JP2007096106A - 電磁波シールド材ロール体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大型建築物の窓ガラスなどの広い面積を覆うための幅広で連続ロールシート状態で供給される電磁波シールド材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が少なくとも一方の面に設けられた透明基材(ロールシート3)を連続的に繰り出し、該透明基材に、好ましくは連続露光装置5を用いて露光し、次いで現像することにより、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続した現像銀メッシュパターンを生成し、引き続いて、無電解メッキする工程により前記現像銀メッシュパターンの上にメッキ層を形成したのち、再び巻き取ってロール体15とする製造方法により、ロールの状態で供給される電磁波シールド材ロール体15を製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電磁波シールド材及びその製造方法に関し、さらに詳細には、大型建築物の窓ガラスなどの広い面積を覆うための連続ロールシート状態で供給される電磁波シールド材ロール体及びその製造方法に関する。
近年、各種の電子機器から発生する電磁波が人体に悪影響を与えたり、周囲の電子機器を誤動作させることが問題とされるようになり、さらには、無線LANの普及により建物内の通信データが建物の外部に漏洩して傍受されるのを防止する必要が生じており、電磁波シールドの対策がますます重要視されつつある。
従来、電子機器から発生する電磁波が外部に漏洩して人体への悪影響を防ぐという要求に対して、種々の透明導電性フィルムおよび電磁波シールドフィルムが開発されている。公知の電磁波シールド材は、大きくは、透明導電膜による電磁波シールド材と、導電性の金属メッシュによる電磁波シールド材の2つに区分される。このうち、透明導電膜による電磁波シールド材は、金属メッシュによる電磁波シールド材に比べて透明性に優れる反面、表面抵抗率が大きく、電磁波シールド性能に劣る。このため高度な電磁波シールド性能が必要とされる用途では、金属メッシュによる電磁波シールド材が好ましい。
さらに、導電性の金属メッシュによる電磁波シールド材の作製方法としては、下記の(1)〜(3)に示す方法が挙げられる。
(1)透明基材に金属箔を貼り合わせ、または透明基材に金属の薄膜を蒸着した後、フォトリソグラフ法により導電性金属パターンを形成するエッチング法(例えば、特許文献1参照)。
(2)透明基材の上に導電性の金属ペーストをメッシュパターンに印刷した後にメッキして導電性金属パターンを形成する印刷−メッキ法(例えば、特許文献2参照)。
(3)細線パターンを写真製法により現像された金属銀で形成した後、この金属銀を物理現像および/またはメッキすることにより導電性金属パターンを形成する写真銀−メッキ法(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
そして、写真製法により金属銀でメッシュパターンを形成する方法には、下記の(a)、(b)に示す2通りがある。
(a)支持体上に設けられた銀塩を含有する銀塩含有層を露光し、現像処理することにより金属銀部と光透過性部とを形成し、さらに前記金属銀部を物理現像及び/又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させた導電性金属部を形成する方法(例えば、特許文献3参照)。この方法は、露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀は発現せず、露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、したがって、露光マスクと比較して反転した形に現像銀が表れるネガ型の露光・現像法である。
(b)透明基材上に、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層とをこの順で有する感光材料を露光し、物理現像核上に任意の細線パターンで金属銀を析出させ、次いで前記物理現像核上に設けられた層を除去した後、前記物理現像された金属銀を触媒核として金属をめっきする方法(例えば、特許文献4参照)。この方法は、露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現し、露光マスクに覆われていなくて露光された部分には現像銀が発現しない、したがって、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるポジ型の露光・現像法(銀錯塩拡散転写法、以降DTR法と称す。)である。
また、特許文献5には、上記(1)のエッチング法で銅薄膜の微細なメッシュパターンを形成する際、レジスト(光硬化性樹脂)を露光するため、所定のマスクパターンが形成された枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いる枚葉処理方式の露光装置が記載されている。
特開平10−075087号公報 特開平11−170420号公報 特開2004−221564号公報 国際公開WO2004/007810号パンフレット 特開2003−295457号公報
上記(1)のエッチング法においては、エッチングにより細線部分となるほんのわずかな部分のみを残し、それ以外のほとんど大部分の金属を溶解除去するのは資源を節減するという観点から問題である。また、市販されている金属箔の最大規格寸法幅が約600mm以下であるから、金属箔を貼り合わせる方法ではこれ以上の寸法幅が広い電磁波シールド材は製造できない。また、金属の薄膜を蒸着する場合は、膨大な設備費が必要となることから簡単に製造を行うことができないという問題があった。
