JP2007083568A - インクジェットヘッド及びその検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、駆動電極の表面に保護膜が形成されたインクジェットヘッドにおける保護膜のピンホールの検出を非破壊で精度良く、しかも短時間で、容易に行えて、かつ、温度変化に対して安定なインクジェットヘット及びその検査方法の提供。
【解決手段】 少なくとも一部が圧電材料からなる駆動壁を少なくとも1つの壁とするインクチャネルを、駆動壁と他の壁から構成し、該駆動壁の壁面に駆動電極を設け、該駆動電極の表面に保護膜が形成され、該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印加することにより該駆動壁を変形させてインクチャネル内のインクを吐出させるようにしたインクジェットヘッドであって、前記他の壁の少なくとも一部がPLZTであることを特徴とするインクジェットヘッド。
【選択図】 図1
【解決手段】 少なくとも一部が圧電材料からなる駆動壁を少なくとも1つの壁とするインクチャネルを、駆動壁と他の壁から構成し、該駆動壁の壁面に駆動電極を設け、該駆動電極の表面に保護膜が形成され、該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印加することにより該駆動壁を変形させてインクチャネル内のインクを吐出させるようにしたインクジェットヘッドであって、前記他の壁の少なくとも一部がPLZTであることを特徴とするインクジェットヘッド。
【選択図】 図1
Description
本発明は、インクジェットヘッド及びその検査方法に関する。
従来より、圧電材料からなる駆動壁とインクチャネルとを交互に配列すると共に、該駆動壁に駆動電極を設け、該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印加することにより該駆動壁をせん断変形させてインクチャネル内のインクを吐出させるようにしたシェアモード型のインクジェットヘッドが知られている。
かかるシェアモード型のインクジェットヘッドにおいては、駆動壁を駆動させるための駆動電極は、駆動壁の側面に設けられるため、インクチャネル内に貯留されるインクは、この駆動電極と常に接触する。ここで隣のインクチャネルに臨む駆動電極を接地してインクチャネルに臨む駆動電極に電圧を印加させると、使用されるインクが水系インクの場合、水の理論分解電圧は1.23Vであり、駆動電極に印加される電圧は10〜20Vであるため、水系インク中の水が電気分解を起こして気泡を発生させ、この気泡により駆動壁の変形による圧力が緩衝されてしまい、インクチャネル内のインクを吐出できなくなるばかりでなく、駆動電極の溶解をも惹き起こす。
一方、近年、水系インク以外にも、特に産業用途において、溶剤を使用する溶剤系インクを始めとして、各種組成のインクが用いられるようになってきており、このような各種のインクから駆動電極を保護し、駆動電極の腐食を防止することが必要である。
このため、従来、駆動壁の側壁面に金属皮膜を形成して駆動電極とし、その表面に保護膜を被覆形成することで、駆動電極に電圧を印加しても、水系インク、溶剤系インクを問わずに各種のインク吐出が行えるようにしたインクジェットヘッドが提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−210967号公報
しかしながら、上記従来技術において、該保護膜にピンホールの発生が見られる問題があった。パリレン膜に発生したピンホールは、たとえ1箇所であっても該部において駆動電極に印加される電圧によって水系インク中の水を電気分解させてしまい、保護膜としての機能を発揮し得ない。また、ピンホール部で腐食性のインクと電極が直接接触することになり、電極の腐食が発生する場合がある。
従って、従来のインクジェットヘッドでは、例えば、製品出荷時にピンホールの検査を行う必要がある。また、製品出荷後のユーザー使用時に不良が発生して戻ってきた場合にも、不良品の解析においてピンホール検査を行う必要がある。
