JP2007083592A - インクジェット記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、平滑感、画質、顔料インク擦過性、コックリングが優れ、かつ白紙光沢と顔料インクの印字部光沢差が小さく、色安定速度が速いインクジェット記録体を提供するものである。印刷、写真用途などに利用可能である。
【解決手段】
非透気性支持体又は低透気性支持体上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、支持体から最も離れた第1塗工層は、平均粒子直径0.01〜0.7μmのシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子Aと、平均粒子直径1μm以上の粒子Bを、超微粒子A100質量部に対して粒子B0.5〜15質量部で含有し、且つ、第1塗工層に隣接する第2塗工層は平均粒子直径0.05〜1μmの湿式法シリカを含有することが特徴である。

Description

本発明のインクジェット記録体は印字後の色安定速度が速く、また、コックリングがなく、平滑感、インク吸収性、画像の均一性が極めて良好なものである。特に、顔料インクで印字した際の印字部擦過性が良好であり、かつ白紙光沢と顔料インクで印字した印字部光沢の差が小さく、印刷、写真用途などに利用可能なインクジェット記録体である。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録体に向かって噴出し、インクジェット記録体表面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、写真や印刷用途に広く利用されている。
特に近年、プリンターの高精細・高速化により、銀塩方式の写真、製版方式の多色印刷に匹敵する画像を得られるようになった。しかし、記録画像は記録体によって品質が大きく異なり、写真用、印刷用、一般オフィス用など、目的に応じて記録体が大きく分かれている。
高画質・高保存性を実現するために、インク自体の改良も進んでおり、従来の主流であった親水性の高い着色剤を使用した水性染料インク(以下、染料インクと呼称)とともに、耐水性や耐光性が優れる、疎水性の着色顔料を分散したインク(以下、顔料インクと呼称)も実用化されるようになっている。記録体も染料インク、顔料インクとも高画質が実現できる記録体が強く求められている。特に、顔料インク印字部の擦過性が良好、かつ白紙光沢と顔料インクで印字したときの印字部光沢の差が小さい印刷用途、写真用途などに利用可能なインクジェット記録体が強く求められている。
画像記録濃度、インク吸収性などを実現するために、平均粒子径1μm以上の顔料、カチオンポリマー、バインダーを主成分とする塗料を支持体に塗布してなるインクジェット用マット紙がある(例えば、特許文献1、2参照。)。このようなインクジェット記録体は、光沢は著しく低いだけでなく、画像濃度が低く、また、ドットの真円性が得られないため、画像の均一性が極めて低いものであった。
光沢や高画質を得る為に、カチオン性ポリマーと凝集体顔料を混合して、超音波ホモジナイザーや高圧ホモジナイザーにより微分散する方法が提案されている(特許文献3、4、5、6参照。)。上記の各方法で得られた超微細顔料スラリーは透明性が高く、該スラリーを用いて製造されるインクジェット記録体はインク吸収性や画像均一性に優れるが、記録層の表面平滑性が極めて高い為、顔料インク印字部の擦過性が劣る。また、顔料インクで印字したときの印字部は超微細顔料インクで覆われる為、白紙部より光沢が出やすく、白紙と印字部の光沢斑が生じる問題がある。
耐水性支持体上に500nm以下の微細顔料に1〜10μmのマット剤と1μm以下の有色顔料を含有させ、印刷校正用途に使用するインクジェット記録体がある(特許文献7参照)。下引層上にマット剤を含有する微細顔料記録層1層などの構成が提案されているが、このような記録体に印字するときに、溶剤と色材(染料又は顔料)がなかなか分離せず、色が安定するまで長時間が要する問題がある。特に印刷校正は安定した色で校正しなければならないので、長時間で色安定しないのは大きな問題である。
特開昭58−110287公報 特公平7−37175号公報 特開平10−181190号公報 特開平10−181191号公報 特開平11−321079号公報 特開2000−094830号公報 特開2004−001449公報
本発明は、印字後の色安定速度が速く、コックリングがなく、白紙平滑感、インク吸収性、画質が極めて良好なインクジェット記録体を提供するものである。特に、顔料インクで印字した際の印字部擦過性が良好であり、かつ白紙光沢と顔料インクで印字した印字部光沢の差が小さく、印刷用途、写真用途などに利用可能なインクジェット記録体を提供するものである。
上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の顔料を特定の層構成で形成したインクジェット記録体により、達成できることを見出し、本発明に至った。
(1)非透気性支持体又は低透気性支持体上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、支持体から最も離れた第1塗工層は、平均粒子直径0.01〜0.7μmのシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子Aと、平均粒子直径1μm以上の粒子Bを、超微粒子A100質量部に対して粒子B0.5〜15質量部で含有し、且つ、第1塗工層に隣接する第2塗工層は平均粒子直径0.05〜1μmの湿式法シリカを含有することを特徴とするインクジェット記録体。
(2)第1塗工層中のバインダー含有比率を第2塗工層中のバインダー含有比率で割った値が0.5以上1未満である(1)記載のインクジェット記録体。
(3)超微粒子Aは乾式シリカであり、粒子Bは湿式法シリカである(1)又は(2)記載のインクジェット記録体。
