JP2002160364A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP2002160364A
JP2002160364A JP2000359796A JP2000359796A JP2002160364A JP 2002160364 A JP2002160364 A JP 2002160364A JP 2000359796 A JP2000359796 A JP 2000359796A JP 2000359796 A JP2000359796 A JP 2000359796A JP 2002160364 A JP2002160364 A JP 2002160364A
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JP
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insulating film
ink
ink jet
jet head
plate
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JP2000359796A
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English (en)
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Jun Tsuneyoshi
潤 恒吉
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Seiko Instruments Inc
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Seiko Instruments Inc
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2202/00Embodiments of or processes related to ink-jet or thermal heads
    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/10Finger type piezoelectric elements

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極を確実に絶縁でき、且つノズル開口を高
密度に配列することのできるインクジェットヘッドを提
供する。 【解決手段】 基板上に圧電セラミックからなる隔壁1
8を所定間隔で配置して、各隔壁18間にチャンバ17
を画成し、前記隔壁18の側面に設けられた電極19に
駆動電圧を印加することにより前記チャンバ17内の容
積を変化させてその内部に充填されたインクをノズル開
口から吐出するインクジェットヘッドにおいて、前記電
極19上に、絶縁性を有する無機材料からなる無機絶縁
膜21と、絶縁性を有する有機材料からなる有機絶縁膜
22とを順次設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、プリン
タ、ファックスなどに適用されるインクジェット式記録
装置に搭載されるインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来技術】従来より、インクを吐出する複数のノズル
を有するインクジェットヘッドを用いて被記録媒体に文
字や画像を記録するインクジェット式記録装置が知られ
ている。かかるインクジェット式記録装置では、インク
ジェットヘッドのノズルが被記録媒体に対向するように
ヘッドホルダに設けられ、このヘッドホルダはキャリッ
ジに搭載され被記録媒体の搬送方向とは直交する方向に
走査されるようになっている。
【0003】このようなインクジェットヘッドの一例の
分解概略を図5に、また、要部断面を図6に示す。図5
及び図6に示すように、圧電セラミックプレート101
には、複数の溝102が並設され、各溝102は、側壁
103で分離されている。各溝102の長手方向一端部
は圧電セラミックプレート101の一端面まで延設され
ており、他端部は、他端面までは延びておらず、深さが
徐々に浅くなっている。また、各溝102内の両側壁1
03の開口側表面には、長手方向に亘って、駆動電界印
加用の電極105が形成されている。
【0004】また、圧電セラミックプレート101の溝
102の開口側には、カバープレート107が接着剤1
09を介して接合されている。カバープレート107に
は、各溝102の浅くなった他端部と連通する凹部とな
るインク室111と、このインク室111の底部から溝
102とは反対方向に貫通するインク供給口112とを
有する。
【0005】また、圧電セラミックプレート101とカ
バープレート107との接合体の溝102が開口してい
る端面には、ノズルプレート115が接合されており、
