JP2007092228A - ポリエステル繊維の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しない、アンチモンを実質的に含まないポリエステル繊維において、色調L値の低下なくb値を改善させることができるポリエステル繊維の処理方法を提供する。
【解決手段】 アンチモンを含まないポリエステル繊維において、ポリエステル繊維と酸化性物質または還元性物質とを接触させることにより、色調b値を改善することを特徴とするポリエステル繊維の処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明はアンチモンを含まないポリエステル繊維の処理方法に関する。さらに詳しくは、アンチモンを含まないポリエステル繊維において、酸化性物質または還元性物質を用いて接触処理を行うことにより、色調b値を改善させることを特徴とするポリエステル繊維の処理方法に関する。
ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。
この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。
上記のような背景からアンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合、ゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は埋蔵量も少なく希少価値であることから汎用的に用いることは難しい。チタン触媒を用いると、上記の問題点を解決できるが、得られるポリエステルは溶融耐熱性が悪化してしまい、また、ポリエステルの色調は強い黄色みを帯びてしまう。
そこで、かかる問題に対し、従来、チタン化合物、リン化合物、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物をそれぞれ特定の比率となるように用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。また、リン化合物、チタン化合物、コバルト化合物、2価金属化合物の存在下重合する方法が提案されている(特許文献2参照)。さらにはチタンハロゲン化物の加水分解物や色相調整剤を用いる方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、これら従来の方法では、黄色味は抑制されても青味が強調されたり、L値が低下してしまうなど満足のできるものではなかった。
特開2002−179781号公報(2頁請求項1〜10) 特開2000−256452号公報(2頁請求項1〜6) 特開2001−89557号公報(2頁請求項1,2)
本発明の課題は、上記の従来技術の問題点を解決しようとするものであり、アンチモン含有量が少ないか、あるいは含有しない、アンチモンを実質的に含まないポリエステル繊維において、色調L値の低下なくb値を改善させることができるポリエステル繊維の処理方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の構成を採用する。すなわち、
(1)アンチモンを含まないポリエステル繊維において、ポリエステル繊維と酸化性物質または還元性物質とを接触させることにより、色調b値を改善することを特徴とするポリエステル繊維の処理方法。
(2)アンチモンを含まないポリエステル繊維において、ポリエステル繊維と酸化性物質または還元性物質との接触処理を、繊維のアルカリ減量処理工程後のすすぎ工程において、ポリエステル繊維のアルカリ減量処理工程後のすすぎと同時に行い、b値を5以下にすることを特徴とするポリエステル繊維の処理方法。
(3)酸化性物質が、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸化合物、二酸化硫黄、硫酸、硝酸、過炭酸ナトリウムおよび過カルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリエステル繊維の処理方法。
(4)還元性物質が、二酸化チオ尿素、チオ硫酸塩、シュウ酸金属塩、硫化水素、過酸化水素、二酸化硫黄からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質であることを特徴とする前記(1)〜(2)のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の処理方法。
(5)アンチモンを含まないポリエステル繊維において、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のポリエステル繊維の処理方法。
10≧Rb−Yb≧1.0 ・・・式(1)
(Rb:アンチモンを含まないポリエステル繊維の色調b値、Yb:アンチモンを含まないポリエステル繊維を酸化性物質または還元性物質と接触させた後のポリエステル繊維の色調b値)
(6)ポリエステル繊維が、チタン元素を1〜150ppm、リン元素を0.1〜200ppm含有していることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の処理方法。
(7)ポリエステル繊維が、アルカリ土類金属元素および/またはマンガン金属元素を1〜200ppm含有していることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の処理方法。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法により得られたものであることを特徴とするポリエステル繊維。
