JP2008087443A - インクジェットヘッド、ならびにインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド、ならびにインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 圧電アクチュエータ部から上下電極を高低差なしに引き出し、配線基板の接続を不良なく行うことのできる構造を提案し、高集積化されたインクジェットヘッドに欠陥なく駆動回路からの信号を供給して高精細な画像を形成できるインクジェットヘッド、ならびにインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 振動板4上に圧電アクチュエータ部8を設け、圧力発生室2に対応する領域外の振動板4上に接合層10の厚膜部11が設けられ、圧電層6表面から接合層の厚膜部11の一部にまたがって表面が平坦な平坦領域31を有し、上電極7は平坦領域31上を介して厚膜部11上へ引き出され、圧電アクチュエータ部8から接合層厚膜部11に至る領域の一部に、接合層10の厚さが振動板4の面内方向に漸増する接合層傾斜部12を設けられ、下電極5は、接合層傾斜部上12を介して厚膜部11上へ引き出される転写によるインクジェットヘッドの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インク滴をノズルより吐出することにより印刷を行うインクジェットヘッドに関するもので、とりわけ、圧電変位素子を用いてインク室を容積変化せしめてインクを吐出する圧電式インクジェットヘッドに関する。
圧電変位素子を用いてインク室を容積変化せしめてインク滴を吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方法は、高速記録が可能であり、また記録品位も高く、低騒音であるという利点を有している。さらに、この方法はカラー画像記録が容易であって、普通紙等にも記録でき、さらに装置を小型化し易いといった多くの優れた利点を有している。
インクジェット記録方法を用いる記録装置には、一般に、インクを飛翔インク滴として吐出させるためのノズル開口と、ノズル開口に連通する圧力発生室が配列された流路基板と、流路基板上に設けられた振動板と、圧力発生室の各々に対向する領域内の振動板上に設けられた圧電アクチュエータ部を有し圧力発生室の容積を変化せしめる圧電変位素子とを備えるインクジェットヘッドが用いられる。このようなインクジェットヘッドにおいては、近年の画像形成の高精細化、大面積化及び高速化の要求に伴い、流路基板にノズル開口、圧力発生室、圧電変位素子を高密度かつ多数配列した高集積化が行われている。このようなインクジェットヘッドに用いられる圧電変位素子としては、圧力発生室に対応した領域の振動板メンブレン上に、下電極、圧電層、上電極を積層した圧電アクチュエータ部を設け、撓みモード変位を利用したものが提案されている。このような撓みモード圧電変位素子を、薄膜技術、及びフォトリソグラフィーを利用して作製することにより、さらなる高集積化が行われているとともに、素子の小型化による高速駆動が可能となる素子構造が提案されている。
このようなインクジェットヘッドにおいては、駆動のための電圧信号を生成する駆動回路から圧電アクチュエータ部への駆動信号印加のための配線の接続を行う必要がある。このような配線の接続では、メンブレン上の圧電アクチュエータ部に直接接続すると応力集中などによりクラック、破壊が生じるため、圧電アクチュエータ部より圧力発生室に対応した領域外に設けられた配線接続部へ上電極及び下電極を引き出し、さらにこの配線接続部に駆動信号を発生・制御する駆動回路からの信号配線が接続される。
圧電アクチュエータ部からの電極の引出しについては、特開2000-037868号公報に開示されているような、上電極及び下電極の両者から外部へ引き出される電極の間に層間絶縁膜を設けることにより電極間を絶縁して引き出す方法が提案されている。また、特開平11-170505号公報には、圧力発生室に対向する領域の略中央部に、圧電体能動部へ電圧を印加するためのリード電極と圧電体能動部との接続部となるコンタクト部が設けられ、このコンタクト部より電極を引き出す方法が提案されている。
さらにこのようにして引き出された配線接続部に、駆動信号を発生・制御する駆動回路からの信号配線が接続される。この接続には、例えば特開2000-285992号公報に開示されているような、駆動回路からの信号配線が設けられたフレキシブル基板よりなるコネクタ(本明細書中では配線基板と表記される)と、インクジェットヘッド側の端子電極(本明細書中では配線接続部と表記される)と位置合わせをして重ね合わせ、接着することで接続を行う方法が提案されている。
特開2000-037868号公報 特開平11-170505号公報 特開2000-285992号公報
高速、高密度、高精細、高集積化
しかしながら、前記従来例のインクジェットヘッドにおいては以下に示すような問題点があった。
駆動回路から圧電アクチュエータ部までの駆動信号印加のための配線の接続経路における、配線基板と配線接続部の接続においては、両者の接合面すなわち端子同士に高低差があった場合、接続に不良を生じる場合がある。特に高集積化され、面内にごく近接して配された端子においては端子同士の高低差は僅かでも配線基板に局所的に大きな歪が誘起されるため、特に不良が発生しやすい。さらにこのような接続の不良に伴い、駆動信号の印加に不良が生じるため、画像形成における印刷ドット抜けが発生し画像品位の低下が問題となる。
このため、圧電アクチュエータ部からの上電極と下電極の引き出し部分から配線接続部までの間に、圧電アクチュエータ部で上下電極間に存在する圧電層厚さ分の高低差を解消する必要がある。しかし、上記従来例の圧電アクチュエータ部からの電極の引出しでは、圧電層、もしくは層間絶縁層の端部の段差が存在するため、上電極の断線が生じる場合があった。また、圧電アクチュエータ部から配線接続部までの間での引き出しにおいて、上記従来例の特開2000-037868号公報に開示されているインクジェットヘッドでは圧電アクチュエータ部以外の箇所で上電極と下電極が層間絶縁膜を介して対向するため不要な配線容量が発生し、特に多数の微小インク滴の吐出を繰り返す高精細画像形成における高速の駆動において駆動回路からの信号の供給に悪影響を与える場合があった。
本発明は前記従来例の問題点に鑑みてなされたもので、圧電アクチュエータ部から上下電極を高低差なしに引き出し、配線基板の接続を不良なく、行うことのできる構造を提案し、高集積化されたインクジェットヘッドに欠陥なく駆動回路からの信号を供給して高精細な画像を形成できるインクジェットヘッド、ならびにインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する凹形の圧力発生室が配列された流路基板と、流路基板上に設けられた振動板と、振動板上に絶縁性の接合層を介して薄膜状の下電極、圧電層ならびに上電極を有し、各圧力発生室上の振動板上には該下電極、圧電層ならびに上電極が積層された圧電アクチュエータ部を設けたインクジェットヘッドであって、
(1) 圧力発生室に対応する領域外の振動板上に、接合層の厚膜部が設けられる
(2) 圧電アクチュエータ部の圧電層表面から接合層の厚膜部の少なくとも一部にまたがって表面が平坦な平坦領域を有する
(3) 上電極は、平坦領域上を介して厚膜部上へ引き出される
(4) 圧電アクチュエータ部から接合層厚膜部に至る領域の一部に、接合層の厚さが振動板の面内方向に漸増する接合層傾斜部を設ける。
(5) 下電極は、接合層傾斜部上を介して厚膜部上へ引き出される
