JP2007093644A - 光走査型ディスプレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】光束の2次元的な走査によって画像を表示する技術において、走査軌跡の改善によって必要主走査周波数の低下と必要副走査周波数の増加と走査線数の増加とのうちの少なくとも一つを可能にする。
【解決手段】光走査型ディスプレイ10において、画像の1フレームが3以上のフィールドに分けて光走査ユニット20によって走査されて表示されるように、映像信号に基づいて輝度信号を生成し、各回の往復走査の全体期間のうちの有効走査期間中に、光源部34が実際に光束を出射することによって形成される有効走査線が同じフレームにおいて前記3以上のフィールド間で互いに重ならないように、前記生成された輝度信号を光源部34に出力する。
【選択図】図7

Description

本発明は、光束の2次元的な走査によって画像を表示する技術に関するものであり、特に、その走査の軌跡を制御する技術に関するものである。
光束の2次元的な走査によって画像を表示する光走査型ディスプレイが既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。その一例は、観察者の外界に割り当てられたスクリーンに画像を投影して表示するプロジェクタであり、別の例は、観察者の網膜上に光束を直接に投影し、その光束で網膜を走査する網膜走査型ディスプレイである。
いずれの例においても、この種の光走査型ディスプレイは、一般に、(a)輝度信号に応じた輝度で光束を出射する光源部と、(b)その光源部から出射した光束を互いに交差する主走査方向と副走査方向とにおいてそれぞれ往復走査することが可能な走査装置と、(c)映像信号に基づいて前記輝度信号を生成し、その生成された輝度信号を前記光源部に出力することにより、前記走査装置による走査軌跡を制御する制御部とを含むように構成される。
この種の光走査型ディスプレイにおいては、通常、主走査方向は水平方向、副走査方向は垂直方向とそれぞれ等しくなるように設定されるため、主走査方向における走査は水平走査、副走査方向における走査は垂直走査と称されるが、各走査方向の向きはそれらに限定されない。
この種の光走査型ディスプレイにおいては、走査装置が、各回の往復走査の全体期間のうちの有効走査期間中には、光源部が実際に光束を出射することにより、実在する走査線が有効走査線として形成される一方、無効走査期間中には、光源部が実際に光束を出射しないことにより、実在しない走査線が無効走査線として形成されるように構成される。
特許第2988457号公報
この種の光走査型ディスプレイにおいては、通常、前記走査装置が、画像の各フレームごとに、主走査方向に往復走査を行いながら副走査方向に往復走査を行うように構成される。
画像を表示するために光束を走査する方式として、ノンインターレース方式(プログレッシブ方式ともいう。)とインターレース方式とがある。ノンインターレース方式においては、1フレームの画像を表示するための全有効走査線が1本ずつ順に走査される。これに対し、インターレース方式においては、画像の1フレームが2つのフィールドで構成され、それらフィールドは、それらフィールド同士で走査線が重ならないように、走査される。
インターレース方式を採用する場合には、フリッカが目立たない程度に副走査周波数を高く(例えば、50Hz以上の周波数に)保ったまま、例えばその半分まで主走査周波数を下げることが可能となり、さらに、画像の主走査方向(水平方向)における解像度を保ったまま、副走査方向(垂直方向)における解像度の低下をある程度抑制することが可能である。
したがって、インターレース方式を採用する場合には、画像表示の最小単位である画面(インターレース方式においてはフィールドに相当し、ノンインターレース方式においてはフレームに相当する。)1枚当たりの有効走査線が、ノンインターレース方式を採用する場合より半減する。
よって、インターレース方式を採用する場合には、ノンインターレース方式を採用する場合より、必要主走査周波数を低下させることが容易であり、換言すれば、必要副走査周波数を増加させることが容易である。
光束を走査するために機械的共振系の共振現象を利用すれば、その走査による消費電力を容易に節減することができる。そのために、例えば、入射した光束を反射によって偏向する走査ミラーを機械的共振系として構成し、その走査ミラーの往復運動によって光束の偏向角を周期的に変化させることが可能である。
このような事情を背景にして、前述の光走査型ディスプレイにおいては、前記走査装置による消費電力を節減するために、その走査装置が、(a)主走査駆動信号に基づき、前記光束を、第1の機械的共振系を利用して、前記主走査方向に往復走査することが可能な主走査部と、(b)副走査駆動信号に基づき、前記光束を、第2の機械的共振系を利用して、前記副走査方向に往復走査することが可能な副走査部とを有するように構成される場合がある。
このように構成された走査装置を用いる光走査型ディスプレイにおいては、主走査周波数と副走査周波数との比が設定比に維持されることが、網膜上に入射する光束のスポットが走査装置によって走査されることによって網膜上に描かれる実際の走査軌跡が正規であるために重要である。
この種の光走査型ディスプレイにおいては、主走査周波数の高さが第1の機械的共振系の振動周波数の高さに依存し、同様に、副走査周波数の高さが第2の機械的共振系の振動周波数の高さに依存する。
一般に、機械的共振系の共振周波数は、常に一定であるとは限らず、その作動環境や経時劣化等、種々の理由によって変動する可能性がある。そのため、機械的共振系の共振現象を常に効率よく利用して光束の走査を行うためには、機械的共振系の共振周波数に追従するように、その機械的共振系の振動周波数をトラッキング制御することが有効である。
その周波数トラッキング制御においては、例えば、機械的共振系の駆動源に供給する駆動信号の周波数が、その機械的共振系の共振周波数に一致するように変更される。
しかしながら、互いに異なる主走査周波数と副走査周波数とを実現すべく、互いに異なる共振周波数を有する2種類の機械的共振系を利用して主走査と副走査とをそれぞれ行うように構成された光走査型ディスプレイにおいては、それら2種類の機械的共振系についてそれぞれ互いに独立して周波数トラッキング制御が行われると、主走査周波数と副走査周波数との比が設定比から変化してしまう。なぜなら、それら2種類の機械的共振系の共振周波数が、主走査周波数と副走査周波数との比を設定比から変化させないように変動するとは限らないからである。
したがって、そのような光走査型ディスプレイにおいては、周波数トラッキング制御を、主走査周波数と副走査周波数との比が設定比から変化しないように行うことが望ましい。
上述のように、互いに異なる共振周波数を有する2種類の機械的共振系を利用して主走査と副走査とをそれぞれ行うように構成された光走査型ディスプレイにおいては、主走査の位相(例えば、前述の走査ミラーによる光束偏向角の、主走査による時間変動の位相)と、副走査の位相(例えば、前述の走査ミラーによる光束偏向角の、副走査による時間変動の位相)との差が設定値に維持されることが、実際の走査軌跡が正規であるために重要である。
この種の光走査型ディスプレイにおいては、主走査の位相が第1の機械的共振系の振動の位相に依存し、同様に、副走査の位相が第2の機械的共振系の振動の位相に依存する。
この種の光走査型ディスプレイにおいては、それら2種類の機械的共振系のうちの少なくとも一方について上述の周波数トラッキング制御が行われると、その少なくとも一方の機械的共振系の振動周波数の強制的変更に伴い、その少なくとも一方の機械的共振系の振動周波数の位相が変化する。この変化は、主走査の位相と副走査の位相との差に変化を生じさせる。
この種の光走査型ディスプレイにおいては、主走査の位相と副走査の位相との差が設定値から外れるにつれて、実際の走査軌跡が理想の走査軌跡から逸脱し、その結果、表示画像の再現性が低下する。
したがって、この種の光走査型ディスプレイにおいては、周波数トラッキング制御を、主走査の位相と副走査の位相との差が設定値から大きく変化しないように行うことが望ましい。
以上説明した事情を背景にして、本発明は、光束の2次元的な走査によって画像を表示する技術において、走査軌跡の改善により、必要主走査周波数の低下と、必要副走査周波数の増加と、1フレーム当たりの有効走査線数の増加とのうちの少なくとも一つを可能にすることを課題としてなされたものである。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 光束の2次元的な走査によって画像を表示する光走査型ディスプレイであって、
輝度信号に応じた輝度で前記光束を出射する光源部と、
前記光源部から出射した光束を互いに交差する主走査方向と副走査方向とにそれぞれ往復走査する走査装置であって、(a)主走査駆動信号に基づき、前記光束を、第1の機械的共振系を利用して、前記主走査方向に往復走査することが可能な主走査部と、(b)副走査駆動信号に基づき、前記光束を、第2の機械的共振系を利用して、前記副走査方向に往復走査することが可能な副走査部とを有し、かつ、前記画像の各フレームごとに、前記主走査方向において前記副走査方向におけるより多数回の往復走査を行うものと、
前記画像の1フレームが3以上のフィールドに分けられて前記走査装置によって走査されて表示されるように、映像信号に基づいて前記輝度信号を生成し、各回の往復走査の全体期間のうちの有効走査期間中に、前記光源部が実際に光束を出射することによって形成される有効走査線が同じフレームにおいて前記3以上のフィールド間で互いに重ならないように、前記生成された輝度信号を前記光源部に出力する輝度信号制御部と、
前記走査装置の走査状態を検出する検出部と、
主走査同期信号と副走査同期信号とを発生させる同期信号発生部と、
それら発生させられた主走査同期信号と副走査同期信号とに基づいて前記主走査駆動信号と前記副走査駆動信号とをそれぞれ発生させる駆動信号発生部と
を含み、
前記同期信号発生部は、
前記主走査部と前記副走査部とのうちの一方を追従制御対象とし、前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうち前記追従制御対象に対応するものを対象同期信号とし、その対象同期信号を、前記検出部によって検出された走査状態に基づき、前記追従制御対象の共振周波数に追従するように制御する第1同期信号制御部と、
前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうちの他方を、前記制御された対象同期信号に基づいて制御する第2同期信号制御部と
を含む光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイにおいては、画像の1フレームが3以上のフィールドに分けて走査されて表示され、さらに、有効走査線が同じフレームにおいて3以上のフィールド間で互いに重ならないように形成される。
このようにしても、1フレーム内の有効走査線同士の重なりなしで画像が形成されるため、前述の従来のインターレース方式やノンインターレース方式と同様に画像を表示できる。
したがって、この光走査型ディスプレイによれば、前述の従来のインターレース方式やノンインターレース方式を採用する場合より、1フレームを構成するフィールドの数が増加し、その結果、前述の、画像表示の最小単位である画面1枚を表示するのに必要な有効走査線の数が減少する。
よって、この光走査型ディスプレイによれば、前述の従来のインターレース方式を採用する場合より、必要主走査周波数を低下させることが容易となる。
1フレームにおいて同じ走査線数を実現するのに必要な主走査周波数が低い場合には、高い場合より、前記走査装置のうち主走査を行う主走査部の設計および構造が容易化される。
したがって、本項に係る光走査型ディスプレイによって必要主走査周波数を低下させることが容易となれば、例えば、走査装置の設計および製造や、その走査装置の性能向上が容易となる。
1フレームを3以上のフィールドによって構成したうえで必要副走査周波数を増加させれば、1フレームが2以下のフィールドによって構成されるために必要副走査周波数を増加させることができない場合より、同じ主走査周波数および副走査周波数のもとに1フレームに形成される有効走査線の数が増加する。その有効走査線の数が増加することは、表示画像の解像度が副走査方向において向上することにつながる。
したがって、本項に係る光走査型ディスプレイによって有効走査線数を増加させることが容易となれば、例えば、表示画像の解像度を向上させることが容易となる。
本項に係る光走査型ディスプレイにおいては、さらに、前記走査装置が、(a)主走査駆動信号に基づき、光束を、第1の機械的共振系を利用して、主走査方向に往復走査することが可能な主走査部と、(b)副走査駆動信号に基づき、光束を、第2の機械的共振系を利用して、副走査方向に往復走査することが可能な副走査部とを含むように構成される。
この光走査型ディスプレイにおいては、主走査同期信号と副走査同期信号とに基づいて主走査駆動信号と副走査駆動信号とがそれぞれ発生させられる。それら発生させられた主走査駆動信号と副走査駆動信号とに基づいて主走査部と副走査部とがそれぞれ駆動される。
この光走査型ディスプレイにおいては、さらに、それら主走査部と副走査部とのうちの一方が追従制御対象とされ、主走査同期信号と副走査同期信号とのうち追従制御対象に対応するものが対象同期信号とされる。
この光走査型ディスプレイにおいては、さらに、その対象同期信号の周波数が、走査装置の走査状態(主走査部の走査状態を含む。)に基づき、追従制御対象の共振周波数に追従するように制御される一方、主走査同期信号と副走査同期信号とのうちの他方が、追従制御対象のために制御された対象同期信号に基づいて制御される。
その結果、この光走査型ディスプレイによれば、主走査部と副走査部とのうちの一方は、追従制御対象とされて、実際の振動周波数が実際の共振周波数に一致するように制御される一方、主走査部と副走査部とのうちの他方の周波数は、追従制御対象の対象同期信号の周波数と一定関係を維持するように制御される。
したがって、この光走査型ディスプレイによれば、主走査部と副走査部とのいずれについても周波数トラッキング制御を行わない場合より、走査のための消費電力が節減されるとともに、主走査部と副走査部とのいずれについても周波数トラッキング制御を行う場合より、主走査周波数と副走査周波数との比を常に設定比に維持して、実際の走査軌跡を常に正規化することが容易となる。
(2) 前記第1同期信号制御部は、前記対象同期信号の周波数を、前記検出部によって検出された前記追従制御対象の走査状態に基づき、前記追従制御対象の共振周波数に追従するように制御する第1周波数制御部を含む(1)項に記載の光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイによれば、主走査部と副走査部とのうちの一方が、自身の同期信号の周波数が、自身の走査状態に基づき、自身の実際の共振周波数に追従するように制御される。
