JP2007084660A - 難燃性異形押出し樹脂成形品 - Google Patents

難燃性異形押出し樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】芳香族ポリカーボネート樹脂本来の機械的特性、透明性、耐候性、電気的特性、熱的特性を有し、かつ押出し成形時に難燃剤のブリードアウトが抑制された難燃性異形押出し成形品を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表されるメルトボリュームフローレート比(MVR−R)が15以上の(A)非結晶性樹脂100重量部に対し、(B)パーフルオロアルキルスルホン酸塩0.01〜0.5重量部を含有する樹脂組成物を成形してなる、難燃性異形押出し樹脂成形品。 MVR−R=MVR21.6/MVR2.16 (1)(但しMVR2.16はJIS K 7210に準拠し280℃、2.16kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートを示し、MVR21.6はJIS K 7210に準拠し280℃、21.6kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートを示す)。
【選択図】なし

Description

本発明は難燃性異形押出し樹脂成形品に関する。さらに詳しくは、樹脂としてポリカーボネート樹脂等の非結晶性樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることで、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の機械的特性、透明性、耐候性、電気的特性、熱的特性を維持し、更に難燃性に優れ、そして押出し成形時の難燃剤ブリードアウトが抑制された、難燃性異形押出し樹脂成形品に関する。
透明性に優れた非結晶性樹脂、例えば芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常、直鎖状の分子構造を有しており、透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性、耐候性、電気的特性等の諸特性に優れた樹脂である。その特徴を生かして、電気・電子・OA機器筐体や部品を始めとして、車両構造部品、風防、メーターパネル、屋外公告板、照明器具カバー、建物やアーケード等の採光窓、温室、高速道路の遮音壁などとして広範な用途に使用されている。
一方、このような分子構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、メルトテンションが低いために、押出し成形へ適用した際、特に、押出機から吐出された溶融樹脂を所望の断面形状を付与するサイジングダイにより成形する、いわゆる異形押出し成形へ適用した際、ドローダウンが大きくなり、異形押出成形が困難であった。そこでドローダウンを解決するためにポリカーボネート樹脂の分子量を上げると、異形押出し成形時の溶融樹脂の粘度が高くなり過ぎてしまい、押出機への負荷が過大となり、生産性が上がらない等の問題も生じていた。
このような問題を解決すべく、例えば芳香族ポリカーボネート樹脂のドローダウン性等の溶融特性を改良させる方法として、界面重合法で、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」又は「BPA」と略称する。)とともに、分岐化剤として、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の多官能化合物を使用して、芳香族ポリカーボネート樹脂を分岐化させる方法が知られている。
そしてまた、芳香族ポリカーボネート樹脂は、それ自身では難燃性が必ずしも十分ではないことから、上述の溶融特性の改良と併せて難燃化の検討されており、種々の改良方法が提案されてきた。芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃化においては、ブロム化ポリカーボネート等のハロゲン化物が使用されてきた。しかし高度の難燃性を満たすには、かなりの量のハロゲン化物が必要であり、かかる難燃剤を含有する樹脂組成物は、加熱によりハロゲンガスを発生し、成形装置の腐蝕や環境汚染を招くため、非ハロゲン系の難燃剤の使用が求められている。そこで非ハロゲン系難燃剤として、リン酸エステル系や他の難燃剤を使用することが提案されている。(例えば特許文献1〜6参照)。
しかしながら、リン酸エステル系の難燃剤を使用すると、芳香族ポリカーボネート樹脂が本来有する機械的強度や耐熱性が低下するという欠点があった。さらに、ハロゲン系やリン系難燃剤含有ポリカーボネート樹脂組成物の押出し成形の際には、押出機先端のダイのリップに難燃剤がブリードアウトして付着・変質し、さらに変質した難燃剤が成形品に付着したり、混入したりして外観不良を引き起こしていた。
上記の実状に鑑み、芳香族ポリカーボネート樹脂に非ハロゲン・非リン系難燃剤として、芳香族硫黄化合物の金属塩を配合した押出し成形用難燃性樹脂組成物も提案されている(例えば特許文献7参照)。また衝撃変性剤とリン系難燃剤を含有した押出し成形用ポリカーボネート樹脂組成物も提案されている(例えば特許文献8参照)。
特公昭44−17149号公報 特公昭47−2918号公報 特開平5−295246号公報 特開平6−306268号公報 特開平7−41653号公報 特開2002−302597号公報 特開2000−169693号公報 特表2003−526717号公報
