JP2004082990A - 折り畳み式手押し台車 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単なワンタッチ操作で台車を折り畳むことができると共に、台車上面から出っ張りを排除し、フラットな上面を有する折り畳み式手押し台車を提供する。
【解決手段】レール2上を転動する複数の車輪3を備える台車本体4と、この台車本体4を折曲可能に二つの分割本体4a、4bで構成し、1つの車輪3に対して接離可能なブレーキシュー9と、このブレーキシュー9を車輪3への当接方向に付勢する付勢手段と、台車本体4の前後に差し込み可能なハンドル27と、このハンドル27の操作によって制動力を解除する制動力解除手段を備える折り畳み式手押し台車1において、制動力解除手段をハンドル27側に配設すると共に、台車本体4の中央部に折曲機構24を設け、この折曲機構24が台車本体4を広げた時にその床面6の上面から突出しないようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】レール2上を転動する複数の車輪3を備える台車本体4と、この台車本体4を折曲可能に二つの分割本体4a、4bで構成し、1つの車輪3に対して接離可能なブレーキシュー9と、このブレーキシュー9を車輪3への当接方向に付勢する付勢手段と、台車本体4の前後に差し込み可能なハンドル27と、このハンドル27の操作によって制動力を解除する制動力解除手段を備える折り畳み式手押し台車1において、制動力解除手段をハンドル27側に配設すると共に、台車本体4の中央部に折曲機構24を設け、この折曲機構24が台車本体4を広げた時にその床面6の上面から突出しないようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人力によってレール上を走行する手押し台車、特に台車本体を中央部から折曲可能に構成してコンパクトに格納収容できる折り畳み式手押し台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、軽便トロッコやハンドカート等の走行操作は、台車の車輪にスプリングで制動が与えられ、台車の端部に設けられたハンドルを回動することにより、ハンドルと連結する伝達ロッドが所定の引張力や押圧力を車輪制動機構に伝達して制動が解除され、台車の走行が可能となっている。
【0003】
しかしながら、小回りの効く台車の用途が多様化するにつれ、台車本体の長さも長尺化するようになってきており、台車本体を中央部から折曲できる構造のものも用いられるようになっている。この台車本体を折曲し格納する場合には、台車に装着した動力伝達ロッドを取り外してから台車本体を折曲し、別途収納管理しなければならない。こうした問題を解決するものとして、図10および図11に示す折り畳み式手押し台車が既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−341650号公報(第2、3頁、第1図)
【0005】
この折り畳み式手押し台車は、台車本体50を中央部から折曲可能に構成し、下部に配設されるハンドル杆60の操作力伝達ロッド51の台車本体折曲部対応位置に、両端に屈曲回動ヒンジ53を設けた継接片54を設け、同ヒンジ53によって屈曲可能に連結ロッド51a、51bからなる伝達ロッド51を継接し、推進時に継接部を被覆して連結ロッド51a、51bの直線性を保持し、後退時に継接部を露出して屈曲可能状態とするカバー体55を推進方向に付勢させて嵌着すると共に、このカバー体55後退位置に係止機構58を設けるよう構成したものである。
【0006】
一方、台車本体50を折り畳む場合には、カバー体55をスプリング56に抗して継接部露出方向に後退させ、このカバー体55を係止して伝達ロッド51の屈曲状態を保持した上で、分割本体50a、50bの折曲結合ボルトナット締結構造52を解離して伝達ロッド51ごと台車本体50を折り畳むことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この折り畳み式手押し台車において、長尺のロッド部分を取り外すことなく、台車本体50を伝達ロッド51ごと折り畳むことができるが、分割本体50a、50bの折曲結合ボルトナット締結構造52を解離する面倒さがあり、その作業に時間と労力を未だ要していた。