また、従来のインクジェットヘッドでは、圧電素子であるPZTの基板にインクチャネルとなる溝を研削し、電極を形成してインクチャネル上面を覆うようにカバープレートを接着した後、電極表面を含めてインクチャネル内面の全面に絶縁膜を形成する。ここで、ヘッドの温度変化に対する安定性を高めるため、カバープレートには脱分極したPZTを用いている。例えば、カバープレートをインクチャネルが形成されたPZT基板と接着する際、熱硬化型接着剤が使用されるが、カバープレートの線膨張係数がPZT基板のそれとかけ離れていると、冷却時に歪みが生じたり、材料間で剥離が生じる問題があるためである。
このようなインクジェットヘッドの保護膜のピンホール検査では、インクチャネルを形成するカバープレート等の構成材料であるPZTが不透明であるため、カバープレートを剥がして、保護膜を観察することによりピンホールの検査を行う必要があった。
この方法では、カバープレートを剥がす際に保護膜も一緒に剥がしてしまうことが多々あった。これにより、観察時の状態とカバープレートを剥がす前の状態とが一致していない可能性があり、解析の精度に限界が生じていた。また、カバープレートは、接着剤により強固に接着されているため、これを剥がすことは容易ではない。
このように従来のインクジェットヘッドでは、カバープレートにPZTを用いているため不透明であり、破壊検査が必要であることにより工数や時間が多くなる問題、あるいは、破壊検査によりピンホール検出の精度が低下するという問題や、ピンホール発生箇所の特定が困難であるという多様な問題があった。
本発明の目的は、駆動電極の表面に保護膜が形成されたインクジェットヘッドにおける保護膜のピンホールの検出を非破壊で精度良く、しかも短時間で、容易に行えて、かつ、温度変化に対して安定なインクジェットヘット及びその検査方法を提供することにある。
本発明の目的は、以下のような構成により達成される。
(1)
少なくとも一部が圧電材料からなる駆動壁を少なくとも1つの壁とするインクチャネルを、駆動壁と他の壁から構成し、該駆動壁の壁面に駆動電極を設け、該駆動電極の表面に保護膜が形成され、該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印加することにより該駆動壁を変形させてインクチャネル内のインクを吐出させるようにしたインクジェットヘッドであって、前記他の壁の少なくとも一部がPLZTであることを特徴とするインクジェットヘッド。
(2)
前記駆動壁により前記インクチャネルの側壁が形成され、前記他の壁は前記インクチャネルの上面を閉鎖する上壁と前記インクチャネルの下面を閉鎖する下壁であり、前記上壁及び前記下壁の少なくとも何れか一方がPLZTであることを特徴とする(1)に記載のインクジェットヘッド。
(3)
前記圧電材料がPLZTであることを特徴とする(1)または(2)に記載のインクジェットヘッド。
(4)
(1)乃至(3)の何れか1つに記載のインクジェットヘッドの検査方法であって、前記インクチャネルに硫酸銅溶液を充填した状態で、前記駆動電極に電圧を印加することにより、前記保護膜のピンホールを検出することを特徴とするインクジェットヘッドの検査方法。
(1)
少なくとも一部が圧電材料からなる駆動壁を少なくとも1つの壁とするインクチャネルを、駆動壁と他の壁から構成し、該駆動壁の壁面に駆動電極を設け、該駆動電極の表面に保護膜が形成され、該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印加することにより該駆動壁を変形させてインクチャネル内のインクを吐出させるようにしたインクジェットヘッドであって、前記他の壁の少なくとも一部がPLZTであることを特徴とするインクジェットヘッド。
(2)
前記駆動壁により前記インクチャネルの側壁が形成され、前記他の壁は前記インクチャネルの上面を閉鎖する上壁と前記インクチャネルの下面を閉鎖する下壁であり、前記上壁及び前記下壁の少なくとも何れか一方がPLZTであることを特徴とする(1)に記載のインクジェットヘッド。
(3)
前記圧電材料がPLZTであることを特徴とする(1)または(2)に記載のインクジェットヘッド。
(4)