上記(2)の印刷−メッキ法においては、メッシュパターンの線幅を30μm以下にするのが困難であり、また、透明基材とメッシュパターンの密着性が悪く剥がれ易いという問題があった。
上記(3)の写真銀−メッキ法においては、高い電磁波シールド性が得られ、また、透明基材の寸法に制約を受けることが無く、ロールtoロールで製造でき非常に生産性が高いことから好ましい製造方法である。
ところで、従来の電磁波シールド材の用途としては、PDP(プラズマディスプレイパネル)から発生する電磁波をシールドするために、PDPの光学フィルターの中に組み込まれる電磁波シールドフィルムが主要なものである。このような比較的に小型の機器を対象としたものでは、一台当たりに使用する電磁波シールドフィルムの面積は狭くなってしまう。また、PDP用等の電磁波シールドフィルムは、PDPの画面サイズのメッシュパターンをロールシート面上に一定間隔で間欠的に不連続に製造しており、ロールシート面上に切れ目のない連続したメッシュパターンからなる電磁波シールド材を製造することは知られていなかった。
また、一般に使用されている枚葉処理方式の露光装置は、所定のマスクパターンが形成された枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いて、ロールシートを間欠送りで露光装置に送り、装置内を真空排気して露光マスクと基材とを密着させて隙間をなくしてから、例えば紫外線で露光する。枚葉処理方式の露光装置では、真空排気、露光、大気開放を間欠的に行うので処理速度は遅くなるとともに、切れ目のない連続パターンを得ることができないという問題があった。
このため、大型建築物の窓ガラスなどの広い面積を覆うための切れ目のない連続メッシュパターンが形成された連続ロールシート状態で供給される電磁波シールド材を安価に提供できる技術が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の製造方法では対応できない、大型建築物の窓ガラスなどの広い面積を覆うための幅広で連続ロールシート状態で供給される電磁波シールド材及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、長尺の透明基材の少なくとも一方の面に金属メッシュパターンが設けられ、ロールの状態で供給される電磁波シールド材ロール体であって、前記金属メッシュパターンは、写真製法により生成された現像銀メッシュパターンとその上に金属メッキ層とを有し、かつ前記金属メッシュパターンは、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続したパターンであることを特徴とする電磁波シールド材ロール体を提供する。
前記金属メッキ層は、無電解銅メッキ層及び/又は無電解ニッケルメッキ層であることが好ましい。
前記現像銀メッシュパターンとしては、露光した部分に現像銀が発現するネガ型の現像方法により生成されたもの、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法により生成されたもののいずれを採用することも可能である。
また本発明は、長尺の透明基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続した現像銀メッシュパターンを生成する工程と、前記現像銀メッシュパターンの上に金属メッキ層を形成するメッキ工程とを、少なくとも含むことを特徴とする電磁波シールド材ロール体の製造方法を提供する。
また本発明は、長尺の透明基材の少なくとも一方の面に金属メッシュパターンが設けられ、ロールの状態で供給される電磁波シールド材ロール体の製造方法であって、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた透明基材を、連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続した現像銀メッシュパターンが生成された原反ロールを製造する工程と、当該現像銀メッシュパターンが設けられた透明基材を原反ロールから連続的に繰り出したのち、無電解メッキ工程によって前記現像銀メッシュパターンの上に金属メッキ層を形成し、再び巻き取ってロール体とすることを特徴とする電磁波シールド材ロール体の製造方法を提供する。
また本発明は、長尺の透明基材の少なくとも一方の面に金属メッシュパターンが設けられ、ロールの状態で供給される電磁波シールド材ロール体の製造方法であって、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた透明基材を連続的に繰り出し、該透明基材に連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続した現像銀メッシュパターンを生成し、引き続いて、無電解メッキ工程により前記現像銀メッシュパターンの上に金属メッキ層を形成したのち、再び巻き取ってロール体とすることを特徴とする電磁波シールド材ロール体の製造方法を提供する。
前記金属メッキ層は、無電解銅メッキ層及び/又は無電解ニッケルメッキ層であることが好ましい。
前記連続露光装置としては、露光に用いられる光を透過する材質からなる円筒ドラムと、前記円筒ドラムの外周壁に設けられた露光マスク部分と、前記円筒ドラムの内部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに巻き付けられた透明基材に対して円筒ドラムの内側から光を照射する装置を用いることができる。
また、円筒ドラムと、連続したパターンが形成された露光マスクフィルムと、前記円筒ドラムの外部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに重ねて巻き付けられた透明基材及び前記露光マスクフィルムに対して前記円筒ドラムの外側から光を照射する装置を前記連続露光装置として用いることもできる。
