JP2004338269A - 燃料電池セパレータとその製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】実際の成形サイクルを安全に短縮し、さらに成形機占有時間を短縮する事を実現した、燃料電池セパレータの製造方法、及びそのための装置を提供すること。
【解決手段】成形機に設置された金型加熱装置で金型を挟んで圧縮成形する方法において、金型加熱装置を、全成形工程に渡って成形温度より20℃低い温度から400℃の範囲に制御しておき、調合された黒鉛/樹脂系粉体材料を充填された金型を、前記金型加熱装置で挟み込んで昇温して所定圧力下で圧縮成形を行い、成形後、金型を金型加熱装置から外した状態で冷却する燃料電池セパレータの製造方法、及び成形機の金型加熱装置と、該金型加熱装置の間に挟まれて加熱される一対の金型とを具備し、且つ、上記金型には独立した冷却手段を備え、該金型が材料充填時及び成形後の冷却時には金型加熱装置から成形機外へ取り外し自在とされている製造装置。
【選択図】 図1
【解決手段】成形機に設置された金型加熱装置で金型を挟んで圧縮成形する方法において、金型加熱装置を、全成形工程に渡って成形温度より20℃低い温度から400℃の範囲に制御しておき、調合された黒鉛/樹脂系粉体材料を充填された金型を、前記金型加熱装置で挟み込んで昇温して所定圧力下で圧縮成形を行い、成形後、金型を金型加熱装置から外した状態で冷却する燃料電池セパレータの製造方法、及び成形機の金型加熱装置と、該金型加熱装置の間に挟まれて加熱される一対の金型とを具備し、且つ、上記金型には独立した冷却手段を備え、該金型が材料充填時及び成形後の冷却時には金型加熱装置から成形機外へ取り外し自在とされている製造装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池セパレータの製造方法及びその装置、並びにこれらによって得られる燃料電池セパレータ、さらには燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用コージェネ装置や自動車搭載用途等に利用される燃料電池が注目されている。この燃料電池は、化学エネルギーを熱エネルギーに変換することなく直接電気エネルギーとして利用するものであり、通常、水素及び酸素の反応によって電気を取出す電池をいう。こうした燃料電池には、リン酸型燃料電池、固体電解質型燃料電池及び固体高分子型燃料電池(PEFC)等いくつかの方式のものがあるが、その中で固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池では導電性成形品であるセパレータが使用されている。セパレータは、電極等と共に単位セルを構成し、該単位セルを積層して使用されるものであって、ガス(水素・酸素)を隔離する一方で、ガスを積層状態において流す溝と貫通孔を必要とする他、導電性を必要とする。そのため、10×10−2Ωcm以下の高い電気導電性が要求される他、気体透過率が低い事、さらには耐酸化性、耐加水分解性、耐熱水性、生成した水を効果的に排水するための親水性などが要求される。
【0003】
近年、これらセパレータの材料としては、炭素材料系、金属系、導電性ポリマー系など多岐に亘る材料が検討されており、炭素材料系についても、黒鉛/樹脂系、膨張黒鉛系、シート状炭素系、ガラス状炭素系など種々のものがある。その中で、黒鉛/樹脂コンパウンド材料は、成形し易く量産に向いていると考えられるが、セパレータとして要求される高い導電性を満たすためには黒鉛配合を非常に高くする必要があり、そのために流動しずらい粉体材料である場合がほとんどである。従って、こうした黒鉛/樹脂系材料の成形方法としては、量産性の高い射出成形やトランスファー成形は適用困難であり、圧縮成形で対応することになる。
【0004】
しかし、圧縮成形は射出成形やトランスファー成形と異なり、一般に材料充填温度と成形温度、成形品取出し温度が異なるため、金型の昇温,冷却を行なう必要があり、成形サイクルが長くなり不利である。すなわち、熱硬化性樹脂をバインダーに用いる場合は、金型へ材料充填時に硬化が過剰に進まないように、成形温度より充分に低い温度において作業を行なった後、所定の成形温度に昇温を行い成形をする。続いて成形品を取出すため、成形完了後冷却を行なう。又、熱可塑性樹脂の場合は、金型へ材料を充填する際は、成形温度で実施出来るが、成形品の取出し時は、成形温度より充分に低い温度に下げる必要があり、再度成形温度に昇温する必要がある。
【0005】
そこで、加熱時間を短縮するために、粉体材料に直接電流を印加し、短時間で昇温する方法(特許文献1参照)が提案されている。しかしながら本方法は、圧縮成形で重要な圧縮荷重を掛けると電気抵抗が低くなり、所定の温度に昇温するのに大電流を要する欠点がある事を自ら記載しており、又、絶縁材である樹脂若しくはセラミックを金型の枠体に使用しているので、充分な荷重が掛けられない可能性があり、さらに、枠体を含む金型の耐久性の問題が残る。さらに、大電流を流す事から、成形設備の絶縁対策に細心の注意を要する。
【0006】
同様に、単位時間あたりの成形枚数を多くするために、成形材料を事前に加熱炉で加熱する方法(特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、本方法の実施例では、油圧プレスの占有時間を短くする事は可能であるが、総合時間である成形サイクルは80分前後と長く、実際に単位時間あたりの枚数を増やすためには、多くの金型を必要とし、金型費用が増す。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−151559号公報
【特許文献2】
特開2002−367620公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる現状に鑑み、燃料電池セパレータを製造するにあたり、通常の金型材質で成形可能であり、実際の成形サイクルを安全に短縮し、さらに成形機占有時間を短縮する事を実現した、燃料電池セパレータを製造する方法、及びそのための装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、圧縮成形で燃料電池セパレータを成形する方法において、成形装置を、冷却機構を内蔵した金型と、成形機に設置した金型加熱装置に分離する事で、成形サイクル及び金型占有時間の大幅な短縮が実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の燃料電池セパレータの製造方法は、成形機に設置された一対の金型加熱装置で金型を挟んで加熱下圧縮成形する成形方法において、上記金型加熱装置の主加熱手段の温度設定を、全成形工程に渡って成形温度より20℃低い温度から400℃の範囲に加熱制御しておき、金型加熱装置から外した状態で調合された黒鉛/樹脂系粉体材料を充填された金型を、前記金型加熱装置で挟み込んで昇温して所定圧力下で圧縮成形を行い、成形後、金型を前記金型加熱装置から外した状態で冷却する事を特徴とする。
【0010】