(1)乃至(3)の何れか1つに記載のインクジェットヘッドの検査方法であって、前記インクチャネルに硫酸銅溶液を充填した状態で、前記駆動電極に電圧を印加することにより、前記保護膜のピンホールを検出することを特徴とするインクジェットヘッドの検査方法。
本発明によれば、駆動電極の表面に保護膜が形成されたインクジェットヘッドにおける保護膜のピンホールの検出を非破壊で精度良く、しかも短時間で、容易に行えて、かつ、温度変化に対して安定なインクジェットヘット及びその検査方法を提供することができる。
以下に本発明に関する実施の形態の例を示すが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
まず本発明に係るインクジェットヘッドの実施の形態について図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明に係るインクジェットヘッドの概要を示す部分破断斜視図、図1(b)は同ヘッドの縦断面図である。図1において、1は圧電材料基板、2はインクチャネルの上面を閉鎖するカバー板である上壁、20はインクチャネルの下面を閉鎖する下壁、3はノズルプレート、4はバックプレート、5はインクマニホールドである。
なお、本明細書においては、インクジェットヘッドからインクが吐出される側の面を「前面」といい、その反対側の面を「後面」という。また、インクジェットヘッドにおいて並設されるインクチャネルを挟んで図示上下に位置する外側面をそれぞれ「上面」及び「下面」という。
インクジェットヘッドは、2枚の基板2、20との間に、少なくとも一部が圧電材料からなる駆動壁13とインクチャネル11とが交互に並設されている。インクチャネル11の形状は、両側壁が基板2、20に対してほぼ垂直方向に立ち上がっており、そして互いに平行である。図2に示すように、インクジェットヘッドの前面及び後面にそれぞれ各インクチャネル11の出口と入口とが配設されると共に、各インクチャネル11は、入口から出口に亘る長さ方向で大きさと形状がほぼ変わらないストレートタイプである。このようにインクチャネル11がストレートタイプであることにより、泡抜けが良く、電力効率が高く、発熱が少なく、高速応答性が良いインクジェットヘッドとすることができる。
本実施形態では、インクチャネルは、インクチャネルの側壁を形成する前記駆動壁と前記インクチャネルの上面を閉鎖する上壁と前記インクチャネルの下面を閉鎖する下壁とにより形成され、前記上壁及び前記下壁の少なくとも何れか一方がPLZTである。上壁2、下壁20がともにPLZTからなることがより好ましい。
PLZTとは、チタン酸鉛とジルコン酸鉛の固溶体に酸化ランタンを添加したチタン酸ジルコン酸ランタン鉛である。従来から圧電材料としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛:[PbZrO3とPbTiO3の固溶体])がよく知られており、このPZTにLaを添加したPLZT(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛:PZTすなわちPbZrO3とPbTiO3の固溶体にLaを添加した金属酸化物)も圧電性を有する透光性材料として知られている。本実施形態では、主に、このPLZTを圧電材料ではなく、その透光性を利用して、前述の上壁2,下壁20に用いる点に特徴がある。PLZT基板を、上壁2,下壁20に用いることにより、駆動電極の表面に保護膜が形成されたインクジェットヘッドにおける保護膜のピンホールの検出を非破壊で精度良く、しかも短時間で、容易に行うことができる。また、PLZTは、駆動壁に通常用いられる圧電材料であるPZTと熱膨張係数を始めとする物理特性が類似しており、例えば、温度変化に対して安定なインクジェットヘッドとすることができる。
PLZTとしては、成形、焼成等の工程を経て形成されるPLZTセラミックスが好ましい。また、PLZTには、例えば透光性を向上させるため、他元素を添加しても良い。
圧電材料基板1に用いられる圧電材料としては、電界を加えることにより変形を生じる公知の圧電材料を用いることができ、PZTが好ましい。特に成形、焼成等の工程を経て形成されるPZT圧電セラミックス基板が好ましい。