(3) 前記第2同期信号制御部は、前記他方の同期信号の周波数を、主走査周波数と副走査周波数との比が設定比に一致するように、制御する第2周波数制御部を含む(1)または(2)項に記載の光走査型ディスプレイ。
したがって、この光走査型ディスプレイによれば、主走査部と副走査部とのうちの一方については周波数トラッキング制御が行われる状況において、主走査周波数と副走査周波数との比が設定比に維持されて、実際の走査軌跡が正規化される。
(4) 前記設定比は、互いに素である整数の比である(3)項に記載の光走査型ディスプレイ。
(5) 前記追従制御対象は、前記主走査部と前記副走査部とのうち、機械的共振系のQ値が大きいものである(1)ないし(4)項のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイによれば、主走査部と副走査部とにぞれぞれ要求される共振エネルギーが互いに異なる場合に、それら互いに異なる要求を過不足なく実現することが可能となる。
(6) 前記第1の機械的共振系のQ値は、前記第2の機械的共振系のQ値より大きい(5)項に記載の光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイによれば、例えば、主走査を水平走査、副走査を垂直走査として、水平方向において垂直方向におけるより寸法が長い矩形の領域を走査することが必要であるために、主走査部に要求される共振エネルギーが副走査部に要求される共振エネルギーより大きい場合に、それら互いに異なる要求を過不足なく実現することが可能となる。
(7) 前記主走査部は、前記主走査周波数で周期的に変化する主走査偏向角で出射するように前記光束を往復偏向走査し、
前記検出部は、前記主走査偏向角を反映する信号を主走査変位信号として出力し、
前記同期信号発生部は、前記主走査変位信号の前記主走査駆動信号に対する位相差が設定値となるように前記主走査同期信号を発生させる位相差制御部を含む(1)ないし(6)項のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
一般に、同期信号に基づいて生成された駆動信号によって駆動される機械的共振系を用いて光束の走査を行う場合には、その機械的共振系の実際の振動周波数が実際の共振周波数から外れると、走査偏向角の時間変動を反映する信号と駆動信号との位相差が変化する。したがって、その位相差が設定値に一致するように、同期信号を制御して駆動信号を生成すれば、実際の共振周波数に追従するように実際の振動周波数が変化させられる。
このような知見に基づき、本項に係る光走査型ディスプレイにおいては、主走査部が、光束を、主走査周波数で周期的に変化する主走査偏向角で出射するように往復偏向走査し、さらに、検出部が、その主走査偏向角を反映する信号を主走査変位信号として出力する。
さらに、この光走査型ディスプレイにおいては、主走査変位信号の主走査駆動信号に対する位相差が設定値となるように、主走査同期信号が発生させられる。それにより、主走査部の機械的共振系の実際の振動周波数が、実際の共振周波数に追従するように変化させられる。
(8) 前記同期信号発生部は、前記主走査同期信号と前記副走査同期信号との位相差が設定値に一致するように、それら主走査同期信号と副走査同期信号とのうちの少なくとも一方の位相を変更する位相変更部を含む(1)ないし(7)項のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイによれば、前述の周波数トラッキング制御が実行されるにもかかわらず、主走査同期信号と副走査同期信号との位相差が正規化される。よって、この光走査型ディスプレイによれば、主走査周波数と副走査周波数との比の正規化と、主走査偏向角の時間変動と副走査偏向角の時間変動との位相差の正規化とを一緒に達成することが容易となる。
(9) 光束の2次元的な走査によって画像を表示する光走査型ディスプレイであって、
輝度信号に応じた輝度で前記光束を出射する光源部と、
前記光源部から出射した光束を互いに交差する主走査方向と副走査方向とにそれぞれ往復走査する走査装置であって、(a)主走査駆動信号に基づき、前記光束を、第1の機械的共振系を利用して、前記主走査方向に往復走査することが可能な主走査部と、(b)副走査駆動信号に基づき、前記光束を、第2の機械的共振系を利用して、前記副走査方向に往復走査することが可能な副走査部とを有し、かつ、前記画像の各フレームごとに、前記主走査方向において前記副走査方向におけるより多数回の往復走査を行うものと、
前記画像の1フレームが3以上のフィールドに分けられて前記走査装置によって走査されて表示されるように、映像信号に基づいて前記輝度信号を生成し、各回の往復走査の全体期間のうちの有効走査期間中に、前記光源部が実際に光束を出射することによって形成される有効走査線が同じフレームにおいて前記3以上のフィールド間で互いに重ならないように、前記生成された輝度信号を前記光源部に出力する輝度信号制御部と、
前記走査装置の走査状態を検出する検出部と、
主走査同期信号と副走査同期信号とを発生させる同期信号発生部と、
それら発生させられた主走査同期信号と副走査同期信号とに基づいて前記主走査駆動信号と前記副走査駆動信号とをそれぞれ発生させる駆動信号発生部と
を含み、
前記主走査部は、主走査周波数で周期的に変化する主走査偏向角で出射するように前記光束を往復偏向走査し、
前記副走査部は、副走査周波数で周期的に変化する副走査偏向角で出射するように前記光束を往復偏向走査し、
前記検出部は、前記主走査偏向角を反映する信号と前記副走査偏向角を反映する信号とをそれぞれ主走査変位信号と副走査変位信号として出力し、
前記同期信号発生部は、
前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうちの少なくとも一つが前記主走査部と前記副走査部とのうち対応するものの共振周波数に追従することと、前記主走査周波数と前記副走査周波数との比が設定比に一致することとが一緒に達成されるように、前記検出部によって検出された走査状態に基づき、前記主走査同期信号の周波数と前記副走査同期信号の周波数とをそれぞれ、主走査周波数刻み幅と副走査周波数刻み幅とで離散的に変更する周波数変更部を含み、
前記主走査同期信号の周波数と前記副走査同期信号の周波数とが前記周波数変更部によって変更されることに起因し、前記主走査変位信号の前記主走査駆動信号に対する主走査位相差と、前記副走査変位信号の前記副走査駆動信号に対する副走査位相差とが変動し、
前記主走査位相差の変動と前記副走査位相差の変動とに起因し、前記走査装置によって形成される複数本の走査線の走査線間位相差が変動し、
前記主走査周波数刻み幅は、前記主走査位相差の変動に起因する前記走査線間位相差の変動量が許容範囲内であるように、第1の許容値を超えないように設定され、
前記副走査周波数刻み幅は、前記副走査位相差の変動に起因する前記走査線間位相差の変動量が前記許容範囲内であるように、第2の許容値を超えないように設定される光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイにおいては、前記(1)項に係る光走査型ディスプレイと同様に、画像の1フレームが3以上のフィールドに分けて走査されて表示され、さらに、有効走査線が同じフレームにおいて3以上のフィールド間で互いに重ならないように形成される。
したがって、この光走査型ディスプレイによれば、前記(1)項に係る光走査型ディスプレイと同様な理由により、前述の従来のインターレース方式やノンインターレース方式を採用する場合より、1フレームを構成するフィールドの数が増加し、その結果、画像表示の最小単位である画面1枚を表示するのに必要な有効走査線の数が減少する。
この光走査型ディスプレイにおいては、前記(1)項に係る光走査型ディスプレイと同様に、前記走査装置が、(a)主走査駆動信号に基づき、光束を、第1の機械的共振系を利用して、主走査方向に往復走査することが可能な主走査部と、(b)副走査駆動信号に基づき、光束を、第2の機械的共振系を利用して、副走査方向に往復走査することが可能な副走査部とを含むように構成される。
この光走査型ディスプレイにおいては、主走査部が、主走査周波数で周期的に変化する主走査偏向角で出射するように光束を往復偏向走査し、副走査部が、副走査周波数で周期的に変化する副走査偏向角で出射するように光束を往復偏向走査し、検出部が、主走査偏向角を反映する信号と副走査偏向角を反映する信号とをそれぞれ主走査変位信号と副走査変位信号として出力する。
この光走査型ディスプレイにおいては、主走査同期信号と副走査同期信号とに基づいて主走査駆動信号と副走査駆動信号とがそれぞれ発生させられる。それら発生させられた主走査駆動信号と副走査駆動信号とに基づいて主走査部と副走査部とがそれぞれ駆動される。
この光走査型ディスプレイにおいては、さらに、主走査同期信号と副走査同期信号とのうちの少なくとも一つが主走査部と副走査部とのうち対応するものの共振周波数に追従することと、主走査周波数と副走査周波数との比が設定比に一致することとが一緒に達成されるように、走査装置の走査状態に基づき、主走査同期信号の周波数と副走査同期信号の周波数とがそれぞれ、主走査周波数刻み幅と副走査周波数刻み幅とで離散的に変更される。
この光走査型ディスプレイにおいては、主走査同期信号の周波数と副走査同期信号の周波数とがそれぞれ、上述のようにして離散的に変更されると(例えば、それら周波数と共振周波数とは、最大刻み幅だけ異なり)、主走査変位信号の主走査駆動信号に対する主走査位相差と、副走査変位信号の副走査駆動信号に対する副走査位相差とが変動する。さらに、主走査位相差の変動と副走査位相差の変動とに起因して、走査装置によって形成される複数本の走査線の走査線間位相差が変動する。
この光走査型ディスプレイにおいては、主走査周波数刻み幅が、主走査位相差の変動に起因する走査線間位相差の変動量が許容範囲内であるように、第1の許容値を超えないように設定される。同様にして、副走査周波数刻み幅が、副走査位相差の変動に起因する走査線間位相差の変動量が許容範囲内であるように、第2の許容値を超えないように設定される。
したがって、この光走査型ディスプレイによれば、主走査周波数刻み幅および副走査周波数刻み幅が最適化されるため、主走査同期信号の周波数(主走査周波数)と副走査同期信号の周波数(副走査周波数)とがそれぞれ離散的に変更されるにもかかわらず、主走査位相差の変動に起因する走査線間位相差の変動量も、副走査位相差の変動に起因する走査線間位相差の変動量も、許容範囲内であるようにされる。
よって、この光走査型ディスプレイによれば、主走査同期信号の周波数と副走査同期信号の周波数とがそれぞれ離散的に変更されるにもかかわらず、走査線間位相差の変動量が抑制され、その結果、実際の走査軌跡が正規であるようにされる。
(10) 前記主走査周波数をf、前記副走査周波数をf、前記設定比をn:n(nおよびnは互いに素な整数)、前記第1の機械的共振系のQ値をQ、前記第2の機械的共振系のQ値をQ、1より大きい係数をγでそれぞれ表記する場合に、前記第1の許容値は、
πf/(4γ・Q・n
として定義され、
前記第2の許容値は、
πf/(4γ・Q・n
として定義される(9)項に記載の光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイによれば、主走査周波数刻み幅が、主走査周波数f、設定比n:nおよび第1の機械的共振系のQ値Qとの関係において適正に設定される。
さらに、この光走査型ディスプレイによれば、副走査周波数刻み幅が、副走査周波数f、設定比n:nおよび第2の機械的共振系のQ値Qとの関係において適正に設定される。
(11) 前記係数γは、2以上で6以下である値を有する(10)項に記載の光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイによれば、係数γが2より小さい場合および6より大きい場合より、主走査同期信号の周波数および副走査同期信号の周波数の離散的変更に起因する走査線間位相差の変動量がより好適に抑制される。
例えば、係数γが2より小さい場合には、走査線間位相差の変動量が許容値より大きくなる傾向がある。また、係数γが大きいほど、走査線間位相差の変動量が低減するが、6より大きくしても、視認できるほどに画質が改善されず、その一方、回路設計に無用な高性能化が要求されることになる。
(12) 前記同期信号発生部は、
前記主走査部と前記副走査部とのうちの一方を追従制御対象とし、前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうち前記追従制御対象に対応するものを対象同期信号とし、その対象同期信号を、前記検出部によって検出された走査状態に基づき、前記追従制御対象の共振周波数に追従するように制御する第1同期信号制御部と、
前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうちの他方を、前記制御された対象同期信号に基づいて制御する第2同期信号制御部と
を含む(9)ないし(11)項のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイによれば、前記(1)項に係る光走査型ディスプレイと同様にして、主走査部と副走査部とのいずれについても周波数トラッキング制御を行わない場合より、走査のための消費電力が節減されるとともに、主走査部と副走査部とのいずれについても周波数トラッキング制御を行う場合より、主走査周波数と副走査周波数との比を常に設定比に維持して、実際の走査軌跡を常に正規化することが容易となる。
(13) 前記同期信号発生部は、前記主走査同期信号と前記副走査同期信号との位相差が設定値に一致するように、それら主走査同期信号と副走査同期信号とのうちの少なくとも一方の位相を変更する位相変更部を含む(9)ないし(12)項のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
この光走査型ディスプレイによれば、前述の周波数トラッキング制御が実行されるにもかかわらず、主走査同期信号と副走査同期信号との位相差が正規化される。よって、この光走査型ディスプレイによれば、主走査周波数と副走査周波数との比の正規化と、主走査偏向角の時間変動と副走査偏向角の時間変動との位相差の正規化とを一緒に達成することが容易となる。
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態の一つを図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ(以下、「RSD」と略称する。)10が示されている。
このRSD10は、画像を表す光束の一例であるレーザビームを観察者の眼12の瞳孔14を経て網膜16上に直接に投影し、その投影された光束を網膜16上において走査することにより、画像を表示する。
