JP2007096109A - 磁場成形装置、スラリー加熱装置、フェライト磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程における歩留まりを向上させ、品質を安定させることのできる磁場成形装置、フェライト磁石の製造方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】臼型19を加熱してスラリーを加熱することで、スラリーの分散媒の粘性率を低下させて脱水を良好に行う。さらに、臼型19の前段側にスラリー予備加熱装置30を設けて、臼型19への注入前にスラリーを加熱するようにした。これら臼型19の加熱およびスラリー予備加熱装置30における加熱により、臼型19内に形成された注入パス14の容積が、キャビティ13の総容積、すなわち成形1回分のスラリーの容積に満たず、1回の成形に必要なスラリーの全量を臼型19で加熱しきない場合であっても、スラリーを確実に加熱するようにした。
【選択図】図2
Description
本発明は、磁場成形装置、フェライト磁石の製造方法等に関する。
フェライト(焼結)磁石は、特性が向上し比較的安価であることから、自動車、家電製品、産業機械等、広い分野で多量に使用されている。
フェライト磁石を製造するには、原料を所定の配合比で混合したものを仮焼してフェライト化させ、得られた仮焼体をサブミクロンサイズまで粉砕し、フェライト粒子からなる微粉砕粉末を得る。次いで、微粉砕粉末を磁場中で金型によって圧縮成形(以下、これを磁場成形と称する)して成形体を得た後、この成形体を焼結することで、フェライト磁石を得る。
磁場成形の工程には、大きく分けて、材料を乾燥させた後に成形を行う乾式と、材料をスラリー状として成形を行う湿式とがある。
フェライト磁石を製造するには、原料を所定の配合比で混合したものを仮焼してフェライト化させ、得られた仮焼体をサブミクロンサイズまで粉砕し、フェライト粒子からなる微粉砕粉末を得る。次いで、微粉砕粉末を磁場中で金型によって圧縮成形(以下、これを磁場成形と称する)して成形体を得た後、この成形体を焼結することで、フェライト磁石を得る。
磁場成形の工程には、大きく分けて、材料を乾燥させた後に成形を行う乾式と、材料をスラリー状として成形を行う湿式とがある。
湿式で磁場成形を行う場合、スラリー中に含まれる水分を除去する脱水を確実に行わないと、成形体にクラック等が生じ、その結果、歩留まりが低下してしまうという問題があった。
このため、従来より、金型に注入する前にスラリーを加熱することでスラリーの粘度を低下させ、脱水性を向上させるという改善技術が提案されていた(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
このため、従来より、金型に注入する前にスラリーを加熱することでスラリーの粘度を低下させ、脱水性を向上させるという改善技術が提案されていた(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
特許文献1に記載の技術は、金型装置と、金型装置にスラリーを圧送する圧送装置との間にスラリーを加熱する加熱装置を備えたものである。
しかし、この技術では、加熱に電熱管やウォーターバスを使っていたため、加熱に時間がかかるという問題を抱えている。特許文献2に記載の技術は、これに対して提案されたものであり、加熱にマイクロ波を用いることで、スラリーを短時間で均一に加熱するというものである。
しかし、この技術では、加熱に電熱管やウォーターバスを使っていたため、加熱に時間がかかるという問題を抱えている。特許文献2に記載の技術は、これに対して提案されたものであり、加熱にマイクロ波を用いることで、スラリーを短時間で均一に加熱するというものである。
また、特許文献3に記載の技術は、金型に注入されるスラリーが貯留されたタンク内で、スラリーをパイプヒータ等で直接加熱したり、タンクの外周面を熱湯等で間接加熱したり、また、タンクから金型にスラリーが自動注入される際に金型までの導入管を外周から加熱することによって、スラリーの温度を40〜90℃に保持しようというものである。
しかしながら、上記のように加熱されたスラリーを金型内に注入すると、金型等によって熱が奪われてスラリーの温度が低下し、スラリーの分散媒の粘度が上昇してしまうという問題があることを本発明者らは見出した。
また、特許文献3の技術では、金型内におけるスラリーの温度を40〜90℃に保持するという構成になってはいる。しかし、金型に注入されるスラリーが貯留されたタンク内で、スラリーをパイプヒータ等で直接加熱したり、タンクの外周面を熱湯等で間接加熱したり、また、タンクから金型にスラリーが自動注入される際に金型までの導入管を外周から加熱していたのでは、上記のように金型に注入した段階でスラリーの熱が奪われるため、金型内におけるスラリーの温度を40〜90℃に保持することは現実的に困難であることも実験により確認された。
また、特許文献3の技術では、金型内におけるスラリーの温度を40〜90℃に保持するという構成になってはいる。しかし、金型に注入されるスラリーが貯留されたタンク内で、スラリーをパイプヒータ等で直接加熱したり、タンクの外周面を熱湯等で間接加熱したり、また、タンクから金型にスラリーが自動注入される際に金型までの導入管を外周から加熱していたのでは、上記のように金型に注入した段階でスラリーの熱が奪われるため、金型内におけるスラリーの温度を40〜90℃に保持することは現実的に困難であることも実験により確認された。
このような問題は、特に、一つの金型で成形体を多数個取りするため、金型に複数のキャビティを形成する等の理由で、大型化した金型を使用する場合等に顕著であった。金型側の熱容量が非常に大きいためである。これらの場合、上記したような従来の技術を適用したとしても、クラックが発生するという問題を有効に解決することができない。さらに、複数のキャビティが金型に形成されている場合、金型内のキャビティの位置によってスラリー温度が異なってしまい、キャビティ毎に脱水性に差が生じるために、最終的に得られる成形体の密度、製品重量にもばらつきが生じるという問題が生じる。
