれを読み出し、実行することにより、各種機能を実現する。
また、制御基板30に、上述のCPU32、ROM34、RAM36、フラッシュROM38、通信インタフェース40、A/D変換器42、モータドライバ44及びG/A46が備えられている。
図2は、本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタ10の印刷ヘッド20のブロック図を示している。図において、サーマルプリンタ10の印刷ヘッド20は1ドットライン分の印刷画素データを同時に印刷するための多数の発熱素子(抵抗体)23から構成される発熱体22を有する。発熱体22は、感熱紙の幅方向に沿って延びる印刷ヘッド20の先端に配列され、印刷データ(印刷画素データ)に基づきその発熱素子23の選択的な加熱駆動によって、用紙上に1ドットライン分の画素を同時に形成する。発熱体22には、その発熱素子23をそれぞれ独立して加熱駆動するための複数の駆動回路24が接続されている。駆動回路24を選択的に駆動することによって、対応する発熱素子23が加熱され、感熱紙上のその対応する位置が発色される。
駆動回路24は、ストローブ信号及びラッチレジスタ28から出力されたデータを入力し、両信号のレベルに応じて駆動される。すなわち、印刷画素データとして「印刷」を意味する「1」のデータが与えられているときに、ストローブ信号が「OFF」から「ON」、すなわち有効に遷移されると、AND回路で構成される駆動回路24は論理積「ON」を出力する。これによって、駆動回路24とヘッド電源電圧との間に電位差が生じて、対応する発熱素子23に電流が流れる。電流が流れることにより発熱素子23が加熱され、感熱紙の対応領域はこの発熱を受けて発色する。
本実施形態に係るサーマルプリンタ10に搭載された印刷ヘッド20は、1ドットライン分の印刷画素データを一時的に記憶するために、シフトレジスタ26及びラッチレジスタ28を有する。シフトレジスタ26には、クロック信号に同期して当該期間に対応する1ドットライン分の印刷画素データが入力され、保持される。なお、印刷画素データは、1ドットライン分の各印刷画素に対応するデータであるが、厳密には、印刷画素一行分について、当該期間に通電を行うか否かを示すデータである。「通電」を意味する「1」及び「通電しない」を意味する「0」のビット列で構成される。
ラッチレジスタ28は、シフトレジスタ26にパラレルに接続され、シフトレジスタ上の各ビットデータを、同時並列的に、その対応する記憶領域に移送して保持する。これにより、通電期間中にもシフトレジスタ26に次の通電期間に対応する印刷画素データを入力することができる。シフトレジスタ26からラッチレジスタ28へのデータの転送タイミングは、ラッチ信号のラッチレジスタ28への入力タイミングによって制御される。このタイミングは、前回の通電期間の後で次回の通電期間の前であり、且つ、次回の通電期間に対応する印刷画素データがシフトレジスタ26にセットされた後ということになる。
上述したようにラッチレジスタ28の各記憶領域は、駆動回路24の一方の入力端に接続されており、ラッチ信号の入力によりラッチレジスタ28に新たなデータが取り込まれると、その内容に応じて駆動回路24への入力データが直ちに変化する。各駆動回路24は、それに与えられるストローブ信号が「ON」である期間に、ラッチレジスタ28のデータに従って、発熱体22の対応する発熱素子23を通電駆動する。
図3は、チョッピング制御による電流削減効果を説明するための図である。図3(a)は、印刷速度が遅く通電時間が長い時の、通電パルスのチョッピングを実行しない場合の説明図であり、図3(b)は、印刷速度が遅く通電時間が長い時の、通電パルスのチョッピングを実行する場合の説明図であり、図3(c)は、印刷速度が速く通電時間が短い時の、通電パルスのチョッピングを実行しない場合の説明図である。図3(a)に示すように、ストローブ信号が「ON」である期間、即ち通電期間、発熱体22の温度は上昇し、ストローブ信号が「ON」から「OFF」へ切り替わったときをピークに、発熱体22の温度は下降する。