このRSD10においては、レーザビームのスポットが網膜16上に形成されるとともに、そのスポットが網膜上16を2次元的に走査されることにより、観察者によって画像が虚像として知覚される。
図1に示すように、このRSD10は、映像光生成ユニット18と光走査ユニット20とを含んでいる。
映像光生成ユニット18は、後に詳述するが、外部から供給された映像信号に基づいて3原色の各色ごとに輝度信号を生成する機能と、その生成された輝度信号に基づいて強度変調されたレーザビームを各色ごとに生成する機能と、同期信号を生成して光走査ユニット20に供給する機能とを有する。
そのため、映像光生成ユニット18は、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ出射するRレーザ22、Gレーザ24およびBレーザ26を備えている。それらRレーザ22、Gレーザ24およびBレーザ26から出射する3色のレーザビーム(光束の一例)の輝度(強度)は、Rレーザ駆動回路28、Gレーザ駆動回路30およびBレーザ駆動回路32によってそれぞれ変調される。
本実施形態においては、それらRレーザ22、Gレーザ24およびBレーザ26とそれらに対応するRレーザ駆動回路28、Gレーザ駆動回路30およびBレーザ駆動回路32とが互いに共同して光源部34を構成している。
図1に示すように、それらRレーザ22、Gレーザ24およびBレーザ26には、3個のコリメータレンズ40,42および44と、3個のダイクロイックミラー50,52および54とが設けられている。
各レーザ22,24,26から出射したレーザビームは、コリメータレンズ40,42,44のうち対応するものによってコリメートされた後、ダイクロイックミラー50,52,54のうち対応するものに入射する。それら3個のダイクロイックミラー50,52,54は、波長選択性を有しており、Rレーザ22、Gレーザ24およびBレーザ26から出射した3色のレーザビームを1つのレーザビームに合成するために設けられている。
それら3個のダイクロイックミラー50,52,54を代表する1個のダイクロイックミラー、すなわち、本実施形態においては、ダイクロイックミラー50から合成レーザビームが出射し、その出射した合成レーザビームは、結合光学系56によって集光される。
本実施形態においては、コリメータレンズ40,42,44と、ダイクロイックミラー50,52,54と、結合光学系56とが互いに共同して光合波部58を構成している。
図1に示すように、結合光学系56によって集光された合成レーザビームは、光伝送媒体としての光ファイバ60と、その光ファイバ60の出射端に配置されたコリメータレンズ62とをそれらの順に経て光走査ユニット20に入射する。
その光走査ユニット20は、後に詳述するが、映像光生成ユニット18から出射したレーザビームを各種同期信号に基づいて2次元的に走査する機能と、そのレーザビームを瞳孔14に投入して網膜16に結像させる機能とを有する。
そのため、この光走査ユニット20は、コリメータレンズ62から出射したレーザビームに対して水平走査を行う水平走査部70と、その水平走査部70から出射したレーザビームに対して垂直走査を行う垂直走査部72とを備えている。
この光走査ユニット20は、さらに、水平走査部70から出射したレーザビームを収束させて垂直走査部72に伝送するリレー光学系74と、垂直走査部72から出射したレーザビームを収束させて眼12に伝送するリレー光学系76とを備えている。
図1に示すように、水平走査部70は、振動体としての水平走査ミラー80を備えている。この水平走査部70は、水平走査ミラー80のねじり共振を利用して水平走査を行う。その水平走査ミラー80は、例えば、シリコン等、弾性を有する板状または膜状の部材によって形成される。
図2には、水平走査部70の構成が拡大されて平面図で示されている。この水平走査部70においては、板状の水平走査ミラー80が、揺動軸線の方向における両端部において、一対のはり部82,82によってそれぞれ支持されている。それら一対のはり部82,82は、その水平走査ミラー80を隔てて互いに対向する姿勢で、揺動軸線に沿って延びている。これら一対のはり部82,82はそれぞれ、水平走査ミラー80とは反対側の端部において固定枠83に固定されている。
各はり部82,82は、水平走査ミラー80から延びる1本の第1板ばね部84と、その第1板ばね部84から分岐して互いに平行に延びる2本の第2板ばね部86,86とを備えている。それら第1板ばね部84および第2板ばね部86,86は、いずれも、水平走査ミラー80の厚さ方向と共通する厚さ方向を有している。
2本の第2板ばね部86,86は、揺動軸線を隔てて互いに対向している。したがって、それら第2板ばね部86,86にそれぞれ互いに逆向きに曲げが加えられれば、第1板ばね部84が揺動軸線まわりにねじられ、ひいては水平走査ミラー80が揺動軸線まわりに回転させられる。さらに、同じ第2板ばね部86に曲げが互いに逆向きに交互に加えられれば、水平走査ミラー80が揺動軸線まわりに揺動させられることになる。
そのような曲げを各第2板ばね部86,86に加えるために、各第2板ばね部86,86に駆動源88が設置されている。この駆動源88は、例えば、印加された電界をその印加方向と交差する方向の変位に変換する素子を用いて構成することが可能である。
そのような素子の一例は、板状の圧電素子である。例えば、その圧電素子が各第2板ばね部86,86の、厚さ方向において互いに対向する両面のいずれかに貼り付けられた状態で、その圧電素子が長さ方向に振動させられれば、各第2板ばね部86,86に曲げ振動が発生させられる。
同様に、垂直走査部72は、図1に示すように、振動体としての垂直走査ミラー90と、その垂直走査ミラー90を振動させるためにそれを駆動する駆動源92(図3参照)とを備えている。この垂直走査部72は、水平走査部70と同様に、垂直走査ミラー90のねじり共振を利用して垂直走査を行う。
その垂直走査ミラー90は、例えば、シリコン等、弾性を有する板状または膜状の部材によって形成される。駆動源92は、例えば、印加された電界をその印加方向と交差する方向の変位に変換する素子を用いて構成することが可能であり、そのような素子の一例は、板状の圧電素子である。
垂直走査部72の構成は、図2に示す水平走査部70と共通するため、重複した説明を省略する。
図1に示すように、水平走査部70は、さらに、水平走査ミラー80に設置された駆動源88を駆動するために水平走査駆動回路100を備えている。その水平走査駆動回路100は、例えば、駆動源88に供給される駆動信号を生成するために発振回路を含むように構成される。
この水平走査部70は、さらに、水平走査ミラー80の動作を検出する水平走査検出回路102を備えている。この水平走査検出回路102は、水平走査ミラー80の偏向角θを反映する信号を変位信号として出力する。
この水平走査検出回路102は、例えば、水平走査ミラー80の角度変位を光学的に検出するように構成される。この種の水平走査検出回路102の一例は、水平走査ミラー80に入射してそこから反射したレーザビームを受光するビームディテクタと、レーザビームがビームディテクタによって検出された時期から、そのレーザビームが次にビームディテクタによって検出される時期までの時間の長さを計測する計測部とを含み、その計測された時間の長さに基づいて水平走査ミラー80の角度変位を検出する。
往復揺動させられる走査ミラーの振れ角を光学的に検出する技術の一例が特願2004−286286号明細書に記載されており、その例に関する記載は参照によって本明細書に合体される。
図1に示すように、垂直走査部72は、さらに、垂直走査ミラー90に設置された駆動源92を駆動するために垂直走査駆動回路110を備えている。その垂直走査駆動回路110は、例えば、駆動源92に供給される駆動信号を生成するために発振回路を含むように構成される。
この垂直走査部72は、さらに、垂直走査ミラー90の動作を検出する垂直走査検出回路112を備えている。この垂直走査検出回路112は、垂直走査ミラー90の偏向角θを反映する信号を変位信号として出力する。この垂直走査検出回路112は、例えば、水平走査検出回路102と同様に、垂直走査ミラー90の角度変位を光学的に検出するように構成される。
図1に示すように、光走査ユニット20は、さらに、垂直走査ミラー90に設置された駆動源92を駆動するために垂直走査駆動回路110を備えている。その垂直走査駆動回路110は、例えば、駆動源92に供給される駆動信号を生成するために発振回路を含むように構成される。
水平走査部70の水平走査周波数は、水平走査ミラー80の共振周波数によって決まり、同様に、垂直走査部72の垂直走査周波数は、垂直走査ミラー90の共振周波数によって決まる。本実施形態においては、水平走査周波数が垂直走査周波数より高くなるように、水平走査ミラー80および垂直走査ミラー90の共振周波数が設定されている。
図1に示すように、映像光生成ユニット18は、さらに、信号処理回路120を備えている。その信号処理回路120は、図3に示すように、コンピュータ122を含んでいる。そのコンピュータ122は、CPU124とROM126とRAM128とがバス130によって互いに接続されて構成されている。このコンピュータ122には、外部から映像信号が供給される。
ROM126には、図4にフローチャートで概念的に表されている画像表示プログラムと、図22にフローチャートで概念的に表されている走査制御プログラムとを始めとし、各種プログラムが記憶されている。それら画像表示プログラムおよび走査制御プログラムがCPU124により、外部から供給された映像信号に基づき、かつ、RAM128を使用しつつ実行されることにより、観察者の眼10の網膜14上に画像が表示される。
信号処理回路120においては、外部から供給された映像信号に基づき、表示すべき画像を構成する複数の画素の各々の輝度を表す複数の画素データ(輝度データ)が生成され、それら生成された画素データに基づき、RAM128を利用してデータ処理を行うなどして、赤色光のためのR輝度信号、緑色光のためのG輝度信号および青色光のためのB輝度信号が生成される。
図1に示すように、信号処理回路120には映像データ記憶部134が接続されている。信号処理回路120は、生成された複数の輝度データの集まりを映像データとして、その映像データ記憶部134に記憶させる。この信号処理回路120は、各色ごとに輝度データから輝度信号を生成するため、必要な輝度データを映像データ記憶部134から読み出す。
図3に示すように、信号処理回路120には、Rレーザ駆動回路28、Gレーザ駆動回路30およびBレーザ駆動回路32を経てRレーザ22、Gレーザ24およびBレーザ26が接続されている。信号処理回路120は、Rレーザ駆動回路28にはR輝度信号を出力し、Gレーザ駆動回路30にはG輝度信号を出力し、Bレーザ駆動回路32にはB輝度信号を出力する。
図3に示すように、この信号処理回路120において、コンピュータ122にフレームバッファ140が接続されている。フレームバッファ140は、画像の1フレームをレーザビームの走査によって再生するのに必要な画像データであって複数の画素データ(輝度信号を表すデータ)の集合を走査線番号SLに関連付けて格納する。フレームバッファ140は、レーザビームの各色ごとに対応して設けられている。図5には、フレームバッファ140に画像データが格納される様子が概念的に示されているが、それについては後に図5を参照することによって詳細に説明する。
図3に示すように、信号処理回路120には、さらに、光走査ユニット20の水平走査駆動回路100および垂直走査駆動回路110も接続されている。水平走査駆動回路100から駆動源88へは水平走査駆動信号、垂直走査駆動回路110から駆動源110へは垂直走査駆動信号がそれぞれ供給され、その結果、水平走査部70と垂直走査部72とによる水平走査と垂直走査とが行われる。
図6には、水平走査駆動信号が上側のグラフ、垂直走査駆動信号が下側のグラフでそれぞれ表されている。それらグラフから明らかなように、本実施形態においては、水平走査駆動信号が垂直走査駆動信号より高い周波数を有している。垂直走査駆動信号の周波数は例えば、数百Hzに設定される。
ここで、図7および図8を参照することにより、光源部34の作動タイミング(強度変調)と、光走査ユニット20の作動タイミング(水平走査および垂直走査)との同期を詳細に説明する。
図7には、光源部34および光走査ユニット20が、信号処理回路120と共に、ブロック図で概念的に表されている。信号処理回路120は、映像信号に基づいて輝度信号を生成して光源部34に出力する輝度信号生成部150を備えている。
この信号処理回路120は、さらに、走査制御部152を備えている。その走査制御部152は、後に図19を参照して詳述するが、フレーム同期信号と水平走査同期信号と垂直同期信号とドットクロック信号とを生成する。この走査制御部152は、生成されたフレーム同期信号(フィールド同期信号を含む。)と水平同期信号とドットクロック信号とを輝度信号生成部150に供給する。
その輝度信号生成部150は、その走査制御部152からフレーム同期信号と水平走査信号とドットクロック信号とが供給されるタイミングに応答して、各色の輝度信号を光源部34に出力する。
走査制御部152は、後に図19を参照して詳述するが、図7に示すように、生成された水平走査同期信号を水平走査駆動回路100に供給し、垂直走査同期信号を垂直走査駆動回路110に供給する。
図7に示すように、水平走査検出回路102は、水平走査ミラー80の動作を反映する変位信号を走査制御部152に供給する。同様に、垂直走査検出回路112は、垂直走査ミラー90の動作を反映する変位信号を走査制御部152に供給する。
図8には、それらフレーム同期信号、垂直走査同期信号および水平走査同期信号がそれぞれタイミングチャートで表されている。
水平走査同期信号は、各走査線ごとに発生させられる。ここに、「走査線」という用語は、実在する(可視領域にある)有効走査線と、実在しない(不可視領域にある)無効走査線(画像表示領域外にあるために消去される走査線と、画像表示領域内にあるが帰線であるために消去される消去帰線とを含む。)とを含んでいる。水平走査同期信号は、画像の1フレーム当たりn個、順次発生させられる。nは、水平走査の1フレーム当たりの往復回数に等しい。
走査制御部152は、ある回の水平走査同期信号の発生時期から初期位相差時間Δtが経過した時期に、フレーム同期信号を発生させる。このフレーム同期信号は、画像の各フレームごとに、その開始時期に同期して発生させられる。
走査制御部152は、さらに、ある回の水平走査同期信号の発生時期から初期位相差時間Δtが経過した時期、すなわち、フレーム同期信号の発生時期と同じ時期に、n個の垂直走査同期信号における最初の垂直走査同期信号を発生させる。nは、垂直走査の1フレーム当たりの往復回数に等しい。
