JP2007096203A - 2次元キャリアガス層を有する電界効果トランジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】2次元電子ガス層を使用する電界効果トランジスタ(HEMT)においてノーマリオフ特性が要求されている。
【解決手段】電子走行層8とn型電子供給層9とを含む主半導体領域1の第1の主面11上にソース電極3とドレイン電極4とゲート電極5とを設けると共にn型の有機半導体膜6を設ける。ノーマリオフ特性が得られるようにn型電子供給層9を薄く形成する。n型の有機半導体膜6は、薄いn型電子供給層9に基づく2DEG層14の電子濃度の低下を補って、オン抵抗の低減を防ぐ働きを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、2次元キャリアガス層(例えば2次元電子ガス層)を電流チャネルとして使用する電界効果トランジスタに関する。
2次元電子ガス層即ち2DEG層を電流チャネル即ち電流通路として使用した電界効果トランジスタは、一般にHEMT(High Electron Mobility Transistor)として周知である。HEMTは、例えば不純物が添加されていないGaNから成る電子走行層(チャネル層)と例えばn型AlGaNから成る電子供給層とを有する。電子供給層の上には、ソース電極とドレイン電極とが配置され、これ等の間にショットキー電極から成るゲート電極が配置されている。電子供給層の厚み方向(垂直方向)の抵抗値は小さく、横方向(水平方向)の抵抗値は大きいので、ドレイン電極とソース電極との間の電流は電子走行層に生じる2DEG層を通って流れる。2DEG層は周知のように電子走行層と電子供給層とのヘテロ接合面のピエゾ分極と自発分極とに基づいて生じる。
ところで、一般的な構成のHEMTは、ノーマリオン(normally−on)の特性を有する。ノーマリオン特性のHEMTをオフ状態にするためには負電源が必要になる。また、ノーマリオン特性のHEMTを含む電気回路の電源投入時にHEMTに基づく短絡回路が形成されることを防ぐ手段が要求される場合がある。従って、ノーマリオン特性のHEMTの使い勝手は良くなかった。
そこで、ノーマリオフ(normally−off)特性のHEMTの製作が試みられている。しかし、オン抵抗即ちオン状態時のドレイン・ソース間の抵抗が小さく且つノーマリオフ特性を有しているHEMTを得ることが困難であった。
HEMTのノーマリオフ特性は、例えば、n型AlGaNから成る電子供給層を薄く形成することによって得られる。AlGaNから成る電子供給層が薄く形成された時には、電子供給層と電子走行層との間のヘテロ接合に基づくピエゾ分極による電界が弱くなる。この結果、2DEG層の電子濃度が減少する。他方、電子供給層とここにショットキー接触しているゲート電極との間にビルトインポテンシャル(built−in potential)即ちバイアス電圧が無い状態での電位差が生じている。薄い電子供給層のために電子濃度が低下した2DEG層に上記のビルトインポテンシャルに基づく電界が作用すると、ゲート電極の直下の2DEG層が消失する。このため、ゲート電極にバイアス電圧を加えない状態においてドレイン・ソース間がオフ状態になる。
上述のように電子供給層を薄くすることによってノーマリオフのHEMTを提供することができる。しかし、電子供給層を薄くすると、ゲート電極の直下以外の2DEG層においても電子濃度の低下が生じ、ドレイン・ソース間のオン抵抗が増大する。
ノーマリオフ特性が得られるように電子供給層を薄く形成した場合の別の問題として電流狭窄即ちコラプスの問題がある。このコラプスは、例えば特許文献1に開示されているように、HEMTを交流回路で使用する時に、電子供給層の表面に負電荷が発生し、この負電荷に基づいて電子走行層を流れる最大ドレイン電流が直流動作時の最大ドレイン電流よりも低減する現象を言う。コラプスによる最大ドレイン電流の低下は、電子供給層の表面の負電荷に基づいて2DEG層の電子濃度が相対的に減少するためと考えられる。電子供給層が薄い場合には、2DEG層が電子供給層の表面の影響を受け易くなり、コラプス現象の影響が大きくなる。
オン抵抗の増大を抑制し且つコラプス現象の影響を抑制してノーマリオフ特性のHEMTを得る方法として次の2つが考えられる。
(1) 例えばGaN電子走行層の上にノーマリオフを可能にする厚みを有する例えばn型AlGaNから成る電子供給層をエピタキシャル成長で形成し、更にその上にアンドープのAlGaNから成るキャップ層(補助層)を設け、このキャップ層の上にゲート電極を設けるか、又はキャップ層を選択的に除去して電子供給層を露出させて電子供給層にゲート電極を設けること。
(2) 電子供給層を厚く形成し、電子供給層のゲート電極対応部分をエッチングで除去してノーマリオフを可能にする厚みを有する薄い部分を電子供給層に形成し、この薄い部分の上にゲート電極を設けること。
しかし、上記(1)の方法を採用すると、高温のエピタキシャル成長工程の増加によって電子走行層及び電子供給層を含む半導体領域の結晶性の劣化が生じ、HEMTの特性が劣化する。また、電子供給層とキャップ層とを目標通りに形成することが困難であり、目標通りの特性を有するHEMTを得ることが困難であった。
上記(2)の方法を採用すると、電子供給層を選択的にエッチングする時に電子走行層及び電子供給層の半導体結晶にダメージが生じ、HEMTの電気的特性が劣化する。また、電子供給層の選択的エッチングを容易且つ正確に達成することが困難であった。
なお、HEMTにはノーマリオフ特性の有無とは別に、オン抵抗の低減等のHEMTの電気的特性の改善が要求されている。電子供給層を厚く形成すると、理論的にはピエゾ分極に基づいて生じた2DEG層の電子濃度が大きくなる。しかし、厚い電子供給層を形成すると、必然的にこのためのエピタキシャル成長時間が長くなり、電子走行層の結晶性の劣化、及び電子供給層のn型不純物の電子走行層への拡散が生じ、HEMTの電気的特性が劣化する。