PZTとしては、PZT(PbZrO3−PbTiO3)と、第三成分添加PZTがある。添加する第三成分としてはPb(Mg1/2Nb2/3)O3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3、Pb(Co1/3Nb2/3)O3等がある。
また、成形、焼成を必要としないで形成される基板として、例えば、ゾル−ゲル法、積層基板コーティング法等で形成することができる。
圧電材料基板1は、2枚の圧電材料基板1a、1bを分極方向を互いに反対に向けて(図中の矢印)上下に接合してなる。2枚の圧電材料基板1a、1bを接合する手段としては、エポキシ系接着剤等の接着剤を用いた接合を採用できるが、接合可能であれば特にこれに限定されない。接着剤を用いて接合する場合、その接着剤層の硬化後の厚みは、1〜10μmの範囲が好ましい。
PLZTからなる1枚の下壁20上に、前記圧電材料基板1をエポキシ系接着剤を用いて接合する。この接合基板に対して、圧電材料基板1側から下壁20に到達するように、円盤状の砥石(ダイシングブレード)等の公知の研削機を用いて所定ピッチで互いに平行な複数列の溝を加工することにより、インクが貯留されるインクチャネル11と各インクチャネル11間の駆動壁13とを交互に形成する。
この溝加工の後に、各駆動壁13の壁面に金属の駆動電極6を形成する。駆動壁13は分極方向の異なる2枚の圧電材料基板1a、1bからなるため、各駆動電極6は、それら両基板1a、1bを駆動させるべく、少なくとも各駆動壁13を構成している圧電材料基板1a及び1bに亘る側面の全面に形成するが、必ずしも底面には形成しなくてもよく、ピンホールの観察を容易にするため、底面には形成しない方が好ましい。この駆動電極6に不図示の駆動回路からの駆動電圧パルスが印加されて、駆動壁13がせん断変形してインクが吐出される。また、圧電材料基板1の形態によっては、側面の一部に駆動電極を設ければよい。
駆動電極6を形成し得る金属としては、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等があるが、NiやAlが好ましい。
駆動電極6の形成は、蒸着法、スパッタリング法、めっき法、CVD(化学気相反応法)等の真空装置を用いた方法等によって金属被膜を形成する方法が挙げられるが、めっき法によるものが好ましく、特に無電解めっきにより形成することが好ましい。無電解めっきによれば、均一且つピンホールフリーの金属被膜を形成することができる。めっき膜の厚みは0.5〜5μmの範囲が好ましい。
無電解めっきによる電極形成においては、Ni−Pめっき又はNi−Bめっきを単独で使用してもよいし、あるいはNi−PとNi−Bを重層してもよい。Ni−PめっきはP含量が高くなると電気抵抗が増大するので、P含量は1〜数%程度がよい。Ni−BめっきのB含量は普通1%以下なので、Ni−PよりNi含量が多く、電気抵抗が低く、且つ外部配線との接続性が良いため、Ni−PよりNi−Bの方が好ましいが、Ni−Bは高価なのでNi−PとNi−Bを組み合わせることも好ましい。
Ni−P又はNi−Bからなる無電解めっき法により形成された駆動電極6は、析出が均一に行われ、その結果平滑な表面性を有している。
また、めっき膜の厚みは0.5〜5μmの範囲が好ましい。
なお、駆動電極6は、駆動壁13に例えばNi−Bからなる無電解めっきによりめっき膜を形成した上に、更にNi−Pからなる無電解めっき処理を施すようにして形成することもできる。この場合、更にそれぞれのめっき金属を異ならせるようにすることもできる。また、駆動壁13に無電解めっきによりめっき膜を形成した後、そのめっき膜上に金めっき等の電解めっき処理を行うようにしてもよい。更に、駆動壁13に蒸着法により金属皮膜を形成した後に、該金属皮膜上に電解めっき処理を行ってめっき膜を形成することにより駆動電極6を形成するようにしてもよい。
PLZTからなる上壁2は、駆動電極6を形成した後にエポキシ系接着剤等の接着剤を用いて接合される。
