JP2007091963A - ガラスクロス複合化シリコーン系硬化性樹脂シートとその製造方法 - Google Patents

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祐 日戸
Hiroharu Oda
弘治 小田
Satoshi Aoki
聡 青木
Norio Tsujioka
則夫 辻岡
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Abstract

【課題】加熱処理時の揮発成分量の発生を少なくして表面の割れや発泡を抑制しさらに表明平滑性を維持することができる、線膨張係数が小さく光学特性に優れ、揮発成分の残存が少ない樹脂シートの製造方法の提供。
【解決手段】シリコーン樹脂(a−1)と硬化性樹脂(a−2)との混合溶液をガラスクロス(b)に含浸させたのち該混合溶液を硬化させることによって、硬化生成物であるシリコーン系硬化性樹脂(a)とガラスクロス(b)とを複合化させるガラスクロス複合化透明樹脂シート(c)の製造方法において、硬化前の該混合溶液中の揮発成分の含有量を該混合溶液に対して5重量%以下とすることを特徴とする、ガラスクロス複合化透明樹脂シートの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、線膨張係数が小さく、光学特性に優れ、ガラス基板を代替することが可能な光学シートに関するものであり、またそれを用いた表示素子用基板に関するものである。本発明の光学シートは、例えば液晶表示素子用基板、有機EL表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、太陽電池基板などに好適である。
一般に、液晶表示素子用や有機EL表示素子用の表示素子用基板、カラーフィルター基板、タッチパネル用基板、太陽電池基板には、ガラス基板が一般に用いられている。しかしながらガラス基板は、割れやすい、曲げられない、比重が大きく軽量化に不向きなどの理由から、近年、その代替物としてプラスチック基板が検討されている。
例えば、特許文献1や特許文献2には、エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤および硬化触媒を含むエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化体からなる液晶表示素子用透明樹脂基板が記載されている。しかしながら、これらの樹脂単独材料は、ガラス板に比べ線膨張係数が大きく、表示素子用基板の製造工程において反りやアルミ配線の断線などの問題が生じ、これらの用途への使用は困難である。したがって、表示素子用基板、特にアクティブマトリックス表示素子用基板に要求される、透明性、耐熱性等を満足しつつ線膨張係数の小さなプラスチック素材が求められている。
線膨張係数を低減するために、樹脂にガラス繊維等の無機フィラーを複合化することがよく行われているが、これらの樹脂と無機フィラーの複合化では、通常透明な複合材料は得られない。これは樹脂の屈折率と無機フィラーの屈折率が異なるため、樹脂と無機フィラーの界面で樹脂を透過した光が散乱することが主な原因である。このような問題を解決するため、樹脂の屈折率と無機フィラーの屈折率を一致させることで透明化することが種々検討されている。例えば、特許文献3や特許文献4には、環状オレフィン樹脂とガラス繊維との屈折率差を小さくすることにより、透明な複合材料が得られることが示されている。しかしながら、ここで用いられる環状オレフィン樹脂は熱可塑性樹脂であり、ガラス転移温度以上では弾性率が低下することは避けられない。
さらに、無機フィラーとしてガラスクロスを用いて、樹脂とガラスクロスを複合化し、樹脂とガラスクロスの屈折率を一致させて透明複合体組成物を得ることが行われている。
例えば、特許文献5や特許文献6には、ガラスクロスにエポキシ樹脂やアクリレート樹脂等の硬化樹脂を用い、屈折率とアッベ数を一致させることによって、線膨張係数が小さく透明性の高い複合材料が得られることが示されている。
このような樹脂と無機フィラーとを複合化して透明複合体シートを製造する際には、樹脂として汎用的な硬化樹脂であるエポキシ樹脂やアクリレート樹脂が用いられる。そして、これらの樹脂と無機フィラーとを複合する際には、エポキシ樹脂やアクリレート樹脂は硬化前の状態で高粘度のものが多いため、樹脂を適当な溶剤に溶解して低粘度の状態の樹脂ワニスという状態にして用いることが一般的である。そして、前記の透明複合体シートに無機物層を積層する際には通常は真空蒸着あるいはスパッタリングという方法がとられるが、該透明複合シートが樹脂ワニスに由来する揮発成分を含む場合は、無機物層を積層する際にこの揮発成分がガスとして発生し安定して均一な積層構造を製造が困難である。そこで、揮発成分の含有が少ない透明複合体シートの製造方法が求められていた。