芳香族ポリカーボネート樹脂の様な非結晶性樹脂を異形押出し成形へ適用するために、且つ充分な難燃性を有するポリカーボネート樹脂等の非結晶性樹脂成形品を製造するために、上述した様な改良方法が提案されてきた。しかし特許文献1〜3には具体的な難燃性に関する記載はなく、高度な難燃性の要求される異形押出し成形品には適していないという問題があった。
また特許文献4には、難燃剤としてパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を用い、またポリカーボネート樹脂として直鎖と分岐のポリカーボネート樹脂混合物を使用した例が示されているが、このポリカーボネート樹脂組成物は未だにドローダウンが問題であり、異形押出成形には適していないという問題があった。
そして特許文献5、6に記載のポリカーボネート樹脂は、いわゆる分岐構造を有さない、直鎖状ポリカーボネート樹脂であるので、溶融時のメルトテンションが低く、やはり異形押出成形には適していないという問題があった。
更には特許文献7に記載のポリカーボネート樹脂組成物は、難燃性のレベルがアンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)の燃焼試験(UL94)でUL94V−2と低く、高度な難燃性の要求される用途には使用できず、そして特許文献8に記載のそれは透明性が低い為に、使用用途が限定されてしまうという問題があった。
本発明は非結晶性樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂において、本来の機械的特性、透明性、耐候性、電気的特性、熱的特性を有し、同時に異形押出し成形時の難燃剤ブリードアウト抑制効果をも奏する、難燃性異形押出し樹脂成形品を提供することにある。
そこで本発明者は鋭意検討を重ねた結果、特定の非結晶性樹脂、好ましくは特定の芳香族ポリカーボネート樹脂に、特定のアルカリ金属塩を特定少量含有させた、非結晶性樹脂組成物を用いて異形押出し成形品を製造することによって、上述した課題を全て解決できること、具体的には、特に高い透明性と難燃性、そして難燃剤ブリードアウトの抑制効果を同時に奏することを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明の要旨は、下記一般式(1)で表されるメルトボリュームフローレート比(MVR−R)が15以上の(A)非結晶性樹脂100重量部に対し、(B)パーフルオロアルキルスルホン酸塩0.01〜0.5重量部を含有する樹脂組成物を成形してなる、難燃性異形押出し樹脂成形品に関する。
MVR−R=MVR21.6/MVR2.16 (1)
(但しMVR2.16はJIS K 7210に準拠し280℃、2.16kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートを示し、MVR21.6はJIS K 7210に準拠し280℃、21.6kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートを示す)。
本発明によれば、特定の非結晶性樹脂に対して、特定の難燃剤を少量含有した樹脂組成物を異形押出成形することによって、透明性、難燃性に優れた、異形押出し非結晶性樹脂成形品を得ることができ、且つ異形押出成形時の難燃剤ブリードアウトも抑制することができる。本発明の異形押出し樹脂成形品は、例えば非結晶性樹脂として芳香族ポリカーボネートを用いた際には、芳香族ポリカーボネート樹脂本来の機械的特性、透明性、耐候性、電気的特性、熱的特性を有し、難燃性に優れ、かつ押出し成形時に難燃剤のブリードアウトが抑制され、生産性が高く、外観が優れたものとなるので、広範な新規かつ有用な用途展開が期待できる。具体的には例えば、温室の壁、自動車用道路脇の防音壁、車庫の屋根などの用途へ、広く適用することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる(A)非結晶性樹脂は、以下の式(1)により定義されるメルトボリュームフローレート比(以下、「MVR−R」と略記する。)が、15以上であることを特徴とする。
MVR−R=MVR21.6/MVR2.16 (1)
(但しMVR2.16はJIS K 7210に準拠し280℃、2.16kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートを示し、MVR21.6はJIS K 7210に準拠し280℃、21.6kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートを示す)。
本発明に用いる(A)非結晶性樹脂はMVR−Rが15以上であればよく、中でも16以上、特に18以上であることが好ましい。MVR−Rの上限は通常30であるが、MVR−Rが大きすぎても重合時に架橋する事による異物(ゲル)の発生があるので、通常、25以下である。
本発明においては、(A)非結晶性樹脂として上記一般式(1)により定義されるMVR−Rが15以上のものを用いることによって、溶融張力が高く、ドローダウンも小さいので、押出機から溶融樹脂を吐出させ、所望の形状を安定的に付与しながら冷却し、成形することが非常に容易になり、肉厚精度に優れ、透視歪み等の外観不良の著しく低減された、異形押出し樹脂成形品を得ることができる。
本発明に用いる(A)非結晶性樹脂は、上述した一般式(1)を満たすものであれば特に制限は無い。具体的には例えば、ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、環状オレフィンコポリマー、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂等が挙げられる。
