JP4704194B2 - アンテナ回路装置ならびにそれを備えた非接触icカード及び無線タグ、ならびにアンテナ回路装置の製造方法 - Google Patents
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非接触ICカードは、内部に電源をもっておらず、外から駆動電流及びデータ信号となる誘導電磁波を送受信するためのループアンテナと、データを読み込み、さらに書き込んで保管する1つ以上のICと、外装ケースとからなる部品構成となっている。
無線タグは、非接触ICカードと同様に、少なくともICチップと送受信用のアンテナを備えているが、外装ケースの有無や形状は特に規定されておらず、コイン型、カード型、ボックス型などの各種形状があり、用途に応じて最適な形状が選択される。
(1)細い金属線(銅細線)を巻き付ける方法(例えば特許文献1)
(2)基材に貼り合わせた金属箔をフォトリソグラフ法によりエッチングする方法(例えば特許文献2)
(3)基材の上に導電性ペーストを印刷する方法(例えば特許文献3)
(4)金属薄板をプレス加工する方法(例えば特許文献4)
(5)写真製法により金属銀を現像して形成した後、この金属銀の上にメッキすることにより導電性金属層を形成する写真銀−メッキ法(例えば、特許文献5、6)
上記の方法(2)においては、エッチングにより、アンテナ回路パターンとなるほんのわずかな部分のみを残して、それ以外のほとんど大部分の金属を溶解除去するのは資源を節減するという観点から問題である。また、エッチング処理には時間を要し、生産性が低い上、エッチング処理に使用した廃液の処理にも費用がかさむという問題があった。
上記の方法(3)においては、約150℃以下の低温焼成では基材と印刷したアンテナ回路パターンとの密着性が悪く、剥がれやすいという問題があった。導電性ペーストにはバインダーとして絶縁性の成分が含まれるので比抵抗が大きく、アンテナ回路パターンの電気抵抗値を下げることが困難であるという問題があった。
上記の方法(4)においては、アンテナ回路パターンの線幅を細くするのに限界があるという問題があった。
前記無電解メッキ層が、無電解銅メッキ層及び/又は無電解ニッケルメッキ層からなることが好ましい。
前記基材は樹脂フィルムであることが好ましい。
前記アンテナ回路パターンの金属層の線幅が0.02〜1.2mmであり、厚みが0.5〜15μmであることが好ましい。
前記現像銀層は、ポジ型写真製法又はネガ型写真製法によって生成することができる。
また、本発明は、上述のアンテナ回路装置を備えたことを特徴とする無線タグを提供する。
あるいは、連続露光装置として、円筒ドラムと、アンテナ回路パターンに対応するマスクパターンが形成された露光マスクフィルムと、前記円筒ドラムの外部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに重ねて巻き付けられた基材に対して前記円筒ドラムの外側から光を照射する装置を用いることもできる。
前記現像銀層の生成は、ポジ型写真製法又はネガ型写真製法により行うことができる。
図1は、本発明のアンテナ回路装置の一例を示す図面であり、図1(a)はアンテナ回路装置の概略構成を示す正面図、図1(b)はアンテナ回路の部分拡大断面図である。図2は、図1のアンテナ回路が多数形成された長尺の基材を部分的に示す平面図である。
図3は、ロールtoロールで露光・現像に引き続いて無電解メッキを連続して行う装置の一例を示す概略図である。図4は、ロールtoロールで無電解メッキを行う装置の一例を示す概略図である。図5は、連続露光装置の一例を示す概略図である。図6は、連続露光装置の別の一例を示す概略図である。
アンテナ回路パターン3の作製は、詳しくは後述するが、写真製法により目的とするアンテナ回路パターン3と同じパターンで現像銀層4aを生成した後、この現像銀層4aの上に無電解メッキにより金属メッキ層4bを形成する方法により行う。
アンテナ回路パターン3の金属層4の線幅は、所望とする特性により任意に設定できるが、0.02〜1.2mmの範囲が好ましく、特に好ましいのは0.2〜0.8mmの範囲である。
金属層4の厚みは、所望とする特性により任意に設定できるが、0.5〜15μmの範囲が好ましく、特に好ましいのは2〜12μmの範囲である。
本発明に使用されるアンテナ回路の基材2は、誘電体であれば特に限定されないが、取扱い性に優れることからフレキシブル性を有する樹脂フィルムが好ましい。基材2に使用される樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ50〜300μmの単層フィルム又は前記樹脂からなる複数層の複合フィルムが挙げられる。
