JP2007081815A - スピーカ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スピーカから発生する非線形歪を精度高く低減することが可能なスピーカ装置を提供することである。
【解決手段】 線形信号生成部10は、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数のうち線形成分の伝達関数に基づく線形信号を模擬的に生成して、加算器12に出力する。センサ16は、スピーカ15の振動もしくは音響出力を検出して加算器12に検出信号を出力する。加算器12は、センサ16の検出信号から上記線形信号を減算し、当該減算した信号を誤差信号として出力する。加算器12から出力される誤差信号は、フィードバック制御フィルタ13を介して加算器11に出力され、加算器11において入力音響信号に対してネガティブフィードバックされる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スピーカ装置に関し、より特定的には、スピーカから発生する歪を低減するスピーカ装置に関する。
従来、スピーカで電気信号を音響出力に変換する過程において、そのスピーカの機構的な制約により非線形歪が生じるため、入力される電気信号の周波数によって音響出力レベルに差が生じる。つまり、当該音響出力レベルの周波数特性が平坦にならないという課題があった。そこで、この課題を解決するため、当該課題に起因する非線形歪を低減するスピーカ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図10は、上記非線形歪を低減する従来のスピーカ装置の構成を示すブロック図である。
図10に示す従来のスピーカ装置は、インピーダンス等価器91、加算器92および93、切替器94および95、測定信号発生器96、増幅器97、スピーカ98、抵抗器99、測定記憶部100、および制御部101を備える。図10において、まずスピーカ98のインピーダンスが測定される。測定時において、切替器94は測定信号発生器96から出力される測定信号が増幅器97に入力するように切り替えられる。そして、測定信号が増幅器97を介してスピーカ98に入力される。このとき、スピーカ98を流れる駆動電流が抵抗器99の端子電圧として検出される。また、切替器95はスピーカ98に入力される信号が測定記億部100に入力するように切り替えられる。測定記憶部100は、検出された駆動電流をもとにスピーカ98のインピーダンスを測定し、当該測定値を記憶する。制御部101は、インピーダンス等価器91が測定記憶部100に記憶されたインピーダンスと同様の特性を表現するように、制御信号をインピーダンス等価器91に出力する。次に、音響信号が入力されるスピーカ98の動作時(切替器94および95が図示する状態の時)において、インピーダンス等価器91は測定時に設定されたインピーダンス特性を用いて、入力される音響信号からスピーカ98の駆動電流の線形成分を出力する。そして、加算器93において非線形歪を含むスピーカ98の駆動電流からインピーダンス等価器91において処理された線形成分の駆動電流が減算され、当該減算された信号が加算器92にフィードバックされる。これにより、スピーカ98の駆動電流に含まれる非線形成分を除去してスピーカ98から発生する非線形歪を低減している。
また、図11に示すように、上記課題の解決を含め、スピーカ98の周波数特性を目標とする特性に補正するスピーカ装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。図11は、周波数特性を目標とする特性に補正する従来のスピーカ装置の構成を示すブロック図である。
図11に示す従来のスピーカ装置は、目標特性フィルタ102、イコライザ103、加算器104、増幅器97、スピーカ98、およびマイク105を備える。図11において、音響信号がイコライザ103および目標特性フィルタ102にそれぞれ入力される。目標特性フィルタ102には、スピーカ98の周波数特性の補正目標となる特性(以下、目標特性とする)を実現するようなデジタルフィルタ係数が設定される。加算器104は、目標特性フィルタ102で処理された信号からマイク105の出力信号を減算し、当該減算した信号を誤差信号としてイコライザ103に出力する。イコライザ103は、当該誤差信号の値の2乗平均値が最小となるように、内部のフィルタの振幅および位相の周波数特性を自己調整する。つまり、イコライザ103は、いわゆる最小平均2乗誤差法を達成する構成となっている。イコライザ103は、スピーカ98から出力される音響出力の周波数特性が目標特性フィルタ102において設定された目標特性となるように、入力される音響信号を処理する。
ここで、図12および図13を用いて、図11に示す従来のスピーカ装置における補正結果の一例を示す。図12は、補正処理前のスピーカ98の振幅周波数特性を示す図である。一方、図13は、補正処理後のスピーカ98の振幅周波数特性を示す図である。なお、図13に示す振幅周波数特性は、目標特性フィルタ102で設定された目標特性の伝達関数を“1”とした場合の特性を示す。これらの振幅周波数特性を比較すると、補正を行うことによって複雑な起伏が平坦化されていることがわかる。このように、図11に示す従来のスピーカ装置は、スピーカ98から出力される音響出力の周波数特性が目標とする特性となるように自動補正している。