走査制御部152は、それら発生させられたフレーム同期信号と水平走査同期信号とを輝度信号生成部150に出力する。
本実施形態においては、輝度信号生成部150が、コンピュータ122のうち、後に詳述する画像表示プログラムを実行する部分によって構成されており、走査制御部152は、図19に示すように、中央制御部、すなわち、コンピュータ122のうち、後に詳述する走査制御プログラムを実行する部分と、電子回路との組合せによって構成されている。
次に、図4を参照することにより、前述の画像表示プログラムをさらに詳細に説明するが、まず、その画像表示プログラムにおいて採用される画像表示原理を説明する。
図9には、従来のインターレーススキャン方式に従って画像の1フレームが表示される様子が正面図(画面上の走査線の軌跡を示す図)で示されている。図9において、複数本の水平方向の実線は、奇数フィールドを構成する複数本の有効走査線を示しているのに対し、複数本の水平方向の破線は、偶数フィールドを構成する複数本の消去帰線を示している。その消去帰線は図示されていない。
この従来のインターレーススキャン方式によれば、1フレームが2フィールドに分けて走査されて形成される。そのため、水平走査周波数についての条件も垂直走査周波数についての条件も同じであると仮定して比較すると、1フレームを構成する有効走査線の数が、ノンインターレーススキャン方式を採用する場合より増加する。
このことは、有効走査線の数についての条件が同じであると仮定して比較すると、水平走査周波数がみかけ上低下して、垂直走査周波数がみかけ上上昇することを意味する。したがって、フィールド自体が1画面を形成し、フレーム周波数は下がっているものの、フィールド周波数(垂直同期周波数)は下がっていないため、フリッカが目立たずに済む。
本発明者は、1フレームを3以上のフィールドに分けて走査して形成することにより、垂直走査周波数をみかけ上さらに上昇させる画像表示手法を提案した。図10には、その提案された画像表示手法に従って画像が表示される様子が正面図で示されている。
図10(a)には、各フィールドにおいて、光束の走査面上において光束の可視走査点が水平走査方向に往復運動しつつ垂直走査方向に一方向運動することにより、左側から右側に向かう走査線(以下、「往き走査線」という。)と右側から左側に向かう走査線(以下、「戻り走査線」という。)とが、共に有効走査線として、交互に並んで形成される。
図9に示すように、従来のインターレーススキャン方式を採用する場合には、1フレームが2フィールドに分割され、一方のフィールドにおいて互いに隣接した2本の有効走査線が他方のフィールドにおける1本の有効走査線によって補間される。
これに対し、本発明者の提案に従い、1フレームを3以上のフィールドによって構成する場合には、各フィールドにおいて互いに隣接した2本の有効走査線が、残りの2以上のフィールドにおける2本以上の有効走査線によって補間される。このことは、各フィールドにおいて互いに隣接した2本の有効走査線間の隙間が、従来のインターレーススキャン方式を採用する場合より広くなり、画像の鮮明さ(解像度)が低下することを意味する。
そのような不都合を軽減するため、図10(a)に示すように、各フィールドにおいては、往き走査線のみならず戻り走査線も有効走査線として画像表示のために利用可能とされる。
図10(b)には、図10(a)に示すフィールドを3以上用いて成る1フレームの一例が示されている。この例においては、3以上のフィールド間において互いに対応する、それらフィールドの数と同数の有効走査線が垂直走査方向に互いに平行にずれている。したがって、この例を採用する場合には、従来のインターレーススキャン方式を採用する場合より、往き走査線と戻り走査線とが互いに非平行である傾向が強いにもかかわらず、1フレーム内において解像度にむらが発生することが抑制される。
さらに、図10(b)に示す例においては、いずれのフィールドにおいても、光束の走査面上において光束の可視走査点が水平走査方向に往復運動しつつ垂直走査方向に順方向、すなわち、上側から下側に向かって一方向運動する。すなわち、この例においては、水平走査のための走査点の往路も復路も画像表示に利用されるのに対し、垂直走査のための走査点の往路のみが画像表示に利用される。
図10(c)には、図10(a)に示すフィールドを3以上用いて成る1フレームの別の例が示されている。この例においては、奇数フィールドにおいては、走査面上において可視走査点が水平走査方向に往復運動しつつ垂直走査方向に順方向、すなわち、上側から下側に向かって一方向運動するのに対し、偶数フィールドにおいては、走査面上において可視走査点が水平走査方向に往復運動しつつ垂直走査方向に逆方向、すなわち、下側から上側に向かって一方向運動する。すなわち、この例においては、水平走査のための走査点の往路も復路も画像表示に利用されるうえに、垂直走査のための走査点の往路も復路も画像表示に利用される。
したがって、垂直走査周波数をみかけ上上昇させたい場合には、図10(c)に示す例を採用することが、図10(b)に示す例を採用するより望ましい。
しかし、図10(c)に示す例を採用する場合には、図10(b)に示す例を採用する場合と同様に、図において丸印で囲む領域内において、ある回のフィールドにおける戻り走査線が、別の回のフィールドにおける往き走査線と重なってしまう。一方、1フレーム内において、有効走査線が重なり合う領域においては、重なり合わない領域より、画像の輝度が増加する。そのため、それら例のいずれを採用しても、有効走査線の重なり合いに起因して輝度むらが発生してしまう可能性がある。
図11(a)には、そのような輝度むらを解消するために、往き走査線は有効走査線として発光するのに対し、戻り走査線すなわち帰線は消去されるように走査が行われる一例が示されている。この例においては、さらに、1フレームのうち往き走査線に平行な領域が画像表示領域(図において矩形の枠で示す領域)158とされ、その画像表示領域158の外側においては、往き走査線といえども消去される。
しかし、図11(a)に示す例を採用する場合には、画像表示領域158が水平線に対して傾斜してしまい、観察者が違和感を抱く可能性がある。
図11(b)には、RSD10のうち、画像表示に関与する光学系(例えば、水平走査部70および垂直走査部72)に特別な対策を講じることなく、図11(a)に示す例を採用した場合に画像表示領域158が水平線に対して傾斜する角度を見込んで、最終的な画像表示領域158が水平に延びるように、その光学系の傾きを予め調整した場合の一例が示されている。すなわち、この例は、光束の走査に関する前述の特別な信号処理と、その光学系の傾き調整との共同作用により、実現されるものなのである。RSD10は、観察者が、図11(b)に示す画像表示領域158内に画像を、従来のRSDに対して遜色ない感覚で観察することが可能であるように設計されている。
次に、図12および図13を参照することにより、水平走査部70と垂直走査部72とによって形成される走査点の軌跡を説明する。
本実施形態においては、走査点が、水平走査方向にも垂直走査方向にも、概して単振動させられるため、その走査点によって描かれる軌跡であるラスタは、厳密には、正弦波状を成すリサージュ図形である。
したがって、垂直走査角度θは、図12において式(1)で表されるように、垂直走査角度振幅(最大振れ角)Θを振幅とし、かつ、垂直走査の1フレーム当たりの往復回数nとフレーム周波数fとの積に2πを乗じた値を角速度とする三角関数で表現される。
また、水平走査角度θは、図12において式(2)で表されるように、水平走査角度振幅(最大振れ角)Θを振幅とし、水平走査の1フレーム当たりの往復回数nとフレーム周波数fとの積に2πを乗じた値を角速度とし、かつ、初期位相差時間Δtを初期位相とする三角関数で表現される。
一方、各フレームにおいて複数本の有効走査線を均一に分布させる(複数本の有効走査線が同じフレームにおいて複数のフィールド間で互いに重ならないようにする)ためには、図12に式(3)で表すように、往復回数nの値と往復回数nの値とが互いに素であり、かつ、初期位相差時間Δtが特定値であるようにすることが望ましい。
その特定値は、図12に式(3)(b)で表すように、任意の奇数の4分の1を、往復回数nと往復回数nとフレーム周波数fとの積で割り算した値である。この式(3)(b)において「n」は、任意の整数である。
図13には、往復回数nが3に等しく、かつ、往復回数nが7に等しい場合を例にとり、上記式(3)で表現される条件を満たす場合に水平走査部70と垂直走査部72とによって形成されるラスタが、実際には複数本の正弦波状の曲線で表現されるところ、アークサイン補正された、複数本の直線で近似的に表現されている。
ここで、図14ないし図18を参照することにより、RSD10によって画像が表示される原理をさらに詳細に説明する。
図14ないし図16には、RSD10により複数本の走査線が形成される様子が時間的に展開されて正面図で示されている。各図において実線は有効走査線を示し、破線は消去帰線(無効走査線)を示している。図14ないし図16に示す例においては、画像の1フレームが8フィールドに分かれて走査される。図14には第1フィールドが示され、図15には第1および第2フィールドが一緒に示され、図16には、第1ないし第8フィールド、すなわち、今回のフレームを構成する全フィールドが一緒に示されている。
図17には、図16に示す1フレームに対して設定される画像表示領域158が、RSD10のうち画像表示に関与する光学系(例えば、水平走査部70および垂直走査部72)の傾きを、従来のインターレーススキャン方式または従来のノンインターレーススキャン方式に適合するように設計した場合に、水平線に対して傾斜する様子が正面図で示されている。
図18には、図17に示す画像表示領域158が、RSD10のうち画像表示に関与する光学系(例えば、水平走査部70と垂直走査部72と)の傾き調整により、水平に延びる姿勢で示されている。さらに、図18には、図17に示す1フレーム中の複数本の走査線(有効走査線として可視化され得る走査線)のうち、画像表示領域158内に存在する部分のみが可視化され、その画像表示領域158の外側に存在する部分は消去される様子が示されている。RSD10は、観察者が、図18に示す画像表示領域158内において画像を観察することができるように設計されている。
以上、前述の画像表示プログラムにおいて採用される画像表示原理を説明したが、次に、図4を参照することにより、その画像表示プログラムを説明する。
この画像表示プログラムの実行がコンピュータ122によって開始されると、まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする。)において、水平走査部70と垂直走査部72との作動が開始され、それにより、水平走査と垂直走査とが互いに同期して実行される。その結果、Rレーザ22、Gレーザ24およびBレーザ26のうちの少なくとも一つからレーザビームが出射されることを条件に、網膜上14においてレーザビームの走査点(再生点)の軌跡が所望の画像をリサージュ図形として描画可能な状態となる。
次に、S2において、表示すべき映像を構成する一連の複数のフレームにそれぞれ付されるフレーム番号FRMの今回値が1にセットされる。続いて、S3において、走査制御部152から最新のフレーム同期信号が発生させられるのが待たれる。
その最新のフレーム同期信号が発生させられたならば、このS3の判定がYESとなり、S4において、外部から供給された映像信号に基づき、今回のフレームを表示するための画像データ(画像における各画素の輝度を表すデータであり、輝度信号に相当する。)が生成される。
その生成された1フレーム分の画像データは、フレームバッファ140に、各有効走査線ごとに区分されたラインデータとして、走査線番号SLに関連付けてストアされる。1フレーム分の画像データは、複数本の有効走査線にそれぞれ対応する複数のラインデータの集合として構成される。1フレームがn本の有効走査線によって構成される場合には、フレームバッファ140には、画像データがn行分、ストアされることになる。各ラインデータは、対応する有効走査線上に位置する複数の画素の輝度をそれぞれ表す複数の画素データの集合である。
図5に示す例においては、1フレーム分の画像データが、9個のラインデータの集合として構成され、それらラインデータが9個の走査線番号SL1ないし9にそれぞれ関連付けてフレームバッファ140にストアされる。
続いて、S5において、各フレームを構成する一連の複数のフィールドにそれぞれ付されるフィールド番号FLDの今回値が1にセットされる。
その後、S6において、今回のフィールド番号FLDが奇数であるか否かが判定される。奇数である場合には、その判定がYESとなり、S7において、今回の奇数フィールドを構成する各有効走査線に関連付けてフレームバッファ140にストアされているラインデータのうち、画像表示領域158内に存在する画素に対応するデータであるとしてそのフレームバッファ140から読み出すことが適当である読出領域が計算によって設定される。各有効走査線に対応するラインデータは、その有効走査線上に位置する複数の画素をそれぞれ表す複数の画素データによって構成される。
その読出領域は、例えば、各有効走査線に対応するラインデータのうちの読出開始位置(アドレス)と読出終了位置(アドレス)とを、各有効走査線のもとの傾斜角、すなわち、図17に示す各有効走査線の水平線に対する傾斜角と、画像表示領域158の位置およびサイズとに応じて特定することにより、設定される。
続いて、図4のS8において、フレームバッファ140の、その設定された読出領域内に存在する複数の画素データが、そのフレームバッファ140から、それら画素データが並んでストアされている順序と同じ方向、すなわち、今回の奇数フィールドにおいて各有効走査線が左側から右側へ進行するにつれてそれら画素データが再生される順序と同じ方向に読み出される。
本実施形態においては、そもそも、画像表示領域158の左上隅が走査開始点、右下隅が走査終了点にそれぞれ設定されているため、今回の奇数フィールドにおける各有効走査線の進行方向は、画像表示領域158が走査される順方向に等しい。
以上、今回のフィールド番号FLDが奇数である場合を説明したが、偶数である場合には、S6の判定がNOとなり、S9に移行する。
このS9においては、S7に準じて、今回の偶数フィールドを構成する各有効走査線に関連付けてフレームバッファ140に格納されているラインデータのうち、画像表示領域158内に存在する画素に対応するデータであるとしてそのフレームバッファ140から読み出すことが適当である読出領域が計算によって設定される。
続いて、S10において、フレームバッファ140の、その設定された読出領域内に存在する複数の画素データが、そのフレームバッファ140から、それら画素データが並んでストアされている順序とは逆方向、すなわち、今回の偶数フィールドにおいて各有効走査線が右側から左側へ進行するにつれてそれら画素データが再生される順序と同じ方向に読み出される。