ノズルプレート115の各溝102に対向する位置には
ノズル開口117が形成されている。
【0006】なお、圧電セラミックプレート101のノ
ズルプレート115とは反対側でカバープレート107
とは反対側の面には、配線基板120が固着されてい
る。配線基板120には、各電極105とボンディング
ワイヤ121等で接続された配線122が形成され、こ
の配線122を介して電極105に駆動電圧を印加でき
るようになっている。
【0007】このように構成される記録ヘッドでは、イ
ンク供給口112から各溝102内にインクを充填し、
所定の溝102の両側の側壁103に電極105を介し
て所定の駆動電界を作用させると、側壁103が変形し
て所定の溝102内の容積が変化し、これにより、溝1
02内のインクがノズル開口117から吐出する。
【0008】例えば、図7に示すように、溝102aに
対応するノズル開口117からインクを吐出する場合に
は、その溝102a内の電極105a,105bに正の
駆動電圧を印加すると共にそれぞれに対向する電極10
5c,105dを接地するようにする。これにより、側
壁103a,103bには溝102aに向かう方向の駆
動電界が作用し、これが圧電セラミックプレート101
の分極方向と直交すれば、圧電厚みすべり効果により側
壁103a,103bが溝102a方向に変形し、溝1
02a内の容積が減少して圧力が増加し、ノズル開口1
17からインクが吐出する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このようなシェアウォ
ールタイプのインクジェットヘッドでは、電極がインク
に晒されるため、電気伝導性を有するインクを用いる場
合には、電極表面を完全に絶縁膜で被覆する必要があ
る。しかしながら、側壁の左右で15〜30[V]もの
電圧(電界強度約5[kV/cm])が印加されるた
め、電極の表面を絶縁膜で被覆していても、例えば、水
性インク等を用いる場合には、電極の溶解が生じたり、
電気分解でガスが発生してしまうという問題がある。
【0010】また、絶縁を確保するためには、電極上に
ピンポールフリーの完全な絶縁膜を形成する必要がある
上、さらに、この絶縁膜が長期間インクに浸漬されてい
ても侵されない必要がある。しかしながら、実際のとこ
ろ、これらの要件を満足できる絶縁膜の形成は極めて困
難であり、例えば、インク滴の吐出するための溝を一つ
飛ばしに使用することによってこのような問題を回避し
ているため、ノズル開口を高密度に配列することができ
ないという問題がある。
【0011】本発明は、このような事情に鑑み、電極を
確実に絶縁でき、且つノズル開口を高密度に配列するこ
とのできるインクジェットヘッドを提供することを課題
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、基板上に圧電セラミックからなる隔
壁を所定間隔で配置して、各隔壁間にチャンバを画成
し、前記隔壁の側面に設けられた電極に駆動電圧を印加
することにより前記チャンバ内の容積を変化させてその
内部に充填されたインクをノズル開口から吐出するイン
クジェットヘッドにおいて、前記電極上に、絶縁性を有
する無機材料からなる無機絶縁膜と、絶縁性を有する有
機材料からなる有機絶縁膜とを順次具備することを特徴
とするインクジェットヘッドにある。
【0013】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記無機絶縁膜が、非晶質であることを特徴とする
インクジェットヘッドにある。
【0014】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記無機絶縁膜が、液体材料を固体化するこ
とにより形成されていることを特徴とするインクジェッ
トヘッドにある。
【0015】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記有機絶縁膜が、化学気相析出法
(CVD法)によって形成されていることを特徴とする
インクジェットヘッドにある。
【0016】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記有機絶縁膜の表面には、親水処理
が施されていることを特徴とするインクジェットヘッド
にある。
【0017】かかる本発明では、無機絶縁膜と有機絶縁
膜とからなる保護層によって、電極を確実に絶縁でき、
ノズル開口を高密度に配列したインクジェットヘッドを
実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に基づ
いて本発明を詳細に説明する。勿論、本発明はこれに限
定されるものでないことは言うまでもない。
【0019】図1は、一実施形態に係るインクジェット
ヘッドの分解斜視図であり、図2はヘッドチップの分解
斜視図であり、図3は、ヘッドチップの要部を示す拡大
断面図であり、図4は、インクジェットヘッドの製造工