加えて、周囲の雰囲気温度によって金型の温度も変わるため、季節によって金型内でのスラリーの分散媒の粘度が変動し、得られる製品の品質が安定しないという問題もある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、製造工程における歩留まりを向上させ、品質を安定させることのできる磁場成形装置、フェライト磁石の製造方法等を提供することを目的とする。
加えて、周囲の雰囲気温度によって金型の温度も変わるため、季節によって金型内でのスラリーの分散媒の粘度が変動し、得られる製品の品質が安定しないという問題もある。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、製造工程における歩留まりを向上させ、品質を安定させることのできる磁場成形装置、フェライト磁石の製造方法等を提供することを目的とする。
このような課題に対し、本発明者らは、金型注入前にスラリーを加熱するのではなく、金型を加熱し、ここにスラリーを注入することによって、スラリーを加熱するのが有効であることを見出した。
しかしながら、そのような場合においても、金型内に形成されたスラリーの流路の容積が、1回の成形に必要なスラリー量(すなわち、金型に形成されたキャビティの容積とキャビティ数の積)に満たない場合、1回の成形に必要なスラリーの全量を金型で加熱しきれず、キャビティ毎に脱水性に差が生じることになってしまう。
しかしながら、そのような場合においても、金型内に形成されたスラリーの流路の容積が、1回の成形に必要なスラリー量(すなわち、金型に形成されたキャビティの容積とキャビティ数の積)に満たない場合、1回の成形に必要なスラリーの全量を金型で加熱しきれず、キャビティ毎に脱水性に差が生じることになってしまう。
このような問題を解決すべくなされた本発明は、フェライト磁石を製造するときに用いる磁場成形装置であって、主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させたスラリーが注入されるキャビティを有し、スラリーを圧縮成形する金型と、金型中のスラリーに、所定方向の磁場を印加する磁場発生源と、金型を加熱することで金型中のスラリーを加熱する金型加熱部と、金型の外部に設けられ、金型に注入するスラリーを加熱するスラリー加熱部と、を備えることを特徴とする。
このように、本発明においては、まず、金型を加熱しておき、ここにスラリーを注入してスラリーを加熱することで、周囲環境に関らずスラリーを確実かつ均一に加熱し、その分散媒の粘性率を低下させることができる。このような場合において、さらに金型の外部に設けられたスラリー加熱部にて、金型に注入するスラリーを加熱することで、スラリーの加熱を、より確実に行う。このように金型の加熱とスラリー加熱部による加熱とを組み合わせることで、従来の、金型注入前にスラリーを加熱する技術に比較し、金型外部から金型内部にかけてスラリーが加熱されることになるので、スラリー加熱を効率よく行うことができ、1回の成形に必要なスラリーの全量が多い場合や、成形サイクルタイムが短く、迅速なスラリー加熱が要求される場合等に本発明は有効となる。特に、本発明は、キャビティにスラリーを注入するために金型に形成された注入パスの容積が、金型に形成されたキャビティの総容積よりも小さい場合に有効となる。
このとき、スラリー加熱部は、金型に形成されたキャビティの総容積に対し、1〜10倍の量のスラリー(すなわち成形1〜10回分のスラリー)を加熱するのが好ましい。また、このようなスラリー加熱部は、液媒を貯留する槽体と、液媒を加熱するヒータと、液媒内に浸漬するように設けられ、金型にスラリーを供給するパイプと、を備えた構成とすることができる。このようなスラリー加熱部において、槽体内の液媒を撹拌する撹拌部材をさらに備えるのが好ましい。槽体内のスラリー温度の均一化を図ることができるからである。さらに、伝熱効率の面から、パイプの内径は好ましくは注入パスの内径の3倍以下、さらに好ましくは注入パスの内径の2倍以下とする。このようにして、パイプの内径をなるべく細くすることで、液媒内におけるパイプの伝熱効率を高めることができる。なお、注入パスは一般にキャビティに近くなると枝分かれして細くなるが、ここでいう注入パスの内径とは最も細くなっている部分を指す。また、パイプの内径は、金型に形成された注入パスの内径よりも大径とするのが好ましい。注入パスの内径よりパイプ径が小さくなると著しく配管抵抗が大きくなるためである。注入パスの断面は必ずしも円でなくてもよいが、もし円でない場合には同じ断面積を持つ円の径に置き換えて考えればよい。また、パイプの肉厚はパイプの材質と充填時の圧力を考慮して設計すればよいが、一般的には1〜3mmとすればよい。
また、金型加熱部は、金型のキャビティよりも下方の位置に設けられ、注入パス内のスラリーを加熱するヒータと、ヒータをコントロールするコントローラと、を備えることで構成するのが好ましい。金型に形成された注入パス中の成形用スラリーをヒータで加熱することで、キャビティ内に注入されるスラリーの温度低下を防ぎ、脱水性を確実に向上することができるからである。また、ヒータにより、スラリーだけでなく、臼型についても加熱することができ、これによってもキャビティ内のスラリーの温度低下を防ぐことが可能となる。このとき、ヒータを金型のキャビティよりも下方の位置に設けることで、フェライト磁石の成形に関与するキャビティ周囲における金型強度が低下するのを防止することができる。