また、本発明の燃料電池セパレータの製造装置は、成形機に設置された主加熱手段を備えた一対の金型加熱装置と、該金型加熱装置の間に挟まれて加熱される一対の金型とを具備し、且つ、上記金型には独立した冷却手段を備え、該金型が材料充填時及び成形後の冷却時には金型加熱装置から成形機外へ取り外し自在とされていることを特徴とする。
【0011】
なお上記本発明の製造方法及び装置を用いる際には、成形機占有時間を短縮する事で、金型を複数組準備し、1組の金型を成形機で成形中、他の金型は材料充填等の成形機を必要としない工程を実施する事で、単位時間当たりの成形枚数は、本装置で成形サイクルを短縮した場合より多くなり望ましい。例えば、金型を2組準備すれば、2倍となり非常に効率が向上する。
さらに、こうした方法によって製造された燃料電池セパレータ、ひいては該燃料電池セパレータを組込んでいる燃料電池である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面によって詳細に説明する。
図1は、本発明の燃料電池セパレータの製造方法に使用される縦型圧縮製造装置の概略組立て縦断面図である。ここで本発明の縦型圧縮製造装置は、図示されていない圧縮駆動源で上下に駆動する金型圧縮用の成形機1に設置された主加熱手段4を備えた上下一対の金型加熱装置2、3と、該金型加熱装置2,3の間に挟まれて加熱される上金型5と下金型6とからなる一対の金型を具備し、且つ、上記一対の金型には独立した冷却手段8を備え、該金型が材料充填時及び成形後の冷却時には金型加熱装置2,3の間から成形機外へ取り外し自在とされたものである。
【0013】
金型加熱装置2,3に設置されている主加熱手段4としては、電気ヒーターを代表としたものであるが、電気ヒーター以外に誘導加熱、熱媒加熱等、特に制限を受ける物ではない。又、メンテナンスや、緊急時を想定した、冷却水の通過孔からなる冷却手段7を設置して、急いで主加熱機構を冷却出来る様にしても構わない。冷却機構を内臓した上金型5と下金型6は、独立して冷却を行なうために冷却水の通過孔からなる冷却手段8が設けられている。又、昇温時間をさらに短縮する目的や、材料充填時や、成形品取出し時、金型掃除時に、金型の温度低下を防ぐ目的で、金型の補助加熱手段9を設置しても良い。補助加熱手段は、電気ヒーター以外に誘導加熱、熱媒加熱等、特に制限を受ける物ではない。
【0014】
又、金型加熱装置2,3と上下金型5,6間の熱伝導を改善し昇温時間を短縮する目的で、これら金型加熱装置と金型間の境界面10を鏡面加工やメッキ加工及びその双方等の平滑化処理を実施しても構わない。さらに、金型加熱装置や金型材質も特に制約を受けず、通常用いられる炭素鋼系材料や、さらに熱伝導を改善し昇温速時間を短縮する目的で、ベリリウム銅系材料,亜鉛合金系材料及びアルミ合金系等を用いても良い。
尚、成形機1には、金型を材料充填時及び成形後の冷却時に金型加熱装置から成形機外へ取り外し自在に取出す装置11を設置すると作業が容易となる。
【0015】
以下、本発明の燃料電池セパレータの製造工程を説明する。
図2は、最初の材料充填前の金型を予め加熱して材料充填温度まで昇温する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。冷却手段を内臓した金型5,6を成形温度より20℃低い温度から400℃の範囲に制御した金型加熱装置2と3の間に挟んで、材料充填温度まで昇温する。金型加熱装置2と3の主加熱手段による温度設定が、成形温度より20℃以上低い温度であれば、材料充填温度までの昇温に時間がかかり、400℃より高いと、金型の温度が所定の材料充填温度を超えやすいばかりでなく、金型加熱装置の破壊につながり問題である。尚、補助加熱手段を設置した金型の場合、金型加熱装置2,3の間に挟まずに、成形機外で材料充填温度まで昇温可能であるが、時間がかかり不利である。又、金型加熱装置2,3と金型の補助加熱装置を同時に使用して昇温しても構わない。
【0016】
金型への材料充填温度は、充分に低い事が望ましいが、成形サイクルを短縮するために、あらかじめ調査した、材料の特性に応じた適正な材料充填温度で行なう事が望ましい。材料充填温度は、例えばエポキシ系材料の場合、常温〜160℃の範囲であり、望ましくは70〜150℃の範囲である。尚、本工程は、金型が冷えている状態から成形を開始する場合のみに必要で、成形が連続して行なわれている場合は、既に金型が加熱されていることから不要である。
【0017】
図3は、調合された黒鉛/樹脂系粉体の材料12を金型へ充填する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。金型への粉体材料12の充填は、金型加熱装置2と3の間から取出した状態で行なう。又、金型を複数準備し効率を上げる場合や、作業性を良くするため、安全のために、成形機外で行なう。尚、粉体材料12の充填を自動化した場合は、成形機の中で行なう事も可能である。この場合、金型を複数準備できない場合は、金型の成形機からの出し入れに要する工程が省略出来、有利である。粉体材料充填時は、金型5,6の温度が所定の充填温度から下がらないように、補助加熱手段9を設置して、金型を保温しても良い。
【0018】
図4は、金型昇温、圧縮成形を行なう工程を説明するための金型廻り縦断面図である。金型5,6を成形機に設置した、成形温度より20℃低い温度から400℃の範囲に制御した金型加熱装置2と3の間に挟んで、所定の成形圧力を掛けて、昇温し、所定の肉厚の燃料電池セパレータとなる製品13に成形する。昇温,圧縮工程は、昇温が終了し成形温度に達した後、一定時間この状態を保持する方法や、成形温度に達した後、直ちに冷却する方法があり、使用する材料の特性により、その方法を使い分ける。金型加熱装置の主加熱手段の設定温度は、成形温度より高いが上限を400℃とした温度状態、好ましくは、成形温度+50℃〜350℃の範囲で昇温を開始する。あらかじめ、成形温度より高い温度に昇温された金型加熱装置で金型をはさんで昇温するため、従来の金型に加熱機構を内臓して、装置全体が材料充填温度より昇温を開始する方法より、大幅な急昇温が可能である。
【0019】
尚、成形温度に達した後も、一定時間金型加熱装置に挟んで製品13を加圧状態に保持する場合は、金型の過昇温を防止する目的で、温度設定を成形温度より20℃低い温度から成形温度の範囲に切り替えても良い。この時の温度設定が、成形温度より20℃低い温度より低いと、成形完了後、所定の温度に戻すのに時間がかかる。さらに、昇温時、昇温時間を短縮する目的、金型に補助加熱装置を設置して、補助しても良い。又、昇温が終了し成形温度に達した後、一定時間この状態を保持する場合の保持時間は、材料の特性によるが、例えばエポキシ系材料の場合、0〜5min、望ましくは0〜3minである。
【0020】
図5は、金型を冷却する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。冷却手段を内臓した金型5,6を金型加熱装置2,3の間から取出した状態で、冷却手段8に水等の媒体を流し冷却を行なう。この時、金型加熱装置2,3は、直ちに次の圧縮成形工程に備えて所定の温度に昇温される。従来の金型に主加熱機構を内蔵して、装置全体を冷却する方法と比較して、冷却重量が小さいため、大幅な急冷却が可能であり、エネルギーロスも少ない。さらに、冷却工程で成形機を必要としないので、冷却に要する時間分、成形機占有時間を短縮可能である。冷却に使用する媒体は、通常の冷却水や冷凍装置等で常温以下に冷却された冷凍水等、金型の冷却が可能な媒体であれば、特に制約を受けるものではない。金型冷却工程は、金型加熱装置から取外されていれば、成形機の中で行なっても、外でも行なってもかまわない。