また、台車本体50の折曲部には、蝶番61が台車本体50の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となるばかりか、その蝶番61によって荷物の姿勢が安定しないという問題も内在していた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡単なワンタッチ操作で台車を折り畳むことができると共に、台車上面から出っ張りを排除し、フラットな上面を有する折り畳み式手押し台車を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、レール上を転動する複数の車輪を備える台車本体と、この台車本体を折曲可能に二つの分割本体で構成し、前記複数の車輪のうち少なくとも1つの車輪に対して接離可能なブレーキシューと、このブレーキシューを車輪への当接方向に付勢する付勢手段と、台車本体の前後に差し込み可能なハンドルと、このハンドルの操作によって制動力を解除する制動力解除手段を備える折り畳み式手押し台車において、前記制動力解除手段を前記ハンドル側に配設すると共に、前記台車本体の中央部に折曲機構を設け、この折曲機構が台車本体を広げた時にその床面の上面から突出しないように構成した。
【0010】
このように、操作側の少なくとも1つの車輪に対して制動力が作用するよう、またこの制動力解除手段を操作側に配設することにより、複雑な機構を付加することなく制動力解除手段ごと台車本体を折り畳むことができる。さらに、台車本体の中央部に折曲機構を設け、この折曲機構が台車本体を広げた時にその床面の上面から突出しないように構成したため、従来のように、ヒンジを構成する蝶番等が台車本体の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、その蝶番によって荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるといった問題を解消することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記ハンドルを略鉛直方向に延びるハンドル本体と、このハンドル本体の上端部に固定されて略水平方向に延びるレバー部とで構成し、このレバー部の回動操作によって前記制動力解除手段を駆動して前記ブレーキシューによる制動力を解除するようにした。したがって、台車の走行に際し、ハンドル本体は台車の進行方向に殆ど移動しないため、ハンドル本体を持てば走行路の勾配等に拘わらず、台車との距離を一定に保ったまま台車を押してこれに追随することができ、台車の走行速度を容易に制御することができる。さらに、制動力解除操作と台車の移動操作とを独立して行うことができ、ハンドルのレバー部の回動操作によって制動力を解除した状態で、ハンドル本体を押して前進させるだけでなく、手前に引張って台車を後進させることもでき、ハンドルを差し替えることなく同一場所で自由に台車を前後進させることができる。
【0012】
好ましくは、請求項3に記載の発明のように、前記制動力解除手段は、前記ハンドルのレバー部と共に略水平方向に回動する第1の回動レバーと、前記ブレーキシューを支持して略垂直方向に回動する第2の回動レバーと、第1の回動レバーと第2の回動レバーとを連結して略前後方向に延びるロッド部材を備え、前記ハンドルのレバー部を前記ブレーキシューを付勢するスプリングに抗して回動することにより、このブレーキシューを車輪から離反させ制動力を解除するようにすれば、操作側(ハンドル側)の一つの車輪に対して制動力が作用するように構成することができ、複雑な機構を付加することなく制動力解除手段ごと台車本体を折り畳むことができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記折曲機構が、前記台車本体の中央部両端に設けたヒンジ部で構成され、このヒンジ部が、前記分割本体にそれぞれ固定されたヒンジと、これらのヒンジに回動可能に固定されたヒンジアームと、このヒンジアームを介して連結されたフローティングヒンジとからなるので、台車本体を広げた時にその床面の上面からヒンジが突出しないように構成することが容易にできる。
【0014】
好ましくは、請求項5に記載の発明のように、前記分割本体を広げた状態で、その端面同士を僅かなすきまを持って対峙させ、このすきまの略中央に前記フローティングヒンジの中心を位置させると共に、このヒンジの中心と前記固定ヒンジの中心とを略水平線上に一致させるようにすれば、ヒンジの回動を最小限に抑制して折曲操作をスムーズに行うことができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、前記折曲機構が、前記台車本体の中央部両端に設けたヒンジ部で構成され、このヒンジ部が、前記分割本体にそれぞれ固定されたヒンジと、一方のヒンジに回動可能に固定され、長手方向に長窓を形成したヒンジアームとからなり、この長窓に他方のヒンジを係合させて前記分割本体を連結したので、ヒンジアームの長窓に係合するヒンジが長窓内を摺動することができるため、分割本体に対して分割本体を傾動させる際、ヒンジに無理な荷重が負荷されず、スムーズに分割本体を傾動させることができる。
【0016】