構造を有することを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第1の態様によれば、圧電アクチュエータ部から上下電極を高低差なしに引き出すことのできる構造により、高集積化されたインクジェットヘッドに欠陥なく駆動回路からの信号を供給して高精細な画像を形成できるインクジェットヘッドを提供できる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、平坦領域においては、接合層と圧電層の合算膜厚が一定であることを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第2の態様によれば、第1の態様において、接合層を用いた転写法によって平坦領域を容易に形成することができる。
本発明の第3の態様は、圧電層の一部に、圧電層膜厚が該振動板の面内方向に漸減する膜厚漸減部を有することを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第3の態様によれば、第1の態様において、圧電層の膜厚漸減部形状を接合層に転写することにより、接合層傾斜部を容易に形成することができる。
本発明の第4の態様は、第1の態様において、振動板上に、駆動信号を供給する配線基板が接続される配線接続部が設けられ、下電極ならびに上電極が該配線接続部まで延長されることを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第4の態様によれば、圧電アクチュエータ部から引き出された上下電極に対して、配線基板の接続を簡便に行なうことができる。
本発明の第5の態様は、第1の態様において、配線接続部において、振動板表面より上電極表面ならびに下電極表面までの高さのばらつきが100nm以下であることを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第5の態様によれば、配線接続部への配線基板の接続の不良をより低減できる。
本発明の第6の態様は、第1の態様において、圧電層が、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とすることを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第6の態様によれば、圧電層に、高い圧電特性とともに高い絶縁性を有する材料であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とすることにより、電極相互の絶縁を十分確保できる。
本発明の第7の態様は、第1の態様において、圧電層の膜厚が、圧電アクチュエータ部において500nm乃至50μmであることを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第7の態様によれば、圧電アクチュエータ部において上下電極間の絶縁耐圧を十分に確保しながらインクの吐出のために十分な発生力を得ることができる。
本発明の第8の態様は、第1の態様において、上電極の膜厚が、圧電アクチュエータ部において20nm乃至500nmであることを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第8の態様によれば、上電極の膜厚を上記範囲とすることで、個別化により細線化しても上電極に対しても十分に駆動電圧の印加が可能であると共に、圧電アクチュエータ部の変位に対してほとんど影響を与えず大きな変位量を得ることができる。
本発明の第9の態様は、第1の態様において、膜厚漸減部が、圧電アクチュエータ部における膜厚に対して5倍乃至500倍の長さであることを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第9の態様によれば、膜厚漸減部を上記範囲の形状とすることで、この形状を転写した接合層傾斜部をなだらかに形成できるため、下電極の断線をより低減できる。
本発明の第10の態様は、第1の態様において、下電極もしくは上電極が、前記被覆部より配線接続部に至る領域内に厚膜部を有することを特徴とするインクジェットヘッドである。
かかる第10の態様によれば、圧電変位に寄与しない上記範囲内に電極の厚膜部を設けるため、圧電変位量に影響を与えることなく電極の断線をより低減できる。
本発明の第11の態様は、ノズル開口に連通する凹形の圧力発生室が配列された流路基板を製造する工程と、流路基板上に設けられた振動板を形成する工程と、振動板上に絶縁性の接合層を介して薄膜状の下電極、圧電層ならびに上電極を形成し、各圧力発生室上の振動板上には該下電極、圧電層ならびに上電極が積層された圧電アクチュエータ部を形成する工程とを有するインクジェットヘッドを製造する方法であって、
(1) 基板上に上電極、膜厚漸減部を有する圧電層、ならびに下電極を形成する工程
(2) 流路基板上の振動板表面、もしくは、別基板上の上電極、圧電層ならびに下電極上に接合層材料を塗布する工程
(3) 路基板上の振動板と、別基板上の上電極、膜厚漸減部を有する圧電層ならびに下電極を対向させて加圧し、接合層材料を変形させながら、接合を行なう工程
(4) 接合層材料を硬化する工程
(5) 別基板を除去する工程
により、接合層の厚膜部、圧電アクチュエータ部の圧電層表面から接合層の厚膜部の少なくとも一部にまたがって表面が平坦な平坦領域、並びに圧電アクチュエータ部から接合層厚膜部に至る領域の一部に接合層の厚さが振動板の面内方向に漸増する接合層傾斜部を形成することを特徴とする、インクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第11の態様によれば、圧電アクチュエータ部から上下電極を高低差なしに引き出し配線基板の接続を不良なく、行うことのできる構造により、高集積化されたインクジェットヘッドに欠陥なく駆動回路からの信号を供給して高精細な画像を形成できるインクジェットヘッドの製造方法を提供できる。
本発明の第12の態様は、第11の態様において、膜厚漸減部が、圧電層形成工程の圧電層堆積時において堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより形成されることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第12の態様によれば、なだらかな形状で急峻な凹凸のない圧電層の膜厚漸減部を簡易な方法で形成可能であり、膜厚漸減部形状を転写した接合層傾斜部を容易に形成できる。
本発明の第13の態様は、第12の態様において、膜厚漸減部が、圧電層を気相からの薄膜堆積法により形成するとともに、薄膜堆積時に開口部を有するシャドーマスクにより堆積物の一部を制限しながら堆積する工程により、堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより形成されることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第13の態様によれば、シャドーマスクの端部形状あるいは基体との間隔などを適宜制御することで、膜厚漸減部の形状を広い範囲で制御性よく形成できる。
本発明の第14の態様は、第13の態様において、該シャドーマスクが基体に対して密着され、且つ該シャドーマスクが開口部の端部にテーパーを有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第14の態様によれば、シャドーマスクの開口部以外に圧電層が堆積することを完全になくすように制御することができるため、配線接続部などに不要な堆積物が付着しない様にすることができる。このため、配線基板の接続が良好に行える。
本発明の第15の態様は、第14の態様において、該テーパーが、基体に対して90°乃至150°の角度を以って立ち上がる構造とすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第15の態様によれば、テーパー形状を上記範囲の鉛直からオーバーハング状とすることで、特にシャドーマスクの開口端部近傍において急峻な膜厚分布の形成が抑制できる。