程を示す斜視図である。
【0020】図1に示すように、本実施形態のヘッドチ
ップユニット10は、ヘッドチップ11と、このヘッド
チップ11の一方面側に設けられるベースプレート12
と、ヘッドチップ11の他方面側に設けられるヘッドカ
バー13と、ヘッドチップ11を駆動するための駆動回
路14が搭載された配線基板15とを有する。
【0021】まず、ヘッドチップ11について詳しく説
明する。図2に示すように、ヘッドチップ11を構成す
る圧電セラミックプレート16には、複数の溝17が並
設され、各溝17は、側壁18で分離されている。各溝
17の長手方向一端部は圧電セラミックプレート16の
一端面まで延設されており、他端部は、他端面までは延
びておらず、深さが徐々に浅くなっている。また、各溝
17内の両側壁18の開口側表面には、長手方向に亘っ
て、駆動電界印加用の電極19が形成されている。
【0022】ここで、圧電セラミックプレート16に形
成される各溝17は、例えば、円盤状のダイスカッター
により形成され、深さが徐々に浅くなった部分は不要で
あるが、ダイスカッターの形状により仕方なく形成され
てしまう。
【0023】また、各溝17内に形成される電極19
は、例えば、公知の斜め方向からの蒸着により形成され
る。この駆動電界印加用の電極19上には、さらに、各
電極19を絶縁するための保護層20が形成されてい
る。この保護層20は、図3に示すように、例えば、二
酸化シリコン(SiO2)等の絶縁性を有する無機材料
からなる無機絶縁膜21と、例えば、ポリモノクロロパ
ラキシレン等の絶縁性を有する有機材料からなる有機絶
縁膜22とで構成されている。このような保護層20を
構成する無機絶縁膜21は、液体材料を固化することに
より、すなわち、ディッピング等によって形成され、有
機絶縁膜22は、例えば、化学気相析出法(CVD法)
等によって形成され、具体的には、常温でのCVDによ
って形成されている。
【0024】このような保護層20は、無機絶縁膜21
が有機溶媒等に対して耐性を有し、有機絶縁膜21が無
機薬品(強酸化剤を除く)に耐性を有する。電極19上
に無機絶縁膜のみを設けた場合には、湿潤状態で完全な
絶縁性を求めることは困難であり、クラック、欠陥等が
発生する虞があるが、本実施形態のように、電極19上
に無機絶縁膜21及び有機絶縁膜22からなる保護層2
0を設けることにより、これら無機絶縁膜21と有機絶
縁膜22との界面が障壁となり、不純物イオンの拡散が
阻止され、絶縁性の劣化が抑制される。したがって、電
極19上に保護層20を設けることにより、例えば、水
性インク等を含む多種多様の液体を用いることができ
る。
【0025】また、このような無機絶縁膜21及び有機
絶縁膜22からなる保護層20の表面には、例えば、酸
素プラズマ等によって、親水処理が施されていることが
好ましい。すなわち、ポリモノクロロパラキシレン等か
らなる有機絶縁膜22は、疎水性であるが、酸素プラズ
マに晒して−OH基を導入することで、親水処理を施す
ことができる。これにより、初期充填での気泡残留を抑
制することができると共に、接着剤ののりが改善され
る。
【0026】ここで、保護層20を形成後、酸素プラズ
マ処理の前後での接触角の測定を行った。その結果を表
1に示す。なお、この接触角の測定は、室温で純水を用
いて行った。
【0027】
【表1】 試料1試料2試料3平均処理前97.2度100.0度
99.8度99.0度処理後24.5度18.1度2
2.2度22.0度表1に示すように、酸素プラズマ処
理を行うことにより、接触角が明らかに低下しているこ
とが分かる。すなわち、酸素プラズマ処理を行うことに
より、有機絶縁膜22の表面に親水処理を施すことがで
きる。
【0028】なお、例えば、重クロム酸や濃硝酸等での
酸化処理を行うことによっても親水処理を施すこともで
きるが、条件の管理が厳しいため好ましくない。
【0029】また、このように溝17及び電極19等が
形成された圧電セラミックプレート16の溝17の開口
側には、インク室プレート23が接合されている。イン
ク室プレート23には、各溝17の浅くなった他端部と
連通する凹部となるインク室24と、このインク室24
の底部から溝17とは反対方向に貫通するインク供給口
25とを有する。
【0030】ここで、本実施形態では、各溝17は、ブ
ラック(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シア
ン(C)の各色のインクに対応したグループに分かれて
おり、インク室24及びインク供給口25は、それぞれ
4つずつ設けられている。
【0031】なお、インク室プレート23は、セラミッ
クプレート、金属プレートなどで形成することができる
が、圧電セラミックプレート16との接合後の変形等を
考えると、熱膨張率の近似したセラミックプレートを用
いるのが好ましい。
【0032】また、圧電セラミックプレート16とイン
ク室プレート23との接合体の溝17が開口している端
