JP2007092963A - 油圧ポンプ用転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】低粘度過酷潤滑条件化においても、潤滑不良や金属接触等に起因するトラブルを防止できる長寿命な油圧ポンプ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】油圧ポンプ用転がり軸受11は、軌道輪12および転動体13のうちの少なくとも1つの軸受部品に窒素富化層を有し、窒素富化層におけるオーステナイト結晶粒の粒度番号は11番以上であり、残留オーステナイト量は11%以上25%以下であり、表面にランダムに形成した無数の微小凹形状のくぼみを有し、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniは0.4以上1.0以下であり、くぼみを設けた面の面粗さパラメータSkは−1.0以下であり、くぼみを設けた面のくぼみの面積率は5〜20%であり、くぼみを設けた面のくぼみの平均面積は30〜100μm2である。
【選択図】図1
【解決手段】油圧ポンプ用転がり軸受11は、軌道輪12および転動体13のうちの少なくとも1つの軸受部品に窒素富化層を有し、窒素富化層におけるオーステナイト結晶粒の粒度番号は11番以上であり、残留オーステナイト量は11%以上25%以下であり、表面にランダムに形成した無数の微小凹形状のくぼみを有し、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniは0.4以上1.0以下であり、くぼみを設けた面の面粗さパラメータSkは−1.0以下であり、くぼみを設けた面のくぼみの面積率は5〜20%であり、くぼみを設けた面のくぼみの平均面積は30〜100μm2である。
【選択図】図1
Description
この発明は、油圧ポンプ等に使用される回転軸支持用の転がり軸受に関し、特に転動疲労寿命特性やピーリング寿命特性を向上した転がり軸受に関するものである。
従来の油圧ポンプとして、例えば、図11(a)および(b)に示すような外接形ギヤポンプ1が知られている。この外接形ギヤポンプ1は、図11(a)に示すように、一対の外接歯車2,3と、吸入口4aおよび吐出口4bを有し、内部に外接歯車2,3を収容するケーシング4と、図11(b)に示すように、外接歯車2に挿通する回転軸5と、外接歯車3に挿通する回転軸6とを備える。また、回転軸5,6は、針状ころ軸受7によって支持される。この外接形ギヤポンプ1は、外接歯車2,3が回転することによって、吸入口4aから油が吸入され、加圧された油が吐出口4bから吐出される。
上記構成のような油圧ポンプは、高温・高荷重環境下で使用されるので、回転軸5,6を支持する針状ころ軸受7は、過酷な環境下でも長寿命であることが求められる。
そこで、例えば特開平2−168021号公報(特許文献1)および特開平6−42536号公報(特許文献2)には、摺動部分のピーリング損傷や摩耗の発生を防ぎ、長寿命化を図る方法が記載されている。
同公報によると、摺動部分の表面に微小凹形状のくぼみを設け、面粗さパラメータRqniで表示したとき、軸方向面粗さRqni(L)と円周方向面粗さRqni(C)の比がRqni(L)/Rqni(C)≦1.0となり、かつ、Sk値がSk≦−1.6となるようにする。これにより、相手面が粗面でも仕上げのよい面でも長寿命となる旨が記載されている。
なお、本明細書中「Sk値」とは、粗さ曲線の歪度(スキューネス)を指し(ISO4287:1997)、凹凸分布の非対称性を知る目安の統計量を指すものとし、この値は、ガウス分布のような対称な分布ではSk値は0に近くなり、凹凸の凸部を削除した場合は負、逆の場合は正の値をとることになる。
また、本明細書中「Rqni」とは、粗さ中心線から粗さ曲線までの高さの偏差の自乗を測定長さの区間で積分し、その区間で平均した値の平方根を指すものとし、別名自乗平均平方根粗さともいう(ISO4287:1997)。Rqniは、拡大記録した断面曲線、粗さ曲線から数値計算で求められ、粗さ計の触針を軸方向および円周方向に移動させて測定する。