このように、本発明においては、まず、金型を加熱しておき、ここにスラリーを注入してスラリーを加熱することで、周囲環境に関らずスラリーを確実かつ均一に加熱し、その分散媒の粘性率を低下させることができる。このような場合において、さらに金型の外部に設けられたスラリー加熱部にて、金型に注入するスラリーを加熱することで、スラリーの加熱を、より確実に行う。このように金型の加熱とスラリー加熱部による加熱とを組み合わせることで、従来の、金型注入前にスラリーを加熱する技術に比較し、金型外部から金型内部にかけてスラリーが加熱されることになるので、スラリー加熱を効率よく行うことができ、1回の成形に必要なスラリーの全量が多い場合や、成形サイクルタイムが短く、迅速なスラリー加熱が要求される場合等に本発明は有効となる。特に、本発明は、キャビティにスラリーを注入するために金型に形成された注入パスの容積が、金型に形成されたキャビティの総容積よりも小さい場合に有効となる。
このとき、スラリー加熱部は、金型に形成されたキャビティの総容積に対し、1〜10倍の量のスラリー(すなわち成形1〜10回分のスラリー)を加熱するのが好ましい。また、このようなスラリー加熱部は、液媒を貯留する槽体と、液媒を加熱するヒータと、液媒内に浸漬するように設けられ、金型にスラリーを供給するパイプと、を備えた構成とすることができる。このようなスラリー加熱部において、槽体内の液媒を撹拌する撹拌部材をさらに備えるのが好ましい。槽体内のスラリー温度の均一化を図ることができるからである。さらに、伝熱効率の面から、パイプの内径は好ましくは注入パスの内径の3倍以下、さらに好ましくは注入パスの内径の2倍以下とする。このようにして、パイプの内径をなるべく細くすることで、液媒内におけるパイプの伝熱効率を高めることができる。なお、注入パスは一般にキャビティに近くなると枝分かれして細くなるが、ここでいう注入パスの内径とは最も細くなっている部分を指す。また、パイプの内径は、金型に形成された注入パスの内径よりも大径とするのが好ましい。注入パスの内径よりパイプ径が小さくなると著しく配管抵抗が大きくなるためである。注入パスの断面は必ずしも円でなくてもよいが、もし円でない場合には同じ断面積を持つ円の径に置き換えて考えればよい。また、パイプの肉厚はパイプの材質と充填時の圧力を考慮して設計すればよいが、一般的には1〜3mmとすればよい。
また、金型加熱部は、金型のキャビティよりも下方の位置に設けられ、注入パス内のスラリーを加熱するヒータと、ヒータをコントロールするコントローラと、を備えることで構成するのが好ましい。金型に形成された注入パス中の成形用スラリーをヒータで加熱することで、キャビティ内に注入されるスラリーの温度低下を防ぎ、脱水性を確実に向上することができるからである。また、ヒータにより、スラリーだけでなく、臼型についても加熱することができ、これによってもキャビティ内のスラリーの温度低下を防ぐことが可能となる。このとき、ヒータを金型のキャビティよりも下方の位置に設けることで、フェライト磁石の成形に関与するキャビティ周囲における金型強度が低下するのを防止することができる。
本発明は、フェライト磁石の製造工程にて、主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させたスラリーを圧縮成形して所定形状の成形体を形成するための金型に対して注入されるスラリーを加熱するスラリー加熱装置であって、液媒を貯留する槽体と、液媒を加熱するヒータと、液媒内に浸漬するように設けられ、金型にスラリーを供給するパイプと、を備え、パイプの内径は、金型のキャビティにスラリーを注入するために形成された注入パスの内径の3倍以下とされていることを特徴とすることもできる。
また、本発明は、主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させることで得たスラリーを、金型の外部に設けられたスラリー加熱装置で加熱する工程と、金型を加熱しておき、スラリーを金型に形成されたキャビティに注入し、所定方向の磁場中にて加圧成形することで成形体を得る工程と、成形体を焼成することでフェライト磁石を得る工程と、を有することを特徴とするフェライト磁石の製造方法とすることもできる。
本発明によれば、金型におけるスラリー加熱と金型注入前のスラリー加熱とを組み合わせることで、スラリー加熱を効率よく行うことができ、1回の成形に必要なスラリーの全量が多い場合や、成形サイクルタイムが短い場合等においても、スラリーを迅速かつ確実に加熱し、磁場成形中におけるスラリーの脱水性を高く維持することが可能となる。その結果、最終的に得られる成形体の密度を高めて品質を向上・安定化させるとともに、不良品を低減し、製造工程における歩留まりを向上させることができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるフェライト磁石の製造工程の流れの一例を示す図である。なお、本実施の形態で示すフェライト磁石の製造工程はあくまでも一例に過ぎず、適宜変更を加えることが可能なのは言うまでも無い。
この図1に示すように、フェライト磁石を製造するには、まず原料を所定の配合比で混合したものを仮焼してフェライト化させる(ステップS101、S102)。原料としては、酸化物粉末、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の粉末を用いる。仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行えば良い。
次いで、得られた仮焼体を粗粉砕工程を経ることで粉砕し(ステップS103)、フェライト粒子からなる仮焼粉末を得る。次いでこの仮焼粉末に適宜添加物を添加し、微粉砕工程を経てサブミクロンサイズまで粉砕し(ステップS104)、主としてマグネトプランバイト型フェライトからなる微粉砕粉末を得る。粗粉砕工程、微粉砕工程は、湿式で行っても乾式で行ってもよい。ただし、仮焼体は一般に顆粒から構成されるので、粗粉砕工程を乾式で行い、次いで微粉砕工程を湿式で行うのが好ましい。その場合、粗粉砕工程で仮焼体を所定以下の粒径となるまで粗粉砕した後、微粉砕工程で粗粉砕粉と水とを含む粉砕用スラリーを調製し、これを用いて所定以下の粒径となるまでの微粉砕を行う。