このように、圧電材料基板1としてPZT基板、上壁2、下壁20としては、PZT基板と物理特性が類似しているPLZT基板を使用すると、貼り合せた時にソリ、変形、熱膨張係数の差による剥離等を抑制できる。また、熱膨張率の差に起因する圧電材料基板1の歪み等の発生を抑えることができる。
また、図2(a)、(b)に示すように、下壁20を用いる代わりに圧電材料基板1bを厚手のものとし、薄手の圧電材料基板1a側から厚手の圧電材料基板1bの中途部にまで至る複数の平行な溝を研削することにより、高さ方向で分極方向が反対となる駆動壁13の形成と同時に下壁20の部分が圧電材料基板1bによって一体に形成されるようにしてもよい。この場合、上壁2にPLZT基板を用いればよい。
また、図1,図2は、インクチャネル11が駆動壁13を挟んで連続しているヘッドを示したが、図3の(a)、(b)に示すようにインクが供給されるインクチャネル11とインクが供給されない空気チャネル12(空気チャネル)が駆動壁13を挟んで交互に形成された独立チャネルヘッドとしても良い。インクチャネル11に対応してインク導入孔41とノズル31を設けることにより、ノズル31からインクが吐出される。この場合、インクチャネル11の駆動壁13がせん断変形しても、隣接した他のインクチャネルに影響することがなく、インクチャネル11の駆動壁の駆動が容易である。
さらに、図1〜図3のヘッドにおいて、圧電材料基板1をPLZTで構成すると、インクチャネルを構成する部材のすべてが、光透過性のPLZTで構成されることになり、絶縁膜のピンホールの検出精度をより一層高めることができる。駆動壁部分を分極したPZTの代わりに駆動壁部分を分極したPLZTを用いればよい。
図1〜図3のヘッドにおいて、上壁2を接合した後に、各チャネル11,12内に臨む壁面に保護膜の一例であるパリレン膜7を形成する。図示例では、パリレン膜7はインクチャネル11、空気チャンネル12内面全面に形成されているが、駆動電極6を絶縁するために、少なくとも駆動電極6の表面に形成される。また、図3のヘッドにおいて、空気チャネル12の駆動電極6は、インクに接触しないため、パリレン膜7を形成しなくても良いが、形成した方が駆動電極6の安定性が増すので好ましい。
本発明において、保護膜の材質は特に制限しないが、パリレン膜が好ましく、本実施形態では、保護膜としてパリレン膜7を用いている。
図4にCVD法(気相合成法)にてパリレン膜を形成する化学蒸着を行うための蒸着装置の一例を示す。この蒸着装置は、昇華炉100、熱分解炉200及び成膜槽300より構成され、これら昇華炉100、熱分解炉200及び成膜槽300はガス流路を形成する配管により図示するように連結されている。蒸着工程中、上記蒸着装置は真空度が1〜102Torrに保たれる。また、昇華炉100内は100℃〜200℃、熱分解炉200内は450℃〜700℃、成膜槽300内は室温の各温度に保持される。
昇華炉100内ではパリレン膜7の原料である固体二量体のジパラキシリレンの気化が行われる。熱分解炉200内では、気化した二量体(構造式A)を熱分解させてパラキシリレンラジカル(構造式B)を発生させる熱分解が行われる。成膜槽300内には10rpm程度で回転する回転台が設けられていて、この回転台上に駆動電極6を形成後の圧電材料基板1と上壁2との一体化物、あるいは、圧電材料基板1と上壁2と下壁20の一体化物が置かれる。
熱分解炉200内で発生したパラキシリレンラジカルは、成膜槽300内で回転台上に置かれた圧電材料基板1と上壁2(及び下壁20)に付着する。更に、この成膜槽300内で、圧電材料基板1と上壁2(及び下壁20)に付着したパラキシリレンラジカルは、付着と同時に気相重合して高分子量のポリパラキシリレン(構造式C)の皮膜を形成する。ポリパラキシリレンの誘導体からなる樹脂皮膜の例を構造式Dに示す。
なお、パリレン膜7の膜厚は、1.0μmよりも薄いと、十分な絶縁性を維持することが困難となる。また、膜厚が増加するに従って、膜自体の剛性により駆動壁13の動きを規制するようになる。このため、パリレン膜の膜厚は、1.0〜10μm程度とすることが望まれるが、特に1.0〜5.0μmとすることが好ましい。パリレン膜7が1.0〜5.0μmの範囲にあるときは、パリレン膜7は十分に薄い膜としてインクチャネル11内に形成されるため、インクチャネル11の有効断面積を減少させることがなく、十分なインク吐出感度及びインク吐出特性を得ることができる。より好ましい膜厚の範囲は、1.0〜3.0μmである。