特開平2−168021号公報
特開平6−42536号公報
しかし、近年では、油圧ポンプの小型化や高出力化、潤滑油の低粘度化等が進み、使用環境が益々高荷重・高温化する傾向にある。このため、油圧ポンプに使用される軸受部品にとっては、今まで以上に厳しい潤滑環境へと変化しており、潤滑不良による表面起点型剥離がますます発生しやすくなってきている。
そこで、この発明の目的は、低粘度過酷潤滑環境下においても、潤滑不良や金属接触等に起因するトラブルを防止できる長寿命な油圧ポンプ用転がり軸受を提供することである。
この発明に係る油圧ポンプ用転がり軸受は、油圧ポンプの回転軸を支持する転がり軸受である。そして、軌道輪、および転動体のうちの少なくとも1つの軸受部品は、窒素富化層を有し、窒素富化層におけるオーステナイト結晶粒の粒度番号は、11番以上であり、残留オーステナイト量は、11%以上25%以下であり、表面にランダムに形成した無数の微小凹形状のくぼみを有し、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniは、0.4以上1.0以下であり、くぼみを設けた面の面粗さパラメータSkは、−1.0以下である。
オーステナイト結晶粒の粒度番号が10番を超えて非常に微細であることにより、転動疲労寿命を大幅に改善することができる。また、窒素富化層における残留オーステナイト量が11%以上25%以下の範囲にあることにより、耐表面損傷特性と耐経年寸法変化特性とのバランスをとることができる。
さらに、軸受部品の表面にランダムに無数の微小凹形状のくぼみを設けたことによって、油膜形成能力が向上し、低粘度希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命となる。特に、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4以上1.0以下とすることにより、希薄潤滑下でも油膜切れを防ぐことができる。
なお、本明細書中「Ryni」とは、基準長毎最大高さの平均値、すなわち粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した値を指すものとする(ISO4287:1997)。
好ましくは、窒素富化層における窒素含有量は、0.1質量%以上0.7質量%以下である。窒素富化層は表層に形成された窒素含有量を増加した層であって、例えば浸炭窒化、窒化、浸窒などの処理によって形成することができる。窒素富化層における窒素含有量が0.1質量%より低いと耐表面損傷特性が低下し、寿命が短くなる。一方、窒素含有量が0.7質量%より多いと、ボイドと呼ばれる空孔ができたり、残留オーステナイト量が多くなりすぎたりして硬度を確保できず、短寿命になる。
好ましくは、窒素富化層における表面硬さは、Hv653以上である。表面硬さをHv653以上と高くすることにより、転動疲労寿命を大幅に改善することができる。
好ましくは、窒素富化層における球状化炭化物の面積率は、10%以上25%以下である。球状化炭化物の面積率を10%以上とすることにより、転動疲労寿命を大幅に改善することができる。一方、球状化炭化物の面積率が25%を超えると、球状化炭化物の肥大化、凝集により材料の靭性が劣化する。
好ましくは、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxは、0.4以上1.0以下であり、くぼみを設けた面のくぼみの面積率は5〜20%であり、くぼみを設けた面のくぼみの平均面積は、30〜100μm2である。さらに好ましくは、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRqniは、0.05以上0.09以下である。各面粗さパラメータを上記の範囲内に設定することにより、希薄潤滑下でも油膜切れを防ぐことが可能である。なお、本明細書中「Rymax」とは、基準長毎最大高さの最大値を指すものとする(ISO4287:1997)。
この発明は、各軸受部品中のオーステナイトの結晶粒を微細化することにより、耐表面損傷特性と耐経年寸法変化特性とを改善すると共に、表面に微小凹形状くぼみを設けることによって、油膜形成性を向上させて、長寿命の油圧ポンプ用転がり軸受を得ることができる。