また、ショットキー接触のゲート電極を有するHEMTに限らず、絶縁ゲート電極を有し且つ2DEG層等の2次元キャリア層を有する別の電界効果トランジスタにおいても、オン抵抗の低減が要求されている。また、2DEG層の代りに2次元キャリアガス層として2次元ホールガス層を使用する電界効果トランジスタにおいても、2DEG層を使用する電界効果トランジスタと同様な問題がある。
特開2004−214471号公報 特開平1−295459公報
従って、本発明で解決しようとする課題は、2次元キャリアガス層を使用した電界効果トランジスタにおいてオン抵抗を低減することが困難なことである。また、2次元キャリアガス層を使用した電界効果トランジスタを、ノーマリオフ特性を有するように容易に構成することが困難なことである。
上記課題を解決するための本発明は、
互いに対向している第1及び第2の主面と、第1導電型を有し且つ結晶構造を有している第1の半導体層と、2次元キャリアガスを生成するために前記第1の半導体層と異なる半導体材料から成り且つ前記第1の半導体層に隣接配置され且つ前記第1の主面に対して前記第1の半導体層よりも遠い位置に配置され且つ結晶構造を有している第2の半導体層とを備えた半導体領域と、
前記半導体領域の前記第1の主面上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
前記半導体領域の前記第1の主面における前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に配置されたゲート電極と、
前記半導体領域の前記第1の主面における前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の少なくとも一部の上に配置され且つ前記第1導電型を有している有機半導体膜と
を備えていることを特徴とする電界効果トランジスタに係わるものである。
なお、請求項2に示すように、前記ゲート電極は前記第1の半導体層にショットキー接触している電極であり、前記第1の半導体層は、前記電界効果トランジスタをノーマリオフで動作させることが可能な厚みを有していることが望ましい。
また、請求項3に示すように、前記第1導電型はn型であり、前記有機半導体膜はn型を示すフラーレン又は金属フタロシアニンから成ることが望ましい。
また、請求項4に示すように、前記半導体領域は、更に、前記第1の半導体層の上に配置されており且つ導電型不純物がドープされていない結晶半導体から成るキャップ層を有していることが望ましい。
また、請求項5に示すように、前記半導体領域は、更に、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間に配置されており且つ導電型不純物がドープされていない結晶半導体から成り且つ前記第1の半導体層よりも薄く形成されているスペーサー層を有していることが望ましい。
また、請求項6に示すように、更に、前記半導体領域と前記有機半導体膜との間に絶縁膜を配置することができる。
また、請求項7に示すように、更に、前記第1導電型を有する前記有機半導体膜の上に配置され且つ前記第1導電型と反対の第2導電型を有している別の有機半導体膜を備えていることが望ましい。
また、請求項8に示すように、更に、前記第1の導電型を有する前記有機半導体膜と前記第2導電型を有する前記別の有機半導体膜との間に絶縁膜を配置することができる。
また、請求項9に示すように、更に、前記半導体領域の前記一方の主面上に配置され且つ前記ゲート電極又は前記ドレイン電極に接続された抵抗性フィールドプレートを有していることが望ましい。
また、請求項10に示すように、更に、前記第1導電型を有する前記有機半導体膜の上に配置され且つ前記ゲート電極又は前記ドレイン電極に接続されたフィールドプレートを有していることが望ましい。
また、請求項11に示すように、更に、前記第1導電型の前記有機半導体膜と前記半導体領域の前記第1の主面との間に絶縁膜を配置することができる。
また、請求項12に示すように、更に、前記ゲート電極と前記半導体領域の前記第1の主面との間にゲート絶縁膜を配置することができる。
本発明は次の効果を有する。
(1) 本発明に従って結晶構造を有する第1の半導体層の上に形成された非晶質の有機半導体膜は、第1の半導体層と同一の第1導電型を有している。従って、第1導電型の有機半導体膜は、第1の半導体層と同様にキャリア(例えば電子)を第2の半導体層に供給するためのキャリア供給層(例えば電子供給層)として機能する。従って、結晶構造を有する第1の半導体層の厚みを従来と同一とし、この上に本発明に従う有機半導体膜を設けた場合には、第1の半導体層を従来よりも厚くしたと同様な効果を得ることができ、2次元キャリアガス層(例えば2DEG層)のキャリア濃度が高くなり、電界効果トランジスタのオン抵抗が低減する。
(2) ノーマリオフ特性を得ることができるように第1の半導体層を薄くし、且つ本発明に従う第1の半導体層と同一導電型の有機半導体膜を形成した場合には、ノーマリオフ特性が得られるにも拘らず、オン抵抗を比較的低い値に保つことができる。即ち、オン抵抗が小さく且つノーマリオフ特性を有している電界効果トランジスタを提供することができる。
(3) 有機半導体膜を形成することによる結晶構造の半導体領域の特性劣化は、上記(1)(2)の従来方法に比べて少ない。従って、電気的特性の劣化を抑えてオン抵抗の低い電界効果トランジスタ又はノーマリオフ特性の電界効果トランジスタを提供することができる。
(4) 本発明の好ましい実施例に従って、第2導電型の有機半導体膜を設けると、コラプスを抑制することができる。
次に、本発明の実施形態を図1〜図14を参照して説明する。