図1は、本実施の形態におけるフェライト磁石の製造工程の流れの一例を示す図である。なお、本実施の形態で示すフェライト磁石の製造工程はあくまでも一例に過ぎず、適宜変更を加えることが可能なのは言うまでも無い。
この図1に示すように、フェライト磁石を製造するには、まず原料を所定の配合比で混合したものを仮焼してフェライト化させる(ステップS101、S102)。原料としては、酸化物粉末、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の粉末を用いる。仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行えば良い。
次いで、得られた仮焼体を粗粉砕工程を経ることで粉砕し(ステップS103)、フェライト粒子からなる仮焼粉末を得る。次いでこの仮焼粉末に適宜添加物を添加し、微粉砕工程を経てサブミクロンサイズまで粉砕し(ステップS104)、主としてマグネトプランバイト型フェライトからなる微粉砕粉末を得る。粗粉砕工程、微粉砕工程は、湿式で行っても乾式で行ってもよい。ただし、仮焼体は一般に顆粒から構成されるので、粗粉砕工程を乾式で行い、次いで微粉砕工程を湿式で行うのが好ましい。その場合、粗粉砕工程で仮焼体を所定以下の粒径となるまで粗粉砕した後、微粉砕工程で粗粉砕粉と水とを含む粉砕用スラリーを調製し、これを用いて所定以下の粒径となるまでの微粉砕を行う。
この後、微粉砕粉末を分散媒に分散させることで所定濃度のスラリーを調製し、これを磁場成形する。微粉砕工程で湿式粉砕を行った場合、脱水工程(ステップS105)にてスラリーを濃縮することで、所定濃度のスラリーを調製するようにしても良い。
ここで、分散媒としては、水、あるいは常温(20℃)において粘性率が0.70[mPa・s]未満の液体が好適である。常温(20℃)において粘性率が0.70[mPa・s]未満の液体としては、例えば、ヘキサン、トルエン、p-キシレン、メタノール等を用いることができる。また、分散媒は、後述の加熱された金型に注入したときに、粘性率が0.70[mPa・s]未満となるものであってもよく、上記したような分散媒だけでなく、他の分散媒を採用することもできる。
ここで、分散媒としては、水、あるいは常温(20℃)において粘性率が0.70[mPa・s]未満の液体が好適である。常温(20℃)において粘性率が0.70[mPa・s]未満の液体としては、例えば、ヘキサン、トルエン、p-キシレン、メタノール等を用いることができる。また、分散媒は、後述の加熱された金型に注入したときに、粘性率が0.70[mPa・s]未満となるものであってもよく、上記したような分散媒だけでなく、他の分散媒を採用することもできる。
そして、このスラリーを混練した後(ステップS106)、スラリーを型に注入し、所定方向の磁場をかけながら圧縮成形することで磁場成形を行う(ステップS107)。
この後、得られた成形体を焼成して焼結させることで、フェライト磁石を得る(ステップS108)。この後、所定形状への加工を経て、製品としてのフェライト磁石が完成する(ステップS109〜S110)。
図2、図3は、上記したようなステップS107の磁場成形を行う工程で用いる磁場成形装置10の概略構成を示す図である。
磁場成形装置10は、所定濃度に調製されたスラリーに対し、磁場中で圧縮成形を施すことで、フェライト粒子を配向させ、所定形状のフェライト磁石を形成するものである。図2に示すように、この磁場成形装置10は、複数のフェライト磁石を多数個取りで形成するため、複数のキャビティ13を有している。
磁場成形装置10は、所定濃度に調製されたスラリーに対し、磁場中で圧縮成形を施すことで、フェライト粒子を配向させ、所定形状のフェライト磁石を形成するものである。図2に示すように、この磁場成形装置10は、複数のフェライト磁石を多数個取りで形成するため、複数のキャビティ13を有している。
図3は、この磁場成形装置10の一列のキャビティ13を対象とした断面図である。この図3に示すように、磁場成形装置10には、金型として、上型11、下型12、臼型19、ヒータブロック40が備えられている。上型11、下型12の少なくとも一方は、図示しない駆動シリンダ等を駆動源として、上型11、下型12を互いに接近・離間方向に動作可能となっている。本実施の形態においては、下型12が、上型11に対し所定のストロークで上下動するようになっている。
また、臼型19は、固定されていてもよいし、上下動可能でも良い。
また、臼型19は、固定されていてもよいし、上下動可能でも良い。
臼型19には、その下面に、別体のヒータブロック40が設けられている。このヒータブロック40には、個々のキャビティ13にスラリーを注入するための注入パス14が形成されている。臼型19の内部には、注入パス14に連続するように、各キャビティ13へと繋がる注入パス分岐路41が形成されている。
注入パス14は、外部に設けられた材料容器15から、弁16Aを開いたときにポンプ16によって送り込まれるスラリーを、個々のキャビティ13に分配・注入するようになっている。これら注入パス14および注入パス分岐路41は、その総容積が、成形1回分のスラリーの容積と同等以上となるように形成するのが好ましい。
なお、図3(a)は、注入パス14から各キャビティ13への注入パス分岐路41の流路長が等しくなるよう、注入パス14を金型中央部まで設け、そこから注入パス分岐路41を延ばして形成した場合の例であり、図3(b)は、注入パス14の途中から、注入パス分岐路41の長さが最短となるように形成した例である。
注入パス14は、外部に設けられた材料容器15から、弁16Aを開いたときにポンプ16によって送り込まれるスラリーを、個々のキャビティ13に分配・注入するようになっている。これら注入パス14および注入パス分岐路41は、その総容積が、成形1回分のスラリーの容積と同等以上となるように形成するのが好ましい。