本発明によれば、アンチモンを含まないポリエステル繊維において、色調L値の低下なくb値を改善させることができるポリエステル繊維を得ることができる。
ポリエステルには、通常、二重結合を有したポリエステルやモノマー由来の化合物、金属原子が配位したポリエステルやモノマー、触媒由来の化合物等が含まれており、これらが着色成分となって、後述する色調(b値)が大きくなる傾向にある。本発明では、これら着色成分を含むポリエステル繊維と酸化性物質または還元性物質とを作用(接触)させて着色成分を低減し、b値を改善させたポリエステル繊維を得ようとするものである。
本発明における色調とは、ハンター型色差計を用いて測定したものであり、明度の指標としてはL値、黄色度の指標としてはb値のことを指す。L値が大きい場合には明度が高いことを示し、b値が大きい場合には黄色度が高いことを意味する。なお、本発明における色調b値を改善させるとは、b値を低下させることを意味する。ポリエステルの色調は、b値が5以下であることが好ましく、より好ましくはb値が4以下、特に好ましくはb値が3以下である。
本発明におけるアンチモンを含まないポリエステル繊維の処理方法において、下記式(1)を満たすことが好ましい。
10≧Rb−Yb≧1.0 ・・・式(1)
(Rb:アンチモンを含まないポリエステル繊維の色調b値、Yb:アンチモンを含まないポリエステル繊維を酸化性物質または還元性物質と接触させた後のポリエステル繊維の色調b値)
Rb−Ybの値が大きいほど、得られる効果が大きいことを意味する。Rb−Ybの値は好ましくは2.0以上で、特に好ましくは3.0以上である。
本発明で用いる酸化性物質、還元性物質とは、相手となる物質を酸化したり還元したりする特性を有するものであり、酸化性物質としては標準電極電位が+300mV〜+3,000mVであることが好ましい。この値が大きいほど効果が大きいが、3,000mV以上の酸化性物質は現実性が少ない。さらに好ましくは+500mV〜+3,000mV、特に好ましくは+1,000mV〜+3,000mVである。還元性物質としては標準電極電位が−300mV〜−3,000mVであることが好ましい。この値が小さいほど効果が大きいが、―3,000mV以下の還元性物質は現実性が少ない。さらに好ましくは−500mV〜−3,000mV、特に好ましくは−1,000mV〜−3,000mVである。
このような酸化性物質としては、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸化合物、二酸化硫黄、硫酸、硝酸、過炭酸ナトリウムおよび過カルボン酸などを挙げることができる。また、過カルボン酸としては過酢酸、過プロピオン酸、過ブチリック酸などを挙げることができる。中でも過酸化水素や過酢酸は、着色性物質を効率よく分解し、ポリエステル繊維自体にほとんど影響を与えないため好ましい。このような酸化性物質は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
還元性物質としては、二酸化チオ尿素、チオ硫酸塩、シュウ酸金属塩、硫化水素、過酸化水素、二酸化硫黄などを挙げることができる。これら還元性物質も単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
酸化性物質、還元性物質の標準電極電位は、電子移動の化学(渡辺正著・日本化学会編)記載の値を参考とした。
酸化性物質または還元性物質は、気化性のものはガスでポリエステル繊維に接触しても良いし、溶液としてポリエステル繊維に接触させても良い。効果の点から、溶液としてポリエステル繊維に含浸接触させることが好ましい。溶液として含浸させる際、溶液中に他の添加剤、例えば、界面活性剤、精練剤、pH調整剤、顔料、染料などを含んでいても良い。
本発明において、ポリエステル繊維と酸化性物質または還元性物質を接触させるタイミングは特に限定されないが、従来のポリエステル繊維の製造工程で用いている装置で処理できることが、工程数を削減させ経済的にも有利であることから好ましい。
中でも、ポリエステル繊維のアルカリ減処理後の繊維のすすぎ工程において行うことが好ましい。ポリエステル繊維のアルカリ減処理後の繊維のすすぎ工程は、ポリエステル繊維の製造工程の中で汎用的であり、かつ酸化性物質または還元性物質との接触処理が容易であるだけでなく、色調の改善効果が特に優れている。この理由は、詳しいことは分かっていないが、上述したポリエステルを着色させる原因物質が繊維構造の表層部に多く堆積しているため、アルカリ減量処理を行った後には酸化性物質または還元性物質がより着色原因物質に接触しやすいためと考えられる。
酸化性物質または還元性物質とポリエステル繊維を接触させる条件は、温度や圧力が高い方が有利であり、より短時間で処理することができる。水溶液で処理する場合には、20〜200℃の温度で処理することが好ましい。20℃以下で行うと得られる効果が満足するレベルには到達せず、200℃以上で行うと逆に色調の変色が発生してしまう。好ましくは50〜175℃であり、さらに好ましくは75〜150℃である。処理温度を100℃以上で行う時は、スチーム圧力加圧下で処理を行うことが好ましい。
