JP2007087627A - 燃料電池、電子機器、移動体、発電システムおよびコージェネレーションシステム - Google Patents

燃料電池、電子機器、移動体、発電システムおよびコージェネレーションシステム Download PDF

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Abstract

【課題】 正極および負極の少なくとも一方に酵素が固定化されている場合に、高出力動作時にも充分な緩衝能を得ることができ、酵素が本来持っている能力を充分に発揮することができ、優れた性能を有する燃料電池を提供する。
【解決手段】 正極2と負極1とが緩衝物質を含む電解質層3を介して対向した構造を有し、正極2および負極1の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、少なくともその酵素の周囲の電解質層3に含まれる緩衝物質の濃度を0.2M以上2.5M以下、好ましくは0.4M以上2M以下にする。負極1に固定化される酵素はジアホラーゼやグルコースデヒドロゲナーゼ、正極2に固定化される酵素はビリルビンオキシダーゼなどである。緩衝物質としてはNaH2 PO4 など、燃料としてはグルコースなどを用いる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、正極および負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池ならびにこの燃料電池を用いる電子機器、移動体、発電システムおよびコージェネレーションシステムに関する。
燃料電池は、正極(酸化剤極)と負極(燃料極)とが電解質(プロトン伝導体)を介して対向した構造を有する。従来の燃料電池では、負極に供給された燃料(水素)が酸化されて電子とプロトン(H+ )とに分離し、電子は負極に渡され、H+ は電解質を通って正極まで移動する。正極では、このH+ が、外部から供給された酸素および負極から外部回路を通って送られた電子と反応してH2 Oを生成する。
このように、燃料電池は燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する高効率な発電装置であり、天然ガス、石油、石炭などの化石エネルギーが持つ化学エネルギーを使用場所や使用時によらずに、しかも高い変換効率で電気エネルギーとして取り出すことができる。このため、従来から大規模発電用途などとしての燃料電池の開発研究が活発に行われている。例えば、スペースシャトルに燃料電池が搭載され、電力と同時に乗組員用の水を補給できることや、クリーンな発電装置であることを証明した実績がある。
さらに、近年、固体高分子型燃料電池など、室温から90℃程度の比較的低温の作動温度域を示す燃料電池が開発され、注目を集めている。このため、大規模発電用途のみならず、自動車の駆動用電源、パーソナルコンピュータやモバイル機器などのポータブル電源などの小型システムへの応用が模索されつつある。
このように、燃料電池は大規模発電から小規模発電まで幅広い用途が考えられ、高効率な発電装置として多くの注目を集めている。しかしながら、燃料電池では、燃料として通常、天然ガス、石油、石炭などを改質器により水素ガスに変換して用いており、限りある資源を消費するとともに、高温に加熱する必要があったり、白金(Pt)などの高価な貴金属の触媒を必要としたりするなど、いろいろと問題点がある。また、水素ガスやメタノールを直接燃料として用いる場合でも、その取り扱いには注意を要する。
そこで、生物内で行われている生体代謝が高効率なエネルギー変換機構であることに着目し、これを燃料電池に適用する提案がなされている。ここでいう生体代謝には、微生物体細胞内で行われる呼吸、光合成などが含まれる。生体代謝は、発電効率が極めて高く、また、室温程度の穏やかな条件で反応が進行するという特長を兼ね備えている。
例えば、呼吸は、糖類、脂肪、タンパク質などの栄養素を微生物または細胞内に取り込み、これらの化学エネルギーを、数々の酵素反応ステップを有する解糖系およびトリカルボン酸(TCA)回路を介して二酸化炭素(CO2 )を生成する過程でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)とすることで酸化還元エネルギー、すなわち電気エネルギーに変換し、さらに電子伝達系においてこれらのNADHの電気エネルギーをプロトン勾配の電気エネルギーに直接変換するとともに酸素を還元し、水を生成する機構である。ここで得られた電気エネルギーは、アデノシン三リン酸(ATP)合成酵素を介して、アデノシン二リン酸(ADP)からATPを生成し、このATPは微生物や細胞が生育するために必要な反応に利用される。このようなエネルギー変換は、細胞質ゾルおよびミトコンドリアで行われている。
また、光合成は、光エネルギーを取り込み、電子伝達系を介してニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+ )を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)とすることで電気エネルギーに変換する過程で、水を酸化し酸素を生成する機構である。この電気エネルギーは、CO2 を取り込み炭素固定化反応に利用され、炭水化物の合成に利用される。