本発明の第16の態様は、第13の態様において、該シャドーマスクと基体との間に間隙を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第16の態様によれば、シャドーマスクと基体との間の間隙に堆積物が入り込むため不要な堆積物が配線接続部などに付着する可能性があるものの、なだらかな形状の膜厚分布を容易に制御できる。さらにシャドーマスクと基体上の電極などが直接接触しないため、接触に伴う電極の損傷を防止できる。
本発明の第17の態様は、第16の態様において、該間隙が、0.1mm乃至1mmとすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第17の態様によれば、シャドーマスクと基体との間の間隙を上記範囲とすることで、膜厚漸減部の長さを好適な範囲に形成できる。
本発明の第18の態様は、第13の態様において、該シャドーマスクの開口部と基体とを所定の速度で相対的に移動させることにより圧電層の膜厚漸減部を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第18の態様によれば、圧電層の堆積を行う装置に上記相対的な移動を行う機構を設ける必要があるものの、膜厚分布の制御性がより向上できる。
本発明の第19の態様は、第13の態様乃至第18の態様において、圧電層堆積に用いる気相からの薄膜堆積方法がスパッタ法であることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第19の態様によれば、スパッタ法ではターゲットよりスパッタされた堆積物粒子が、平均自由工程の凡そ1倍乃至数倍の輸送過程を経て散乱されながら基板上に堆積されるため、堆積される堆積物粒子の入射角度に適当な分散が生じ、シャドーマスクによる遮蔽において急峻な膜厚分布が生じることを抑制できる。
本発明の第20の態様は、第11の態様において、膜厚漸減部が、圧電層形成工程の圧電層の堆積後に堆積物の一部をエッチングする工程により形成されることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第20の態様によれば、第12の態様乃至第18の態様と比較してエッチング工程が必要となり工程数が増大するものの、薄膜堆積法に任意の方法を用いることができる。すなわち、ゾル-ゲル法、水熱合成法、スプレー法などの方法を用いることが可能となる。さらに、流路基板とは別に形成した圧電層を接合する方法も採用可能となる。このことより、インクジェットヘッドの構造、構成の設計の自由度が格段に高くなる。
本発明の第21の態様は、第20の態様において、エッチング工程がエッチング液による化学エッチングによって行われ、エッチング液と堆積物との接液境界を所定の速度で移動させることにより圧電層の膜厚漸減部を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第21の態様によれば、特にエッチングマスクを用いることなく形状を制御したエッチングが可能であり、きわめて簡便にエッチング工程を行うことができる。
本発明の第22の態様は、第20の態様において、エッチング工程において堆積物の一部を開口を有するマスク層によって保護し、エッチング液による化学エッチングによって該エッチングマスクの開口端をエッチングにより後退させながら堆積物をエッチングすることにより圧電層の膜厚漸減部を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法である。
かかる第22の態様によれば、例えばエッチングマスクに開口端に適宜テーパー状の形状を設けたり、マスク材と堆積物のエッチングレート比を、ドライエッチングのエッチングガスや基板温度、エッチング種の入射方向などの条件、あるいは、化学エッチングにおけるエッチング液や温度条件等を適当に選んでやることで高精度の膜厚漸減部の加工が可能である。
以上本発明によれば、圧電アクチュエータ部から上下電極を高低差なしに引き出し配線基板の接続を不良なく、行うことのできる構造により、高集積化されたインクジェットヘッドに欠陥なく駆動回路からの信号を供給して高精細な画像を形成できるインクジェットヘッド、ならびにインクジェットヘッドの製造方法を提供できる。
以下実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
本実施例では、本発明のインクジェットヘッドの例を示す。
以下、図を用いて本実施例を説明する。図1は本実施例のインクジェットヘッドの構成を示す図で、図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のA-A'線の断面図、図1(c)は図1(a)のB-B'線の断面図である。
図1において、1は流路基板、2は圧力発生室、3は共通液室、4は振動板、5は下電極、6は圧電層、7は上電極、8は圧電アクチュエータ部、9は配線接続部、10は接合層、11は接合層の厚膜部、12は接合層傾斜部、13は圧電層の膜厚漸減部、14はノズルプレート、15はノズル開口、16は配線基板、17は配線基板側の端子、31は平坦領域である。
図1に示したように、流路基板1には、ノズル開口に連通する凹型の圧力発生室2が複数個配列され、さらに圧力発生室2と連通する共通液室3などよりなるインク流路を設けた。流路基板1としてはシリコン単結晶基板をドライエッチングなどにより加工して圧力発生室等を形成したものを用いた。また、流路基板には、所望の形状に加工可能で、強度、剛性、インク耐性を有するものであれば、他に樹脂やステンレスなどの金属材料、ガラスなどを用いることもできる。本実施例では流路基板1としては厚さ380μmの面方位(100)シリコン単結晶基板を用い、圧力発生室2は、幅70μm、長さ3000μm、深さ150μmとし、幅20μmの隔壁を介して、圧力発生室の幅方向に列状に複数個配列した。尚、本実施例においては一列のみを配列したものを示したが、このように配列した圧力発生室の列を例えば圧力発生室の長手方向に並べて複数列配したり、さらには所謂千鳥状に配することも本発明の構造においては可能である。
流路基板1上には振動板4を設けた。振動板4は本実施例においては、流路基板1上において、少なくとも圧力発生室2に対向する領域ならびに上電極ならびに下電極が設けられる領域全体に連続して設ける。振動板4としては、所望の厚さ、耐熱性、弾性定数、強度、インク耐性を有するとともに、本発明において上電極間ならびに下電極の間において駆動信号のリークが発生しない程度の絶縁性を有する材料から選択される。好ましいものとしては、ガラス材料、酸化シリコン、窒化シリコン、ジルコニアなどの酸化物材料が挙げられる。このような材料を、膜堆積法や直接接合、接着などの方法により流路基板に接合する。尚、振動板4は流路基板1に圧力発生室などを設けた後に接合してもよいし、振動板4を流路基板に接合した後に圧力発生室などを形成してもかまわない。ただし、以上の振動板材料及び接合方法は後工程における加熱やエッチング処理などのプロセスに耐性を有する組み合わせから選択されることは言うまでもない。本実施例では、後述する圧電層形成における加熱工程に対する耐熱性を有するガラス板を用い、陽極接合で流路基板1に直接接合して、平均厚さ3μmまで研磨薄片化したものを用いた。
この振動板4上に、下電極5、圧電層6、上電極7を配した。図1に示したように、本実施例では圧力発生室の各々に対向する領域内の振動板4上に設けられ振動板4側より順に下電極5、圧電層6、上電極7が積層された部位である圧電アクチュエータ部8を設ける。本発明では、下電極5、圧電層6、上電極7、圧電アクチュエータ部8は、接合層10を介して振動板4上に設けられる。
さらに、本発明では、圧力発生室2に対応する領域外の振動板4上に、接合層の厚膜部11が設けられる。本発明では、圧電アクチュエータ部8より下電極5ならびに上電極7が接合層の厚膜部11まで引き出される構造となる。