図1を参照して、この発明の一実施形態に係る油圧ポンプ用転がり軸受を説明する。
油圧ポンプの回転軸を支持する転がり軸受としては、例えば図1に示すような、軌道輪12と、軌道輪12の内周面に沿って配置される複数の転動体としての針状ころ13と、針状ころ13の間隔を保持する保持器14とを有する針状ころ軸受11が使用される。または、図2に示すように、針状ころ23と保持器24とを有し、軌道輪を有しない針状ころ軸受21であってもよい。
上記構成の針状ころ軸受11,21の軌道輪12および針状ころ13,23(以下、これらを総称して「軸受部品」という)のうちの少なくとも1つについて、図3または図4に示すような熱処理を施す。
図3に示す熱処理方法は、軸受部品用の鋼をA1変態点を超える浸炭窒化処理温度(例えば845℃)に加熱し、その温度で軸受部品用の鋼に浸炭窒化処理を施す。温度処理T1では鋼の素地に炭素や窒素が拡散され、また炭素が鋼に十分に溶け込む。この後、軸受部品用の鋼には、処理T1の温度から油焼入れを施し、A1変態点未満の温度に冷却する。次いで180℃で焼き戻しを行うが、この焼戻しは省略することができる。
この後、軸受部品用の鋼をA1変態点以上の温度で上記の浸炭窒化処理の温度未満の温度(例えば800℃)に再加熱し、その温度で保持することにより処理T2を施した後、処理T2の温度から油焼入れを施して、A1変態点未満の温度に冷却する。次いで180℃で焼き戻しを行う。
次に、図4に示す熱処理方法は、軸受部品用の鋼をA1変態点を超える浸炭窒化処理温度(例えば845℃)に加熱し、その温度で軸受部品用の鋼に浸炭窒化処理を施す。温度処理T1では鋼の素地に炭素や窒素が拡散され、また炭素が鋼に十分に溶け込む。この後、軸受部品用の鋼を焼入れせずにA1変態点以下の温度に冷却する。この後、軸受部品用の鋼をA1変態点以上の温度で上記の浸炭窒化処理の温度未満の温度(例えば800℃)に再加熱し、その温度で保持することにより処理T2を施した後、処理T2の温度から油焼入れを施して、A1変態点未満の温度に冷却する。次いで180℃で焼戻しを行う。
上記のいずれかの方法によって熱処理を施すことにより、軸受部品の表層に窒素含有量を増加した窒素富化層が形成され、熱処理後の軸受部品の組成や機械的性質は以下の範囲内となる。
まず、軸受部品組織中のオーステナイト結晶粒がJIS規格(Japanese Industrial Standards)の粒度番号10番を超えて微細化される。これにより、転動疲労寿命を大幅に改善することができる。オーステナイト結晶粒の粒度番号が10番以下では、転動疲労寿命の改善程度は小さい。オーステナイト結晶粒は細かいほど望ましいが、通常13番を超える粒度番号を得ることは難しい。
なお、オーステナイト結晶粒とは、焼入れ処理を行った後も焼入れ直前のオーステナイト結晶粒界の痕跡が残っており、その痕跡に基づいた結晶粒をいうものとする。また、オーステナイト結晶粒は、窒素富化層が存在する表層部でも、それより内部でもあまり大きく変化しない。したがって、上記粒度番号の範囲の対象となる位置は、表層部および/または内部とする。
図5(a)は上記の熱処理後の組織写真である。また、図5(b)は従来の熱処理後の組織写真であって粒度番号は10番である。この2つを比較すると、上記の熱処理によって、オーステナイト結晶粒を微細化できることが分かる。また、図6(a)および(b)は、図5(a)および(b)の図解図である。
次に、窒素富化層における残留オーステナイト量は11%以上25%以下の範囲となる。これにより、耐表面損傷特性と耐経年寸法変化特性とのバランスをとることができる。残留オーステナイト量が11%未満では表面損傷寿命の改善の程度は低い。一方、残留オーステナイト量が25%を超えると、通常の浸炭窒化処理品における残留オーステナイト量との差がなくなり、経年寸法変化は大きくなる。
なお、残留オーステナイト量は、研削後の転動面や軌道面の表面下50μmにおける値であって、例えばX線回折によるマルテンサイトα(211)と残留オーステナイトγ(220)の回折強度の比較で測定することができる。回折強度の比較はピーク値で比較してもよいし、ピークを含む近傍の面積比で比較してもよい。