上述したような生体代謝を燃料電池に利用する技術としては、微生物中で発生した電気エネルギーを電子メディエーターを介して微生物外に取り出し、この電子を電極に渡すことで電流を得る微生物電池が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、微生物および細胞には化学エネルギーから電気エネルギーへの変換といった目的の反応以外にも不要な機能が多く存在するため、上述した方法では望まない反応に電気エネルギーが消費されて充分なエネルギー変換効率が発揮されない。
そこで、酵素を用いて所望の反応のみを行う燃料電池(バイオ燃料電池)が提案されている(例えば、特許文献2、3、4参照。)。このバイオ燃料電池は、燃料を酵素により分解してプロトンと電子とに分離するもので、燃料としてメタノールやエタノールのようなアルコール類あるいはグルコースのような単糖類を用いたものが開発されている。
このバイオ燃料電池においては一般に、電解質に緩衝物質(緩衝液)が含まれている。これは、触媒として用いられる酵素が溶液のpHに非常に敏感であることから、緩衝物質により酵素が機能し易いpH付近に制御するためである。従来、この電解質に含まれる緩衝物質の濃度は0.1Mかそれ以下が一般的であった。これは、緩衝物質の濃度はpHを一定にするために必要な最低限までなるべく希薄にし、適当な無機イオンや有機イオンを加えて生理的条件に近づけることが通例であったためである。
特開2000−133297号公報 特開2003−282124号公報 特開2004−71559号公報 特開2005−13210号公報
しかしながら、本発明者らの研究によれば、バイオ燃料電池により得られる電流値が非常に小さい場合には、電解質に含まれる緩衝物質の濃度が0.1Mかそれ以下であっても充分な緩衝能が得られるが、正極および負極の少なくとも一方に、カーボン多孔質体などの高表面積な電極上に酵素を固定化したものを用いたり、固定化する酵素の濃度を高くしたりすることにより高出力化されたバイオ燃料電池においては、緩衝能は不充分であり、酵素の周囲の電解質のpHが至適pHからずれてしまい、酵素が本来持っている能力を充分に発揮できなかった。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、正極および負極の少なくとも一方に酵素が固定化されている場合に、高出力動作時にも充分な緩衝能を得ることができ、酵素が本来持っている能力を充分に発揮することができ、優れた性能を有する燃料電池を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記のような優れた燃料電池を用いた電子機器、移動体、発電システムおよびコージェネレーションシステムを提供することである。
本発明者らは、従来技術が有する上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、正極および負極の少なくとも一方に酵素が固定化されている燃料電池(バイオ燃料電池)において、高出力動作時に充分な緩衝能を得ることができなくなるのは、プロトンを介する酵素反応により、プロトンの増減が電極内部または酵素の固定化膜内で起こったときの緩衝作用が、電解質に含まれる緩衝物質の濃度が0.1Mあるいはそれ以下では弱すぎるためであり、これを防止するためには、緩衝物質の濃度を従来より大幅に高くする必要があるという結論に至った。具体的には、種々検討を行った結果、緩衝物質の濃度を従来の2倍以上の0.2M以上に高くすることが有効であり、こうすることで出力電流値は数倍以上に増加することを見出した。一方、緩衝物質の濃度は、2.5Mを超えると出力電流値はかえって低下することも見出した。すなわち、バイオ燃料電池において、高出力動作時にも充分な緩衝能を得ることができ、酵素が本来持っている能力を充分に発揮することができるようにするためには、電解質に含まれる緩衝物質の濃度を0.2M以上2.5M以下にすることが有効である。
この発明は、本発明者らが独自に得た上記の知見に基づいて案出されたものである。
すなわち、上記課題を解決するために、
第1の発明は、
正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下である
ことを特徴とするものである。
ここで、緩衝物質の濃度は、充分に高い緩衝能を得る観点より、好適には0.2M以上2M以下、より好適には0.4M以上2M以下、さらに好適には0.8M以上1.2M以下である。緩衝物質は、一般的には、pKa が6以上9以下のものであれば、どのようなものを用いてもよいが、具体例を挙げると、リン酸二水素イオン(H2 PO4 - )、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(略称トリス)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、カコジル酸、炭酸(H2 CO3 )、クエン酸水素イオン、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−3−プロパンスルホン酸(HEPPS)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(略称トリシン)、グリシルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(略称ビシン)などである。リン酸二水素イオン(H2 PO4 - )を生成する物質は、例えば、リン酸二水素ナトリウム(NaH2 PO4 )やリン酸二水素カリウム(KH2 PO4 )などである。緩衝物質を含む電解質のpHは、好適には7付近であるが、一般的には1〜14のいずれであってもよい。
