JP2007079437A - サイドドラムの支持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 サイドドラムの水平方向の位置を容易に調節することの可能なサイドドラムの支持装置を提供する。
【解決手段】 タムホルダ10は、バスドラムに固定される固定部12、固定部12から上方に延びる支持パイプ13、支持パイプ13に設けられ前後方向に延びる支持バー41、及び支持バー41に対しその軸線に沿って移動可能に支持された装着部14を備えている。また、タムホルダ10は、装着部14に装着された各サイドドラムの水平方向の位置を調節するための前後位置調節機構を備えている。前後位置調節機構により、支持バー41に対する装着部14の位置が変更されて各サイドドラムの水平方向の位置が調節される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、サイドドラムを支持する支持装置に関する。
一般に、ドラムセットには一対のサイドドラムが含まれており、各サイドドラムは、バスドラムの上に支持装置を介して支持されたり、バスドラムの側方にスタンドを介して配置されたりしている。サイドドラムの支持装置は、サイドドラムが装着される装着部と、その装着部を支持する支持パイプとを備えている。また、種々の大きさのサイドドラムに対応可能な支持装置として、サイドドラムの高さや角度を調節する機構と共に、水平方向(例えば前後方向)の位置を調節する機構を備えたものが実用化されている。この種の支持装置として、例えば図12〜図15に示される構成のものが知られている。
図12に示される装置では、バスドラムBDの胴体に取付具121が固定され、同取付具121に対して支持バー122が移動可能に支持されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。支持バー122は、その前端に上方に延びる支持パイプ123を有し、支持パイプ123には、装着部124を介してサイドドラムSDが装着されている。この構成では、支持バー122を取付具121に対して移動させることでサイドドラムSDの前後方向の位置が調節される。
また、図13に示される装置では、角度調節機構130から水平方向に延びる支持バー131を備え、支持バー131の先端がサイドドラムSDの胴体内に側方から挿入され、クランプ132により固定されている。また、図14に示される別の装置では、支持バー141の先端が、サイドドラムSDの側部に設けられたフローティング部材143に対してクランプ142により固定されている。これらの構成では、サイドドラムSDやフローティング部材143に対する支持バー131,141の固定位置を変更してサイドドラムSDの前後方向の位置が調節される。
また、図15に示される装置では、角度調節機構と前後位置調節機構とを併せ持つホルダユニット150が支持パイプ151の上端に装着されている。このホルダユニット150は、ユニット本体152と、ユニット本体152内に旋回可能に支持された一対のボール部材153と、各ボール部材153の孔153aに摺動可能に挿入された支持バー154とを備えている。そして、各支持バー154によりサイドドラムが支持される。この構成では、各支持バー154を各ボール部材153と共に回動させることでサイドドラムの角度が調節されると共に、各支持バー154をボール部材153の孔153a内で摺動させることによりサイドドラムの前後方向の位置が調節される。
米国特許第5973248号明細書 米国特許第5949009号明細書
ところで、複数のサイドドラムがバスドラム上に設置される場合、ドラムを演奏する際に、各サイドドラムの高さ、角度、及び各サイドドラム間の位置関係等が最も演奏し易い位置に配置される。ところが、図12に示される装置では、サイドドラムSDの荷重点Pと支持バー122の固定点Qとの間隔d1が広いため、固定点Qに加えられる荷重が増大して取付具121と支持バー122との間にこじれが生じる。このため、サイドドラムSDを装着部124に装着した状態では、水平方向に移動させることが非常に困難になる。図13及び図14に示される装置では、特定の一つのサイドドラムSDを水平方向に移動させると、それとは別のサイドドラムSDとの位置関係が変化してしまうという欠点がある。特に、図14に示される装置では、支持バー141をサイドドラムSD内に挿入できないため、サイドドラムSDを水平方向に位置調節する際の調節量を充分に確保できないという欠点もある。