JP2007085236A - エンジンの前部構造 - Google Patents

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卓司 笹田
Atsuhiro Hatao
篤宏 旗生
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Abstract

【課題】 クランク軸によりカムシャフト及び補機の両方を駆動することが出来ると共にエンジン前部が幅方向に広がることを抑制することが出来るエンジンの前部構造を提供する。
【解決手段】 本発明によるエンジンの前部構造は、下部チェーン44が、クランク軸14と、補機の軸50と、エンジン前面部の幅方向において補機より内方且つエンジン本体の幅方向中心線より補機側にオフセットされた中間軸54とに掛け渡され、上部チェーン46は、中間軸と、カム軸16、17とに掛け渡され、下部チェーン及び上部チェーンのそれぞれの緩み側のチェーン部分46c、44cには、それらを案内する下部テンショナレバー74及び上部テンショナレバー76が揺動可能に配設され、上部チェーンの張り側のチェーン部分46cには、上部チェーンの内方領域でエンジン本体に固定された上部固定チェーンガイド72が配設されている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、エンジンの前部構造に係り、特に、クランク軸の駆動力をカム軸とエンジン本体の側面部に配置された補機とに下部チェーン及び上部チェーンを介して伝達するエンジンの前部構造に関する。
一般に、エンジン本体の前面部には、クランクシャフトの出力によりカムシャフトを駆動して、吸排気バルブが所定のタイミングで開閉するようにする無端帯、例えば、チェーンが設けられる。このようなチェーンは、クランク軸の端部に設けられたスプロケットと、カムシャフトの端部に設けられたスプロケットとの間で掛け渡されて、クランク軸の出力をカムシャフトに伝達するようになっている。そして、チェーンの緩み側の張力を調整するテンショナレバーや、チェーンの張り側を案内する固定チェーンガイド等により、チェーンを安定して走行させるようになっている。これらの伝達機構が設けられたエンジン前面部は、一般に、タイミングカバーで覆われる。
特許文献1には、エンジンの側面に燃料噴射システムのポンプ軸を配置し、クランクシャフトのスプロケットと、このポンプ軸のスプロケットとに下部チェーンを掛け渡し、上部チェーンを、そのポンプ軸の他のスプロケットと、カムシャフトのスプロケットとに掛け渡したエンジンの構造が開示されている。このように、この特許文献1に記載の構造では、ポンプ軸を2つのチェーンの中間軸として併用することにより、補機である燃料ポンプとカムシャフトとを駆動するようにしている。さらに、この特許文献1に記載の構造では、各チェーンのそれぞれの緩み側及び張り側に一対のガイドシュー(チェーンガイド)が設けられ、一対のガイドシューの一方側のガイドシューは、弾性手段により移動可能となっており、チェーンに張力を与えるようになっている。これらのガイドシューは、チェーンの外方に配置され、緩み側の上下それぞれのガイドシューは、同軸で支持されている。
EP1046790(A1)公報
この特許文献1に記載のエンジン構造では、クランク軸の駆動力を、補機である燃料ポンプ及びカムシャフトに効果的に伝達させることが出来るが、エンジンの一側面に設けられた燃料ポンプにチェーンを掛け渡すため、エンジンの前面部に設けられるチェーンやチェーンガイドがエンジン前面部の幅方向に張り出して、エンジンの前部が全体的に幅の広いものとなってしまう。特に、燃料ポンプ等の補機は、エンジンの前面ではなく側面に取り付けられるので、チェーンにより補機をも駆動する場合、このような問題が顕著となる。さらに、特許文献1に記載のエンジン構造では、各チェーンの外方にチェーンガイドを設けているので、エンジンの前部の幅が広いものとなりやすい。
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、クランク軸によりカムシャフト及び補機の両方を駆動することが出来ると共にエンジン前部が幅方向に広がることを抑制することが出来るエンジンの前部構造を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために本発明は、エンジン本体の前面部において、クランク軸の駆動力を、カム軸と、エンジン本体の側面部に配置された補機とに下部チェーン及び上部チェーンを介して伝達するエンジンの前部構造であって、下部チェーンは、クランク軸と、補機の軸と、エンジン本体の前面部の幅方向において補機より内方側且つエンジン本体の幅方向中心線より補機側にオフセットされて配置された中間軸とに掛け渡されると共に、その下部チェーンの補機側のチェーン部分が張り側となるようにクランク軸により駆動され、上部チェーンは、中間軸と、カム軸とに掛け渡されると共に、その上部チェーンの補機側のチェーン部分が張り側となるように中間軸により駆動され、下部チェーン及び上部チェーンのそれぞれの緩み側のチェーン部分には、それらを案内する下部テンショナレバー及び上部テンショナレバーが揺動可能に配設され、上部チェーンの張り側のチェーン部分には、それを案内する上部固定チェーンガイドが配設され、この上部固定チェーンガイドは、上部チェーンの内方領域でエンジン本体に固定されていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、下部チェーンが、クランク軸と、補機の軸と、中間軸とに掛け渡され、上部チェーンが、中間軸と、カム軸とに掛け渡されているので、クランク軸の駆動力により、カム軸及び補機の両方を駆動することが出来る。さらに、下部チェーン及び上部チェーンの中間軸が、エンジン本体の前面部の幅方向において補機より内方側に設けられ且つエンジン本体の幅方向中心線より補機側にオフセットされているので、エンジン本体の前面部の幅を広げることなく、効率的に下部チェーン及び上部チェーンを取回すことが出来る。即ち、中間軸は、エンジン前面部の幅方向においてエンジン本体の幅方向中心線より補機側にオフセットされているので、張り側となる補機側のチェーン部分に対し、緩み側のチェーン部分のスペースを大きく確保することが出来る。そして、本発明では、そのようなスペースが確保された緩み側のチェーン部分に、下部テンショナレバー及び上部テンショナレバーが揺動可能に配設されているので、エンジン本体の前面部の幅を広げることなく、下部テンショナレバー及び上部テンショナレバーを配置することが出来る。さらに、上部固定チェーンガイドは、上部チェーンの内方領域でエンジン本体の前面部に固定されているので、上部固定チェーンガイドを上部チェーンの外方で固定するよりも、エンジン前面部のスペースを有効に活用することが出来、その結果、エンジン前部が幅方向に広がることを抑制することが出来る。
