JP2007088141A - 基板処理装置 - Google Patents

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英明 松原
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Abstract

【課題】 気体供給手段の開口形状を工夫することにより、処理液面を波立たせずに気体を供給して、引き上げ乾燥時に欠陥を防止することができる。
【解決手段】 ドライエアは、供給ノズル33から供給されているが、その開口の高さが適切に設定されているので、噴流理論における気体の流れの「展開領域」が内槽1の幅のうち排気口35側にまで到達する。したがって、ドライエアは、拡がりが抑制されたまま内槽1の一端側から他端部に到達するので、内槽7の液面が波立つことを防止できる。その結果、引き上げ乾燥時に基板Wに処理液の飛沫が付着するのを防止することができ、基板Wに欠陥が生じるのを防止できる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、半導体ウエハや液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に基板と称する)等の基板を処理する基板処理装置に係り、特に、基板を処理液から引き上げて基板を乾燥させる技術に関する。
従来、この種の装置として、処理液を貯留し、基板を処理液に浸漬させて処理する処理槽と、基板を起立姿勢で保持するとともに、処理槽内と処理槽の上方にわたって昇降する保持機構と、処理槽の上方に配備され、水平方向に乾燥気体を供給するためのノズルとを備えた基板処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。この装置では、処理槽による基板への処理を終えた後、保持機構を上昇させる際に、ノズルから乾燥気体を供給して、処理液から露出した基板部位を順次に乾燥させる引き上げ乾燥を行う。
特開平11−354488号公報
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、ノズルの開口の高さが小さいと、ノズルから噴出した気体がすぐに拡がってしまい、処理槽からオーバーフローする処理液の液面を波立たせる。これにより処理液が飛散して、乾燥された基板部位に飛沫が付着するという問題がある。このような処理液の飛散が生じると、基板にウォーターマークと呼ばれる欠陥が生じることになる。また、ノズルの開口高さが大きいと、乾燥気体の流速が低くなるので、基板を乾燥するのに時間を要するという問題が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、気体供給手段の開口形状を工夫することにより、処理液面を波立たせずに気体を供給して、引き上げ乾燥時に欠陥を防止することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を処理液から引き上げて基板を乾燥させる基板処理装置において、処理液を貯留する処理槽と、基板を起立姿勢で保持しつつ、基板を前記処理槽内とその上方にわたって昇降させる昇降保持手段と、前記昇降保持手段が前記処理槽に貯留された処理液から基板を上昇させる際に、前記処理槽の上方において前記処理槽の一端側から他端側に向けて基板の主面に沿ってほぼ水平に気体を供給するとともに、噴流理論における流れの展開領域を前記処理槽の他端側に到達させる開口形状を有する気体供給手段と、を備えていることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、昇降保持手段が基板を処理槽内から引き上げる際に、気体供給手段が処理槽の一端側から他端側に向けて気体を供給する。気体供給手段の開口形状は、噴流理論における流れの「展開領域」が処理槽の一端側から他端側に到達するものにされている。この「展開領域」においては、平均速度が全く衰えない「くさび型」の領域(ポテンシャル・コアと呼ばれる)が存在する。したがって、気体供給手段から供給された気体は、拡がりが抑制されたまま処理槽の一端側から他端部に到達するので、液面が波立つことを防止できる。その結果、引き上げ乾燥時に基板に処理液の飛沫が付着するのを防止することができ、基板に欠陥が生じるのを防止することができる。