図1に示す2次元キャリアガス層を有する電界効果トランジスタとしてのHEMTは大別して主半導体領域1と、支持基板2と、ソース電極3と、ドレイン電極4と、ゲート電極5と、第1及び第2の有機半導体膜6,7とを有している。
主半導体領域1は、半導体基体又は半導体基板とも呼ぶことができるものであって、例えば単結晶シリコン半導体から成る支持基板2の上に周知のエピタキシャル成長方法(例えばMOCVD法)で順次に形成されたバッファ層8と、電子走行層9と、電子供給層10とを有している。この主半導体領域1の第1の主面11上にソース電極3、ドレイン電極4及びゲート電極5が配置され、第2の主面12に支持基板2が結合されている。主半導体領域1の各層8,9,10は第1及び第2の主面11,12に対して平行に延びている。
主半導体領域1の各層8,9,10は、例えばGaN,InGaN,AlGaN,AlInGaN,AlN,InAlN,AlP,GaP,AlInP,GaInP,AlGaP,AlGaAs,GaAs,AlAs,InAs,InP,InN,GaAsP,Si,SiC,C等の結晶構造を有する半導体材料で形成される。高耐圧のHEMTを得る場合には、主半導体領域1の各層8,9,10を窒化物半導体で構成することが望ましい。次に、HEMTの各部を更に詳しく説明する。
支持基板2上に形成されたバッファ層8は、AlN(窒化アルミニウム)から成る第1のサブレイヤーとGaN(窒化ガリウム)から成る第2のサブレイヤーとが交互に積層された多層構造バッファである。このバッファ層8はHEMTの動作に直接に関係していないので、これを省くこともできる。また、バッファ層8の半導体材料をAlN,GaN以外のものに置き換えること、又は単層構造にすることもできる。
バッファ層8の上に形成された電子走行層9は、本発明における第2の半導体層として機能するものであって、チャネル層と呼ぶこともできるものである。この実施例の電子走行層9は不純物が添加されていないアンドープGaN(窒化ガリウム)から成り、例えば1〜3μmの厚さを有する。この電子走行層9はこの上の電子供給層10よりも主半導体領域1の第1の主面11から遠い位置に配置されている。
本発明における第1の半導体層としての電子供給層10は、電子走行層9の上に配置され、次式で示される窒化物半導体にn型(第1導電型)の不純物を添加したものから成る。
AlxGa1-xN,
ここで、xは0<x<1を満足する数値であり、好ましくは0.2〜0.4であり、より好ましくは0.3である。
電子供給層10は、比較的薄く形成されているので、主半導体領域1の第1の主面11に垂直方向の抵抗は無視できる程小さく、第1の主面11に平行な方向(横方向)の抵抗は垂直方向よりも大きい。従って、ドレイン・ソース間電流の電子供給層10を横方向に流れる成分を無視することができる。
n型AlGaNから成る電子供給層10はこの下のGaNから成る電子走行層9よりも小さい格子定数を有する。従って、電子供給層10と電子走行層9とのヘテロ接合13に基づいて周知のピエゾ分極が生じる。また、n型不純物を含む電子供給層10に基づいて自発分極が生じる。上記ピエゾ分極及び自発電極の電界に基づいて電子走行層9の上部に点線で示す周知の2DEG層14が生じる。なお、図1にはゲート電極5に対してHEMTをオン状態にする電圧が印加されている時の2DEG層14が示されている。2DEG層14は、本発明の2次元キャリアガス層に相当するものであって、主半導体領域1の第1の主面11に対して平行な方向に自由度を有する電子(キャリア)を含み、電流通路として機能する。
この実施例では、電子供給層10の厚みTが、ノーマリオフ特性を得ることができる値(例えば3〜10nm、より好ましくは3〜5nm)に決定されている。背景技術の欄で既に説明したように、電子供給層10を薄く形成すると、2DEG層14の電子濃度が低下する。また、ゲート電極5と電子供給層10との間のビルトインポテンシャルがゲート電極5の直下に作用する。これにより、ゲート電極5の直下から2DEG層14が消失し、ノーマリオフ特性が得られる。
もし、ノーマリオフ特性を得るように単に電子供給層10を薄く形成したのみであれば、ゲート電極5の直下以外の2DEG層14においても電子濃度の低下が生じる。この結果、ゲート電極5にバイアス電圧を印加してHEMTをオン状態にした時のオン抵抗(ドレイン・ソース間抵抗)が大きくなる。しかし、本実施例のHEMTはn型の第1の有機半導体膜6を有するので、オン抵抗の増大が抑制されている。
本実施例では、第1の有機半導体膜6が主半導体領域1の第1の主面11のソース電極3とゲート電極5との間、ドレイン電極4とゲート電極5との間、ソース電極3よりも外側部分、及びドレイン電極4よりも外側部分を覆っている。しかし、主半導体領域1の第1の主面11のソース電極3とドレイン電極4との間の一部のみを覆うように第1の有機半導体膜6を形成することもできる。なお、第1の有機半導体膜6のソース電極3よりも外側部分、及びドレイン電極4よりも外側部分は、オン抵抗の低減には実質的に寄与しないが、主半導体領域1の第1の主面11の保護には寄与する。
第1の有機半導体膜6は、結晶構造を有するn型窒化物半導体から成る電子供給層10と同一の導電型(n型)を有する非晶質半導体であり、例えばフラーレン(Fullerene)又はフラーレン誘導体(好ましくはC60又はC70)、又はCu等を含む金属フタロシアニン等で形成される。このn型の第1の有機半導体膜6は、例えば周知の蒸着、スパッタリング、スピンオン(塗布)、ゾルゲル法等で形成される。好ましくは、第1の有機半導体膜6はCuフタロシアニンのスピンオン法又は蒸着によって約200nmの厚さに形成される。
第1の有機半導体膜6は、電子供給層10と同一のn型を有し、且つ電子供給層10を覆うように配置されているので、電子供給層6と同様な機能を発揮する。従って、第1の有機半導体膜6を補助電子供給層と呼ぶこともできる。