特開昭62−87000号公報 特許第2530474号公報
しかしながら、まず図10に示す従来のスピーカ装置では、検出するスピーカ98の駆動電流が微弱であり、また検出に用いる抵抗器99が熱変動するので、SNが高い駆動電流を検出することが困難である。また、スピーカ98の駆動電流を検出することで、振動板がピストニックに振動する周波数帯域では空気歪を検出できるが、分割振動をする中高域では空気歪の検出精度が低下する。また、インピーダンス等価器91は、アナログ回路で構成されるためにインピーダンスを精度高くモデル化することが困難であり、その結果、加算器93において非線形成分の駆動電流のみを誤差信号として抽出することが困難となる。これらの理由により、図10に示す従来のスピーカ装置では、非線形歪低減処理を精度良く行うことができず、十分な低減効果が得られないという問題がある。さらに、図10に示す従来のスピーカ装置では、誤差信号を直接加算器92に入力しているので、理論的に最大「−6dB」の低減効果しか得られないという問題もあった。
また、図11に示す従来のスピーカ装置では、目標とする特性に補正する結果、特に低域の周波数帯域において出力レベルを増大させた場合には、スピーカ98が過負荷状態となる。そして、当該過負荷が原因となって補正に起因する非線形歪が発生してしまうという問題があった。とりわけ、この非線形歪によって、スピーカ98の1次共振周波数付近の周波数での音質劣化が顕著になる。このように、図11に示す従来のスピーカ装置では、目標とする特性に自由に補正することができないという問題があった。
それ故、本発明の主たる目的は、スピーカから発生する非線形歪を精度高く低減することが可能なスピーカ装置を提供することである。本発明の従たる目的は、スピーカから発生する非線形歪を精度良く低減しつつ、スピーカの音響出力の周波数特性を目標の特性に補正することが可能なスピーカ装置を提供することである。
第1の発明は、スピーカ装置であって、スピーカと、スピーカの振動もしくは音響出力を検出するセンサと、入力音響信号を入力とし、スピーカに出力する加算器と、入力音響信号を入力とし、所定の処理係数に基づいてセンサの検出信号に含まれる線形成分と同じ信号を生成する信号生成部と、センサの検出信号と信号生成部の生成信号との誤差を検出する誤差検出部と、誤差検出部において検出された誤差の信号のゲインおよび/または位相を制御して、加算器に出力する制御部とを備える。
第2の発明は、上記第1の発明において、スピーカの音響出力の周波数特性が所定の周波数特性となるように加算器の出力信号を所定のフィルタ係数に基づいて補正して、スピーカに出力する第1の補正フィルタと、第1の補正フィルタと同じフィルタ係数に基づいて入力音響信号を補正して、信号生成部に出力する第2の補正フィルタとをさらに備える。
第3の発明は、上記第2の発明において、加算器の出力信号およびセンサの検出信号を用いてフィルタ係数を所定時間間隔で算出し、第1および第2の補正フィルタのフィルタ係数が当該算出したフィルタ係数となるように、当該第1および第2の補正フィルタのフィルタ係数を更新する適応更新部をさらに備える。
第4の発明は、上記第2の発明において、第1の補正フィルタの出力信号およびセンサの検出信号を用いて第1の補正フィルタの出力からセンサの出力までの伝達関数の線形成分を表す処理係数を所定時間間隔で算出し、信号生成部の処理係数が当該算出した処理係数となるように、当該信号生成部の処理係数を更新する同定更新部をさらに備える。
第5の発明は、上記第1の発明において、加算器の出力信号およびセンサの検出信号を用いて加算器の出力からセンサの出力までの伝達関数の線形成分を表す処理係数を所定時間間隔で算出し、信号生成部の処理係数が当該算出した処理係数となるように、当該信号生成部の処理係数を更新する同定更新部をさらに備える。
第6の発明は、上記第1の発明において、信号生成部がデジタルフィルタで構成されることを特徴とするものである。
上記第1の発明によれば、スピーカから非線形歪が発生した場合に、検出信号には当該非線形歪に起因する非線形成分の信号が検出され、誤差の信号は当該非線形成分のみが含まれる信号となる。そして、当該誤差の信号が加算器に入力されることで、スピーカから発生する非線形歪を精度高く低減することができる。また、本発明によれば、誤差の信号には線形成分の信号が含まれないので、スピーカから出力される線形成分の周波数特性を変化させることなく、非線形歪を低減することができる。
上記第2の発明によれば、スピーカから発生する非線形歪を低減しつつ、スピーカの音響出力の周波数特性を所定の周波数特性に補正することができる。
上記第3の発明によれば、加算器の出力からセンサの出力までの伝達関数が変化しても、スピーカの音響出力の周波数特性を所定の周波数特性に自動補正することができる。