なお、図3(a)は、注入パス14から各キャビティ13への注入パス分岐路41の流路長が等しくなるよう、注入パス14を金型中央部まで設け、そこから注入パス分岐路41を延ばして形成した場合の例であり、図3(b)は、注入パス14の途中から、注入パス分岐路41の長さが最短となるように形成した例である。
臼型19およびヒータブロック40には、下方から下型12を挿通させるための貫通孔32、33が連続して形成されている。
個々の下型12は、そのストローク終端位置において、キャビティ13にて、スラリーを所定の形状に圧縮成形するようになっている。ここで、臼型19には、下型12との隙間をシールするシール部材17が設けられている。
上型11と臼型19の合わせ面には、キャビティ13からスラリーに含まれる水分を排出するための濾布18が挟み込まれている。これにより、スラリーに含まれる水分は、濾布18を伝い、上型11と臼型19の合わせ面から上型11および臼型19の外部に導き出されるようになっている。
そして、上型11の近傍には、図示しない磁界発生コイル等が設けられており、所定の方向の磁場を加えることができるようになっている。
個々の下型12は、そのストローク終端位置において、キャビティ13にて、スラリーを所定の形状に圧縮成形するようになっている。ここで、臼型19には、下型12との隙間をシールするシール部材17が設けられている。
上型11と臼型19の合わせ面には、キャビティ13からスラリーに含まれる水分を排出するための濾布18が挟み込まれている。これにより、スラリーに含まれる水分は、濾布18を伝い、上型11と臼型19の合わせ面から上型11および臼型19の外部に導き出されるようになっている。
そして、上型11の近傍には、図示しない磁界発生コイル等が設けられており、所定の方向の磁場を加えることができるようになっている。
さて、本実施の形態において、ヒータブロック40には、金型加熱部として、注入パス14に沿うように、電熱線、セラミックヒータ等によって構成されるヒータ部材20が埋め込まれている。このヒータ部材20は、各キャビティ13を均一に加熱できるよう決定されたパターンで配置するのが好ましい。
ヒータ部材20には、それぞれヒータ用電源(図示無し)が接続されており、各ヒータ用電源(図示無し)からそれぞれのヒータ部材20に電圧を印加することでヒータ部材20が発熱し、ヒータブロック40を加熱し、これによって注入パス14内のスラリーが加熱される。また、ヒータブロック40の加熱により、臼型19についても加熱が行われ、注入パス分岐路41内のスラリーも加熱される。
ヒータ部材20としては、このような電気式ヒータに限らず、液体(熱媒)循環や電磁誘導等によって加熱を行うものを用いることもできる。
これらヒータ部材20およびヒータ用電源(図示無し)によって、ヒータが構成されている。
ヒータ部材20には、それぞれヒータ用電源(図示無し)が接続されており、各ヒータ用電源(図示無し)からそれぞれのヒータ部材20に電圧を印加することでヒータ部材20が発熱し、ヒータブロック40を加熱し、これによって注入パス14内のスラリーが加熱される。また、ヒータブロック40の加熱により、臼型19についても加熱が行われ、注入パス分岐路41内のスラリーも加熱される。
ヒータ部材20としては、このような電気式ヒータに限らず、液体(熱媒)循環や電磁誘導等によって加熱を行うものを用いることもできる。
これらヒータ部材20およびヒータ用電源(図示無し)によって、ヒータが構成されている。
さらに、ヒータブロック40には、温度を検出する熱電対等のセンサ22が設けられ、さらに、このセンサ22で検出した温度に基づき、ヒータ用電源(図示無し)を制御するコントローラ23が備えられている。
センサ22で検出した各部の温度に基づき、コントローラ23でヒータ用電源23を制御し、ヒータ部材20での発熱を制御することで、各キャビティ13に充填されるスラリーを加熱する。
センサ22で検出した各部の温度に基づき、コントローラ23でヒータ用電源23を制御し、ヒータ部材20での発熱を制御することで、各キャビティ13に充填されるスラリーを加熱する。
このような磁場成形装置10には、臼型19の外部にスラリー予備加熱装置(スラリー加熱部、スラリー加熱装置)30を備える。
スラリー予備加熱装置30は、臼型19内に形成された注入パス14の容積が、キャビティ13の総容積、すなわち成形1回分のスラリーの容積に満たない場合に特に有効であり、水あるいはオイル等の液媒Lが満たされる槽体31内に、材料容器15からポンプ16によって供給されるスラリーを送るパイプ32と、ヒータ33、センサ34、撹拌部材35が備えられている。
スラリー予備加熱装置30は、臼型19内に形成された注入パス14の容積が、キャビティ13の総容積、すなわち成形1回分のスラリーの容積に満たない場合に特に有効であり、水あるいはオイル等の液媒Lが満たされる槽体31内に、材料容器15からポンプ16によって供給されるスラリーを送るパイプ32と、ヒータ33、センサ34、撹拌部材35が備えられている。
パイプ32は、槽体31に満たされた液媒Lと熱交換することによって、パイプ32内でスラリーを加熱するようになっている。パイプ32は、槽体31の液媒Lに浸漬された部分の流路容積が、臼型19における1回の成形に必要なスラリー量V(=キャビティ13の容積×キャビティ13の数)よりも大きくなるように設定されている。パイプ32の液媒Lに浸漬される部分の流路容積の好ましい範囲は、前記のスラリー量Vの1〜10倍、より好ましくは1〜5倍、さらに好ましくは1〜3倍である。このため、槽体31の液媒Lに浸漬されるパイプ32の長さは長くなる。そこで、槽体31内において、パイプ32を略らせん状に巻き回して配管したり、ジグザグ状に配管するのが好ましい。ただし、パイプ32を略L字状に屈曲させた構成とする場合、配管抵抗(流路抵抗)が過大になるのを回避するため、屈曲部の数は、なるべく少なくするのが好ましく、例えば8箇所以下とするのが好ましい。