正極および負極の少なくとも一方に固定化する酵素は種々のものであってよく、必要に応じて選ばれる。また、正極および負極の少なくとも一方には、好適には、酵素に加えて電子メディエーターが固定化される。
負極に固定化される酵素は、例えば、燃料としてグルコースのような単糖類を用いる場合には、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含み、通常はこれに加えて酸化酵素によって還元される補酵素を酸化体に戻す補酵素酸化酵素を含む。この補酵素酸化酵素の作用により、補酵素が酸化体に戻るときに電子が生成され、補酵素酸化酵素から電子メディエーターを介して電極に電子が渡される。酸化酵素としては例えばNAD+ 依存型グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、補酵素としては例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )が、補酵素酸化酵素としては例えばジアホラーゼが用いられる。
燃料として多糖類(広義の多糖類であり、加水分解によって2分子以上の単糖を生じる全ての炭水化物を指し、二糖、三糖、四糖などのオリゴ糖を含む)を用いる場合には、好適には、上記の酸化酵素、補酵素酸化酵素、補酵素および電子メディエーターに加えて、多糖類の加水分解などの分解を促進し、グルコースなどの単糖類を生成する分解酵素も固定化される。多糖類としては、具体的には、例えば、デンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、マルトース、スクロース、ラクトースなどが挙げられる。これらは単糖類が二つ以上結合したものであり、いずれの多糖類においても結合単位の単糖類としてグルコースが含まれている。なお、アミロースとアミロペクチンとはデンプンに含まれる成分であり、デンプンはアミロースとアミロペクチンとの混合物である。多糖類の分解酵素としてグルコアミラーゼを用い、単糖類を分解する酸化酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼを用いた場合には、グルコアミラーゼによりグルコースにまで分解することができる多糖類、例えばデンプン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、マルトースのいずれかを含むものであれば、これを燃料として発電することが可能となる。なお、グルコアミラーゼはデンプンなどのα−グルカンを加水分解しグルコースを生成する分解酵素であり、グルコースデヒドロゲナーゼはβ−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化する酸化酵素である。多糖類を分解する分解酵素も負極上に固定化される構成とし、最終的に燃料となる多糖類も負極上に固定化される構成としてもよい。
また、デンプンを燃料とする場合には、デンプンを糊化してゲル状の固形化燃料としたものを用いることもできる。この場合、糊化したデンプンを酵素などが固定化された負極に接触させる、あるいは負極上に酵素などともに固定化する方法をとることができる。このような電極を用いると、負極表面のデンプン濃度を、溶液中に溶解したデンプンを用いた場合よりも高い状態に保持することができ、酵素による分解反応がより速くなり、出力が向上するとともに、燃料の取り扱いが溶液の場合よりも容易で、燃料供給システムを簡素化することができ、しかも燃料電池を天地無用とすることができるため、例えばモバイル機器に用いたときに非常に有利である。
一方、正極に固定化される酵素は、酸化酵素を含む。この酸化酵素としては、例えば、ビリルビンオキシダーゼ(BOD)を用いることができる。
この燃料電池は、およそ電力が必要なもの全てに用いることができ、大きさも問わないが、例えば、電子機器、移動体、動力装置、建設機械、工作機械、発電システム、コージェネレーションシステムなどに用いることができ、用途などによって出力、大きさ、形状、燃料の種類などが決められる。
第2の発明は、
一つまたは複数の燃料電池を用いる電子機器において、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下であるものである
ことを特徴とするものである。
この電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、車載機器、家庭電気製品、工業製品などである。
第3の発明は、
一つまたは複数の燃料電池を用いる移動体において、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下であるものである
ことを特徴とするものである。
この移動体は、基本的にはどのようなものであってもよく、具体例を挙げると、自動車、二輪車、航空機、ロケット、宇宙船などである。
第4の発明は、
一つまたは複数の燃料電池を用いる発電システムにおいて、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下であるものである
ことを特徴とするものである。
この発電システムは、基本的にはどのようなものであってもよく、その規模も問わず、燃料としても、単糖類や多糖類そのもののほか、多糖類を含む生ごみなどを用いてもよい。