また、本発明において、好ましくは、上部固定チェーンガイドのチェーン案内面は、上部チェーンの外方に配置されると共に内方に湾曲した形状に形成されている。
このように構成された本発明においては、上部固定チェーンガイドのチェーン案内面は、上部チェーンの外方に配置されると共に内方に湾曲した形状に形成されているので、エンジン前部が幅方向に広がることを抑制しつつ、上部チェーンが、その外方に向けてばたつき、タイミングケースに接触することを防止することが出来る。
また、本発明において、好ましくは、下部チェーンの張り側のチェーン部分には、下部チェーンの張り側のチェーン部分を案内する下部固定チェーンガイドが下部チェーンの内方領域に配置されている。
このように構成された本発明においては、下部固定チェーンガイドが下部チェーンの内方領域に配置されているので、エンジン前面部のスペースを有効に活用して、エンジン前部が幅方向に広がることを抑制することが出来ると共に、1つの下部固定チェーンガイドで、各軸間の複数のチェーン部分を案内することが出来、部品点数の削減も可能である。
また、本発明において、好ましくは、下部チェーン及び上部チェーンは、エンジンの前後方向において下部チェーンが後方側に上部チェーンが前方側に互いにずれて配置され、下部テンショナレバー用の下部テンショナレバーアジャスタがエンジン本体の前面部に取り付けられ、上部テンショナレバー用の上部テンショナレバーアジャスタがエンジン本体の前面部を覆うタイミングカバーに取り付けられている。
このように構成された本発明においては、上部チェーンを案内する上部テンショナレバーのアジャスタが、エンジン本体の前面部を覆うタイミングカバーに取り付けられているので、例えば、上部テンショナレバーとエンジン本体前面部の周縁部との間のスペースが小さい場合でも、エンジン本体の前面部を幅方向に広げることなく、上部テンショナレバーアジャスタを設けることが出来る。一方、下部チェーンは上部チェーンより後方側、即ち、エンジン本体側に配置されており、その下部チェーンを案内する下部テンショナレバーのアジャスタがエンジン本体の前面部に取り付けられているので、下部テンショナレバーアジャスタの取付構造をコンパクトにすることが出来る。
また、本発明において、好ましくは、タイミングカバーには、上部テンショナレバーアジャスタを取り付けるための取付孔部が形成され、上部テンショナレバーアジャスタは、その可動端部がテンショナレバーの背面部側に位置するように、取付孔部にタイミングカバーの外方から差し込まれて取り付けられる。
このように構成された本発明においては、上部テンショナレバーアジャスタを取り付けるための取付孔部が形成され、上部テンショナレバーアジャスタは、その可動端部がテンショナレバーの背面部側に位置するように、取付孔部にタイミングカバーの外方から差し込まれて取り付けられるので、タイミングカバーをエンジン本体に取り付けた後に、そのタイミングカバーに上部テンショナレバーアジャスタを組み付けることも、上部テンショナレバーアジャスタをタイミングカバーに組み付けた後にタイミングカバーをエンジン本体に取り付けることも可能であり、上部テンショナレバーアジャスタの組み付け性が向上する。特に、上部テンショナレバーアジャスタの可動端部がテンショナレバーの背面部側に位置するように、取付孔部に外方から差し込まれるので、タイミングカバーをエンジン本体に取り付けた後に、そのタイミングカバーに上部テンショナレバーアジャスタを組み付けることにより、上部テンショナレバーアジャスタの組み付け位置の調整なども容易となる。
また、本発明において、好ましくは、下部テンショナレバー及び上部テンショナレバーは、互いにエンジンの前後方向にずれて配置されると共にそれらの揺動支点が一致するようにエンジン本体の前面部に同軸で支持される。
このように構成された本発明においては、下部テンショナレバー及び上部テンショナレバーは、互いにエンジンの前後方向にずれて配置されると共にそれらの揺動支点が一致するようにエンジン本体の前面部に対し同軸で支持されるので、下部テンショナレバー及び上部テンショナレバーをエンジン本体の前面部にコンパクトに配置することが出来る。
また、本発明において、好ましくは、エンジンはコモンレール式直噴ディーゼルエンジンであり、補機はコモンレールに燃料を圧送するサプライポンプであり、補機を駆動する下部チェーンのチェーンピッチが、上部チェーンのチェーンピッチより大きい。
このように構成された本発明においては、補機がコモンレールに燃料を圧送するサプライポンプであり、補機を駆動する下部チェーンのチェーンピッチが、上部チェーンのチェーンピッチより大きいので、サプライポンプにより下部チェーンに高負荷がかかっても、ピッチの大きい下部チェーンで負荷を受け止め、ピッチの小さい上部チェーンでカム軸を確実に駆動することが出来る。また、このようにチェーンを使い分けることにより、コストを低減することも出来る。
本発明によれば、クランク軸によりカム軸及び補機の両方を駆動することが出来ると共にエンジン前部が幅方向に広がることを抑制するエンジン前部が幅方向に広がることを抑制することが出来る。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
先ず、図1乃至図3により、本発明の実施形態によるエンジンの概略構造を説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの正面図であり、図2は、本発明の実施形態によるエンジンの側面図であり、図3は、タイミングケースの正面図である。
