JP2009048846A - 燃料電池およびその製造方法ならびに酵素固定化電極およびその製造方法ならびに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極2と負極1とが電解質層3を介して対向した構造を有し、正極2および/または負極1が、ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化されたものからなる燃料電池において、ポリイオンコンプレックスにおけるポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとの質量比を1:0.01〜1.0とする。ポリ−L−リシンの質量は、例えば7.1×10-3mg/mm2 以上3.6×10-2mg/mm2 以下とする。
【選択図】図1
Description
このように、燃料電池は大規模発電から小規模発電まで幅広い用途が考えられ、高効率な発電装置として多くの注目を集めている。しかしながら、燃料電池では、燃料として通常、天然ガス、石油、石炭などを改質器により水素ガスに変換して用いており、限りある資源を消費するとともに、高温に加熱する必要があったり、白金(Pt)などの高価な貴金属の触媒を必要としたりするなど、種々の問題点がある。また、水素ガスやメタノールを直接燃料として用いる場合でも、その取り扱いには注意を要する。
例えば、呼吸は、糖類、脂肪、タンパク質などの栄養素を微生物または細胞内に取り込み、これらの化学エネルギーを、数々の酵素反応ステップを有する解糖系およびクエン酸(TCA)回路を介して二酸化炭素(CO2 )を生成する過程でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )を還元して還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)とすることで酸化還元エネルギー、すなわち電気エネルギーに変換し、さらに電子伝達系においてこれらのNADHの電気エネルギーをプロトン勾配の電気化学エネルギーに直接変換するとともに酸素を還元し、水を生成する機構である。ここで得られた電気化学エネルギーは、アデノシン三リン酸(ATP)合成酵素を介して、アデノシン二リン酸(ADP)からATPを生成し、このATPは微生物や細胞が生育するために必要な反応に利用される。このようなエネルギー変換は、細胞質ゾルおよびミトコンドリアで行われている。
上述のような生体代謝を燃料電池に利用する技術としては、微生物中で発生した電気エネルギーを電子メディエーターを介して微生物外に取り出し、この電子を電極に渡すことで電流を得る微生物電池が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
そこで、酵素を用いて所望の反応のみを行う燃料電池(バイオ燃料電池)が提案されている(例えば、特許文献2〜13参照。)。このバイオ燃料電池は、燃料を酵素により分解してプロトンと電子とに分離するもので、燃料としてメタノールやエタノールのようなアルコール類あるいはグルコースのような単糖類あるいはデンプンのような多糖類を用いたものが開発されている。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、正極および負極の少なくとも一方に少なくとも酵素および電子メディエーターがポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより固定化される場合に、電流密度およびその維持率の向上を図ることができる燃料電池およびその製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、正極および負極の少なくとも一方に少なくとも酵素および電子メディエーターがポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより固定化される燃料電池などに適用して好適な酵素固定化電極およびその製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、上記のような優れた燃料電池を用いた電子機器を提供することである。
直径3mmの円柱状カーボン電極の周囲に絶縁体のプラスチックが厚さ1.5mm形成された直径6mmの円柱の末端の円形の面(中心部に直径3mmのカーボン電極、その周囲に厚さ1.5mmのプラスチックがある直径6mmの円形の面)上に、酵素、補酵素および電子メディエーターを塗布した後、その上にポリ−L−リシンを含む水溶液とポリアクリル酸ナトリウムを含む水溶液とを塗布してポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより酵素、補酵素および電子メディエーターを固定化した。この固定化をポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとの質量比や固定化量を変えて行った。そして、これらの電極を用いてクロノアンペロメトリーを行った。その結果、高い電流密度およびその維持率を得るためには、このポリイオンコンプレックスの質量に対するポリ−L−リシンの質量の割合が50%以上であることが重要であることが分かった。