次に、図2を参照して第1の有機半導体膜6の機能を説明する。もし、電子供給層10がノーマリオフ特性を得ることができない厚みを有しており、且つ第1の有機半導体膜6が設けられていないHEMTを作り、このHEMTのゲート・ソース間電圧Vgsとドレイン電流Idとの関係を求めると、図2の点線で示す特性線Bが得られ、ゲート・ソース間電圧Vgsが零の時にドレイン電流Idが流れる。このノーマリオン特性を有するHEMTをオフにするためには、ゲート・ソース間にーVgs2の電圧を印加しなければならない。もし、電子供給層10がノーマリオフ特性を得ることができる厚みを有し且つ第1の有機半導体膜6が設けられていないHEMTを作り、このHEMTのゲート・ソース間電圧Vgsとドレイン電流Idとの関係を求めると、図2で鎖線で示す特性Cが得られ、ゲート・ソース間電圧Vgsが零の時にはドレイン電流Idが実質的に流れず、ゲート・ソース電圧+Vgs1以上を印加した時にドレイン電流Idが流れる。しかし、このように単に電子供給層10を薄くしたのみの場合には、ノーマリオフ特性が得られても、2DEG 層14の電子濃度低下に基づいて、オン抵抗が増大し、特性線Cのドレイン電流Id の飽和値が特性線Bに比べて小さくなる。
これに対し、本発明に従う第1の有機半導体膜6を有するHEMTのゲート・ソース間電圧Vgsとドレイン電流Id との関係は、図2で実線で示す特性線A になる。この本発明に従う特性線Aは、特性線Cと同様にノーマリオフ特性を有していると共に、特性線Bと同様なドレイン電流Idの大きな飽和値を有する。
第1の有機半導体膜6を例えばスピンオン(塗布)で形成する時の最高の処理温度は、結晶構造を有する窒化物半導体から成る主半導体領域1をMOCVD方法(有機金属化学成長法)で形成する時の最高温度(例えば、1120℃)よりも低い(例えば、300℃)である。従って、第1の有機半導体膜6を形成することによる主半導体領域1の結晶の劣化がほとんど生じない。
図1においてp型の第2の有機半導体膜7は第1の有機半導体膜6の上に配置されている。この第2の有機半導体膜7は、n型の電子供給層10と反対のp型(第2導電型)を有する。このp型の第2の有機半導体膜7は、無機半導体又は結晶半導体から成る主半導体領域1とは別の非晶質構造を有するものであって、例えば、ペンタセン(pentacene)誘導体又はテトラセン(tethracene)誘導体又はアントラセン(anthracene)誘導体等から成るアセン(acene)、ペリレン(perylene)、ルブレン(rubrene)、フタロシアニン(phthalocyanine)、Znフタロシアニン(Zn−phthalocyanine)、又はオリゴチオフェン(oligothiophene)等から成る。
第2の有機半導体膜7は、例えばn型AlGaNから成る電子供給層10の表面に周知の蒸着、スパッタリング、スピンオン、又はゾルゲル法によって形成される。図1の実施例1の第2の有機半導体膜7は、電子供給層10上にZnフタロシアニンから成るp型有機半導体材料を蒸着法で形成したものであり、約40nmの厚さを有する。また、図1の第2の有機半導体膜7は、主半導体領域1の第1の主面11のドレイン電極4とゲート電極5との間の全部、ソース電極3とゲート電極5との間の全部、ソース電極3よりも外側部分及びドレイン電極4よりも外側部分に形成されている。第2の有機半導体膜7のソース電極3よりも外側部分及びドレイン電極4よりも外側部分はコラプス改善に実質的に寄与しないが、主半導体領域1の第1の主面11の保護に寄与する。
もし、コラプス改善のためのp型の第2の有機半導体膜7が設けられていない場合において、HEMTに交流電圧の負の半サイクルが印加されてドレイン電極4の電位がソース電極3の電位に対して負になると、n型の第1の有機半導体膜6の表面に負電荷が帯電する。この結果として2DEG層14の電子濃度が低減し、HEMTがオン状態の時の最大ドレイン電流が低減する。これに対し、図1に示すようにp型の第2の有機半導体膜7が設けられた時には、p型の第2の有機半導体膜7に基づく電界の作用によって第1の有機半導体膜6の表面の負電荷が低減される。換言すれば、p型の第2の有機半導体膜7から第1の有機半導体膜6に正孔(ホール)が供給され、この正孔によって第1の有機半導体膜6の表面の負電荷が相殺即ち消滅される。
p型の第2の有機半導体膜7によるコラプス改善を更に別の観点で説明すると、p型の第2の有機半導体膜7とn型の第1の有機半導体膜6とn型AlGaNから成る電子供給層10と2DEG層14とを1つのコンデンサと考えることができる。この場合には、n型の電子供給層10とn型の第1の有機半導体膜6がコンデンサの誘電体層として機能し、p型の第2の有機半導体膜7がコンデンサの正電極として機能し、2DEG層14がコンデンサの負電極として機能する。誘電体層としての第1の有機半導体膜6の主面がp型の第2の有機半導体膜7によって正電位に固定されると、電子供給層6のヘテロ接合面13の負電荷の安定化が図られる。この結果、コラプス現象に基づく2DEG層14の電子濃度の低減が小さくなる。
p型の第2の有機半導体膜7に基づく第1の有機半導体膜6の主面の負電荷の低減作用は、従来の主半導体領域1の表面の終端処理による帯電荷の低減作用と異なっている。即ち、主半導体領域1の表面には、半導体を構成する原子間の結合の遮断に基づく未結合子(ダングリングボンド)が生じ、この未結合子が帯電に関与する。そこで、一般には未結合子に基づく帯電と防ぐための処理即ち終端処理が主半導体領域1に対して施される。この従来の終端処理は間接的な帯電防止であるのに対し、p型の第2の有機半導体膜7による負電荷の帯電防止は、正孔と負電荷との結合に基づくものであるので、直接的な帯電防止である。