中でも本発明に用いる(A)非結晶性樹脂としては、機械的特性、透明性、耐候性、電気的特性、熱的特性等の面でのバランスがよく、且つ本発明の効果が顕著となることから、ポリカーボネート樹脂類、特に芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
以下、(A)として芳香族ポリカーボネート樹脂を例に挙げて説明する。本発明に用いる(A)非結晶性樹脂として芳香族ポリカーボネート樹脂を用いた際、この芳香族ポリカーボネート樹脂のMVR−Rが15以上であるということは、その分子構造中において分岐構造を多く有していることを示す。
本発明に用いる(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、一種類、又は二種以上の複数の異なるものを任意の割合で併用してもよい。
本発明に用いる(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、その用途に応じて適宜選択して決定すればよく、一般的には、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量を示す。この粘度平均分子量が低すぎると機械的強度や溶融張力が低下する場合があり、逆に高すぎても流動性が低下し、成形加工が難しくなる場合がある。よってこの分子量は、通常、15000〜40000、中でも20000〜30000、特に23000〜28000であることが好ましい。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は任意であり、ホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)等、従来公知の任意の方法であってもよく、分岐構造を多く含む芳香族ポリカーボネート樹脂構造となるように、その製造方法を適宜選択して決定すればよい。
本発明に用いる(A)芳香族ポリカーボネート樹脂を、エステル交換法にて製造する場合には、原料に芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを従来公知の任意の方法により反応させればよい。エステル交換法においてもちいる芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物の中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)(以下、「BPA」と略記することがある。)が好ましい。
また、分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂(A)を得るには、フロログリシン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン等で例示されるポリヒドロキシ化合物、又は3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノール等を用いればよい。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂をエステル交換法により製造する場合、通常、原料のジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのモル比を調節したり、減圧度を調節したりすることによって、その末端のヒドロキシ末端構造の量比が調整できる。また、より積極的な方法として、反応時に別途、末端停止剤を添加する調整方法も周知である。この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。一価フェノール類、一価カルボン酸類としては、例えば、炭素数が9以上の一価フェノールや一価カルボン酸が好適に使用され、具体的には、p−プロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、クミルフェノール、tert−オクチルフェノール、フェニルフェノール、ナフチルフェノール、4−ヒドロキシ−p−クオーターフェニル、ブチル安息香酸、オクチル安息香酸、フェニル安息香酸、ナフタレンカルボン酸等が挙げられる。また、炭酸ジエステル類としては、例えば、上記炭素数9以上の一価フェノールから誘導される炭酸ジエステル類が好適に使用され、具体的には、フェニルブチルフェニルカーボネート、ジ(ブチルフェニル)カーボネート、フェニルクミルフェニルカーボネート、ジ(ノニルフェニル)カーボネート、メチルフェニルナフチルフェニルカーボネート等が挙げられる。