前記現像銀メッシュパターンの生成は、露光した部分に現像銀が発現するネガ型の現像方法、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法のいずれによっても行うことができる。
本発明によれば、大型建築物の窓ガラスなどの広い面積を覆うための幅広で連続ロールシート状態で供給される電磁波シールド材ロール体及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、ロールtoロールで電磁波シールド材を連続製造して供給することができるので、製造コストを大幅に低減することが可能である。
また、メッシュパターンを現像及び露光で形成するときに、透明基材の送りが連続送りである連続露光装置を用いた場合、透明基材の送りが間欠送りである枚葉処理方式の露光装置に比較して処理速度が速い。また、切れ目のない連続したパターンが得られるという利点があるので、透明基材の長手方向に連続して設けられた現像銀メッシュパターン等を容易に形成できる。このため、生産性を向上させることができる。
本発明の電磁波シールド材ロール体は、長尺の透明基材の少なくとも一方の面に金属メッシュパターンが設けられ、ロールの状態で供給される電磁波シールド材であって、前記金属メッシュパターンは、写真製法により生成された現像銀メッシュパターンとその上に金属メッキ層とを有し、かつ前記金属メッシュパターンは、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続したパターンであることを特徴とする。
このような電磁波シールド材ロール体を製造する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が長尺の透明基材の少なくとも一方の面に設けられた基材を用意して、この基材を露光し、次いで現像することにより、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続した現像銀メッシュパターンを生成する工程と、前記現像銀メッシュパターンの上に金属メッキ層を形成するメッキ工程とを、少なくとも含む製造方法によって製造することができる。
さらに本発明を詳しくするため、以下、本発明の電磁波シールド材ロール体及びその製造方法の最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明において、ロールtoロールで露光・現像に引き続いて無電解メッキを連続して行う装置の一例を示す概略図である。図2は、本発明において、ロールtoロールで無電解メッキを行う装置の一例を示す概略図である。図3(a)は本発明の電磁波シールド材ロール体におけるメッシュパターンの配置の一例を示す部分平面図、図3(b)は、電磁波シールド材の層構成の一例を示す断面図、図3(c)は、電磁波シールド材の層構成の別の一例を示す断面図である。図4は、本発明で用いられる連続露光装置の一例を示す概略図である。図5は、本発明で用いられる連続露光装置の別の一例を示す概略図である。
(無電解メッキ工程)
図1に示す電磁波シールド材製造装置1において、原反ロール2は、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層(詳しくは後述)を長尺の透明基材上に設けたロールシート3をロール状に巻き取ったものである。原反ロール2から繰り出されたロールシート3は、所要箇所に配置された移送ロール4、4、4、…により、同図の左から右に移送される。ロールシート3は、まず、連続露光装置5に移送されて所定のマスクパターンで焼き付けられる(露光される)。ここで、連続露光装置5とは、詳しくは後述するが、透明基材を連続送りにて移送しながら露光を行う装置である。
次に、露光されたロールシート3は、現像装置6に移送されて、写真現像された現像銀がメッシュパターン形状に定着される。次に、水洗浄槽7に通されて洗浄され、不要な異物や汚染物が除去された後、メッキ工程を行うため無電解メッキ槽8に移送される。
無電解メッキ槽8では、無電解メッキ液9を通して無電解メッキが行われ、ロールシート3の表面の現像銀メッシュパターン上に無電解メッキ層が析出する。無電解メッキ液9の温度は、所定温度となるように温度調整器(図示せず)にて制御される。無電解メッキ液9は、無電解メッキ槽8のロールシート3が通される隙間(スリット)から漏出して落下しうる。このため、無電解メッキ槽8の下方には、漏出した無電解メッキ液9を受ける受け槽10が設置されており、受け槽10に受け止められた無電解メッキ液9が循環ポンプ11及びフィルター12を経て再び無電解メッキ槽8に再循環するように構成されている。
無電解メッキ槽8を出たロールシート3は、水洗浄槽13で不要な無電解メッキ液9を洗い落としてから乾燥器14にて水切り乾燥され、再び巻き取られてロール形状の電磁波シールド材ロール体15となる。
得られるロール体15は、図3(a)及び図3(b)に示すように、長尺の透明基材21の少なくとも一方の面に金属メッシュパターン(電磁波シールド層)22を有する電磁波シールド材20がロールの状態に巻き取られており、該金属メッシュパターン22が、連続露光装置5と現像装置6とを用いた写真製法により生成された現像銀メッシュパターン23と、その上に無電解メッキ槽8を用いて生成された金属メッキ層24とを有する構成となる。金属メッキ層24の層数が一層である場合、この金属メッキ層24は、無電解銅メッキ層又は無電解ニッケルメッキ層であることが好ましい。
また、メッキ工程において、無電解メッキ槽8及び水洗浄槽13を複数組(2組以上)繰り返して設置し、1回のロールtoロールの処理の間に無電解メッキを複数回行うことにより、図3(c)に示すように、金属メッシュパターン22が、現像銀メッシュパターン23と、その上に2層またはそれ以上の層数の金属メッキ層24a、24bが積層された電磁波シールド材20を得ることもできる。複数の金属メッキ層24a、24bを構成する金属の組み合わせは特に限定されないが、例えば、現像銀メッシュパターン23の直上に設けられる金属メッキ層24aとして無電解銅メッキ層、さらにその上に設けられる金属メッキ層24bとして無電解ニッケルメッキ層を有する構成が挙げられる。