又、図15に示される装置では、ホルダユニット150が角度調節機構と位置調節機構とを併せ持つ構成であるため、サイドドラムSDの角度を調節すると前後方向の位置も変更されてしまう虞がある。従って、上記各従来構成を採用すれば、サイドドラムSDの水平方向の位置を調節できるものの、その調節を行い易いとは言い難く、この点において改善の余地を残すものとなっている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、サイドドラムの水平方向の位置を容易に調節することの可能なサイドドラムの支持装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、サイドドラムが装着される装着部と、前記装着部を支持する支柱と、前記サイドドラムの水平方向の位置を調節するための位置調節機構とを備えるサイドドラムの支持装置であって、前記支柱に設けられ、水平方向に延びる支持バーと、前記装着部は、前記支持バーに対しその軸線に沿って移動可能に支持されることと、前記位置調節機構により、前記支持バーに対する前記装着部の位置が変更されて前記サイドドラムの水平方向の位置が調節されることと、を備えていることを要旨とする。
同構成によれば、支持バーに対しその軸線方向に装着部を移動させ、支持バーに対する装着部の位置を変更することによって、サイドドラムの水平方向の位置を調節することが可能になる。この場合、サイドドラムの荷重が作用する荷重点と支持バーが固定される固定点との間隔が従来構成の場合に比して大幅に縮小される。これにより、支持バーの固定点に加えられる荷重が低減されるため、支持バーとそれに支持される装着部との間にこじれが生じるのを極力抑制することができる。よって、サイドドラムを装着部に装着したままでも容易に水平移動させることが可能になる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記装着部は、前記支持バーの軸線に沿って延びる凹部を有し、前記凹部にて前記支持バーに対して支持されていることを要旨とする。
同構成によれば、支持バーが装着部の凹部内を移動することによって、支持バーに対しその軸線に沿って装着部を円滑に移動させることができ、サイドドラムの水平方向の位置を容易に調節することが可能になる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のサイドドラムの支持装置において、前記装着部は、前記支持バーと前記凹部との係合により同支持バーの軸線周りの回動を規制されていることを要旨とする。
同構成によれば、サイドドラムの水平方向の位置を調節する場合や、ドラムの演奏時に外部から強い衝撃や振動が加えられる場合において、装着部に装着されたサイドドラムが支持バーの軸線周りに回動しないようにすることができる。これにより、支持バーに対して装着部を確実に固定することができ、位置調節後にサイドドラムをその位置に確実に保持することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記支持バーは断面多角形状を有し、前記凹部は断面多角形状を有し、前記装着部は、前記凹部の内壁面を前記支持バーの外側面に接触させて支持されていることを要旨とする。
同構成によれば、装着部に装着されたサイドドラムが支持バーの軸線周りに回動することをより確実に抑制することができ、支持バーに対して装着部をより確実に固定することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記凹部内において前記支持バーと前記装着部との間にはガイド板が設けられていることを要旨とする。
同構成によれば、装着部が支持バーに対して移動する際に、支持バーとガイド板とを互いに摺動させることによって、装着部を支持バーに対してより一層円滑に移動することが可能になる。
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記装着部は、前記支持バーをその上方から覆うカバーと、同支持バーをその下方から支持するクランプと、前記カバーと前記クランプとを締め付けるための締付具とを備え、前記締付具により前記カバーと前記クランプとを締め付けることで前記支持バーに対して前記装着部が固定されることを要旨とする。