面には、ノズルプレート26が接合されており、ノズル
プレート26の各溝17に対向する位置にはノズル開口
27が形成されている。
【0033】本実施形態では、ノズルプレート26は、
圧電セラミックプレート16とインク室プレート23と
の接合体の溝17が開口している端面の面積よりも大き
くなっている。このノズルプレート26は、ポリイミド
フィルムなどに、例えば、エキシマレーザ装置を用いて
ノズル開口27を形成したものである。また、図示しな
いが、ノズルプレート26の被印刷物に対向する面に
は、インクの付着等を防止するために撥水性を有する撥
水膜が設けられている。
【0034】なお、本実施形態では、圧電セラミックプ
レート16とインク室プレート23との接合体の溝17
が開口している端部の周囲には、ノズル支持プレート2
8が配置されている。このノズル支持プレート28は、
ノズルプレート26の接合体端面の外側と接合されて、
ノズルプレート26を安定して保持するためのものであ
る。
【0035】このような構成のヘッドチップ11は、電
極19が形成された圧電セラミックプレート16とイン
ク室プレート23とを接合した後、保護層20が形成さ
れ、この接合体の端面にノズルプレート26を接合す
る。次いで、ノズルプレート26の外側面、及び圧電セ
ラミックプレート16とインク室プレート23との接合
体にノズル支持プレート28を嵌合接着することにより
形成される。
【0036】ここで、保護層20を構成する無機絶縁膜
21は、ディッピング等によって液体材料を固化するこ
とによって形成されていることが好ましい。
【0037】これにより、圧電セラミックプレートの切
削加工時に発生したマイクロクラックやクラック、ある
いは脱落しかけている結晶粒と母材との隙間に無機絶縁
膜21となる液体材料が浸透して固体化するため、その
後の亀裂の進行や結晶粒の脱落を防止することができ
る。
【0038】また、例えば、溝17の形状が高アスペク
ト比である場合には、無機絶縁膜21をCVD法で形成
すると、溝17の底部には析出し難く欠陥が生じやすい
が、ディッピングによって無機絶縁膜21を形成するこ
とにより、欠陥が生じることなく確実に無機絶縁膜21
を形成することができる。
【0039】さらに、液体材料を固化させるため、超音
波洗浄等で除去できなかった切削屑の付着物がこの液体
材料の固化と同時に固定され、無機絶縁膜21をCVD
法によって形成する際に、ピンホールの生成が抑制さ
れ、且つノズル詰まりを防止することができる。
【0040】また、圧電セラミックプレートの表面に凹
凸がある場合でも、液体材料は表面張力によって圧電セ
ラミックプレートの表面に滑らかに広がり、そのまま固
化する。このため、無機絶縁膜21上にCVD法によっ
て形成する有機絶縁膜22に欠陥が生じ難くい。さらに
は、有機絶縁膜22の表面が略平坦に形成されるため、
インク充填時の気泡が残り難く、インク吐出不良を防止
することができる。
【0041】また、無機絶縁膜21が、X線回折法では
回折ピークが認められない程度に非晶質となっているこ
とが好ましい。このように無機絶縁膜21が非晶質であ
れば、結晶粒界が無く膜の欠陥が少ない。また、柱状晶
にならないため、膜の強度に異方性がなく、各領域の強
度が均一化される。さらに、比較的高速で不純物が拡散
する粒界拡散が無いため、絶縁破壊が生じにくい。
【0042】一方、有機絶縁膜22は、常温でのCVD
によって形成されているが、このように、常温でのCV
Dを採用することにより、膜厚ムラが極めて小さく均一
な厚さに形成することができる。また、万一、脱落した
結晶粒等の異物が付着していても、異物を取り込んで成
膜でき、異物によるノズル詰まり等を防止できる。さら
には、付きまわり性が向上し、組立後のヘッドチップで
もコーティングが可能となる。したがって、取り扱いが
容易となり、製造効率が向上する。
【0043】以下に、このようなヘッドチップ11を用
いた本実施形態のインクジェットヘッド10について説
明する。
【0044】図1及び図4に示すように、本実施形態の
インクジェットヘッド10は、ヘッドチップ11を構成
する圧電セラミックプレート16のノズル開口24側と
は反対側の端部には電極19に接続される図示しない配
線パターンが形成されており、この配線パターンには異
方性導電膜29を介してフレキシブルケーブル30が接
合される。また、圧電セラミックプレート16とインク
室プレート23との接合体のノズル支持プレート28の
後端側には、圧電セラミックプレート16側のアルミニ
ウム製のベースプレート12と、インク室プレート23
側のヘッドカバー13とが組み付けられる。ベースプレ
ート12とヘッドカバー13とは、ベースプレート12
の係止孔12aにヘッドカバー13の係止シャフト13
aを係合することにより固定され、両者で圧電セラミッ
クプレート16とインク室プレート23との接合体を挟
持する。ヘッドカバー13には、インク室プレート23