本発明に用いる(A)芳香族ポリカーボネート樹脂を界面重合法により製造する場合、末端停止剤又は分子量調節剤を使用してもよい。末端停止剤又は分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基、又は、一価のカルボン酸誘導体構造を有する化合物が挙げられる。一価のフェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール、ハロゲン化フェノール、アルコキシフェノール、アルコキシカルボニルフェノール等の置換フェノール類が挙げられ、具体的には、フェノール、メチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、アリルフェノール、クミルフェノール、ナフチルフェノール、ナフトール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、トリフルオロフェノール、メトキシフェノール、ブトキシフェノール、メトキシカルボニルフェノール、ブトキシカルボニルフェノール、ドデシロキシカルボニルフェノール、オクタデシロキシカルボニルフェノール等が挙げられる。一価のカルボン酸誘導体構造を有する化合物としては、例えば、カルボン酸、カルボン酸クロライドが挙げられ、具体的には、酢酸、アクリル酸、ギ酸、プロピオン酸、プロピオル酸、酪酸、イソ酪酸、メタクリル酸、パルミチン酸、ステアリンステアリン酸、ピルビン酸、アセト酢酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ヘキサフルオロ酢酸、安息香酸、ナフトエ酸、メチル安息香酸、ブチル安息香酸、ビニル安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、ペンタブロモ安息香酸、メチルナフトエ酸、エチルナフトエ酸等のカルボン酸、及びこれらカルボン酸から誘導されるカルボン酸クロライドが挙げられる。
本発明に用いる(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法における諸条件は、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂が、上述した一般式(1)を満たす様に、適宜選択して決定すればよいが、具体的には例えば、界面重合法により製造する場合には、特開2000−095853号公報及び特開2000−186136号公報等に記載されている分岐芳香族ポリカーボネート樹脂の製法を、またエステル交換法により製造する場合には、例えば特開2003−119369号公報等に記載されている分岐芳香族ポリカーボネート樹脂の製法を用いることができる。
本発明においては、従来から使用されている臭素を含む難燃剤を用いずとも、(B)パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を特定量用いることで、優れた透明性、難燃性を示す異形押出樹脂成形品を提供することが出来る。また本発明に用いる(B)パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂に配合して難燃効果を示し、透明性を損なわない任意のものを使用できる。(B)パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩におけるアルキル基は適宜選択して決定すればよいが、通常、炭素数1〜10、中でも2〜8、特に炭素数が4に近いことが好ましい。
本発明に用いる(B)パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩としては、具体的には例えばパーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム等が挙げられる。
中でもパーフルオロブタンスルホン酸アルカリ金属塩であることが好ましく、特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。
本発明における(B)パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の含有量は、少なすぎると本発明の異形押出樹脂成形品の難燃性が不充分となり、逆に多すぎても添加量の増加に見合う効果の向上が期待できない。よって(B)パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の含有量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜0.5重量部、中でも0.03〜0.3重量部、特に0.05〜0.2重量部であることが好ましい。
本発明の異形押出し樹脂成形品は、更に本発明の目的を損なわない範囲で、離型剤を含有してもよい。離型剤としては、従来公知の任意のものを適宜選択して決定すればよい。中でも脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれたものを用いることが好ましい。これらの中でも特に、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸等が挙げられ、脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸であってもよい。中でも炭素数6〜36の脂肪族または脂環式の、モノ又はジカルボン酸であることが好ましく、特に炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸が好ましい。このような脂肪族カルボン酸としては、具体的には例えばパルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等が挙げられ、脂肪族アルコールは脂環式アルコールであってもよい。これらのアルコール成分は、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコール成分としては、中でも炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、特に炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。