まず上電極の引き出し構造について説明する。図1(b)に、図1(a)における上電極の引き出し部A−A'線の断面図を示す。図1(b)に示すように、圧力発生室2に対応する領域外の振動板上に、接合層の厚膜部11が設けられるとともに、圧電アクチュエータ部の圧電層表面から接合層の厚膜部11の少なくとも一部にまたがって表面が平坦な平坦領域31を有し、上電極7は平坦領域31上を介して厚膜部11上へ引き出される。この平坦領域31においては、接合層と圧電層の合算膜厚が一定であることが好ましく、このようにすることで、接合層を用いた転写法によって平坦領域を容易に形成することができる。上電極7は、このような平坦領域上を、圧電アクチュエータ部の圧電層表面から、厚膜部へ引き出される。
次に下電極の引き出し構造について説明する。図1(c)に、図1(a)における下電極の引き出し部B-B'線の断面図を示す。図1(c)示すように、下電極5の下には圧電アクチュエータ部8から、圧電アクチュエータ部から接合層の厚膜部11までの区間において、圧力発生室に対向する領域外に向かって接合層の厚さが傾斜的に漸増する接合層傾斜部12が設けられる。下電極5は接合層の膜厚が漸増する接合層傾斜部12上を介して接合層の厚膜部上へ引き出される。このような接合層傾斜部12は、例えば図1(b)中に示したような、圧電層の一部に、圧電層膜厚が該振動板の面内方向に漸減する膜厚漸減部の形状を接合層に転写することにより、接合層傾斜部を容易に形成することができる。尚、本実施例では下電極5上の圧電層などは除去した例を示したが、残されていても構わない。
以上のような上電極、ならびに下電極の接合層の厚膜部への引き出し構造により、圧電アクチュエータ部から上下電極を高低差なしに引き出すことができる。また、このような構造によれば、引き出し区間内に段差をなくすことが可能となり、電極の断線を防止できる。
また、このような圧電層の膜厚漸減部13ならびに接合層傾斜部12は、少なくとも圧電アクチュエータ部外に設けられ、圧電層の膜厚漸減部13ならびに接合層傾斜部12においては、上電極7と下電極5は対向しない構造とすることが好ましい。このようにすることで、不要な配線容量が発生することを防止し、さらには絶縁破壊による素子不良を防止することができる。
下電極5は、本実施例では列状に配された圧力発生室5を配列方向に複数個またぐとともに、配列された各圧電アクチュエータ部に対する共通電極となる。下電極5の材料としては、駆動電圧の印加に必要な導電性を有し、後工程における加熱やエッチング処理などのプロセスに耐性を有するものから適宜選択される。本実施例では、Ti、Auを堆積した積層膜を用いた。他には、Pt、Ag、Al、Cu、Cr、Irなどの金属や導電性酸化物などが好ましい。下電極5の膜厚は、圧電変位素子として動作する範囲で適宜決定されるが、好ましくは圧電アクチュエータ部において20nm乃至500nmとする。このようにすることで、十分に駆動電圧の印加が可能であると共に、圧電アクチュエータ部の変位に対してほとんど影響を与えず大きな変位量を得ることができる。本実施例においては、Tiを10nm、Auを100nmの厚さとした。
圧電層6は、各圧電アクチュエータ部に対応する領域と、各圧電アクチュエータ部の下電極端部を被覆し、さらに膜厚漸減部13に堆積した。圧電層6の材料は、高い圧電特性とともに高い絶縁性を有する材料から適宜選択される。本実施例においては、チタン酸ジルコン酸鉛を用いた。チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とすることにより、電極相互の絶縁を十分確保できる。ただし、上記条件を満たす材料であればこれに限らず用いることができる事は言うまでもない。圧電層6の厚さは、圧電アクチュエータ部において500nm乃至50μmであることが好ましい。このようにすることで上下電極間の絶縁耐圧を十分に確保しながらインクの吐出のために十分な発生力を得ることができる。本実施例では、圧電層の厚さは、圧電アクチュエータ部8で全面で2.5μmとし、膜厚漸減部13において膜厚が連続的に漸減するようにした。膜厚漸減部13の図1(a)のA-A'線における断面形状の主要な部分に対応する膜厚分布を図2に示す。図2のグラフにおいて、横軸は圧電アクチュエータ部の端部からの面内A-A'方向の距離であり、圧電アクチュエータ部側を+の数字で示している。また図2のグラフにおいて、縦軸はそれぞれの点における圧電層の膜厚を示している。また、図2には本発明のインクジェットヘッドの圧電アクチュエータ部8、膜厚漸減部13、さらに接合層の厚膜部までを、その概略の領域を矢印を用いて併記した。図2で示したように、本実施例では、膜厚漸減部13は圧電アクチュエータ部8から被覆部を経て連続的に漸減し、約1mmの反対側に端部においてより緩やかな漸減形状を以って急激な段差なしに膜厚が0となるようにした。圧電層6の平面形状は、図1(a)に示したように各圧電アクチュエータ部個別に分割し、圧力発生室2に対向する領域では圧力発生室の幅方向に60μmの幅の概短冊形状とした。
上電極7は、各圧電アクチュエータ部に対応する領域に設けられると共に、接合層の厚膜部の表面の圧電アクチュエータ部の圧電層表面から連続した平面上を、圧電アクチュエータ部の圧電層表面から厚膜部へ引き出される。上電極7の材料としては駆動電圧の印加に必要な導電性を有するものから適宜選択される。本実施例では、Ti、Ptを堆積した積層膜を用いた。他には、Au、Ag、Al、Cu、Cr、Irなどの金属や導電性酸化物などが好ましい。上電極7の膜厚は、圧電変位素子として動作する範囲で適宜決定されるが、好ましくは圧電アクチュエータ部において20nm乃至500nmとする。上電極の膜厚を上記範囲とすることで、個別化により細線化しても上電極に対しても十分に駆動電圧の印加が可能であると共に、圧電アクチュエータ部の変位に対してほとんど影響を与えず大きな変位量を得ることができる。また、上電極7の平面形状は、図1(a)に示したように各圧電アクチュエータ部個別に分割し、圧力発生室2に対向する領域では圧力発生室の幅方向に50μmの幅の概短冊形状とした。
本実施例の接合層4は、振動板4上における下電極5、圧電層6ならびに上電極7が設けられる領域と、接合層傾斜部12、ならびに接合層の厚膜部11の領域に形成する。接合層の材料としては、少なくとも電極間で駆動信号のリークが問題にならない程度の絶縁性を有するものから適宜選択される。また、圧電アクチュエータ部を十分な強度で接合すると共に、接合層の厚膜部12や接合層傾斜部11といった立体的な構造を形成するため、例えば熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などの材料が好ましく用いられる。本実施例では熱硬化性を有するエポキシ系接着剤を用いた。
また、本実施例の下電極5ならびに上電極7は、被覆部13より配線接続部9に至る領域内に電極厚膜部18を設けることも好ましい。図3に、このような厚膜部を設けたインクジェットヘッドの断面図の例を示す。このようにすることで、圧電変位に寄与しない上記領域内に電極の厚膜部を設けるため、圧電変位量に影響を与えることなく電極の断線をより低減できる。
さらに本発明では、接合層の厚膜部11上に、駆動信号を供給する配線基板が接続される配線接続部が設けられ、下電極ならびに上電極が該配線接続部まで延長されることが好ましい。図4に、配線接続部への配線基板の接続の様子を示す。配線接続部9には駆動信号を供給する端子17を有する配線基板16が接続される。配線接続部9においては、配線基板16の端子17と同一ピッチで上電極ならびに下電極が配されるようにする。配線接続部においては、上電極5ならびに下電極7と端子17は、例えば導電性ペーストを用いた接着や、圧着などの手段により接続される。このような構造とすることにより、圧電アクチュエータ部から引き出された上下電極に対して、配線基板の接続を簡便に行なうことができる。
またこの際、配線接続部において、振動板表面より上電極、ならびに下電極表面までの高さのばらつきが100nm以下とすることが好ましい。このようにすることで、配線接続部への配線基板の接続の不良をより低減できる。