【0021】
図6は、金型5,6から製品13を取出し、金型を掃除する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。この工程も金型加熱装置2,3から取出した状態で行なう。又、一対の金型5,6を複数準備し効率を上げる場合や、作業性を良くするためや安全のために、成形機外で行なう。尚、製品13の取出し、金型掃除を自動化した場合、成形機の中で行なう事も可能である。この場合、金型を複数個準備出来ない場合は、金型の成形機からの出し入れに要する工程が省略出来、有利である。又、本工程において、金型温度が所定の温度から下がらないように、金型5,6に補助加熱装置を設置して、金型を保温しても良い。製品13の取出し、金型掃除が終了後、材料充填温度が、この温度より低くしたい場合は、さらに金型5,6を冷却し温度を下げる。
図7は、金型5,6から製品13を取出し、金型を掃除する工程で上金型5を転回させる際の工程を説明するための金型廻り縦断面図である。図7に示す様に、上金型の掃除が容易な様に、上金型5を転回しても良い。
【0022】
本発明で用いる燃料電池セパレータ材料は、例えば、黒鉛粉と樹脂とを、混合、混練したものを用いる事が出来る。使用する黒鉛粉は高い導電性を示すものであれば制限はないが、例えば、メソカーボンマイクロビーズなどの炭素質を黒鉛化したもの、石炭系コークスや石油系コークスを黒鉛化したもの、ホウ素等の触媒作用で黒鉛化したもの、等方性黒鉛のような特殊炭素材料、天然黒鉛やキッシュ黒鉛等が使用される他、黒鉛電極の加工粉等も使用され、これらを単独で又は2種以上を重量比で40:60〜90:10(好ましくは70:30〜80:20)混合して使用できる。また、2種以上の粒度分布を有する黒鉛粉を使用してもよく、例えば平均粒径50〜300μmの大粒径黒鉛粉と、平均粒径50μm未満(好ましくは5〜20μm)の小粒径黒鉛粉とを重量比で40:60〜90:10(好ましくは70:30〜80:20)で配合してもよい。こうした黒鉛粉を樹脂と混練し、その混錬後において平均粒径50μm以下、特に20〜40μmに解砕又は粉砕することが好ましい。
【0023】
樹脂は、耐熱性で、混練可能な程度に低粘度である樹脂であれば特に制限はなく、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用できる。熱硬化性樹脂では、例えばフェノール樹脂、フルフリルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の樹脂を使用することができる。樹脂粘度については、黒鉛粉をできるだけ多量に混練させて導電性を高めるためには低粘度であることが良く、例えばエポキシ樹脂(硬化剤等が配合される場合は、配合された状態で)は、150℃における粘度が0.01〜0.5Pa・s、好ましくは0.03〜0.4Pa・sであり、25℃において固体又は3Pa・s以上の粘度であることが好ましい。なお、エポキシ樹脂硬化促進剤としては、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等の公知の促進剤が使用できる。また、熱可塑性樹脂では、例えばポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂を用いても良い。
【0024】
黒鉛粉と樹脂(樹脂が硬化剤等を必要とする場合はこれらを含む)との配合割合は、樹脂に対して黒鉛粉は5〜15倍量であることが、必要な導電性を与える観点から好ましい。樹脂が多すぎても、少なすぎても固有抵抗が増大するので、より好ましくは8〜13倍量の範囲にするとよい。一般に、樹脂の割合が多すぎると黒鉛粉同士の接触が阻害されて導電性が低下し、少なすぎると所定の強度を有する成形体が得られなくなる傾向となる。
【0025】
なお、黒鉛粉と樹脂の混合は、これらを同時に混合してもよく、2種類以上の粒度分布を有する黒鉛粉を使用する場合には、その黒鉛粉を事前に混合したのち、樹脂と混合してもよい。また、黒鉛粉と樹脂の他に、改質用添加剤及び他の導電性フィラー等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することもできる。改質用添加剤としては、流動パラフィン等の液体、あるいは、カルナバワックス、低分子量ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛等の粉体状離型剤、酸化防止剤、可塑剤、その他の各種添加剤が挙げられる。又、界面活性剤や親水性樹脂等の親水性を補助する添加剤を本発明の効果を妨げない範囲で併用しても良い。
【0026】
こうした黒鉛粉と樹脂とを混練してなる粉粒体は、所定の粒度分布に調整するとよく、その粒度分布をロジンラムラー分布(Rosin−Rammler’s distribution)の式:R=100exp(−adn)
(式中、Rは分布量累積値の篩上(%)、dは粒径(μm)、aは定数を示す)で表したとき、nの値が1.2〜2.0、特に1.3〜1.6の範囲にすることが好ましい。この場合の粒度測定は篩分け法による。ロジンラムラー分布の式において、粉粒体が正規分布をとるとき、nは分布の広狭を示し、nが大きいほどシャープな分布を示す。nの値が1.2未満であると、分布が広すぎて大粒子が含まれ成形品の表面に荒れが生じる傾向となり、一方nの値が2.0を超えると、分布がシャープになって比重が上がらず、抵抗が高くなる傾向となる。尚、n値の制御は、分級条件、粉砕機やその運転条件を選定することにより可能である。
【0027】
黒鉛粉と樹脂との配合物の成形法は、金型を使用する各種圧縮成形を行なう。
例えば、金型による加熱、加圧型の圧縮成形機を使用して成形する。例えば、熱硬化性樹脂をバインダーに用いた際は、成形と同時に熱硬化性樹脂を硬化するために、100〜350℃、好ましくは150〜200℃程度に保持することにより行うことがよい。温度は使用する熱硬化性樹脂の硬化温度以上、炭化温度未満の条件とする。成形圧力は面方向の電気比抵抗を下げ、嵩密度を高くするためには高いほうが好ましいが、圧力を高くすると設備費用が増大するため、20〜1000Kg/cm2程度、好ましくは100〜800Kg/cm2程度、より好ましくは200〜600Kg/cm2が適当である。
【0028】
本発明の製造方法で得られる燃料電池用セパレータは、嵩密度が1.90g/cm3以上、特に1.95g/cm3以上、カーボンペーパーを含んだ面積抵抗(面圧0.5MPa)40mΩcm2以下であり、さらに厚み精度100μm以下、異物の混入も無い極めて優れた物性を示すものである。しかも、こうしたセパレータを簡便にかつ短時間で製造することが可能となる。
【0029】
【実施例】
以下に具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
実施例1