第5の発明は、
一つまたは複数の燃料電池を用いるコージェネレーションシステムにおいて、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下であるものである
ことを特徴とするものである。
このコージェネレーションシステムは、基本的にはどのようなものであってもよく、その規模も問わず、燃料としても、単糖類や多糖類そのもののほか、多糖類を含む生ごみを用いてもよい。
第2〜第5の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
上述のように構成された燃料電池においては、少なくとも酵素の周囲の電解質に含まれる緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下であることにより、充分な緩衝能を得ることができるため、高出力動作時において、プロトンを介する酵素反応により、プロトンの増減が電極内部または酵素の固定化膜内で起きても、充分な緩衝作用を得ることができ、至適pHからのpHのずれを十分に小さく抑えることができる。
この発明によれば、高出力動作時にも充分な緩衝能を得ることができ、酵素が本来持っている能力を充分に発揮することができることにより、優れた性能を有する燃料電池を得ることができる。そして、このように優れた燃料電池を用いることにより、高性能の電子機器、移動体、発電システム、コージェネレーションシステムなどを実現することができる。
以下、この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの一実施形態によるバイオ燃料電池を模式的に示す。このバイオ燃料電池では、燃料としてグルコースを用いるものとする。図2は、このバイオ燃料電池の負極の構成の詳細ならびにこの負極に固定化された酵素群の一例およびこの酵素群による電子の受け渡し反応を模式的に示す。
図1に示すように、このバイオ燃料電池は、負極1と正極2とがプロトンのみ伝導する電解質層3を介して対向した構造を有する。負極1は、燃料として供給されたグルコースを酵素により分解し電子を取り出すとともにプロトン(H+ )を発生する。正極2は、負極1から電解質層3を通って輸送されたプロトンと負極1から外部回路を通って送られた電子と例えば空気中の酸素とにより水を生成する。
負極1は、例えば多孔質カーボンなどからなる電極11(図2参照)上に、グルコースの分解に関与する酵素と、グルコースの分解プロセスにおける酸化反応に伴って還元体が生成される補酵素(例えば、NAD+ 、NADP+ など)と、補酵素の還元体(例えば、NADH、NADPHなど)を酸化する補酵素酸化酵素(例えば、ジアホラーゼ)と、補酵素酸化酵素から補酵素の酸化に伴って生じる電子を受け取って電極11に渡す電子メディエーターとが、例えばポリマーなどからなる固定化材により固定化されて構成されている。
グルコースの分解に関与する酵素としては、例えば、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いることができる。この酸化酵素を存在させることにより、例えば、β−D−グルコースをD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化することができる。
さらに、このD−グルコノ−δ−ラクトンは、グルコノキナーゼとフォスフォグルコネートデヒドロゲナーゼ(PhGDH)との二つの酵素を存在させることにより、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに分解することができる。すなわち、D−グルコノ−δ−ラクトンは、加水分解によりD−グルコネートになり、D−グルコネートは、グルコノキナーゼの存在下、アデノシン三リン酸(ATP)をアデノシン二リン酸(ADP)とリン酸とに加水分解することでリン酸化されて、6−フォスフォ−D−グルコネートになる。この6−フォスフォ−D−グルコネートは、酸化酵素PhGDHの作用により、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに酸化される。
また、グルコースは上記分解プロセスのほかに、糖代謝を利用してCO2 まで分解することもできる。この糖代謝を利用した分解プロセスは、解糖系によるグルコースの分解及びピルビン酸の生成並びにTCA回路に大別されるが、これらは広く知られた反応系である。
単糖類の分解プロセスにおける酸化反応は、補酵素の還元反応を伴って行われる。この補酵素は作用する酵素によってほぼ定まっており、GDHの場合、補酵素にはNAD+ が用いられる。すなわち、GDHの作用によりβ−D−グルコースがD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化されると、NAD+ がNADHに還元され、H+ を発生する。
生成されたNADHは、ジアホラーゼ(DI)の存在下で直ちにNAD+ に酸化され、二つの電子とH+ とを発生する。したがって、グルコース1分子につき1段階の酸化反応で二つの電子と二つのH+ とが生成されることになる。2段階の酸化反応では、合計四つの電子と四つのH+ とが生成される。
上記プロセスで生成された電子はジアホラーゼから電子メディエーターを介して電極11に渡され、H+ は電解質層3を通って正極2へ輸送される。