目的効果が得られるまでの処理時間は、酸化性物質または還元性物質の種類や処理温度により決まってくるが、30秒〜24時間であることが好ましい。30秒以下では得られる効果が満足するレベルには到達せず、24時間以上では得られる効果はそれ以上向上しない。ガスで処理する場合には、20〜250℃以上の温度、1〜10気圧の圧力で30分〜24時間処理することが好ましい。
本発明のポリエステル繊維を構成するポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーである。このようなポリエステルとして具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、ポリエチレンテレフタレートのジカルボン酸成分やグリコール成分に共重合成分を含有していても良い。ジカルボン酸成分として例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体等を挙げることができ、グリコール成分として例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物等またはそのエステル形成性誘導体等を挙げることができ、またパラヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体等を挙げることができる。
また、本発明のポリエステルには、必要に応じて各種添加物、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、熱安定剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが添加されていてもよい。
重合用触媒としては、チタン化合物を用いると異物形成を抑制できる点で好ましい。チタン化合物としては、置換基が下記化学式1〜5で表される官能基からなる群より選ばれる基を有し、かつ、少なくともカルボニル基またはカルボキシル基またはエステル基を含有するものが好ましい。
Figure 2007092228
(化学式1〜化学式5中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基または水酸基またはカルボニル基またはアセチル基またはカルボキシル基またはエステル基またはアミノ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表し、チタン化合物は少なくともカルボニル基またはカルボキシル基またはエステル基を含有する。)
本発明の化学式1としては、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物からなる官能基などが挙げられる。
また、化学式2としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物からなる官能基などが挙げられる。
また、化学式3としては、フェノキシ、クレシレイト、サリチル酸等からなる官能基などが挙げられる。
また、化学式4としては、ラクテート、ステアレート等のアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系化合物、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸からなる官能基などが挙げられる。
また、化学式5としては、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等からなる官能基などが挙げられる。
中でも化学式1及び/または化学式4が含まれていることが異物形成を抑制、及び重合活性の高さより好ましい。
また、チタン化合物としてこれら化学式1〜化学式5の置換基の2種以上を含んでなるチタンジイソプロポキシビスアセチルアセトナートやチタントリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
本発明におけるチタン化合物は得られるポリマーに対して、チタン原子換算で1〜150ppm含有されていることが好ましい。3〜75ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましく、さらに好ましくは5〜20ppmである。また、チタン化合物と共にリン化合物がポリエステルに対してリン原子換算で0.1〜200ppm含有されていることが好ましい。なお、製糸時におけるポリエステルの熱安定性や色調の観点からリン含有量は、1〜100ppmが好ましく、さらに好ましくは10〜50ppmである。
また、アルカリ土類金属元素および/またはマンガン金属元素を1〜200ppm含有していることが、異物形成抑制、重合活性の点から好ましい。200ppmを越えると熱安定性が悪化し異物形成を促進してしまう。より好ましくは、5〜100ppm、特に好ましくは10〜50ppmである。
本発明において、アンチモンを含まないとは、ポリエステル中に含まれるアンチモン含有量が蛍光X線元素分析により検出される測定限界以下(20ppm以下)であることを意味する。
合成繊維の形態として、芯鞘型複合繊維、芯鞘型複合中空繊維、海島型複合繊維、張り合わせ型複合繊維、あるいはブレンド繊維等が挙げられる。
本発明の合成繊維の断面形状は丸以外に、三角、偏平、多葉型などの異形断面でも良い。また、該合成繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープルのどちらでも良く、用途によって適宜選定される。布帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて適宜選択できる。