のインク供給口25のそれぞれに連通するインク導入路
31が設けられている。
【0045】また、図7に示すように、圧電セラミック
プレート16の後端側に突出したベースプレート12上
には配線基板15が固着される。ここで、配線基板15
上にはヘッドチップ11を駆動するための駆動ICを有
する駆動回路14が搭載され、駆動回路14とフレキシ
ブルケーブル30とが異方性導電膜32を介して接続さ
れ、これによってインクジェットヘッド10が完成す
る。
【0046】このようなインクジェットヘッド10で
は、インク導入路31を介してインク供給口25から各
溝17内にインクを充填し、駆動回路14によって所定
の溝17の両側の側壁18に電極19を介して所定の駆
動電界を作用させることにより、側壁18が変形して所
定の溝17の内の容積が変化し、溝17内のインクがノ
ズル開口27から吐出する。
【0047】以上、本実施形態のインクジェットヘッド
10の構成について説明したが、このようなインクジェ
ットヘッド10において、電極19上に下記の実施例1
〜3の保護層を作成したものと、比較例1〜3の保護層
を形成したものとで耐久性の比較を行った。
【0048】(実施例1)まず、キュリー温度(Tc)
が330℃であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラ
ミックスからなる圧電セラミックプレートに、上述した
ように、溝及び電極を形成する。なお、電極の材料とし
ては、アルミニウム(Al)を用いている。
【0049】次に、低温度焼成タイプ(約90[℃]で
焼成可能)の二酸化シリコン(SiO2)のゾル−ゲル
溶液を専用希釈液で濃度調整し、脱脂した圧電セラミッ
クプレートを希釈したゾル−ゲル溶液に浸漬する。その
後、圧電セラミックプレートを取り出してエアガンによ
って余分な溶液を除去し、約90[℃]に加熱したオー
ブンで約1時間の焼成を行って無機絶縁膜を形成した。
【0050】次いで、無機絶縁膜を形成した圧電セラミ
ックプレートをアルコールで洗浄後、完全に乾燥させて
CVD装置の蒸着室に設置する。そして、CVD装置の
気化室内に有機絶縁膜の原料となるモノクロロパラキシ
レンの二量体粉末の所要量を充填後、熱分解室を約70
0[℃]に加熱し、システム内を2.5[Pa]になる
まで排気する。その後、気化室を約160[℃]に加熱
してモノクロロパラキシレンをコーティングして有機絶
縁膜を形成することにより実施例1の保護層を得た。な
お、実施例1では、有機絶縁膜の膜厚が約6[μm]と
なる条件設定で、CVDを行った。
【0051】さらに、この保護層の表面を酸素プラズマ
処理する。すなわち、半導体製造プロセスでレジスト等
の除去に用いられる一般的なアッシング装置を用いて、
チャンバ内に酸素プラズマを発生させ、有機絶縁膜のエ
ッチングレートが10[nm/s]となる条件で、酸素
プラズマ処理を10秒間行った。
【0052】ここで、実施例1の保護層を構成する無機
絶縁膜の膜厚は、薄いところで、約0.5[μm]であ
る。また、上述の条件で焼成された無機絶縁膜を薄膜X
線回折装置(CuKα線)で評価したところ、低角部に
ブロードな山が認められただけで、結晶化している証拠
は得られなかった。すなわち、実施例1の保護層を構成
する無機絶縁膜は、非晶質となっている。
【0053】(実施例2)電極が形成された圧電セラミ
ックプレートに、二酸化シリコン(SiO2)粒を原料
とした電子ビーム蒸着法(EB法)によって無機絶縁膜
を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の
保護層を得た。
【0054】具体的には、圧電セラミックプレートをチ
ャンバ内に設置し、2.0×10-4[Pa]以下に排気
後、加速電圧10[kV]、ビーム電流100[mA]
の条件で、電極上の膜厚が約500[nm]となるまで
形成した。
【0055】(実施例3)有機絶縁膜として、ポリモノ
クロロパラキシレンを用いる代わりに、熱硬化型エポキ
シ系接着剤を用いた以外は、実施例1と同様にして、実
施例3の保護層を得た。
【0056】具体的には、無機絶縁膜を形成した圧電セ
ラミックプレートを、アセトンで所定の濃度に希釈した
希釈液に浸漬し、その後、圧縮空気等で余分な希釈液を
吹き飛ばして、90[℃]で3時間硬化させて実施例3
の有機絶縁膜とした。なお、有機絶縁膜の側壁表面の膜
厚は、最も薄いところで、約5[μm]であった。
【0057】(比較例1)保護層が、実施例1と同様の
無機絶縁膜のみからなる以外は、実施例1と同様であ
る。
【0058】(比較例2)電極を形成した圧電セラミッ
クプレートを脱脂後、密着性改善のためにシランカップ
リング剤処理を施し、実施例1と同様の有機絶縁膜のみ
を形成して、比較例2の保護層とした。
【0059】(比較例3)実施例2と同様に、無機絶縁
膜を電子ビーム蒸着法によって形成した後、実施例3と
同様に、熱硬化型エポキシ系の接着剤を用いた有機絶縁
膜を形成することにより、比較例3の保護層を得た。