(4)第1塗工層はカチオン性であり、第2塗工層はアニオン性である(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(5)第2塗工層中の湿式法シリカはゲル法シリカである(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(6)超微粒子Aは、シリカとカチオン性化合物を混合して得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を0.01〜0.7μmの範囲に粉砕分散したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子である(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(7)塗工層に有色顔料、有色染料から選ばれる着色剤を含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
本発明の記録体は印字後の色安定速度が速く、また、コックリングがなく、白紙平滑感、インク吸収性、画質が極めて良好なものである。特に、顔料インクで印字した際の印字部擦過性が良好であり、かつ白紙光沢と顔料インクで印字し印字部光沢の差が小さい、印刷用途、写真用途などに利用可能なインクジェット記録体を提供するものである。
本発明は、非透気性支持体又は低透気性支持体上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、支持体から最も離れた第1塗工層は、平均粒子直径0.01〜0.7μmのシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子Aと、平均粒子直径1μm以上の粒子Bを、超微粒子A100質量部に対して粒子B0.5〜15質量部で含有し、且つ、第1塗工層に隣接する第2塗工層は平均粒子直径0.05〜1μmの湿式法シリカを含有することを特徴とするインクジェット記録体である。
「支持体について」
支持体としては、非透気性支持体又は低透気性支持体を用いる。非透気性支持体又は低透気性支持体を用いることにより、インク中の溶媒の浸透を防止できるので、コックリングを抑えることができる。その結果、印字物の外観を良好にできる上に、コックリングした記録体と記録ヘッドとの接触による記録用紙の汚損や破れ又は記録ヘッドの故障を防止することができる。
低透気性支持体又は非透気性支持体とは、透気度が500秒以上、好ましくは1000秒以上である支持体を意味する。透気性は、一般に、紙や不織布などの多孔性を評価する項目として知られている透気度によって表される。透気度は、空気100mlが面積645mmの試験片を通過するのに要する時間で表され、JIS P 8117(紙及び板紙の透気度試験方法)に規定されている。
具体的な低透気性支持体又は非透気性支持体としては、例えば、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類が挙げられる。また、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン等の樹脂で紙などの基材表面を被覆した樹脂被覆紙、金属フォイル、ポリプロピレンを延伸し、特殊加工を施した合成紙などのシート類が例示される。風合いや価格から合成紙、樹脂被覆紙が好ましく、とりわけ、酸化チタンを練り込んだ樹脂被覆紙、所謂RC紙が好ましく用いられる。
合成紙としては、炭酸カルシウムなどの無機顔料を含有するポリプロピレン樹脂を押出し、二軸延伸して得られる合成紙が好ましく、表面に凹凸のないスキン層を有する合成紙が特に好ましい。
支持体が、ポリエチレン層を基材に被覆した樹脂被覆紙の場合、ポリエチレン層の厚みは、3〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましい。ポリエチレン層の厚みが3μm未満の場合は、樹脂被覆の際にポリエチレンの穴等の欠陥が多くなりやすく、厚みのコントロールに困難がある場合が多く、平滑性も得にくくなる。逆に厚みが50μmを超えると、コストが増加する割には、得られる効果が小さく、不経済である。
また、樹脂被覆紙の基材として紙を用いる場合、紙基材としては、木材パルプを主材料として製造されたものが好ましく用いられる。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を適宜使用することができ、これらのパルプは紙力や平滑性、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。叩解度は、特に限定されないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P 8121)程度が好ましい範囲である。またいわゆるECF、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。また、必要に応じて、木材パルプに顔料を添加することができる。顔料としては、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト等が好ましく使用される。顔料の添加により、不透明性や平滑度を高めることができるが、過剰に添加すると、紙力が低下する場合があるから、顔料の添加量は、対木材パルプ1〜20質量%程度が好ましい。
なお、樹脂被覆紙や合成紙の場合、インク受容層との接着性を高めるために、塗工する面にコロナ放電処理を施したり、アンカーコート層を設けたりすることが好ましい。
支持体は、蛍光染料、蛍光顔料などの蛍光増白剤により色目が調節されたものであってもよいし、帯電防止層が設けられたものであっても構わない。また、支持体は透明であってもよいし不透明であってもよい。
「第1塗工層について」
本発明のインクジェット記録体は、支持体上に2層以上の塗工層を有する。支持体から最も離れた第1塗工層は、平均粒子直径0.01〜0.7μmのシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子Aと、平均粒子直径1μm以上の粒子Bを、超微粒子A100質量部に対して粒子B0.5〜15質量部の範囲で含有する層である。
(超微粒子A)
超微粒子Aは、平均粒子直径0.01〜0.7μmのシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から少なくとも1種が選ばれる超微細凝集体顔料である。本発明に用いるシリカは特に限定しないが、乾式シリカが最も好ましい。平均粒子直径0.01〜0.7μmのシリカ、アルミナ、アルミナ水和物は、一般に市販されているものもあり、粉体顔料を機械的手段で、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により得ることも可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。粒子径を小さくする為には分級と繰り返し粉砕が必要である。
