JP2007092725A - 燃料噴射騒音低減装置 - Google Patents

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雅彦 金堂
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Abstract

【課題】インジェクタからシリンダヘッドへの振動の伝達を抑制することで、インジェクタからシリンダヘッドを経由してヘッドカバー等から放射される燃料噴射騒音を低減する。
【解決手段】燃料噴射時の内部機構の作動によって生じる衝撃加振力に起因して振動するインジェクタ10から発生した燃料噴射騒音を低減する燃料噴射騒音低減装置であって、
インジェクタ10の振動を制御するための慣性マスと力発生部とからなるアクチュエータ17を、インジェクタ10のエンジンのシリンダヘッド40に固定支持される支持部を除くいずれかの部位に備える
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料噴射騒音低減装置に関する。
直噴ディーゼルエンジンなどでは、高圧に加圧された燃料をインジェクタでシリンダ内に直接噴射している。
このインジェクタは、例えば特許文献1に示すような構造で支持されている。すなわちインジェクタは、シリンダヘッドに形成されたインジェクタ取付部に挿入され、この挿入状態でノズルサポートによってシリンダヘッドに挿圧固定されている。ノズルサポートは、一端に二股に形成されたフォークがインジェクタに掛け渡されるとともに、他端側に形成された支持点(ピボットピン)に置いてシリンダヘッドに対して支持され、ボルトによってシリンダヘッドに締結される。ボルトの軸力は、ノズルサポートのフォークに伝わり、このちからによってインジェクタはシリンダヘッドに挿圧固定されている。
特開平8−200179号公報
ところで、インジェクタは、内部に針弁等の可動部品を有している。この針弁がシート部に対して離座/着座することで燃料の噴射/停止が制御される。したがって、インジェクタは、原理的に針弁の衝突による衝撃力を発生する構造となっている。この衝撃力によってインジェクタが振動すると、その振動がインジェクタに接続されるノズルサポートやシリンダヘッドを介して他のエンジン部品に伝達され、エンジン騒音悪化の要因となるという問題がある。特にディーゼルエンジンに適用されるコモンレール式燃料供給システムにおいては、内部部品が高圧の燃料で駆動されることから、インジェクタに発生する衝撃力が大きい。そしてインジェクタは、500〜4kHzまでにインジェクタの複数の共振モードを有し、この共振が騒音悪化に大きく影響している。
そこで、本発明では、インジェクタが燃料噴射するときに発生する振動のシリンダヘッドへの伝達を抑制することでシリンダヘッドを経由してヘッドカバー等から放射される燃料噴射騒音を低減する装置を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置は、燃料噴射時の内部機構の作動によって生じる衝撃加振力に起因して振動するインジェクタから発生した燃料噴射騒音を低減する燃料噴射騒音低減装置であって、前記インジェクタの振動を制御するための慣性マスと力発生部とからなるアクチュエータを、前記インジェクタのエンジンのシリンダヘッドに固定支持される支持部を除くいずれかの部位に備える。
本発明によれば、インジェクタの振動を制御するアクチュエータを、インジェクタのシリンダヘッドへの支持点を除くいずれかの部位に固定支持して、アクチュエータの反力がシリンダヘッドに加わることがない構成とすることによって、インジェクタのシリンダヘッドへの加振力を大幅に低減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明による内燃機関の燃料噴射騒音低減装置を使用する燃料供給システムを示す図である。
この燃料供給システムは、自動車に搭載されるコモンレールタイプのディーゼルエンジン用のシステムである。
燃料タンク81内の燃料は、フィルタ82を介して低圧ポンプ83によって取り出され、高圧サプライポンプ84において高圧状態に加圧され、コモンレール85に供給される。なお、高圧サプライポンプ84にはプレッシャーレギュレータが内蔵されており、余剰燃料が燃料タンク81に還流され、コモンレール85内が所望の圧力に制御される。そして、高圧の燃料がコモンレール85からインジェクタ10に供給され、インジェクタ10を開弁駆動することによって各気筒のシリンダ内に直接噴射される。