基材2は、可視領域で透明性を有し、一般に全光線透過率が90%以上のものが好ましい。なお、写真製法による現像銀層4aの生成に支障がなければ、全光線透過率が90%未満の基材2、例えば不透明の基材を用いても良い。
現像銀層4aを生成するための写真製法に基づく露光現像法には、上記のとおり、(a)露光マスクに覆われていなくて露光された部分に現像銀が発現する、即ち、露光マスクと反対の形に現像銀が表れるいわゆるネガ型の露光現像方法と、(b)露光マスクに覆われて露光されなかった部分には現像銀が発現する、即ち、露光マスクと同じ形に現像銀が表れるいわゆるポジ型の露光現像方法の2通りがある。本発明には、(a)ネガ型の露光・現像方法と、(b)ポジ型の露光・現像方法のいずれでも適用できる。
前記ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀組成は、塩化銀を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。塩化銀含有率を高くすることによって形成された物理現像銀の導電性が向上する。
現像銀層4a上に金属メッキ層4bを積層するときに用いるメッキ法は、図2に示すように、長尺の基材11(特にロールから繰り出したもの)の上に多数のアンテナ回路パターン3を分散して(孤立して)生成し、メッキ後に前記長尺の基材11を個々のアンテナ回路装置の基材2のサイズ(図1を参照。)に切り分ける場合には、互いに電気的接続がないアンテナ回路パターン3へのメッキを一括して行うことが可能である点で、無電解メッキ法が好ましい。
メッキが容易で、かつメッキ層の導電性が優れ、さらに厚膜にメッキでき、低コストであるなどの理由により、メッキに用いる金属としては、銅(Cu)および/またはニッケル(Ni)が好ましい。金属メッキ層は、メッキを複数回行うことにより、同種の金属または異種の金属を複数層積層することも好ましい。例えば、現像銀の上に第1のメッキ層、さらにその上に第2のメッキ層を積層する場合に、一方のメッキ層が無電解ニッケルメッキ層であり、他方のメッキ層が無電解銅メッキ層である組み合わせが好ましい。
メッキに使用するメッキ槽の型式は、竪型、横型のいずれであっても構わないが、所定のメッキ滞留時間を確保できるように長さを決定する。
図2に示すように、長尺の基材11(特にロールから繰り出した長尺の基材)の上に多数のアンテナ回路パターン3を分散して(孤立して)生成する場合には、原反ロールから長尺の基材11を繰り出し、現像銀層の露光・現像工程および/または金属メッキ層のメッキ工程をロールtoロールで行うと、生産性を向上できる等の利点があり、好ましい。
無電解メッキ槽17を出た基材11は、水洗浄槽22で不要な無電解メッキ液18を洗い落としてから乾燥器23にて水切り乾燥され、再びロール24に巻き取られる。
図4の製造装置10Aにおいて、無電解メッキ槽17から製品のロール24までの構成は、図3に示す製造装置10と同様であるので、重複する説明を省略する。
上記の露光方法による露光装置としては、枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いる枚葉処理方式の露光装置と、連続したパターンが形成できる連続露光装置とがある。枚葉処理方式の露光装置は、所定のマスクパターンが形成された枚葉式の露光マスク(フォトマスク)を用いて、基材を間欠送りで露光装置に送り、装置内を真空排気して露光マスクと基材とを密着させて隙間を無くしてから、例えば紫外線で露光する。枚葉処理方式の露光装置では、真空排気、露光、大気開放を間欠的に行うので、連続的な生産ができず、処理速度は遅くなる。
これらの連続露光装置30、40は、図3に示すように、ロールtoロールで露光・現像工程とメッキ工程を引き続いて連続的に行う場合には、製造装置10に組み込まれる連続露光装置14として、図5、図6に例示するような連続露光装置30、40を用いることができる。また、図4に示すように、メッキ工程を行うロールtoロール処理とは別に露光・現像工程を行う場合には、製造装置10Aとは別に設けられた装置により連続露光と現像を行い、前記原反ロール12Aを製造する。
なお、これら連続露光装置30、40を示す図面では、前記露光に用いる基材には、図3に示す製造装置10を用いる場合と図4に示す製造装置10Aを用いる場合とで区別することなく、共通の符号34、44を付して説明することにする。