これらのアルコール成分としては、具体的には例えばオクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
また脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
本発明における離型剤の含有量は適宜選択して決定すればよいが、離型剤の含有量が多すぎると、異形押出し樹脂成形品の耐加水分解性低下やモールドデボジットが発生する場合がある。よってその含有量は通常、(A)非結晶性樹脂として芳香族ポリカーボネート樹脂を用いた際には、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部である。
本発明の異形押出し成形品は、更に本発明の目的を損なわない範囲で、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等、従来公知の任意の酸化防止剤を適宜選択して、一種または二種以上を任意の割合で含有させてもよい。
リン系酸化防止剤としては、具体的には例えばトリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト等が挙げられる。中でもトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、具体的には例えば2,6−ジ−オブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
本発明の異形押出し樹脂成形品における酸化防止剤の含有量は、その用途に応じて適宜選択して決定すればよいが、例えば(A)非結晶性樹脂として芳香族ポリカーボネート樹脂を用いた際には、通常、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対してリン系酸化防止剤の含有量は50〜1000ppm、フェノール系酸化防止剤の含有量は200〜5000ppmである。
本発明の異形押出し成形品は、また本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤としては従来公知の任意のものを使用でき、1種または二種以上を任意の割合で使用することが出来る。紫外線吸収剤としては、具体的には例えば酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、ベンゾオキサジン系等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾール化合物やベンゾオキサジン化合物の他、トリアジン化合物の2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、マロン酸系化合物の[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステル、シアノアクリレート化合物の2−エチルヘキシル−2−シアノ−3、3'−ジフェニルアクリレートから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物としては、メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物が好ましい。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3',5'−ジ−t−ブチル−2'−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレン ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕[メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール化合物の中で、特に好ましいものは、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2'−メチレン ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕である。
また、ベンゾオキサジン化合物としては、2,2’−ビス(4H−6−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−ビス(4H−6−エチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−ビス(4H−6−プロピル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(4H−6−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(4H−6−エチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(4H−6−プロピル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)等を挙げることができる。この中でも、紫外線吸収効果と合成の容易さの点から2,2’−p−フェニレンビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が特に好ましい。
紫外線吸収剤の含有率は適宜選択して決定すればよいが、多すぎるとシート成形用ロールやサイジングダイを汚染する懸念があり、少なすぎても耐候性の改良効果が不十分である。よって通常、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂重量部100重量部に対して0.01〜3重量部である。