上記第4の発明によれば、第1の補正フィルタの出力からセンサの出力までの伝達関数が変化しても、信号生成部において、当該変化に対応した検出信号の線形成分と同じ信号を生成することができる。その結果、上記変化に対応した精度高い非線形歪の低減処理を行うことができる。
上記第5の発明によれば、加算器の出力からセンサの出力までの伝達関数が変化しても、信号生成部において、当該変化に対応した検出信号の線形成分と同じ信号を生成することができる。その結果、上記変化に対応した精度高い非線形歪の低減処理を行うことができる。
上記第6の発明によれば、信号生成部において、検出信号に含まれる線形成分と同じ信号を精度良く生成することができる。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明における第1の実施形態に係るスピーカ装置1について説明する。図1は、第1の実施形態に係るスピーカ装置1の構成を示すブロック図である。図1において、スピーカ装置1は、線形信号生成部10、加算器11および12、フィードバック制御フィルタ13、増幅器14、スピーカ15、およびセンサ16を備える。
図1において、音楽などの音響信号が線形信号生成部10および加算器11にそれぞれ入力される。線形信号生成部10には、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数のうち線形成分の伝達関数を模擬するようなフィルタ係数が設定されている。そして、線形信号生成部10は、入力される音響信号(以下、入力音響信号とする)から上記線形成分の伝達関数に基づく音響信号(以下、線形信号x(t)とする)を模擬的に生成する。つまり、線形信号生成部10は、後述するセンサ16で検出された検出信号y(t)に含まれる線形成分と同じ信号を生成する。なお、ここでは線形信号生成部10がデジタルフィルタで構成されるとする。これにより、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの線形成分の伝達関数を精度高くモデル化することができる。生成された線形信号x(t)は、加算器12に出力される。
ここで、線形信号生成部10のフィルタ係数の設定方法について説明する。スピーカ15の線形動作範囲において、例えば増幅器14の入力からセンサ16の出力までのインパルス応答を測定し、その応答値を時間軸に沿って離散化して、有限インパルス応答型(FIR)フィルタの係数として設定する方法がある。ただし、スピーカ15で電気信号を音響出力に変換する過程においては、一般的に電気信号レベルが大きいほど非線形歪が大きくなる。つまり、スピーカ15が線形動作せず、スピーカ15の出力および上記測定値には線形成分とともに非線形成分が含まれてしまう。したがって、インパルス応答を測定する際には、スピーカ15の出力に含まれる非線形歪成分が十分小さくなるようにインパルス信号のレベルを小さくして測定する。
センサ16は、スピーカ15の振動板付近に設置され、スピーカ15の振動もしくは音響出力を検出する。センサ16としては、例えばマイク、加速度センサ、速度センサ、または変位センサなどが挙げられる。例えばセンサ16としてマイクを用いた場合には、スピーカ15の音圧が検出される。センサ16において検出された検出信号y(t)は、加算器12に出力される。
加算器12は、センサ16の検出信号y(t)から上記線形信号x(t)を減算し、当該減算した信号(以下、誤差信号e1(t)とする)をフィードバック制御フィルタ13に出力する。このように、本発明において加算器12は、検出信号y(t)と線形信号x(t)との誤差を検出する誤差検出器としての役割を果たす。
ここで、図2を参照して、例えば正弦波の電気信号が入力された場合における誤差信号e1(t)について考える。図2は、スピーカ装置1に正弦波の電気信号を入力した場合における検出信号y(t)、線形信号x(t)、および誤差信号e1(t)の波形をそれぞれ模式的に示した図である。今、スピーカ15の出力において、非線形歪が発生しているとする。このとき、センサ16においては当該非線形歪の成分(以下、非線形成分とする)を含む信号が検出される。図2に示す検出信号y(t)では、波形がクリップしている部分が非線形成分に相当する部分である。上述したように線形信号生成部10には、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数のうち線形成分の伝達関数を模擬するようなフィルタ係数が設定されている。これにより、線形信号生成部10で生成された線形信号x(t)は、検出信号y(t)のうち線形成分のみの信号であり、検出信号y(t)の波形をクリップしない形にした波形となる。したがって、加算器12から出力される誤差信号e1(t)は、線形信号x(t)から検出信号y(t)を減算した信号であるので、図2に示すような検出信号y(t)の非線形成分のみを含む信号となる。すなわち、誤差信号e1(t)は、スピーカ15の出力における非線形成分のみを含む信号となる。