インジェクタ10の作動はエンジンコントロールユニット(ECU)80によって制御される。ECU80は、センサによって検出されたエンジン負荷(アクセルペダル踏込み量等)及びエンジン回転速度に基づいて、燃料噴射時期及び燃料噴射量を算出し、これらに対応する開弁指令信号をインジェクタ10へ出力する。また、ECU80は、エンジン負荷及びエンジン回転速度に基づいて燃料噴射圧力を算出し、コモンレール85内の燃料圧力がその算出した燃料噴射圧力になるように高圧サプライポンプ84のプレッシャーレギュレータを制御する。なお、ECU80は中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インターフェース(I/Oインターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。ECU80を複数のマイクロコンピュータで構成してもよい。
図2は、インジェクタ10が取り付けられたシリンダヘッド40をエンジン前方(クランク軸方向)から見た断面図である。なお、シリンダヘッド40はヘッドボルト51によってシリンダブロックに固定されているが、図2においてはシリンダブロックを省略する。
インジェクタ10は、シリンダヘッド40に形成されたインジェクタ取付穴41に挿着され、ノズルサポート20でシリンダヘッド40に押圧されて固定される。インジェクタ10のインジェクタ取付穴41の底面41aとの接触部分が、インジェクタ10がエンジンのシリンダヘッドに固定支持される支持部に相当する。
ノズルサポート20には、ボルト貫通孔23が形成されている。ノズルサポート20の一端は、シリンダヘッド40と反対側に凸となるように湾曲し、その湾曲部でカムシャフト45を跨ぎ、先端には二股のフォーク21が形成される。この二股のフォーク21が、インジェクタ10の受圧部16に当接する。ノズルサポート20の他端22は、シリンダヘッド40の側壁42近傍に埋め込まれたピボットピン43に当接し、回動(傾動)自在になっている。
ボルト貫通孔23にボルト52が挿通されてシリンダヘッド40に締結されると、ボルト52の軸力によってインジェクタ10がシリンダヘッド40に押圧される。
インジェクタ10には、圧電素子39と慣性マス28とで構成され、後述する燃料噴射に起因する振動を低減するための制御出力を発生するアクチュエータ17が備えられる。
ここで、アクチュエータ17について図3(a)、(b)を参照して説明する。図3(a)はアクチュエータ17の概略図、図3(b)はアクチュエータ17をインジェクタ10に装着した状態を表す図である。
インジェクタ10には高圧配管5を介して燃料が送油される構成となっており、気密性を確保すること等を目的として、コネクタ48を介して接続する。
コネクタ48には、略中央部を軸方向に貫通する燃料通路47が設けられており、燃料通路47の上端側(インジェクタ10に装着した際にインジェクタ10から離れた側)には気密面49が設けられている。また、コネクタ48外周の上端側(インジェクタ10に装着した際にインジェクタ10から離れた側)にはネジ部46が、下端側(インジェクタ10に装着した際にインジェクタ10に近い側)にはネジ部15がそれぞれ設けられる。
コネクタ48の下端側寄りの部分には台座38が設けられており、この台座38にはコネクタ48と同心円状に圧電素子(ピエゾ素子)39が備えられ、圧電素子39の上端側にはコネクタ48と同心円状に慣性マス28が接続されている。台座38の側面の少なくとも一部には平面部45を設ける。これは、コネクタ48をインジェクタ10に取り付ける(ネジ部15とネジ部34とを螺合させる)際に、工具を用い易くするためである。例えば平面部45を複数設ければ、スパナやレンチ等の工具を使用することが可能となる。
台座38よりも上端側のコネクタ48外周面にはコネクタネジ部37が設けられ、ここに後述する保持具29が螺合している。
また、台座38よりも下端側には、インジェクタ10に接続した際にインジェクタ10と当接する当接面44が設けられる。なお、当接面44はアクチュエータ17からコネクタ48に入力された制御力をインジェクタ10に確実に作用させるためのものである。
燃料送油部31のコネクタ48取付部付近には、振動センサ18が装着される。振動センサ18の検出信号はECU80に入力され、この検出値に基づいてアクチュエータ17の制御力をコントロールすることでインジェクタ10の振動を低減する。制御力のコントロールの詳細については後述する。