好ましくは、請求項7に記載の発明のように、前記分割本体の底面にピン孔を有する突出片を設け、当該分割本体を広げた状態でこれらの突出片が重合してそのピン孔が一致するように構成すると共に、このピン孔に固定ピンを挿入するようにすれば、ワンタッチで固定ピンの脱着作業ができ、複雑な作業をすることなく台車を簡単に折り畳むことができる。
【0017】
好ましくは、請求項8に記載の発明のように、前記固定ピンが、この先端側に小径部を有し、この小径部にボールを進退可能に保持したボールプランジャを装着したものを採用すれば、ワンタッチで固定ピンの脱着ができると共に、簡単な構成で固定ピンの脱落を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、本発明に係る折り畳み式手押し台車の実施形態を示し、図1は平面図、図2は側面図である。
【0019】
この折り畳み式手押し台車1は、地上に敷設されたレール2上を転動する4個の車輪3によって走行自在に支持された台車本体4を有している。この台車本体4は、その進行方向の中央部において折曲可能に連結された分割本体4a、4bによって構成されている。これら分割本体4a、4bは、矩形パイプで矩形枠状に形成したフレーム5の上面に床板6を被着して構成されている。なお、フレーム5は、左右一対のフレーム5a、5bと前後一対のフレーム5c、5dからなる。
【0020】
各車輪3は、鋼鈑プレス成形により形成された鉢状部3aと、この鉢状部3aの開口部を閉塞する側板3bとで構成されている。この車輪3の表面には防錆処理としての塗装が施されているが、例えばウレタンゴムや合成樹脂等を被覆し、車輪の転動に伴う騒音を抑制するようにしても良い。このように構成される車輪3は、図1に示すように、左右一対のフレーム5a、5bの前後に軸受ユニット7(図2参照)を介して回転自在に横架された車軸8の両端部に固定されている。
【0021】
本実施の形態における折り畳み式手押し台車1は、一つの車輪3に対して制動力が作用するように構成されている。車輪3に対してブレーキシュー9が接離可能に配設されており、図3に示すように、このブレーキシュー9は横方向に延びる回動軸10に一体に突設された偏心ピン10aによって回動自在に支持され、偏心ピン10aの先端に螺合するナット11で締結されている。
【0022】
回動軸10は、図4に示すように、フレーム5aに固着されたボス部12にブッシュ13を介して回動自在に支持されている。この回動軸10のフレーム5aの内側方に臨む端部には第2の回動レバー14が固着されている。また、図2に示すように、ブレーキシュー9の回動中心、すなわち、偏心ピン10aの軸心aは、制動力の作用線T(点pにおいて車輪3の外周に引いた接線)上に位置している。
【0023】
横方向のフレーム5cにはテンションボルト15が前後方向に挿通され、ロックナット16によって締結されている。このテンションボルト15と第2の回動レバー14との間にはコイルスプリング17が縮装されている。したがって、第2の回動レバー14と回動軸10の偏心ピン10aおよびブレーキシュー9はコイルスプリング17によって付勢されており、ブレーキシュー9は車輪3の外周に押圧されて制動力を発生させる方向に常時付勢されている。
【0024】
一方、フレーム5aの端部には上下一対のストッパプレート18が固着されており(図3参照)、上下一対のストッパプレート18間には、第1の回動レバー19が支軸20を中心として略水平方向に回動自在に枢着されている。そして、この第1の回動レバー19と第2の回動レバー14とは、台車本体4の前後方向に沿って配設されたロッド部材21によって連結されている。これら第1の可動レバー19と第2の回動レバー14およびロッド部材21によって制動力解除手段を構成している。
【0025】
ここで、図3を用いて制動力解除手段の構成を詳細に説明する。第1の回動レバー19は、垂直に立設した円筒状のハンドルパイプ19aの上下にハンドルプレート19bを水平に固着すると共に、ハンドルパイプ19aにピン19cを貫通保持して構成されている。この第1の回動レバー19を、一対のストッパプレート18間に差し込むと共に、ハンドルプレート19bに穿設した円孔19b−1をストッパプレート18に穿設した円孔18aに合わせ、円孔18a、19b−1に支軸20を挿通させることによって、前述したように支軸20を中心として略水平方向に回動可能に枢着される。そして、この第1の回動レバー19にはロッド部材21の一端が自在継手22を介して連結されている。一方、ロッド部材21の他端は自在継手23を介して第2の回動レバー14に連結されている。
【0026】
このように、折り畳み式手押し台車1においては、停止時には前述したコイルスプリング17の付勢力によってブレーキシュー9が車輪3に押圧されて所定の制動力が生じ、この制動力によって台車1に対して荷物等の積み降ろしを作業性良く行うことができる。そして、台車1の走行に際しては、第1の回動レバー19のハンドルパイプ19aに図2に示すハンドル27を略垂直に差し込んで操作することにより、制動力解除手段を駆動して制動力を解除すると共に、台車1を押してこれを走行させることができる。