本発明の異形押出し成形品は、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、難燃剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、光拡散剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状強化材、マイカ、タルク、ガラスフレーク等の板状強化材あるいはチタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ワラストナイト等のウィスカー無機系充填剤等の添加剤を含有し、所望の物性を付与することもできる。
本発明に用いる、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、具体的には少なくとも(A)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し(B)パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩0.01〜0.5重量部を含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、さらに所望により、異形押出成形のため又は異形押出成形体に必要な物性を与えるために添加剤を添加し、通常の溶融混練方法等により製造すればよい。例えば単軸押出し機を用いる際には、シリンダー温度は240〜300℃、中でも260〜280℃とすることが好ましく、スクリュー回転数は30〜100rpm、中でも40〜80rpmとすることが好ましい。
所望により添加される各種添加剤や他の熱可塑性樹脂等の添加方法は特に限定されないが、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂がエステル交換法により製造された場合、芳香族ポリカーボネート樹脂製造における溶融状態時に所定量を添加する方法や、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを製造後、再度溶融した際に溶融混合する方法が挙げられる。この際、溶融混練が充分に行われる段階で数回に分割して供給しても、また溶融混練の初期に同時に添加してもよい。
本発明の異形押出成形樹脂成形品は、前述した様な(A)芳香族ポリカーボネート樹脂等の非結晶性樹脂を異形押出成形することによって成形した成形品である。異形押出成形法は、通常、先端に所望の形状を形作るための金型(賦形ダイ)を取り付けた押出し機により、押出機内で可塑化された前記樹脂組成物を、この金型を通して、連続的に一定の断面形状で押し出す工程と、押出された溶融状態の樹脂を冷却固化する工程とからなり、複雑な断面形状を有する、長尺状の成形品を製造する樹脂成形方法である。
該金型の形状を種々換えることにより、所望の断面形状の異形押出樹脂成形品が得られるが、断面形状としては比較的単純なコの字型、中空角形、中空リブ付きのようなものから窓枠材のような複雑な断面形状のものにまで適用できる。用途としては窓枠、外壁材、雨樋、机の引き出し、エッジ材、OA機器のパネルなどが挙げられる。
本発明の異形押出樹脂成形品は、例えば、建材等の用途に使用できる。中でもツインウォール成形体、又は3層以上のウォールを有する成形体に使用することで、本発明の効果が顕著となる。図1(a)にツインウォール成形体の一例、図1(b)に3層のウォールを有する成形体の一例に係る断面斜視図を示す。図1(a)のツインウォールは、対向する2つのウォール部10と、その間に、ウォール部10に垂直で且つ互いに平行な複数の柱部12とを有する構造である。図1(b)の成形体は、対向する3つのウォール部10と、2つのウォール部10の間にそれぞれ、ウォール部10に垂直で且つ互いに平行な複数の柱部12とを有する構造である。図1(a)および(b)の成形体は、断面が、各々の断面aおよびbと同一である金型が先端に取り付けられた押出機により押出成形(異形押出成形)することによって得られる。
本発明においては、先述した非結晶性樹脂組成物を用いることにより、通常の押出し成形速度(0.01〜0.1m/s)よりも速い速度(0.1m/sを超える速度)にて異形押出成形を行っても、得られる異形押出成形品の表面において皺状部分の発生が抑制され、外観良好な異形押出樹脂成形品を短時間で得ることが出来るので、工業的規模での生産性を向上することが出来る。
また本発明の異形押出樹脂成形品は、充分な難燃性を示し、且つ難燃剤として特定の(B)パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を用いることで、その含有量を低減できたので、異形押出成形時に外観不良の原因になる、いわゆる「目やに」の発生がなく、透明性に優れた異形押出し成形品を得ることができる。
また本発明の異形押出し樹脂成形品は、用途に応じて、その表面の一部又は全部にハードコート層、導電層、帯電防止層、防曇層、赤外線吸収層、光反射性被膜、印刷層、耐候性向上層等の機能層を設けてもよい。これらの機能層を設ける方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法から適宜選択して決定すればよい。
具体的には例えば、異形押出し成形を行う際、表面に共押出等の手段を用いて、異形押出し成形品の表面に直接設ける方法や、機能性層を別途熱可塑性樹脂製フィルムまたはシートの表面に形成し、これらと異形押出し成形品とを積層一体化して機能層を設ける方法が挙げられる。この際、熱可塑性樹脂製フィルムまたはシートを構成する樹脂は特に制限はないが、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレートのようなアクリル系樹脂であることが好ましい。