パイプ32の内径は、パイプ32の断面積が大きすぎると、パイプ32内のスラリーを液媒Lによって加熱するときに、加熱効率が悪く、またパイプ32内の外周側と中心側とでスラリーの温度が大きく異なってしまうことから、ある程度小さく設定するのが好ましい。また、配管抵抗が大きくなるため、パイプ32の内径は、臼型19に形成された注入パス14の内径よりも大径とするのが好ましい。伝熱効率の面から、パイプ32の内径は好ましくは注入パス14の内径の3倍以下、さらに好ましくは注入パス14の内径の2倍以下とする。このようにして、パイプ32の内径をなるべく細くすることで、液媒L内におけるパイプ32の伝熱効率を高めることができる。なお、注入パス14は一般にキャビティ13に近くなると枝分かれして細くなるが、ここでいう注入パス14の内径とは最も細くなっている部分を指す。注入パス14の断面は必ずしも円でなくてもよいが、もし円でない場合には同じ断面積を持つ円の径に置き換えて考えればよい。注入パス14の内径が12mmである場合、好ましいパイプ32の内径は12〜25mm、さらに好ましくは15〜25mmである。また、パイプ32の肉厚はパイプ32の材質と充填時の圧力を考慮して設計すればよいが、一般的には1〜3mmとすればよい。
ヒータ33は、槽体31内の液媒Lを加熱する。槽体31内の液媒Lの温度はセンサ34によって検出され、センサ34での検出温度に応じ、コントローラ36がヒータ33を自動的に制御することで、槽体31内の液媒Lは、所定範囲内の温度に加熱・維持されるようになっている。
また、撹拌部材35は、槽体31内の液媒Lの温度を均一化するためのものであり、撹拌翼が回転することで槽体31内の液媒Lを撹拌する。
スラリー予備加熱装置30と臼型19との間において、パイプ32と注入パス14は、接続管39によって接続されている。この接続管39の部分における、内部のスラリーの放熱を防ぐため、接続管39はなるべく短くするのが好ましい。また、接続管39に断熱材を巻き付けたり、ヒータを備えるようにしてもよい。
また、磁場成形装置10には、臼型19のキャビティ13に注入されるスラリー中の異物や凝集物等を除去するため、材料容器15からキャビティ13に至る経路にストレーナ50を備えるのが好ましい。ストレーナ50の位置は、臼型19とスラリー予備加熱装置30の間(すなわち接続管39の部分)、ポンプ16とスラリー予備加熱装置30の間のいずれであっても良いが、除去をより完全に行うという観点からして、臼型19になるべく近い、接続管39の部分にストレーナ50を備えるのが好ましい。
上記したような構成の磁場成形装置10では、前記のステップS106で混練されたスラリーが、材料容器15からポンプ16によって、スラリー予備加熱装置30、接続管39、注入パス14を通り、上型11、下型12間の各キャビティ13に分配・供給される。所定量のスラリーがキャビティ13に充填されると、図示しない磁界発生コイル等の磁場発生源によって発生させた磁界を印加しつつ、下型12を作動させ、上型11、下型12により所定の圧力を加える。これによって、スラリーに含まれる水分は濾布18を伝って外部に導き出されることで、脱水が行われつつ、所定の形状に成形がなされる。なお、磁界の印加を開始する時期は充填直前であってもよい。充填時に磁場を印加しておくことによって磁場によってフェライト粒子が凝集し、脱水が促進される。
そして、成形の完了後、上型11を開き、下型12より所定形状に成形された成形体を抜き出して脱型する。
そして、成形の完了後、上型11を開き、下型12より所定形状に成形された成形体を抜き出して脱型する。
このようにして、磁場成形するに際し、コントローラ23の制御により、ヒータ部材20でスラリーを所定の温度に加熱(調整)する。さらに、金型の前段側のスラリー予備加熱装置30において、ヒータ33によって加熱された槽体31中の液媒Lとの熱交換により、パイプ32内のスラリーを加熱する。
加熱する温度としては、センサ22、34によって検出される各部の温度T1が40℃以上となるようにするのが好ましい。これは、温度T1が40℃を下回るとスラリーの加熱効果が確実に表れにくいからである。また、温度T1が120℃を超えると、すなわちスラリーの圧力にもよるが、スラリーに含まれる水分が沸騰してしまう。したがって、温度T1の上限は、120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下とするのが良い。このため、センサ22、34での検出値に基づき、コントローラ23、36でヒータ用電源(図示無し)、ヒータ33を制御するのが好ましい。
これにより、例えば、温度T1=50℃となるようにスラリーを加熱したときには、キャビティ13内に充填された状態におけるスラリーの温度T2は43℃、T1=60℃としたときにはT2=49℃等となる。
加熱する温度としては、センサ22、34によって検出される各部の温度T1が40℃以上となるようにするのが好ましい。これは、温度T1が40℃を下回るとスラリーの加熱効果が確実に表れにくいからである。また、温度T1が120℃を超えると、すなわちスラリーの圧力にもよるが、スラリーに含まれる水分が沸騰してしまう。したがって、温度T1の上限は、120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下とするのが良い。このため、センサ22、34での検出値に基づき、コントローラ23、36でヒータ用電源(図示無し)、ヒータ33を制御するのが好ましい。
これにより、例えば、温度T1=50℃となるようにスラリーを加熱したときには、キャビティ13内に充填された状態におけるスラリーの温度T2は43℃、T1=60℃としたときにはT2=49℃等となる。