n型の第1の有機半導体膜6及びp型の第2の有機半導体膜7は、3−5族化合物半導体から成る電子供給層10のキャリア(電子)移動度よりも十分に小さいキャリア移動度(最大でも1.5cm2/V.s)を有している。従って、第1及び第2の有機半導体膜6、7は実質的に絶縁膜であり、ドレイン電極4とゲート電極5との間及びソース電極3とゲート電極5との間の第1及び第2の有機半導体膜6、7を通る電流は無視できる程微小である。従って、第1及び第2の有機半導体膜6、7はオン抵抗改善及びコラプス改善の機能の他に主半導体領域1の表面の保護膜としての機能も有する。
ソース電極3は主半導体領域1の第1の主面11上に配置されている。ドレイン電極4は、ソース電極3に対して所定の間隔を有して主半導体領域1の第1の主面11上に配置されている。ソース電極3及びドレイン電極4のそれぞれは、例えばチタン(Ti)とアルミニウム(Al)との積層電極から成り、電子供給層10に低抵抗性接触している。
ゲート電極5は、主半導体領域1の第1の主面11上のソース電極3とドレイン電極4との間に配置され、例えばロジウム(Rh)から成り、電子供給層10にショットキ接触している。
図1の実施例1のHEMT は次の効果を有する。
(1) 比較的薄い電子供給層10によってノーマリオフ特性のHEMTが得られる。また、n型の第1の有機半導体膜6が電子供給層10を厚くしたと等価な作用を有するので、2DEG層14における電子濃度が比較的高くなり、オン抵抗の小さい即ち伝導度の高いHEMTを提供することができる。従って、ノーマリオフ特性を有しているにも拘わらずオン抵抗が小さいHEMTを得ることができる。なお、第1の有機半導体膜6はゲート電極5の下に配置されていないので、ノーマリオフ動作を妨害しない。
(2) n型の第1の有機半導体膜6は、主半導体領域1を形成する時の温度よりも低い温度で形成されるので、結晶構造を有する電子供給層10を厚く形成する場合、又は電子供給層10を複数の層の積ね合せで構成する場合に比べて主半導体領域1の半導体結晶の劣化又は不要な不純物拡散を防ぐことができ、特性の良いHEMTを提供できる。
(3) ノーマリオフ特性を得るために従来の厚い電子供給層に凹部を作り、この凹部の中にゲート電極を形成する方法に比べて、本実施例は電子供給層に凹部を形成する工程を含まないので、主半導体領域1のダメージが少ない。従って、ノーマリオフ特性のHEMTの製造が容易であるのみでなく特性を良好に維持することができる。
(4) p型の第2の有機半導体膜7の働きによってコラプスを改善することができる。
(5) 主半導体領域1は窒化物半導体から成るので高耐圧のHEMTを提供できる。
次に、図3に示す実施例2のHEMTを説明する。但し、図3及び後述する図3〜図14において図1と実質的に同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図3のHEMTは、第1及び第2の有機半導体膜6、7の配置位置を主半導体領域1の第1の主面11におけるドレイン電極4とゲート電極5との間のみに変え、この他は図1と同一に構成したものである。図3に示すように第1及び第2の有機半導体膜6、7を限定的に設けても、第1及び第2の有機半導体膜6、7に対向する部分の2DEG層14における電子濃度の低減を抑制することができ、実施例1と同様に第1の有機半導体膜6によるオン抵抗の低減効果、及び第2の有機半導体膜7によるコラプス改善効果を得ることができる。
なお、図3において破線で示すように、主半導体領域1の第1の主面11の第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7を配置し、コラプス改善効果を高めることができる。
図4に示す実施例3のHEMTは、第1及び第2の有機半導体膜6、7を主半導体領域1の第1の主面11におけるドレイン電極4とゲート電極5との間の全部に設けないで、ドレイン電極4側のみに設け、ゲート電極5と第1及び第2の有機半導体膜6、7との間に隙間を設けた他は図3と同一に形成したものである。この図4に示す実施例3によっても図3の実施例2と同様な効果を得ることができる。
なお、図4において破線で示すように、主半導体領域1の第1の主面11の第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7を配置し、コラプス改善効果を高めることができる。
図5に示す実施例4のHEMTは、第1及び第2の有機半導体膜6、7をドレイン電極4とゲート電極5との間の全部に設けないで、ゲート電極5側のみに設け、ドレイン電極4と第1及び第2の有機半導体膜6、7との間に隙間を設けた他は、図3と同一に形成したものである。この図5の実施例4によっても図3の実施例2と同様な効果を得ることができる。
なお、図5において破線で示すように、主半導体領域1の第1の主面11の第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7を配置し、コラプス改善効果を高めることができる。
図6に示す実施例5のHEMTは、第1及び第2の有機半導体膜6、7をドレイン電極4とゲート電極5との間の全部に設けないで、両者の中間領域のみに設け、この他は図3と同一に形成したものである。この図5の実施例5によっても図3の実施例2と同様な効果を得ることができる。
なお、図6において破線で示すように、主半導体領域1の第1の主面11の第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7を配置し、コラプス改善効果を高めることができる。
図7の実施例6のHEMTは変形された主半導体領域1aを設けた他は図1と同一に形成したものである。図7の変形された主半導体領域1aは図1の主半導体領域1に例えば導電型不純物が添加されていないアンドープAlGaNから成るキャップ層21とアンドープAlGaNから成るスペーサー層22を追加したものである。