フィードバック制御フィルタ13は、例えばデジタルフィルタで構成され、入力される誤差信号e1(t)のゲインや位相の調整を行うためのフィルタ係数が設定されている。加算器12から出力される誤差信号e1(t)は、フィードバック制御フィルタ13において適宜ゲインや位相が調整された後、加算器11に出力される。このようにフィードバック制御フィルタ13を備えることで、誤差信号e1(t)のゲインや位相を調整して、センサ16の検出信号y(t)の非線形成分の大幅な低減量および、より精度の高い低減を実現することができる。
加算器11は、入力音響信号からフィードバック制御フィルタ13で調整された誤差信号e1(t)を減算して、当該減算した信号を増幅器14に出力する。つまり、加算器11において、誤差信号e1(t)が入力音響信号に対してネガティブフィードバックされる。スピーカ15の出力における非線形成分のみを含む誤差信号e1(t)がネガティブフィードバックされることで、スピーカ15の出力における非線形成分を低減することができる。非線形成分が減算された加算器11の出力信号は、増幅器14において適宜増幅されて、スピーカ15に入力される。その結果、スピーカ15において非線形歪が低減した音響出力が得られる。
なお、このような加算器11〜増幅器14〜スピーカ15〜センサ16〜加算器12〜フィードバック制御フィルタ13〜加算器11で構成されるフィードバックループの安定性と、非線形成分の低減量とはトレードオフの関係にあり、それらはフィードバック制御フィルタ13のゲイン、位相特性によって増減する。したがって、両者を満足するようなゲイン、位相をフィードバック制御フィルタ13に適切に設定する。
以上のように、本実施形態によれば、線形信号生成部10において検出信号y(t)の線形成分の信号を生成して、検出信号y(t)の非線形成分のみを含む誤差信号e1(t)をフィードバックさせることで、スピーカ15から出力される非線形歪を精度良く低減することができる。また、センサ16においてスピーカの振動を検出して、その検出信号を用いて上述したフィードバック処理を行っている。これにより、検出信号y(t)のSNを高くすることができ、また中高域における空気歪を精度良く検出することができる。また、フィードバックさせる誤差信号e1(t)には線形成分の信号が含まれないので、フィードバック処理では、スピーカ15から出力される線形成分の周波数特性を変化させることなく、非線形歪を低減することができる。このように、本実施形態によれば、加算器11〜増幅器14〜スピーカ15〜センサ16〜加算器12〜フィードバック制御フィルタ13〜加算器11で構成されるフィードバックループを設けることによって、スピーカ15から出力される非線形歪を精度高く、より効果的に低減することができる。
なお、上述した線形信号生成部10においては、予め増幅器14の入力からセンサ16の出力までの線形成分の伝達関数を同定して、当該伝達関数を模擬するようなフィルタ係数を設定する必要があった。しかし、スピーカ15の設置状態やスピーカ15の温度変化によって、上記伝達関数が変化する場合がある。そこで、さらに上記伝達関数の変化に対応したフィルタ係数を設定する方法を採用してもよい。この場合、図3に示すように、スピーカ装置1は、切替器17、測定信号発生器18、および伝達関数算出部19をさらに備える。図3は、伝達関数の同定精度を向上させる構成を示すブロック図である。切替器17は、増幅器14に出力する信号を加算器11からの出力にするか、測定信号発生器18からの測定信号にするか切り替えるものである。測定信号発生器18は、例えば上述したインパルス信号や正弦波のスイープ信号等の測定信号を発生させる発振器である。伝達関数算出部19は、測定信号発生器18から入力される測定信号とセンサ16から入力される検出信号とに基づいて、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数を算出する。ただし、上述したように、スピーカ15で電気信号を音響出力に変換する過程においては、一般的に電気信号レベルが大きいほど非線形歪が大きくなる。したがって、測定信号発生器18においては、スピーカ15の出力に含まれる非線形歪成分が十分小さくなるように、つまり、伝達関数算出部19で線形成分の伝達関数が算出されるように、測定信号のレベルを小さく設定する必要がある。
そして、オーディオ再生等でスピーカ装置を使用する通常時には、切替器17は加算器11からの出力信号を出力する。スピーカ15の設置環境などが変わった場合には、切替器17の入力を測定信号発生器18の測定信号とし、伝達関数算出部19が増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数を算出する。当該伝達関数の情報は線形信号生成部10に出力され、線形信号生成部10のフィルタ係数として設定される。オーディオ等の信号を再生する場合には、再び切替器17の入力を加算器11の出力に切り替える。以上の動作により、スピーカ15の設置環境の影響を受けることなく、高い精度の線形成分の伝達関数を線形信号生成部10に設定することができる。
(第2の実施形態)