シリカは、インクジェットインク中の染料や顔料は通常アニオン性であるため、公知の手段でカチオン性に処理されたものが好ましい。特に、シリカとカチオン性化合物を混合して得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を0.01〜0.7μmの範囲に粉砕分散したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子が好ましい。
シリカ−カチオン性化合物の凝集体微粒子の製造方法は特に限定しないが、例えばカチオン性化合物の水溶液にシリカを添加し、前述した機械的手段、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により粉砕/分散して得ることが可能である。インク吸収性と画像濃度の両立から、乾式シリカ−カチオン性化合物の凝集体微粒子が最も好ましい。
カチオン性化合物としては、以下のようなものが挙げられる。
1)ポリエチレンポリアミンおよびポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類、およびそれらの誘導体類
2)第2級アミノ基、第3級アミノ基、および/または第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂
3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類
4)例えばジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物などのジシアン系カチオン樹脂
5)例えばジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物などのポリアミン系カチオン樹脂
6)エポクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物
7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−SO共重合物
8)ジアリルアミン−SO共重合物
9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物
10)アリルアミン塩の重合物
11)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級アンモニウム塩重合物
12)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物
13)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、およびポリ乳酸アルミニウムなどのポリアルミニウム塩
カチオン性化合物は1種類でも、2種類以上を併用しても問題ない。
上記カチオン性化合物の中で、1)5員環アミジン類、2)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウム等のアルミニウム塩を用いることが好ましい。
中でも、分散性からカチオン性ポリマーが好ましく、特に、第1級、第2級、第3級アミン基を有するカチオン樹脂は分散性・印字保存性が良好であることから好ましい。5員環を形成しているアミジン化合物が最も良好である。
カチオン性ポリマーの分子量は特に限定しないが、分散性と分散安定性から1万〜10万が好ましい。更に好ましくは2万〜7万である。分子量が小さすぎると分散性が悪く、分子量が大きすぎると分散安定性が劣ることがある。
シリカ−カチオン性化合物の凝集体微粒子のシリカとカチオン性化合物の配合量は特に限定しないが、シリカ100質量部に対し1〜30質量部の範囲が好ましく、5〜15質量部の範囲が最も好ましい。カチオン性化合物の配合量が1質量部に満たないと分散安定性が劣る。一方、カチオン性化合物の配合量が30質量部を超えると効果が飽和する。
アルミナは、一般的に結晶性を有する酸化アルミナとも呼ばれる。一般的に、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有する酸化アルミナが挙げられる。本発明は光沢感、インク吸収性から気相法アルミナ酸化物、γ、δ、θ結晶を有するアルミナ酸化物が好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ酸化物(フュームドアルミナ)は最も好ましい。気相法アルミナは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成されたアルミナであり、結果として高純度のアルミナ粒子を形成する。これら粒子の一次粒子サイズはナノオーダーであり、非常に狭い粒子サイズ分布(粒度分布)を示す。かかる気相法アルミナ酸化物は、カチオン表面チャージを有する。インクジェット塗工における気相法アルミナの使用は、例えば米国特許第5,171,626号公報に示されている。
アルミナ水和物は、特に限定するものではないが、インク吸収性や成膜性の観点からベーマイト又は擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918)などが挙げられる。
アルミナ、アルミナ水和物はカチオン性であるが、インク中の染料や顔料をより定着させる為には、さらにカチオン性化合物を添加してもよい。添加可能なカチオン性化合物としては、前述のものが適宜、単独或いは併用できる。
平均粒子直径0.01〜0.7μmのシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子Aは、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなることが好ましい。インクジェットインク中の染料や顔料が、第1塗工層に固定しやすく、かつインク吸収速度、画像濃度を得るためには、平均1次粒子径0.005〜0.020μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.01〜0.3μmの顔料がより好ましい。さらに好ましくは平均1次粒子径0.007〜0.013μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.02〜0.2μmの顔料である。