特開平6−337408号 特開平7−120740号 特開平6−256604号 特開平6−305077号 特開2004−231934号 特開2004−51960号
本発明は、線膨張係数が小さく光学特性に優れ且つ揮発成分の残存が少ない樹脂シート及びその好適な製造方法を提供することを目的とする
本発明者は、樹脂とガラスクロスとを複合化することによって線膨張係数が小さく、樹脂として屈折率をガラスクロスと一致させたシリコーン系硬化性樹脂を用いることによって、耐熱性の高い透明樹脂シートが得られること、及び、その製造に際して揮発性の化合物の残存量を制限することによって揮発成分の残存量が少ない樹脂シートが得られることを見出して、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下に記載する通りのガラスクロス複合化透明樹脂シート及びその製造方法である。
(1)シリコーン樹脂(a−1)と硬化性樹脂(a−2)との混合溶液をガラスクロス(b)に含浸させたのち該混合溶液を硬化させることによって、硬化生成物であるシリコーン系硬化性樹脂(a)とガラスクロス(b)とを複合化させるガラスクロス複合化透明樹脂シート(c)の製造方法において、硬化前の該混合溶液中の揮発成分の含有量を該混合溶液に対して5重量%以下とすることを特徴とする、ガラスクロス複合化透明樹脂シートの製造方法。

(2)シリコーン樹脂(a−1)に含まれる揮発成分量をシリコーン樹脂に対して5重量%以下とした状態でシリコーン樹脂(a−1)を用いることを特徴とする、(1)に記載のガラスクロス複合化透明樹脂シートの製造方法。
(3)シリコーン樹脂(a−1)として、かご状のシルセスキオキサン化合物を用いることを特徴とする、(1)または(2)に記載のガラスクロス複合化透明樹脂シートの製造方法。
(4)(1)〜(3)に記載の製造方法で製造した、ガラスクロス複合化透明樹脂シート。
本発明のガラスクロス複合化透明樹脂シートの製造方法は、揮発成分の残存が少ない透明シリコーン系硬化性樹脂シートを製造できるという効果を有する。その結果、樹脂シートに無機物層を積層する際にガスの発生を抑制し、表面の割れや発泡を抑制しさらに表面の平滑性を維持することができる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のガラスクロス複合化透明樹脂シートは、シリコーン樹脂(a−1)及び硬化性樹脂(a−2)を原料とするシリコーン系硬化性樹脂(a)と、ガラスクロス(b)とを複合化することによって製造することができる。
本発明において使用するシリコーン系硬化性樹脂(a)は、シリコーン樹脂(a−1)と硬化性樹脂(a−2)とを混合した後、加熱あるいは光線を照射することによって硬化して得ることができる。また、シリコーン樹脂と硬化性樹脂の混合溶液が完全に硬化する前に該混合溶液にガラスクロスに含浸させておくことによってガラスクロス複合化透明樹脂シートを得ることができる。
本発明において使用するガラスクロス複合化透明シート(c)の製造方法は、シリコーン樹脂(a−1)と硬化性樹脂(a−2)の混合溶液を用い、該混合溶液を硬化させて樹脂シートを製造する際に、該硬化前の混合溶液中の揮発成分の量を低減させることを特徴としており、具体的には、硬化前の混合溶液中における揮発成分の存在量をシリコーン樹脂と硬化性樹脂の混合溶液に対して5重量%以下とする。より好ましくは3重量%以下とする。揮発成分の存在量が該混合溶液に対して5重量%よりも大きい場合は、樹脂の硬化反応終了後にガラスクロス複合化透明シートに残存する揮発成分量が、ガラスクロス複合化透明シートに対して無機物を積層し導電性付与やガスバリア性付与という表面処理プロセスに影響を及ぼす程度の揮発成分が残存しやすくなる。
なお、本発明における揮発成分とは、沸点150℃以下の化合物を示す。
本発明において使用するシリコーン樹脂(a−1)は、ケイ素、酸素、炭素、水素を必ず含む樹脂である。さらに、チタニウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウムなどの金属を含むことも可能である。