先ず、図1及び図2に示すように、本実施形態によるエンジン1は、コモンレール式の直噴ディーゼルエンジンであり、シリンダブロック2、その上面に取り付けられたシリンダヘッド4、シリンダヘッドを覆うようにシリンダヘッド4に取り付けられたシリンダヘッドカバー6、シリンダブロック2の下面に取り付けられたロアブロック8、オイルパン10、及び、シリンダブロック2の前面に取り付けられたタイミングケース12を備えており、主にこれらによりエンジン本体が構成されている。図3に示すように、タイミングケース12は、6箇所に形成されたボルト通し孔12bを介してボルトによりシリンダブロック2に固定されている。
シリンダブロック2及びシリンダヘッド4の内部には、4つの気筒(図示せず)が前後方向に直列で並ぶように形成されている。図1には、その気筒中心線(エンジン幅方向中心線)Cを示し、その気筒中心線Cの延長線上にクランクシャフト(クランク軸)14が配置されている。なお、本実施形態では、気筒が並ぶ方向、即ち、クランクシャフト14が延びる方向をエンジンの前後方向とし、その方向に直交する方向をエンジンの幅方向とする。また、エンジン1の後述する補機類やタイミングチェーンが設けられた側を前面部とし、クランクシャフト14の車輪駆動力が出力される側を後面部とする。そして、本実施形態において、正面図とは、エンジンの前方側(前面部を正面から見る方向)から見た図である。
図2に示すように、クランクシャフト14は、シリンダブロック2の下方で前後方向に延びている。シリンダヘッド4とシリンダヘッドカバー6との間には、2本のカムシャフト(カム軸)16(他方のカムシャフト17は、図3参照)が前後方向に延びており、本実施形態のエンジンは、DOHC型エンジンとなっている。カムシャフトの一方は吸気側のカムシャフト16であり、他方は排気側のカムシャフト17(図4参照)である。
図1に示すように、エンジン1の前方から見て右側面には、オルタネータ18、ウォータポンプ20(図2参照)、エアコンプレッサ22等の補機が取り付けられている。無端ベルト28が、各補機の前端部にそれぞれ取り付けられたプーリ18a、20a、22aと、クランクシャフトプーリ14aと、その無端ベルト28の張力を調整するテンショナレバー24のプーリ24aと、2つのアイドルプーリ26aとに掛け渡されており、クランクシャフト14の動力により、各補機18、20、22、24が作動するようになっている。
さらに、補機として、図2に示すように、エンジン1の前方から見て右側面には、ウォータポンプユニット20の下方に、高圧燃料ポンプ(サプライポンプ)30が設けられている。この高圧燃料ポンプ30は、ディーゼル燃料を気筒内に高圧で噴射するためにシリンダヘッド4に設けられた直噴コモンレール式燃料噴射器(図示せず)に高圧の燃料を送り込むためのポンプであり、後述するチェーン駆動機構42(図3参照)で駆動される。このポンプは、カムとプランジャの作用により燃料を加圧するタイプのものであり、2ヶ所の燃料送出口30aから高圧燃料が送出される。
この高圧燃料ポンプ30は、本実施形態では、その前端部がタイミングケース12に取り付けられている。図1及び図3に示すように、タイミングケース12には、ウォーターポンプ20の下方でシリンダブロック2等に対して右側方に突出する突出部分12aが形成され、この突出部分12aの後面側(エンジン後方側)に高圧燃料ポンプ取付座12cが形成されている。つまり、図2に示すように、その突出部分12aの後面部に高圧燃料ポンプ30がボルトにより固定されるようになっている。取付座12cは、その肉厚が他の部分より高められており、高圧燃料ポンプ30の支持剛性が高められている。なお、高圧燃料ポンプ30は、シリンダブロック2の側面にブラケット等を介して直接取り付けられても良く、また、タイミングケース12は、シリンダブロック2と一体形成されていても良い。
このようにエンジン1の前部には、様々な補機(30等)やベルト(28)等が配置されている。また、図1及び図2に示すように、エンジン1の前部には、ベルト28やプーリ14a等と、エンジン本体との間にタイミングカバー40が設けられている。このタイミングカバー40の内方には、クランクシャフト14の動力を高圧燃料ポンプ30及びカムシャフト16に伝達して、それらを駆動するチェーン伝達機構42が設けられている。
次に、主に、図4により、エンジン前部に設けられたチェーン伝達機構42について説明する。図4は、本発明の実施形態によるチェーン伝達機構を説明するためのエンジンの正面図であり、図1に示すシリンダヘッドカバー6、タイミングカバー40及びそのタイミングカバーより前方側のベルト28等の部品を除いて示している。
図4に示すように、このチェーン伝達機構42は、クランクシャフト14の出力を、下部チェーン44及び上部チェーン46等により、上述した高圧燃料ポンプ30及びクランクシャフト16、17に伝達して、それらを駆動する機構である。
先ず、クランクシャフト14の前端部には、クランクシャフトスプロケット48が取り付けられている。高圧燃料ポンプ30(図2参照)は、前後方向に延びる燃料ポンプ軸50を備え、その燃料ポンプ軸50は、図3に示すタイミングケース12のポンプ取付座12cに形成された孔部12dを通ってエンジン1の前方側まで延び、図4に示すように、そのポンプ軸50の前端部には、燃料ポンプ軸スプロケット52が取り付けられている。
また、エンジン1の前面部には、下部チェーン44から上部チェーン46に動力を伝達するための中間軸54が設けられており、この中間軸54の前端部には、中間軸下部スプロケット56が取り付けられている。なお、この中間軸54は、シリンダブロック2及びタイミングケース12の両方に固定されている。
下部チェーン44は、各スプロケット48、52、56に掛け渡されており、クランクシャフト14の出力が、燃料ポンプ30及び中間軸54に伝達されるようになっている。ここで、クランクシャフト14は、エンジン1の前方側から見て時計回りに回転するようになっている。従って、下部チェーン44の各スプロケット48、52、56間の部分は、それぞれ、張り側部分44a、44b、或いは、緩み側部分44cになる。