(粒子B)
1μm以上の粒子Bは、気相法シリカ、湿式法シリカ、メソポーラスシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、アルミナシリケート、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料が用いられる。インク吸収性や顔料擦過性、白紙光沢と顔料インクで印字したときの印字部光沢の差が小さくするには湿式法シリカ、アルミナが好ましく選択される。湿式法シリカが最も好ましい。
粒子Bの平均粒子直径は1〜30μm程度であれば問題ないが、顔料インク印字部の平滑感を保ちながら、白紙光沢と顔料インクで印字したときの印字部光沢の差が小さくする為には1.5〜15μmの範囲が好ましく、最も好ましい範囲は2〜5μmである。
粒子Bを、超微粒子Aを含有するスラリーに添加する際の凝集や増粘を防ぐ為に、予め粒子Bをカチオン性化合物に分散することが好ましい。カチオン性化合物は前述のカチオン性化合物から適宜選択される。
超微粒子A100質量部に対して、1μm以上の粒子Bは0.5〜15質量部で配合される。好ましくは1〜10質量部である。最も好ましい範囲は2〜6質量部である。0.5質量部に満たない場合は顔料擦過性が不十分で、特に白紙光沢と顔料インクで印字した印字部光沢の差が目立つ問題がある。15質量部を超える場合は顔料擦過性が飽和し、画質低下の問題がある。
(バインダー)
第1塗工層は、上記超微粒子Aと粒子Bの他に、バインダーを含有する。
バインダーとしては、従来公知のものが挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール(以下PVAと称す)、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体や高分子ラテックス(エマルション型、溶剤型、無溶剤型)、合成樹脂エマルションなどの水分散性接着剤、感温性ポリマー等が挙げられる。顔料との接着性の点で、PVAを主成分とすることが好ましい。また、インク吸収性及びひび割れ制御の点から重合度2000以上のPVAが良好で、重合度3500以上、ケン化度95%以上のPVAがさらに好ましい。重合度4000以上、ケン化度97%以上のPVAが最も好ましい。塗料適性、インク吸収性などを改善する意味で2種以上のバインダーを併用しても良い。
第1塗工層は、上記超微粒子A、粒子B、バインダーを有する塗工液を第2塗工層上に塗工することにより形成されるが、該塗工液には、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
「第2塗工層について」
(湿式法シリカ)
第2塗工層は、第1塗工層に隣接し、第1塗工層より支持体側に形成される層であり、平均粒子直径0.05〜1μmの湿式法シリカを含有する。0.05μm未満の場合はインク吸収速度の低下があり、1μmを越えるとインクジェット記録体の表面平滑性が劣る。湿式法シリカとしては、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、水ガラス法シリカなど例示できるが、印字後の発色性や色安定速度を速めるためには、ゲル法シリカが好ましく選択される。
平均粒子直径0.05〜1μmの湿式法シリカは、一般的に市販されているものを利用してもよく、また、前述のようにシリカ粉体顔料を機械的手段で、所謂breaking down法(塊状原料を細分化する方法)により得ることも可能である。粒子径を小さくする為には分級と繰り返し粉砕が必要である。印字後の耐水性アップなどのために、カチオン性化合物を含有してもよい。
勿論、品質を損なわない限り(例えば、吸収性アップ、色味調整など)、その他の一般塗被紙分野で公知公用の各種顔料を添加しても問題ない。
(バインダー)
第2塗工層には、第1塗工層と同様にバインダーを含有する。バインダーとしては、前述のバインダーが例示できる。顔料との接着性の点で、PVAを主成分とすることが好ましい。また、インク吸収性及びひび割れ制御の点から重合度2000以上のPVAが良好で、重合度3500以上、ケン化度95%以上のPVAがさらに好ましい。重合度4000以上、ケン化度97%以上のPVAが最も好ましい。塗料適性、インク吸収性などを改善する意味で2種以上のバインダーを併用しても良い。
第2塗工層は、上記湿式法シリカ、バインダーを有する塗工液を支持体上(或いは支持体上に形成された任意の層上)に塗工することにより形成されるが、該塗工液には、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
「第1、第2塗工層について」
第1塗工層、第2塗工層のPB比は3〜10(バインダー含有比率は25〜9.1%)であることが好ましく、インク吸収性と塗膜強度のバランスから3.5〜8(バインダー含有比率22.2〜11.1%)がより好ましく、4〜7(20〜12.5%)がさらに好ましい。PB比が3より小さいとインク吸収速度の制御ができず、ビーディングが生じるおそれがあり、10を超えると塗膜の強度が著しく低下するおそれがある。また、インク吸収性や印字後の色安定速度から、本発明の第1塗工層中のバインダー含有比率は第2塗工層中のバインダー含有量比率より小さい方が好ましい。第1塗工層中のバインダー含有比率を第2塗工層中のバインダー含有比率で割った値が0.5以上1未満の範囲が好ましく、0.7〜0.9の範囲が最も好ましい。
第1塗工層、第2塗工層の塗工量は、特に限定するものではないが、それぞれ2〜40g/m程度、好ましくは3〜30g/mに調節する。発色性から第2塗工層の塗工量が第1塗工層の塗工量より多いことが好ましい。
PVAをバインダーとして用いる場合、成膜性を向上(ひび割れ制御)する目的でPVAとの架橋性を有する化合物を添加して、塗膜をゲル化させる方法が有効である。PVAとの架橋性を有する化合物の含有量は、PVA100質量部に対して0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部である。少ないと架橋の効果が得られにくく、多いと塗膜が硬くなりすぎて、塗工層が折り割れし易いという問題が生じるおそれがある。本発明は超微粒子を含有する第1塗工層が特にひび割れやすく、PVAとの架橋性を有する化合物の含有が有効である。