また、印刷ヘッド20の電流波形は、回路や基板の時定数の影響でストローブ信号と同じようなステップ状の波形にはならず、ストローブ信号が「OFF」から「ON」に切り替わった後、及び「ON」から「OFF」へ切り替わった後に、傾斜を持って変化する。感熱紙が発色することが可能な発熱体22の境界温度をTとすると、斜線部で示す領域60は、感熱紙が発色するのに必要な最小限のエネルギーに対する余剰のエネルギーに相当する。この領域60に相当するエネルギーを通電パルスのチョッピングにより削減する。ここで、Tは感熱紙の特性により定まり、概ね70から100℃程度のいずれかである。T以上の温度になっても、感熱紙はそれ以上発色しないため、T以上となる領域(各図中のT以上の面積)は無駄なエネルギーとなってしまう。
図3(b)に示すように、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、発熱体22の温度がT以上になったときに、最適なチョッピング間隔tcで通電パルスのチョッピングを実行する。その結果、ストローブ信号が「OFF」の間、発熱体22の温度は下降し、ストローブ信号が「ON」の間、発熱体22の温度は上昇することにより、図3(a)に示した余剰のエネルギーに相当する領域60のうち、領域62に相当するエネルギーを削減できる。即ち、印刷ヘッド20の電流波形からも、ストローブ信号が「OFF」の間、電流は下降し、ストローブ信号が「ON」の間、電流は上昇することにより、斜線部で示す領域64に相当する電流量を削減できる。ここで、最適なチョッピング間隔tcとは、上述したような電流量の削減効果が得られる、1回のストローブ信号の「ON」と「OFF」のそれぞれの時間の和である。
また、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、発熱体22の温度がT以上になったときに、最適なチョッピング間隔tcで通電パルスのチョッピングを実行すると、発熱体22の温度は定温に保たれるため、発熱体22の余熱による印刷領域が小さくなり、必要以上の尾引きがなくなり、高品質の印刷を実現することができる。一方、印刷速度が速く通電時間が短い時は、ようやく発色に必要なエネルギー領域66を印加できる程度の通電時間しか確保できないため、図3(c)に示すようにチョッピングを実行しない。
最適なチョッピング間隔を決定する方法としては、例えば、予め印刷ヘッド20に、通電時間の異なるダミーのパルスを印加し、そのときの電流波形を測定し、測定した印刷ヘッド20の電流波形の時定数から、最適なチョッピング間隔を決定する。決定したチョッピング間隔は、ROM34に予め記憶させておく。
印刷ヘッド20の電流波形の時定数は、サーマルプリンタ10自身で行う場合には、図2において、ヘッド電源電圧に直列に不図示の小さい抵抗を入れて、その両端の電位差の信号を図1のA/D変換機42に入力して測定することができる。または、量産時や部品交換時の工程では、外部からヘッド電源電圧に直列に小さい抵抗を入れて測定することができる。
いずれの場合も、測定した印刷ヘッド20の電流波形の時定数の値に基づいた最適なチョッピング間隔tcを、フラッシュROM38に書込みようにしてもよい。また、このとき、チョッピングを実行するか否かを判定する所定の印刷速度を、この電流波形に基づいて決めることもできる。印刷ヘッド20の発熱体22が温度Tに至る時間を、電流波形より換算して求めることができる。また予め、印刷ヘッド20のバラツキがないことが確認できている場合は、tcや温度Tに至る時間は固定できるため、ROM34に書き込んでもよい。
次に、チョッピング駆動するための印刷速度条件について説明する。図4は、チョッピング駆動するための印刷速度条件を説明する図である。図3において説明したように、最適なチョッピング間隔で通電パルスのチョッピングを実行すると、印刷ヘッド20は、チョッピングを実行しない場合に比べ、低い温度で印刷が実行される。
その為、1ドットライン分の印刷画素データを印刷するための通電時間を、チョッピングを実行しない場合の通電時間ta1とチョッピングを実行した場合の通電時間ta2を比較すると、ta2がta1よりもαだけ長くなる。これは、ストローブ信号が「ON」から「OFF」に切り替わっても、発熱体22の余熱による印刷があるためである。従って、チョッピングを実行する場合は、延長分αを考慮した通電時間を決定しなければならない。ここで、αは、通電時間に依存する値である。