本発明の対象となる繊維はポリエステル繊維である。繊維の形態としては混紡品、混撚糸、混編、混織品いずれのものでもよい。また、ポリエステル、コットン混合繊維、他の繊維(例えばレーヨン等)を混合した繊維であってもよい。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステル中の触媒由来のチタン元素、リン元素、アンチモン元素、マグネシウム元素、マンガン元素及びカルシウム元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。なお、次の前処理をした上で蛍光X線分析を行った。すなわち、ポリエステルをオルソクロロフェノールに溶解(溶媒100gに対してポリマー5g)し、このポリマー溶液と同量のジクロロメタンを加えて溶液の粘性を調製した後、遠心分離器(回転数18000rpm、1時間)で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、上澄み液と同量のアセトンを添加することによりポリマーを再析出させ、そのあと3G3のガラスフィルター(IWAKI社製)で濾過し、濾上物をさらにアセトンで洗浄した後、室温で12時間真空乾燥してアセトンを除去した。以上の前処理を施して得られたポリマーについてチタン元素、リン元素、アンチモン元素、マグネシウム元素、マンガン元素、カルシウム元素の分析を行った。
(2)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(3)ポリマー、布帛の色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定回数3回で測定し、平均の値を測定値とした。
参考例1(ポリエチレンテレフタレートの製造およびポリエステル繊維の製造)
高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の101.5kgを重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、酢酸マグネシウム23.8g(ポリマーに対してマグネシウム原子換算で30ppm)、ポリマーに対してチタン原子換算で10ppm相当の乳酸キレートチタン化合物、ポリマーに対して100ppm(リン原子換算で10ppm)相当のビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化社製、アデカスタブPEP−36)のエチレングリコールスラリーの混合物を添加した。5分撹拌した後、酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリーを、ポリマーに対して酸化チタン粒子換算で0.3重量%となるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は2時間44分であった。
得られたポリマーのIVは0.66、色調はL=72.5、b=5.1であった。また、ポリマーから測定したアンチモン原子の含有量は測定限界以下であることを確認した。
また、このポリエステルを水分率50ppmに乾燥後、紡糸機に供し、溶融部にて290℃で溶融した後、計量し紡糸パック部から吐出し、1000m/分の速度で引取った。得られた未延伸糸を80℃で2.8倍に延伸した後、ローラー(125℃)で熱セットし、83デシテックス36フィラメントの延伸糸を得た。この延伸糸を筒編機で筒編を行った。色調は、L=89.5、b=5.5であった。
参考例2(ポリエチレンテレフタレートの製造およびポリエステル繊維の製造)
酢酸マグネシウムを、酢酸カルシウム39.7g(ポリマーに対してカルシウム原子換算で50ppm)、に変更した以外は参考例1と同様に行った。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は2時間51分であった。
得られたポリマーのIVは0.66、色調はL=72.0、b=6.4であり、ポリマーから測定したアンチモン原子の含有量は測定限界以下であることを確認した。
また、参考例1と同様にして溶融紡糸、筒編を行った結果、色調は、L=89.0、b=6.6であった。
参考例3(ポリエチレンテレフタレートの製造およびポリエステル繊維の製造)
酢酸マグネシウムを、酢酸マンガン39.7g(ポリマーに対してマンガン原子換算で50ppm)、に変更した以外は参考例1と同様に行った。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は2時間42分であった。
得られたポリマーのIVは0.66、色調はL=72.2、b=6.5であり、ポリマーから測定したアンチモン原子の含有量は測定限界以下であることを確認した。また、参考例1と同様にして溶融紡糸、筒編を行った結果、色調は、L=89.2、b=6.8であった。
参考例4(過酢酸溶液の製造)
酢酸を50.0g、過酸化水素水(濃度35%)15.0g、濃硫酸を3.0g混合し、常温で24時間反応させて過酢酸水溶液を作成した。
Figure 2007092228
接触処理が、ポリエステル繊維のアルカリ減量処理工程後のすすぎと同時処理
実施例1
参考例1にて作成したポリエステル繊維を、水酸化ナトリウム40g/Lの処理液に浸し、85℃で30分の熱浴処理を行い、その後徐冷した後、酸化性物質(過酸化水素水(濃度35%)4.5g/l(過酸化水素に換算すると1.58g/l)、過酸化水素安定剤(メタケイ酸ソーダ)4.0g/l)、pH調整剤(水酸化ナトリウム)3.0g/lからなる処理浴にポリエステル繊維を浸し、85℃で30分の熱浴処理を行い、その後冷却し、湯洗、水洗を充分に行った後、色調を測定した結果、L=92.0、b=2.2であり、色調b値に優れたものであった。