図1の構成によれば、1回のロールtoロール処理の間に、写真製法による現像銀メッシュパターンの生成(露光・現像工程)と無電解メッキ層の形成(メッキ工程)とを引き続いて連続的に実施することができ、処理速度の一層の向上、低コスト化を図ることができる。本形態例において、写真製法による現像銀メッシュパターンの生成後、透明基材の表面が湿潤した状態を保持したまま引き続いてメッキ工程を行うことが好ましい。この場合、微小気泡が現像銀のメッシュパターン表面に付着してメッキ液との接触を妨害してメッキ不良の原因となるのを減少させることができる。
また、図2に示す電磁波シールド材製造装置1Aは、長尺の透明基材の少なくとも一方の面に、写真製法により露光・現像されて現像銀がメッシュパターン形状に定着されている原反ロール2Aからロールシート3を繰り出し、連続的に無電解メッキを行う装置である。図2に示す電磁波シールド材製造装置1Aにおいて、ロールシート3は、ロール状に巻き取られた原反ロール2Aから、所要箇所に配置された移送ロール4、4、4、…により、同図の左から右に移送される。ロールシート3は、まず、水洗浄槽7に通されて洗浄され、不要な異物や汚染物が除去される。次に、メッキ工程を行うため無電解メッキ槽8に移送される。
図2の電磁波シールド材製造装置1Aにおいて、無電解メッキ槽8から電磁波シールド材ロール体15までの構成は、図1に示す電磁波シールド材製造装置1と同様であり、この製造装置1Aを用いることによっても図3に示す構成の電磁波シールド材20を製造することができるので、重複する説明を省略する。
(透明基材)
本発明に使用される透明基材21としては、可視領域で透明性を有し、一般に全光線透過率が90%以上のものが好ましい。中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で、好適に用いられる。透明基材21に使用される透明樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ50〜300μmの単層フィルム又は前記透明樹脂からなる複数層の複合フィルムが挙げられる。
(金属メッシュパターンの作製方法)
本発明に適用できる導電性の金属メッシュの作製方法は、細線パターンを写真製法により現像された金属銀で形成した後、この金属銀を物理現像および/またはメッキすることにより導電性金属パターンを形成する露光現像法によるものである。
本発明に適用できる、この写真製法に基づく露光現像法には、上記のとおり、(a)露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、即ち、露光マスクと反対の形に現像銀が表れるいわゆるネガ型の露光現像方法と、(b)露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現する、即ち、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるいわゆるポジ型の露光現像方法の2通りがある。本発明には、(a)ネガ型の露光・現像方法と、(b)ポジ型の露光・現像方法のいずれでも適用できる。
以下、ポジ型の露光・現像方法(DTR法)と無電解メッキ法を用いた金属メッシュパターンの作製方法について説明する。DTR法の場合、透明基材表面には、予め物理現像核層が設けられていることが好ましい。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法等によって透明基材上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
透明基材は、塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層の接着層を設けることができ、また接着層と物理現像核層との間にはゼラチン等の親水性バインダーからなる中間層を設けることもできる。
物理現像核層には、親水性バインダーを含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜300質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。物理現像核層には親水性バインダーの架橋剤を含有することもできる。
物理現像核層や前記中間層等の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。本発明において物理現像核層は、上記したコーティング法によって、通常連続した均一な層として設けることが好ましい。
物理現像核層に金属銀を析出させるためのハロゲン化銀の供給は、透明基材上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に一体的に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の基材上に設けられたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。
前記ハロゲン化銀乳剤は、ハロゲン化銀写真感光材料の一般的なハロゲン化銀乳剤の製造方法に従って製造することができる。ハロゲン化銀乳剤は、通常、硝酸銀水溶液、塩化ナトリウムや臭化ナトリウムのハロゲン水溶液をゼラチンの存在下で混合熟成することによって作られる。
前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成は、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された物理現像銀の導電性が向上する。