同構成によれば、締付具によりカバーとクランプとを締め付けると、カバーとクランプとにより支持バーが強く挟持される。これにより、支持バーに対して装着部を一層確実に固定することができ、位置調節後にサイドドラムをその位置に一層確実に保持することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記凹部は、前記カバーに設けられ、前記支持バーが挿通される挿通孔と、前記挿通孔から延長されて直線状に延びる第1溝と、前記クランプに設けられた第2溝とを含むことを要旨とする。
同構成によれば、カバーとクランプとが締め付けられていなくても、支持バーがカバーの挿通孔に挿通されていることから、支持バーと装着部との間にガタが生じるのを極力抑制することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記支持バーから前記装着部が脱落するのを防止するための脱落防止手段を備えていることを要旨とする。
同構成によれば、サイドドラムの水平方向の位置を調節する際、重量物であるサイドドラムが装着部と共に支持バーから抜け落ちてしまうことを防止することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の発明において、前記装着部に装着されたサイドドラムの角度を調節するための角度調節機構を備えていることを要旨とする。
同構成によれば、角度調節機構を通じてサイドドラムの角度を調節することができ、サイドドラムをより演奏し易い位置に配置することが可能になる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の発明において、前記支柱は、下段パイプと、前記装着部に前記支持バーを介して連結され、かつ前記下段パイプ内に挿入された上段パイプとを備え、前記下段パイプに対する前記上段パイプの位置を調節するための高さ調節機構を備えていることを要旨とする。
同構成によれば、高さ調節機構を通じてサイドドラムの高さを調節することができ、サイドドラムをより一層演奏し易い位置に配置することが可能になる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の発明において、バスドラムに固定される固定部を備え、前記固定部には前記支柱が着脱可能に装着されていることを要旨とする。
同構成によれば、固定部から支持パイプを取外すことができ、別のバスドラムに対して支持パイプを付け替えることもできる。
本発明によれば、サイドドラムの水平方向の位置を容易に調節することの可能なサイドドラムの支持装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
図1に示すように、支持装置としてのタムホルダ10は、バスドラムBDに固定される固定部12と、固定部12から上方に延びる支柱としての支持パイプ13と、2台のサイドドラムSDが装着される装着部14とを備えている。このタムホルダ10の構成を説明するに際し、支持パイプ13側(図4で示す右側)を前部とし、それとは反対側(図4で示す左側)を後部とする。
図1〜図3に示すように、固定部12は、ベース21と、ベース21及びバスドラムBD間に介装される平板状のスペーサ22と、バスドラムBDの内側に配置される支持板23とを備えている。固定部12は、ベース21及びスペーサ22の四隅が支持板23を介してネジ24により締結されることで、バスドラムBDの胴体の側面に対して固定されている。
ベース21の上面には、支持パイプ13を支持するための支持孔25が開口されている。支持孔25内には、同支持孔25の軸線に沿って延びる溝25aが形成され、同溝25a内には、長方形状の押え板26が収納されている。そして、ベース21の後方から挿入されるT型ボルト28を締め付けることで、押え板26を介し支持パイプ13がベース21に固定される一方、T型ボルト28を緩めることで、支持パイプ13の高さを調節したり、ベース21から取外したりすることが可能になる。
支持パイプ13は、下段パイプ31と、上段パイプ32とを備えている。下段パイプ31には上段パイプ32の下端が挿入され、上段パイプ32は下段パイプ31の内面と摺動し得る。下段パイプ31の上端には、各サイドドラムSDの高さを調節するための高さ調節機構HAが設けられている。