異形押出し成形品の表面に直接、または熱可塑性樹脂フィルムまたはシートの表面にハードコート層を設ける際、必要に応じて予めプライマー層を設け、その上にエポキシ系、アクリル系、アミノ樹脂系、ポリシロキサン系、コロイダルシリカ系などのハードコート剤を塗布し、熱または紫外線などの手段により硬化する方法も挙げられる。防曇層を設けるには、通常水溶性または親水性樹脂と界面活性剤を必須成分として含有する防曇塗料を塗布し、硬化する方法が挙げられる。
その他、帯電防止層、反射防止層、熱線遮断層等も、これらの機能を与える塗料を塗布し、硬化させるか、又はこれらの機能を有する薄膜層を真空蒸着法等の方法により設けてもよい。またこれらの機能性層を複合層として、二種以上の機能を同時に備えたものとすることもできる。さらに、これらの機能性層の他にまたはこれら機能性層に、印刷などにより予め美装用塗装処理を施して優れた意匠性を発揮する印刷層を設けることもできる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また実施例・比較例に於いては、以下の方法により物性評価を行い、また「部」及び「%」は「重量部」「重量%」を示す。
・粘度平均分子量(Mv)
ウベローデ粘度計を用いて、塩化メチレン中、20℃で測定した溶液粘度より極限粘度[η]を求め、以下の式(2)より粘度平均分子量(Mv)を算定した。
〔η〕=1.23×10−4×(Mv)0.83 (2)
・MVR−R測定
JIS K 7210に準拠し、東洋精機製作所社製メルトインデックサを用いて、120℃で5時間乾燥した樹脂組成物について、280℃、荷重2.16Kgfで測定した時間当たりの溶融流動体積MVR2.16と、同様に280℃、荷重21.6Kgfで測定した時間当たりの溶融流動体積MVR21.6から、下式(1)によりMVR−Rを求めた。
MVR−R=MVR21.6/ MVR2.16 (1)
・ヘーズ(Hz)測定
120℃、5時間乾燥したポリカーボネートペレットを用い、シリンダー設定温度300℃の射出成形機M150AII−SJ(名機製作所社製)により3mm厚の試験片を成形し、HAZEを測定した。
・ツインウォール成形性評価
樹脂ペレットをφ50mm単軸押出し機(GMエンジニアリング社製)を用いて、樹脂温度280℃、幅1000mm、断面形状図1(a)に示すツインウォール形状(ウォール部10の厚み0.5mm、柱部12の長さ(両ウォール部10間の距離)7.5mm)に、0.08m/sの条件で異形押出しを行い、押出し成形物の形状安定性を評価した。
・押出成形品の難燃性評価
断面形状を2mm厚、幅1000mmの平板になるようにダイを変更した以外は、上述のツインウォール形成と同様の条件で得られた押出し成形品から、125mm×12mmの試験片を切り出し、燃焼性を評価した評価方法は、アンダーライター実験室UL−94、第3版(1980)に従った。
・押出し成形時ブリードアウト抑制評価
樹脂ペレットをφ50mm単軸押出し機(GMエンジニアリング社製)を用いて、樹脂温度280℃、幅1000mm、断面形状図1(a)に示す形状に0.08m/sの条件でツィンウォール状に連続して異形押出しを行い、押出し開始1時間後のダイヘッド部の汚れを観察して付着物の程度を観察して評価した。
・ポリカーボネート樹脂の製造
ポリカーボネート樹脂1(PC1)
芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA100重量部に対し、分岐化剤としてイサチンビスクレゾール0.26重量部を配合して、ホスゲンを使用して分岐状ポリカーボネートを界面重合法で製造した。得られたポリカーボネート100重量部に対し、熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化社製アデカスタブ2112)を、0.02重量部、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガノックス1010)を0.1重量部、離型剤として、ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂社製ユニスターH476)を0.3重量部、紫外線吸収剤として、2−〔2‘−ハイドロキシ−3’、5‘−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル〕−ベンゾトリアゾール(チバスペシャルティケミカルズ社製チヌビン234)を0.25重量部、配合混練した後、脱気して、ダイを通してストランド状として、カッターで切断してペレット化し、界面法分岐状ポリカーボネートPC1を得た。
PC1の粘度平均分子量は26,000、MVR−Rは21.0であった。
ポリカーボネート樹脂2(PC2)
ジフェニルカーボネートとビスフェノールAとを、窒素ガス雰囲気下、一定のモル比(DPC/BPA=1.040)に混合調整した溶融液を、88.7Kg/時の流量で、原料導入管を介して、220℃、1.33×10Paに制御した容量100Lの第1堅型攪拌重合曹内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記混合物の供給を開始すると同時に、触媒として、炭酸セシウム水溶液をビスフェノールA1モルに対し、炭酸セシウム水溶液をビスフェノールA1モルに対し、0.6μモル(金属量として、ビスフェノールA1モルに対し、1.2μモル)の割合で連続供給した。