パリレン膜7の膜厚は、成膜槽300内での処理時間を調整することにより調整することができる。
また、前述のようにパリレン膜7には、ピンホール50が発生する場合がある。
本発明において、パリレン膜7を形成した後、更にプラズマ処理を施すことは有利に働く。プラズマ処理としては、例えば次の処理を具体例として挙げることができる。
(処理条件)
装置:平行平板型反応装置
原料ガス:酸素
ガス流量:50sccm
圧力:10Pa
放電方法:高周波(13.56MHz、出力200W)
処理時間:2分間
この処理によれば、パリレン膜7は約0.5μmエッチングされ、表面が活性化される。その結果、処理前の水の接触角85°が、処理後10°となり、濡れ性が大きく向上し、インクチャネル11内へのインクの導入を円滑にし、気泡の混入を防ぐことができる。
装置:平行平板型反応装置
原料ガス:酸素
ガス流量:50sccm
圧力:10Pa
放電方法:高周波(13.56MHz、出力200W)
処理時間:2分間
この処理によれば、パリレン膜7は約0.5μmエッチングされ、表面が活性化される。その結果、処理前の水の接触角85°が、処理後10°となり、濡れ性が大きく向上し、インクチャネル11内へのインクの導入を円滑にし、気泡の混入を防ぐことができる。
なお、他に有効なプラズマ処理として、マイクロ波を用いた方法等が挙げられ、採用するガスも酸素に限らず、窒素や他のガス又は酸素と不活性ガスの混合ガス等が挙げられる。
以上のようにして各チャネル11,12の内壁にパリレン膜7を形成した後、図1〜図3に示すように、圧電材料基板1の前端面に、インクを吐出するためのノズル孔31を有するノズルプレート3をエポキシ系接着剤等の接着剤を用いて接合する。また、圧電材料基板1の後端面には、インク導入孔41を有するバックプレート4を介して、インクチャネル11内にインクを供給するインクマニホールド5を、同様にエポキシ系接着剤等の接着剤を用いて接合し、インクジェットヘッドを構成する。
以上の説明では、少なくとも一部が圧電材料で形成された駆動壁がインクチャネルの側壁として設けられ、上壁、下壁が設けられた構成のインクジェットヘッドを例に挙げて説明したが、少なくとも一部が圧電材料で形成された駆動壁がインクチャネルの上壁または下壁として設けられ、他の壁の少なくとも一部をPLZTとした構成のインクジェットヘッドも、本発明も本発明に含まれる。
以上、説明したように、少なくとも一部が圧電材料からなる駆動壁を少なくとも1つの壁とするインクチャネルを、駆動壁と他の壁から構成し、該駆動壁の壁面に駆動電極を設け、該駆動電極の表面に保護膜が形成され、該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印加することにより該駆動壁を変形させてインクチャネル内のインクを吐出させるようにしたインクジェットヘッドであって、前記他の壁の少なくとも一部がPLZTであることを特徴とするインクジェットヘッドにより、PLZTの透光性を利用して、保護膜のピンホールの検出を非破壊で精度良く、しかも短時間で、容易に行える構成を備え、かつ、温度変化に対して安定なインクジェットヘットとすることができる。
次に、かかるインクジェットヘッドの検査方法について説明する。
例えば、図1〜図3に示すインクジェットヘッドのインクチャネル11に硫酸銅溶液を充填した状態で、駆動電極6に電圧を印加することにより、保護膜のピンホールを検出する。電圧の極性としては負極性が好ましい。なお、駆動電極6は、Ni(ニッケル)またはAl(アルミニウム)等で構成されている。また、ヘッドとしては、出荷前のヘッドや出荷後のユーザー使用時に吐出不良が発生し、戻ってきたヘッドなどである。