(露光方法)
前記ハロゲン化銀乳剤層は、各種の光源に対して感光性を有している。電磁波シールド材を作製するための1つの方法として、例えば網目状などの細線パターンの物理現像銀の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は細線パターン状に露光されるが、露光方法として、細線パターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。前者の密着露光は、ハロゲン化銀の感光性は比較的低くても可能であるが、レーザー光を用いた走査露光の場合は比較的高い感光性が要求される。従って、後者の露光方法を用いる場合は、ハロゲン化銀の感光性を高めるために、ハロゲン化銀は化学増感あるいは増感色素による分光増感を施してもよい。化学増感としては、金化合物や銀化合物を用いた金属増感、硫黄化合物を用いた硫黄増感、あるいはこれらの併用が挙げられる。好ましくは、金化合物と硫黄化合物を併用した金−硫黄増感である。上記したレーザー光で露光する方法においては、450nm以下の発振波長の持つレーザー光、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードともいう)を用いることによって、明室下(明るいイエロー蛍光灯下)でも取り扱いが可能となる。
(露光装置)
上記の露光方法による露光装置としては、枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いる枚葉処理方式の露光装置と、連続したパターンが形成できる連続露光装置とがある。枚葉処理方式の露光装置は、所定のマスクパターンが形成された枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いて、ロールシートを間欠送りで露光装置に送り、装置内を真空排気して露光マスクと基材とを密着させて隙間を無くしてから、例えば紫外線で露光する。枚葉処理方式の露光装置では、真空排気、露光、大気開放を間欠的に行うので処理速度は遅くなるとともに、切れ目のない連続パターンを得ることができない。
これに対して本発明では、図4、図5に例示するように、パターンを連続的に形成できる連続露光装置60、70を用いる。
これらの連続露光装置60、70は、図1に示すように、ロールtoロールで露光・現像工程とメッキ工程を引き続いて連続的に行う場合には、電磁波シールド材製造装置1に組み込まれる連続露光装置5として、図4、図5に例示するような連続露光装置60、70を用いることができる。また、図2に示すように、メッキ工程を行うロールtoロール処理とは別に露光・現像工程を行う場合には、電磁波シールド材製造装置1Aとは別に設けられた装置により連続露光と現像を行い、前記原反ロール2Aを製造する。
なお、これら連続露光装置60、70を示す図面では、前記露光に用いる透明基材には、図1に示す電磁波シールド材製造装置1を用いる場合と図2に示す電磁波シールド材製造装置1Aを用いる場合とで区別することなく、共通の符号64、74を付して説明することにする。
図4に示す連続露光装置60は、写真製法における露光に用いられる光を透過する材質からなる円筒ドラム61と、円筒ドラム61の外周壁に設けられた露光マスク部分62と、円筒ドラム61の内部に配設された露光用光源63とを備え、円筒ドラム61の内側の光源63から出射した光によって円筒ドラム61に巻き付けられた透明基材64を露光する装置である。この連続露光装置60には、特定の照射方向に光を透過する開口部66を有する光源カバー65を露光用光源63の周囲に設けることができる。透明基材64を露光するパターンは、露光マスク部分62の光を透過する部分のパターンによって決定される。円筒ドラム61に対する露光マスク部分62の配設は、例えば、円筒ドラム61の外周壁の表面(内面又は外面)に設けられ、あるいは外周壁の内部に挿入又は挟み込まれることによって行われる。なお図4は、露光マスク部分62を円筒ドラム61の外周壁の外面に設けた場合を例示した図面である。
この連続露光装置60では、円筒ドラム61は、連続的に移送される透明基材64と同じ速度で回転しているので、透明基材64の各部分が円筒ドラム61に巻き付けられた箇所において露光される間、透明基材64に対する露光マスク部分62のパターン(光を透過する部分と遮光する部分のパターン)がずれることがなく、所要時間の露光を継続することが可能である。露光装置に利用する光源63としては、ハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳剤の分光特性、感度により適宜選択することができるが、例えばタングステンランプ、紫外線ランプ、蛍光ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を利用することができる。露光の際、光源カバー65は回転せず、開口部66が常時一定の方向(図4の右方向)を向いているので、透明基材64が円筒ドラム61の表面から離れている部分では光源63の光が光源カバー65によって遮られる。すなわち、露光装置60の光源63による透明基材64の露光は、透明基材64がその移送経路上において円筒ドラム61の表面に巻き付けられている一定の範囲67内でなされるので、感光層の感度に合わせて、露光の光量及び照射時間を制御することにより、最適な光量を確実に照射することができる。
一方、図5に示す連続露光装置70は、円筒ドラム71と、連続したパターンが形成された露光マスクフィルム72と、前記円筒ドラム71の外部に配設された露光用光源73とを備え、前記円筒ドラム71に重ねて巻き付けられた透明基材74及び前記露光マスクフィルム72に対して前記円筒ドラム71の外側から光を照射し、透明基材74を露光する装置である。