より詳細には、ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0(例えば、0.015)が優れている。また、ポリ−L−リシンの単位面積当たりの固定化量がある範囲内にあることが好ましい。一例として、ポリ−L−リシンを0.2mg含む水溶液とポリアクリル酸ナトリウムを0.003mg含む水溶液とを塗布してポリイオンコンプレックスを形成したときのポリイオンコンプレックスの固定化量(ポリ−L−リシンの質量は0.2mg、ポリアクリル酸ナトリウムの質量は0.003mgで質量比は1:0.015)を基準にし、この基準量に対してポリイオンコンプレックスの固定化量を変えた電極を形成し、クロノアンペロメトリーを行った結果、上記の基準量からその5倍の量の間の範囲で高い電流密度およびその維持率が得られることを見出した。上記の基準量のポリイオンコンプレックスにおけるポリ−L−リシンの単位面積当たりの質量は0.2/(π×32 )=7.1×10-3mg/mm2 、同じく上記の基準量のポリイオンコンプレックスにおけるポリアクリル酸ナトリウムの単位面積当たりの質量は0.003/(π×32 )=1.1×10-4mg/mm2 となるから、結局、ポリ−L−リシンの単位面積当たりの質量が7.1×10-3mg/mm2 から5×7.1×10-3mg/mm2 =3.6×10-2mg/mm2 の場合に高い電流密度およびその維持率が得られ、好ましいことが分かる。
第1の発明は、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および/または上記負極が、ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化されたものからなる燃料電池であって、
上記ポリイオンコンプレックスにおける上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0である
ことを特徴とするものである。
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および/または上記負極が、ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化されたものからなる燃料電池の製造方法であって、
上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0である上記ポリイオンコンプレックスにより上記少なくとも酵素および電子メディエーターを上記電極上に固定化するようにした
ことを特徴とするものである。
正極および/または負極に固定化される酵素は種々のものであってよく、必要に応じて選ばれる。また、正極および/または負極には、必要に応じて、酵素および電子メディエーターに加えて補酵素も固定化される。
具体的には、負極に固定化される酵素は、例えば、燃料としてグルコースのような単糖類を用いる場合には、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含み、通常はこれに加えて酸化酵素によって還元される補酵素を酸化体に戻す補酵素酸化酵素を含む。この補酵素酸化酵素の作用により、補酵素が酸化体に戻るときに電子が生成され、補酵素酸化酵素から電子メディエーターを介して電極に電子が渡される。酸化酵素としては例えばNAD+ 依存型グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、補酵素としては例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+ )が、補酵素酸化酵素としては例えばジアホラーゼ(DI)が用いられる。
プロトン伝導体としては種々のものを用いることができ、必要に応じて選択されるが、具体的には、例えば、セロハン、パーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)系の樹脂膜、トリフルオロスチレン誘導体の共重合膜、リン酸を含浸させたポリベンズイミダゾール膜、芳香族ポリエーテルケトンスルホン酸膜、PSSA−PVA(ポリスチレンスルホン酸ポリビニルアルコール共重合体)や、PSSA−EVOH(ポリスチレンスルホン酸エチレンビニルアルコール共重合体)、含フッ素カーボンスルホン酸基を有するイオン交換樹脂(ナフィオン(商品名、米国デュポン社)など)などからなるものが挙げられる。
acid)などを用いてもよい。緩衝物質を含む電解質のpHは、好適には7付近であるが、一般的には1〜14のいずれであってもよい。
この燃料電池は、およそ電力が必要なもの全てに用いることができ、大きさも問わないが、例えば、電子機器、移動体(自動車、二輪車、航空機、ロケット、宇宙船など)、動力装置、建設機械、工作機械、発電システム、コージェネレーションシステムなどに用いることができ、用途などによって出力、大きさ、形状、燃料の種類などが決められる。
ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化された酵素固定化電極であって、
上記ポリイオンコンプレックスにおける上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0である
ことを特徴とするものである。
ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化された酵素固定化電極の製造方法であって、