電子メディエーターは電極11との電子の受け渡しを行うもので、燃料電池の出力電圧は、電子メディエーターの酸化還元電位に依存する。つまり、より高い出力電圧を得るには、負極1側ではよりネガティブな電位の電子メディエーターを選ぶとよいが、電子メディエーターの酵素に対する反応親和性、電極11との電子交換速度、阻害因子(光、酸素など)に対する構造安定性なども考慮しなければならない。このような観点から、負極1に作用する電子メディエーターとしては、2−アミノ−3−カルボキシ−1,4−ナフトキノン(ACNQ)やビタミンK3などが好適である。そのほかに、例えばキノン骨格を有する化合物、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、コバルト(Co)などの金属錯体、ベンジルビオローゲンなどのビオローゲン化合物、ニコチンアミド構造を有する化合物、リボフラビン構造を有する化合物、ヌクレオチド−リン酸構造を有する化合物なども電子メディエーターとして用いることができる。
上記の酵素、補酵素及び電子メディエータは、電極反応が効率よく定常的に行われるようにするために、電解質層3に含まれるリン酸緩衝液やトリス緩衝液などの緩衝液によって、酵素にとって最適なpH、例えばpH7付近に維持されていることが好ましい。このために、この一実施形態においては、少なくとも、負極1および正極2に固定化された酵素の周囲の電解質層3には、緩衝液が0.2M以上2.5M以下、好適には0.2M以上2M以下、より好適には0.4M以上2M以下、さらに好適には0.8M以上1.2M以下の濃度含まれている。こうすることで高い緩衝能を得ることができ、燃料電池の高出力動作時においても、酵素本来の能力を十分に発揮することができる。リン酸緩衝液としては、例えばNaH2 PO4 やKH2 PO4 が用いられる。さらに、イオン強度(I.S.)は、あまり大きすぎても小さすぎても酵素活性に悪影響を与えるが、電気化学応答性も考慮すると、適度なイオン強度、例えば0.3程度であることが好ましい。ただし、pHおよびイオン強度は、用いる酵素それぞれに最適値が存在し、上述した値に限定されない。
上記の酵素、補酵素及び電子メディエータは、電極近傍で起こっている酵素反応現象を効率よく電気信号として捉えるために、固定化材を用いて電極11上に固定化されることが好ましい。さらに、燃料を分解する酵素及び補酵素も電極11上に固定化することで、負極1の酵素反応系の安定化を図ることができる。このような固定化材としては、例えば、グルタルアルデヒド(GA)とポリ−L−リシン(PLL)とを組み合わせたものやポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa)とポリ−L−リシン(PLL)とを組み合わせたものを用いてもよいし、これらを単独で用いてもよいし、さらには他のポリマーを用いてもよい。グルタルアルデヒドとポリ−L−リシンとを組み合わせた固定化材を用いることにより、それぞれが持つ酵素固定化能力を大きく改善することが可能となり、固定化材全体として優れた酵素固定化能力を得ることができる。この場合、グルタルアルデヒドとポリ−L−リシンとの組成比は、固定化する酵素とこの酵素の基質とに応じて最適な値が異なるが、一般的には任意の組成比で構わない。具体例を挙げると、グルタルアルデヒド水溶液(0.125%)とポリ−L−リシン水溶液(1%)とを用い、それらの比を1:1、1:2、2:1などとする。
図2には、一例として、グルコースの分解に関与する酵素がグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、グルコースの分解プロセスにおける酸化反応に伴って還元体が生成される補酵素がNAD+ 、補酵素の還元体であるNADHを酸化する補酵素酸化酵素がジアホラーゼ(DI)、補酵素酸化酵素から補酵素の酸化に伴って生じる電子を受け取って電極11に渡す電子メディエータがACNQである場合が図示されている。
正極2は、触媒が担持された炭素粉末あるいは炭素に保持されない触媒粒子により構成される。触媒には、例えば、白金(Pt)の微粒子、または鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)あるいはルテニウム(Ru)などの遷移金属と白金との合金あるいは酸化物などの微粒子が用いられる。この正極2は、例えば、電解質層3の側から順に触媒あるいは触媒を含む炭素粉末よりなる触媒層と多孔質の炭素材料よりなるガス拡散層とが積層された構造に形成される。なお、正極2はこの構成に限らず、触媒として酸素還元酵素を用いることもできる。この場合は、電極との間で電子の受け渡しを行う電子メディエータと組み合わせて用いられる。
この正極2においては、触媒の存在下で、電解質層3からのH+ と負極1からの電子とにより空気中の酸素を還元し水を生成する。
電解質層3は負極1において発生したH+ を正極2に輸送するプロトン伝導膜であり、電子伝導性を持たず、H+ を輸送することが可能な材料により構成されている。電解質層3としては、具体的には、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)系の樹脂膜、トリフルオロスチレン誘導体の共重合膜、リン酸を含浸させたポリベンズイミダゾール膜、芳香族ポリエーテルケトンスルホン酸膜、PSSA−PVA(ポリスチレンスルホン酸ポリビニルアルコール共重合体)や、PSSA−EVOH(ポリスチレンスルホン酸エチレンビニルアルコール共重合体)などからなるものが挙げられる。なかでも、含フッ素カーボンスルホン酸基を有するイオン交換樹脂からなるものが好ましく、具体的には、ナフィオン(商品名、米国デュポン社)が用いられる。