本発明において、気体供給手段の開口の高さを、処理槽の一端側から他端側までの1/8〜1/5としたことが好ましい(請求項2)。噴流理論によると、一般に開口の高さを2bとした場合には、展開領域の長さが10b〜14b程度とされる。ここで、処理槽の他端側における波立ちの影響が小さいことを考慮して、処理槽の長さを10b〜16bと想定すると、処理液供給手段の開口高さは、その1/5〜1/8、つまり1/8〜1/5の範囲となる。1/8より小さい場合には、気体が拡がりやすくなって処理液の波立ちが生じやすい一方、1/5より大きい場合には、気体の流量を大きくしないと効果が得られない。
本発明において、処理槽を挟んだ気体供給手段の対向位置に、気体を排気する排気手段をさらに備えることが好ましい(請求項3)。基板に対して供給され、液滴を含んだ状態の気体が円滑に排出されるので、基板の乾燥を効率よく行うことができる。
本発明において、気体供給手段は、前記開口の反対側にあたり、気体が供給される側にパンチングボードを備えることが好ましい(請求項4)。パンチングボードにより整流されるので、気体供給手段の開口から供給されて基板へ向かう気体の乱れを抑制することができる。
本発明において、気体供給手段は、前記開口と前記パンチングボードとの間の長さが、前記開口の高さの少なくとも2倍に設定されていることが好ましい(請求項5)。パンチングボードの整流効果に加え、開口とパンチングボードの長さを開口の高さの2倍以上にすることにより、さらなる整流効果が期待できる。
本発明に係る基板処理装置によれば、気体供給手段の開口形状は、噴流理論における気体の流れの「展開領域」が処理槽の一端側から他端側に到達するものにされているので、気体が拡がりを抑制されたまま処理槽の一端側から他端部に到達する。したがって、液面が波立つことを防止でき、引き上げ乾燥時に基板に処理液の飛沫が付着するのを防止することができる。その結果、引き上げ乾燥時に基板に欠陥が生じるのを防止できる。
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例に係る実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す縦断面図である。
本実施例における基板処理装置は、例えば、基板Wに対して薬液処理及び洗浄処理並びに乾燥処理を施すための装置であり、処理槽1と、この処理槽1の周囲を覆うチャンバー3とを備えている。チャンバー3は、処理槽1の上方と周囲とに空間を有して処理槽1を覆うものであり、その上部に基板Wを搬入出するための開口5を備えている。処理槽1は、処理液を貯留し、基板Wを処理液に浸漬して洗浄処理やエッチング処理などを施すための槽である。
処理槽1は、処理液を貯留するとともに基板Wを収容する内槽7(本発明の処理槽に相当)と、外槽9とを備えている。内槽7は、その底面両側に、処理液を供給する注入管11が一対設けられている。外槽9は、内槽7の上部開口の側方を囲うように設けられ、内槽7から溢れた処理液を回収して排出する。内槽7の底部中央には開閉自在であって、処理液を排出する排出口13が形成されている。また、チャンバー3の底部には、処理液や乾燥気体などを外部に排出する排出口15が形成されている。
なお、内槽1の幅wdは、例えば、200mm径の基板Wを処理する装置である場合、約24cmである。この場合における幅wdは、内槽1の物理的な寸法というよりも、処理液がオーバーフローする領域の幅である。
処理槽1の注入管11には、処理液供給管17の一端側が連通接続されている。その他端側には、純水供給源19が連通接続されている。処理液供給管17には、下流側から順に、制御弁21とミキシングバルブ23が取り付けられている。ミキシングバルブ23は、複数種類の薬液供給源に連通した薬液配管が連通接続されており、処理に応じて適宜の薬液を処理液供給配管17に注入する。
本発明における昇降保持手段に相当する保持機構25は、背板27と、ガイド29とを備えている。背板27は板状部材を備え、図示しない搬送機構に懸垂姿勢で取り付けられているとともに、処理槽1の内壁面に沿って昇降自在である。その下端部正面側には、複数枚の基板Wを起立姿勢で保持するための3つのガイド29が長手方向を水平に取り付けられている。保持機構25は、昇降機構31により、内槽7の内部にあたる「処理位置」と、内槽7の上方かつチャンバー3の内部にあたる「乾燥位置」と、チャンバー3の上方にあたる「待機位置」とにわたって移動可能である。