上述したように、スラリーを加熱することで、スラリーの分散媒の粘性率を低下させて脱水を良好に行うことができ、製品の歩留まりを向上させることができる。また、金型においてスラリーを加熱することによって、キャビティ13内におけるスラリーの温度を確実に高くすることができる。しかも、金型の前段側にはスラリー予備加熱装置30を設けたので、注入パス14の容積が、キャビティ13の総容積、すなわち成形1回分のスラリーの容積に満たず、1回の成形に必要なスラリーの全量を金型で加熱しきれない場合であっても、スラリー予備加熱装置30においてスラリーを確実に加熱することができる。
また、金型だけでなくスラリー予備加熱装置30においてもスラリー加熱を行うことにより、キャビティ13で成形を行っている間、次回以降の成形時にキャビティ13に供給されるスラリーを確実かつ効率良く加熱できる。その結果、キャビティ13における成形時間(サイクルタイム)が短いような場合であっても、スラリーの加熱を確実に行うことができる。その結果、最終的に得られる成形体の密度を高めて品質を向上・安定化させるとともに、不良品を低減し、製造工程における歩留まりを向上させることができる。
ところで、上記実施の形態において、スラリー予備加熱装置30と金型におけるスラリーの加熱温度T1を異ならせることも可能である。例えば、スラリー予備加熱装置30にて、ある温度までスラリーを加熱した後、金型において、さらに高い所定の温度までスラリーを加熱するようにしても良い。
また、金型における注入パス14の容積が、キャビティ13の総容積、すなわち成形1回分のスラリーの容積に満たない場合でなくとも、スラリー予備加熱装置30を備えても良い。このようにすれば、スラリー予備加熱装置30でスラリーを予備加熱することで、金型内においてはスラリーをより短時間で加熱することができる。また、予備加熱せずにスラリーを注入パス14に供給する場合に比較し、金型自体もスラリーの注入に伴う温度変動を抑える効果もある。
また、金型における注入パス14の容積が、キャビティ13の総容積、すなわち成形1回分のスラリーの容積に満たない場合でなくとも、スラリー予備加熱装置30を備えても良い。このようにすれば、スラリー予備加熱装置30でスラリーを予備加熱することで、金型内においてはスラリーをより短時間で加熱することができる。また、予備加熱せずにスラリーを注入パス14に供給する場合に比較し、金型自体もスラリーの注入に伴う温度変動を抑える効果もある。
ここで、スラリーの温度とキャビティ内圧の関係を調べたのでその結果を以下に示す。
まず、図1に示したような工程で、スラリーを調製した。スラリーの分散媒には水を使用した。そして、図2に示したような構成の磁場成形装置10で、スラリーの磁場成形を行った。
ここで、金型には、寸法50×40mm、円弧形状のキャビティ13が16個形成され、注入パス14の容積が、成形1回分のスラリーの容積(=キャビティ16個分の容積)の70%とされたものを使用した。
このような金型をヒータで60℃に加熱するとともに、スラリー予備加熱装置30では液媒Lを70℃に加熱し、材料容器15からスラリー予備加熱装置30を経て金型にスラリーを供給した。
そして、金型の各キャビティ13に充填されたスラリーの温度およびキャビティ13の内圧を測定した(実施例1)。
また、比較のため、金型の加熱のみを行い、スラリー予備加熱装置30による加熱を行わずに、同様にスラリーを供給し、そのスラリーの温度およびキャビティ13の内圧を測定した(比較例1)。
その結果が、表1に示すものであり、示した温度、圧力は、温度・内圧を測定した全てのキャビティ13の平均値である。
まず、図1に示したような工程で、スラリーを調製した。スラリーの分散媒には水を使用した。そして、図2に示したような構成の磁場成形装置10で、スラリーの磁場成形を行った。
ここで、金型には、寸法50×40mm、円弧形状のキャビティ13が16個形成され、注入パス14の容積が、成形1回分のスラリーの容積(=キャビティ16個分の容積)の70%とされたものを使用した。
このような金型をヒータで60℃に加熱するとともに、スラリー予備加熱装置30では液媒Lを70℃に加熱し、材料容器15からスラリー予備加熱装置30を経て金型にスラリーを供給した。
そして、金型の各キャビティ13に充填されたスラリーの温度およびキャビティ13の内圧を測定した(実施例1)。
また、比較のため、金型の加熱のみを行い、スラリー予備加熱装置30による加熱を行わずに、同様にスラリーを供給し、そのスラリーの温度およびキャビティ13の内圧を測定した(比較例1)。
その結果が、表1に示すものであり、示した温度、圧力は、温度・内圧を測定した全てのキャビティ13の平均値である。
この表1に示すように、スラリー予備加熱装置30によって金型にスラリーを注入する前段側で加熱を行った実施例1のほうが、スラリー予備加熱装置30による加熱を行わなかった比較例1に比較し、スラリー温度が高く、キャビティ13の内圧が低い。キャビティ13の内圧はスラリーの脱水性の指標となり、数値が低いほうが脱水性がよいと言える。
このように、スラリー予備加熱装置30による加熱を行うことで、スラリーの加熱が確実に行われ、脱水性も向上していることが確認された。
このように、スラリー予備加熱装置30による加熱を行うことで、スラリーの加熱が確実に行われ、脱水性も向上していることが確認された。
次いで、実施例1、比較例1と同様の条件で、図2に示した磁場成形装置10を用いてスラリーの磁場成形を行い、断面略円弧状の所定形状・サイズのフェライト磁石を形成した。
得られたフェライト磁石について、横クラック(成形工程における脱水性が悪く、成形密度が低いために成形体にクラックが生じてしまう現象)、はがれ(同、成形密度が低いために金型からの脱型時に成形体の表面がはがれてしまう現象)、クロカワ(同、成形密度が低いために成形体が規定寸法より小さくなることで、成形後の研磨工程で研磨されずに残ってしまう現象)等の項目について検査した。その結果を表1に示す。