露光マスクフィルム72は、透明樹脂フィルムの上に、縮小露光によるフォトリソグラフ方法などの公知の方法にてマスクとなるメッシュパターンを形成し、透明基材74と円筒ドラム71で重ね合わされて露光する。その後、露光マスクフィルム72は、透明基材74から切離されて巻き取られ、繰り返しての使用に供される。
光源73が円筒ドラム71の外部にある場合は、円筒ドラム71の透明性について特に限定はなく、不透明でもよい。
この連続露光装置70には、特定の照射方向に光を透過する開口部76を有する光源カバー75を露光用光源73の周囲に設けることができ、これにより、光源73による透明基材74の露光は、透明基材74がその移送経路上において円筒ドラム71の表面に巻き付けられている一定の範囲77内でなされるので、露光の光量及び照射時間の制御を確実に行うことができる。ここで光源73としては、上記の連続露光装置60の光源63と同様のものを利用できるので、重複する説明を省略する。
この連続露光装置70は、重ね合わせた透明基材74と露光マスクフィルム72を、円筒ドラム71に巻きつけながら連続的に移送するので、両者に適度なテンションを与えながら移送が可能であり、移送速度の制御が容易であるとともに、透明基材74の各部分が円筒ドラム71に巻き付けられた箇所において露光される間、透明基材74に対する露光マスクフィルム72のパターン(光を透過する部分と遮光する部分のパターン)がずれることがなく、所要時間の露光を継続することが可能である。
なお、上記に例示した連続露光装置60、70以外にも、例えば、重ね合わせた透明基材と露光マスクフィルムを、直線状の経路に沿って連続的に搬送しながら光源を用いて連続露光する装置などを用いることもできる。また、露光用の光源の個数は特に限定されず、必要に応じて複数個(複数箇所に)設けても良い。
連続露光装置60、70は、従来の枚葉処理方式の露光装置に比較して処理速度が速く、かつ、切れ目のない連続したパターンが得られるという長所がある。本発明では、大型建築物の窓ガラスなどの広い面積を覆うための幅広で連続ロールシート状態の電磁波シールド材を製造するために、連続した切れ目のないメッシュパターンを形成する必要があるため、上記透明基材21上に現像銀メッシュパターン23を形成するとき、現像に先立つ露光の際に、連続露光装置60、70を用いる。
物理現像核層が設けられる透明基材上の任意の位置、たとえば接着層、中間層、物理現像核層あるいはハロゲン化銀乳剤層、保護層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層にハレーションないしイラジエーション防止用の染料もしくは顔料を含有させてもよい。
物理現像核層の上に直接にあるいは中間層を介してハロゲン化銀乳剤層が塗設された感光材料を用いて電磁波シールド材を作製する場合は、網目状パターンのような任意の細線パターンの透過原稿と上記感光材料を密着して露光、あるいは、任意の細線パターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記感光材料に走査露光した後、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で処理することにより銀錯塩拡散転写現像(DTR現像)が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して細線パターンの物理現像銀薄膜を得ることができる。露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、ハロゲン化銀乳剤層及び中間層、あるいは必要に応じて設けられた保護層は水洗除去されて、細線パターンの物理現像銀薄膜が表面に露出する。
DTR現像後、物理現像核層の上に設けられたハロゲン化銀乳剤層等の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。
一方、物理現像核層が塗布された透明基材とは別の基材上に設けたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する場合、前述と同様にハロゲン化銀乳剤層に露光を与えた後、物理現像核層が塗布された透明基材と、ハロゲン化銀乳剤層が塗布された別の感光材料とを、可溶性銀錯塩形成剤と還元剤の存在下でアルカリ液中で重ね合わせて密着し、アルカリ液中から取り出した後、数十秒〜数分間経過した後に、両者を剥がすことによって、物理現像核上に析出した細線パターンの物理現像銀薄膜が得られる。
次に、銀錯塩拡散転写現像のために必要な可溶性銀錯塩形成剤、還元剤、及びアルカリ液について説明する。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物であり、これらの作用はアルカリ液中で行われる。
本発明に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、アルカノールアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、T.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物等が挙げられる。
前記還元剤としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
上記した可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤は、物理現像核層と一緒に透明基材に塗布してもよいし、ハロゲン化銀乳剤層中に添加してもよいし、またはアルカリ液中に含有させてもよく、更に複数の位置に含有してもよいが、少なくともアルカリ液中に含有させるのが好ましい。
アルカリ液中への可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.1〜5モルの範囲で用いるのが適当であり、還元剤は現像液1リットル当たり0.05〜1モルの範囲で用いるのが適当である。