なお、振動センサ18の装着場所は、インジェクタ10の振動を検出できる場所、すなわち振動モードの節に相当する部分以外であればよい。ただし、振動センサ18の検出値に基づくアクチュエータ17の制御の応答性を考慮すると、アクチュエータ17取付位置に近い方が望ましい。
コネクタ48は、下端側のネジ部43がインジェクタ10の燃料送油部31に設けられたネジ部34と螺合することでインジェクタ10と接続される。一方、高圧配管5は先端に拡径部5aが設けられ、拡径部5aのコネクタ48側には気密面49に対応する面が設けられる。そして、この対応する面と気密面49とを当接させた状態で、高圧配管5に対して回転自由かつ拡径部5aに係合するナット30をネジ部46に螺合させることにより、高圧配管5の先端が気密面49に押圧され、気密性を確保した状態で高圧配管5とコネクタ48とが接続される。
そして、慣性マス28に対しては圧電素子39により加振力を与えられ、その反力がコネクタネジ部43を介してインジェクタ10に伝達される。
このとき、圧電素子39には慣性マス28の慣性力によって圧縮方向と引張方向の力が交互に作用するが、圧電素子39は引張に対する強度が低いため、引張破断を生じるおそれが有る。そこで、慣性マス28の動きを制限するために、慣性マス28を上側から押圧するように保持具29を設ける。保持具29は、初期状態で圧電素子39が圧縮された状態となるように取り付けられる。すなわち圧電素子39はプリロードが掛けられた状態となる。
なお、圧電素子39は保持具29を変形させるためにも力を使うことになるので、保持具29の伸縮方向(コネクタ48の軸方向)の剛性は、慣性マス28の動きを制限しかつ圧電素子39をプリロードが掛かった状態にすることができる範囲内で、できるだけ小さく抑えることが望ましい。また、上記の強度を確保することが可能であれば、保持具29の材質は金属またはそれ以外のいずれであってもよい。
ここで、本実施形態が解決しようとする課題について再度詳細に説明する。
図4はインジェクタ10の構造を示す図である。
インジェクタ10は、針弁11の上方に燃圧室が設けられ、下方に燃料噴射室が設けられている。
インジェクタ10の電磁弁12が閉じられた状態では、針弁11が燃圧室の圧力によってシート13に押し付けられ、燃料を噴射しない。そしてインジェクタ10は、ECU80からの制御指令を受けて電磁弁12を開くと、燃圧室が開放されて燃圧室内の圧力が低下する。そして燃料噴射室の圧力によって針弁11が上方へ移動して噴射孔14が開かれて燃料が噴射される。そしてインジェクタ10は、ECU80からの制御指令を受けて電磁弁12を閉じると、燃圧室の圧力が回復して針弁11が下方に移動して、針弁11がシート13に着座して燃料噴射が終了する。
このように針弁11がシート13に衝突し振動を発生する。特にコモンレール85を使用する燃料噴射システムにおいては、燃圧が非常に高圧なので、大きな衝突力が発生し、インジェクタ10が大きく振動することとなる。
このようにして生じた振動は、インジェクタ10の下面からインジェクタ取付穴41の底面41aを介してシリンダヘッド40に伝達するとともに、インジェクタ受圧部16を解してノズルサポート20へ伝わり、ピボットピン43及びボルト52からシリンダヘッド40へ伝達する。そしてこの振動がさらにシリンダブロックやヘッドカバー等に伝達されて音が発生する。特に、インジェクタ10は、500〜4kHzまでに複数の共振モードを有し、この共振が騒音悪化に大きく影響している。そこで本発明では、下記のようにしてインジェクタの振動を低減し、騒音を低減しようとしている。
ところで、インジェクタ10の支持構造は、図9に示すようにインジェクタ10の質量Miがインジェクタ取付穴41の底面(シリンダヘッド座面)41aの取付剛性によるばねKhと、ノズルサポート20の取付構造によるばねKfの2つに支持されている振動系と考えることができる。
インジェクタ10で加振力が発生した場合、それによりインジェクタ質量が変位し、その変位によるばね力が2つのばねから伝達される。したがって、一般的にはインジェクタの変位を小さくすることにより、伝達する加振力を小さくすることができる。このような場合に対象物(インジェクタ)を制振する方法としては、制振対象物の振動を検出するセンサを設けて、検出値をフィードバックしてアクチュエータの制御力Uを発生させる手法が多く用いられている。
なお、本実施形態では、アクチュエータ17は図3に示したように、一方の端部がインジェクタ10に取付けられ、他方の端部はいずれの構成要素にも接続されていない。以下、これを「慣性マスタイプ」という。