PVAとの架橋性を有する化合物は、例えば、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、アルミ明ばん、硼酸及び硼砂などのホウ素含有化合物が挙げられる。本発明では、特に、硬膜効果が優れるホウ素含有化合物が好ましく、その中でも特に硼砂がより好ましい。
架橋性を有する化合物の添加方法は特に限定しないが、例えば、塗料に直接添加する方法、予め支持体や別の塗工層に含有させるか塗工した後、本発明の塗料で塗工する方法、或いは塗工層が減率乾燥速度を示す前に架橋性を有する化合物溶液を塗工、含漬する方法などが挙げられる。
印字後の色安定速度を速めるためには、第1塗工層はカチオン性であり、第2塗工層はアニオン性であることが好ましい。第1塗工層の表面部分のカチオン含有率が塗工層の平均含有率より多い方がさらに好ましい。
「その他の塗工層について」
本発明は第2塗工層と支持体の間に、さらに吸収性の向上や支持体との密着性アップなどの意味で、他の塗工層を設けることが可能である。他の塗工層は1層であっても、多層であってもよい。
他の塗工層に用いる顔料としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、アルミナシリケート、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料を単独で又は2種以上混合して使用する。
バインダーとしては、PVAのような水溶性樹脂バインダーや水不溶性合成樹脂ラテックス類が挙げられる。
他の塗工層の塗工量は特に限定するものではないが、1〜30g/m程度、好ましくは2〜15g/mに調節する。
他の塗工層に一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、溶媒吸収に伴って微量の染料も定着するため、染料定着用にカチオン性化合物を添加して使用してもよい。
「各層共通事項について」
(塗工装置)
各塗工層用塗液を塗工する塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター及びダイコーター等の各種公知の塗工装置が挙げられる。勿論、2層以上塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法であるWet on Wetで塗工することが好ましい。
(平均粒子直径)
本発明でいう粒子の平均粒子直径とは数平均粒子径であり、5%分散液をホモミキサーにて2000rpm、30分撹拌分散した直後の分散液をサンプルとし、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察し、1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の二次粒子のマーチン径を測定して平均したものである(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
「インクジェット記録体について」
このようにして得られる本発明のインクジェット記録体は、特に写真、イラスト、印刷校正や印刷用紙に代わるインクジェット記録体として好ましく使用される。印刷校正や印刷用紙に代わるインクジェット記録体にする為には記録体表面の白紙色相をJIS P8148 により測定された白色度が80〜90%、知覚色度指数a*が−1〜2、知覚色度指数b*が−3〜1.5に調整されることが好ましい。白色度が83〜88%、知覚色度指数a*が0〜1.5、知覚色度指数b*が−2.5〜−1の範囲が最も好ましい範囲である。上記白紙色相を満足させる為には、少なくとも1層の塗工層に着色剤を含有させる。着色剤としては有色染料、有色顔料から選ばれるが、保存性の観点から着色顔料を用いることが好ましい。
着色顔料としては、例えば、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニン顔料、チタンブラック、チタニウムイエロー、群青、コバルト青、カーボンブラック、鉄黒、酸化亜鉛、参加コバルト、水酸化アルミニウなどがあげられるが、これに限定されるものではない。また、白色度を向上させて色調を調整させる目的で、白色の顔料も使用できる。例えば、クレー、焼成クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン、硫酸バリウム、珪酸マグネシウムなどの無機顔料、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの有機顔料など、公知効用のものが挙げられる。
色相調整は2種類のみの着色剤で調整することが多いが、ブルー系、バイオレッド系、レッド系、イエロー系から少なくとも3種類を選べば、印刷用紙に近い色相が得られやすい。
色相調整用着色剤は第1塗工層、第2塗工層、その他の塗工層、支持体の少なくとも1層に含有する。第1塗工層は透明性が高いため、保存性の観点から色相調整用着色剤は第2塗工層、その他の塗工層、支持体に含有することが好ましい。
カールや搬送性などを改良する目的で裏面層を設けることも可能である。裏面層は親水性樹脂(例えば、PVA、デンプン、カゼイン、ゼラチンなど)を主成分とした方がカール調整しやすい。
光沢アップを図る意味で、最表層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着剥離してから、乾燥して得る方法、所謂キャスト法を利用することも可能である。
(インク)
インクジェット記録の際に使用されるインクとしては、画像を形成するための色素(染料、顔料)と該色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤等を添加して調整される。