アルカリ液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14の範囲が好ましい。銀錯塩拡散転写現像を行うためのアルカリ液の適用は、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯流されたアルカリ液中に、物理現像核層及びハロゲン化銀乳剤層が設けられた透明基材を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えばハロゲン化銀乳剤層上にアルカリ液を1平方メートル当たり40〜120ml程度塗布するものである。
前述したように、細線パターンとしては、たとえば線幅10〜100μm程度の細線を縦横に格子状に設けられたものがあるが、細線幅を小さくして格子の間隔を大きくすると透光性は上がるが導電性は低下し、逆に細線幅を大きくして格子の間隔を小さくすると透光性は低下して導電性は高くなる。本発明にかかる透明基材上に形成された任意の細線パターンの物理現像による銀画像は、全光線透過率50%以上の透光性と表面抵抗率10オーム/□以下の導電性とを同時に満足させることは困難である。具体的にはこの物理現像による銀画像は、表面抵抗率50オーム/□以下、好ましくは20オーム/□以下の導電性を有しているが、細線幅50μm以下、たとえば細線幅20μmのパターンで、全光線透過率50%以上とした場合には、表面抵抗率は数百オーム/□〜千オーム/□以上にもなってしまう。しかしながら、この物理現像による銀画像自身は、現像処理後に得られた銀画像を形成する金属銀粒子が極めて小さく、且つ銀画像中に存在する親水性バインダー量が極めて少ないことにより、銀画像を形成する金属銀粒子が最密充填状態に近い状態で銀画像が形成されて通電性を有しているため、銅やニッケルなどの金属による鍍金(メッキ)、特に無電解メッキを施すことにより、細線パターンが0.5〜15μmの厚み及び10〜50μmの線幅であるとき、全光線透過率50%以上、好ましくは60%以上の透光性の細線パターンであっても、表面抵抗率10オーム/□以下、好ましくは7オーム/□以下の導電性を保持することができる。
金属メッシュの全光線透過率を向上させるためには、細線が設けられた領域の面積に対して、細線間の光透過部の面積を十分に広くする必要がある。このため、細線の間隔は、100〜900μmであることが好ましく、より好ましくは150〜700μmである。
金属メッキした細線パターンの厚みは所望とする特性により任意に変えることができるが、0.5〜15μm、好ましくは2〜12μmの範囲である。また上述の方法によって作製された電磁波シールド材は、30MHz〜1,000MHzのような広い周波数帯に亘って30dB以上のシールド効果を得ることができる。
細線パターンの物理現像銀のメッキは、無電解メッキ法、電解メッキ法あるいは両者を組み合わせたメッキ法のいずれでも可能であるが、透明基材21上に電磁波シールド層22を作製するにあたり、ロール状の長尺ウェブの上に生成された現像銀からなる細線パターンに対して、給電することなくメッキが可能であって、メッキ膜厚を均一に施すことができる観点からも、無電解メッキによる方法が好ましい。
本発明において、無電解メッキ法は公知の方法で行うことができるが、無電解メッキは、例えば銅、ニッケル、銀、金、スズ、はんだ、あるいは銅/ニッケルの多層あるいは複合系などの従来公知の方法を使用でき、これらについては、「無電解めっき 基礎と応用;日刊工業新聞社、1994年5月30日初版」等の文献を参照することができる。
メッキが容易で、かつ導電性に優れ、さらに厚膜にメッキでき、低コスト等の理由により、銅および/またはニッケルを用いることが好ましい。無電解銅メッキ浴の一例を挙げると、硫酸銅:30g/dm、酒石酸ナトリウムカリウム(ロシェル塩):100g/dm、ホルムアルデヒド:30cm/dm、炭酸ナトリウム:30g/dm、水酸化ナトリウム:50g/dm、浴温度24℃で無電解銅メッキすることができる。
また、無電解ニッケルメッキ浴の一例を挙げると、硫酸ニッケル:21g/dm、ホスフィン酸ナトリウム:25g/dm、酢酸ナトリウム:10g/dm、pH:4〜6、浴温度90℃で無電解ニッケルメッキすることができる。
使用する無電解メッキ槽8の型式は、竪型、横型のいずれであっても構わないが、所定のメッキ滞留時間を確保できるようにロールシート3の移送速度に応じて無電解メッキ槽8の長さを決定することが望ましい。
上記方法によって得られる電磁波シールド層(金属メッシュパターン)22は、メッシュパターンが0.5〜15μmの厚み及び10〜50μmの線幅であるとき、全光線透過率50%以上、かつ表面抵抗率が10オーム/□以下という優れた透光性能と導電性能を持ち、30MHz〜1,000MHzのような広い周波数帯に亘って30dB以上のシールド効果を発揮することができる。
本発明によれば、従来の製造方法では対応できない、大型建築物の窓ガラスなどの広い面積を覆うための幅広で連続ロールシート状態で供給される電磁波シールド材を製造することができるので、品質向上やコスト削減などに益するところが大である。
本発明において、ロールtoロールで露光・現像に引き続いて無電解メッキを連続して行う装置の一例を示す概略図である。 本発明において、ロールtoロールで無電解メッキを行う装置の一例を示す概略図である。 (a)は本発明の電磁波シールド材ロール体におけるメッシュパターンの配置の一例を示す部分平面図、(b)は、電磁波シールド材の層構成の一例を示す断面図、(c)は、電磁波シールド材の層構成の別の一例を示す断面図である。 本発明で用いられる連続露光装置の一例を示す概略図である。 本発明で用いられる連続露光装置の別の一例を示す概略図である。
符号の説明