さらに、流路基板1にはノズルプレート14を接合した。ノズルプレート14としては、インク滴の吐出特性に応じた厚さの板を用い、これに打ち抜き加工やエッチングによりノズル開口15を形成している。本実施例ではノズルプレート14として、厚さ50μmのステンレス板に、開口径が30μmφの円形のノズル開口15を設けたものを用いた。本実施例ではノズルプレート14によりインク流路中の共通液室を蓋う構成とした。尚、不図示であるが、共通液室には外部よりインクを供給する供給路が接続され、適宜インクを供給する構成とした。
以上、下電極を共通電極、上電極を個別電極とした例で説明したが、本発明においては、上電極を共通電極、下電極を個別電極としても構わない。
以上述べてきたように、本実施例によれば、圧電アクチュエータ部から上下電極を高低差なしに引き出すことのできる構造により、高集積化されたインクジェットヘッドに欠陥なく駆動回路からの信号を供給して高精細な画像を形成できるインクジェットヘッドを提供できる。
本実施例では、本発明のインクジェットヘッドの製造方法の例を示す。
以下、図を用いて本実施例を説明する。図5は本実施例のインクジェットヘッドの製造方法の工程を示す断面図である。図5においては、各工程における、本発明のインクジェットヘッドの構成を示す図である図1(a)のA−A‘線断面と、B−B’線断面を併記した。また、説明の補助のため図6を用いる。
図5において、1は流路基板、2は圧力発生室、3は共通液室、4は振動板、5は下電極、6は圧電層、7は上電極、8は圧電アクチュエータ部、9は配線接続部、10は接合層、11は接合層の厚膜部、12は接合層傾斜部、13は圧電層の膜厚漸減部、14はノズルプレート、15はノズル開口、19は別基板、20はシャドーマスク、21はシャドーマスク開口部、22はテーパー部、23は接合層材料、31は平坦領域である。
まず、図5(a)に示したように、ノズル開口に連通する凹型の圧力発生室2が複数個配列された流路基板を形成した。本実施例では、流路基板1としては厚さ380μmの面方位(100)シリコン単結晶基板を用い、シリコンの熱酸化膜をエッチングマスクとして用い、エッチング装置としてICP(Inductively Coupled Plasma)-RIE装置を用い、エッチングガスはSF6を用いて基板両面よりエッチングを行い、後にエッチングマスクを除去した。尚、本工程のエッチング方法としては、例えば水酸化カリウム水溶液、エチレンジアミンピロカテコール、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイトなどの異方性エッチング液を用いたウェットエッチングや、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)装置やイオンミリング装置などのドライエッチング装置を用いてドライエッチングなどを使用する事も出来る。圧力発生室2は、幅70μm、長さ3000μm、深さ150μmとして、幅20μmの隔壁を介して複数個並列に形成した。また、同様のエッチングを流路基板1の裏面より施し、圧力発生室間を連通するとともにインクの供給経路となる共通液室3を形成した。尚、本実施例では1枚の基板を両面から加工した例を示すが、複数枚の基板に流路の部位を形成した後、位置合せをして接合しても構わない。
続いて、図5(b)に示したように、流路基板1に、振動板4を形成した。振動板4としては、ガラス板を陽極接合で流路基板1に接合して、平均厚さ3μmまで研磨薄片化した。本実施例では振動板4としては絶縁性であり、耐熱性を有するガラス板を用い、陽極接合で流路基板1に直接接合して平均厚さ3μmまで研磨薄片化した。尚、本発明の振動板の形成工程は、前記方法になんら限定されるものではない。膜堆積法や直接接合、接着などの方法により流路基板に接合する。尚、振動板4は流路基板1に圧力発生室などを設けた後に接合してもよいし、振動板4を流路基板に接合した後に圧力発生室などを形成してもかまわない。ただし、以上の振動板材料及び接合方法は後工程における加熱やエッチング処理などのプロセスに耐性を有する組み合わせから選択されることは言うまでもない。他の好ましい例としては、流路基板1としてシリコン単結晶基板を用い、表面に酸化シリコン皮膜を熱酸化やスパッタ法などの膜堆積法で形成後、流路基板1をエッチングなどにより圧力発生室などを形成してもかまわない。
さらに図5(c)乃至図5(e)に示したように、流路基板とは別の別基板19を用意し、上電極7、膜厚漸減部を有する圧電層6、ならびに下電極5を形成別基板19上に形成した。尚、この際の、図5(c)乃至図5(e)の工程で別基板19上に形成した上電極7、圧電層6、下電極5の平面形状を図6に示す。
別基板19の材料としては、後工程において圧電層形成等の加熱工程などに耐久性を有すると共に、溶解もしくは剥離などの方法で除去可能なものから選択される。本実施例では別基板19には厚さ0.5mmのMgO単結晶基板を用いた。MgO材料は、例えば燐酸水溶液などの酸で容易に溶解できるため、本発明に好ましく用いられる。他には酸化膜付のシリコンウエハや、SiO2、ZrO2などの酸化物基板、ガラス材料などを用いることもできる。また、後工程における除去が容易なように、剥離層や溶解時の保護層などをあらかじめ設けておいても構わない。また、本発明に用いる別基板19は、高い表面平滑性を有することが好ましい。このようにすることで、別基板19上に形成する上電極7の断線をより低減できる。本実施例で用いたMgO単結晶基板は、上電極ならびに下電極が形成される範囲で、レーザー干渉計による評価での平坦度がうねりのPeak-Valleyで100nm以下、AFMによる評価での表面粗さRaが1nm以下の高い平坦性を有するものを使用した。
図5(c)に示したように、別基板19上に上電極7を形成した。上電極7の材料としては、駆動電圧の印加に必要な導電性を有し、後工程における加熱やエッチング処理などのプロセスに耐性を有するものから適宜選択される。本実施例では、スパッタ法を用いてTiを10nm、Ptを100nmの厚さに成膜した。図6に示したように、上電極7は少なくとも別基板19上の、後工程において圧電層が堆積される領域と、引き出し部となる領域に成膜される。さらに、本実施例では、下電極7は配線接続部9まで延長される形状とした。
続いて、図5(d)に示したようにして、圧電層6を形成した。本実施例においては、本工程における圧電層堆積時において堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより、圧電層の膜厚漸減部13を上電極7上に形成した。膜厚漸減部13の形状となる膜厚分布を形成する方法としては、圧電層を気相からの薄膜堆積法により形成するとともに、薄膜堆積時に開口部を有するシャドーマスクにより堆積物の一部を制限しながら堆積する工程により、堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより形成されることガ好ましく、シャドーマスクの端部形状あるいは基体との間隔などを適宜制御することで、膜厚漸減部の形状を広い範囲で制御性よく形成できる。一例として、本実施例においては、該シャドーマスクが基体に対して密着され、且つ該シャドーマスクが開口部の端部にテーパーを有するようにした。図7に、本実施例で用いたシャドーマスクと基体の配置を示す。シャドーマスク20端部のテーパー部22の形状は、所望の形状の膜厚漸減部を形成できるように角度、高さを任意に決定できるが、本実施例においては、基板面に対して垂直に0.5mmまでの高さで立ち上がる形状のものを用いた。薄膜堆積法としては、気相からの薄膜堆積法、すなわちスパッタ法、イオンビームスパッタ法、真空蒸着法、クラスターイオンビーム法、MO−CVD法などから適宜選択される。気相からの薄膜堆積においては、堆積物粒子の入射に方向性を有するため、シャドーマスク端部近傍において一定範囲の入射角度の堆積物粒子が遮蔽を受けるため、マスク端部に近づくほど遮蔽される堆積物粒子の比率が高まり膜厚分布が生じる。薄膜堆積法として特に好ましいものとしてはスパッタ法が挙げられる。