比較例1
実施例1の処理浴を水にした以外は実施例1と同様に処理を行った後、色調を測定した結果、L=90.5、b=5.2であり、色調の改善は見られなかった。
実施例2〜3
酸化性物質である過酸化水素を、過炭酸ナトリウム10.0g/l、過酢酸20.0g/lに変更した以外は実施例1と同様に処理を行った。
実施例4
酸化性物質である過酸化水素を、還元性物質である二酸化チオ尿素20.0g/lに変更した以外は実施例1と同様に処理を行った。
実施例5〜6
ポリエステル繊維を、参考例1から参考例2および参考例3に変更した以外は実施例1と同様に処理を行った。
比較例2〜3
ポリエステル繊維を、参考例1から参考例2および参考例3に変更した以外は比較例1と同様に処理を行った。
Figure 2007092228
接触処理が、ポリエステル繊維の精練工程と同時処理
実施例7
参考例1にて作成したポリエステル繊維を、精練剤(炭酸ナトリウム1.5g/l、非イオン界面活性剤(日華化学社製 SUNMORL BK−80)0.2g/L)、酸化性物質(過酸化水素水(濃度35%)4.5g/l(過酸化水素に換算すると1.58g/l)、過酸化水素安定剤(メタケイ酸ソーダ)4.0g/l)、pH調整剤(水酸化ナトリウム)3.0g/lからなる処理浴に浸し、85℃で30分の熱浴処理を行い、その後冷却し、湯洗、水洗を充分に行った後、色調を測定した結果、L=90.3、b=3.5であり、色調b値に優れたものであった。
比較例4
実施例7の処理浴を精練剤のみの添加にした以外は実施例7と同様に処理を行った後、色調を測定した結果、L=89.4、b=5.5であり、色調の改善は見られなかった。
実施例8〜9
酸化性物質である過酸化水素を、過炭酸ナトリウム10.0g/l、過酢酸溶液(参考例4)20.0g/l、二酸化チオ尿素20.0g/lに変更した以外は実施例7と同様に処理を行った。
実施例10
酸化性物質である過酸化水素を、還元性物質である二酸化チオ尿素20.0g/lに変更した以外は実施例7と同様に処理を行った。
実施例11〜12
ポリエステル繊維を、参考例1から参考例2および参考例3に変更した以外は実施例7と同様に処理を行った。
比較例5〜6
ポリエステル繊維を、参考例1から参考例2および参考例3に変更した以外は比較例4と同様に処理を行った。
Figure 2007092228

Claims (8)

  1. アンチモンを含まないポリエステル繊維において、任意の段階でポリエステル繊維と酸化性物質または還元性物質とを接触させることにより色調b値を改善することを特徴とするポリエステル繊維の処理方法。
  2. アンチモンを含まないポリエステル繊維において、ポリエステル繊維と酸化性物質または還元性物質との接触処理を、繊維のアルカリ減量処理工程後のすすぎ工程において、ポリエステル繊維のアルカリ減量処理工程後のすすぎと同時に行うことを特徴とするポリエステル繊維の処理方法。
  3. 酸化性物質が、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸化合物、二酸化硫黄、硫酸、硝酸、過炭酸ナトリウムおよび過カルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエステル繊維の処理方法。
  4. 還元性物質が、二酸化チオ尿素、チオ硫酸塩、シュウ酸金属塩、硫化水素、過酸化水素、二酸化硫黄からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエステル繊維の処理方法。
  5. アンチモンを含まないポリエステル繊維において、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のポリエステル繊維の処理方法。
    10≧Rb−Yb≧1.0 ・・・式(1)
    (Rb:アンチモンを含まないポリエステル繊維の色調b値、Yb:アンチモンを含まないポリエステル繊維を酸化性物質または還元性物質と接触させた後のポリエステル繊維の色調b値)
  6. ポリエステル繊維が、チタン元素を1〜150ppm、リン元素を0.1〜200ppm含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の処理方法。
  7. ポリエステル繊維が、アルカリ土類金属元素および/またはマンガン金属元素を1〜200ppm含有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステル繊維の処理方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により得られたものであることを特徴とするポリエステル繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014205941A (ja) * 2013-04-11 2014-10-30 東レ株式会社 吸放湿性ポリエステル繊維パッケージ
CN110607689A (zh) * 2019-09-30 2019-12-24 安徽农业大学 一种丝素蛋白接枝pet再生纤维制备工艺

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