黒鉛粉に、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤からなる熱硬化性樹脂類を黒鉛粉量/熱硬化性樹脂量=9(質量比)で配合した。これを、100℃に加熱したロールで混練した。得られた混練物を粉砕機で微粉砕し平均粒径30μmの粉末成形材料を得た。成形装置の温度は、金型加熱装置の温度設定を300℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。
続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置で挟み、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、直ちに金型を金型加熱装置から外し、成形機外で冷却水を通水し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0031】
実施例2
金型に補助加熱装置を設置し、材料充填時に金型温度を保持した以外は、実施例1と同様の方法で成形を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0032】
実施例3
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を400℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置で挟み、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、直ちに金型を金型加熱装置から外し、成形機外で冷却水を通水し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0033】
実施例4
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を270℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置ではさみ、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、直ちに金型を金型加熱装置から外し、成形機外で冷却水を通水し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0034】
実施例5
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を300℃、金型温度を140℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置で挟み、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、直ちに金型を主加熱機構から外し、成形機外で冷却水を通水し、140℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。この時の成形サイクル及び成形機にはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0035】
比較例1
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。加熱機構を内蔵した金型を準備し、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。直ちに成形機にはさみ昇温を開始し、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。1minこの状態で保持した後、成形機に挟んだまま、直ちに金型へ冷却水を通水して、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、成形機外で金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表2に示す。
【0036】
比較例2
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を70℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した主加熱機構ではさみ、金型加熱装置の昇温を開始し、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。
1minの成形終了後、直ちに金型を金型加熱装置から外し、成形機外で冷却水を通水し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表2に示す。
【0037】
比較例3
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を300℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置ではさみ、金型加熱装置の昇温を開始し、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、金型を金型加熱装置に挟んだ状態で、金型加熱装置及び金型に冷却水を流し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、成形機外で金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、成形装置を冷却手段を内蔵した金型と、成形機に設置した主加熱装置に分離する事で、成形サイクル及び金型占有時間を大幅に短縮し、燃料電池セパレータのコスト削減を行なう事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池セパレータの製造方法に使用される縦型圧縮製造装置の概略組立て縦断面図である。
【図2】材料充填前の金型を予め加熱して材料充填温度まで昇温する工程の金型廻り縦断面図である。
【図3】調合された黒鉛/樹脂系粉体の材料を金型へ充填する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【図4】金型昇温、圧縮成形を行なう工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【図5】金型を冷却する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【図6】金型から製品を取出し、金型を掃除する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【図7】金型を掃除する工程で上金型を転回させる際の工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【符号の説明】
1 成形機
2 上金型加熱装置
3 下金型加熱装置
4 主加熱手段
5 上金型
6 下金型
7 金型加熱装置の冷却手段
8 金型の冷却手段
9 金型の補助加熱手段
10 金型加熱装置と金型間の境界面
11 金型を成形機外に取出す装置
12 粉体材料
13 製品