スパッタ法ではターゲットよりスパッタされた堆積物粒子が、平均自由工程の凡そ1倍乃至数倍の輸送過程を経て散乱されながら基板上に堆積されるため、堆積される堆積物粒子の入射角度に適当な分散が生じ、シャドーマスクによる遮蔽において急峻な膜厚分布が生じることを抑制できる。本実施例ではスパッタ法の一種である高周波マグネトロンスパッタ法を用い、Arガス圧力3.0Pa、ターゲット面積に対する高周波出力を1.5W/cm、ターゲット―基板間の対向距離80mmの条件で、基板加熱は行わず成膜後、酸化雰囲気中で650℃の加熱処理を行い、PZTを結晶化させた。ただし、本発明においては、薄膜堆積中に基板加熱を行うことでPZT結晶化させても構わない。本実施例では、以上述べた方法により、圧電層の厚さを、圧電アクチュエータ部8ならびに被覆部13においては全面で2.5μmとし、被覆部13より連続した膜厚漸減部13において膜厚が連続的に漸減するようにした。このような膜厚分布の例を図2に示す。以上のような方法によれば、シャドーマスクの開口部以外に圧電層が堆積することを完全になくすように制御することができるため、配線接続部などに不要な堆積物が付着しない様にすることができる。このため、配線基板の接続が良好に行える。また、本実施例の方法に用いるシャドーマスク開口端部のテーパー形状は、基体に対して90°乃至150°の角度を以って立ち上がる構造とすることが好ましい。テーパー形状を上記範囲の鉛直からオーバーハング状とすることで、特にシャドーマスクの開口端部近傍において急峻な膜厚分布の形成が抑制できる。
続いて、図5(e)に示したように、下電極5を形成した。下電極5は、イオンビームスパッタ法によって、Tiを10nm、Auを100nmの厚さに堆積した。なお、本実施例では下電極の堆積前に酸素プラズマを用いた処理により圧電層6、上電極7の表面をクリーニングした。また、図6に示したように、下電極5はシャドーマスクにより堆積領域を制限し、列状に配された圧力発生室5を配列方向に複数個またぐとともに、配列された各圧電アクチュエータ部に対する共通電極となる形状とし、さらに配線接続部9まで延長される形状とした。
続いて、図5(f)に示したように、流路基板1の振動板4上に接合層材料23を塗布した。本実施例ではエポキシ系の熱硬化性樹脂を希釈して濃度調節し、振動板4のほぼ全面に約5μmの厚さに塗布した。尚、本工程においては別基板上の上電極、膜厚漸減部を有する圧電層ならびに下電極上に接合層材料を塗布しても構わない。
続いて、図5(g)に示したように、図中で別基板を反転し、流路基板上の振動板と、別基板上の上電極、膜厚漸減部を有する圧電層ならびに下電極を対向させて位置あわせし、加圧した。圧力は 2kg/cmとして3分間加圧した。このようにすることにより、接合層材料23は変形し、圧電アクチュエータ部8から厚膜部11間において、圧電層の膜厚漸減部13の形状が転写された接合層傾斜部12の形状が形成される。さらに、厚さが圧電アクチュエータ部8において約0.5μm、厚膜部11において約3.1μm、その間の接合層傾斜部では圧電層の膜厚漸減に対応して接合層厚さが漸増する構成を有し、この領域において圧電層と接合層の合算膜厚はほぼ一定である形状を形成する。また、余剰の接合層材料は両基板の間より外に流出したので、ナイフエッジ等により除去した。さらに、加圧した圧力を解放後、150℃・5時間の加熱を行ない、接合層材料である熱硬化性樹脂を硬化した。
続いて、図5(h)に示したように、別基板19を除去した。本実施例では別基板19として用いたMgO単結晶を、燐酸を用いて溶解除去した。本工程により、接合層の厚膜部、圧電アクチュエータ部の圧電層表面から接合層の厚膜部の少なくとも一部にまたがって表面が平坦な平坦領域31、並びに圧電アクチュエータ部から接合層厚膜部に至る領域の一部に接合層の厚さが振動板の面内方向に漸増する接合層傾斜部12を形成される。平坦領域31表面は、前記別基板19の表面性が転写されるため、高い平坦性を有し、電極断線を引き起こすような段差は形成されなかった。
続いて、図5(i)に示したように、上電極7をパターニングした。上電極7の平面形状は、図1(a)に示したように各圧電アクチュエータ部個別に分割し、圧力発生室2に対向する領域では圧力発生室の幅方向に50μmの幅の概短冊形状とした。
続いて、図5(j)に示したように、圧電層6をパターニングした。本実施例においては、圧電層6はフッ酸及び硝酸の混合水溶液によるウエットエッチングにより加工した。ただし、本工程の圧電層6の加工は一般的に用いられる方法を任意に用いて構わない。圧電層6の平面形状は、各圧電アクチュエータ部個別に分割し、圧力発生室の幅方向に60μmの幅の概短冊形状とした。
最後に、図5(k)に示したように、ノズルプレート14を接合した。ノズルプレート14としては、インク滴の吐出特性に応じた厚さの板を用い、これに打ち抜き加工やエッチングによりノズル開口15を形成している。本実施例ではノズルプレート14として、厚さ50μmのステンレス板に、開口径が30μmφの円形のノズル開口15を設けたものを用いた。
以上述べた製造方法により、インクジェットヘッドを製造した。
本実施例のインクジェットヘッドの製造方法によれば、圧電アクチュエータ部から上下電極を高低差なしに引き出し配線基板の接続を不良なく、行うことのできる構造により、高集積化されたインクジェットヘッドに欠陥なく駆動回路からの信号を供給して高精細な画像を形成できるインクジェットヘッドの製造方法を提供できる。
本実施例では、本発明のインクジェットヘッドの製造方法の別の例を示す。本実施例は、実施例2の圧電層の形成工程において、膜厚漸減部形状を他の手法で形成した例である。
本実施例においては、別基板上に上電極を形成した基体上に、圧電層堆積時において堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより形成した。膜厚漸減部を形成する方法としては、圧電層を気相からの薄膜堆積法により形成するとともに、薄膜堆積時に開口部を有するシャドーマスクにより堆積物の一部を制限しながら堆積する工程により、堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより形成した。一例として、本実施例においては、該シャドーマスクと基体との間に間隙を有するようにした。
図8に、本実施例で用いたシャドーマスクと基体の配置を示す。シャドーマスクは、所望の形状の膜厚漸減部を形成できるように任意に決定できるが、本実施例においては、厚さ0.2mmで、端部が概垂直のものを用い、基体表面との間に所定の間隙を有するように相対的に固定した。該間隙は、任意に設定できるが、本発明のインクジェットヘッドの製造方法においては0.1mm乃至1mmが好適な範囲である。本実施例では0.2mmとした。薄膜堆積法、成膜条件は実施例2と同様にした。本実施例では、シャドーマスク開口より、該間隙に一定範囲の入射角度の堆積物粒子が侵入し膜厚分布が生じる。このようにした場合の膜厚分布は実施例2とほほ同様に形成できた。
これ以外の製造工程は実施例2と同様とした。
以上本実施例によれば、実施例2と同様のインクジェットヘッドを製造できるとともに、シャドーマスクと基体との間の間隙に堆積物が入り込むため不要な堆積物が配線接続部などに付着する可能性があるものの、なだらかな形状の膜厚分布を容易に制御できる。さらにシャドーマスクと基体上の上電極などが直接接触しないため、接触に伴う下電極の損傷を防止できる。
本実施例では、本発明のインクジェットヘッドの製造方法の別の例を示す。本実施例は、実施例2の圧電層の形成工程において、膜厚漸減部形状を他の手法で形成した例である。
本実施例においては、別基板上に上電極を形成した基体上に、圧電層堆積時において堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより形成した。膜厚漸減部を形成する方法としては、圧電層を気相からの薄膜堆積法により形成するとともに、薄膜堆積時に開口部を有するシャドーマスクにより堆積物の一部を制限しながら堆積する工程により、堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより形成した。一例として、本実施例においては、シャドーマスクの開口部と基体とを所定の速度で相対的に移動させることにより圧電層の膜厚漸減部を形成した。