ここで、αは体心立方構造の鉄を、γは面心立方構造の鉄を表す。通常、マルテンサイトは炭素を固溶した状態では体心正方構造であるが、焼戻しにより炭素が移動して体心正方構造から体心立方構造に変わる。回折強度の比較からは残留オーステナイト量の体積%が得られる。α鉄とγ鉄の密度差は小さいので体積%と質量%とは大きな相違はない。
次に、窒素富化層における窒素含有量は0.1質量%以上0.7質量%以下となる。窒素富化層における窒素含有量が0.1質量%より低いと耐表面損傷特性が低下し、寿命が短くなる。一方、窒素含有量が0.7質量%より多いと、ボイドと呼ばれる空孔ができたり、残留オーステナイト量が多くなりすぎたりして硬度を確保できず、短寿命になる。
なお、窒素富化層の窒素含有量は、研削後の転動面や転動面の表面下50μmにおける値であって、例えばEPMA(波長分散型X線マイクロアナライザ)で測定することができる。
次に、窒素富化層における表面硬さはHv653以上となる。表面硬さをHv653以上とすることにより、転動疲労寿命を大幅に改善することができる。望ましくはHv720〜800とする。表面硬さは高いほど望ましいが、通常、Hv900を超える表面硬さを得ることは難しい。
次に、窒素富化層における球状化炭化物の面積率は10%以上25%以下となる。球状化炭化物の面積率を10%以上とすることにより、転動疲労寿命を大幅に改善することができる。一方、球状化炭化物の面積率が25%を超えると、球状化炭化物の肥大化、凝集により材料の靭性が劣化する。
なお、球状化炭化物の面積率は、研削後の転動面や転動面の表面下50μmにおける値であって、ピクリン酸アルコール溶液(ピクラル)を用い腐食した後、光学顕微鏡(400倍)で観察することができる。ここで、簡易的に球状化炭化物と表現しているが、実際は炭化物と窒化物を合わせたものである。
さらに、軸受部品の表面の油膜形成性を向上させるために、軸受部品の表面にランダムに無数の微小凹形状のくぼみを設ける。これにより、油膜形成能力が向上し、低粘度希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命となる。
このとき、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4以上1.0以下に設定する。これにより、希薄潤滑下でも油膜切れを防ぐことができる。さらに、Sk値を−1.0以下に設定する。例えば、Sk値を幅方向、円周方向とも−1.0以下とすることにより、微小凹形状のくぼみが油溜りとなり、圧縮されても、滑り方向および直角方向への油の漏洩は少なく、油膜形成に優れ、表面損傷を極力抑える効果がある。なお、Sk値のコントロールは、バレル研磨機の回転速度、加工時間、ワーク投入量、チップの種類と大きさ等を選択することにより行える。
また、軸受部品の凹形状のくぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxを0.4以上1.0以下に設定し、面粗さパラメータRqniを0.05以上0.09以下に設定し、くぼみを設けた面のくぼみの面積率を5〜20%の範囲内に設定し、くぼみを設けた面のくぼみの平均面積を30〜100μm2に設定する。これらの各面粗さパラメータを上記の範囲内に設定することにより、希薄潤滑下でも油膜切れを防ぐことが可能である。
なお、Sk値やRqni等の測定方法および条件の一例を以下に示す。この測定方法によって、例えばころの表面性状を測定する場合、一箇所の測定値でも代表値として信頼できるが、直径方向に対向する2箇所を測定することにより、より信頼性の高い測定結果を得ることができる。
パラメータ算出規格:ガウシアン
測定長さ:5λ
カットオフ波長:0.25mm
測定倍率:10000倍
測定速度:0.30mm/s
測定箇所:ころ中央部
測定数:2箇所
測定装置:面粗さ測定器サーフコム1400A(東京精密株式会社)