インクに使用される着色剤としては、染料系、顔料系がある。例えば、染料系では直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料等の各種水溶性染料があり、顔料系では100nm前後に微粒子化され、樹脂、界面活性剤等で表面処理されたカーボンブラック、有機顔料等が挙げられるが、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。前記染料や顔料の含有量は、インクの溶媒成分の種類、インクに要求される特性などに依存して決定されるが、従来のインク中におけるような配合、即ち、0.1〜20質量%程度である。
インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリメチロールプロパン、1,2−ヘキサンジオール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。中でも、顔料インク中に水溶性有機溶剤として、1,2−ヘキサンジオールおよびグリセリンを含有し、かつ、両者の合計が水溶性溶剤の80%以上である顔料インクと本発明のインクジェット記録体との組合せが、耐擦過性の点で好適である。
本発明を下記実施例により具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の範囲を制限するものではない。また、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り、水を除く固形分の質量部および質量%を示す。
[支持体A]
CSF(JIS P 8121)が250mlまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、CSFが280mlまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、重量比2:8の割合で混合し、濃度0.5%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中にパルプ絶乾重量に対しカチオン化澱粉2.0%、アルキルケテンダイマー0.4%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して分散させた。
上記組成のパルプスラリーを長網マシンで抄紙し、ドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量100g/m、緊度1.0g/cmの原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性PVAと塩化ナトリウムとを2:1の重量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5%に調製したもので、このサイズプレス液を紙の両面にトータルして25cc塗布して支持体Aを得た。
[支持体B]
支持体Aの両面にコロナ放電処理を施した後、バンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を原紙のフェルト面側に塗工量が18g/mになるようにして、またポリオレフィン樹脂組成物2(裏面用樹脂組成物)をワイヤー面側に塗工量が30g/mになるようにして、T型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布し、フェルト側を鏡面、ワイヤー側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No. 5)が6000秒、不透明度(JIS P8138)が93%の樹脂被覆紙である支持体Bを製造した。
(ポリオレフィン樹脂組成物1)
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)50部、アナターゼ型二酸化チタン(A−220;石原産業製)15部、ステアリン酸亜鉛0.1部、酸化防止剤(Irganox1010;チバガイギー製)0.03部、群青(青口群青No.2000;第一化成製)0.09部、蛍光増白剤(UVITEX OB;チバガイギー製)0.3部
(ポリオレフィン樹脂組成物2)
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm、メルトインデックス20g/10分)65部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、メルトインデックス4g/10分)35部
[シリカ分散液a]
カチオン性化合物である5員環アミジン構造を有する重合単位を有するポリビニルアミン共重合体アンモニウム塩酸塩(ハイモ社製、商品名:ハイマックスSC−700、分子量:約30万、1級アミン)1%水溶液1000g中に、攪拌しながら粒径3μmの湿式粉体シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−30)110gを徐々に投入し、ホモミキサー(回転速度:1500rpm)で30分ほど分散した。
[シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の分散液A]
市販フュームドシリカ(トクヤマ社製、商標、レオロシールQS−30、比表面積300m/g、平均一次粒子径:約9nm)を、ホモミキサーにより水中において分散粉砕する工程と、その後に、ナノマイザーを用いて粉砕分散する工程との組み合わせを繰り返し、得られた分散液を分級して、平均二次粒子径が50nmのシリカ微細粒子の10%分散液を調製した。
この分散液のシリカ固形分換算100部に、カチオン性化合物である5員環アミジン構造を有するポリビニルアミン共重合体アンモニウム塩酸塩(ハイモ社製、商標:ハイマックスSC−700M、分子量約3万)9部(固形分換算)を混合し、増粘した凝集体分散液を得た。この増粘した凝集体分散液に再度、ホモミキサーにより分散し、さらにナノマイザーを用いる粉砕分散処理を繰り返し、平均2次粒子径が70nmのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の水性分散液A(固形分濃度:11%)を調製した。
実施例1
支持体Bに、下記塗料Aを乾燥塗工量20g/mとなるように塗工乾燥し、第2塗工層を得た。続いて、第2塗工層上に1%の硼砂水溶液を乾燥塗工量が0.5g/mになるように均一塗工し、Wet on Wet(2層以上塗工する場合、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法)の条件で下記塗料Bの乾燥塗工量が8g/mとなるように塗工乾燥して、インクジェット記録体を製造した。