図9に、本実施例で用いたシャドーマスクと基体の配置を示す。シャドーマスクは、所望の形状の膜厚漸減部を形成できるように任意に決定できるが、本実施例においては、厚さ0.2mmで、端部が概垂直のものを用い、基体表面との間に不要な接触が起きない範囲でごく近接した状態としたうえで、不図示のマイクロマニピュレーターを用いて相対的に移動させた。この際の移動の範囲、ならびに移動の速度やその時間的変化を適当に制御することにより、膜厚漸減部の形状は制御性よく任意に形成できる。本実施例では、薄膜堆積法、成膜条件は実施例2と同様にしたうえで、移動速度を制御し、実施例2とほほ同様の膜厚分布を形成した。
これ以外の製造工程は実施例2と同様とした。
以上本実施例によれば、実施例2と同様のインクジェットヘッドを製造できるとともに、圧電層の堆積を行う装置に上記相対的な移動を行う機構を設ける必要があるものの、膜厚分布の制御性がより向上できる。
本実施例では、本発明のインクジェットヘッドの製造方法の別の例を示す。本実施例においては、膜厚漸減部を、圧電層の薄膜堆積後に堆積物の一部をエッチングする工程により形成した。本実施例では、一例として、エッチング工程がエッチング液による化学エッチングによって行われ、エッチング液と堆積物との接液境界を所定の速度で移動させることにより圧電層の膜厚漸減部を形成した。
図10に、本実施例で用いたエッチング工程の配置を示す。図10において、24は基体、25は堆積物(圧電層)、26はエッチング液、27はエッチング液と堆積物との接液境界である。堆積物は、圧電層となる膜であり、実施例2と同様の薄膜堆積法を用い、基体のほぼ全面に形成したものである。なお、本実施例においては、薄膜堆積法としては任意の手法を用いることができる。本実施例では、気相からの薄膜堆積法すなわちスパッタ法、イオンビームスパッタ法、真空蒸着法、クラスターイオンビーム法、MO−CVD法など加えて、ゾル-ゲル法、水熱合成法、スプレー法などの方法を用いることが可能となる。さらに、流路基板とは別に形成した圧電層を接合する方法も採用可能となる。
本実施例においては、堆積物25の堆積された基体24をエッチング液26に浸漬するにあたり、例えば基体24を図10内上方へ移動させて接液境界27を移動させる。エッチング液を適当に選択するとともに、この際の移動の範囲、ならびに移動の速度や速度の時間的変化を適当に制御することにより、膜厚漸減部の形状は制御性よく任意に形成できる。本実施例では、エッチング液としてフッ酸と硝酸の混合水溶液を用い、移動速度を制御し、実施例2とほほ同様の膜厚分布を形成した。
これ以外の製造工程は実施例2と同様とした。
以上本実施例によれば、実施例2と同様のインクジェットヘッドを製造できるとともに、エッチング工程が必要となり工程数が増大するものの、薄膜堆積法に任意の方法を用いることができる。すなわち、ゾル-ゲル法、水熱合成法、スプレー法などの方法を用いることが可能となる。このことより、インクジェットヘッドの構造、構成の設計の自由度が格段に高くなる。
さらに本実施例によれば、エッチング工程がエッチング液による化学エッチングによって行われ、エッチング液と堆積物との接液境界を所定の速度で移動させることにより圧電層の膜厚漸減部を形成することにより、特にエッチングマスクを用いることなく形状を制御したエッチングが可能であり、きわめて簡便にエッチング工程を行うことができる。
本実施例では、本発明のインクジェットヘッドの製造方法の別の例を示す。本実施例においては、膜厚漸減部を、圧電層の薄膜堆積後に堆積物の一部をエッチングする工程により形成した。本実施例では、一例として、エッチング工程において堆積物の一部を開口を有するマスク層によって保護し、該エッチングマスクの開口端をエッチングにより後退させながら堆積物をエッチングすることにより圧電層の膜厚漸減部を形成した。
図11に、本実施例で用いたエッチング工程の概略を示す。図11において、24は基体、25は堆積物(圧電層)、28はエッチングマスク、29はエッチングマスク開口、30はエッチングマスク開口端である。堆積物は、圧電層となる膜であり、実施例5と同様のものを用いた。
まず、図11(a)に示すように、堆積物25の表面にエッチングマスク開口29を有するエッチングマスクを28形成した。エッチングマスク28の材料としては、堆積物25のエッチング工程において適当なエッチングレート比でエッチングされるものから選択される。本実施例においては一例としてフォトレジストを用いた。本実施例では、フォトレジストを塗布後、フォトマスクによる露光と現像を行い、エッチングマスク開口29を形成した。この際、露光、現像条件を適当に選択するとともに、必要に応じて加熱処理(リフロー)を行うことでフォトレジストを変形せしめ、図13に示したようなテーパー状のエッチングマスク開口端30を形成した。
さらに図11(b)に示すように、該エッチングマスクの開口端をエッチングにより後退させながら堆積物をエッチングした。エッチングは、一例としてエッチングガスによるドライエッチングで行った。この工程においては、堆積物のエッチングが進行すると同時にエッチングマスクもエッチングされるため、テーパー状のエッチングマスク開口端30においては開口端の後退が進行する。このため、堆積物(圧電層)25がマスキングされる領域が後退されながらエッチングが進行し、膜厚漸減部の形状が形成される。
最後に図11(c)に示すように、エッチングマスク28を除去し、本実施例のエッチング工程により膜厚漸減部13形状を形成した。
これ以外の製造工程は実施例2と同様とした。
以上本実施例によれば、例えばエッチングマスクに開口端に適宜テーパー状の形状を設けたり、マスク材と堆積物のエッチングレート比を化学エッチング液や温度条件等を適当に選んでやることで高精度の膜厚漸減部の加工が可能である。
また、例えばエッチングマスクに開口端に適宜テーパー状の形状を設けたり、マスク材と堆積物のエッチングレート比をエッチングガスや基板温度、エッチング種の入射方向などの条件を適当に選んでやることで高精度の膜厚漸減部の加工が可能である。
実施例1のインクジェットヘッドの構成を示す図 膜厚漸減部の断面形状の例 実施例1の配線に厚膜部を設けたインクジェットヘッドの断面図の例 実施例1の配線接続部への配線基板の接続の様子 実施例2のインクジェットヘッドの製造方法の工程を示す断面図 実施例2のインクジェットヘッドの製造工程における電極と圧電層の配置を示す図 実施例2のインクジェットヘッドの製造方法のシャドーマスクと基体の配置 実施例3のインクジェットヘッドの製造方法のシャドーマスクと基体の配置 実施例4のインクジェットヘッドの製造方法のシャドーマスクと基体の配置 実施例5のインクジェットヘッドの製造方法のエッチング工程の配置 実施例6のインクジェットヘッドの製造方法のエッチング工程の配置
符号の説明
1 流路基板
2 圧力発生室
3 共通液室
4 振動板
5 下電極
6 圧電層
7 上電極
8 圧電アクチュエータ部
9 配線接続部
10 接合層
11 接合層の厚膜部
12 接合層傾斜部
13 圧電層の膜厚漸減部
14 ノズルプレート
15 ノズル開口
16 配線基板
17 配線基板側の端子
18 電極厚膜部
19 別基板
20 シャドーマスク
21 シャドーマスク開口部
22 テーパー部
23 接合層材料
24 基体
25 堆積物(圧電層)
26 エッチング液
27 エッチング液と堆積物との接液境界
28 エッチングマスク
29 エッチングマスク開口
30 エッチングマスク開口端
31 平坦領域

Claims (22)

  1. ノズル開口に連通する凹形の圧力発生室が配列された流路基板と、流路基板上に設けられた振動板と、振動板上に絶縁性の接合層を介して薄膜状の下電極、圧電層ならびに上電極を有し、各圧力発生室上の振動板上には該下電極、圧電層ならびに上電極が積層された圧電アクチュエータ部を設けたインクジェットヘッドであって、