高さ調節機構HAは固定及び可動のパイプクランプ34a,34bを備え、パイプクランプ34aを介して下段パイプ31に固定されている。パイプクランプ34bはピン35により、パイプクランプ34aに対して回動可能に連結されている。また、両パイプクランプ34a,34bにはネジ36が挿通され、ネジ36の先端部にはワッシャを介してT型ナット38が螺合されている。このT型ナット38を締め付けると、上段パイプ32が両パイプクランプ34a,34bにより強く挟持されて、下段パイプ31に対して上段パイプ32が固定される。一方、T型ナット38を緩めると、下段パイプ31に対する上段パイプ32の位置を調節することが可能になる。これにより、支持パイプ13の全体の長さが調節され、各サイドドラムSDの高さを調節することが可能になる。
下段パイプ31の下端には、略環状のメモリロック39がボルト及びナットにより装着されている。メモリロック39は、固定部12から起立する支持パイプ13の高さや角度を決めるための位置決め部材として機能する。
上段パイプ32の上端には、連結部材40及び支持バー41を介して装着部14が装着されている。連結部材40は、図4に示すように、下方に開口された固定穴40aと、側方に開口された固定穴40bとを有している。下側の固定穴40aには、上段パイプ32の上端が挿入され、上段パイプ32は、連結部材40に対して1本のピン40cにより固定されている。また、上側の固定穴40bには、装着部14を支持パイプ13に支持するための支持バー41が挿入されている。支持バー41は、連結部材40に対して2本のピン40dにより固定されている。
支持バー41は、断面六角形状をなし直線状に延びている。支持バー41は、その軸線を前後方向に向けて水平に配置されている。支持バー41には、上記装着部14が同支持バー41の軸線に沿って移動可能に支持されている。
図3及び図4に示すように、装着部14は、カバー43、クランプ44、一対のボールロッド45及び押え部材46を備えている。カバー43は、略三角形状の上壁43a、下壁43b、及び3つの側壁43cにより形成されている。各ボールロッド45は、ボール部材45aと、略L字状のロッド45bとからなる。各ボールロッド45のロッド45bには、サイドドラムSDが固定具1を介してそれぞれ固定される(図7参照)。各ボール部材45aは、カバー43内にて外側部に配置されると共に、カバー43の下方から押え部材46により旋回可能に支持されている。
カバー43には押え部材46が一端部にてピンにより回動可能に連結され、他端部にてネジ48及びそれに螺合されたT型ナット49によりカバー43に締結されている。T型ナット49を締め付けると、ボール部材45aの回動が規制され、ロッド45bの支持パイプ13に対する傾斜角度が規制されることにより、各サイドドラムSDの傾斜角度が規制される。一方、T型ナット49を緩めると、ボール部材45aの回動が可能になり、ロッド45bの支持パイプ13に対する傾斜角度を調節することができる。本実施形態では、各ボールロッド45、ネジ48、及びT型ナット49によって、各サイドドラムSDの角度を調節するための角度調節機構DAが形成されている。
図4〜図6に示すように、カバー43内には、支持バー41を挿通させてこれに装着部14を支持するための凹部としての挿通孔50が形成されている。この挿通孔50は、支持バー41を嵌め込み可能な断面形状を有し、同支持バー41の軸線に沿って直線状に延びている。そして、挿通孔50は、連結部材40と対向するカバー43の側壁43cに開口されている。断面六角形状をなす支持バー41の上部では、2つの外側面41aがそれぞれ挿通孔50を形成する内壁面50aに対して当接され、同支持バー41の下部では、1つの外側面41aがガイド板51の上面に対して当接されている。また、挿通孔50内には、樹脂製からなり、かつ長方形状のガイド板51が配設されている。
カバー43において、上壁43aの内面には、上述した挿通孔50から延長されて直線状に延びる断面台形状の凹部としての第1溝53が形成されている。第1溝53には、支持バー41がその上部を嵌め込ませるようにして配設されている。支持バー41の上部では、2つの外側面41aがそれぞれ第1溝53の内壁面53aに対して当接されている。
また、上壁43aの内面には、クランプ44を支持するための突起54が一体形成されている。突起54は、上壁43aの内面から下方に突出している。クランプ44は、その基端にてピン55により突起54に対して回動可能に支持されている。クランプ44の先端に対応して、カバー43の上壁43aには、カバー43を貫通する第1貫通孔56が形成されている。第1貫通孔56には、取付具としての調節ネジ57が挿入されている。クランプ44において、カバー43の第1貫通孔56と対応する位置には第2貫通孔66が形成されている。前記調節ネジ57は、カバー43の第1貫通孔56を介してクランプ44の第2貫通孔66に挿入されている。また、調節ネジ57の先端部にはナット67が螺合されている。この調節ネジ57を締め付けると、カバー43とクランプ44とが一体に組み付けられる。