[塗料A]
平均粒子直径0.3μmのゲル法シリカスラリー(1次粒子直径は約10nm、グレース社製)100部に、重合度4000、ケン化度98%のポリビニールアルコールの水溶液20部を添加混合して15%の塗料を調整した。
[塗料B]
平均粒子直径0.5μmの擬ベーマイトゾル(触媒化成社製、商品名:AS−3)100部(=超微粒子A)に、上記[シリカ分散液a]4部(=粒子B)を添加、分散し、さらに、重合度4000、ケン化度98%のポリビニールアルコール水溶液10部を添加混合して10%の塗料を調整した。
実施例2
実施例1において、塗料Bを下記塗料Cに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
[塗料C]
平均粒子直径0.2μmのフュームドアルミナゾル(CABOT社製、商品名:PG−003)100部(=超微粒子A)に、上記[シリカ分散液a]4部(=粒子B)を添加、分散し、さらに、重合度4000、ケン化度98%のポリビニールアルコール水溶液8部を添加混合して10%の塗料を調整した。
実施例3
実施例1において、塗料Bを下記塗料Dに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
[塗料D]
上記[シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の分散液A]100部(=超微粒子A)に、上記[シリカ分散液a]4部(=粒子B)を添加、分散し、さらに、重合度4000、ケン化度98%のポリビニールアルコール水溶液21部を添加混合して10%の塗料を調整した。
実施例4
実施例1において、塗料Bを下記塗料Eに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
[塗料E]
上記[シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の分散液A]100部に、上記[シリカ分散液a]4部(=粒子B)を添加、分散し、さらに、重合度4000、ケン化度98%のポリビニールアルコール水溶液15部を添加混合して10%の塗料を調整した。
実施例5
塗液Eにおいて、[シリカ分散液a]の配合量を4部から1部(=粒子B)に変更した以外は実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
実施例6
塗液Eにおいて、[シリカ分散液a]の配合量を4部から13部(=粒子B)に変更した以外は実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
実施例7
塗料Aにおいて、平均粒子直径0.3μmのゲル法シリカスラリーを0.03μmのゲル法シリカスラリーに変更した以外は、実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
実施例8
塗料Aにおいて、平均粒子直径0.3μmのゲル法シリカスラリーを0.8μmのゲル法シリカスラリーに変更した以外は、実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
実施例9
支持体として、104.7g/m、通気度2000秒の紙支持体に変更した以外は実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
比較例1
塗液Eにおいて、[シリカ分散液a]を配合しなかった以外は実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
比較例2
塗液Eにおいて、[シリカ分散液a]の配合量を4部から16部(=粒子B)に変更した以外は実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
比較例3
支持体B上に、3%の硼砂水溶液を塗工量が1.5g/mになるように均一塗工乾燥した。続いて、硼砂層上に塗料Eの塗工量が25g/mになるように塗工乾燥して、インクジェット記録体を製造した。
比較例4
塗料Aにおいて、平均粒子直径0.3μmのゲル法シリカスラリーを平均粒子直径0.04μmのゲル法シリカスラリーに変更した以外は実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
比較例5
塗料Aにおいて、平均粒子直径0.3μmのゲル法シリカスラリーを平均粒子直径1.2μmのゲル法シリカスラリーに変更した以外は実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
比較例6
支持体として、104.7g/m、通気度50秒の紙支持体に変更した以外は実施例4と同様にしてインクジェット記録体を製造した。
[評価方法]
実施例1〜9および比較例1〜6について、得られたインクジェット記録体の記録画像の画質、インク吸収性、コックリング、顔料インクの擦過性、白紙光沢と顔料インクの印字部光沢差、色安定速度を下記方法により評価した。
[使用プリンター]
顔料インクジェットプリンター:エプソン社製、モデル:PX−6000、PX−MC写真用紙(厚手微光沢)モードで印字。
染料インクプリンター:エプソン社製、モデル:PM−G800、写真用紙きれいモードで印字。
(白紙平滑感)
供試されたインクジェット記録体を目視及び質感で判定し、下記の3段階に評価した。
○:グロス系コート紙並か以上の平滑感
△:ダルマットコート紙並の平滑感
×:ダルマット紙以下の平滑感。
(インク吸収性)
記録体に上記2種のプリンターでグリーン色及びブルー色のベタ印画を施し、そのインク吸収性を目視観察し、下記の方法で評価した。
○:インク吸収速度が速く、インクの溢れとビーディングなし。
△:多少のビーディングは認められるが、実用上問題ないレベル。
×:インクの溢れとビーディングあり。
(記録画像の画質)
黒のべた印字部をマクベス反射濃度計(Macbeth RD−920)で測定し、その印字濃度を測定した。
(顔料インクの擦過性)
顔料インクの印字部(黒べた)を印字直後に綿棒で擦り、下記の方法で評価した。
○:インクが取れず、全く問題ないレベル
△:インクが僅かに取れるが、実用上問題ないレベル
×:インクが取れて、実用上問題あるレベル
(白紙光沢と顔料インクの印字部光沢差)