次に、中間軸54の前端部には、中間軸下部スプロケット56のさらに前方側(図1で見れば手前側)に、上部チェーン46用の中間軸上部スプロケット58が取り付けられている。上部チェーン46は、この中間軸上部スプロケット58と、カムシャフト16、17の前端部に取り付けられたカムシャフトスプロケット60、62とに掛け渡されており、クランクシャフト14の出力が、中間軸54を介して、カムシャフト16、17に伝達されるようになっている。上述したクランクシャフト14の回転方向に従い、上部チェーン46の各スプロケット58、60、62間の部分は、それぞれ、張り側部分46a、46b、或いは、緩み側部分46cとなる。
このように掛け渡された各チェーン44、46は、いわゆるタイミングチェーンであり、クランクシャフト14の回転に対して、カムシャフト16、17の回転タイミングが予め定められている。本実施形態では、高圧燃料ポンプ30の負荷が非常に大きいので、下部チェーン44のチェーンピッチを上部チェーン46より大きくして、チェーンの強度を高めるようにしている。
次に、図4により、各チェーン44、46及び各軸14、50、54、16、17の配置について説明する。
図4に示すように、下部チェーン44は、上部チェーン46に対して、エンジン本体側、即ち、後方側に配置されている。本実施形態では、このように下部チェーン44を非常に負荷の大きい高圧燃料ポンプ30に近い位置に配置して、ポンプ30を確実に駆動することが出来るようにしている。即ち、燃料ポンプ軸50にかかるモーメント力がなるべく小さくなるようにして、下部チェーン44と高圧燃料ポンプ30との間で互いに付加される負荷がなるべく小さくなるようにしている。
燃料ポンプ30は、上述したようにエンジン本体の側面部に設けられているので、その燃料ポンプ軸50は、エンジン本体に対して幅方向に突出した位置にある。これに対し、中間軸54は、エンジン前面部の幅方向において燃料ポンプ軸50より内方側にオフセットし且つ上述したエンジン幅方向中心線Cより燃料ポンプ軸50側にオフセットした位置に設けられている。また、中間軸54は、クランクシャフト14及び燃料ポンプ軸50より上方に配置されている。このような中間軸の配置により、下部チェーン44の張り側部分44a、44bは、エンジン前面部の幅方向に近い方向で斜めに延びるようになっている。
ここで、カムシャフト16、17は、エンジン幅方向中心線Cに対し幅方向に均等に配置されている。中間軸54は、それらのカムシャフト16、17のうち、吸気側カムシャフト16の下方で且つその吸気カムシャフト16を通る鉛直線上に配置されている。従って、上部チェーン46は、その張り側部分46aがほぼ鉛直線方向に延び、緩み側部分46cが斜め方向に延びている。
次に、図4乃至図6により、チェーン駆動機構42における、各チェーン44、46に対して設けられたガイド機構について説明する。図5は、図3のV-V線に沿って見たアジャスタ取付座の断面構造を示す図であり、図6は、本実施形態による上部テンショナレバーアジャスタを示す図である。
図4に示すように、各チェーン44、46には、チェーンガイドとして、下部固定チェーンガイド70、上部固定チェーンガイド72、下部テンショナレバー74、上部テンショナレバー76が設けられている。
先ず、下部固定チェーンガイド70は、下部チェーン44の内方で、タイミングケース12にボルトにより固定されている。この下部固定チェーンガイド70は、2つの案内面70a、70bを有し、各案内面70a、70bはいずれも外方に若干湾曲しており、それぞれ、張り側部分44a、44bをその内方から案内するようになっている。
次に、上部固定チェーンガイド72は、上部チェーン46の内方において、2箇所でボルト73によりタイミングケース12に取り付けられ、それらの取付部からチェーン46の後方側(チェーン46とエンジン本体との間)をくぐってチェーン46の外方まで延び、チェーン46の外方にその案内面72aが形成されている。この案内面72aは、チェーン46の内方に向けて湾曲し、張り側部分46aがチェーン46の内方に湾曲した経路で走行するように案内するようになっている。ここで、上述したように、上部チェーン46は、下部チェーン44よりも前方側の位置、即ち、エンジン本体と離れた位置に配置されているので、このように、固定チェーンガイド72をその後方側に通し易くなっている。
次に、下部テンショナレバー74及び上部テンショナレバー76は、各々、タイミングケース12に取り付けられた共通の揺動軸78を中心にして揺動可能になっており、その前後方向の配置は、各チェーン44、46に対応して定められ、上部テンショナレバー76が前方側、下部テンショナレバー74が後方側(エンジン本体側)になっている。各テンショナレバー74、76のチェーン案内面74a、76aは、各チェーン44、46の内方に向かって湾曲しており、各緩み側部分44c、46cは、各チェーン44、46の内方側に向かって湾曲した経路で走行するように案内される。
ここで、中間軸54が上述したようにオフセットされた位置にあるので、各チェーン44、46の緩み側部分44c、46cは、エンジン幅方向中心線Cを通るように斜めに延びている。従って、エンジン本体の前面部には、前方から見て中心線Cより左側の領域にスペースが確保されて、テンショナレバー74、76が、エンジン本体の前面部の幅方向の領域内に収まるようになっている。
また、ガイド機構として、各テンショナレバー74、76には、下部テンショナレバーアジャスタ80及び上部テンショナレバーアジャスタ82が設けられている。
各テンショナレバーアジャスタ80、82は、各テンショナレバー74、76の背面側(案内面の反対側)に設けられており、各テンショナレバー74、76に所定の圧力を加えるようになっている。即ち、各アジャスタ80、82は、油圧により作動し、各テンショナレバー74、76に圧力を加えることにより、各チェーン44、46の張力を調整する機能を有している。
具体的な構造としては、各アジャスタ80、82は、それらの本体部80a、82aに対し、油圧により軸線方向に移動可能なプランジャ(可動端部)80b、82bを備え、これらのプランジャ80b、82bの先端部が、各テンショナレバー74、76の受面部74b、76bに当接して、各テンショナレバー74、76に圧力を加えるようになっている。
下部テンショナレバーアジャスタ80の本体部80aは、図3に示すタイミングケース12のアジャスタ取付座12eに取り付けられている。図5にその取付座12eの断面を示すように、アジャスタ取付座12eには、シリンダブロック2からタイミングケース12にかけて油路12fが形成され、この油路12fを介してプランジャ80bが油圧を受けるようになっている。