また、凹形状のくぼみの定量的測定は、ころの表面を拡大し、その画像から市販されている画像解析システムを使用して行うことができる。さらには、特開2001−183124号公報に記載されている表面検査方法および表面性状検査装置を用いれば、安定して精度よく測定することができる。この方法でくぼみの定量的測定を行う場合、画像の白い部分は表面平坦部、黒い部分は微小なくぼみとして解析する。
測定長さ:5λ
カットオフ波長:0.25mm
測定倍率:10000倍
測定速度:0.30mm/s
測定箇所:ころ中央部
測定数:2箇所
測定装置:面粗さ測定器サーフコム1400A(東京精密株式会社)
また、凹形状のくぼみの定量的測定は、ころの表面を拡大し、その画像から市販されている画像解析システムを使用して行うことができる。さらには、特開2001−183124号公報に記載されている表面検査方法および表面性状検査装置を用いれば、安定して精度よく測定することができる。この方法でくぼみの定量的測定を行う場合、画像の白い部分は表面平坦部、黒い部分は微小なくぼみとして解析する。
上記公報に記載されている測定装置による測定条件の一例を以下に示す。この場合も、一箇所の測定値でも代表値と信頼できるが、2箇所以上を測定することにより、さらに信頼性の高い測定結果を得ることができる。
観察視野:826μm×620μm
測定位置:ころ中央部
即定箇所:2箇所
次に、この発明の効果を確認するために、図7に示すようなラジアル荷重試験31を用いて、回転軸32の両側に取り付けた試験軸受33に荷重を加えながら回転試験を行った。なお、回転軸32および試験軸受33の軌道輪の表面粗さRaは、0.10〜0.16μmの範囲内に設定されており、試験条件は以下の通りである。
測定位置:ころ中央部
即定箇所:2箇所
次に、この発明の効果を確認するために、図7に示すようなラジアル荷重試験31を用いて、回転軸32の両側に取り付けた試験軸受33に荷重を加えながら回転試験を行った。なお、回転軸32および試験軸受33の軌道輪の表面粗さRaは、0.10〜0.16μmの範囲内に設定されており、試験条件は以下の通りである。
軸受ラジアル荷重:2000kgf
回転数:4000rpm
潤滑油:クリセフオイルH8(試験条件で2cst)
上記の試験に用いる軸受として、図2に示すような針状ころ軸受21を用いた。なお、針状ころ軸受21の外径Dr=33mm、内径dr=25mm、針状ころ23の直径D=4mm、ころ長さL=25.8mmであって、針状ころ23が15本収容されており、以下に示す熱処理および表1の各組成を得るための表面処理を施した5種類の針状ころ軸受を用意した。
回転数:4000rpm
潤滑油:クリセフオイルH8(試験条件で2cst)
上記の試験に用いる軸受として、図2に示すような針状ころ軸受21を用いた。なお、針状ころ軸受21の外径Dr=33mm、内径dr=25mm、針状ころ23の直径D=4mm、ころ長さL=25.8mmであって、針状ころ23が15本収容されており、以下に示す熱処理および表1の各組成を得るための表面処理を施した5種類の針状ころ軸受を用意した。
この発明の一実施形態に係る針状ころ軸受(本発明品)は、図3に示す熱処理方法で熱処理を施した。浸炭窒化処理はRXガスとアンモニアガスとの混合ガス雰囲気中に850℃で150分間、二次焼入れは800℃で20分間、焼戻しは180℃で90分間それぞれ保持した。熱処理後、表1に示す表面処理Aを施し、無数の微小凹形状のくぼみをランダムに形成した。なお、表面の状態を図8に示す。
比較対象の軸受(比較例1)は、本発明品と同様の熱処理を施した後、表1に示す表面処理Bを施し、無数の微小凹形状のくぼみをランダムに形成した。なお、表面の状態を図9に示す。
比較対象の軸受(比較例2)は、本発明品と同様の熱処理を施し、表面処理は行わなかった。なお、表面の状態を図10に示す。
比較対象の軸受(比較例3)は、従来の標準熱処理を施した。具体的には、焼入れはRXガス雰囲気中に840℃で20分間、焼戻しは180℃で90分間それぞれ保持した。なお、表面処理は行っておらず、表面の状態は図10に示す通りである。