【0060】(試験例)このように形成した各実施例及
び比較例の保護層が形成された圧電セラミックプレート
を、上述したヘッドの組立工程によってインクジェット
ヘッドを形成した。このときのヘッドチップの初期不良
率、及びチップの歩留まりを調べた。また、実際に駆動
させてインクを吐出させることによる耐久試験を行っ
た。その結果を下記表2に示す。
【0061】
【表2】 初期不良率 (不良溝率)チップ歩留まり (全溝良品数/投入数量)耐久性実施例11.2%28
/3040億発以上実施例23.1%11/3140億
発以上実施例38.0%2/315億発比較例187%
0/29−(注1)比較例212%0/32−(注1)
比較例322%0/32−(注1)注1:評価できるヘ
ッドチップが得られず耐久試験実施せず表2に示すよう
に、各実施例は、ヘッドチップの初期不良率は、最大で
も8.0%であり、全溝が良品であるものが得られてい
る。これに対し、各比較例では、初期不良率が最低でも
12%であり、比較例1においては87%もの多数のも
ので初期不良が発生している。また、何れの比較例にお
いても、全溝が良品であるヘッドチップが一つも得られ
なかった。
【0062】また、各実施例のインクジェットヘッドで
の耐久試験では、5億発以上吐出できるという結果が得
られている。これに対し、各比較例のインクジェットヘ
ッドでは、評価できるインクジェットヘッドが得られ
ず、耐久試験自体実施できなかった。
【0063】このような結果から明らかなように、電極
上に無機絶縁膜及び有機絶縁膜からなる保護層を設ける
ことにより、絶縁破壊等のない良好なヘッドチップを形
成することができコストを低下することができると共
に、インクジェットヘッドのインク吐出特性及び耐久性
を向上することができる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、電極
上に無機絶縁膜及び有機絶縁膜からなる保護層を設ける
ようにしたので、インクの種類に拘わらず、例えば、水
性インク等を用いても絶縁破壊が生じることがなく、イ
ンク吐出特性を良好に保持することができる。また、溝
を高密度に配列することができ、印刷速度の向上を図る
ことができると共に、ヘッドの小型化を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッ
ドの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るヘッドチップの分解
斜視図及び断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るヘッドチップの要部
を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッ
ドの組立工程を示す斜視図である。
【図5】従来技術に係る記録ヘッドの概要を示す分解斜
視図である。
【図6】従来技術に係る記録ヘッドの概要を示す断面図
である。
【図7】従来技術に係る記録ヘッドの概要を示す断面図
である。
【符号の説明】
10 インクジェットヘッド 11 ヘッドチップ 12 ベースプレート 13 カバープレート 16 圧電セラミックプレート 17 溝 18 側壁 19 電極 20 金属層 23 インク室プレート 24 インク室 25 インク供給口 26 ノズルプレート 27 ノズル開口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に圧電セラミックからなる隔壁を
    所定間隔で配置して、各隔壁間にチャンバを画成し、前
    記隔壁の側面に設けられた電極に駆動電圧を印加するこ
    とにより前記チャンバ内の容積を変化させてその内部に
    充填されたインクをノズル開口から吐出するインクジェ
    ットヘッドにおいて、 前記電極上に、絶縁性を有する無機材料からなる無機絶
    縁膜と、絶縁性を有する有機材料からなる有機絶縁膜と
    を順次具備することを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記無機絶縁膜が、
    非晶質であることを特徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記無機絶縁
    膜が、液体材料を固体化することにより形成されている
    ことを特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記有
    機絶縁膜が、化学気相析出法(CVD法)によって形成
    されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記有
    機絶縁膜の表面には、親水処理が施されていることを特
    徴とするインクジェットヘッド。
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