ここで、慣性マスタイプを、図8に示すように制振対象物を制振するためのアクチュエータ17がシリンダヘッド座面41aとインジェクタ10との間に挟持される方式(以下、「挟み込みタイプ」という)と比較して、本実施形態の作用・効果について説明する。
なお、インジェクタ10は、インジェクタ10内部に包含される針弁開閉の衝撃入力によって、インジェクタ10がエンジンに対して取り付け方向にバウンスする振動の影響が大きいため、図8、図9共にこれらを表現するような簡易的な振動モデルで表している。すなわち、図8、図9はインジェクタ10への入力Fiによって、インジェクタMiがそれを支えるシリンダヘッド剛性Khやサポート剛性Kfによって構成される振動系を励起する状況を表している。なお、図8、図9ともにアクチュエータ17は圧電素子39とし(図9は慣性マス28を備える)、その剛性をKpとする。
また、図10に挟み込みタイプの具体的な構成の一例を示す。図10はアクチュエータ17がシリンダヘッド座面41aとインジェクタ10との間に介装される点を除くと、基本的には図2と同様の構成である。
図8に示す振動系における運動方程式は下式(1)、(2)のように表すことができる。
Figure 2007092725
Figure 2007092725
式(1)、(2)をx1について整理すると、下式(3)のようになる。
Figure 2007092725
したがって、式(3)でx1が常にゼロとなるためには、制御力Fpを下式(4)のように設定する必要がある。
Figure 2007092725
これにより、x1がゼロ、すなわちインジェクタ10の変位がゼロとなるので、伝達力F1をゼロにすることができる。しかしながら、x2は下式(5)のようになり、圧電素子39の取付点(先端の着座部分)からシリンダヘッド40への伝達力F2をゼロにすることはできない。
Figure 2007092725
一方、x2をゼロにするための制御力Fpは下式(6)のようになる。
Figure 2007092725
これにより伝達力F2をゼロにすることができるが、伝達力F1は下式(7)のようになり、ゼロにすることができない。
Figure 2007092725
これに対して図9に示す振動系における運動方程式は下式(8)、(9)のように表すことができる。
Figure 2007092725
Figure 2007092725
上記の式をx1について整理すると下式(10)のようになる。
Figure 2007092725
したがって、式(10)でx1が常にゼロとなるためには、制御力Fpを下式(11)のようにする必要がある。
Figure 2007092725
このとき、F1fとF1hはともにゼロとなる。したがって、騒音もゼロになる。ただし、慣性質量は下式(12)で表される振動をする。
Figure 2007092725
上記のように、図8に示す振動系では、式(4)又は式(6)のいずれの制御力を与えても、シリンダヘッド40への入力を完全にゼロにすることができないのに対して、図9に示す制御系、すなわち本実施形態では式(11)の制御力を与えることにより、インジェクタ10の変位をゼロにすることができ、その結果、シリンダヘッド40への入力をゼロにすることができる。
次に、本実施形態の制御方法について、図2を参照して説明する。
インジェクタ10に設けられた振動センサ18の出力は、センサーアンプ19に導かれ、アナログデジタル信号変換機(A/D)24を経由して、制御コントローラ25にインプットされる。
制御則は色々と選択ができるが、状態方程式を用いた現代制御の場合は、振動センサ18の出力を用いて状態方程式(13)よりフィードバックゲインを決定して、アクチュエータ用アンプ27で、アクチュエータ17を駆動する。
Figure 2007092725
Figure 2007092725
Figure 2007092725
なお、状態方程式(13)は、制御対象を、微分方程式(運動方程式)で表したしたものを状態空間表現したものであり、X(t)、u(t)、w(t)は、それぞれ変位ベクトル、制御入力ベクトル、外乱ベクトルであり、A、B、C、Dは、それぞれ行列を表す。
(14)式は、フィードバック制御を行うための出力方程式である。
(15)式は、制御するゲイン特性を表している。特に、マトリックスAは、インジェクタ10とアクチュエータ17の運動方程式から得られる特性値で、インジェクタ振動系の質量、減衰、剛性値より決定される。