上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0である上記ポリイオンコンプレックスにより上記少なくとも酵素および電子メディエーターを上記電極上に固定化するようにした
ことを特徴とするものである。
第3および第4の発明においては、上記以外のことについては、第1および第2の発明に関連して説明したことが成立する。
一つまたは複数の燃料電池を用いる電子機器において、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および/または上記負極が、ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化されたものからなる燃料電池であって、
上記ポリイオンコンプレックスにおける上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0であるものである
ことを特徴とするものである。
第5の発明においては、上記以外のことについては、第1および第2の発明に関連して説明したことが成立する。
図1はこの発明の第1の実施形態によるバイオ燃料電池を模式的に示す。このバイオ燃料電池では、燃料としてグルコースを用いるものとする。図2は、このバイオ燃料電池の負極の構成の詳細ならびにこの負極に固定化された酵素群の一例およびこの酵素群による電子の受け渡し反応を模式的に示す。
図1に示すように、このバイオ燃料電池は、負極1と正極2とがプロトンのみ伝導する電解質層3を介して対向した構造を有する。負極1は、燃料として供給されたグルコースを酵素により分解し電子を取り出すとともにプロトン(H+ )を発生する。正極2は、負極1から電解質層3を通って輸送されたプロトンと負極1から外部回路を通って送られた電子と例えば空気中の酸素とにより水を生成する。
さらに、このD−グルコノ−δ−ラクトンは、グルコノキナーゼとフォスフォグルコネートデヒドロゲナーゼ(PhGDH)との二つの酵素を存在させることにより、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに分解することができる。すなわち、D−グルコノ−δ−ラクトンは、加水分解によりD−グルコネートになり、D−グルコネートは、グルコノキナーゼの存在下、アデノシン三リン酸(ATP)をアデノシン二リン酸(ADP)とリン酸とに加水分解することでリン酸化されて、6−フォスフォ−D−グルコネートになる。この6−フォスフォ−D−グルコネートは、酸化酵素PhGDHの作用により、2−ケト−6−フォスフォ−D−グルコネートに酸化される。
単糖類の分解プロセスにおける酸化反応は、補酵素の還元反応を伴って行われる。この補酵素は作用する酵素によってほぼ定まっており、GDHの場合、補酵素にはNAD+ が用いられる。すなわち、GDHの作用によりβ−D−グルコースがD−グルコノ−δ−ラクトンに酸化されると、NAD+ がNADHに還元され、H+ を発生する。
上記プロセスで生成された電子はジアホラーゼから電子メディエーターを介して電極11に渡され、H+ は電解質層3を通って正極2へ輸送される。
以上のように構成された燃料電池において、負極1側にグルコースが供給されると、このグルコースが酸化酵素を含む分解酵素により分解される。この単糖類の分解プロセスで酸化酵素が関与することで、負極1側で電子とH+ とを生成することができ、負極1と正極2との間で電流を発生させることができる。
この酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極は次のようにして作製した。
まず、以下のようにして各種の溶液を調製した。溶液調製用の緩衝溶液としては、100mMリン酸二水素ナトリウム(NaH2 PO4 )緩衝溶液(I.S.=0.3、pH=7.0)を用いた。
DI(EC 1.6.99.天野エンザイム製)を10〜100mg秤量し、上記の緩衝溶液0.2mLに溶解させた(溶液(1)´)。酵素を溶解させる緩衝溶液は直前まで8℃以下に冷蔵されていたものが好ましく、酵素緩衝溶液もできるだけ8℃以下で冷蔵保存しておくことが好ましい。GDH(NAD依存型、EC 1.1.1.47 天野エンザイム製)を5〜30mg秤量し、上記の緩衝溶液0.3mLに溶解させた。この溶液に溶液(1)´を20μL加え、よく混合してGDH/DI酵素緩衝溶液((1))とした。
NADH(シグマアルドリッチ製、N−8129)を50〜100mg秤量し、緩衝溶液0.1mLに溶解させ、NADH緩衝溶液((2))とした。
・ANQアセトン溶液((3))
2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)(合成品)を50〜100mg秤量し、アセトン溶液1mLに溶解させ、ANQアセトン溶液((3))とした。
・PLL水溶液((4))
ポリ−L−リシン臭化水素酸塩(PLL)(Wako製、164−16961)を適量秤量し、2wt%となるようにイオン交換水に溶解させ、PLL水溶液((4))とした。
・PAAcNa水溶液((5))
ポリアクリル酸ナトリウム(PAAcNa)(アルドリッチ製、041−00595)を適量秤量し、0.022wt%となるようにイオン交換水に溶解させ、PAAcNa水溶液((5))とした。