本発明において使用するシリコーン樹脂(a−1)は、アルコキシシランやクロロシランを主成分として水、触媒存在下で脱アルコール、脱水反応を行うゾルゲル反応によって合成することができる。ゾルゲル反応の溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル類、シクロへキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール類などが用いられる。
ゾルゲル反応の触媒としては、塩酸、硝酸、ギ酸、酢酸などの酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、トリエチルアミンなどの塩基類、ジブチルスズラウリレートなどの金属触媒を単独であるいは組み合わせて用いることができる。
アルコキシシランやクロロシランはアルキル基やアリル基を有する有機シランの単量体である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、グリシジロキシプロピル基、エポキシシクロヘキセニルエチル基、アクリレート基、メタアクリレート基などをあげることができる。
本発明ではシリコーン樹脂(a−1)は、揮発成分の含有量がシリコーン樹脂に対して5重量%以下であることが好ましい。この場合、揮発成分(沸点150℃以下の化合物)とは、具体的には、ゾルゲル反応に使用した溶媒、ゾルゲル反応時に副生するアルコール、水、さらにゾルゲル反応の未反応原料等である。
シリコーン樹脂(a−1)の揮発成分の含有量を5重量%以下にするためには、ゾルゲル反応の終了時に反応混合物を減圧下におくことで揮発成分を揮発除去することが好ましい。また、減圧時に加熱をすることも有効な方法である。
シリコーン樹脂(a−1)の揮発成分の含有量を5重量%以下にした場合、シリコーン樹脂は分子量が大きい場合は高粘度液体あるいは固体になる場合がある。高粘度液体あるいは固体のシリコーン樹脂は硬化性樹脂と均一に混合することは困難である。この場合は、加熱して溶解した後、硬化性樹脂と混合する方法や、溶媒を少量用いてシリコーン樹脂と硬化性樹脂を均一に混合した後、使用した溶媒を揮発除去する方法をとることができる。シリコーン樹脂と硬化性樹脂の混合溶液の粘度は好ましくは1ポイズ以下であることが好ましい。シリコーン樹脂(a−1)の粘度が低いものとしては、シリコーン樹脂(a−1)の分子量は小さい方が好ましい。具体的には重量平均分子量は10000以下が好ましく、さらに5000以下であることが好ましい。
本発明のシリコーン樹脂(a−1)として、かご状のシルセスキオキサン化合物を用いることも有効である。本発明においてかご状のシルセスキオキサン化合物とは、好ましくは一般にPOSSと呼ばれる、シラノール基を含まない8面体の構造を有するシリコーン樹脂を示す。かご状のシルセスキオキサン化合物は、減圧加熱して揮発成分を揮発除去することが容易である。また、シラノール基を含まないことからシリコーン系硬化性樹脂(a)の硬化反応時にシラノール縮合に由来する水の副生が抑制されることより、透明樹脂シートの残存揮発成分を低減することに有効である。
本発明のシリコーン樹脂(a−1)は、硬化してシートを形成する際に硬化性樹脂(a−2)と化学結合を形成する官能基を有することが好ましい。例えば、エポキシ樹脂の場合は、グリシジロキシプロピル基、エポキシシクロヘキセニルエチル基、アミノ基を有することが好ましく、硬化性樹脂が(メタ)アクリレート樹脂の場合は、アクリレート基、メタアクリレート基、ビニル基を有することが好ましい。
本発明において使用する硬化性樹脂(a−2)とは、常温では液状、半固形状または固形状であって常温下あるいは加熱下で流動性を示す比較的低分子量の物質を意味する。これらは硬化剤、触媒、熱あるいは光の作用によって硬化反応や架橋反応を起こして分子量を増大させながら網目状の三次元構造を形成してなる不溶不融性の樹脂となりうる。
本発明において用いられる硬化性樹脂としては、その硬化物が透明であり、かつシリコーン樹脂と混合しながら合成した硬化物が透明であればいずれも使用できる。例えば、透明性を有するエポキシ樹脂、アクリレート樹脂、硬化型ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などがあげられる。そのなかでも特に、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。