前述のように、本実施形態においては、そもそも、画像表示領域158の左上隅が走査開始点、右下隅が走査終了点にそれぞれ設定されているため、今回の偶数フィールドにおける各有効走査線の進行方向は、画像表示領域158が走査される逆方向に等しい。
本実施形態においては、表示すべき画像を表す画像データが、その画像において一列に並んだ複数個の画素の輝度をそれぞれ表す複数の画素データ(または輝度データ)として構成されている。それら複数の画素データに基づき、光源部34によって順次処理される輝度信号が生成される。
それら複数の画素データは、奇数フィールドにおいて各有効走査線が順方向に走査される期間(一方向走査期間)において有効走査線を形成するために光源部34によって処理される第1の輝度データ群と、偶数フィールドにおいて各有効走査線が逆方向に走査される期間(逆方向走査期間)において有効走査線を形成するために光源部34によって処理される第2の輝度データ群とを含んでいる。
図5に示す例においては、走査線番号SLが1であるラインデータが、第1の輝度データ群に相当し、走査線番号SLが2であるラインデータが、第2の輝度データ群に相当する。
今回のフィールドが奇数フィールドである場合にも偶数フィールドである場合にも、その後、S11において、走査線番号SLの今回値が1にセットされる。続いて、S12において、走査制御部152から最新の水平走査同期信号が発生させられるのが待たれる。
その最新の水平走査同期信号が発生させられると、S12の判定がYESとなり、S13において、S8またはS10において読み出された画像データに対応する走査線番号が、走査線番号SLの今回値に一致するか否かが判定される。
走査線番号が走査線番号SLの今回値に一致する場合には、そのS13の判定がYESとなり、S14において、S8またはS10において読み出された画像データが、各色ごとに、輝度信号に変換されて、各ドライバ28,30,32に転送される。
それに応答し、各レーザ22,24,26は、各画素ごとに、対応する輝度信号に応じた輝度(強度)を有するように、各色のレーザビームを出射する。その出射した各色のレーザビームは、合成レーザビームとして水平走査部70と垂直走査部72とに入射する。
その結果、図14ないし図18に示す例においては、図16に示すように、今回のフィールドが奇数フィールド(第1、第3、第5または第7フィールド)である場合には、今回の奇数フィールドにおける各有効走査線(往き走査線のみ)が上側から下側に向かって順方向にレーザビームによって形成されることにより、今回の奇数フィールドが表示される。
これに対し、今回のフィールドが偶数フィールド(第2、第4、第6または第8フィールド)である場合には、図16に示すように、今回の偶数フィールドにおける各有効走査線(往き走査線のみ)が下側から上側に向かって逆方向にレーザビームによって形成されることにより、今回の偶数フィールドが表示される。
その後、図4のS15において、走査線番号SLの今回値が最大値SLmax以上であるか否かが判定される。その最大値SLmaxは、今回のフィールドに属する有効走査線の数に等しい。今回は、走査線番号SLの今回値が最大値SLmax以上ではないと仮定すれば、その判定がNOとなり、S16において、走査線番号SLの今回値が1だけインクリメントされた後、S12に戻る。
それらS12ないしS16の実行が必要回数繰り返された結果、S15の判定がYESとなれば、S17において、フィールド番号FLDの今回値が最大値FLDmax以上であるか否かが判定される。その最大値FLDmaxは、今回のフレームに属するフィールドの数に等しい。
今回は、フィールド番号FLDの今回値が最大値FLDmax以上ではないと仮定すれば、そのS17の判定がNOとなり、S18において、フィールド番号FLDの今回値が1だけインクリメントされた後、S6に戻る。
それらS6ないしS18の実行が必要回数繰り返された結果、S17の判定がYESとなれば、S19において、フレーム番号FRMの今回値が最大値FRMmax以上であるか否かが判定される。その最大値FRMmaxは、今回の映像に属するフレームの数に等しい。
今回は、フレーム番号FRMの今回値が最大値FRMmax以上ではないと仮定すれば、そのS19の判定がNOとなり、S20において、フレーム番号FRMの今回値が1だけインクリメントされた後、S3に戻る。
それらS3ないしS20の実行が必要回数繰り返された結果、S19の判定がYESとなれば、以上で、この画像表示プログラムの一回の実行が終了する。
次に、図12および図13ならびに図19ないし図23を参照することにより、水平走査部70および垂直走査部72をそれぞれ駆動するために採用される原理を説明する。
図19には、走査制御部152の構成がブロック図で概念的に表されている。この走査制御部152は、コンピュータ122によって構成される中央制御部170と、複数の電子回路によって構成される電子回路部172とを含んでいる。
その電子回路部172は、水平走査ミラー80の作動状態を表す状態信号を生成する状態信号生成回路180と、垂直走査ミラー90の作動状態を表す状態信号を生成する状態信号生成回路182とを備えている。この電子回路部172は、さらに、前述の水平走査同期信号、フレーム同期信号および垂直走査同期信号と、ドットクロック信号とを、互いに時間的に関連付けて、それぞれの周波数が調整された状態で生成する同期信号生成回路184を備えている。
水平走査のための状態信号生成回路180は、水平走査駆動回路100と、水平走査検出回路102と、中央制御部170と、同期信号生成回路184とに接続されている。
水平走査駆動回路100は、同期信号生成回路184から入力された水平走査同期信号と、中央制御部170から入力された水平走査振幅指令信号であって水平走査ミラー80の振幅(最大振れ幅)を指令する信号とに基づき、水平走査ミラー80を回転振動させるために、正弦波状の駆動信号(駆動電圧信号)を生成して駆動源88(例えば、圧電素子)に供給する。
水平走査ミラー80の定常状態においては、水平走査ミラー80の振動周波数は、駆動信号の周波数に等しく、その駆動信号の周波数は、水平走査同期信号の周波数に等しい。さらに、水平走査ミラー80の変位位相は、駆動信号の位相に等しく、その駆動信号の位相は、水平走査同期信号の位相に等しい。さらに、水平走査ミラー80の振幅は、駆動信号の振幅に依存し、その駆動信号の振幅は、水平走査振幅指令信号に依存する。
図20には、水平走査同期信号と、水平走査ミラー80の駆動信号とがそれぞれ、互いに時間的に関連付けられて、グラフで表されている。
水平走査検出回路102は、水平走査ミラー80の変位の時間変動を表す信号を変位信号として検出する。その変位信号は、水平走査ミラー80の偏向角に比例する。
図20には、水平走査ミラー80の駆動信号と変位信号とがそれぞれ、互いに時間的に関連付けられて、グラフで表されている。それら駆動信号と変位信号とは、水平走査ミラー80の理想的な共振状態において、90度の位相差を有する。
図19に示すように、状態信号生成回路180は、水平走査駆動回路100から出力された駆動信号と、水平走査検出回路102から出力された変位信号と、同期信号生成回路184から出力されたドットクロック信号およびフレーム同期信号とを受信する。
この状態信号生成回路180は、ドットクロック信号に同期して、水平走査ミラー80の変位信号の振幅を表すデジタルな変位振幅信号と、水平走査ミラー80の変位信号の、駆動信号に対する位相を表すデジタルな変位位相信号(対駆動信号)と、水平走査ミラー80の変位信号の、フレーム同期信号に対する位相を表すデジタルな変位位相信号(対フレーム同期信号)とを生成して中央制御部170に供給する。
具体的には、この状態信号生成回路180は、水平走査ミラー80の変位信号のピーク点を検出し、その検出されたピーク点の信号レベルをA/D変換することにより、変位振幅信号を生成する。
この状態信号生成回路180は、駆動信号のゼロクロス点から変位信号のゼロクロス点までの時間の長さを、後述のマスタクロック信号の周期を単位として、検出し、その検出された時間の長さを表す信号として変位位相信号(対駆動信号)を生成する。
この状態信号生成回路180は、フレーム同期信号の立ち上がり点から、その立ち上がり点から最初に変位信号に現れるゼロクロス点までの時間の長さを、マスタクロック信号の周期を単位として、検出し、その検出された時間の長さを表す信号として変位位相信号(対フレーム同期信号)を生成する。
図20には、水平走査ミラー80の駆動信号と変位信号とフレーム同期信号とがそれぞれ、互いに時間的に関連付けられて、グラフで表されている。
図19に示すように、中央制御部170は、状態信号生成回路180から供給された各種信号に基づき、水平走査振幅指令信号を生成して水平走査駆動回路100に供給するとともに、後に詳述するように、同期信号生成回路184に各種の指令信号を供給する。
垂直走査のための状態信号生成回路182は、水平走査のための状態信号生成回路180と同様に、垂直走査駆動回路110と、垂直走査検出回路112と、中央制御部170と、同期信号生成回路184とに接続されている。
垂直走査駆動回路110は、水平走査駆動回路100と同様に、同期信号生成回路184から入力された垂直走査同期信号と、中央制御部170から入力された垂直走査振幅指令信号であって垂直走査ミラー90の振幅(最大振れ幅)を指令する信号とに基づき、垂直走査ミラー90を回転振動させるために、正弦波状の駆動信号(駆動電圧信号)を生成して駆動源92(例えば、圧電素子)に供給する。
垂直走査ミラー90の定常状態においては、垂直走査ミラー90の振動周波数は、駆動信号の周波数に等しく、その駆動信号の周波数は、垂直走査同期信号の周波数に等しい。さらに、垂直走査ミラー90の変位位相は、駆動信号の位相に等しく、その駆動信号の位相は、垂直走査同期信号の位相に等しい。さらに、垂直走査ミラー90の振幅は、駆動信号の振幅に依存し、その駆動信号の振幅は、垂直走査振幅指令信号に依存する。
図20には、垂直走査同期信号と、垂直走査ミラー90の駆動信号とがそれぞれ、互いに時間的に関連付けられて、グラフで表されている。
垂直走査検出回路112は、垂直走査ミラー90の変位の時間変動を表す信号を変位信号として検出する。その変位信号は、垂直走査ミラー90の偏向角に比例する。
図19に示すように、状態信号生成回路182は、垂直走査検出回路112から出力された変位信号と、同期信号生成回路184から出力されたドットクロック信号およびフレーム同期信号とを受信する。
この状態信号生成回路182は、ドットクロック信号に同期して、垂直走査ミラー90の変位信号の振幅を表すデジタルな変位振幅信号と、垂直走査ミラー90の変位信号の、フレーム同期信号に対する位相を表すデジタルな変位位相信号(対フレーム同期信号)とを生成して中央制御部170に供給する。
具体的には、この状態信号生成回路182は、状態信号生成回路180と同様に、垂直走査ミラー90の変位信号のピーク点を検出し、その検出されたピーク点の信号レベルをA/D変換することにより、変位振幅信号を生成する。
この状態信号生成回路182は、状態信号生成回路180と同様に、フレーム同期信号の立ち上がり点から、その立ち上がり点から最初に変位信号に現れるゼロクロス点までの時間の長さを、マスタクロックの周期を単位として、検出し、その検出された時間の長さを表す信号として変位位相信号(対フレーム同期信号)を生成する。
図20には、垂直走査ミラー90の駆動信号とフレーム同期信号とがそれぞれ、互いに時間的に関連付けられて、グラフで表されている。
中央制御部170は、状態信号生成回路182から供給された各種信号に基づき、垂直走査振幅指令信号を生成して垂直走査駆動回路110に供給するとともに、後に詳述するように、同期信号生成回路184に各種の指令信号を供給する。
図19に示すように、水平走査のため状態信号生成回路180には駆動信号が供給されて、その状態信号生成回路180において、変位信号に対する駆動信号の位相差が検出されるようになっている。これは、後に詳述するように、水平走査ミラー80の実際の振動周波数を、実際の共振周波数に追従するようにトラッキング制御するためである。
これに対し、垂直走査のための状態信号生成回路182には、駆動信号が供給されないし、その状態信号生成回路182において、変位信号に対する駆動信号の位相差が検出されない。これは、後に詳述するように、垂直走査ミラー90については、水平走査ミラー80とは異なり、周波数トラッキング制御が行われないからである。
図20に示すように、水平走査同期信号は、水平走査周期Tで立ち上がるように変化する。垂直走査同期信号は、垂直走査周期Tで立ち上がるように変化する。それら水平走査同期信号と垂直走査同期信号との位相差が、前述の初期位相差時間Δtである。フレーム同期信号は、フレーム周期Tで立ち上がるように変化する。
前述の説明から明らかなように、本実施形態においては、各画素ごとに輝度信号に応じて強度変調されたレーザビームのスポットが、水平走査部70による水平走査と垂直走査部72による垂直走査との共同作用により、網膜16上を走査される。
その走査によって網膜16上に描かれる軌跡は、それが正規である限り、その軌跡を定義するサインカーブに対してアークサイン補正を施すと、例えば図13に示すように、複数本の走査線が等間隔で並ぶように表現される。すなわち、正規の走査軌跡においては、走査線間隔が均一となるのである。
図13には、水平走査往復回数nが7、垂直走査往復回数nが3である場合に網膜16上に描かれる正規の走査軌跡の一例が、アークサイン補正が行われた状態で、グラフで表されている。これに対し、図21には、水平走査往復回数nが11、垂直走査往復回数nが3である場合に網膜16上に描かれる正規の走査軌跡の一例が、アークサイン補正が行われない状態で、グラフで表されている。
図21のグラフにおいては、横軸に水平走査角度(水平走査ミラー80の偏向角)θが、水平走査角度振幅Θに対する倍率で表され、一方、縦軸に垂直走査角度(垂直走査ミラー90の偏向角)θが、垂直走査角度振幅Θに対する倍率で表されている。
その走査軌跡が正規であるためには、水平走査往復回数nと垂直走査往復回数nとについては、図12に式(3)(a)で表される条件が成立し、かつ、初期位相差時間Δtについては、図12に式(3)(b)で表される関係が成立することが必要である。
初期位相差時間Δtは、水平走査同期信号と垂直走査同期信号との関係に着目して説明すれば、図20に示すように、水平走査同期信号と垂直走査同期信号との位相差を意味する。
したがって、この初期位相差時間Δtは、垂直走査同期信号を基準にすれば、その垂直走査同期信号に対する水平走査同期信号の進み時間(垂直走査角度θの時間変動に対する水平走査角度θの時間変動の位相進みに相当する。)を意味し、逆に、水平走査同期信号を基準にすれば、その水平走査同期信号に対する垂直走査同期信号の遅れ時間(水平走査角度θの時間変動に対する垂直走査角度θの時間変動の位相遅れに相当する。)を意味する。