チャンバー3は、処理槽1の上方かつ開口5の下方に位置する、基板Wの搬入出経路を挟んで対向する側面の位置に、本発明における気体供給手段に相当する供給ノズル33と、排気手段に相当する排気口35とを備えている。供給ノズル33は、処理槽1の一端側(図1の左側)から他端側(図1の右側)に向けてほぼ水平に気体を供給するものであり、この供給ノズル33に供給管37が連通接続されている。この供給管37には、開閉弁39が取り付けられている。また、排気口35には排気管41が連通接続され、この排気管41には開閉弁43が取り付けられている。供給管37は、例えば、ドライエアを供給する気体供給部45に連通接続されている。開閉弁39及び開閉弁43が開放された際には、供給ノズル33から流入したドライエアが排気口35を通してチャンバー3から排気される。
なお、上述した制御弁21と、保持機構25と、開閉弁39と、開閉弁43と、気体供給部45は、制御部47によって統括的に制御される。
次に、供給ノズル33の構成について説明する。なお、図2は、供給ノズルの縦断面図であり、図3は、供給ノズルの正面図である。
供給ノズル33は、枠体49を備え、一方がドライエアを供給される供給部51であり、他方がドライエアを噴射する噴射部53である。枠体49は、内部を縦横に細分化するための格子状の仕切板55を備えているとともに、供給部51側に複数個の小孔が形成されたパンチングボード57が取り付けられている。このパンチングボード57によりドライエアが整流されるので、噴射部53から基板Wへ向かうドライエアの乱れを抑制することができる。この供給ノズル33の開口形状は、後述するように噴流理論における気体の流れの展開領域が上述した内槽1の幅wdに達するようにしてある。具体的には、枠体49の噴射部53の開口の高さhが、幅wdの1/8〜1/5にあたる3〜4.8cmの範囲に設定してある。なお、噴射部53とパンチングボード57との間の長さ(供給ノズル33の長さ)は、開口の高さhの2倍を超える10cm程度が好ましい。
上記の開口の高さhが幅wdの1/8より小さい場合には、気体が拡がりやすくなって処理液の波立ちが生じやすい一方、幅wdの1/5より大きい場合には、気体の流量を大きくしないと効果が得られない。なお、噴射部53とパンチングボード57の間を開口の高さhの2倍以上にすることにより、さらなる整流効果が期待できる。
ここで図4を参照する。なお、図4(a)、(b)は噴流理論の説明に供する図である。
噴流理論においては、ノズルから吹き出した流体が次のような挙動を示す(図4(a)参照)。なお、流体の進行方向をx軸とし、その進行方向に垂直な方向をy軸とする。ノズルから流体が吹き出すと、まず外部からの流れの乱れが次第に浸透してゆく流れの展開領域r1が発生し、続いて外部からの乱れがx軸に達する完全発達領域r2となる。流れの展開領域r1では、平均速度が全く衰えないくさび形の領域が存在し、この領域はポテンシャル・コアpcと呼ばれる。完全発達領域r2では、外部からの乱れにより、y軸方向の速度成分が大きくなり、x軸方向の速度は小さくなる。
図4(b)に示すように、ノズルの開口の高さを2bとすると、ポテンシャル・コアpcはほぼ12bの長さになる。なお、文献によっては、10〜14bとなっている。但し、処理槽1の他端側(排気口35側)では、ポテンシャル・コアpcがなくなって完全展開領域r2となっても処理液の飛沫が基板Wに付着する可能性が極めて低く影響がほとんどない。この理由により、本実施例では、ポテンシャル・コアpcを10〜16bとし、上述したように開口の高さhを幅wdの1/8〜1/5の範囲とした。
次に、図5及び図6を参照して、上述したように構成された基板処理装置における動作について説明する。なお、図5及び図6は、動作説明に供する図である。
なお、予め制御弁21が開放されて所定の流量で純水供給源19から純水が供給され、注入管11を介して処理槽1の内槽7に純水が処理液として供給されているものとする。この例では、処理は純水洗浄だけとするが、例えば、ミキシングバルブ23を介して薬液を純水に混合し、薬液を含む処理液による処理(例えば、フッ化水素酸を含む処理液によるエッチング処理)を純水による洗浄処理の前に行うようにしてもよい。
制御部47は、基板Wを受け取っている保持機構25を制御し、開口5を介して「待機位置」から処理槽1内に下降させる。具体的には、基板Wを内槽1内の「処理位置」に下降させ(図5)、基板保持機構25にその高さ位置を維持させる。基板Wが「処理位置」に達すると、チャンバー3の上部を閉止してチャンバー3内を閉塞する。そして、この状態を所定時間だけ維持して、基板Wに対して所定の洗浄処理を施す。