また、クランプ44の上面には、支持バー41の軸線に沿って直線状に延びる断面台形状の凹部としての第2溝60が形成されている。この第2溝60には、支持バー41がその下部を嵌め込ませるようにして配設されている。支持バー41の下部では、2つの両外側面41aがそれぞれ第2溝60の内壁面60aに対して当接されている。
クランプ44の第2溝60の略中央には、同第2溝60の延設方向と直交する壁62が設けられ、支持バー41の先端部にはビス63が固着されている。これにより、装着部14は、クランプ44の壁62と支持バー41のビス63とが当接するまで後方(図4に示す左方向)に移動可能である。本実施形態では、壁62及びビス63によって、支持バー41から装着部14が脱落するのを防止するための脱落防止手段が形成されている。
調節ネジ57を締め付けると、カバー43及びクランプ44により支持バー41が上下方向から強く挟持され、同支持バー41に対する装着部14の位置が固定される。一方、調節ネジ57を緩めると、支持バー41に対する装着部14の位置を変更することが可能になる。本実施形態では、カバー43、クランプ44、調節ネジ57によって、各サイドドラムSDの前後方向の位置を調節するための前後位置調節機構LAが形成されている。
さて、このように構成されたタムホルダ10を用いれば、各サイドドラムSDの高さが高さ調節機構HAにより調節され、各サイドドラムSDの角度が角度調節機構DAにより個別に調節される。そして、各サイドドラムSDの高さ及び角度が調節された後、前後位置調節機構LAにより支持バー41に対して装着部14を水平移動させることで、両サイドドラムSDの位置関係を維持した状態で、両サイドドラムSDの前後方向の位置が調節される。こうした一連の手順を通じて、各サイドドラムSDの位置が演奏者にとって最も演奏し易い位置に配置される。
次に、タムホルダ10の作用について図7及び図12を参照し、従来例と比較しながら詳細に説明する。尚、図7は、本実施形態のタムホルダ10を模式的に示したもので、図12は、従来構成のタムホルダを模式的に示したものである。
図12に示すように、従来のタムホルダでは、サイドドラムSDの前後方向の位置を調節する前後位置調節機構LAが、前述したように、取付具121と支持バー122とから構成されている。この場合、サイドドラムSDの荷重が作用する荷重点Pと支持バー122が固定されている固定点Qとの間隔d1が広いため、取付具121と支持バー122との間にはこじれが生じている。
一方、本実施形態のタムホルダ10では、上記従来構成とは異なり、前後位置調節機構LAが、支持パイプ13から前後方向に延びる支持バー41と、支持バー41に対して移動可能に支持される装着部14とから構成されている。この場合、サイドドラムSDの荷重が作用する荷重点Pと、支持バー41が固定されている固定点Q(調節ネジ57による締付箇所)との間隔はd2である。この構成によれば、前後位置調節機構LAが装着部14のそれ自体に設けられており、そのため、荷重点Pと固定点Qとの間隔d2が図12に示す間隔d1に比して大幅に縮小されている。これにより、支持バー41の固定点Qに加えられる荷重が低減されるため、支持バー41と装着部14との間にこじれが生じるのを極力抑制することができる。よって、サイドドラムSDを装着部14に装着したままでも容易に水平移動させることが可能になる。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)タムホルダ10は、前後方向に延びる支持バー41と、支持バー41に対しその軸線方向に移動可能に支持された装着部14とを備えている。また、タムホルダ10は、装着部14に装着されたサイドドラムSDの前後方向の位置を調節するための前後位置調節機構LAを備えている。この場合、支持バー41に対する装着部14の位置を変更することによって、サイドドラムSDの水平方向の位置を調節することが可能になる。また、この場合、サイドドラムSDの荷重が作用する荷重点Pと支持バー41が固定されている固定点Qとの間隔d2が従来構成の場合に比して大幅に縮小される。これにより、支持バー41の固定点Qに加えられる荷重が低減されるため、支持バー41とそれに支持される装着部14との間にこじれが生じるのを極力抑制することができる。よって、サイドドラムSDを装着部14に装着したままでも容易に水平移動させることが可能になる。