この初期位相差時間Δtは、実際の走査軌跡が正規であるようにするために精度よく管理することが重要な物理量である。この初期位相差時間Δtの実際値が理想値から限度を超えて外れてしまうと、走査線間隔が不均一となって、画質が低下する。具体的には、走査軌跡において、走査線間の間隔が、垂直走査方向に、走査線1本ごとに、狭い間隔と広い間隔とに交互に変化するようになってしまう。
初期位相差時間Δtの実際値の理想値からの誤差εが増加して1/(4n・n・f)に達すると、正規の走査軌跡において互いに隣接する2本の走査線が重なり合ってしまうことになる。
したがって、それら互いに隣接する2本の走査線が重なり合わない限り、実際の走査軌跡が正規であると定義すれば、初期位相差時間Δtの誤差εの許容値εalwの最大値εmaxは、図22において式(11)で表される。
しかし、初期位相差時間Δtの誤差εが0に近いほど、実際の走査軌跡が最も理想的な走査軌跡に近づく。したがって、本実施形態においては,初期位相差時間Δtの誤差εの許容値εalwが、1より大きい係数γを用いて、図22において式(12)で表される。
係数γは、例えば、10以下の数値であることが望ましく、また、8以下の数値であることがさらに望ましく、また、6以下の数値であることがさらに望ましい。
正規の走査軌跡を保証するために、レーザビームのスポットの、水平方向における往復運動(水平走査角度θの時間変動)と、垂直方向における往復運動(垂直走査角度θの時間変動)との間の相対位相を正確に調整することが重要である。よって、その相対位相が十分に精度よく管理され、それにより、水平走査部70による水平走査と垂直走査部72による垂直走査とが十分に精度よく同期するように、走査制御部152を設計することが重要となる。
走査制御部152によって達成すべき精度のレベルを、フレーム周波数f(=1/T)が60Hzであり、1フレーム中の走査線の数が1,000本であり、水平走査往復回数nが1,000であり、垂直走査往復回数nが11である場合を例にとり、具体的に説明する。
この具体例においては、水平走査周波数fが60kHzとなり、垂直走査周波数fが660Hzとなる。さらに、上述のいくつかの数値を図12の式(3)(b)に代入し、かつ、その式における任意の整数nを0とすると、垂直走査周期Tを用いて、図22の式(13)が誘導される。
この式(13)において、「Δt/T」は、垂直走査遅れ時間比率を意味し、上記の具体例においては、その垂直走査遅れ時間比率の理想値が「1/4,000」である。この垂直走査遅れ時間比率は、図22の式(14)のように、角度[deg]に換算することができる。
したがって、この具体例においては、垂直走査遅れ時間比率から換算された角度の理想値が0.09degである。
この具体例においては、水平走査進み時間比率、すなわち、Δt/Tの理想値は「1/44」となり、また、水平走査進み時間比率から換算された角度の理想値は約8degとなる。
このように、垂直走査遅れ時間比率から換算された角度の理想値は、水平走査進み時間比率から換算された角度の理想値より非常に小さい。このような両理想値間の関係は、他の一般的な走査装置においても成立する。したがって、垂直走査遅れ時間比率から換算された角度の実際値が理想値に一致するために垂直走査に要求される精度の方が、水平走査進み時間比率から換算された角度の実際値が理想値に一致するために水平走査に要求される精度より高い。
一方、垂直走査遅れ時間比率から換算された角度は、垂直走査同期信号の周波数に比例し、同様に、水平走査進み時間比率から換算された角度も、水平走査同期信号の周波数に比例する。したがって、垂直走査同期信号に要求される精度の方が、水平走査同期信号に要求される精度より高い。また、一般に、同じシステムである限り、垂直走査同期信号の周波数および位相も、水平走査同期信号の周波数および位相も、互いに等しい相対精度で制御される。
したがって、本実施形態においては、実際の走査軌跡が正規であるために、光走査ユニット20が、垂直走査同期信号の周波数および位相を、その要求精度を満たす精度で制御するように設計されている。
前述のように、走査軌跡において互いに隣接する2本の走査線が重なり合わない限り、実際の走査軌跡が正規であると定義する場合には、垂直走査遅れ時間比率の理想値は、その垂直走査遅れ時間比率の実際値の、理想値からの隔たり、すなわち、誤差Eの許容値Ealwの最大値Emaxに等しい。また、その許容値Ealwは、前述の係数γを用いることにより、図22において式(15)で記述される。
前述の説明から明らかなように、本実施形態においては、水平走査部70も垂直走査部72も機械的共振系として構成されており、水平走査部70は、理想的には、水平走査ミラー80の実際の振動周波数が実際の共振周波数に一致する状態で作動させられる。同様に、垂直走査部72は、理想的には、垂直走査ミラー90の実際の振動周波数が実際の共振周波数に一致する状態で作動させられる。
水平走査ミラー80についても垂直走査ミラー90についても、共振周波数が、それぞれのミラー80,90の機械的性質に依存している。その機械的性質は製造ばらつき、作動環境(例えば、環境温度、環境湿度)、経年変化(例えば、劣化)等によって変化する。そのため、共振周波数は変動する。
したがって、そのような依存性にもかかわらずそれら水平走査ミラー80および垂直走査ミラー90を共振状態に維持するために、それらミラー80,90の振動周波数を実際の共振周波数に追従させること、すなわち、周波数トラッキングが必要である。
一方、実際の走査軌跡が正規であるためには、前述のように、水平走査周波数と垂直走査周波数との比が互いに素な整数の比n:nとして表されるという条件が成立しなければならない。
しかしながら、この条件を常に満たしつつ、水平走査ミラー80と垂直走査ミラー90との双方につき、周波数トラッキングを、時間的に互いに並行し、かつ、内容的に互いに独立するように行うことは事実上不可能である。
一方、本実施形態においては、水平走査部70において垂直走査部72におけるより大きな共振エネルギーを発生させるべく、水平走査部70のQ値Qの方が、垂直走査部72のQ値Qより大きく設定されている。Q値の一例は、約1000であり、Q値の一例は、約100である。
一般に、機械的共振系のQ値は、共振の強さを表す値である。Q値は、周波数ωのもとにエネルギーWで共振が起こったときに、ジュール熱等で単位時間に失うエネルギーをSで表記すると、図22の式(16)で定義される。
さらに、一般に、機械的共振系のQ値が大きいほど、実際の振動周波数の実際の共振周波数からの偏倚に対して敏感に共振エネルギーが低下する。一方、共振エネルギーが低下すると、機械的共振系の振動振幅が減少し、それにより、レーザビームの走査角度範囲(走査中におけるレーザビームの最大振れ幅)が減少する。
したがって、本実施形態においては、水平走査部70のみが、水平走査ミラー80の実際の走査周波数が実際の共振周波数に追従するように、トラッキング制御される。
各回のトラッキング制御においては、水平走査同期信号の周波数fがほぼ瞬間的に離散的に(ステップ的に)刻み幅Δfで変更されることが、水平走査部70の駆動信号と変位信号との位相差が正規値に回復するまで、すなわち、水平走査ミラー90の振動状態が共振状態に回復するまで、反復される。
各回のトラッキング制御においては、水平走査同期信号の周波数fが変更されると、それに伴って垂直走査同期信号の周波数fも変更される。なぜなら、前述のように、実際の走査軌跡を正規であることを維持するために、水平走査周波数fと垂直走査周波数fとが互いに素な整数比n:nとして表されるという関係が成立しなければならないからである。
さらに、本実施形態においては、トラッキング制御中、水平走査同期信号の位相も垂直走査同期信号の位相も、前述の初期位相差時間Δtが実現し続けられるように、修正される。
しかしながら、現実には、水平走査部70においては、水平走査ミラー80の実際の振動周波数が、水平走査同期信号の周波数(周波数の指令値)fの瞬間的変更に対して敏感に追従するのに対し、垂直走査部72においては、垂直走査ミラー90の実際の振動周波数が、垂直走査同期信号の周波数(周波数の指令値)fの瞬間的変更に対してそれほど敏感には追従しない。このことは、振動の位相についても同様である。
そのため、各回のトラッキング制御においては、水平走査同期信号の周波数fが一度変更されると、水平走査ミラー80の実際の振動周波数と垂直走査ミラー90の実際の振動周波数とが、互いに素であるという条件や、水平走査ミラー80の偏向角の時間変動と垂直走査ミラー90の偏向角の時間変動との位相差時間(以下、「走査位相差時間Δt」という。)の実際値が、初期位相差時間Δtの理想値に一致するという条件が成立しない期間が過渡的に発生する。
そのため、各回のトラッキング制御においては、水平走査同期信号の周波数fが一度変更されると、実際の走査軌跡が最も理想的な走査軌跡に一時的に一致しなくなり、このことは、走査位相差時間Δtの過渡的変動を招来する。
各回のトラッキング制御においては、走査位相差時間Δtの過渡的変動を完全には避け得ないとしても、その過渡的変動に起因する実際の走査軌跡の悪化の程度が観察者が容易に気づく程度を超えない限り、その過渡的変動を許容してもみかけ上の支障はない。
したがって、本実施形態においては、刻み幅Δfが、走査位相差時間Δtに過渡的に発生する誤差εが、前述の許容値εalwを超えないように設定されている。
一般に、機械的共振系である走査ミラーの駆動源に印加される駆動電圧が一定である状態で、走査ミラーの実際の振動周波数が実際の共振周波数frからΔf変化すると、駆動源に供給される駆動信号と、走査ミラーの動作を反映する変位信号との間に、位相変化Δφ[rad]が発生する。
その位相変化Δφは、一般に、共振周波数frの近傍においては、図22において式(17)で定義される。
その位相変化Δφの発生にもかかわらず、実際の走査軌跡が正規であるためには、前述の説明から明らかなように、垂直走査についての位相変化Δφが、前述の垂直走査遅れ時間比率が換算された角度[rad]を超えず、かつ、水平走査についての位相変化Δφが、前述の水平走査進み時間比率が換算された角度[rad]を超えないことが必要である。このことは図22において式(18)で記述される。
この式(18)における「Δt」は、前述の説明から明らかなように、図22において式(19)で記述される。
したがって、式(18)は、式(17)をも用いることにより、図22の式(20)および式(21)に変換される。ただし、式(17)を用いるに当たり、位相変化Δφの大きさは考慮されるが、その符号は無視される。
本実施形態においては、トラッキング制御中、水平走査同期信号の周波数を離散的に変更する刻み幅Δfが、式(20)を満たすように設定され、また、垂直走査同期信号の周波数を離散的に変更する刻み幅Δfが、式(21)を満たすように設定されている。
前述のように、本実施形態においては、図19を参照して後に詳述するように、同期信号処理部152が、コンピュータ122と複数の電子回路との組合せによってデジタル的に同期信号を処理するように設計されている。これに対し、従来の同期信号処理部は、PLLを基本構成要素としてアナログ的に同期信号を処理する。
したがって、本実施形態によれば、水平走査同期信号の周波数を小さな刻み幅Δfで離散的に精度よく変更するとともに、垂直走査同期信号の周波数を小さな刻み幅Δfで離散的に変更することを、従来の同期信号処理部より容易に実現することが可能である。
ここで、図19を参照することにより、本実施形態における同期信号生成回路184を詳細に説明する。
この同期信号生成回路184は、マスタクロック信号をマスタクロック周波数fmstで生成するマスタ発振器190と、そのマスタ発振器190から出力されたマスタクロック信号を分周数nで分周し(マスタクロック信号の周波数を分周数nで割り算し)、それにより、ドットクロック信号をドットクロック周波数fで生成する分周器192とを備えている。
フレーム周波数fが60Hz、水平走査往復回数nが1,000、垂直走査往復回数nが11、1本の走査線中のドット数Nが1,000である具体例においては、ドットクロック周波数fは、2f・n・N=120MHzとなる。
本実施形態においては、f=fmst/4なる式で表される関係が成立するように、分周器192が作動させられる。この分周器においては、分周数nが4である。したがって、この具体例においては、マスタクロック周波数fmstが480MHzとなる。
図19に示すように、同期信号生成回路184は、さらに、PLL方式のクロック供給部194を備えている。このクロック供給部194は、分周器196と、分周器198と、位相比較器およびフィルタ(例えば、ループフィルタ)を含む誤差電圧信号生成回路200と、電圧制御発振器VCO204と、分周器206とを含むように構成されている。
このクロック供給部194には、マスタ発振器190から出力されたマスタクロック信号が、それの周波数が分周器196によって可変の分周数n01で分周された後、基準信号として、供給される。その基準信号は、後述の発振信号と、誤差電圧信号生成回路200の位相比較器において比較され、それら基準信号と発振信号との周波数差(クロック誤差)を表すアナログな誤差電圧信号が誤差電圧信号生成回路200のフィルタによって平滑化される。
その平滑化された誤差電圧信号は、電圧制御発振器VCO204にアナログな制御信号として供給される。その電圧制御発振器VCO204は、その供給された制御信号に基づいてデジタルな発振信号を生成する。
本実施形態においては、同期信号生成回路184を構成する複数の電子回路が、誤差電圧信号生成回路200と電圧制御発振器VCO204とを除き、デジタル回路として構成されている。それにより、主走査周波数および副走査周波数の離散的変更に起因する走査位相差時間Δtの過渡的変動の量(誤差)が許容値εalwを超えないことが保証されている。
その生成された発振信号は、それの周波数が分周器206によって分周数nHVで分周された後、このクロック供給部194から出力される。その出力された発振信号は、それの周波数が分周器198によって分周数n02で分周された後、誤差電圧信号生成回路200の位相比較器に入力される。
このクロック供給部194においては、分周器206の出力信号の周波数をfHVで表記すると、図23において式(31)および(32)で表される関係が成立する。
上記の具体例については、分周数n01が4800000、分周数n02が6600、分周数nHVが100である。
図19に示すように、分周器196は中央制御部170に接続されている。この分周器196は、中央制御部170から入力される指令信号に従い、分周数n01を1ずつ離散的に変更するように設計されている。
すなわち、この分周器196は、それの分周数n01がデジタル的に微細に変更されるようになっているのである。分周数n01の離散的変更に伴い、分周器206の出力信号の周波数fHVが、瞬間的にかつ離散的に変化する。