図4を参照して、本発明における第2の実施形態に係るスピーカ装置2について説明する。図4は、第2の実施形態に係るスピーカ装置2の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るスピーカ装置2は、第1の実施形態で説明した非線形歪の低減処理と、スピーカから出力される線形成分の周波数特性の補正処理とを同時に行うスピーカ装置である。この補正処理を実現するため、スピーカ装置2は、第1の実施形態に対して、さらに適応フィルタ20aおよび20b、係数更新部21、参照信号生成部22、目標特性フィルタ23、および加算器24を備える。なお、図4において、線形信号生成部10、加算器11および12、フィードバック制御フィルタ13、増幅器14、スピーカ15、およびセンサ16は、上述した第1の実施形態の各構成と同様の機能を有し、同一の符号を付して説明を省略する。
まず、スピーカから出力される線形成分の周波数特性の補正処理について説明する。音楽などの音響信号が加算器11を経て、適応フィルタ20a、参照信号生成部22、目標特性フィルタ23にそれぞれ入力される。
参照信号生成部22には、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数を模擬するようなフィルタ係数が設定される。当該フィルタ係数は、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの線形成分の伝達関数を模擬するものであってもよいし、全ての成分(線形成分および非線形成分)の伝達関数を模擬するフィルタ係数であってもよい。そして、参照信号生成部22は、設定されたフィルタ係数に基づいて加算器11から入力される信号を処理し、係数更新部21へ出力する。なお、参照信号生成部22で処理された信号は、スピーカ15の伝達関数に基づく信号であり、後述する係数更新部21でのフィルタードX−LMSアルゴリズムの参照信号としての役割を果たす。
目標特性フィルタ23には、スピーカ15の出力において実現したい目標特性を模擬するようなフィルタ係数が設定される。例えば図5に示すように、スピーカ15の1次共振周波数f0より高い周波数では周波数特性が平坦となるような特性を目標特性とする場合には、ハイパスフィルタを実現するIIRフィルタを目標特性フィルタ23として設計すればよい。図5は、目標特性の一例を示す図である。目標特性フィルタ23は、設定されたフィルタ係数に基づいて加算器11から入力される信号を処理し、加算器24に出力する。加算器24は、目標特性フィルタ23から出力された信号からセンサ16の検出信号y(t)を減算し、当該減算した信号(以下、誤差信号e2(t)とする)を係数更新部21に出力する。
係数更新部21は、参照信号生成部22および加算器24の出力に基づいて、誤差信号e2(t)が小さくなるようにフィルタ係数を所定時間間隔で算出する。なお、係数更新部21は、公知のフィルタードX―LMSアルゴリズムを用いてフィルタ係数を所定時間間隔で算出する。そして、係数更新部21は、適応フィルタ20aおよび20bのフィルタ係数を上記算出したフィルタ係数に更新する。更新する時間間隔は、例えばフィルタ係数が算出される所定時間間隔と同じ間隔とする。
以下、係数更新部21における処理について具体的に説明する。係数更新部21は、参照信号生成部22で生成された信号をフィルタードX−LMSアルゴリズムの参照信号として入力する。参照信号生成部22で処理された信号がスピーカ15の伝達関数に基づく信号だからである。係数更新部21は、加算器24から出力される誤差信号e2(t)が最小となるように、フィルタードX―LMSアルゴリズムを用いてフィルタ係数を算出する。
ここで、上記フィルタードX−LMSアルゴリズムは例えば「音響システムとディジタル処理」(大賀寿郎 他、(社)電子情報通信学会、平成7年3月発行)に開示されている公知のアルゴリズムであり、具体的には次式(1)で表現される。
w(k+1)=w(k)+2μ*e2(k)*x(k) …(1)
なお、式(1)において、kは、所定時間間隔を示すサンプリング時刻を時系列上に並べたときの各サンプリング時刻の番号である。また、w(k)はサンプリング時刻kにおける適応フィルタ20aおよび20bのフィルタ係数ベクトル、μは適応更新量を規定するパラメータ、e2(k)は加算器24から入力されるサンプリング時刻kにおける誤差信号、x(k)は参照信号生成部22から入力されるサンプリング時刻kにおける参照信号ベクトルである。上式(1)から、フィルタ係数ベクトルwは、サンプリング時刻毎に算出されることがわかる。
適応フィルタ20aは、係数更新部21によって更新されたフィルタ係数に基づいて、加算器11から出力される信号を処理する。また、係数更新部21によって更新されたフィルタ係数は、上述したように加算器24から出力される誤差信号e2(t)が最小となるときの係数である。したがって、適応フィルタ20aの入力からセンサ16の出力までの伝達関数は、目標特性フィルタ23で設定される目標特性(例えば図5参照)の伝達関数に補正される。