GDH/DI酵素緩衝溶液(1):8μL
NADH緩衝溶液(2):2μL
ANQアセトン溶液(3):20μL
PLL水溶液(4):10μL(PLLの総質量は0.2mgで単位面積当たりの質量は7.1×10-3mg/mm2 )
PAAcNa水溶液(5):12μL(PAAcNaの総質量は0.003mgで単位面積当たりの質量は1.1×10-4mg/mm2 )
さらに、PLLおよびPAAcNaの質量を上記の基準量の2倍、3倍、4倍、5倍に変えて酵素/補酵素/電子メディエーター固定化電極を作製した。
図4AおよびBに示すように、このバイオ燃料電池は、0.25cm2 のカーボンフェルトに酵素、補酵素および電子メディエータをポリイオンコンプレックスで固定化した酵素/補酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる負極1と、0.25cm2 のカーボンフェルト上に酵素および電子メディエーターを固定化材で固定化した酵素/電子メディエーター固定化カーボン電極からなる正極2とが、緩衝物質を含む電解質層3を介して対向した構成を有している。この場合、正極2の下および負極1の上にそれぞれTi集電体41、42が置かれ、集電を容易に行うことができるようになっている。符号43、44は固定板を示す。これらの固定板43、44はねじ45により相互に締結され、それらの間に、正極2、負極1、電解質層3およびTi集電体43、44の全体が挟み込まれている。固定板43の一方の面(外側の面)には空気取り込み用の円形の凹部43aが設けられ、この凹部43aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴43bが設けられている。これらの穴43bは正極2への空気の供給路となる。一方、固定板44の一方の面(外側の面)には燃料装填用の円形の凹部44aが設けられ、この凹部44aの底面に他方の面まで貫通した多数の穴44bが設けられている。これらの穴44bは負極1への燃料の供給路となる。この固定板44の他方の面の周辺部にはスペーサー46が設けられており、固定板43、44をねじ45により相互に締結したときにそれらの間隔が所定の間隔になるようになっている。
図4Bに示すように、Ti集電体41、42の間に負荷47を接続し、固定板44の凹部44aに燃料として例えばリン酸緩衝液にグルコースを溶かしたグルコース溶液を入れて発電を行う。
図5A、BおよびCならびに図6はこのバイオ燃料電池を示し、図5A、BおよびCはこのバイオ燃料電池の上面図、断面図および裏面図、図6はこのバイオ燃料電池の各構成要素を分解して示す分解斜視図である。
このバイオ燃料電池の上記以外の構成は、その性質に反しない限り、第1の実施形態と同様である。
図7Aに示すように、まず、一端が開放した円筒形状の正極集電体51を用意する。この正極集電体51の底面の全面には複数の酸化剤供給口51bが形成されている。この正極集電体51の内部の底面の外周部の上にリング状の疎水性樹脂56bを載せ、この底面の中央部の上に、正極2、電解質層3および負極1を順次重ねる。
次に、燃料タンク57に蓋58を取り付け、この蓋58の燃料供給口58aより燃料および電解質を注入した後、この燃料供給口58aを密封シールを貼り付けたりすることにより閉じる。ただし、燃料および電解質は、図7Bに示す工程で燃料タンク57に注入してもよい。
また、現在実用化されている空気電池では燃料および電解質を製造時に添加する必要があり、製造後に添加することは困難であるのに対し、このバイオ燃料電池では、製造後に燃料および電解質を添加することが可能であるので、バイオ燃料電池は現在実用化されている空気電池に比べて製造が容易である。
図11に示すように、この第3の実施形態においては、第2の実施形態によるバイオ燃料電池から、負極集電体52に一体に設けられた燃料タンク57を取り除き、さらに正極集電体51および負極集電体52にそれぞれメッシュ電極71、72を形成したものを用い、開放系の燃料タンク57に入れられた燃料57aの上にこのバイオ燃料電池を負極1側が下に、正極2側が上になるようにして浮かべた状態で使用する。
この第3の実施形態の上記以外のことは、その性質に反しない限り、第1および第2の実施形態と同様である。
この第3の実施形態によれば、第1および第2の実施形態と同様な利点を得ることができる。
図12AおよびBならびに図13はこのバイオ燃料電池を示し、図12Aはこのバイオ燃料電池の正面図、図12Bはこのバイオ燃料電池の縦断面図、図13はこのバイオ燃料電池の各構成要素を分解して示す分解斜視図である。
この第4の実施形態の上記以外のことは、その性質に反しない限り、第1および第2の実施形態と同様である。
この第4の実施形態によれば、第1および第2の実施形態と同様な利点を得ることができる。
このバイオ燃料電池においては、燃料として、多糖類であるデンプンを用いる。また、デンプンを燃料に用いることに伴い、負極1にデンプンをグルコースに分解する分解酵素であるグルコアミラーゼも固定化する。