上部テンショナレバーアジャスタ82は、図6に示すように、主に、本体部82a及びプランジャ82bで構成され、本体部82aには、ねじ部82cと、ヘッド部82dと、後述するように油路を形成する溝部82eと、油流入口82fとが形成され、溝部82d及び油流入口82eを介してプランジャ82bが油圧を受けるようになっている。このアジャスタ82は、後述するように、タイミングカバー40に取り付けられるようになっている。
ここで、図4により、チェーン駆動機構42のその他の構成について説明する。
図4に示すように、クランクシャフト14の下方には、オイルパン10にバランサ軸64及びそのスプロケット65が設けられている。ここでは、左右一対のバランサ軸のうちの一方のみが示されている。そのバランサ軸64のスプロケット65とクランクシャフト14の第2スプロケット49とにバランサチェーン66が掛け渡されており、このバランサチェーン66は、エンジンの上下方向に延びると共に、上述した下部チェーン44よりも、後方側、即ち、エンジン本体に近い側に配置されている。そして、このバランサチェーン66にも、その張り側部分66aに固定チェーンガイド67が設けられ、緩み側部分66bにバランサチェーン用テンショナレバー68及びそのアジャスタ69が設けられている。固定チェーンガイド67、テンショナレバー68及びアジャスタ69は、いずれも、シリンダブロック2に取り付けられている。
次に、図1、図2及び図7により、タイミングカバー40の全体構造を説明する。図7は、本実施形態によるタイミングカバーの正面図である。
図1、図2及び図7に示すように、タイミングカバー40は、上述したチェーン駆動機構42を覆うものであり、平面部40aと、その平面部40aの周縁部からエンジン本体側に向けて延びる壁面部40bとにより、全体的に断面コ字状になっている。一方、カバー40の上方縁部40cには壁面部40bは形成されておらず上方に開放されている。図1及び図2に示すように、タイミングカバー40の上面部には、この上方縁部40cの開放部を覆うようにシリンダヘッドカバー6が取り付けられており、その結果、チェーン駆動機構42のほぼ全体がタイミングカバー40で覆われ、カムシャフト16、17、それらのスプロケット60、62及び上部チェーン46のそれぞれ一部分はシリンダヘッドカバー6で覆われるようになっている。タイミングカバー40は、鋳造金属で一体形成するのが好ましく、本実施形態ではアルミニウム合金製である。
図7に示すように、タイミングカバー40の周縁の壁面部40bには、所定の間隔で複数のボルト通し孔40dが形成され、図1に示すように、タイミングカバー40は、これらのボルト通し孔40dを通るボルトと、ボルト通し孔40dに対応した位置でタイミングケース12及びシリンダブロック2の周縁部に形成されたねじ孔106c(図4参照)(一部は後述するねじ穴106dと共通)とにより、シリンダブロック2及びタイミングケース12に固定されるようになっている。このタイミングカバー40の周縁部と、タイミングケース12或いはシリンダブロック2と当接する部分には、シール(図示せず)が設けられている。なお、後述するように、タイミングカバー40の中間部もボルトによりエンジン本体に固定されるようになっている。
また、平面部40aには、クランクシャフト14(図1及び図2参照)を通す孔部が形成されたクランクシャフトプーリ14a用取付座40eや、アイドルプーリ26a用取付座40fが形成されている。
次に、図6乃至図9により、タイミングカバー40への上部テンショナレバーアジャスタ82の取付構造を説明する。図8は、図7のVIII-VIII線に沿って見たタイミングカバーのアジャスタ取付部の断面図であり、図9は、図7のIX-IX線に沿って見たタイミングカバーのアジャスタ取付部及び油路を示す断面図である。
図7に示すように、タイミングカバー40の上方には、上述した上部テンショナレバーアジャスタ82用の取付部90が、タイミングカバー40と一体に成形されている。
図8及び図9に示すように、この取付部90には、内方面にねじ溝が掘られた円筒部90a、及び、取付部90の剛性を高めるための2本のリブ90bが形成されている。これらのリブ90bは、後述するエンジンマウントブラケット取付座部100と一体に形成されて、タイミングカバー40自体の剛性も高めるようになっている。
図6に示すように、円筒部90aには、上部テンショナレバーアジャスタ82のねじ部82cが、タイミングカバー40の外部側からねじ込まれて固定されるようになっている。そして、そのヘッド82dが、円筒部90aに当接するまでねじ込まれると、そのヘッド部82dと溝部82eとにより閉空間が形成され、これが油路となるようになっている。
図9に示すように、円筒部90aには、その形成された油路と連通する油路90cが形成されている。この油路90cは、シリンダヘッド4に形成された油路(図示せず)と連通しており、これらの油路を介してアジャスタ82のプランジャ82bが油圧を受けるようになっている。
次に、図1、図7、図10乃至図13により、タイミングカバー40に形成されたエンジンマウントブラケット取付座部及びエンジンの車体への取付構造を説明する。
図10は、図7のX-X線に沿って見た断面図であり、図11は、図7のXI-XI線に沿って見た断面図であり、図12は、図11のXIIで示す矢印の方向から見た矢視図であり、図13は、エンジンの車体への取付構造を説明するための図1と同様に示す正面図である。
先ず、図1及び図7に示すように、タイミングカバー40の上方には、上述したアジャスタ取付部90に隣接して、エンジンマウントブラケット取付座部100が形成されている。図10及び図11に示すように、このマウントブラケット取付座部100は、下方から上方に向けて徐々に肉厚が大きくなるように形成され、その上面は、エンジンマウントブラケット110(図13参照)が取り付けられる取付座面100aとなっている。このように、肉厚を高めることにより、タイミングカバー40自体の剛性及びエンジン1の支持剛性を高めている。なお、図10に示すように、上述した各テンショナレバー74、76の共通軸78は、このタイミングカバー40にも取り付けられるようになっており、確実に、各テンショナレバー74、76を支持するようになっている。