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池セパレータの製造方法及びその装置、並びにこれらによって得られる燃料電池セパレータ、さらには燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用コージェネ装置や自動車搭載用途等に利用される燃料電池が注目されている。この燃料電池は、化学エネルギーを熱エネルギーに変換することなく直接電気エネルギーとして利用するものであり、通常、水素及び酸素の反応によって電気を取出す電池をいう。こうした燃料電池には、リン酸型燃料電池、固体電解質型燃料電池及び固体高分子型燃料電池(PEFC)等いくつかの方式のものがあるが、その中で固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池では導電性成形品であるセパレータが使用されている。セパレータは、電極等と共に単位セルを構成し、該単位セルを積層して使用されるものであって、ガス(水素・酸素)を隔離する一方で、ガスを積層状態において流す溝と貫通孔を必要とする他、導電性を必要とする。そのため、10×10−2Ωcm以下の高い電気導電性が要求される他、気体透過率が低い事、さらには耐酸化性、耐加水分解性、耐熱水性、生成した水を効果的に排水するための親水性などが要求される。
【0003】
近年、これらセパレータの材料としては、炭素材料系、金属系、導電性ポリマー系など多岐に亘る材料が検討されており、炭素材料系についても、黒鉛/樹脂系、膨張黒鉛系、シート状炭素系、ガラス状炭素系など種々のものがある。その中で、黒鉛/樹脂コンパウンド材料は、成形し易く量産に向いていると考えられるが、セパレータとして要求される高い導電性を満たすためには黒鉛配合を非常に高くする必要があり、そのために流動しずらい粉体材料である場合がほとんどである。従って、こうした黒鉛/樹脂系材料の成形方法としては、量産性の高い射出成形やトランスファー成形は適用困難であり、圧縮成形で対応することになる。
【0004】
しかし、圧縮成形は射出成形やトランスファー成形と異なり、一般に材料充填温度と成形温度、成形品取出し温度が異なるため、金型の昇温,冷却を行なう必要があり、成形サイクルが長くなり不利である。すなわち、熱硬化性樹脂をバインダーに用いる場合は、金型へ材料充填時に硬化が過剰に進まないように、成形温度より充分に低い温度において作業を行なった後、所定の成形温度に昇温を行い成形をする。続いて成形品を取出すため、成形完了後冷却を行なう。又、熱可塑性樹脂の場合は、金型へ材料を充填する際は、成形温度で実施出来るが、成形品の取出し時は、成形温度より充分に低い温度に下げる必要があり、再度成形温度に昇温する必要がある。
【0005】
そこで、加熱時間を短縮するために、粉体材料に直接電流を印加し、短時間で昇温する方法(特許文献1参照)が提案されている。しかしながら本方法は、圧縮成形で重要な圧縮荷重を掛けると電気抵抗が低くなり、所定の温度に昇温するのに大電流を要する欠点がある事を自ら記載しており、又、絶縁材である樹脂若しくはセラミックを金型の枠体に使用しているので、充分な荷重が掛けられない可能性があり、さらに、枠体を含む金型の耐久性の問題が残る。さらに、大電流を流す事から、成形設備の絶縁対策に細心の注意を要する。
【0006】
同様に、単位時間あたりの成形枚数を多くするために、成形材料を事前に加熱炉で加熱する方法(特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、本方法の実施例では、油圧プレスの占有時間を短くする事は可能であるが、総合時間である成形サイクルは80分前後と長く、実際に単位時間あたりの枚数を増やすためには、多くの金型を必要とし、金型費用が増す。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−151559号公報
【特許文献2】
特開2002−367620公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる現状に鑑み、燃料電池セパレータを製造するにあたり、通常の金型材質で成形可能であり、実際の成形サイクルを安全に短縮し、さらに成形機占有時間を短縮する事を実現した、燃料電池セパレータを製造する方法、及びそのための装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、圧縮成形で燃料電池セパレータを成形する方法において、成形装置を、冷却機構を内蔵した金型と、成形機に設置した金型加熱装置に分離する事で、成形サイクル及び金型占有時間の大幅な短縮が実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の燃料電池セパレータの製造方法は、成形機に設置された一対の金型加熱装置で金型を挟んで加熱下圧縮成形する成形方法において、上記金型加熱装置の主加熱手段の温度設定を、全成形工程に渡って成形温度より20℃低い温度から400℃の範囲に加熱制御しておき、金型加熱装置から外した状態で調合された黒鉛/樹脂系粉体材料を充填された金型を、前記金型加熱装置で挟み込んで昇温して所定圧力下で圧縮成形を行い、成形後、金型を前記金型加熱装置から外した状態で冷却する事を特徴とする。
【0010】
また、本発明の燃料電池セパレータの製造装置は、成形機に設置された主加熱手段を備えた一対の金型加熱装置と、該金型加熱装置の間に挟まれて加熱される一対の金型とを具備し、且つ、上記金型には独立した冷却手段を備え、該金型が材料充填時及び成形後の冷却時には金型加熱装置から成形機外へ取り外し自在とされていることを特徴とする。
【0011】
なお上記本発明の製造方法及び装置を用いる際には、成形機占有時間を短縮する事で、金型を複数組準備し、1組の金型を成形機で成形中、他の金型は材料充填等の成形機を必要としない工程を実施する事で、単位時間当たりの成形枚数は、本装置で成形サイクルを短縮した場合より多くなり望ましい。例えば、金型を2組準備すれば、2倍となり非常に効率が向上する。
さらに、こうした方法によって製造された燃料電池セパレータ、ひいては該燃料電池セパレータを組込んでいる燃料電池である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面によって詳細に説明する。
図1は、本発明の燃料電池セパレータの製造方法に使用される縦型圧縮製造装置の概略組立て縦断面図である。ここで本発明の縦型圧縮製造装置は、図示されていない圧縮駆動源で上下に駆動する金型圧縮用の成形機1に設置された主加熱手段4を備えた上下一対の金型加熱装置2、3と、該金型加熱装置2,3の間に挟まれて加熱される上金型5と下金型6とからなる一対の金型を具備し、且つ、上記一対の金型には独立した冷却手段8を備え、該金型が材料充填時及び成形後の冷却時には金型加熱装置2,3の間から成形機外へ取り外し自在とされたものである。
【0013】