    (1) 圧力発生室に対応する領域外の振動板上に、接合層の厚膜部が設けられる
    (2) 圧電アクチュエータ部の圧電層表面から接合層の厚膜部の少なくとも一部にまたがって表面が平坦な平坦領域を有する
    (3) 上電極は、平坦領域上を介して厚膜部上へ引き出される
    (4) 圧電アクチュエータ部から接合層厚膜部に至る領域の一部に、接合層の厚さが振動板の面内方向に漸増する接合層傾斜部を設ける
    (5) 下電極は、接合層傾斜部上を介して厚膜部上へ引き出される
    構造を有することを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 請求項1のインクジェットヘッドであって、平坦領域においては、接合層と圧電層の合算膜厚が一定であることを特徴とするインクジェットヘッド。
  3. 請求項1のインクジェットヘッドであって、圧電層の一部に、圧電層膜厚が該振動板の面内方向に漸減する膜厚漸減部を有することを特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 請求項3のインクジェットヘッドであって、膜厚漸減部が、圧電アクチュエータ部における膜厚に対して5倍乃至500倍の長さであることを特徴とするインクジェットヘッド。
  5. 請求項1のインクジェットヘッドであって、接合層の厚膜部上に、駆動信号を供給する配線基板が接続される配線接続部が設けられ、下電極ならびに上電極が該配線接続部まで延長されることを特徴とするインクジェットヘッド。
  6. 請求項5のインクジェットヘッドであって、配線接続部において、振動板表面より上電極表面、ならびに下電極表面までの高さのばらつきが100nm以下であることを特徴とするインクジェットヘッド。
  7. 請求項1のインクジェットヘッドであって、電層が、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とすることを特徴とするインクジェットヘッド。
  8. 請求項1のインクジェットヘッドであって、圧電層の膜厚が、圧電アクチュエータ部において500nm乃至50μmであることを特徴とするインクジェットヘッド。
  9. 請求項1のインクジェットヘッドであって、上電極の膜厚が、圧電アクチュエータ部において20nm乃至500nmであることを特徴とするインクジェットヘッド。
  10. 請求項1のインクジェットヘッドであって、下電極もしくは上電極が、前記被覆部より配線接続部に至る領域内に厚膜部を有することを特徴とするインクジェットヘッド。
  11. ノズル開口に連通する凹形の圧力発生室が配列された流路基板を製造する工程と、流路基板上に設けられた振動板を形成する工程と、振動板上に絶縁性の接合層を介して薄膜状の下電極、圧電層ならびに上電極を形成し、各圧力発生室上の振動板上には該下電極、圧電層ならびに上電極が積層された圧電アクチュエータ部を形成する工程とを有するインクジェットヘッドを製造する方法であって、
    (1) 別基板上に上電極、膜厚漸減部を有する圧電層、ならびに下電極を形成する工程
    (2) 流路基板上の振動板表面、もしくは、別基板上の上電極、圧電層ならびに下電極上に接合層材料を塗布する工程
    (3) 流路基板上の振動板と、別基板上の上電極、膜厚漸減部を有する圧電層ならびに下電極を対向させて加圧し、接合層材料を変形させながら、接合を行なう工程
    (4) 接合層材料を硬化する工程
    (5) 別基板を除去する工程
    により、接合層の厚膜部、圧電アクチュエータ部の圧電層表面から接合層の厚膜部の少なくとも一部にまたがって表面が平坦な平坦領域、並びに圧電アクチュエータ部から接合層厚膜部に至る領域の一部に接合層の厚さが振動板の面内方向に漸増する接合層傾斜部を形成することを特徴とする、インクジェットヘッドの製造方法。
  12. 請求項11のインクジェットヘッドの製造方法であって、膜厚漸減部が、圧電層形成工程の圧電層堆積時において、堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより形成されることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  13. 請求項12のインクジェットヘッドの製造方法であって、膜厚漸減部が、圧電層を気相からの薄膜堆積法により形成するとともに、薄膜堆積時に開口部を有するシャドーマスクにより堆積物の一部を制限しながら堆積する工程により、堆積物の量に所定の面内分布を持たせることにより形成されることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  14. 請求項13のインクジェットヘッドの製造方法であって、該シャドーマスクが基体に対して密着され、且つ該シャドーマスクが開口部の端部にテーパーを有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  15. 請求項14のインクジェットヘッドの製造方法であって、該テーパーが、基体に対して90°乃至150°の角度を以って立ち上がる構造とすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  16. 請求項13のインクジェットヘッドの製造方法であって、該シャドーマスクと基体との間に間隙を有することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  17. 請求項16のインクジェットヘッドの製造方法であって、該間隙が、0.1mm乃至1mmとすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  18. 請求項13のインクジェットヘッドの製造方法であって、該シャドーマスクの開口部と基体とを所定の速度で相対的に移動させることにより圧電層の膜厚漸減部を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  19. 請求項13のインクジェットヘッドの製造方法であって、圧電層堆積に用いる気相からの薄膜堆積方法がスパッタ法であることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  20. 膜厚漸減部が、圧電層形成工程の圧電層の堆積後に堆積物の一部をエッチングする工程により形成されることを特徴とする請求項11のインクジェットヘッドの製造方法。
  21. 請求項20のインクジェットヘッドの製造方法であって、エッチング工程がエッチング液による化学エッチングによって行われ、エッチング液と堆積物との接液境界を所定の速度で移動させることにより圧電層の膜厚漸減部を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  22. 請求項20のインクジェットヘッドの製造方法であって、該エッチング工程において堆積物の一部を開口を有するマスク層によって保護し、該エッチングマスクの開口端をエッチングにより後退させながら堆積物をエッチングすることにより圧電層の膜厚漸減部を形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105984216A (zh) * 2015-02-13 2016-10-05 北京派和科技股份有限公司 压电喷头及其加工方法以及包括该喷头的喷涂设备
CN106827813A (zh) * 2015-12-07 2017-06-13 清华大学 指状悬臂式压电喷头及其加工方法以及喷涂设备
CN106915161A (zh) * 2015-12-28 2017-07-04 清华大学 叠层式压电喷头和包括该喷头的喷涂设备

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