このように、本発明において、係数更新部21、参照信号生成部22、目標特性フィルタ23、および加算器24は、適応フィルタ20aおよび20bのフィルタ係数を適応的に更新する適応更新部としての役割を果たすものである。そして、この適応更新部は、加算器11の出力からセンサ16の出力までの伝達関数が変化しても、適応フィルタ20aおよび20bのフィルタ係数を適応的に更新して、スピーカ15の音響出力特性を目標特性フィルタ23に設定された目標特性に自動補正することができる。
次に、非線形歪の低減処理について説明する。図4において、音楽などの音響信号が適応フィルタ20bおよび加算器11にそれぞれ入力される。適応フィルタ20bは、適応フィルタ20aと同一のフィルタであり、適応フィルタ20bには係数更新部21によって適応フィルタ20aと同じフィルタ係数が設定される。適応フィルタ20bにおいて処理された信号は、線形信号生成部10に出力される。以下、加算器11〜増幅器14〜スピーカ15〜センサ16〜加算器12〜フィードバック制御フィルタ13〜加算器11で構成されるフィードバックループによる非線形歪の低減処理は、上述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
ここで、適応フィルタ20bの役割について説明する。線形信号生成部10において生成される線形信号x(t)は、上述したようにセンサ16で検出される検出信号y(t)の線形成分と同じ信号となる必要がある。また本実施形態では、増幅器14の前段に適応フィルタ20aを設けている。したがって、この適応フィルタ20aによる伝達関数の変動分を考慮すべく、適応フィルタ20aと同じフィルタ係数が設定された適応フィルタ20bを線形信号生成部10の前段に設けている。これにより、線形信号x(t)と検出信号e1(t)の線形成分とを同一にすることができ、精度の高い非線形歪の低減を図ることができる。
また、図6および図7を参照して、本実施形態に係るスピーカ装置2の処理効果を説明する。図6は、スピーカ15の振動板加速度をセンサ16の検出信号を通して加算器11にフィードバックしない場合(非線形歪の低減処理を行わない時)のスピーカ15から出力される線形成分、2次非線形成分、および3次非線形成分の計算結果を示す図である。図7は、スピーカ15の振動板加速度をセンサ16の検出信号を通して加算器11にフィードバックした場合(非線形歪の低減処理を行った時)のスピーカ15から出力される線形成分、2次非線形成分、および3次非線形成分の計算結果を示す図である。なお、図6および図7では、計算の周波数範囲を20〜200[Hz]とし、フィードバック制御フィルタ13の伝達関数を1としている。図6および図7から明らかなように、上述した非線形歪の低減処理を行っても、線形成分の周波数特性は変化しない。これは、誤差信号e1(t)がセンサ16の検出信号y(t)の非線形成分のみの信号であり、検出信号y(t)の線形成分を含ないためである。また、図7から明らかなように、上述した非線形歪の低減処理を行えば、2次、3次の非線形成分は大幅に低減することが確認できる。つまり、上述したフィードバックループによる非線形歪の低減処理によって、適応フィルタ20aによる線形成分の周波数特性の補正効果を損なうことなく、かつ精度の高い非線形歪の低減を図ることができる。
以上のように、本実施形態に係るスピーカ装置2によれば、精度の高く非線形歪を低減しつつ、スピーカから出力される線形成分の周波数特性を所望する特性に補正することができる。
なお、図4に示す線形信号生成部10および参照信号生成部22においては、予め増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数を同定して、当該伝達関数を模擬するようなフィルタ係数をそれぞれ設定する必要があった。しかし、スピーカ15の設置状態やスピーカ15の温度変化によって、上記伝達関数が変化する場合がある。そこで、上述した第1の実施形態と同様に、図8に示すにような構成によって、上記伝達関数の同定精度を向上させてもよい。図8は、スピーカ装置2における伝達関数の同定精度を向上させる構成を示すブロック図である。この場合、図8に示すように、スピーカ装置2は、切替器17、測定信号発生器18、および伝達関数算出部19をさらに備える。切替器17は、増幅器14に出力する信号を適応フィルタ20aからの出力にするか、測定信号発生器18からの測定信号にするか切り替えるものである。測定信号発生器18は、例えば上述したインパルス信号や正弦波のスイープ信号等の測定信号を発生させる発振器である。伝達関数算出部19は、測定信号発生器18から入力される測定信号とセンサ16から入力される検出信号とに基づいて、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数を算出する。ただし、上述した第1の実施形態と同様に、スピーカ15で電気信号を音響出力に変換する過程においては、一般的に電気信号レベルが大きいほど非線形歪が大きくなる。したがって、測定信号発生器18においては、スピーカ15の出力に含まれる非線形歪成分が十分小さくなるように、測定信号のレベルを小さく設定する。