槽底より排出された重合液は、引き続き、第2、第3の堅型攪拌重合槽(容量100L)、ならびに第4の横型重合槽(容量150L)に逐次連続供給され、第4重合槽底部のポリマー排出口から抜き出された。次に、溶融状態のままで、このポリマーを2軸押出機に送入し、p−トルエンスルホン酸ブチル(触媒として使用した炭酸セシウムに対して4倍モル量)を連続して混練し、ダイを通してストランド状として、カッターで切断してペレットを得た。第2〜第4重合槽での反応条件は、各々第2重合槽(240℃、2.00×10Pa、75rpm)、第3重合層(270℃、67Pa、75rpm)、第4重合層(287℃、67Pa、5rpm)で、反応の進行とともに高温、低圧、低攪拌速度に条件設定した。
また反応の間は、第2〜第4重合槽の平均滞留時間が60分となるように液面レベルの制御を行い、重合終了後、ポリカーボネートを溶融状態のままで2軸押出機に送入し、p−トルエンスルホン酸ブチル(触媒として使用した炭酸セシウムに対して4倍モル量)を連続して混練し、更に、ポリカーボネート100重量部に対し、熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化社製アデカスタブ2112)を、0.02重量部、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガノックス1010)を0.1重量部、離型剤として、ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂社製ユニスターH476)を0.3重量部、紫外線吸収剤として、2−〔2‘−ハイドロキシ−3’、5‘−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル〕−ベンゾトリアゾール(チバスペシャルティケミカルズ社製チヌビン234)を0.25重量部、配合混練した後、脱気し、ダイを通してストランド状として、カッターで切断してペレット化し、エステル交換法分岐状ポリカーボネートPC2を得た。
PC2の粘度平均分子量は25,800、MVR−Rは21.2であった。
ポリカーボネート樹脂3(PC3)
分岐化剤のイサチンビスクレゾールを加えなかった以外はPC1と同様にして、界面重合法直鎖ポリカーボネートPC3を得た。PC3の粘度平均分子量は25,600、MVR−Rは12.0であった。
・難燃剤の準備:難燃剤として以下のものを用いた。
難燃剤1:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(ランクセス社製 バイオウエットC−4)
難燃剤2:ジポタジウムジフェニルスルホン−3,3‘−ジサスルホネート(シールサンズケミカルズ社製KSS)
実施例1〜3、比較例1〜4
表1記載の割合で各原料をドラムブレンダー内にて予備混合し、更に48mmベント付き2軸押出し機(東芝機械社製TEM48−SS)を用いて310℃で押出し、ペレットを製造した。このペレットを先述の方法により評価し、その結果を表1に記す。
尚、比較例3では、押出し成形時に、押出し品の賦形性が悪く、ダイから成形品が出た直後、軟らかい飴のように潰れてしまい、成形できなかった。
またツインウォール成形性については、断面から押出し方向(長手方向)に目視観察し、壁が湾曲せずに直線的であり、長手方向に略均一なものを「良好」、壁が湾曲したり、長手方向に不均一性が見られるものを「不良」と表記した。
Figure 2007084660
表1から、本発明の異形押出し樹脂成形品は、高速で異形押出しを行っても成形体表面に皺が寄らず、外見が良好であることが判る。また押出し成形品の難燃性評価が良好な結果であることから、異形押出樹脂成形品においても良好な結果となることが明白である。
図1での(a)はツインウォール成形体の一例の、図1(b)は3層のウォールを有する成形体の一例の断面斜視図である。
符号の説明
10 ウォール部
12 柱部
a、b 断面


Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるメルトボリュームフローレート比(MVR−R)が15以上の(A)非結晶性樹脂100重量部に対し、(B)パーフルオロアルキルスルホン酸塩0.01〜0.5重量部を含有する樹脂組成物を成形してなる、難燃性異形押出し樹脂成形品。
    MVR−R=MVR21.6/MVR2.16 (1)

    (但しMVR2.16はJIS K 7210に準拠し280℃、2.16kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートを、またMVR21.6はJIS K 7210に準拠し280℃、21.6kg荷重で測定したメルトボリュームフローレートを示す)。
  2. 非結晶性樹脂が芳香族ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1記載の難燃性異形押出し樹脂成形品。
  3. パーフルオロアルキルスルホン酸塩が、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性異形押出し樹脂成形品。
  4. 難燃性異形押出し樹脂成形品が、ツインウォール又は3層以上のウォール形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の難燃性異形押出し樹脂成形品。
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