図19に示すように、同期信号生成回路184は、さらに、分周器206の出力信号の周波数を分周数nで分周する分周器210と、その分周器210の出力信号を可変の遅延時間で遅延させる遅延回路212とを備えている。
その遅延回路212には、分周器210の出力信号と共に、マスタ発振器190の出力信号が入力される。この遅延回路212は、デジタル回路として構成されており、よく知られているように、マスタ発振器190から入力されるマスタクロックパルスの数をカウントすることにより、分周器210の出力信号を入力して出力するまでの遅延時間Δtの長さを制御する。
この遅延回路212は、中央制御部170から入力される指令信号に従い、マスタクロックパルスの目標カウント数を変更することにより、遅延時間Δtの長さを変更するように設計されている。
すなわち、この遅延回路212は、それの遅延時間Δtの長さがデジタル的に微細に変更されるようになっているのである。この遅延回路212の出力信号は、水平走査同期信号として、水平走査駆動回路100に供給される。
図19に示すように、同期信号生成回路184は、さらに、分周器206の出力信号の周波数を分周数nで分周する分周器216と、その分周器216の出力信号を可変の遅延時間で遅延させる遅延回路218とを備えている。
その遅延回路218には、分周器216の出力信号と共に、マスタ発振器190の出力信号が入力される。この遅延回路218は、遅延回路212と同様に、デジタル回路として構成されており、マスタ発振器190から入力されるマスタクロックパルスの数をカウントすることにより、分周器210の出力信号を入力して出力するまでの遅延時間Δtの長さを制御する。
この遅延回路218は、遅延回路212と同様に、中央制御部170から入力される指令信号に従い、マスタクロックパルスの目標カウント数を変更することにより、遅延時間Δtの長さを変更するように設計されている。
すなわち、この遅延回路218は、それの遅延時間Δtの長さがデジタル的に微細に変更されるようになっているのである。この遅延回路218の出力信号は、垂直走査同期信号として、垂直走査駆動回路102に供給される。
このように、本実施形態においては、分周器206に分周器210と分周器216とが互いに並列に接続され、それら分周器210および216は、同じ周波数を有する信号をそれぞれの分周数nおよびnで分周する。
それら分周数nおよびnは、水平走査同期信号の周波数と垂直走査同期信号の周波数とが互いに素である整数比、すなわち、n:n(上述の具体例においては、1000:11)として表されるように設定されている。
したがって、本実施形態においては、水平走査同期信号の周波数を変化させるべく分周器196の分周数n01が変更されても、過渡的な期間を除けば、水平走査同期信号の周波数と垂直走査同期信号の周波数とが互いに素である関係が維持される。
図19に示すように、同期信号生成回路184は、さらに、分周器216の出力信号の周波数を分周数n(上述の具体例においては、11)で分周する分周器220を備えている。その分周器200の出力信号は、フレーム走査同期信号として、状態信号生成回路180および182に供給される。
本実施形態においては、水平走査同期信号の位相が遅延回路212によって調整されることと、垂直走査同期信号の位相が遅延回路218によって調整されることとの共同作用により、走査位相差時間Δtが精度よく管理される。
図24には、中央制御部170において実行される前述の走査制御プログラムが概念的にフローチャートで表されている。
この走査制御プログラムは繰り返し実行される。各回の実行時には、まず、S101において、状態信号生成回路180から、水平走査ミラー80の変位振幅信号と、変位位相信号(対駆動信号)と、変位位相信号(対フレーム同期信号)とが読み込まれる。
次に、S102において、その読み込まれた変位位相信号(対駆動信号)によって表される変位位相が目標値に等しいか否かが判定される。今回は、その変位位相(対駆動信号)が目標値に等しいと仮定すれば、その判定がYESとなり、S103に移行する。
これに対し、今回は、その変位位相(対駆動信号)が目標値に等しくはないと仮定すると、S102の判定がNOとなる。その後、S108において、分周数n01を1だけ変更するために指令信号が分周器196に出力される。このS108とS102との実行は、分周数n01を1だけ変更することが繰り返されることにより、変位位相(対駆動信号)が目標値に等しくなるまで、繰り返される。
本実施形態においては、分周数n01の最適値が探索的に決定される。具体的には、例えば、図22において式(17)で表される関係に着目し、変位位相(対駆動信号)が目標値に対して偏倚している方向が増加と減少とのいずれかとして決定され、その決定された偏倚方向に応じ、分周数n01の変更方向が増加と減少とのいずれかに決定される。さらに具体的には、変位位相(対駆動信号)が目標値(例えば、90度)より小さい場合には、水平走査周波数を増加させるべく、分周数n01が1だけ減じられる。
それらS102およびS108の反復的実行により、分周数n01がそれの初期値から1ずつ変更されるごとに、変位位相(対駆動信号)が目標値に等しいか否かが判定される。
本実施形態においては、分周数n01が1だけ変更されると、それに伴って水平走査同期信号の周波数fが刻み幅Δfだけ変化する。その刻み幅Δf、すなわち、最小の離散的変化量が、図22において式(20)で示す条件を満たすように、水平走査部70および同期信号生成回路184が設計されている。その刻み幅Δfは、例えば、10−6以下の値を取る。
本実施形態においては、分周数n01が1だけ変更されると、さらに、それに伴って垂直走査同期信号の周波数fも刻み幅Δfだけ変化する。その刻み幅Δf、すなわち、最小の離散的変化量が、図22において式(21)で示す条件を満たすように、垂直走査部72および同期信号生成回路184が設計されている。その刻み幅Δfは、例えば、10−6以下の値を取る。
いずれの場合にも、S102の判定がYESとなると、S103において、前記読み込まれた変位振幅信号によって表される変位振幅が目標値に等しいか否かが判定される。今回は、その変位振幅が目標値に等しいと仮定すれば、その判定がYESとなり、S104に移行する。
これに対し、今回は、その変位振幅が目標値に等しくはないと仮定すれば、S103の判定がNOとなる。その後、S109において、その変位振幅が目標値から外れている向きおよび量に基づき、水平走査振幅指令信号が固定のまたは可変の設定量で変更され、その変更された水平走査振幅指令信号が水平走査駆動回路100に出力される。このS109の実行は、S103の判定がYESとなるまで、繰り返される。
いずれの場合にも、S103の判定がYESとなると、S104において、前記読み込まれた変位位相信号(対フレーム同期信号)によって表される変位位相が目標値に等しいか否かが判定される。今回は、その変位位相(対フレーム同期信号)が目標値に等しいと仮定すれば、その判定がYESとなり、S105に移行する。
これに対し、今回は、その変位位相(対フレーム同期信号)が目標値に等しくはないと仮定すれば、S104の判定がNOとなる。その後、S110において、その変位位相が目標値から外れている向きおよび量に基づき、水平走査同期信号の遅延時間Δtを固定のまたは可変の設定量で修正するために指令信号が遅延回路212に出力される。このS110の実行は、S104の判定がYESとなるまで、繰り返される。
いずれの場合にも、S104の判定がYESとなると、S105において、状態信号生成回路182から、垂直走査ミラー90の変位振幅信号と、変位位相信号(対フレーム同期信号)とが読み込まれる。
続いて、S106において、その読み込まれた変位位相信号(対フレーム同期信号)によって表される変位位相が目標値に等しいか否かが判定される。今回は、その変位位相(対フレーム同期信号)が目標値に等しいと仮定すれば、その判定がYESとなり、S107に移行する。
これに対し、今回は、その変位位相(対フレーム同期信号)が目標値に等しくはないと仮定すれば、S106の判定がNOとなる。その後、S111において、その変位位相が目標値から外れている向きおよび量に基づき、垂直走査同期信号の遅延時間Δtを固定のまたは可変の設定量で修正するために指令信号が遅延回路218に出力される。このS111の実行は、S106の判定がYESとなるまで、繰り返される。
本実施形態においては、水平走査同期信号の変位位相(対フレーム同期信号)と垂直走査同期信号の変位位相(対フレーム同期信号)との和が、走査位相差時間Δtに等しい。したがって、S110およびS111においてはそれぞれ、遅延時間Δtおよび遅延時間Δtが、水平走査同期信号の変位位相(対フレーム同期信号)と垂直走査同期信号の変位位相(対フレーム同期信号)との和が走査位相差時間Δtの理想値に等しくなるように設定される。
いずれの場合にも、S106の判定がYESとなると、S107において、前記読み込まれた変位振幅信号によって表される変位振幅が目標値に等しいか否かが判定される。今回は、その変位振幅が目標値に等しいと仮定すれば、その判定がYESとなり、この走査制御プログラムの一回の実行が終了する。
これに対し、今回は、その変位振幅が目標値に等しくはないと仮定すれば、S107の判定がNOとなる。その後、S112において、その変位振幅が目標値から外れている向きおよび量に基づき、垂直走査振幅指令信号が固定のまたは可変の設定量で変更され、その変更された垂直走査振幅指令信号が垂直走査駆動回路110に出力される。このS110の実行は、S107の判定がYESとなるまで、繰り返される。
いずれの場合にも、S107の判定がYESとなると、この走査制御プログラムの一回の実行が終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、RSD10が前記(1)項に係る「光走査型ディスプレイ」の一例を構成し、光源部34が同項における「光源部」の一例を構成し、光走査ユニット20が同項における「走査装置」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、輝度信号生成部150が前記(1)項における「輝度信号制御部」の一例を構成し、少なくとも水平走査検出回路102が同項における「検出部」の一例を構成し、水平走査駆動回路100および垂直走査駆動回路112が互いに共同して同項における「駆動信号発生部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、水平走査が前記(1)項における「主走査」の一例に相当し、垂直走査が同項における「副走査」の一例に相当し、水平走査部70が同項における「主走査部」の一例を構成し、水平走査ミラー80が同項における「第1の機械的共振系」の一例を構成し、垂直走査部72が同項における「副走査部」の一例を構成し、垂直走査ミラー90が同項における「第2の機械的共振系」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、水平走査同期信号が前記(1)項における「主走査同期信号」の一例を構成し、垂直走査同期信号が同項における「副走査同期信号」の一例を構成し、水平走査部70が同項における「追従制御対象」の一例を構成し、水平走査同期信号が同項における「対象同期信号」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、状態信号生成回路180と分周器196とコンピュータ122のうち図24におけるS101、S102およびS108を実行する部分とが互いに共同して前記(1)項における「第1同期信号制御部」の一例を構成し、分周器216が同項における「第2同期信号制御部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、状態信号生成回路180と分周器196とコンピュータ122のうち図24におけるS101、S102およびS108を実行する部分とが互いに共同して前記(2)項における「第1周波数制御部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、分周器216が前記(3)項における「第2周波数制御部」の一例を構成し、水平走査周波数と垂直走査周波数との比を表す互いに素な整数比n:nが前記(4)項における「設定比」の一例に相当し、水平走査部70が前記(5)項における「追従制御対象」の一例を構成し、水平走査ミラー80が前記(6)項における「第1の機械的共振系」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、水平走査部70が前記(7)項における「主走査部」の一例を構成し、水平走査角度が同項における「主走査偏向角」の一例に相当し、水平走査検出回路102が同項における「検出部」の一例を構成し、変位信号(対駆動信号)によって表される変位位相(対駆動信号)が同項における「位相差」の一例に相当し、状態信号生成回路180と分周器196とコンピュータ122のうち図24におけるS101、S102およびS108を実行する部分とが互いに共同して同項における「位相差制御部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、走査位相差時間Δt(水平走査のための変位信号(対フレーム同期信号)によって表される変位位相(対フレーム同期信号)と、垂直走査のための変位信号(対フレーム同期信号)によって表される変位位相(対フレーム同期信号)との組合せによって定義される。)が前記(8)項における「位相差」の一例に相当し、状態信号生成回路180および182と遅延回路212および218と、コンピュータ122のうち図24におけるS101、S104、S105、S106、S110およびS111を実行する部分とが互いに共同して同項における「位相変更部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、RSD10が前記(9)項に係る「光走査型ディスプレイ」の一例を構成し、光源部34が同項における「光源部」の一例を構成し、光走査ユニット20が同項における「走査装置」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、輝度信号生成部150が前記(9)項における「輝度信号制御部」の一例を構成し、水平走査検出回路102と垂直走査検出回路112とが互いに共同して同項における「検出部」の一例を構成し、水平走査駆動回路100および垂直走査駆動回路112が互いに共同して同項における「駆動信号発生部」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、水平走査が前記(9)項における「主走査」の一例に相当し、垂直走査が同項における「副走査」の一例に相当し、水平走査部70が同項における「主走査部」の一例を構成し、水平走査ミラー80が同項における「第1の機械的共振系」の一例を構成し、垂直走査部72が同項における「副走査部」の一例を構成し、垂直走査ミラー90が同項における「第2の機械的共振系」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、水平走査同期信号が前記(9)項における「主走査同期信号」の一例を構成し、垂直走査同期信号が同項における「副走査同期信号」の一例を構成し、互いに素である整数の比であるn:nが同項における「設定比」の一例に相当し、水平走査角度が同項における「主走査偏向角」の一例に相当し、垂直走査角度が同項における「副走査偏向角」の一例に相当しているのである。