金型加熱装置2,3に設置されている主加熱手段4としては、電気ヒーターを代表としたものであるが、電気ヒーター以外に誘導加熱、熱媒加熱等、特に制限を受ける物ではない。又、メンテナンスや、緊急時を想定した、冷却水の通過孔からなる冷却手段7を設置して、急いで主加熱機構を冷却出来る様にしても構わない。冷却機構を内臓した上金型5と下金型6は、独立して冷却を行なうために冷却水の通過孔からなる冷却手段8が設けられている。又、昇温時間をさらに短縮する目的や、材料充填時や、成形品取出し時、金型掃除時に、金型の温度低下を防ぐ目的で、金型の補助加熱手段9を設置しても良い。補助加熱手段は、電気ヒーター以外に誘導加熱、熱媒加熱等、特に制限を受ける物ではない。
【0014】
又、金型加熱装置2,3と上下金型5,6間の熱伝導を改善し昇温時間を短縮する目的で、これら金型加熱装置と金型間の境界面10を鏡面加工やメッキ加工及びその双方等の平滑化処理を実施しても構わない。さらに、金型加熱装置や金型材質も特に制約を受けず、通常用いられる炭素鋼系材料や、さらに熱伝導を改善し昇温速時間を短縮する目的で、ベリリウム銅系材料,亜鉛合金系材料及びアルミ合金系等を用いても良い。
尚、成形機1には、金型を材料充填時及び成形後の冷却時に金型加熱装置から成形機外へ取り外し自在に取出す装置11を設置すると作業が容易となる。
【0015】
以下、本発明の燃料電池セパレータの製造工程を説明する。
図2は、最初の材料充填前の金型を予め加熱して材料充填温度まで昇温する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。冷却手段を内臓した金型5,6を成形温度より20℃低い温度から400℃の範囲に制御した金型加熱装置2と3の間に挟んで、材料充填温度まで昇温する。金型加熱装置2と3の主加熱手段による温度設定が、成形温度より20℃以上低い温度であれば、材料充填温度までの昇温に時間がかかり、400℃より高いと、金型の温度が所定の材料充填温度を超えやすいばかりでなく、金型加熱装置の破壊につながり問題である。尚、補助加熱手段を設置した金型の場合、金型加熱装置2,3の間に挟まずに、成形機外で材料充填温度まで昇温可能であるが、時間がかかり不利である。又、金型加熱装置2,3と金型の補助加熱装置を同時に使用して昇温しても構わない。
【0016】
金型への材料充填温度は、充分に低い事が望ましいが、成形サイクルを短縮するために、あらかじめ調査した、材料の特性に応じた適正な材料充填温度で行なう事が望ましい。材料充填温度は、例えばエポキシ系材料の場合、常温〜160℃の範囲であり、望ましくは70〜150℃の範囲である。尚、本工程は、金型が冷えている状態から成形を開始する場合のみに必要で、成形が連続して行なわれている場合は、既に金型が加熱されていることから不要である。
【0017】
図3は、調合された黒鉛/樹脂系粉体の材料12を金型へ充填する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。金型への粉体材料12の充填は、金型加熱装置2と3の間から取出した状態で行なう。又、金型を複数準備し効率を上げる場合や、作業性を良くするため、安全のために、成形機外で行なう。尚、粉体材料12の充填を自動化した場合は、成形機の中で行なう事も可能である。この場合、金型を複数準備できない場合は、金型の成形機からの出し入れに要する工程が省略出来、有利である。粉体材料充填時は、金型5,6の温度が所定の充填温度から下がらないように、補助加熱手段9を設置して、金型を保温しても良い。
【0018】
図4は、金型昇温、圧縮成形を行なう工程を説明するための金型廻り縦断面図である。金型5,6を成形機に設置した、成形温度より20℃低い温度から400℃の範囲に制御した金型加熱装置2と3の間に挟んで、所定の成形圧力を掛けて、昇温し、所定の肉厚の燃料電池セパレータとなる製品13に成形する。昇温,圧縮工程は、昇温が終了し成形温度に達した後、一定時間この状態を保持する方法や、成形温度に達した後、直ちに冷却する方法があり、使用する材料の特性により、その方法を使い分ける。金型加熱装置の主加熱手段の設定温度は、成形温度より高いが上限を400℃とした温度状態、好ましくは、成形温度+50℃〜350℃の範囲で昇温を開始する。あらかじめ、成形温度より高い温度に昇温された金型加熱装置で金型をはさんで昇温するため、従来の金型に加熱機構を内臓して、装置全体が材料充填温度より昇温を開始する方法より、大幅な急昇温が可能である。
【0019】
尚、成形温度に達した後も、一定時間金型加熱装置に挟んで製品13を加圧状態に保持する場合は、金型の過昇温を防止する目的で、温度設定を成形温度より20℃低い温度から成形温度の範囲に切り替えても良い。この時の温度設定が、成形温度より20℃低い温度より低いと、成形完了後、所定の温度に戻すのに時間がかかる。さらに、昇温時、昇温時間を短縮する目的、金型に補助加熱装置を設置して、補助しても良い。又、昇温が終了し成形温度に達した後、一定時間この状態を保持する場合の保持時間は、材料の特性によるが、例えばエポキシ系材料の場合、0〜5min、望ましくは0〜3minである。
【0020】
図5は、金型を冷却する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。冷却手段を内臓した金型5,6を金型加熱装置2,3の間から取出した状態で、冷却手段8に水等の媒体を流し冷却を行なう。この時、金型加熱装置2,3は、直ちに次の圧縮成形工程に備えて所定の温度に昇温される。従来の金型に主加熱機構を内蔵して、装置全体を冷却する方法と比較して、冷却重量が小さいため、大幅な急冷却が可能であり、エネルギーロスも少ない。さらに、冷却工程で成形機を必要としないので、冷却に要する時間分、成形機占有時間を短縮可能である。冷却に使用する媒体は、通常の冷却水や冷凍装置等で常温以下に冷却された冷凍水等、金型の冷却が可能な媒体であれば、特に制約を受けるものではない。金型冷却工程は、金型加熱装置から取外されていれば、成形機の中で行なっても、外でも行なってもかまわない。
【0021】
図6は、金型5,6から製品13を取出し、金型を掃除する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。この工程も金型加熱装置2,3から取出した状態で行なう。又、一対の金型5,6を複数準備し効率を上げる場合や、作業性を良くするためや安全のために、成形機外で行なう。尚、製品13の取出し、金型掃除を自動化した場合、成形機の中で行なう事も可能である。この場合、金型を複数個準備出来ない場合は、金型の成形機からの出し入れに要する工程が省略出来、有利である。又、本工程において、金型温度が所定の温度から下がらないように、金型5,6に補助加熱装置を設置して、金型を保温しても良い。製品13の取出し、金型掃除が終了後、材料充填温度が、この温度より低くしたい場合は、さらに金型5,6を冷却し温度を下げる。
図7は、金型5,6から製品13を取出し、金型を掃除する工程で上金型5を転回させる際の工程を説明するための金型廻り縦断面図である。図7に示す様に、上金型の掃除が容易な様に、上金型5を転回しても良い。
【0022】