オーディオ再生等でスピーカ装置を使用する通常時には、切替器17は適応フィルタ20aからの出力信号を出力する。スピーカ15の設置環境などが変わった場合には、切替器17の入力を測定信号発生器18の測定信号とし、伝達関数算出部19が増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数を算出する。当該伝達関数の情報は線形信号生成部10および参照信号生成部22に出力され、線形信号生成部10および参照信号生成部22のフィルタ係数としてそれぞれ設定される。オーディオ等の信号を再生する場合には、再び切替器17の入力を加算器11の出力に切り替える。以上の動作により、スピーカ15の設置環境の影響を受けることなく、高い精度の線形成分の伝達関数を線形信号生成部10および参照信号生成部22に設定することができる。
また、図4に示すスピーカ装置2では、スピーカ15から出力される線形成分の周波数特性の補正を適応フィルタ20aを用いて行っているが、これに限定されない。例えばフィルタ係数を固定のフィルタとし、アナログ回路で構成してもよい。これにより、適応フィルタ20aのフィルタ係数を更新するための係数更新部21、参照信号生成部22、目標特性フィルタ23、および加算器24を省略することができる。なお、この場合、線形信号生成部10で生成される線形信号とセンサ16で検出される検出信号の線形成分とを同一にするために、適応フィルタ20bも適応フィルタ20aと同じフィルタ係数で固定したフィルタにする必要がある。また上記フィルタ係数の固定化により、加算器11および12もアナログ回路で構成することができる。
(第3の実施形態)
図9を参照して、本発明における第3の実施形態に係るスピーカ装置3について説明する。図9は、第3の実施形態に係るスピーカ装置3の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るスピーカ装置3は、上述したスピーカ装置1および2において、常に精度高く同定された伝達関数に基づく処理を実現するスピーカ装置である。図9では、スピーカ装置3として、上述したスピーカ装置2において常に精度高く同定された伝達関数に基づく処理を実現した装置を示す。図9において、スピーカ装置3は、スピーカ装置2に対して新たに適応同定部30、係数更新部31、および加算器32を備える。以下、適応同定部30、係数更新部31、および加算器32を中心に説明する。
図9において、適応フィルタ20aで処理された音楽信号などの入力音響信号が増幅器14に入力されると共に、適応同定部30および係数更新部31にそれぞれ入力される。適応同定部30で処理された信号は、加算器32に入力される。加算器32は、適応同定部30で処理された信号からセンサ16の検出信号y(t)を減算して、当該減算した信号(以下、誤差信号e3(t)とする)を係数更新部31に出力する。
係数更新部31は、適応フィルタ20aから入力される信号を参照信号として、公知の適応アルゴリズム(例えば、上述したフィルタードX−LMSアルゴリズムなど)に基づき上記誤差信号e3(t)が最小となるようなフィルタ係数を所定時間間隔で算出する。そして、係数更新部31は、算出したフィルタ係数を適応同定部30のフィルタ係数として所定時間間隔で更新する。つまり、係数更新部31に入力される誤差信号e3(t)が十分小さくなったとき、適応同定部30のフィルタ係数は、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの線形成分の伝達関数を模擬的に表すものとなる。線形信号生成部10および参照信号生成部22のフィルタ係数は、適応同定部30で同定されたフィルタ係数となるように更新される。
このように、本発明において、適応同定部30、係数更新部31、および加算器32は、線形信号生成部10および参照信号生成部22のフィルタ係数を適応的に同定して更新する同定更新部としての役割を果たすものである。そして、この同定更新部は、増幅器14の入力からセンサ16の出力までの伝達関数が変化しても、線形信号生成部10および参照信号生成部22のフィルタ係数を適応的に更新する。これにより、線形信号生成部10および参照信号生成部22は、常に精度の高い信号を生成することができる。
なお、線形信号生成部10には、上述したように線形成分の伝達関数を模擬するようなフィルタ係数が設定される必要がある。しかしながら、入力音響信号の大きさによって、センサ16の検出信号y(t)に非線形成分が含まれる場合がある。このとき、上記誤差信号e3(t)にも非線形成分が含まれる。そして、適応同定部30では、この非線形成分を含む誤差信号e3(t)に基づいた伝達関数が同定される。これにより、適応同定部30において同定されたフィルタ係数は、実際の伝達関数の線形成分より若干のレベル差ΔHをもつ線形成分の伝達関数を模擬するものとなってしまう。その結果、線形信号生成部10に当該フィルタ係数が設定されると、線形信号生成部10で生成される線形信号は、センサ16の検出信号の線形成分に対し、レベル差ΔHだけレベルが高い信号となる。そして、誤差信号e1(t)には、このレベル差ΔH分の線形成分が含まれることとなる。これにより、フィードバックループの信号のゲインが大きくなり、適応フィルタ20aによって補正されたスピーカ15から出力される線形成分の周波数特性が変化してしまう。