以上のように構成された燃料電池において、負極1側にグルコースが供給されると、このグルコースが酸化酵素を含む分解酵素により分解される。この単糖類の分解プロセスで酸化酵素が関与することで、負極1側で電子とH+ とを生成することができ、負極1と正極2との間で電流を発生させることができる。
次に、負極1として用いる酵素/電子メディエーター固定化電極の単極での電気化学測定を行った結果について説明する。
この酵素/電子メディエーター固定化電極は次のようにして作製した。
まず、以下のようにして各種の溶液を調製した。緩衝溶液としては、100mMリン酸二水素ナトリウム(NaH2 PO4 )緩衝溶液(I.S.=0.3、pH=7.0)を用いた。
ジアホラーゼ(DI)(EC1.6.99.−、ユニチカ製、B1D111)を5〜10mg秤量し、緩衝溶液1.0mlに溶解させ、DI酵素緩衝溶液((1))とした。
グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)(NAD依存型、EC1.1.1.47、東洋紡製、GLD−311)を10〜15mg秤量し、緩衝溶液1.0mlに溶解させ、GDH酵素緩衝溶液((2))とした。
上記の酵素を溶解させる緩衝溶液は直前まで冷蔵されていたものが好ましく、酵素緩衝溶液もできるだけ冷蔵保存しておくことが好ましい。
NADH(シグマアルドリッチ製、N−8129)を30.0〜60.0mg秤量し、緩衝溶液0.1mlに溶解させ、NADH緩衝溶液((3))とした。
ポリ−L−リシン臭化水素酸塩(PLL)(Wako製、164−16961)を適量秤量し、1〜2wt%となるようにイオン交換水に溶解させ、PLL水溶液((4))とした。
2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)(合成品)を10〜50mg秤量し、アセトン溶液1mlに溶解させ、ANQアセトン溶液((5))とした。
ポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa)(アルドリッチ製、041−00595)を適量秤量し、0.01〜0.1wt%となるようにイオン交換水に溶解させ、PAAcNa水溶液((6))とした。
上記のようにして作製した各種の溶液を、(5)、(1)、(3)、(2)、(4)、(6)の順に下記に示す量だけ、それぞれマイクロシリンジを用いて多孔質カーボン(東海カーボン製、0.5×0.5cm2 、厚さ2mm)上に塗布した後、適宜乾燥を行い、酵素/電子メディエーター固定化電極を作製した。
DI酵素緩衝溶液(1):10μl
GDH酵素緩衝溶液(2):10μl
NADH緩衝溶液(3):10μl
PLL水溶液(4):10μl
ANQアセトン溶液(5):7μl
PAAcNa水溶液(6):4μl
こうして作製した酵素/電子メディエーター固定化電極を表1に示す測定溶液を用い、参照電極Ag|AgClに対して、0.1Vと電子メディエーターの酸化還元電位より充分高い電位に設定し、クロノアンペロメトリーを行った。燃料のグルコース濃度はいずれも0.4Mとした。電解質層3に含まれる緩衝液の濃度を変えて測定したクロノアンペロメトリーの結果を図3に示す。また、電解質層3のイオン強度を変えて測定したクロノアンペロメトリーの結果を図4に示す。
Figure 2007087627
図3および表1から分かるように、NaH2 PO4 濃度が0、すなわち緩衝液を全く添加しない比較例1では、NaH2 PO4 濃度が0.1Mの比較例2と比較すると、初期電流は出るが、1800秒後では電流はほとんど0となってしまう。
また、比較例2と実施例1、2、3とを比較すると、NaH2 PO4 濃度を0.2〜2.5M、取り分け0.4〜2.0Mとすることで電流値が比較例2に比べて数倍以上増加し、特に1Mのときに最大となることが分かる。
一方、比較例3のようにNaH2 PO4 濃度を3Mとすると、得られる電流値は、比較例1と同程度に低下してしまう。
また、図4および表1から分かるように、比較例2、4、5で、NaH2 PO4 濃度を0.1Mと一定にし、イオン強度のみを上昇させたときの電流値を比較すると、瞬間の電流値は大きくなるものの、1800秒後の電流は逆に下がる傾向が見られた。
さらに、紫外可視分光(UV−vis)法により酵素活性測定を行った。その結果を図5〜図8に示す。ここで、図5および図6はそれぞれ電解質層3のNaH2 PO4 濃度およびイオン強度に対するジアホラーゼ(DI)による反応の反応速度(v0 )の変化を示す。ただし、DIの濃度は2.5nM、ANQの濃度は2.2mM、NADHの濃度は40mMである。また、図7および図8はそれぞれ電解質層3のNaH2 PO4 濃度およびイオン強度に対するグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)による反応の反応速度(v0 )の変化を示す。ただし、GDHの濃度は1.59nM、グルコースの濃度は133mM、NADの濃度は1.50mMである。図5〜図8に示す測定結果によると、NaH2 PO4 濃度上昇に伴う、酵素活性の大きな増大は見られず、逆に若干下がる傾向が見られた。このことから、NaH2 PO4 濃度上昇に伴う電流値の上昇は、電極内部あるいは固定化膜内のpH変化の抑制効果のためであると考えることができる。