図11及び図12に示すように、この取付座面100aには、3箇所にねじ孔100bが形成されており、これらのねじ孔100bに、エンジンマウントブラケット取付用のスタッドボルト102(図1及び図13参照)が嵌め込まれるようになっている。そして、図13に示すように、取付座面100aには、スタッドボルト102及びナットにより、エンジンマウントブラケット110が取り付けられ、このエンジンマウントブラケット110には、エンジンマウントユニット112が取り付けられる。このエンジンマウントユニット112は、エンジンルーム内を車体前後方向に延びるフロントサイドフレーム114に固定された車体側ブラケット116に取り付けられる。このようにして、エンジン1が、車体に取り付けられる。なお、本実施形態において、エンジン1は横置きとなっており、このようにエンジン1の前部が、フロントサイドフレーム114に取り付けられるようになっている。
次に、図4、図7、図10により、タイミングカバー40の取付座部100におけるエンジン本体への取付構造、及び、それに付随する各部品のレイアウトを説明する。
先ず、図7に示すように、マウントブラケット取付座部100には、タイミングカバー40をエンジン本体に取り付けるための幅方向及び上下方向に並んだ合計5つの取付部100d〜fが形成されている。これらのうち2つの取付部100dは、タイミングカバー40の周縁部に配置され、残りの3つの取付部100e、100fは、エンジン本体の幅方向の中間部に形成されている。
図10に示すように、これらの取付部100d〜fは、ボス状の円筒部100gを有し、このボス状の円筒部100gは、タイミングケース12に当接する長さになっている。そして、タイミングカバー40の外方から、このボス状の円筒部100gの中空部にボルト104(図1参照)を通し、シリンダブロック2及びタイミングケース12にボルト締結することにより、タイミングカバー40の中間部がエンジン本体に取り付けられる。このようにして、タイミングカバー40のエンジン本体への取付剛性を高めると共にタイミングカバー40の膜振動を抑制するようにしている。
ここで、タイミングカバー40の内方には、上述したチェーン駆動機構42が設けられており、エンジン本体の幅方向の中間部に形成された3つの取付部100e、100fのボス状の円筒部100g及びボルト104が、その機構42と干渉しないようにする必要がある。
そこで本実施形態では、以下のような構成としている。
即ち、図4に示すように、タイミングケース12及びその後方のシリンダブロック2には、タイミングカバー40の取付部100d〜fに対応した位置に、ボルト104が締結されるねじ孔106d〜fが形成されている。そして、上述した上部テンショナレバー76には、取付部100e及びねじ孔106eに対応した2箇所の位置に、開口部76eが形成されている。これらの開口部76eは、上部テンショナレバー76が揺動しても上述したボス状の円筒部100g(ボルト104)に干渉しないように、円筒部100gの外径より大きく且つテンショナレバー76の揺動方向に延びるように形成されている。
一方、取付部100f、そのボルト104及びねじ孔106fは、上部チェーン46の内方に配置されており、上部チェーン46等と干渉しないようになっている。
次に、本実施形態の主な作用効果を説明する。
先ず、中間軸54及び上下2段のチェーン44、46に関する作用効果を説明する。
本実施形態では、上述したように、クランクシャフト14の出力により、燃料ポンプ30を駆動すると共に、動力を上部チェーン46に伝達するための中間軸54を別途設けている。この中間軸54は、エンジン前面部の幅方向において燃料ポンプ軸50より内方側にオフセットし且つ上述したエンジン幅方向中心線Cより燃料ポンプ軸50側にオフセットした位置に設けられているので、下部チェーン44の張り側部分44a、44bが、比較的、幅方向に延びるようにすることが出来る。このことにより、エンジン1の前部が幅に広がることを抑制することが出来る。
例えば、図14に仮想の上部チェーンを仮想線で示すように、燃料ポンプ軸50に中間軸の機能を持たせて上部チェーンを掛け渡してしまうと、符号Sで示すような領域で、エンジン本体の幅が広がってしまう。つまり、図14に示すように、高圧燃料ポンプ30等が取り付けられる補機領域Hは、それ以上幅を狭めることが難しいが、その他の部分では、エンジン本体領域Eよりも幅を広げない方が、オルタネータ18等の他の補機類の配置或いはエンジンの車体への搭載において好ましいのである。本実施形態では、中間軸54を設けると共に上述したように配置することで、このような幅の広がりを無くすことが出来、その結果、補機類の配置の制約を少なくし、或いは、エンジン1のエンジンルームへの搭載の自由度を高めることが出来る。
さらに、本実施形態のエンジンは、コモンレール式直噴ディーゼルエンジンであり、高圧燃料ポンプ30を駆動するのに大きな力(負荷)が必要とされ、そのため、クランクシャフト14の出力を利用するのが望ましい。このようなエンジンにおいて、上部と下部の2つのチェーン44、46を用いると共に中間軸54を設けることにより、燃料ポンプ30及びカムシャフト16、17の両方を駆動しても、上述した構成によりエンジンの前部が幅方向に広がることを抑制することが出来る点で有効である。
即ち、チェーンを下部チェーン44と上部チェーン46の2段で構成することにより、高圧燃料ポンプ30の駆動負荷が大きくても、下部チェーン44のみでその負荷を受けるので、上部チェーン46によるカムシャフト16、17の駆動タイミングの誤差を小さくすることが出来る。仮に、1本のチェーンで補機及びカムシャフトの両方を駆動するとすると、チェーンが長くなって誤差が生じ易くなるので、タイミングを設計値どおりに得るために、チェーンの強度を上げざるを得ないが、本実施形態のように2段で構成することにより、下部チェーン44の強度を高め、上部チェーン46の強度は下部チェーン44程高めなくても済むので、コスト低減にもなる。
そして、本実施形態では、下部チェーン44のチェーンピッチが上部チェーン46のチェーンピッチよりも大きいので、より確実に、高圧燃料ポンプ30の高負荷に耐えるものとすることが出来る。一方、上部チェーン46には、下部チェーン44程大きな負荷がかからないので、下部チェーン44よりも強度の小さいものを用いることが出来、コストを低減することが出来る。