なお、これらの制御フローを、図11に示す。(13)〜(15)式を一つのフローチャートとして表現している。この図では、最終的に制御したいのは、y(例えば、シリンダヘッド40への伝達力)で、シリンダヘッド40への伝達力は、インジェクタ10の変位量XのC倍で表されている。また、インジェクタ10の変位Xは、(13)式で表される、Xの時間微分値が、変位XのA倍と、制御力のB倍と外乱のD倍で求められることから、このXの微分値を、積分することで求められる。これらの関係を、リカッチ方程式で解くことで、制御ゲインFを求めることが出来る。これによって、最も制御エネルギが低く、振動が最小となるような最適制御(LQ制御)が実現する。
また、(3)式を用いて予め運転状態によって求めておいたインジェクタ加振力Fiによって制御力を与える、といった制御方式も考えられる。この場合は、振動センサ22を必要としない簡素なシステムとなるが、運転状態の変動などを吸収するための補正や学習ロジックが必要となる。
以上のように、慣性マスタイプのアクチュエータ17を用いることによって、インジェクタ10の振動に起因するエンジン騒音を低減することができる。
特に、アイドル運転時等のようにエンジン負荷が小さい場合は、インジェクタ起因のエンジン騒音が支配的なので、アクチュエータ17によるインジェクタの振動の抑制によるエンジン騒音低減の効果が大きい。
ところで、慣性マスタイプのアクチュエータ17によって振動を抑制しない場合のインジェクタ10の振動モードは、図12(a)に示すようにインジェクタ10が曲がるモード(曲げ共振モード)と、図12(b)に示すようにインジェクタ10がバウンスするモード(バウンス共振モード)がある。
図12(a)に示すように曲げ共振モードの場合は、インジェクタ10の上部側ほど振動の振幅は大きくなっており、燃料送油部31はインジェクタ10全体の中で比較的振動振幅の大きい部分になる。したがって、燃料送油部31近傍にアクチュエータ17を装着して振動を抑制する場合には、比較的小さな制御力で振動を抑制することができる。
以上により本実施形態では、下記の効果を得ることができる。
インジェクタ10の振動を制御するアクチュエータ17を、インジェクタ10のシリンダヘッド40への固定支持部を除くいずれかの部位に装着するので、アクチュエータ17の反力がシリンダヘッド40に加わることがない構成となり、インジェクタ10のシリンダヘッド40への加振力を低減することができる。
アクチュエータ17をインジェクタ10と高圧配管5との間に配置したので、インジェクタ10の振動が比較的大きいインジェクタ10上部において制御力を加えることが可能となり、これにより制御力を小さくすることができる。なお、燃料送油部31は高圧配管5を接続するために剛性が高められているので、アクチュエータ17から入力された制御力のうち装着部の変形のために使われる割合が少なく、制御力の大部分がインジェクタ10に伝達される。
アクチュエータ17の取り付け位置をインジェクタ10本体の側面としたので、インジェクタ10の上下振動と曲げ振動(倒れ振動)のいずれに対しても制御力を与えることができる。
アクチュエータ17を構成する圧電素子39及び慣性マス28を高圧配管5と同心円状としたことにより、アクチュエータ17の制御力が入力される範囲を広く取ることができ、これにより大きな加振力を入力することができる。
アクチュエータ17は高圧配管5を接続するためのコネクタ48に取り付けるので、コンパクトな構成とすることができ、また、アクチュエータ17取り付けのためだけに必要な部位をインジェクタ10に新たに設ける必要がないので、部品点数の増大を抑制、すなわちコストの増大を抑制することができる。
力発生部に圧電素子39を用いるので、コンパクトな構成ながら大きな制御力を得ることができる。
第2実施形態について図5(a)、(b)、(c)を参照して説明する。
図5(a)は図3(a)と同様にアクチュエータ17の概略図を、図5(b)は図3(b)と同様にアクチュエータ17をインジェクタ10に装着した状態を表す図であり、図5(c)は図5(a)のA−A断面図である。
本実施形態は保持具29の形状が第1実施形態と異なる。
保持具29は圧電素子39及び慣性マス28の外周及び上面を囲むような形状であって、保持具29の下端部に設けたネジ部50が、台座38の外周部に設けたネジ部50と螺合することでコネクタ48に固定される。
上記のように構成することによって、外力やオイル、水等の液体から保護することが可能である。なお、液体からの保護を目的とする場合は、保持具29とアクチュエータ17との隙間60に、液体の浸入を防止するための処置、例えば樹脂皮膜を形成する等といった処置を施す必要がある。
また、工具を用い易くするための平面部59を保持具29の外周に設ける。