(2)カバー43内に形成された挿通孔50、カバー43の上壁43aの内面に設けられた第1溝53、及びクランプ44の上面に形成された第2溝60はいずれも支持バー41の軸線に沿って延びている。そして、装着部14は、これら挿通孔50、第1及び第2溝53,60内にて支持バー41に対して支持されている。この場合、支持バー41が挿通孔50、第1及び第2溝53,60内を移動することによって、支持バー41に対しその軸線方向に装着部14を円滑に移動させることができ、各サイドドラムSDの前後方向の位置を容易に調節することが可能になる。また、この場合、カバー43とクランプ44とが締め付けられていなくても、支持バー41がカバー43の挿通孔50に挿通されていることから、支持バー41と装着部14との間にガタが生じるのを極力抑制することもできる。
(3)支持バー41は断面六角形状をなし、第1及び第2溝53,60はそれぞれ断面台形状に形成されている。そして、装着部14は、第1及び第2溝53,60に対して支持バー41の上部と下部とをそれぞれ嵌め込ませて支持されている。これにより、外部から強い衝撃や振動が加えられたとしても、装着部14に装着された各サイドドラムSDが支持バー41の軸線周りに回動しないようにすることができる。よって、支持バー41に対して装着部14を確実に固定することができ、位置調節後に各サイドドラムSDをその位置に確実に保持することができる。
(4)カバー43の挿通孔50内には樹脂製のガイド板51が配設されている。装着部14が支持バー41に対して移動する際、支持バー41とガイド板51とを互いに摺動させることによって、装着部14を支持バー41に対してより一層円滑に移動することが可能になる。また、挿通孔50に対して支持バー41がきつく嵌め込まれている場合にあっても、装着部14とガイド板51との摺動が繰り返し行われることでガイド板51の圧縮変形や摩耗が生じ、結果として支持バー41に対する装着部14の移動が次第に円滑なものとなる。
(5)調節ネジ57は、カバー43の第1貫通孔56を介してクランプ44の第2貫通孔66に挿入され、また、調節ネジ57の先端部にはナット67が螺合されている。この場合、調節ネジ57によりカバー43とクランプ44とを締め付けると、カバー43とクランプ44とにより支持バー41が強く挟持される。これにより、支持バー41に対して装着部14が固定されるため、位置調節後に各サイドドラムSDをその位置に確実に保持することができる。
(6)タムホルダ10は、第2溝60の略中央に設けられた壁62と、支持バー41の端部に固着されたビス63とからなる脱落防止手段を備えている。この場合、各サイドドラムSDの前後方向の位置を調節する際、重量物であるサイドドラムSDが装着部14と共に支持バー41から抜け落ちてしまうことを防止することができる。
(7)タムホルダ10は、各サイドドラムSDの角度を調節するための角度調節機構DAを備えている。この角度調節機構DAを通じて、各サイドドラムSDの角度を調節することができ、各サイドドラムSDの位置をより演奏し易い位置に配置することが可能になる。
(8)タムホルダ10は、各サイドドラムSDの高さを調節するための高さ調節機構HAを備えている。この高さ調節機構HAを通じて、下段パイプ31に対する上段パイプ32の位置を変更して、支持パイプ13の全体の長さを調節することができる。これにより、サイドドラムSDの高さを調節することができ、各サイドドラムSDをより一層演奏し易い位置に配置することが可能になる。
(9)タムホルダ10は、バスドラムBDに固定される固定部12を備え、その固定部12には支持パイプ13が着脱可能に装着されている。この場合、固定部12から支持パイプ13を取外すことができ、別のバスドラムBDに対して支持パイプ13を付け替えることもできる。従って、汎用性の高いタムホルダ10を実現することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図12に示す従来構成のタムホルダでは、支持バー122を移動可能に支持する取付具121がバスドラムBDの胴体に固定されている。このため、図8に示すように、バスドラムBDの胴体に挿入孔を形成し、支持パイプ73のバスドラムBDへの挿入量を変更してサイドドラムSDの高さを調節する高さ調節機構HAを採用することはできない。その点、本実施形態のタムホルダ10では、前後位置調節機構LAが装着部14のそれ自体に設けられているため、図8に示される高さ調節機構HAを採用することができ、それにより、サイドドラムSDの高さ方向について調節可能な範囲をより一層広げることができる。尚、図8に示すタムホルダでは、固定部72に対する支持パイプ73の位置、即ち各サイドドラムSDの高さを決めるためのメモリロック74が支持パイプ73に装着されている。