次に、中間軸54は、エンジン幅方向中心線Cより燃料ポンプ軸50側にオフセットした位置に設けられているので、その中心線Cより左側の領域のスペースが広がる。本実施形態では、この左側の領域に、各チェーン44、46の緩み側部分44c、46cの案内及び張力調整を行うテンショナレバー74、76を有効に配置することが出来、その結果、エンジン本体の幅を広げる必要がなくなる。
次に、上部テンショナレバー76及びアジャスタ82の配置に関する作用効果を説明する。
先ず、上部テンショナレバーアジャスタ82は、タイミングカバー40に取り付けられているので、エンジン本体の前面部にテンショナレバーアジャスタを取り付けるスペースが無くても、エンジン本体に幅方向に突出する取付部分を形成せずに、アジャスタ82を設けることが出来る。特に、本実施形態では、上部チェーン46が下部チェーン44より前方側に配置されているので、アジャスタ82を、エンジン前面部ではなく、タイミングカバー40に取り付け易くなっている。
また、タイミングカバー40に形成されたアジャスタ82用の取付部90には、円筒部90aが形成され、この円筒部90aにより、アジャスタ82をタイミングカバー40の外方から取り付けることが出来るようになっている。これにより、エンジン1の組立時において、タイミングカバー40をエンジン本体に取り付けた後に、そのタイミングカバー40にアジャスタ82を組み付けることも、アジャスタ82をタイミングカバー40に組み付けた後にタイミングカバー40をエンジン本体に取り付けることも可能であり、上部テンショナレバーアジャスタ82の組み付け性が向上する。
特に、タイミングカバー40をエンジン本体に取り付けた後に、そのタイミングカバー40にアジャスタ82を組み付ける場合には、取付部90にアジャスタ82を挿入し、締結するだけで、上部テンショナレバー76の受面部76bとの位置関係を精度良く確保することが出来る。また、タイミングカバー40にアジャスタ82を組み付けた後にタイミングカバー40をエンジン本体に取り付ける場合に比べ、アジャスタ82とテンショナレバー72やチェーン46との干渉の恐れが低減される。
次に、各テンショナレバー74、76は、前後方向にずれて配置されると共に、共通の揺動軸78により揺動可能となっているので、これらのテンショナレバー74、76をコンパクトに配置することが出来ると共に、上述した中間軸54のオフセットにより形成されたスペースを有効に活用することが出来る。
次に、固定チェーンガイド70、72の作用効果を説明する。
固定チェーンガイドは、一般には、チェーンの外方で固定される。一方、本実施形態では、上部固定チェーンガイド72を上部チェーン46の内方でエンジン本体に固定しているので、スペースを有効に活用することが出来る。特に、本実施形態のように、中間軸54をオフセットさせることにより、上部チェーン46の取り回しスペースが少なくなり、それに伴い、チェーンの外方のチェーンガイドを設けるスペースが少なくなってしまっても、このように固定チェーンガイドをチェーンの内方で固定することにより、エンジンの幅を広げることなく、有効に、固定チェーンガイドを取り付けることが出来る。
さらに、本実施形態では、上部チェーン46が下部チェーン44よりも前方側に配置されているので、上部固定チェーンガイド72を、その取付部からチェーン46の後方側(チェーン46とエンジン本体との間)をくぐらせてチェーン46の外方まで延ばすことが容易となる。そして、本実施形態では、チェーン46の外方にチェーン案内面72aが形成され、この案内面72aは、チェーン46を内方に湾曲させて案内するようになっている。従って、上部チェーン46が外方に湾曲しない分、エンジン本体の前面部内での上部チェーン46の取り回しを容易にすることが出来る。さらに、上部チェーン46がタイミングケース12やエンジンの幅方向の縁部に干渉しないようにして、エンジンの幅方向の広がりを抑えることが出来る。さらに、上部チェーン46がばたついて、外方に向けて変位することによるタイミングケース12との接触も防止することが出来る。
また、下部固定チェーンガイド46は、下部チェーン44の内方に設けられているので、エンジン前面部のスペースを有効に活用すると共に、下部チェーン44の2つの張り側部分44a、44bの両方を1つの固定チェーンガイドで案内することが出来る。
次に、タイミングカバー40のエンジン本体への取付構造及びタイミングカバー40を介した車体へのエンジン取付構造等に関する作用効果を説明する。
先ず、タイミングカバー40の中間部には、取付部100e、100f及びボス状の円筒部100g、さらに、それらに対応した複数の締結ボルト104が設けられているので、タイミングカバー40のエンジン本体への取付剛性を高めると共にタイミングカバー40の膜振動を抑制することが出来る。そして、タイミングカバー40の取付剛性が高められるので、タイミングカバー40に形成されたエンジンマウントブラケット取付座部100によるエンジンの車体に対する支持剛性をも確保することが出来る。さらに、ボルト104を幅方向或いは上下方向に複数設けることにより、取付剛性を確保しつつ、締結位置の自由度を高めることが出来る。
また、上部テンショナレバー76には、ボルト104及びボス状の円筒部100gが通るための開口部76eを形成しているので、それらの中間部に設けたボルト104(円筒部100g)の配置の制約を少なくすることが出来、その結果、より確実に、タイミングカバー40の支持剛性等を確保することが出来る。そして、中間部に設けたボルト104(円筒部100g)は、上部チェーン46の内方、或いは、上部テンショナレバー76に形成された開口部76e内に配置されるので、タイミングカバー40内に配置されたチェーン駆動機構42のレイアウトを阻害しないようにすることが出来る。
さらに、開口部76eは、円筒部100gの外径より大きく且つテンショナレバー76の揺動方向に延びるので、円筒部100g等によりテンショナレバー76の揺動を阻害することがなく、また、テンショナレバー76の開口部76eの大きさを、上述した干渉が生じない程度になるべく小さいものにすれば、テンショナレバー76自体の剛性も確保することが出来る。