所定時間が経過、つまり、洗浄処理が完了すると、開閉弁39を開放する(図6)。すると、供給ノズル33からドライエアが供給され、排気口35を通して排出される。そして、制御部47が保持機構25の上昇を制御し、「処理位置」から次第に上昇させてチャンバー3内の「乾燥位置」に向かって上昇させる。
このとき、保持機構25の上昇に伴って液面から徐々に露出する基板Wは、ドライエアの流れによって乾燥される。ドライエアは、供給ノズル33から供給されているが、上述したように開口の高さhが適切に設定されているので、噴流理論における流れの「展開領域」が内槽7の幅wdのうち排気口35側にまで到達する。したがって、ドライエアは、拡がりが抑制されたまま内槽7の一端側から他端部に到達するので、内槽7の液面が波立つことを防止できる。その結果、引き上げ乾燥時に基板Wに処理液の飛沫が付着するのを防止することができ、基板Wに欠陥が生じるのを防止できる。また、排気口35を備えているので、基板Wに対して供給され、液滴を含んだ状態のドライエアが円滑に排出されるので、基板Wの乾燥を効率よく行うことができる。
乾燥処理が完了すると、チャンバー3の開口5を開放するとともに、制御部47は保持機構25の上昇を制御し、「乾燥位置」から上昇させて、チャンバー3の上方の「待機位置」に向かって上昇させる。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、気体供給部45がドライエアを供給するものであるが、例えば、ドライ窒素などを供給するものであってもよい。
(2)上述した装置では、供給ノズル33のパンチングボード25と噴射部53の間の長さを開口の高さhの2倍を超える長さとしているが、パンチングボード25による整流効果で十分な場合には、その長さを開口の高さhの2倍未満としてもよい。
(3)上記の装置では、供給ノズル33に格子状の仕切板55を備えているが、これを省略した構成としてもよい。
実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す縦断面図である。 供給ノズルの縦断面図である。 供給ノズルの正面図である。 (a)、(b)は噴流理論の説明に供する図である。 動作説明に供する図である。 動作説明に供する図である。
符号の説明
W … 基板
1 … 処理槽
7 … 内槽
11 … 注入管
25 … 保持機構
33 … 供給ノズル
35 … 排気口
45 … 気体供給部
47 … 制御部
49 … 枠体
51 … 供給部
53 … 噴射部
55 … 仕切板
57 … パンチングボード
h … 開口の高さ
r1 … 展開領域
r2 … 完全発達領域
pc … ポテンシャル・コア

Claims (5)

  1. 基板を処理液から引き上げて基板を乾燥させる基板処理装置において、
    処理液を貯留する処理槽と、
    基板を起立姿勢で保持しつつ、基板を前記処理槽内とその上方にわたって昇降させる昇降保持手段と、
    前記昇降保持手段が前記処理槽に貯留された処理液から基板を上昇させる際に、前記処理槽の上方において前記処理槽の一端側から他端側に向けて基板の主面に沿ってほぼ水平に気体を供給するとともに、噴流理論における流れの展開領域を前記処理槽の他端側に到達させる開口形状を有する気体供給手段と、
    を備えていることを特徴とする基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置において、
    前記気体供給手段の開口の高さを、前記処理槽の一端側から他端側までの1/8〜1/5としたことを特徴とする基板処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の基板処理装置において、
    前記処理槽を挟んだ前記気体供給手段の対向位置に、気体を排気する排気手段をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
    前記気体供給手段は、前記開口の反対側にあたり、気体が供給される側にパンチングボードを備えることを特徴とする基板処理装置。
  5. 請求項4に記載の基板処理装置において、
    前記気体供給手段は、前記開口と前記パンチングボードとの間の長さが、前記開口の高さの少なくとも2倍に設定されていることを特徴とする基板処理装置。
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