1、1A…電磁波シールド材製造装置、2、2A…原反ロール、3…ロールシート、4…移送ロール、5…連続露光装置、6…現像装置、7…水洗浄槽、8…無電解メッキ槽、9…無電解メッキ液、10…受け槽、11…循環ポンプ、12…フィルター、13…水洗浄槽、14…乾燥器、15…電磁波シールド材ロール体、20…電磁波シールド材、21…透明基材、22…金属メッシュパターン、23…現像銀メッシュパターン、24、24a、24b…金属メッキ層、60…連続露光装置、61…円筒ドラム、62…露光マスク部分、63…露光用光源、64…透明基材、65…光源カバー、70…連続露光装置、71…円筒ドラム、72…露光マスクフィルム、73…露光用光源、74…透明基材、75…光源カバー。

Claims (12)

  1. 長尺の透明基材の少なくとも一方の面に金属メッシュパターンが設けられ、ロールの状態で供給される電磁波シールド材ロール体であって、
    前記金属メッシュパターンは、写真製法により生成された現像銀メッシュパターンとその上に金属メッキ層とを有し、かつ前記金属メッシュパターンは、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続したパターンであることを特徴とする電磁波シールド材ロール体。
  2. 前記金属メッキ層は、無電解銅メッキ層及び/又は無電解ニッケルメッキ層であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド材ロール体。
  3. 前記現像銀メッシュパターンは、露光した部分に現像銀が発現するネガ型の現像方法により生成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールド材ロール体。
  4. 前記現像銀メッシュパターンは、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法により生成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁波シールド材ロール体。
  5. 長尺の透明基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続した現像銀メッシュパターンを生成する工程と、前記現像銀メッシュパターンの上に金属メッキ層を形成するメッキ工程とを、少なくとも含むことを特徴とする電磁波シールド材ロール体の製造方法。
  6. 長尺の透明基材の少なくとも一方の面に金属メッシュパターンが設けられ、ロールの状態で供給される電磁波シールド材ロール体の製造方法であって、
    露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた透明基材を、連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続した現像銀メッシュパターンが生成された原反ロールを製造する工程と、
    当該現像銀メッシュパターンが設けられた透明基材を原反ロールから連続的に繰り出したのち、無電解メッキ工程によって前記現像銀メッシュパターンの上に金属メッキ層を形成し、再び巻き取ってロール体とすることを特徴とする電磁波シールド材ロール体の製造方法。
  7. 長尺の透明基材の少なくとも一方の面に金属メッシュパターンが設けられ、ロールの状態で供給される電磁波シールド材ロール体の製造方法であって、
    露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた透明基材を連続的に繰り出し、該透明基材に連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、前記透明基材の長手方向に切れ目のない連続した現像銀メッシュパターンを生成し、引き続いて、無電解メッキ工程により前記現像銀メッシュパターンの上に金属メッキ層を形成したのち、再び巻き取ってロール体とすることを特徴とする電磁波シールド材ロール体の製造方法。
  8. 前記金属メッキ層は、無電解銅メッキ層及び/又は無電解ニッケルメッキ層であることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の電磁波シールド材ロール体の製造方法。
  9. 前記連続露光装置は、露光に用いられる光を透過する材質からなる円筒ドラムと、前記円筒ドラムの外周壁に設けられた露光マスク部分と、前記円筒ドラムの内部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに巻き付けられた透明基材に対して円筒ドラムの内側から光を照射する装置であることを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の電磁波シールド材ロール体の製造方法。
  10. 前記連続露光装置は、円筒ドラムと、連続したパターンが形成された露光マスクフィルムと、前記円筒ドラムの外部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに重ねて巻き付けられた透明基材及び前記露光マスクフィルムに対して前記円筒ドラムの外側から光を照射する装置であることを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の電磁波シールド材ロール体の製造方法。
  11. 前記現像銀メッシュパターンの生成は、露光した部分に現像銀が発現するネガ型の現像方法により行うことを特徴とする請求項5ないし10のいずれかに記載の電磁波シールド材ロール体の製造方法。
  12. 前記現像銀メッシュパターンの生成は、露光しない部分に現像銀が発現するポジ型の現像方法により行うことを特徴とする請求項5ないし10のいずれかに記載の電磁波シールド材ロール体の製造方法。
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