この表1に示すように、スラリー予備加熱装置30によって金型にスラリーを注入する前段側で加熱を行った実施例1のほうが、スラリー予備加熱装置30による加熱を行わなかった比較例1に比較し、良品率が高いことが確認された。
得られたフェライト磁石について、横クラック(成形工程における脱水性が悪く、成形密度が低いために成形体にクラックが生じてしまう現象)、はがれ(同、成形密度が低いために金型からの脱型時に成形体の表面がはがれてしまう現象)、クロカワ(同、成形密度が低いために成形体が規定寸法より小さくなることで、成形後の研磨工程で研磨されずに残ってしまう現象)等の項目について検査した。その結果を表1に示す。
この表1に示すように、スラリー予備加熱装置30によって金型にスラリーを注入する前段側で加熱を行った実施例1のほうが、スラリー予備加熱装置30による加熱を行わなかった比較例1に比較し、良品率が高いことが確認された。
10…磁場成形装置、11…上型(金型)、12…下型(金型)、13…キャビティ、14…注入パス、19…臼型(金型)、20…ヒータ部材、22…センサ、30…スラリー予備加熱装置(スラリー加熱部、スラリー加熱装置)、31…槽体、32…パイプ、33…ヒータ、34…センサ、35…撹拌部材、36…コントローラ
Claims (8)
- フェライト磁石を製造するときに用いる磁場成形装置であって、
主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させたスラリーが注入されるキャビティを有し、前記スラリーを圧縮成形する金型と、
前記金型中の前記スラリーに、所定方向の磁場を印加する磁場発生源と、
前記金型を加熱することで前記金型中の前記スラリーを加熱する金型加熱部と、
前記金型の外部に設けられ、前記金型に注入する前記スラリーを加熱するスラリー加熱部と、
を備えることを特徴とする磁場成形装置。 - 前記スラリー加熱部は、前記金型に形成された前記キャビティの総容積に対し、1〜10倍の量の前記スラリーを加熱することを特徴とする請求項1に記載の磁場成形装置。
- 前記金型に、前記キャビティに前記スラリーを注入するための注入パスが形成され、前記注入パスの容積が、前記金型に形成された前記キャビティの総容積よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の磁場成形装置。
- 前記スラリー加熱部は、液媒を貯留する槽体と、
前記液媒を加熱するヒータと、
前記液媒内に浸漬するように設けられ、前記金型に前記スラリーを供給するパイプと、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁場成形装置。 - 前記スラリー加熱部は、前記槽体内の前記液媒を撹拌する撹拌部材をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の磁場成形装置。
- 前記金型に、前記キャビティに前記スラリーを注入するための注入パスが形成され、前記パイプの内径が前記注入パスの内径の3倍以下とされていることを特徴とする請求項4または5に記載の磁場成形装置。
- フェライト磁石の製造工程にて、主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させたスラリーを圧縮成形して所定形状の成形体を形成するための金型に注入される前記スラリーを加熱するスラリー加熱装置であって、
液媒を貯留する槽体と、
前記液媒を加熱するヒータと、
前記液媒内に浸漬するように設けられ、前記金型に前記スラリーを供給するパイプと、
を備え、
前記パイプの内径は、前記金型のキャビティに前記スラリーを注入するために形成された注入パスの内径の3倍以下とされていることを特徴とするスラリー加熱装置。 - 主としてフェライトからなる粉末を分散媒に分散させることで得たスラリーを、金型の外部に設けられたスラリー加熱装置で加熱する工程と、
前記金型を加熱しておき、前記スラリーを前記金型に形成されたキャビティに注入し、所定方向の磁場中にて加圧成形することで成形体を得る工程と、
前記成形体を焼成することでフェライト磁石を得る工程と、
を有することを特徴とするフェライト磁石の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005285315A JP2007096109A (ja) | 2005-09-29 | 2005-09-29 | 磁場成形装置、スラリー加熱装置、フェライト磁石の製造方法 |
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ID=37981426
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JP2005285315A Pending JP2007096109A (ja) | 2005-09-29 | 2005-09-29 | 磁場成形装置、スラリー加熱装置、フェライト磁石の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113334531A (zh) * | 2020-02-18 | 2021-09-03 | 湖南航天磁电有限责任公司 | 一种大圆心角磁瓦成型上模及大圆心角磁瓦成型方法 |
CN115369883A (zh) * | 2022-08-31 | 2022-11-22 | 三峡大学 | 一种水下无需模板的磁性浆液浇注装置及方法 |
-
2005
- 2005-09-29 JP JP2005285315A patent/JP2007096109A/ja active Pending
Cited By (3)
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