また、チョッピングを実行する場合、通電時間を延長しても、次行の印刷を開始するタイミング、即ち、通電周期は、チョッピングを実行しない場合と同じである。ここで、通電周期は、1ドットライン分の印刷画素データを印刷するためのストローブ信号の「OFF」から「ON」の切り替えタイミングから、次の1ドットライン分の印刷画素データを印刷するためのストローブ信号の「OFF」から「ON」の切り替えタイミングまでの時間である。
また、通電周期は、印刷速度により異なり、高速印刷のときは通電周期が短く、低速印刷のときは通電周期が長い。高速印刷の場合、通電周期が短いため、通電時間をチョッピングにより延長すると、通電周期内に、1ドットライン分の印刷画素データを印刷することができなくなってしまう。従って、延長分αを考慮した通電時間が可能な通電周期である印刷速度の範囲が、チョッピングを駆動するための印刷速度条件となる。
ここで図3(c)に示すように、高速印刷の場合は、通電時間が短いことから、余剰のエネルギーの相当する領域も低速印刷に比較して小さく、印刷ヘッド20の温度も低速印刷に比較して低い。その為、チョッピングしなくても、良好な印刷品質を実現することができる。
図5は、サーマルプリンタ10のROM34に予め格納されている制御プログラムにより実行される印刷の通電制御手順を示すフローチャートの一例である。
まず、印刷速度を決定するための条件を検出する(S102)。例えば、ここでは、印刷ヘッド20の温度、印刷ヘッド20の電圧、1ドットライン分の印刷画素データ、及び印刷濃度を検出する。次に、検出した、印刷ヘッド20の温度、印刷ヘッド20の電圧、1ドットライン分の印刷画素データ、及び印刷濃度に基づいて、印刷速度を決定する(S104)。
例えば、ここでは、印刷ヘッド20の温度、印刷ヘッド20の電圧、1ドットライン分の印刷画素データ、及び印刷濃度と、印刷速度とを対応付けるテーブルを予めROM34に記憶しておき、ステップS102において、検出した印刷ヘッド20の温度、印刷ヘッド20の電圧、1ドットライン分の印刷画素データ、及び印刷濃度に基づいて、印刷速度を決定する。
次に、通電時間を決定する(S106)。例えば、通電時間は、下記に示す式により決定する。

PLS = Pt × Qs × Qd × Qv × D

ここで、PLSは通電時間であり、Ptは基本通電時間であり、Qsは速度係数であり、Qdは濃度係数であり、Qvは電圧係数であり、Dは履歴係数である。また、基本通電時間Ptは、印刷ヘッド20の温度の関数である。また、履歴係数Dは、印刷履歴による印刷ヘッド20の温度を考慮した係数である。
次に、チョッピングを駆動するか否かを印刷速度又は通電時間により判定する(S108)。例えば、図4において説明したように、印刷速度が所定の印刷速度以下である低速印刷のとき、チョッピングを駆動すると判定する。チョッピングを駆動すると判定したとき(S108;Yes)は、通電時間の全範囲又は一部の範囲において、発熱体22の温度がT以上になったときに、予め設定されている最適なチョッピング間隔tcで通電パルスのチョッピングを実行する(S110)。一方、チョッピングを駆動しないと判定したとき(S108;No)は、通電時間の範囲でチョッピングを実行しない(S112)。
最後に、次の1ドットライン分の印刷画素データがあるか否かを判定し(S114)、次の1ドットライン分の印刷画素データがある場合(S114;Yes)は、ステップS102に戻り、ステップS102からS114までを繰り返す。一方、次の1ドットライン分の印刷画素データがない場合(S114;No)は、処理を終了する。
上述した通電制御においては、最適なチョッピング間隔tcは、予め設定されているように記載したが、印刷ヘッド20の電流波形の時定数に基づいて、最適なチョッピング間隔tcを決定するようにしても良い。また、印刷ヘッド20の電流波形の時定数を検出する検出部をサーマルプリンタ10に備え、サーマルプリンタ10を購入したとき、印刷ヘッド20を交換したとき等に、印刷ヘッド20の電流波形の時定数を検出するようにしても良い。このとき、検出した時定数に基づいて、最適なチョッピング間隔tcを決定する。
また、上述の実施の形態のサーマルプリンタ10は、分割通電制御なしの印刷制御の場合についての説明であったが、分割通電制御にも適用可能である。