ここで、テンショナレバー74、76は、チェーン44、46を案内すると共に張力を調整する機能も有しているので、所定の剛性が必要となる。本実施形態では、上部テンショナレバー76に開口部76eを2箇所設けているが、その上部テンショナレバー76の全体の寸法が、下部テンショナレバー74の寸法よりも大きくなっているので、より確実に剛性が確保される。従って、テンショナレバー76の機能の確保と、開口部76eによるボルト104等のレイアウトの自由度とを両立させることが出来る。
次に、タイミングカバー40の幅方向の中間部には、剛性の高められたエンジンマウントブラケット取付座部100が形成され、エンジン1は、このような取付座部100を利用してタイミングカバー40を介して車体側に取り付けられるので、タイミングカバー40内のチェーン駆動機構42の効率良いレイアウトと、車体への取付構造の効率良いレイアウトとの両立を図ることが出来る。
本発明の実施形態によるエンジンの正面図である。 本発明の実施形態によるエンジンの側面図である。 本発明の実施形態によるタイミングケースの正面図である。 本発明の実施形態によるチェーン伝達機構を説明するためのエンジンの正面図である。 図3のV-V線に沿って見たアジャスタ取付座の断面構造を示す図である。 本発明の実施形態による上部テンショナレバーアジャスタを示す図である。 本発明の実施形態によるタイミングカバーの正面図である。 図7のVIII-VIII線に沿って見たタイミングカバーのアジャスタ取付部の断面図である。 図7のIX-IX線に沿って見たタイミングカバーのアジャスタ取付部及び油路を示す断面図である。 図7のX-X線に沿って見た断面図である。 図7のXI-XI線に沿って見た断面図である。 図11のXIIで示す矢印の方向から見た矢視図である。 本発明の実施形態によるエンジンの車体への取付構造を説明するための図1と同様に示す正面図である。 本実施形態による効果を説明するためのエンジンの前部構造の概略図である。
符号の説明
1 エンジン
2 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
12 タイミングケース
14 クランクシャフト
16、17 カムシャフト
30 高圧燃料ポンプ
40 タイミングカバー
42 チェーン駆動機構
44 下部チェーン
44a、44b 張り側部分
44c 緩み側部分
46 上部チェーン
46a、46b 張り側部分
46c 緩み側部分
48、49、52、56、58、60、62、65 スプロケット
50 燃料ポンプ軸
54 中間軸
70、72 下部或いは上部の固定チェーンガイド
74、76 下部或いは上部のテンショナレバー
76e 開口部
78 共通の揺動軸
80、82 下部或いは上部のテンショナレバーアジャスタ
90 上部テンショナレバーアジャスタの取付部(タイミングカバー)
100 エンジンマウントブラケット取付座部
100d〜f タイミングカバーのエンジン本体への取付部

Claims (7)

  1. エンジン本体の前面部において、クランク軸の駆動力を、カム軸と、エンジン本体の側面部に配置された補機とに下部チェーン及び上部チェーンを介して伝達するエンジンの前部構造であって、
    上記下部チェーンは、上記クランク軸と、上記補機の軸と、上記エンジン本体の前面部の幅方向において上記補機より内方側且つ上記エンジン本体の幅方向中心線より上記補機側にオフセットされて配置された中間軸とに掛け渡されると共に、その下部チェーンの補機側のチェーン部分が張り側となるように上記クランク軸により駆動され、
    上記上部チェーンは、上記中間軸と、上記カム軸とに掛け渡されると共に、その上部チェーンの補機側のチェーン部分が張り側となるように上記中間軸により駆動され、
    上記下部チェーン及び上部チェーンのそれぞれの緩み側のチェーン部分には、それらを案内する下部テンショナレバー及び上部テンショナレバーが揺動可能に配設され、
    上記上部チェーンの張り側のチェーン部分には、それを案内する上部固定チェーンガイドが配設され、この上部固定チェーンガイドは、上記上部チェーンの内方領域で上記エンジン本体に固定されていることを特徴とするエンジンの前部構造。
  2. 上記上部固定チェーンガイドのチェーン案内面は、上記上部チェーンの外方に配置されると共に内方に湾曲した形状に形成されている請求項1記載のエンジンの前部構造。
  3. 上記下部チェーンの張り側のチェーン部分には、上記下部チェーンの張り側のチェーン部分を案内する下部固定チェーンガイドが上記下部チェーンの内方領域に配置されている請求項1又は請求項2に記載のエンジンの前部構造。
  4. 上記下部チェーン及び上部チェーンは、エンジンの前後方向において上記下部チェーンが後方側に上記上部チェーンが前方側に互いにずれて配置され、
    上記下部テンショナレバー用の下部テンショナレバーアジャスタが上記エンジン本体の前面部に取り付けられ、
    上記上部テンショナレバー用の上部テンショナレバーアジャスタが上記エンジン本体の前面部を覆うタイミングカバーに取り付けられている請求項1乃至3のいずれか1項記載のエンジンの前部構造。
  5. 上記タイミングカバーには、上記上部テンショナレバーアジャスタを取り付けるための取付孔部が形成され、
    上記上部テンショナレバーアジャスタは、その可動端部が上記テンショナレバーの背面部側に位置するように、上記取付孔部に上記タイミングカバーの外方から差し込まれて取り付けられる請求項4に記載のエンジンの前部構造。
  6. 上記下部テンショナレバー及び上部テンショナレバーは、互いにエンジンの前後方向にずれて配置されると共にそれらの揺動支点が一致するように上記エンジン本体の前面部に同軸で支持される請求項1乃至5のいずれか1項記載のエンジンの前部構造。
  7. 上記エンジンはコモンレール式直噴ディーゼルエンジンであり、上記補機は上記コモンレールに燃料を圧送するサプライポンプであり、上記補機を駆動する下部チェーンのチェーンピッチが、上部チェーンのチェーンピッチより大きい請求項1乃至6のいずれか1項記載のエンジンの前部構造。
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