・本実施形態において、各サイドドラムSDの高さを調節するための高さ調節機構HAを省略してもよい。
・本実施形態において、装着部14の支持構造として、挿通孔50や第1及び第2溝53,60間に画成される空間に支持バー41を挿通させる方法を採用したが、これ以外の方法を採用してもよい。例えば、図9に示すように、軸線に沿って延びる溝92を支持バー91に形成し、同溝92と係合可能な突起93を装着部94に設けるといった方法を採用してもよい。この場合、突起93を溝92に沿って移動させることで、装着部94を支持バー91の軸線に沿って移動させることができる。
・本実施形態において、装着部14を支持するために支持バー41を用いたが、任意の形状の支持部材を採用してもよい。例えば、図10(a),(b)に示すように、支持パイプ13の上端に板状の支持プレート101を設け、これに対して装着部14を移動可能に支持するようにしてもよい。この場合、支持プレート101には、前後方向(図10(b)に示す左右方向)に延びる2つの長孔101aが形成されている。そして、装着部14は、その上方から締結ネジ102を締め付けると前後方向の位置が固定される一方、締結ネジ102を緩めると前後方向の位置が調節可能になる。
・本実施形態において、装着部14は1本の支持バー41に支持されていたが、複数本の支持バーによる支持構造を採用してもよい。例えば、図11に示すように、2本の支持バー111を水平方向にそれぞれ配置し、両支持バー111に対し装着部14を移動可能に支持する構成を採用してもよい。この場合、支持バー111は断面多角形状に限らず、断面円形状であってもよい。
・本実施形態において、支持バー41及び挿通孔50はいずれも断面六角形状であったが、これ以外にも、例えば三角形、四角形等、任意の多角形に変更してもよい。また、この場合、支持バー41の断面形状に応じて、第1溝53及び第2溝60の断面形状をそれぞれ適宜変更してもよい。
・本実施形態において、ガイド板51は樹脂製であったが、例えばセラミックスや金属や等で潤滑性に優れる材料であれば任意のものを採用してもよい。
・本実施形態において、タムホルダ10により支持可能なサイドドラムSDの数を適宜変更してもよい。この場合、タムホルダ10が備えるボールロッド45の数は、支持されるサイドドラムSDの数量に応じて設定される。
・本実施形態において、サイドドラムSDの角度を調節するための角度調節機構DAを省略してもよい。
・本実施形態において、タムホルダ10は、バスドラムBD上にサイドドラムSDを支持する支持装置として具体化されていたが、例えば、折り畳み可能な脚板を備えるスタンドによりサイドドラムSDを支持する支持装置としてもよい。
本実施形態のタムホルダによりサイドドラムがバスドラム上に支持された状態を示す斜視図。 タムホルダの全体構成を示す斜視図。 タムホルダの分解斜視図。 図2の4−4線に沿った断面図。 図2の5−5線に沿った断面図。 図2の6−6線に沿った部分断面図。 本実施形態のタムホルダにサイドドラムが装着された状態を示す模式図。 変形例のタムホルダの取付構造を示す斜視図。 変形例の装着部の支持構造を示す部分断面図。 (a)は変形例の装着部の支持構造を模式的に示す部分側面図、(b)は(a)の支持構造を模式的に示す部分底面図。 変形例の装着部の支持構造を模式的に示す部分側面図。 従来のタムホルダにサイドドラムが装着された状態を示す模式図。 従来のタムホルダの装着部を示す部分側面図。 従来のタムホルダの装着部を示す部分側面図。 従来のタムホルダについてその装着部を一部破断して示す斜視図。
符号の説明
10…タムホルダ(支持装置)、12…固定部、13…支持パイプ(支柱)、14…装着部、31…下段パイプ、32…上段パイプ、41…支持バー、41a…外側面、43…カバー、44…クランプ、50…挿通孔(凹部)、50a…内壁面、51…ガイド板、53…第1溝(凹部)、53a…内壁面、57…締め付けボルト(締付具)、60…第2溝(凹部)、60a…内壁面、62…壁(脱落防止手段)、63…ビス(脱落防止手段)、BD…バスドラム、SD…サイドドラム、HA…高さ調節機構、DA…角度調節機構、LA…前後位置調節機構。

Claims (11)