上記エポキシ樹脂とは、少なくとも2個以上のエポキシ基を有する有機化合物をいう。エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシメタン型エポキシ樹脂、テトラフェノールエタン型エポキシ樹脂、フルオレン含有エポキシ樹脂、ヘキサヒドロ無水フタル酸型エポキシ樹脂、テトラヒドロ無水フタル酸型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノ時フェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロへキサンカルボキシレート、脂環式アセタール型エポキシ樹脂、脂環式アジペート型エポキシ樹脂、脂環式カルボキシレート型エポキシ樹脂、ビニルシクロヘキセン型エポキシ樹脂などがあげられる。これらのエポキシ樹脂は単独、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。
本発明において使用するエポキシ樹脂は、硬化剤もしくは重合開始剤の存在下、加熱もしくは光線照射によって硬化して用いることが一般的である。本発明での硬化性樹脂とは硬化剤や硬化触媒を含めたものとして考える。用いる硬化剤、硬化触媒は、エポキシ樹脂の硬化に用いられるものであれば、特に限定されない。硬化剤は多官能アミン、ポリアミド、酸無水物、フェノール樹脂があげられ、硬化触媒はイミダゾール、オニウム塩があげられる。
硬化剤の具体例としては、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、メタキシレンジアミン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、フェノールノボラック、ポリサルファイド、トリオキサントリメチレンメルカプタン、2−ジメチルアミノフェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、3フッ化ホウ素エチルアミン錯体などがあげられる。
上記(メタ)アクリレート樹脂とは、少なくとも2個以上のアクリレート基および/またはメタアクリレート基を有する有機化合物をいう。これらの(メタ)アクリレート樹脂は単独、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。本発明において使用する(メタ)アクリレート樹脂は、重合開始剤の存在下、加熱もしくは光線照射によって硬化して用いることが一般的である。アクリレート樹脂の具体例としては、ジシクロペンタジエニルジアクリレート、ノルボルナンジメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチル変性トリメチロールプロパンジアクリレートなどがあげられる。
本発明で使用するガラスクロスは、可視光領域に吸収のないガラス繊維が用いられる。ガラスの種類は特に限定されないが、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、石英ガラスなどがあげられ、中でも入手が容易なSガラス、Tガラス、NEガラス、Eガラスが好ましい。また、好適なシランカップリング剤や各種界面活性剤、無機酸による洗浄等によって表面処理をガラスクロスに施すことで、ガラスクロスと樹脂の界面での濡れ性、親和性、密着性を高めることができる。
ガラスクロスの厚み、織り密度、織り組織は、目的とするシリコーン系硬化性樹脂シートに応じて選択される。また樹脂含浸性や表面凹凸を改良するために、ガラスクロスの糸束を物理的に開繊することは有効な手法である。
本発明のガラスクロス複合化透明樹脂シート(c)は、表示素子用基板に使用されるために透明である必要がある。そのためには、シリコーン系硬化性樹脂(a)とガラスクロス(b)の屈折率の差が小さい必要がある。ここでいう屈折率とは、ナトリウムD線(波長589nm)を用いて測定した値を言う。シリコーン系硬化性樹脂(a)とガラスクロス(b)の屈折率の差は、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であることが更に好ましい。屈折率の差が0.02より大きい場合、シリコーン系硬化性樹脂(a)とガラスクロス(b)の界面において樹脂を透過した光の散乱により、ガラスクロス複合化透明樹脂シート(c)は不透明になり、平行光線透過率の値も低くなる。
本発明のガラスクロス複合化透明樹脂シートの製造方法は特に限定されない。例えば、シリコーン樹脂と硬化樹脂、硬化剤を室温で混合し、ガラスクロスに含浸させて必要な型枠に注型した後、加熱および/あるいは光線照射して硬化する方法、シリコーン樹脂と硬化樹脂、硬化剤を溶剤で希釈して粘度調整したのちガラスクロスに含浸させ、溶剤を除去した後、加熱および/あるいは光線照射によって硬化させる方法などがあげられる。その際の加熱には、プレス成形機、真空プレス成形機などを用いることが硬化反応とシート成形反応を同時に行うことが可能であるので好ましい。特に、本発明においては真空プレス成型機を用いることはガラスクロス複合化透明樹脂シート(c)の残存する揮発成分を低減することに有利である。