具体的には、まず、図1〜図3に示すインクジェットヘッドの各インクチャネル11に硫酸銅(CuSO4)10%水溶液を充填する。マニホールドからインクチャネルにインクの代わりに硫酸銅(CuSO4)10%水溶液を導入すればよい。なお硫酸銅(CuSO4)水溶液は硫酸銅溶液の一例であり、青色を呈している。
充填した状態で、各インクチャネル11の駆動電極6に−10〜−20Vの電圧を所定時間印加する。この電圧値は、インクを吐出するために駆動壁3を駆動する際に駆動電極6に印加する電圧とほぼ同じであるため、前述の駆動回路をそのままもちいて電圧を印加すればよい。パリレン膜7にピンホール50が発生していると、ピンホール発生個所の駆動電極6上に銅(Cu)が析出し、ピンホールの発生が明確に可視化される。従って、ヘッドの透光性PLZT部分を利用して、銅の析出の有無を観察することによってより明確に精度良くピンホールの発生を検出することができる。また、ピンホールの存在は、その個数の多さにより評価できる。
このように、本発明のインクジェットヘッドの検査方法によれば、駆動電極の表面に保護膜が形成されたインクジェットヘッドにおける保護膜のピンホールの検出を精度良く、しかも短時間で、非破壊で容易に行なうことができる。
1 圧電材料基板
2 上壁
3 ノズルプレート
4 バックプレート
5 インクマニホールド
6 駆動電極
7 パリレン膜
11 インクチャネル
12 空気チャネル
20 下壁
50 ピンホール
100 昇華炉
200 熱分解炉
300 成膜槽
2 上壁
3 ノズルプレート
4 バックプレート
5 インクマニホールド
6 駆動電極
7 パリレン膜
11 インクチャネル
12 空気チャネル
20 下壁
50 ピンホール
100 昇華炉
200 熱分解炉
300 成膜槽
Claims (4)
- 少なくとも一部が圧電材料からなる駆動壁を少なくとも1つの壁とするインクチャネルを、駆動壁と他の壁から構成し、該駆動壁の壁面に駆動電極を設け、該駆動電極の表面に保護膜が形成され、該駆動電極を介して上記駆動壁に電界を印加することにより該駆動壁を変形させてインクチャネル内のインクを吐出させるようにしたインクジェットヘッドであって、前記他の壁の少なくとも一部がPLZTであることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 前記駆動壁により前記インクチャネルの側壁が形成され、前記他の壁は前記インクチャネルの上面を閉鎖する上壁と前記インクチャネルの下面を閉鎖する下壁であり、前記上壁及び前記下壁の少なくとも何れか一方がPLZTであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記圧電材料がPLZTであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェットヘッドの検査方法であって、前記インクチャネルに硫酸銅溶液を充填した状態で、前記駆動電極に電圧を印加することにより、前記保護膜のピンホールを検出することを特徴とするインクジェットヘッドの検査方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005275411A JP2007083568A (ja) | 2005-09-22 | 2005-09-22 | インクジェットヘッド及びその検査方法 |
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-
2005
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CN102582261A (zh) * | 2011-01-17 | 2012-07-18 | 东芝泰格有限公司 | 喷墨头的制造方法及电极形成方法 |
JP2012148428A (ja) * | 2011-01-17 | 2012-08-09 | Toshiba Tec Corp | インクジェットヘッドの製造方法 |
CN102673147A (zh) * | 2011-03-11 | 2012-09-19 | 东芝泰格有限公司 | 喷墨头 |
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