顔料インクの印字部(各色のべた印字)と白紙部の光沢を目視で観察し、下記の方法で評価した。
○:光沢差が殆どないレベル
△:光沢差が見られ、気になるレベル
×:光沢差が大きい
(コックリング)
顔料プリンターで610mm幅のほぼ全面にISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID、画像名称:果物かご」)を印字し、印字終了直後の記録体の波うちを下記の方法で評価した。
○:殆ど波うちがないレベル
△:波うちはあるが、実用上問題ないレベル
×:波うちが大きい。
(色安定速度)
顔料プリンターでISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID、画像名称:ポートレート」)を印字し、印字終了後、23℃、50%の場所に静置し、30分後と24時間後の記録画像の色変化を成人男性5名、成人女性5名で目視評価した。ただし、30分後と24時間後の記録画像が同時に評価できるように印字のタイミングは予め調整した。
○:8名以上の人がほぼ同じ色と認める
△:8名以上の人が違う色と感じ、ただし、特に気にならないレベル
×:8名以上の人が違う色と感じ、気になるレベル。
Figure 2007083592
実施例10
支持体Bに、下記塗料Fを乾燥塗工量20g/mとなるように塗工乾燥し、第2塗工層を得た。続いて、第2塗工層上に1%の硼砂水溶液を乾燥塗工量が0.5g/mになるように均一塗工し、Wet on Wet(2層以上塗工する場合、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法)の条件で下記塗料Gの乾燥塗工量が8g/mとなるように塗工乾燥して、インクジェット記録体を製造した。
[塗料F]
平均粒子直径0.3μmのゲル法シリカスラリー(1次粒子直径は約10nm、グレース社製)100部に、ブルー系有色顔料(東洋インキ社製、商品名:EMTブルーDS18)0.02部、バイオレット系有色顔料(東洋インキ社製、商品名:EMTバイオレットBE)0.04部、イエロー系有色顔料(東洋インキ社製、商品名:EMTイエロー5G)0.02部、重合度4000、ケン化度98%のポリビニールアルコール20部を添加混合して15%の塗料を調整した。
[塗料G]
上記[シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の分散液A]100部に、上記[シリカ分散液a]4部(=粒子B)を添加、分散し、さらに、重合度4000、ケン化度98%のポリビニールアルコール水溶液15部を添加混合して10%の塗料を調整した。
[評価方法]
実施例10について、白紙及び顔料インクジェットプリンターで得られた印字物(ISO−400画像、「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、画像名称:ポートレート)、と印刷用塗工紙A2グロスコート紙(王子製紙社製、OKトップコート+ 127.9g/m)及びそのオフセット印刷物(上記画像)を使用して評価した。結果は表2に纏めた。
(白紙色相)
目視でA2グロスコート紙の白紙色相と比較して、色相傾向を表2に記す。
(白色度、知覚色度指数)
供試インクジェット記録体表面の白色度をJIS P8148の方法、知覚色度指数a*、知覚色度指数b*をJIS P8722の方法により測定した。
Figure 2007083592
表1から明らかなように、本発明のインクジェット記録体は、平滑感、インク吸収性、画質、顔料インク擦過性、コックリングが優れ、かつ白紙光沢と顔料インクの印字部光沢差が小さく、色安定速度が速いインクジェット記録体である。
さらに、表2から明らかなように、本発明のインクジェット記録体は、印刷塗工紙と同様の白色度、色調を有し、印刷校正用紙や一般印刷用紙に代わるインクジェット記録体としても優れている。
本発明のインクジェット記録体は、染料インク適正、顔料インク適性を共に有し、白紙平滑感、インク吸収性がよく、コックリングに優れ、特に白紙光沢と顔料インクの印字部光沢差が小さく、色安定速度が速いことから、写真や印刷校正、一般印刷用紙に代わるインクジェット記録体として利用可能である。

Claims (7)

  1. 非透気性支持体又は低透気性支持体上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、支持体から最も離れた第1塗工層は、平均粒子直径0.01〜0.7μmのシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子Aと、平均粒子直径1μm以上の粒子Bを、超微粒子A100質量部に対して粒子B0.5〜15質量部で含有し、且つ、第1塗工層に隣接する第2塗工層は平均粒子直径0.05〜1μmの湿式法シリカを含有することを特徴とするインクジェット記録体。
  2. 第1塗工層中のバインダー含有比率を第2塗工層中のバインダー含有比率で割った値が0.5以上1未満である請求項1記載のインクジェット記録体。
  3. 超微粒子Aは乾式シリカであり、粒子Bは湿式法シリカである請求項1又は2に記載のインクジェット記録体。
  4. 第1塗工層はカチオン性であり、第2塗工層はアニオン性である請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  5. 第2塗工層中の湿式法シリカはゲル法シリカである請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  6. 超微粒子Aは、シリカとカチオン性化合物を混合して得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を0.01〜0.7μmの範囲に粉砕分散したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子である請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  7. いずれかの塗工層に有色顔料、有色染料から選ばれる着色剤を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。

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