以上により本実施形態では、第1実施形態と同様の効果に加えて、さらに、保持具29を圧電素子39及び慣性マス28の外周及び上面を囲むように形成したので、アクチュエータ17を外力や液体等から保護することが可能となる。
第3実施形態について図6(a)、(b)、(c)を参照して説明する。
図6(a)、(b)、(c)は、それぞれアクチュエータ17の概略図、アクチュエータ17をインジェクタ10に装着した状態を表す図、図6(a)のB−B断面図である。
アクチュエータ17の構成は基本的に第1実施形態と同様であるが、本実施形態では、圧電素子39の保持を樹脂モールド70にて行う点が異なる。
また、コネクタ48の軸部には複数の突起部76を設ける。圧電素子39には、第1実施形態と同様にプリロードが掛けられるため、樹脂モールド70には、圧電素子39からプリロードに対する反力が、コネクタ48から分離させる方向に作用する。
そこで、上記反力に抗して圧電素子39を保持することができるように、突起部76を設けてコネクタ48と樹脂モールド70との係合面積を増大させている。
なお、アクチュエータ17を取り囲む部分の剛性を、コネクタ48との接触部の剛性よりも低くすることで、圧電素子39の変形時に樹脂モールド70の変形のために用いられる力を低減することができる。
以上により本実施形態では、第2実施形態と同様の効果に加え、さらに、アクチュエータ17を樹脂モールドでコネクタ48と一体に形成するので、樹脂モールド成型後にさらに被膜形成等の処置を施すことなく、アクチュエータ17をオイルや液体から保護することができる。
第4実施形態について図7(a)、(b)を参照して説明する。
図7(a)、(b)は、それぞれアクチュエータ17の概略図、図7(a)のB−B断面図である。
本実施形態では、第3実施形態と同様に樹脂モールド70によってアクチュエータ17を支持するが、アクチュエータ17の構造が異なる。
アクチュエータ17は略同形状のアクチュエータ17a、17bからなり、アクチュエータ17aとアクチュエータ17bはコネクタ48の軸線cに対して対称となるように配置する。
このような構成にして、アクチュエータ17a、17bを互いに逆位相となるように制御すると、インジェクタ10に対して例えば図7(a)中に矢印で示したようなモーメント入力を加えることができる。
すなわち、アクチュエータ17取付位置がインジェクタ10の振動の曲げモードの節になった場合に、アクチュエータ17が単体の場合は、アクチュエータ17からインジェクタ10に入力できる力がコネクタ48の軸線方向の力に限られるので、曲げモードを制御することが出来なかったのに対して、本実施形態では曲げモーメント入力を加えることができるので、振動の曲げモードを制御することができる。
以上により本実施形態では、第3実施形態と同様の効果に加え、アクチュエータ17を複数のアクチュエータ17a、17bで構成することによって、振動を制御するための制御力を加える方向の自由度を増すことができる。
なお、本実施形態は、図7に示したように二つのアクチュエータ17a、17bでアクチュエータ17を構成したが、インジェクタ10にモーメント入力できる構成であれば、さらに多くのアクチュエータで構成してもかまわない。
また、上述した実施形態では力発生部として圧電素子を用いて説明を行ったが、超磁歪素子や小型の動電型加振機等を含めて、力を発生できるものであれば利用可能である。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
本発明は、燃料噴射弁の振動制御に限らず、一般的な振動制御に利用可能である。
第1実施形態のシステムの構成図である。 シリンダヘッドの断面図及び制御システムを表す図である。 (a)はアクチュエータとコネクタの拡大図、(b)はインジェクタにアクチュエータを装着した状態を表す図である(第1実施形態)。 インジェクタの構造を説明するための図である。 (a)はアクチュエータとコネクタの拡大図、(b)はインジェクタにアクチュエータを装着した状態を表す図、(c)は(a)のA−A断面図である(第2実施形態)。 (a)はアクチュエータとコネクタの拡大図、(b)はインジェクタにアクチュエータを装着した状態を表す図、(c)は(a)のB−B断面図である(第3実施形態)。 (a)はアクチュエータとコネクタの拡大図、(b)は(a)のB−B断面図である(第4実施形態)。 挟み込みタイプのアクチュエータの振動系のモデル図である。 慣性マスタイプのアクチュエータの振動系のモデル図である。 挟み込みタイプの具体例を表す図である。 振動制御のフローチャートである。 (a)は曲げ振動モード、(b)はバウンス共振モードを説明するための図である。