しかしながら、上記レベル差ΔHは、スピーカ15からの出力レベルに比べ、微少なレベルである。それに伴い、上記周波数特性の変化も微々たるものとなり、聴感上大きな問題とはならない。したがって、適応同定部30で同定された伝達関数を示すフィルタ係数を線形信号生成部10のフィルタ係数として代用しても、本実施形態に係るスピーカ装置3は、一定の非線形歪の低減効果を発揮することができる。
また、上述ではスピーカ装置3として、スピーカ装置2において常に精度高く同定された伝達関数に基づく処理を実現する装置を示したが、スピーカ装置1において適用する装置であってもかまわない。
以上のように、本実施形態に係るスピーカ装置3によれば、適応同定部30、係数更新部31、および加算器32を設けることで、常に精度高く同定された伝達関数に基づいた処理を行うことができる。すなわち、スピーカ15の設置環境の変化に影響を受けることなく、常に精度の高い、非線形歪の低減効果、およびスピーカ15の周波数特性の補正効果を得ることができる。
本発明に係るスピーカ装置は、スピーカから発生する非線形歪を精度高く低減することが可能なスピーカ装置やオーディオ機器などにも適用される。
第1の実施形態に係るスピーカ装置1の構成を示すブロック図 スピーカ装置1に正弦波の電気信号を入力した場合における検出信号y(t)、線形信号x(t)、および誤差信号e1(t)の波形をそれぞれ模式的に示した図 伝達関数の同定精度を向上させる構成を示すブロック図 第2の実施形態に係るスピーカ装置2の構成を示すブロック図 目標特性の一例を示す図 スピーカ15の振動板加速度をセンサ16の検出信号を通して加算器11にフィードバックしない場合のスピーカ15から出力される各成分の計算結果を示す図 スピーカ15の振動板加速度をセンサ16の検出信号を通して加算器11にフィードバックした場合のスピーカ15から出力される各成分の計算結果を示す図 スピーカ装置2における伝達関数の同定精度を向上させる構成を示すブロック図 第3の実施形態に係るスピーカ装置3の構成を示すブロック図 非線形歪を低減する従来のスピーカ装置の構成を示すブロック図 周波数特性を補正する従来のスピーカ装置の構成を示すブロック図 補正処理前のスピーカ98の振幅周波数特性を示す図 補正処理後のスピーカ98の振幅周波数特性を示す図
符号の説明
1〜3 スピーカ装置
10 線形信号生成部
11、12、24、32 加算器
13 フィードバック制御フィルタ
14 増幅器
15 スピーカ
16 センサ
17 切替器
18 測定信号発生器
19 伝達関数算出部
20 適応フィルタ
21 係数更新部
22 参照信号生成部
23 目標特性フィルタ
30 適応同定部
31 係数更新部

Claims (6)

  1. スピーカと、
    前記スピーカの振動もしくは音響出力を検出するセンサと、
    入力音響信号を入力とし、前記スピーカに出力する加算器と、
    前記入力音響信号を入力とし、所定の処理係数に基づいて前記センサの検出信号に含まれる線形成分と同じ信号を生成する信号生成部と、
    前記センサの検出信号と前記信号生成部の生成信号との誤差を検出する誤差検出部と、
    前記誤差検出部において検出された誤差の信号のゲインおよび/または位相を制御して、前記加算器に出力する制御部とを備える、スピーカ装置。
  2. 前記スピーカの音響出力の周波数特性が所定の周波数特性となるように前記加算器の出力信号を所定のフィルタ係数に基づいて補正して、前記スピーカに出力する第1の補正フィルタと、
    前記第1の補正フィルタと同じフィルタ係数に基づいて前記入力音響信号を補正して、前記信号生成部に出力する第2の補正フィルタとをさらに備える、請求項1に記載のスピーカ装置。
  3. 前記加算器の出力信号および前記センサの検出信号を用いて前記フィルタ係数を所定時間間隔で算出し、前記第1および第2の補正フィルタのフィルタ係数が当該算出したフィルタ係数となるように、当該第1および第2の補正フィルタのフィルタ係数を更新する適応更新部をさらに備える、請求項2に記載のスピーカ装置。
  4. 前記第1の補正フィルタの出力信号および前記センサの検出信号を用いて前記第1の補正フィルタの出力から前記センサの出力までの伝達関数の線形成分を表す処理係数を所定時間間隔で算出し、前記信号生成部の処理係数が当該算出した処理係数となるように、当該信号生成部の処理係数を更新する同定更新部をさらに備える、請求項2に記載のスピーカ装置。
  5. 前記加算器の出力信号および前記センサの検出信号を用いて前記加算器の出力から前記センサの出力までの伝達関数の線形成分を表す処理係数を所定時間間隔で算出し、前記信号生成部の処理係数が当該算出した処理係数となるように、当該信号生成部の処理係数を更新する同定更新部をさらに備える、請求項1に記載のスピーカ装置。
  6. 前記信号生成部がデジタルフィルタで構成されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
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