また、上述した図5のフローチャートに示す処理を実行する場合に、サーマルプリンタ10のROM34に予め格納されている制御プログラムを実行する場合について説明したが、これらの各工程を実行させるプログラムを記録した情報記録媒体から、そのプログラムをRAM36に読み込んで実行するようにしても良い。
ここで、情報記録媒体とは、RAM、ROM等の半導体記録媒体、FD、HD等の磁気記憶型記録媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記録媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記録媒体であって、電子的、磁気的、光学等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータなどの制御装置によって読み取り可能な情報記録媒体であれば、あらゆる情報記録媒体を含むものである。また、プログラムを、ネットワークを経由してダウンロードして実行するようにしても良い。
サーマルプリンタの概略構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係るサーマルプリンタ10の印刷ヘッド20のブロック図を示している。 チョッピング制御による電流削減効果を説明するための図である。図3(a)は、印刷速度が遅く通電時間が長い時の、通電パルスのチョッピングを実行しない場合の説明図であり、図3(b)は、印刷速度が遅く通電時間が長い時の、通電パルスのチョッピングを実行する場合の説明図であり、図3(c)は、印刷速度が速く通電時間が短い時の、通電パルスのチョッピングを実行しない場合の説明図である。 チョッピング駆動するための印刷速度条件を説明する図である。 サーマルプリンタ10のROM34に予め格納されている制御プログラムにより実行される印刷の通電制御手順を示すフローチャートの一例である
符号の説明
10 サーマルプリンタ
20 印刷ヘッド部
22 発熱体
23 発熱素子
24 駆動回路
26 シフトレジスタ
28 ラッチレジスタ
30 制御部
32 CPU
34 ROM
36 RAM
38 フラッシュROM
40 通信インタフェース
42 A/D変換器
44 モータドライバ
46 G/A
48 モータ
50 サーミスタ
52 ホスト装置

Claims (12)

  1. 独立して駆動加熱される複数個の発熱素子を列状に有した印刷ヘッドと、
    印刷データに基づいて、前記発熱素子への通電時間を制御して、複数個の前記発熱素子を選択的に駆動加熱させる制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    印刷速度又は前記通電時間に基づいて、前記通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かを判定し、判定した結果に基づいて、前記間欠通電を制御する間欠通電制御部を備えていることを特徴とするサーマルプリンタ。
  2. 独立して駆動加熱される複数個の発熱素子を列状に有した印刷ヘッドと、
    印刷データに基づいて、前記発熱素子への通電時間を制御して、複数個の前記発熱素子を選択的に駆動加熱させる制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    印刷速度に基づいて、前記通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かを判定し、判定した結果に基づいて、前記間欠通電を制御する間欠通電制御部を備えていることを特徴とするサーマルプリンタ。
  3. 前記間欠通電は、前記印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいた間欠通電間隔で、前記通電パルスを間欠的に印加することを特徴とする請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
  4. 前記間欠通電制御部は、前記印刷ヘッドの電流波形の前記時定数に基づいて予め設定されている所定の前記間欠通電間隔に基づいて、前記間欠通電を制御することを特徴とする請求項3に記載のサーマルプリンタ。
  5. 前記制御部は、
    前記印刷ヘッドの電流波形の前記時定数に基づいて、前記間欠通電間隔を決定する間欠通電間隔決定部を更に備え、