  1. サイドドラムが装着される装着部と、前記装着部を支持する支柱と、前記サイドドラムの水平方向の位置を調節するための位置調節機構とを備えるサイドドラムの支持装置であって、
    前記支柱に設けられ、水平方向に延びる支持バーと、
    前記装着部は、前記支持バーに対しその軸線に沿って移動可能に支持されることと、
    前記位置調節機構により、前記支持バーに対する前記装着部の位置が変更されて前記サイドドラムの水平方向の位置が調節されることと、
    を備えていることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  2. 請求項1に記載のサイドドラムの支持装置において、
    前記装着部は、前記支持バーの軸線に沿って延びる凹部を有し、前記凹部にて前記支持バーに対して支持されていることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  3. 請求項2に記載のサイドドラムの支持装置において、
    前記装着部は、前記支持バーと前記凹部との係合により同支持バーの軸線周りの回動を規制されていることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  4. 請求項3に記載のサイドドラムの支持装置において、
    前記支持バーは断面多角形状を有し、前記凹部は断面多角形状を有し、前記装着部は、前記凹部の内壁面を前記支持バーの外側面に接触させて支持されていることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  5. 請求項4に記載のサイドドラムの支持装置において、
    前記凹部内において前記支持バーと前記装着部との間にはガイド板が設けられていることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  6. 請求項2〜5のうちいずれか一項に記載のサイドドラムの支持装置において、
    前記装着部は、前記支持バーをその上方から覆うカバーと、同支持バーをその下方から支持するクランプと、前記カバーと前記クランプとを締め付けるための締付具とを備え、前記締付具により前記カバーと前記クランプとを締め付けることで前記支持バーに対して前記装着部が固定されることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  7. 請求項6に記載のサイドドラムの支持装置において、
    前記凹部は、前記カバーに設けられ、前記支持バーが挿通される挿通孔と、前記挿通孔から延長されて直線状に延びる第1溝と、前記クランプに設けられた第2溝とを含むことを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  8. 請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のサイドドラムの支持装置において、
    前記支持バーから前記装着部が脱落するのを防止するための脱落防止手段を備えていることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  9. 請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のサイドドラムの支持装置において、
    前記装着部に装着されたサイドドラムの角度を調節するための角度調節機構を備えていることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  10. 請求項1〜9のうちいずれか一項に記載のサイドドラムの支持装置において、
    前記支柱は、下段パイプと、前記装着部に前記支持バーを介して連結され、かつ前記下段パイプ内に挿入された上段パイプとを備え、前記下段パイプに対する前記上段パイプの位置を調節するための高さ調節機構を備えていることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
  11. 請求項1〜10のうちいずれか一項に記載のサイドドラムの支持装置において、
    バスドラムに固定される固定部を備え、前記固定部には前記支柱が着脱可能に装着されていることを特徴とするサイドドラムの支持装置。
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