符号の説明
5 高圧配管
10 インジェクタ
11 針弁
12 電磁弁
13 シート
14 噴射孔
16 インジェクタ受圧部
17 アクチュエータ
18 振動センサ
19 センサーアンプ
20 ノズルサポート
21 フォーク
22 他端
23 ボルト貫通孔
24 アナログデジタル信号変換機(A/D)
25 制御コントローラ
27 アクチュエータ用アンプ
28 慣性マス
29 保持具
30 ナット
31 燃料送油部
34 ネジ部
37 コネクタネジ部
38 台座
39 圧電素子
40 シリンダヘッド
41 インジェクタ取付穴
42 側壁
43 ピボットピン
44 当接面
46 ネジ部
47 燃料通路
48 コネクタ
49 気密面
51 ヘッドボルト
52 ボルト
60 隙間
70 樹脂モールド
80 コントロールユニット(ECU)
81 燃料タンク
82 フィルタ
83 低圧ポンプ
84 高圧サプライポンプ
85 コモンレール

Claims (12)

  1. 燃料噴射時の内部機構の作動によって生じる衝撃加振力に起因して振動するインジェクタから発生した燃料噴射騒音を低減する燃料噴射騒音低減装置であって、
    慣性マスと力発生部とからなる前記インジェクタの振動を制御するためのアクチュエータを、前記インジェクタのエンジンのシリンダヘッドに固定支持される支持部を除くいずれかの部位に備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  2. 前記インジェクタに燃料を供給するための燃料配管を備え、
    前記アクチュエータを前記インジェクタと前記燃料配管との接続部近傍に配置する請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  3. 前記燃料配管は、前記インジェクタの本体側面に接続される請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  4. 前記燃料配管は高圧燃料配管である請求項2または3に記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  5. 前記燃料配管と前記インジェクタとを接続するためのコネクタを備え、
    前記アクチュエータを前記コネクタに設置する請求項2から4のいずれか一つに記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  6. 前記コネクタは内部に前記インジェクタに燃料を送油するための燃料通路を備え、
    前記アクチュエータは前記コネクタの外周部を囲むように前記燃料通路と略同芯状に前記コネクタに配置される請求項5に記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  7. 前記力発生部は、前記アクチュエータを制御するための制御出力に応じて変形する特性を有する素子からなる請求項1から6のいずれか一つに記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  8. 前記素子は制御出力としての電圧の大きさに応じて変形する圧電素子である請求項7に記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  9. 前記素子は制御出力としての磁界の強さに応じて変形する超磁歪素子である請求項7に記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  10. 前記力発生部の一端を前記コネクタに固定し、他端に前記慣性マスを設置し、さらに、前記力発生部及び前記慣性マスにプリロードをかけるための保持具を備える請求項5から9のいずれか一つに記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  11. 前記アクチュエータは、少なくとも1組以上の前記慣性マスと前記力発生部との組み合わせからなる請求項1から10のいずれか一つに記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
  12. 前記慣性マスと前記力発生部を樹脂モールドによって前記コネクタに保持する請求項5から11のいずれか一つに記載の内燃機関の燃料噴射騒音低減装置。
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