比較対象の軸受(比較例4)は、浸炭窒化処理はRXガスとアンモニアガスとの混合ガス雰囲気中に850℃で150分間、焼戻しは180℃で90分間それぞれ保持した。なお、表面処理は行っておらず、表面の状態は図10に示す通りである。
上記の各軸受についての試験結果を表2に示す。
表2を参照して、本発明品は、表面粗さの粗い比較例1と比較して1.5倍、表面処理を施していない比較例2と比較して1.6倍、標準熱処理を施した比較例3と比較して2.9倍、浸炭窒化処理を施した比較例4と比較して2.1倍のピーリング寿命を得ることが確認された。
なお、上記の各実施形態においては、油圧ポンプ用転がり軸受として針状ころ軸受を使用した例を示したが、これに限ることなく、内輪、外輪、転動体、および保持器を備える転がり軸受を使用してもよい。この場合、内輪、外輪、転動体、および保持器のうちの少なくとも1つの軸受部品に上記の熱処理および表面処理を行う。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明は、油圧ポンプの回転軸を支持する転がり軸受に有利に利用される。
1 外接形ギヤポンプ、2,3 外接歯車、4 ケーシング、4a 吸入口、4b 吐出口、5,6,32 回転軸、7,11,21 針状ころ軸受、12 軌道輪、13,23 針状ころ、14,24 保持器、31 ラジアル荷重試験機、33 試験軸受。
Claims (6)
- 油圧ポンプの回転軸を支持する転がり軸受であって、
軌道輪、および転動体のうちの少なくとも1つの軸受部品は、窒素富化層を有し、
前記窒素富化層におけるオーステナイト結晶粒の粒度番号は、11番以上であり、
残留オーステナイト量は、11%以上25%以下であり、
表面にランダムに形成した無数の微小凹形状のくぼみを有し、
前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniは、0.4以上1.0以下であり、
前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータSkは、−1.0以下である、油圧ポンプ用転がり軸受。 - 前記窒素富化層における窒素含有量は、0.1質量%以上0.7質量%以下である、請求項1に記載の油圧ポンプ用転がり軸受。
- 前記窒素富化層における表面硬さは、Hv653以上である、請求項1または2に記載の油圧ポンプ用転がり軸受。
- 前記窒素富化層における球状化炭化物の面積率は、10%以上25%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の油圧ポンプ用転がり軸受。
- 前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxは、0.4以上1.0以下であり、
前記くぼみを設けた面のくぼみの面積率は、5〜20%であり、
前記くぼみを設けた面のくぼみの平均面積は、30〜100μm2である、請求項1〜4のいずれかに記載の油圧ポンプ用転がり軸受。 - 前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRqniは、0.05以上0.09以下であり、
前記くぼみを設けた面のくぼみの面積率は、5〜20%であり、
前記くぼみを設けた面のくぼみの平均面積は、30〜100μm2である、請求項1〜5のいずれかに記載の油圧ポンプ用転がり軸受。
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JP2009270693A (ja) * | 2008-05-12 | 2009-11-19 | Ntn Corp | ポンプ用タペット |
WO2009139296A1 (ja) * | 2008-05-12 | 2009-11-19 | Ntn株式会社 | ポンプ用タペット |
JP2009293397A (ja) * | 2008-06-02 | 2009-12-17 | Ntn Corp | ポンプ用タペット |
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-
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