図7のキャップ層21は、電子供給層10の上に配置され、例えば2〜5nmの厚さを有している。ソース電極3及びドレイン電極4はキャップ層21に低抵抗接触し、ゲート電極5はキャップ層21にショットキー接触している。このキャップ層21は、ゲート電極5と主半導体領域1aとの間のショットキーバリアを高める効果を有する。
図7のスペーサー層22は電子走行層9と電子供給層10との間に配置され、例えば2〜5nmの厚さを有している。このスペーサー層22は電子供給層10の不純物が電子走行層9に拡散することを防ぐ効果を有する。
この図7のHEMTによっても図1のHEMTと同様な効果を得ることができる。
なお、図7のキャップ層21とスペーサー層22といずれか一方又は両方を図3〜図6の実施例2〜5,及び後述する図8〜図14の実施例7〜13のHEMTにも設けることができる。また、図7において、キャップ層21とスペーサー層22といずれか一方を省き、残りの他方のみを設けることができる。
図8の実施例7のHEMTは、図1の実施例1のHEMTに固体絶縁材料即ち誘電体から成る絶縁膜15を付加し、この他は図1と実質的に同一に形成したものである。
絶縁膜15は、第1の有機半導体膜6と第2の有機半導体膜7との間に配置されている。この絶縁膜15は例えばSiO2(シリコン酸化物)で形成され、主半導体領域1及び第1の有機半導体膜6を保護する機能を有する。
絶縁膜15は誘電体から成るので、絶縁膜15と第1の有機半導体膜6と電子供給層9とが等価的にコンデンサの誘電体部分として機能し、図1の実施例1と同一の原理でコラプス改善効果を得ることができる。
図8では第1及び第2の有機半導体膜6、7と絶縁膜15とがソース電極3とドレイン電極4との間、ソース電極3の外側、ドレイン電極4の外側に配置されているが、これ等を図3〜図6に示すようにドレイン電極4とゲート電極5との間の限定された部分に配置することもできる。また、第1の有機半導体膜6を図3〜図6に示すように限定して設ける場合において、主半導体領域1の第1の主面11における第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に絶縁膜15又は第2の有機半導体膜7又はこれ等の両方を配置することができる。
図9の実施例8のHEMTは図1の実施例1のHEMTに抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート16を付加し、この他は図1と実質的に同一に形成したものである。
抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート16は、第1の有機半導体膜6と主半導体領域1の第1の主面11との間に配置され且つゲート電極5に接続され且つドレイン電極4とゲート電極5との間の一部に限定的に配置されている。即ち、抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート16は、主半導体領域1の第1の主面11にショットキ接触し且つゲート電極5に接続されている。この抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート14は、特許文献2(特開平1−295459号公報)に開示されているものと同一であって、例えば10kΩ/□以上のシート抵抗を有するチタン酸化物から成る。
抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート16は、特許文献2と同様にショットキバリア電極から成るゲート電極5の耐圧向上に寄与する。即ち、ドレイン電極4とゲート電極5との間に電界集中箇所が生じることを抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート16によって防ぐことができる。従って、図9の実施例によれば、ドレイン電極4とゲート電極5との間の耐圧が高くなる。なお、図9の実施例8によっても第1の有機半導体膜6によるオン抵抗の改善効果、及び第2の有機半導体膜7によるコラプス改善効果を、図1の実施例1と同様に得ることができる。
図9においても第1及び第2の有機半導体膜6、7を図3〜図6に示すように限定的に配置することができる。また、図9の第1の有機半導体膜6を図3〜図6に示すように限定して設ける場合において、主半導体領域1の第1の主面11における第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7又は絶縁膜又はこれ等の両方を配置することができる。
図10に示す実施例9のHEMTは、図9の抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート16の位置を変更した他は図9と同一に形成したものである。
図10の抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート16はドレイン電極4に接続され、ドレイン電極4からゲート電極5に向って延びている。抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート16を図10に示すように形成しても、ドレイン電極4とゲート電極5との間の電界集中を緩和することができる。なお、図10の実施例9によっても、第1の有機半導体膜6によるオン抵抗の改善効果、及び第2の有機半導体膜7によるコラプス改善効果を、図1の実施例1と同様に得ることができる。
図10においても第1及び第2の有機半導体膜6、7を図3〜図6に示すように限定的に配置することができる。また、図10の第1の有機半導体膜6を図3〜図6に示すように限定して設ける場合において、主半導体領域1の第1の主面11における第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7又は絶縁膜又はこれ等の両方を配置することができる。