    前記間欠通電制御部は、前記間欠通電間隔決定部によって決定された前記間欠通電間隔に基づいて、前記間欠通電を制御することを特徴とする請求項3に記載のサーマルプリンタ。
  6. 前記制御部は、
    前記印刷ヘッドの電流波形の前記時定数を検出する時定数検出部を更に備え、
    前記間欠通電間隔決定部は、前記時定数検出部によって検出された前記印刷ヘッドの電流波形の前記時定数に基づいて、前記間欠通電間隔を決定することを特徴とする請求項5に記載のサーマルプリンタ。
  7. 前記印刷速度は、少なくとも前記印刷データ、前記印刷ヘッドの温度、前記印刷ヘッドの電圧及び印刷濃度に基づいて決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
  8. 予め設定した、前記印刷データ、前記印刷ヘッドの温度、前記印刷ヘッドの電圧及び印刷濃度と、前記印刷速度とを対応付けたテーブルを利用して、前記印刷速度を決定することを特徴とする請求項7に記載のサーマルプリンタ。
  9. サーマルプリンタの印刷ヘッドに列状に備えられている複数個の発熱素子に対して、印刷データに基づいて、前記発熱素子への通電時間を制御して、複数個の前記発熱素子を選択的に駆動加熱させる通電制御方法であって、
    (a)印刷速度を決定する速度条件情報を検出する速度条件検出工程と、
    (b)前記速度条件検出工程(a)によって検出された前記速度条件情報に基づいて前記印刷速度を決定する印刷速度決定工程と、
    (c)前記印刷速度決定工程(b)によって決定した前記印刷速度に基づいて前記通電時間を決定する通電時間決定工程と、
    (d)前記印刷速度決定工程(b)によって決定した前記印刷速度、及び前記通電時間決定工程(c)によって決定した通電時間に基づいて、前記通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かを判定する間欠通電判定工程と、
    (e)前記間欠通電判定工程(d)によって、前記間欠通電を実行すると判定されたときに、前記印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいた間欠通電間隔で、前記通電パルスを間欠的に印加するように制御する間欠通電制御工程と、
    を備えていることを特徴とする通電制御方法。
  10. サーマルプリンタの印刷ヘッドに列状に備えられている複数個の発熱素子に対して、印刷データに基づいて、前記発熱素子への通電時間を制御して、複数個の前記発熱素子を選択的に駆動加熱させる通電制御方法であって、
    (a)印刷速度を決定する速度条件情報を検出する速度条件検出工程と、
    (b)前記速度条件検出工程(a)によって検出された前記速度条件情報に基づいて前記印刷速度を決定する印刷速度決定工程と、
    (c)前記印刷速度決定工程(b)によって決定した前記印刷速度に基づいて前記通電時間を決定する通電時間決定工程と、
    (d)前記印刷速度決定工程(b)によって決定した前記印刷速度に基づいて、前記通電時間の全範囲又は一部の範囲において、通電パルスを間欠的に印加する間欠通電を実行するか否かを判定する間欠通電判定工程と、
    (e)前記間欠通電判定工程(d)によって、前記間欠通電を実行すると判定されたときに、前記印刷ヘッドの電流波形の時定数に基づいた間欠通電間隔で、前記通電パルスを間欠的に印加するように制御する間欠通電制御工程と、
    を備えていることを特徴とする通電制御方法。
  11. 前記速度条件情報は、少なくとも前記印刷データ、前記印刷ヘッドの温度、前記印刷ヘッドの電圧及び印刷濃度であることを特徴とする請求項9又は10に記載の通電制御方法。
  12. サーマルプリンタの印刷ヘッドに列状に備えられている複数個の発熱素子に対して、印刷データに基づいて、前記発熱素子への通電時間を制御して、複数個の前記発熱素子を選択的に駆動加熱させる処理を、制御装置に実行させるプログラムであって、
    請求項1から8のいずれか1項に記載のサーマルプリンタの各機能を実現させる処理を前記制御装置に実行させることを特徴とするプログラム。

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