本発明で用いる燃料電池セパレータ材料は、例えば、黒鉛粉と樹脂とを、混合、混練したものを用いる事が出来る。使用する黒鉛粉は高い導電性を示すものであれば制限はないが、例えば、メソカーボンマイクロビーズなどの炭素質を黒鉛化したもの、石炭系コークスや石油系コークスを黒鉛化したもの、ホウ素等の触媒作用で黒鉛化したもの、等方性黒鉛のような特殊炭素材料、天然黒鉛やキッシュ黒鉛等が使用される他、黒鉛電極の加工粉等も使用され、これらを単独で又は2種以上を重量比で40:60〜90:10(好ましくは70:30〜80:20)混合して使用できる。また、2種以上の粒度分布を有する黒鉛粉を使用してもよく、例えば平均粒径50〜300μmの大粒径黒鉛粉と、平均粒径50μm未満(好ましくは5〜20μm)の小粒径黒鉛粉とを重量比で40:60〜90:10(好ましくは70:30〜80:20)で配合してもよい。こうした黒鉛粉を樹脂と混練し、その混錬後において平均粒径50μm以下、特に20〜40μmに解砕又は粉砕することが好ましい。
【0023】
樹脂は、耐熱性で、混練可能な程度に低粘度である樹脂であれば特に制限はなく、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用できる。熱硬化性樹脂では、例えばフェノール樹脂、フルフリルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の樹脂を使用することができる。樹脂粘度については、黒鉛粉をできるだけ多量に混練させて導電性を高めるためには低粘度であることが良く、例えばエポキシ樹脂(硬化剤等が配合される場合は、配合された状態で)は、150℃における粘度が0.01〜0.5Pa・s、好ましくは0.03〜0.4Pa・sであり、25℃において固体又は3Pa・s以上の粘度であることが好ましい。なお、エポキシ樹脂硬化促進剤としては、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等の公知の促進剤が使用できる。また、熱可塑性樹脂では、例えばポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂を用いても良い。
【0024】
黒鉛粉と樹脂(樹脂が硬化剤等を必要とする場合はこれらを含む)との配合割合は、樹脂に対して黒鉛粉は5〜15倍量であることが、必要な導電性を与える観点から好ましい。樹脂が多すぎても、少なすぎても固有抵抗が増大するので、より好ましくは8〜13倍量の範囲にするとよい。一般に、樹脂の割合が多すぎると黒鉛粉同士の接触が阻害されて導電性が低下し、少なすぎると所定の強度を有する成形体が得られなくなる傾向となる。
【0025】
なお、黒鉛粉と樹脂の混合は、これらを同時に混合してもよく、2種類以上の粒度分布を有する黒鉛粉を使用する場合には、その黒鉛粉を事前に混合したのち、樹脂と混合してもよい。また、黒鉛粉と樹脂の他に、改質用添加剤及び他の導電性フィラー等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することもできる。改質用添加剤としては、流動パラフィン等の液体、あるいは、カルナバワックス、低分子量ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛等の粉体状離型剤、酸化防止剤、可塑剤、その他の各種添加剤が挙げられる。又、界面活性剤や親水性樹脂等の親水性を補助する添加剤を本発明の効果を妨げない範囲で併用しても良い。
【0026】
こうした黒鉛粉と樹脂とを混練してなる粉粒体は、所定の粒度分布に調整するとよく、その粒度分布をロジンラムラー分布(Rosin−Rammler’s distribution)の式:R=100exp(−adn)
(式中、Rは分布量累積値の篩上(%)、dは粒径(μm)、aは定数を示す)で表したとき、nの値が1.2〜2.0、特に1.3〜1.6の範囲にすることが好ましい。この場合の粒度測定は篩分け法による。ロジンラムラー分布の式において、粉粒体が正規分布をとるとき、nは分布の広狭を示し、nが大きいほどシャープな分布を示す。nの値が1.2未満であると、分布が広すぎて大粒子が含まれ成形品の表面に荒れが生じる傾向となり、一方nの値が2.0を超えると、分布がシャープになって比重が上がらず、抵抗が高くなる傾向となる。尚、n値の制御は、分級条件、粉砕機やその運転条件を選定することにより可能である。
【0027】
黒鉛粉と樹脂との配合物の成形法は、金型を使用する各種圧縮成形を行なう。
例えば、金型による加熱、加圧型の圧縮成形機を使用して成形する。例えば、熱硬化性樹脂をバインダーに用いた際は、成形と同時に熱硬化性樹脂を硬化するために、100〜350℃、好ましくは150〜200℃程度に保持することにより行うことがよい。温度は使用する熱硬化性樹脂の硬化温度以上、炭化温度未満の条件とする。成形圧力は面方向の電気比抵抗を下げ、嵩密度を高くするためには高いほうが好ましいが、圧力を高くすると設備費用が増大するため、20〜1000Kg/cm2程度、好ましくは100〜800Kg/cm2程度、より好ましくは200〜600Kg/cm2が適当である。
【0028】
本発明の製造方法で得られる燃料電池用セパレータは、嵩密度が1.90g/cm3以上、特に1.95g/cm3以上、カーボンペーパーを含んだ面積抵抗(面圧0.5MPa)40mΩcm2以下であり、さらに厚み精度100μm以下、異物の混入も無い極めて優れた物性を示すものである。しかも、こうしたセパレータを簡便にかつ短時間で製造することが可能となる。
【0029】
【実施例】
以下に具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
実施例1
黒鉛粉に、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤からなる熱硬化性樹脂類を黒鉛粉量/熱硬化性樹脂量=9(質量比)で配合した。これを、100℃に加熱したロールで混練した。得られた混練物を粉砕機で微粉砕し平均粒径30μmの粉末成形材料を得た。成形装置の温度は、金型加熱装置の温度設定を300℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。
続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置で挟み、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、直ちに金型を金型加熱装置から外し、成形機外で冷却水を通水し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0031】
実施例2
金型に補助加熱装置を設置し、材料充填時に金型温度を保持した以外は、実施例1と同様の方法で成形を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0032】
実施例3
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を400℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置で挟み、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、直ちに金型を金型加熱装置から外し、成形機外で冷却水を通水し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0033】