露光マスクフィルム42は、例えば、透明樹脂フィルムの上に、縮小露光によるフォトリソグラフ方法などの公知の方法にてマスクとなるパターンを形成したものであり、基材44と重ね合わせた状態で円筒ドラム41上にて露光に使用する。その後、露光マスクフィルム42は、基材44から切離されて巻き取られ、繰り返しての使用に供される。
光源43が円筒ドラム41の外部にある場合は、円筒ドラム41の透明性について特に限定はなく、不透明でもよい。
なお、上記に例示した連続露光装置30、40以外にも、例えば、重ね合わせた透明基材と露光マスクフィルムを、直線状の経路に沿って連続的に搬送しながら光源を用いて連続露光する装置などを用いることもできる。また、露光用の光源の個数は特に限定されず、必要に応じて複数個(複数箇所に)設けても良い。
Claims (12)
- 基材の少なくとも一方の面にアンテナ回路パターンが形成されたアンテナ回路装置であって、
前記アンテナ回路パターンは、写真製法により生成された現像銀層の上に無電解メッキによる金属メッキ層が積層された金属層からなることを特徴とするアンテナ回路装置。 - 前記無電解メッキ層が、無電解銅メッキ層及び/又は無電解ニッケルメッキ層からなることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ回路装置。
- 前記基材が樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ回路装置。
- 前記アンテナ回路パターンの金属層の線幅が0.02〜1.2mmであり、厚みが0.5〜15μmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のアンテナ回路装置。
- 前記現像銀層は、ポジ型写真製法又はネガ型写真製法によって生成されたものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のアンテナ回路装置。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のアンテナ回路装置を備えたことを特徴とする非接触ICカード。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のアンテナ回路装置を備えたことを特徴とする無線タグ。
- 基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を露光し、次いで現像することにより、現像銀層によるアンテナ回路パターンを生成する工程と、
前記現像銀層の上に無電解メッキにより金属メッキ層を積層する工程とを少なくとも含むことを特徴とするアンテナ回路装置の製造方法。 - 長尺の基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を、連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、現像銀層によるアンテナ回路パターンが生成した原反ロールを製造する工程と、
前記原反ロールから前記基材を連続的に繰り出した後、前記現像銀層の上に無電解メッキにより金属メッキ層を形成し、再び巻き取ってロール体とする工程とを少なくとも含むことを特徴とするアンテナ回路装置の製造方法。 - 長尺の基材の少なくとも一方の面に、露光及び現像によって金属銀を析出する物質を含む層が設けられた基材を連続的に繰り出し、連続露光装置を用いて露光し、次いで現像することにより、現像銀層によるアンテナ回路パターンを生成し、引き続いて、連続的に無電解メッキを行って前記現像銀層の上に金属メッキ層を形成し、再び巻き取ってロール体とすることを特徴とするアンテナ回路装置の製造方法。
- 前記連続露光装置は、上記写真製法における露光に用いられる光を透過する材質からなる円筒ドラムと、前記円筒ドラムの外周壁に設けられかつ前記アンテナ回路パターンに対応するマスクパターンが形成された露光マスク部分と、前記円筒ドラムの内部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに巻き付けられた基材に対して円筒ドラムの内側から光を照射する装置であることを特徴とする請求項9又は10に記載のアンテナ回路装置の製造方法。
- 前記連続露光装置は、円筒ドラムと、アンテナ回路パターンに対応するマスクパターンが形成された露光マスクフィルムと、前記円筒ドラムの外部に配設された露光用光源とを備え、前記円筒ドラムに重ねて巻き付けられた基材に対して前記円筒ドラムの外側から光を照射する装置であることを特徴とする請求項9又は10に記載のアンテナ回路装置の製造方法。
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