以下に、本発明を製造例、実施例、比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、樹脂およびガラスクロス複合化透明樹脂シートの各種物性の測定方法は次のとおりである。
[重量平均分子量の測定]
東ソー製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)HLC−8220を用いて、ポリスチレン換算により測定した。
[残存溶媒の測定]
島津製作所製GC(ガスクロマトグラフィー)GC−1700を用いて、内標準法を用いて測定した。
[屈折率の測定]
アタゴ社製アッベ屈折率計DR−M2を用いて、23℃で波長589nmの屈折率を測定した。
[樹脂シートの揮発成分量の測定]
島津製作所製熱重量測定装置TGA−50を用いて、200℃で2時間ホールドしたときの重量減少の変化を測定した。
[線膨張係数の測定]
セイコーインスツルメンツ社製TMA/SS120を用いて、1分間に5℃の割合で30℃から330℃まで温度を上昇させ、線膨張係数を測定した。チャック間の距離は10mm、サンプル幅2mm、荷重10gにし引張りモードで測定した。下記式に従い50℃と300℃との間での平均のサンプル長さの変化率ΔLを線膨張係数とした。
ΔL=(L300−L50)/L50/(300−50)
但し、50℃でのサンプル長をL50、300℃でのサンプル長をL300とする。
[製造例1](シリコーン樹脂の製造例1)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン50.0gと水11.44gとジブチル錫ジラウリレート0.535gとテトラヒドロフラン25.0gを200mlの2つ口フラスコに仕込み、80℃にて5時間反応させた。反応終了後、80℃1時間、減圧下で溶媒を除去することによりシリコーン樹脂(以下、SR−1とする)37.9gを得た。得られた化合物の重量平均分子量は1300で、エポキシ当量は188であった。得られた単離物をGCで測定したところ、揮発成分はテトラヒドロフランとメタノールであり、その重量の合計は、シリコーン樹脂に対して2.4重量%であった。
[実施例1]
製造例1で合成したシリコーン樹脂(SR−1)0.96gと水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製エピクロンEXA−7015)1.20gを室温で混合し、さらにカチオン重合系エポキシ硬化触媒(旭電化工業株式会社製、アデカオプトンCP−66)0.12gを室温で混合することによって混合溶液を得た。この混合溶液中の揮発成分はテトラヒドロフランとメタノールであり、揮発性分量は混合溶液に対して1.0重量%であった。得られた混合溶液を厚さ100μmのNEガラス系ガラスクロス(日東紡製、屈折率1.51)に含浸し、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃1時間、さらに温度250℃1時間かけて硬化することによってガラスクロス複合化樹脂シートを得た。得られたガラスクロス複合化樹脂シートは、厚さ110μmで、屈折率は1.511であり、透明であった。また、このガラスクロス複合化樹脂シートの揮発成分量を、TGAを用いて測定した。TGAのチャートを図1に示す。200℃2時間後の重量減少量は0.7%であった。また、線膨張係数は16ppm/Kであった。
[製造例2](シリコーン樹脂の製造例2)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン30.0gとフェニルトリメトキシシラン25.2gと水13.7gとギ酸2.34gとトルエン27.6gを200mlの2つ口フラスコに仕込み、80℃にて3時間反応させた。反応終了後、80℃1時間、減圧下で溶媒を除去することによりシリコーン樹脂(以下、SR−2とする)41.5gを得た。得られた化合物の重量平均分子量は3000で、エポキシ当量は408であった。得られた単離物をGCで測定したところ、揮発成分はトルエンとメタノールであり、その重量の合計は、シリコーン樹脂に対して3.0重量%であった。
[実施例2]