一方、正極2に酸化酵素としてビリルビンオキシダーゼ(BOD)を固定化した場合においても、NaH2 PO4 濃度上昇に伴う、電流値の維持向上が見られた。図9および図10に、この場合にUV−vis法により酵素活性測定を行った結果を示す。ここで、図9および図10はそれぞれ電解質層3のNaH2 PO4 濃度およびイオン強度に対するBODによる反応の反応速度(v0 )の変化を示す。ただし、BODの濃度は2.4nM、ビリルビンの濃度は1.8mg/mlである。図9および図10に示す測定結果によると、正極2においても、NaH2 PO4 濃度上昇に伴う、酵素活性の大きな増大は見られず、逆に若干下がる傾向が見られた。
上記のような結果が得られる原因として、電極内部あるいは固定化膜内のプロトン移動が遅いことが考えられる。
次に、図11AおよびBに示すようなバイオ燃料電池を組み立てて評価を行った結果について説明する。
図11AおよびBに示すように、このバイオ燃料電池は、0.25cm2 のカーボンフェルトに酵素や電子メディエータを固定化材でを固定化した酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる負極1と、0.25cm2 のカーボンフェルト上に酵素や電子メディエーターを固定化材で固定化した酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる正極2とが、緩衝物質を含む電解質層3を介して対向した構成を有している。この場合、正極2の下および負極1の上にそれぞれTi集電体41、42が置かれ、集電を容易に行うことができるようになっている。符号43、44は固定板を示す。これらの固定板43、44はねじ45により相互に締結され、それらの間に、正極2、負極1、電解質層3およびTi集電体43、44の全体が挟み込まれている。固定板43の一方の面(外側の面)には空気取り込み用の円形の凹部43aが設けられ、この凹部43aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴43bが設けられている。これらの穴43bは正極2への空気の供給路となる。一方、固定板44の一方の面(外側の面)には燃料装填用の円形の凹部44aが設けられ、この凹部44aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴44bが設けられている。これらの穴44bは負極1への燃料の供給路となる。この固定板44の他方の面の周辺部にはスペーサー46が設けられており、固定板43、44をねじ45により相互に締結したときにそれらの間隔が所定の間隔になるようになっている。
図11Bに示すように、Ti集電体41、42の間に負荷47を接続し、固定板44の凹部44aに燃料としてグルコース/緩衝溶液を入れて発電を行った。動作温度は25℃とした。図12に、電解質層3のNaH2 PO4 濃度に対する出力(電力密度)の変化を示す。図12に示すように、出力は、NaH2 PO4 濃度が0.2M以上では濃度が0.1Mである比較例2の2倍以上、濃度が0.4Mの実施例1では約6倍、濃度が1.0Mの実施例2では約9倍であり、いずれも極めて高い値を示すことがわかる。
以上のように、この一実施形態によれば、電解質層3に含まれる緩衝物質(緩衝液)の濃度が0.2M以上2.5M以下であることにより、充分な緩衝能を得ることができ、このため燃料電池の高出力動作時においても、正極2および負極1に固定化された酵素の周囲の電解質層3のpHを至適pH付近に維持することができ、酵素が本来持っている能力を充分に発揮させることができる。これによって、高出力動作が可能な高性能のバイオ燃料電池を実現することができる。このバイオ燃料電池は、各種の電子機器、移動体、発電システムなどの電源に適用して好適なものである。
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池を示す略線図である。 この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池の負極の構成の詳細ならびにこの負極に固定化された酵素群の一例およびこの酵素群による電子の受け渡し反応を模式的に示す略線図である。 この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行ったクロノアンペロメトリーの結果を示す略線図である。 この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行ったクロノアンペロメトリーの結果を示す略線図である。 この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行った酵素活性の測定結果を示す略線図である。 この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行った酵素活性の測定結果を示す略線図である。 この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行った酵素活性の測定結果を示す略線図である。 この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行った酵素活性の測定結果を示す略線図である。 この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行った酵素活性の測定結果を示す略線図である。 この発明の一実施形態によるバイオ燃料電池の評価のために行った酵素活性の測定結果を示す略線図である。 この発明の一実施形態において評価に用いたバイオ燃料電池を示す略線図である。 この発明の一実施形態において評価に用いたバイオ燃料電池の出力の測定結果を示す略線図である。