このバイオ燃料電池においては、負極1側に燃料としてデンプンが供給されると、このデンプンがグルコアミラーゼによりグルコースに加水分解され、さらにこのグルコースがグルコースデヒドロゲナーゼにより分解され、この分解プロセスにおける酸化反応に伴ってNAD+ が還元されてNADHが生成され、このNADHがジアホラーゼにより酸化されて2個の電子とNAD+ とH+ とに分離する。したがって、グルコース1分子につき1段階の酸化反応で2個の電子と2個のH+ とが生成される。2段階の酸化反応では合計4個の電子と4個のH+ とが生成される。こうして発生する電子は負極1の電極11に渡され、H+ は電解質層3を通って正極2まで移動する。正極2では、このH+ が、外部から供給された酸素および負極1から外部回路を通って送られた電子と反応してH2 Oを生成する。
上記以外のことは第1の実施形態によるバイオ燃料電池と同様である。
この第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、デンプンを燃料に用いていることにより、グルコースを燃料に用いる場合に比べて発電量を増加させることができるという利点を得ることができる。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
Claims (13)
- 正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および/または上記負極が、ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化されたものからなる燃料電池であって、
上記ポリイオンコンプレックスにおける上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0である
ことを特徴とする燃料電池。 - 上記ポリ−L−リシンの質量が7.1×10-3mg/mm2 以上3.6×10-2mg/mm2 以下であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 上記プロトン伝導体が緩衝物質としてイミダゾール化合物を含む電解質からなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 上記負極が、上記ポリイオンコンプレックスにより酵素、補酵素および電子メディエーターが電極上に固定化されたものからなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 上記酵素が、単糖類の酸化を促進し分解する酸化酵素を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 上記酵素が、上記単糖類の酸化に伴って還元された補酵素を酸化体に戻すとともに電子メディエーターを介して電子を上記負極に渡す補酵素酸化酵素を含むことを特徴とする請求項5記載の燃料電池。
- 上記補酵素の酸化体がNAD+ であり、上記補酵素酸化酵素がジアホラーゼであることを特徴とする請求項6記載の燃料電池。
- 上記酸化酵素がNAD+ 依存型グルコースデヒドロゲナーゼであることを特徴とする請求項5記載の燃料電池。
- 正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および/または上記負極が、ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化されたものからなる燃料電池の製造方法であって、
上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0である上記ポリイオンコンプレックスにより上記少なくとも酵素および電子メディエーターを上記電極上に固定化するようにした
ことを特徴とする燃料電池の製造方法。 - 上記ポリ−L−リシンを含む水溶液および上記ポリアクリル酸ナトリウムを含む水溶液を上記電極上に塗布することにより上記ポリイオンコンプレックスを形成するようにしたことを特徴とする請求項9記載の燃料電池の製造方法。
- ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化された酵素固定化電極であって、
上記ポリイオンコンプレックスにおける上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0である
ことを特徴とする酵素固定化電極。 - ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化された酵素固定化電極の製造方法であって、
上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0である上記ポリイオンコンプレックスにより上記少なくとも酵素および電子メディエーターを上記電極上に固定化するようにした
ことを特徴とする酵素固定化電極の製造方法。 - 一つまたは複数の燃料電池を用いる電子機器において、
少なくとも一つの上記燃料電池が、
正極と負極とがプロトン伝導体を介して対向した構造を有し、上記正極および/または上記負極が、ポリ−L−リシンとポリアクリル酸ナトリウムとからなるポリイオンコンプレックスにより少なくとも酵素および電子メディエーターが電極上に固定化されたものからなる燃料電池であって、
上記ポリイオンコンプレックスにおける上記ポリ−L−リシンと上記ポリアクリル酸ナトリウムとの質量比が1:0.01〜1.0であるものである
ことを特徴とする電子機器。
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