実施例4
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を270℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置ではさみ、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、直ちに金型を金型加熱装置から外し、成形機外で冷却水を通水し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0034】
実施例5
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を300℃、金型温度を140℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置で挟み、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、直ちに金型を主加熱機構から外し、成形機外で冷却水を通水し、140℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。この時の成形サイクル及び成形機にはさんでいた成形機占有時間を表1に示す。
【0035】
比較例1
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。加熱機構を内蔵した金型を準備し、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。直ちに成形機にはさみ昇温を開始し、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。1minこの状態で保持した後、成形機に挟んだまま、直ちに金型へ冷却水を通水して、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、成形機外で金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表2に示す。
【0036】
比較例2
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を70℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した主加熱機構ではさみ、金型加熱装置の昇温を開始し、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。
1minの成形終了後、直ちに金型を金型加熱装置から外し、成形機外で冷却水を通水し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表2に示す。
【0037】
比較例3
実施例1と同様の方法で、成形材料を得た。金型加熱装置の温度設定を300℃、金型温度を70℃とした。この状態で、常温の材料を成形機外で金型へ充填した。続いて、金型を成形機に設置した金型加熱装置ではさみ、金型加熱装置の昇温を開始し、成形圧力500Kg/cm2で200℃まで昇温した。昇温終了後、金型加熱装置の温度設定を200℃とし、1minこの状態で保持し成形した。1minの成形終了後、金型を金型加熱装置に挟んだ状態で、金型加熱装置及び金型に冷却水を流し、130℃まで冷却を行なった。冷却完了後、冷却水を停止し、成形機外で金型より成形品を取出し、金型の掃除を行なった。金型掃除終了後、再度冷却水を金型に通水し、材料充填温度である70℃まで冷却を行なった。この時の成形サイクル及び成形機に金型をはさんでいた成形機占有時間を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、成形装置を冷却手段を内蔵した金型と、成形機に設置した主加熱装置に分離する事で、成形サイクル及び金型占有時間を大幅に短縮し、燃料電池セパレータのコスト削減を行なう事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池セパレータの製造方法に使用される縦型圧縮製造装置の概略組立て縦断面図である。
【図2】材料充填前の金型を予め加熱して材料充填温度まで昇温する工程の金型廻り縦断面図である。
【図3】調合された黒鉛/樹脂系粉体の材料を金型へ充填する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【図4】金型昇温、圧縮成形を行なう工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【図5】金型を冷却する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【図6】金型から製品を取出し、金型を掃除する工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【図7】金型を掃除する工程で上金型を転回させる際の工程を説明するための金型廻り縦断面図である。
【符号の説明】
1 成形機
2 上金型加熱装置
3 下金型加熱装置
4 主加熱手段
5 上金型
6 下金型
7 金型加熱装置の冷却手段
8 金型の冷却手段
9 金型の補助加熱手段
10 金型加熱装置と金型間の境界面
11 金型を成形機外に取出す装置
12 粉体材料
13 製品
Claims (6)
- 成形機に設置された一対の金型加熱装置で金型を挟んで加熱下圧縮成形する成形方法において、上記金型加熱装置の主加熱手段の温度設定を、全成形工程に渡って成形温度より20℃低い温度から400℃の範囲に加熱制御しておき、金型加熱装置から外した状態で調合された黒鉛/樹脂系粉体材料を充填された金型を、前記金型加熱装置で挟み込んで昇温して所定圧力下で圧縮成形を行い、成形後、金型を前記金型加熱装置から外した状態で冷却する事を特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。
- 金型を複数組準備し、1組の金型を成形機で成形中、他の金型は材料充填等の成形機を必要としない工程を実施する請求項1記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 材料充填前の金型は、予め所定の材料充填温度に加熱されている請求項1又は2に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 成形機に設置された主加熱手段を備えた一対の金型加熱装置と、該金型加熱装置の間に挟まれて加熱される一対の金型とを具備し、且つ、上記金型には独立した冷却手段を備え、該金型が材料充填時及び成形後の冷却時には金型加熱装置から成形機外へ取り外し自在とされていることを特徴とする燃料電池セパレータの製造装置。
- 請求項1記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする燃料電池セパレータ。
- 請求項5記載の燃料電池セパレータを組込んでいることを特徴とする燃料電池。
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