さらに、本実施形態においては、状態信号生成回路180と分周器196および216とコンピュータ122のうち図24におけるS101、S102およびS108を実行する部分とが互いに共同して前記(9)項における「周波数変更部」の一例を構成し、刻み幅Δfが同項における「主走査周波数刻み幅」の一例に相当し、刻み幅Δfが同項における「副走査周波数刻み幅」の一例に相当しているのである。
さらに、本実施形態においては、図22における式(12)によって表される許容値εalwが前記(9)項における「許容範囲」の一例(幅が0である範囲)に相当し、式(20)の右辺に記された項によって表される数値が同項における「第1の許容値」の一例に相当し、式(21)の右辺に記された項によって表される数値が同項における「第2の許容値」の一例に相当しているのである。
さらに、本実施形態においては、状態信号生成回路180と分周器196とコンピュータ122のうち図24におけるS101、S102およびS108を実行する部分とが互いに共同して前記(12)項における「第1同期信号制御部」の一例を構成し、分周器216が同項における「第2同期信号制御部」の一例を構成し、水平走査部70が同項における「追従制御対象」の一例を構成し、水平走査同期信号が同項における「対象同期信号」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、走査位相差時間Δtが前記(13)項における「位相差」の一例に相当し、状態信号生成回路180および182と遅延回路212および218と、コンピュータ122のうち図24におけるS101、S104、S105、S106、S110およびS111を実行する部分とが互いに共同して同項における「位相変更部」の一例を構成しているのである。
以上、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
本発明の一実施形態に従う網膜走査型ディスプレイ10を示す系統図である。 図1における水平走査部70を示す平面図である。 図1における光走査ユニット20、光源部34および信号処理回路120を概念的に表すブロック図である。 図3におけるコンピュータ122によって実行される画像表示プログラムを概念的に表すフローチャートである。 図3におけるフレームバッファ140の論理的構造を表形式で説明するための図である。 図3における水平走査駆動回路100から駆動源88に供給される水平走査駆動信号と、垂直走査駆動回路110から駆動源110に供給される垂直走査駆動信号とを示すグラフである。 図1における光走査ユニット20、光源部34および信号処理回路120をそれぞれが果たす機能に着目して表すブロック図である。 図7における水平走査同期信号、垂直走査同期信号およびフレーム同期信号を示すタイミングチャートである。 従来のインターレーススキャン方式で画像を表示するために形成される複数本の有効走査線を示す正面図である。 画像の各フレームを3以上のフィールドに分けて走査する方式で画像を表示するために形成される複数本の有効走査線の一例を示す正面図である。 画像の各フレームを3以上のフィールドに分けて走査する方式で画像を表示するために形成される複数本の有効走査線の別の例を示す正面図である。 水平走査と垂直走査との共同作用によってリサージュ図形として形成される複数本の走査線の幾何学的特性を式で説明する図である。 図12に示す式で表現される複数本の走査線の一例を示す正面図である。 図4に示す画像表示プログラムの実行による走査線の形成を説明するための図である。 図4に示す画像表示プログラムの実行による走査線の形成を説明するための別の図である。 図4に示す画像表示プログラムの実行による走査線の形成を説明するためのさらに別の図である。 図4に示す画像表示プログラムの実行による走査線の形成を説明するためのさらに別の図である。 図4に示す画像表示プログラムの実行による走査線の形成を説明するためのさらに別の図である。 図7における同期信号処理部152の詳細を示すブロック図である。 図19における各種信号の時間的推移を説明するためのタイミングチャートである。 水平走査と垂直走査との共同作用によってリサージュ図形として形成される走査軌跡の一例を示す正面図である。 図19に示す同期信号処理部152の設計を説明するための複数の式である。 図19に示す同期信号処理部152の設計を説明するための別の複数の式である。 図19に示すコンピュータ122によって実行される走査制御プログラムを概念的に表すフローチャートである。
符号の説明
10 網膜走査型ディスプレイ
20 光走査ユニット
34 光源部
70 水平走査部
72 垂直走査部
80 水平走査ミラー
90 垂直走査ミラー
100 水平走査駆動回路
102 水平走査検出回路
110 垂直走査駆動回路
112 垂直走査検出回路
120 信号処理回路
122 コンピュータ
150 輝度信号生成部
152 同期信号処理部
180 状態信号生成回路
182 状態信号生成回路
184 同期信号生成回路
196 分周器
210 分周器
212 遅延回路
216 分周器
218 遅延回路

Claims (13)

  1. 光束の2次元的な走査によって画像を表示する光走査型ディスプレイであって、
    輝度信号に応じた輝度で前記光束を出射する光源部と、
    前記光源部から出射した光束を互いに交差する主走査方向と副走査方向とにそれぞれ往復走査する走査装置であって、(a)主走査駆動信号に基づき、前記光束を、第1の機械的共振系を利用して、前記主走査方向に往復走査することが可能な主走査部と、(b)副走査駆動信号に基づき、前記光束を、第2の機械的共振系を利用して、前記副走査方向に往復走査することが可能な副走査部とを有し、かつ、前記画像の各フレームごとに、前記主走査方向において前記副走査方向におけるより多数回の往復走査を行うものと、
    前記画像の1フレームが3以上のフィールドに分けられて前記走査装置によって走査されて表示されるように、映像信号に基づいて前記輝度信号を生成し、各回の往復走査の全体期間のうちの有効走査期間中に、前記光源部が実際に光束を出射することによって形成される有効走査線が同じフレームにおいて前記3以上のフィールド間で互いに重ならないように、前記生成された輝度信号を前記光源部に出力する輝度信号制御部と、
    前記走査装置の走査状態を検出する検出部と、
    主走査同期信号と副走査同期信号とを発生させる同期信号発生部と、
    それら発生させられた主走査同期信号と副走査同期信号とに基づいて前記主走査駆動信号と前記副走査駆動信号とをそれぞれ発生させる駆動信号発生部と
    を含み、
    前記同期信号発生部は、
    前記主走査部と前記副走査部とのうちの一方を追従制御対象とし、前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうち前記追従制御対象に対応するものを対象同期信号とし、その対象同期信号を、前記検出部によって検出された走査状態に基づき、前記追従制御対象の共振周波数に追従するように制御する第1同期信号制御部と、
    前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうちの他方を、前記制御された対象同期信号に基づいて制御する第2同期信号制御部と
    を含む光走査型ディスプレイ。
  2. 前記第1同期信号制御部は、前記対象同期信号の周波数を、前記検出部によって検出された前記追従制御対象の走査状態に基づき、前記追従制御対象の共振周波数に追従するように制御する第1周波数制御部を含む請求項1に記載の光走査型ディスプレイ。
  3. 前記第2同期信号制御部は、前記他方の同期信号の周波数を、主走査周波数と副走査周波数との比が設定比に一致するように、制御する第2周波数制御部を含む請求項1または2に記載の光走査型ディスプレイ。
  4. 前記設定比は、互いに素である整数の比である請求項3に記載の光走査型ディスプレイ。
  5. 前記追従制御対象は、前記主走査部と前記副走査部とのうち、機械的共振系のQ値が大きいものである請求項1ないし4のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
  6. 前記第1の機械的共振系のQ値は、前記第2の機械的共振系のQ値より大きい請求項5に記載の光走査型ディスプレイ。
  7. 前記主走査部は、前記主走査周波数で周期的に変化する主走査偏向角で出射するように前記光束を往復偏向走査し、
    前記検出部は、前記主走査偏向角を反映する信号を主走査変位信号として出力し、
    前記同期信号発生部は、前記主走査変位信号の前記主走査駆動信号に対する位相差が設定値となるように前記主走査同期信号を発生させる位相差制御部を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
  8. 前記同期信号発生部は、前記主走査同期信号と前記副走査同期信号との位相差が設定値に一致するように、それら主走査同期信号と副走査同期信号とのうちの少なくとも一方の位相を変更する位相変更部を含む請求項1ないし7のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
  9. 光束の2次元的な走査によって画像を表示する光走査型ディスプレイであって、
    輝度信号に応じた輝度で前記光束を出射する光源部と、
    前記光源部から出射した光束を互いに交差する主走査方向と副走査方向とにそれぞれ往復走査する走査装置であって、(a)主走査駆動信号に基づき、前記光束を、第1の機械的共振系を利用して、前記主走査方向に往復走査することが可能な主走査部と、(b)副走査駆動信号に基づき、前記光束を、第2の機械的共振系を利用して、前記副走査方向に往復走査することが可能な副走査部とを有し、かつ、前記画像の各フレームごとに、前記主走査方向において前記副走査方向におけるより多数回の往復走査を行うものと、
    前記画像の1フレームが3以上のフィールドに分けられて前記走査装置によって走査されて表示されるように、映像信号に基づいて前記輝度信号を生成し、各回の往復走査の全体期間のうちの有効走査期間中に、前記光源部が実際に光束を出射することによって形成される有効走査線が同じフレームにおいて前記3以上のフィールド間で互いに重ならないように、前記生成された輝度信号を前記光源部に出力する輝度信号制御部と、
    前記走査装置の走査状態を検出する検出部と、
    主走査同期信号と副走査同期信号とを発生させる同期信号発生部と、
    それら発生させられた主走査同期信号と副走査同期信号とに基づいて前記主走査駆動信号と前記副走査駆動信号とをそれぞれ発生させる駆動信号発生部と
    を含み、
    前記主走査部は、主走査周波数で周期的に変化する主走査偏向角で出射するように前記光束を往復偏向走査し、
    前記副走査部は、副走査周波数で周期的に変化する副走査偏向角で出射するように前記光束を往復偏向走査し、
    前記検出部は、前記主走査偏向角を反映する信号と前記副走査偏向角を反映する信号とをそれぞれ主走査変位信号と副走査変位信号として出力し、
    前記同期信号発生部は、
    前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうちの少なくとも一つが前記主走査部と前記副走査部とのうち対応するものの共振周波数に追従することと、前記主走査周波数と前記副走査周波数との比が設定比に一致することとが一緒に達成されるように、前記検出部によって検出された走査状態に基づき、前記主走査同期信号の周波数と前記副走査同期信号の周波数とをそれぞれ、主走査周波数刻み幅と副走査周波数刻み幅とで離散的に変更する周波数変更部を含み、
    前記主走査同期信号の周波数と前記副走査同期信号の周波数とが前記周波数変更部によって変更されることに起因し、前記主走査変位信号の前記主走査駆動信号に対する主走査位相差と、前記副走査変位信号の前記副走査駆動信号に対する副走査位相差とが変動し、
    前記主走査位相差の変動と前記副走査位相差の変動とに起因し、前記走査装置によって形成される複数本の走査線の走査線間位相差が変動し、
    前記主走査周波数刻み幅は、前記主走査位相差の変動に起因する前記走査線間位相差の変動量が許容範囲内であるように、第1の許容値を超えないように設定され、
    前記副走査周波数刻み幅は、前記副走査位相差の変動に起因する前記走査線間位相差の変動量が前記許容範囲内であるように、第2の許容値を超えないように設定される光走査型ディスプレイ。
  10. 前記主走査周波数をf、前記副走査周波数をf、前記設定比をn:n(nおよびnは共に整数)、前記第1の機械的共振系のQ値をQ、前記第2の機械的共振系のQ値をQ、1より大きい係数をγでそれぞれ表記する場合に、前記第1の許容値は、
    πf/(4γ・Q・n
    として定義され、
    前記第2の許容値は、
    πf/(4γ・Q・n
    として定義される請求項9に記載の光走査型ディスプレイ。
  11. 前記係数γは、2以上で6以下である値を有する請求項10に記載の光走査型ディスプレイ。
  12. 前記同期信号発生部は、
    前記主走査部と前記副走査部とのうちの一方を追従制御対象とし、前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうち前記追従制御対象に対応するものを対象同期信号とし、その対象同期信号を、前記検出部によって検出された走査状態に基づき、前記追従制御対象の共振周波数に追従するように制御する第1同期信号制御部と、
    前記主走査同期信号と前記副走査同期信号とのうちの他方を、前記制御された対象同期信号に基づいて制御する第2同期信号制御部と
    を含む請求項9ないし11のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
  13. 前記同期信号発生部は、前記主走査同期信号と前記副走査同期信号との位相差が設定値に一致するように、それら主走査同期信号と副走査同期信号とのうちの少なくとも一方の位相を変更する位相変更部を含む請求項9ないし12のいずれかに記載の光走査型ディスプレイ。
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