製造例2で合成したシリコーン樹脂(SR−2)1.20gと水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロンEXA−7015)0.84gを室温で混合し、さらに4、4’―ジアミノジシクロヘキシルメタン(和光純薬工業株式会社製)0.37gを室温で素早く混合することによって混合溶液を得た。この混合溶液中の揮発成分はトルエンンとメタノールであり、揮発性分量は混合溶液に対して1.5重量%であった。この混合溶液を、100μmのTガラス系ガラスクロス(日東紡製、屈折率1.52)に含浸し、プレス機内で圧力7MPaに維持しながら温度150℃1時間、さらに温度250℃1時間かけて硬化することによってガラスクロス複合化樹脂シートを得た。得られたガラスクロス複合化樹脂シートは、厚さ110μmで、屈折率は1.522であり、透明であった。また、このガラスクロス複合化樹脂シートの揮発成分量を測定した。200℃2時間後の重量減少量は0.9%であった。また、線膨張係数は14ppm/Kであった。
[製造例3](シリコーン樹脂の製造例3)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン30.0gとフェニルトリメトキシシラン25.2gと水13.7gとギ酸2.34gとプロピレングリコール−1−モノエーテル−2−アセタート(東京化成工業製)27.6gを200mlの2つ口フラスコに仕込み、80℃にて3時間反応させた。反応終了後、80℃1時間、減圧下で溶媒を除去することによりシリコーン樹脂(以下、SR−3とする)41.5gを得た。得られた化合物の重量平均分子量は8000で、エポキシ当量は508であった。得られた単離物をGCで測定したところ、揮発成分はプロピレングリコール−1−モノエーテル−2−アセタートとメタノールであり、その重量の合計は、シリコーン樹脂に対して14.0重量%であった。
[比較例1]
製造例3で合成したシリコーン樹脂(SR−3)0.96gと水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、エピクロンEXA−7015)1.20gを室温で混合し、さらにカチオン重合系エポキシ硬化触媒(旭電化工業株式会社製、アデカオプトンCP−66)0.12gを室温で混合することによって混合溶液を得た。この混合溶液中の揮発成分はメタノールとプロピレングリコール−1−モノエーテル−2−アセタートであり、揮発性分量は混合溶液に対して5.9重量%であった。この混合溶液を厚さ100μmのTガラス系ガラスクロス(日東紡製、屈折率1.52)に含浸し、プレス機内で圧力5MPaに維持しながら温度150℃1時間、さらに温度250℃1時間かけて硬化することによってガラスクロス複合化樹脂シートを得た。得られたガラスクロス複合化樹脂シートは、厚さ110μmで、屈折率は1.524であり、透明であった。また、このガラスクロス複合化樹脂シートの揮発成分量を、TGAを用いて測定した。TGAのチャートを図2に示す。200℃2時間後の重量減少量は1.7%であった。実施例1、実施例2と比較して揮発した揮発成分の量が大きいことは明らかである。また、線膨張係数は18ppm/Kであった。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2007091963
本発明のガラスクロス複合化透明樹脂シートは、液晶表示素子用基板、有機EL表示素子用基板、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、太陽電池基板の分野で好適に利用できる。
実施例1に係わるTGAのチャートである。 比較例1に係わるTGAのチャートである。

Claims (4)

  1. シリコーン樹脂(a−1)と硬化性樹脂(a−2)との混合溶液をガラスクロス(b)に含浸させたのち該混合溶液を硬化させることによって、硬化生成物であるシリコーン系硬化性樹脂(a)とガラスクロス(b)とを複合化させるガラスクロス複合化透明樹脂シート(c)の製造方法において、硬化前の該混合溶液中の揮発成分の含有量を該混合溶液に対して5重量%以下とすることを特徴とする、ガラスクロス複合化透明樹脂シートの製造方法。
  2. 硬化前のシリコーン樹脂(a−1)中に含まれる揮発成分量を5重量%以下とすることを特徴とする、請求項1に記載のガラスクロス複合化透明樹脂シートの製造方法。
  3. シリコーン樹脂(a−1)として、かご状シルセスキオキサン化合物を用いることを特徴とする、請求項1または2に記載のガラスクロス複合化透明樹脂シートの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で製造した、ガラスクロス複合化透明樹脂シート。
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