図11の実施例10のHEMTは、図8のHEMTに抵抗性フィールドプレート16aを付加し、この他は図8と同様に構成したものである。図11の抵抗性フィールドプレート16aは、第1の有機半導体膜6と絶縁膜15との間に配置され且つゲート電極5に接続され且つドレイン電極4とゲート電極5との間の一部に限定的に配置されている。即ち、抵抗性フィールドプレート16aは、例えば10kΩ/□以上のシート抵抗を有するチタン酸化物から成り、第1の有機半導体膜6に抵抗性接触又はショットキー接触し、ゲート電極5の耐圧向上に寄与する。なお、図11に示す実施例10によっても、第1の有機半導体膜6によるオン抵抗の改善効果、及び第2の有機半導体膜7によるコラプス改善効果を図1の実施例1と同様に得ることができる。
図11においても第1及び第2の有機半導体膜6、7を図3〜図6に示すように限定的に配置することができる。また、図11の第1の有機半導体膜6を図3〜図6に示すように限定して設ける場合において、主半導体領域1の第1の主面11における第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7又は絶縁膜15又はこれ等の両方を配置することができる。
図12に示す実施例11のHEMTは、図11の抵抗性フィールドプレート16aの位置を変更した他は図11と同一に形成したものである。
図12の抵抗性フィールドプレート16aはドレイン電極4に接続され、ドレイン電極4からゲート電極5に向って延びている。抵抗性フィールドプレート16aを図12に示すように形成しても、ドレイン電極4とゲート電極5との間の電界集中を緩和することができる。なお、図12に示す実施例11によっても、第1の有機半導体膜6によるオン抵抗の改善効果、及び第2の有機半導体膜7によるコラプス改善効果を図1の実施例1と同様に得ることができる。
図12においても第1及び第2の有機半導体膜6、7を図3〜図6に示すように限定的に配置することができる。また、図11の第1の有機半導体膜6を図3〜図6に示すように限定して設ける場合において、主半導体領域1の第1の主面11における第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7又は絶縁膜15又はこれ等の両方を配置することができる。
図13に示す実施例12のHEMTは、図8の絶縁膜15の位置を変更した他は図8と同一に形成したものである。図13では薄い絶縁膜15が第1の有機半導体膜6と主半導体領域1との間に配置されている。絶縁膜15が薄い場合には、n型の第1の有機半導体膜6の作用が絶縁膜15を介して電子供給層10及び2DEG層14に及ぶ。この結果、図13に示す実施例12によっても実施例1と同様な効果を得ることができる。
なお、図13においても第1及び第2の有機半導体膜6、7を図3〜図6に示すように限定的に配置することができる。また、図13の第1の有機半導体膜6を図3〜図6に示すように限定して設ける場合において、主半導体領域1の第1の主面11における第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7又は絶縁膜15又はこれ等の両方を配置することができる。
図14に示す実施例13のHEMTは、図1のゲート電極5の下にゲート絶縁膜17を設けた他は図1と同一に形成したものである。図14に示す実施例13のHEMTにおいては、ゲート電極5とソース電極3との間に印加されるゲート制御電圧によってゲート絶縁膜17の下の空乏層が変化し、2DEG層14を流れる電流が制御される。
図14に示す実施例13によっても、第1の有機半導体膜6によるオン抵抗の改善効果、及び第2の有機半導体膜7によるコラプス改善効果を図1の実施例1と同様に得ることができる。
なお、図14においても第1及び第2の有機半導体膜6、7を図3〜図6に示すように限定的に配置することができる。また、図13の第1の有機半導体膜6を図3〜図6に示すように限定して設ける場合において、主半導体領域1の第1の主面11における第1の有機半導体膜6が設けられない部分の一部又は全部に第2の有機半導体膜7又は絶縁膜又はこれ等の両方を配置することができる。
本発明は上述の実施例に限定されるものでなく、例えば次の変形も可能なものである。
(1) 図1,及び図3〜図14の電子供給層10をp型半導体の正孔供給層に置き換えることができる。この場合には、2DEG層11に対応する領域に2次元キャリアガス層として2次元正孔ガス層が生じる。この様に2次元キャリアを正孔とする場合には、第1の有機半導体膜6をp型に変更し、第2の有機半導体膜7をn型に変更する。
(2) 主半導体領域1、1aに必要に応じて更に別の半導体層を付加することができる。例えば、ソース電極3の下にソースコンタクト層を配置し、ドレイン電極4の下にドレインコンタクト層を配置することができる。また、ソース電極3及びドレイン電極4を電子走行層8に直接的に接続することもできる。
(3) 図9及び図10の抵抗性ショットキバリア型フィールドプレート14、並びに図11及び図12の抵抗性フィールドプレート14aを主半導体領域1の第1の主面11上におけるゲート電極5とソース電極3との間にも設けることができる。
(4) 支持基板2をシリコン以外のシリコン化合物、又はサファイア、又は3−5族化合物半導体で形成することができる。