符号の説明
1…負極、2…正極、3…電解質層、11…電極

Claims (19)

  1. 正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
    少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下である
    ことを特徴とする燃料電池。
  2. 上記緩衝物質の濃度が0.4M以上2M以下であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 上記緩衝物質の濃度が0.8M以上1.2M以下であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  4. 上記緩衝物質のpKa が6以上9以下であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  5. 上記緩衝物質がH2 PO4 - であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  6. 上記緩衝物質が2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールであることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  7. 上記正極および上記負極の少なくとも一方に上記酵素に加えて電子メディエーターが固定化されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  8. 上記酵素が、上記負極に固定化された、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  9. 上記酵素が、上記単糖類の酸化に伴って還元された補酵素を酸化体に戻すとともに電子メディエータを介して電子を上記負極に渡す補酵素酸化酵素を含むことを特徴とする請求項8記載の燃料電池。
  10. 上記補酵素の酸化体がNAD+ であり、上記補酵素酸化酵素がジアホラーゼであることを特徴とする請求項9記載の燃料電池。
  11. 上記酸化酵素がNAD+ 依存型グルコースデヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項8記載の燃料電池。
  12. 上記酵素が、上記負極に固定化された、多糖類の分解を促進し単糖類を生成する分解酵素および生成した単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  13. 上記分解酵素がグルコアミラーゼ、上記酸化酵素がNAD+ 依存型グルコースデヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項12記載の燃料電池。
  14. 上記酵素が、上記正極に固定化された酸化酵素を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  15. 上記酸化酵素がビリルビンオキシダーゼであることを特徴とする請求項14記載の燃料電池。
  16. 一つまたは複数の燃料電池を用いる電子機器において、
    少なくとも一つの上記燃料電池が、
    正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
    少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下であるものである
    ことを特徴とする電子機器。
  17. 一つまたは複数の燃料電池を用いる移動体において、
    少なくとも一つの上記燃料電池が、
    正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
    少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下であるものである
    ことを特徴とする移動体。
  18. 一つまたは複数の燃料電池を用いる発電システムにおいて、
    少なくとも一つの上記燃料電池が、
    正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
    少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下であるものである
    ことを特徴とする発電システム。
  19. 一つまたは複数の燃料電池を用いるコージェネレーションシステムにおいて、
    少なくとも一つの上記燃料電池が、
    正極と負極とが緩衝物質を含む電解質を介して対向した構造を有し、上記正極および上記負極の少なくとも一方に触媒として酵素が固定化されている燃料電池において、
    少なくとも上記酵素の周囲の上記電解質に含まれる上記緩衝物質の濃度が0.2M以上2.5M以下であるものである
    ことを特徴とするコージェネレーションシステム。
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