本発明の実施例1のHEMTを示す断面図である。 図1の実施例1のHEMT及び従来例のHEMTのゲート・ソース間電圧とドレイン電流との関係を示す特性図である。 本発明の実施例2のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例3のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例4のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例5のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例6のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例7のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例8のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例9のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例10のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例11のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例12のHEMTを示す断面図である。 本発明の実施例13のHEMTを示す断面図である。
符号の説明
1、1a 主半導体領域
2 支持基板
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 ゲート電極
6 n型の第1の有機半導体膜
7 p型の第2の有機半導体膜
8 バッファ層
9 電子走行層
10 n型の電子供給層
13 ヘテロ接合
14 2DEG層

Claims (12)

  1. 互いに対向している第1及び第2の主面と、第1導電型を有し且つ結晶構造を有している第1の半導体層と、2次元キャリアガスを生成するために前記第1の半導体層と異なる半導体材料から成り且つ前記第1の半導体層に隣接配置され且つ前記第1の主面に対して前記第1の半導体層よりも遠い位置に配置され且つ結晶構造を有している第2の半導体層とを備えた半導体領域と、
    前記半導体領域の前記第1の主面上に形成されたソース電極及びドレイン電極と、
    前記半導体領域の前記第1の主面における前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に配置されたゲート電極と、
    前記半導体領域の前記第1の主面における前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の少なくとも一部の上に配置され且つ前記第1導電型を有している有機半導体膜と
    を備えていることを特徴とする電界効果トランジスタ。
  2. 前記ゲート電極は前記第1の半導体層にショットキー接触している電極であり、前記第1の半導体層は、前記電界効果トランジスタをノーマリオフで動作させることが可能な厚みを有していることを特徴とする請求項1記載の電界効果トランジスタ。
  3. 前記第1導電型はn型であり、前記有機半導体膜はn型を示すフラーレン又は金属フタロシアニンから成ることを特徴とする請求項1又は2記載の電界効果トランジスタ。
  4. 前記半導体領域は、更に、前記第1の半導体層の上に配置されており且つ導電型不純物がドープされていない結晶半導体から成るキャップ層を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の電界効果トランジスタ。
  5. 前記半導体領域は、更に、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間に配置されており且つ導電型不純物がドープされていない結晶半導体から成り且つ前記第1の半導体層よりも薄く形成されているスペーサー層を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の電界効果トランジスタ。
  6. 更に、前記半導体領域と前記有機半導体膜との間に配置された絶縁膜を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の電界効果トランジスタ。
  7. 更に、前記第1導電型を有する前記有機半導体膜の上に配置され且つ前記第1導電型と反対の第2導電型を有している別の有機半導体膜を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電界効果トランジスタ。
  8. 更に、前記第1の導電型を有する前記有機半導体膜と前記第2導電型を有する前記別の有機半導体膜との間に配置された絶縁膜を有していることを特徴とする請求項7記載の電界効果トランジスタ。
  9. 更に、前記半導体領域の前記一方の主面上に配置され且つ前記ゲート電極又は前記ドレイン電極に接続された抵抗性フィールドプレートを有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の電界効果トランジスタ。
  10. 更に、前記第1導電型を有する前記有機半導体膜の上に配置され且つ前記ゲート電極又は前記ドレイン電極に接続されたフィールドプレートを有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の電界効果トランジスタ。
  11. 更に、前記第1導電型の前記有機半導体膜と前記半導体領域の前記第1の主面との間に配置された絶縁膜を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の電界効果トランジスタ。
  12. 更に、前記ゲート電極と前記半導体領域の前記第1の主面との間に配置されたゲート絶縁膜を有していることを特徴とする請求項1記載の電界効果トランジスタ。
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