【0027】
ハンドル27は丸パイプで略T字状に形成され、略垂直方向に延びるハンドル本体27aと、このハンドル本体27aの上端部に固定され、略水平方向に延びるレバー部27bとで構成されている。このハンドル本体27aの下端差し込み部に相当する部分には、その下端が開口する係合溝27a−1が形成されている(図2参照)。
【0028】
このように構成されるハンドル27は、このハンドル本体27aが略垂直になるように下端部を第1の回動レバー19のハンドルパイプ19a内に上方から差し込み、係合溝27a−1をピン19cに係合させることによってハンドル27の回り止めがなされる。
【0029】
ここで、台車1が停止している時には、ブレーキシュー9はコイルスプリング17の付勢力によって車輪3の外周面に押圧されて所定の制動力を発生している。この時、第1の回動レバー19のハンドルパイプ19aは図5の実線に示すようにストッパプレート18に当接しており、また、ハンドル27のレバー部27bはθ1の位置にある。
【0030】
次に、台車1を走行させる時は、ハンドル27のレバー部27bを持って水平にθ2の位置までΔθだけ矢印方向に回動させると、第1の回動レバー19も支軸20を中心として同方向にΔθだけ回動する。この第1の回動レバー19の回動動作によってロッド部材21が矢印方向に押されて第2の回動レバー14を、回動軸10を中心として図2の時計方向に回動させる。すると、回動軸10の偏心ピン10aも回動軸10の軸心を中心として同方向に回動してブレーキシュー9を車輪3から離反させる。よって、ブレーキシュー9によって車輪3に加えられていた制動力が解除され、台車1は走行可能な状態となる。なお、ハンドル27のレバー部27bの回動量(Δθ)は、第1の回動レバー19のハンドルパイプ19aがストッパプレート18に当接することによって規制される(図9の鎖線)。
【0031】
前述したように、制動力を解除した状態でハンドル27のハンドル本体27aを前方(図1および図2の右方)に押せば、台車1はレール2上を前方に向かって走行する。このように、走行に際してハンドル27のハンドル本体27aは台車1の進行方向に殆ど移動しないため、ハンドル本体27aを持てば、走行路の勾配に拘わらず、台車1との距離を一定に保ったまま台車1を押して追随することができ、台車1の走行速度を自由にコントロールすることができる。また、制動力解除方向(レバー部27bの回動方向)と、台車1の移動方向(ハンドル本体27aの押圧方向)とが異なるため、ハンドル27のレバー部27bの回動操作によって制動力を解除した状態で、ハンドル本体27aを手前に引張って台車1を後進させることもできる。
【0032】
この折り畳み式手押し台車1は、台車本体4を中央部から折曲可能に構成しているが、次に、図1、図2および図6を用いて台車本体4の折曲部の機構について詳細に説明する。
【0033】
図2の2点鎖線で示すように、台車1は、台車本体4の中央部に装着したヒンジ部24を支点に折曲し折り畳むことができる。このヒンジ部24は、台車本体4の中央部両端の床板6を一部くり貫いて形成した凹所6a内に収容されている。ヒンジ部24は、3つのヒンジ24a、24bおよび24cとで構成され、このうち2つのヒンジ24a、24bはフレーム5a、5bにそれぞれ回動可能に固定されている。一方、中央のヒンジ24cはフローティング状態になっている。固定側ヒンジ24a、24bは、そのヒンジアーム24a−1、24b−1の一端がボルト等で回動可能に固定され、他端がピン等でヒンジ24cによって回動可能に連結されている。
【0034】
図6(a)は、台車本体4の折曲動作を示した説明図、図6(b)は(a)の側面図である。ここでは、動作説明を簡単にするため、ヒンジアーム24a−1、24b−1を省略している。分割本体4a、4bを広げた状態では、ヒンジ24a、24bおよび24cの中心a1、b1およびc1は略水平線上に一致し、ヒンジ24cは床板6の上面から突出しないように配設されている。また、分割本体4a、4bの端面同士は僅かなすきまδをもって対峙し、このすきまδの中央にヒンジ24cの中心c1が位置している。このような構成にすることにより、少なくともヒンジ24cの回動を最小限に抑制して分割本体4bの折曲操作をスムーズに行うことができる。
【0035】
このような状態で分割本体4bを折曲していくと、次第にヒンジ24cの中心c1はヒンジ24aの中心a1を中心として上方に移動し、分割本体4bを分割本体4aに完全に折り畳んだ状態では、固定側のヒンジ24a、24bの中心a1、b1の中間位置、すなわち、二等辺三角形の頂点に位置することになる。したがって、フローティング側のヒンジ24cは床板6の上面から突出するが、前述したように、本実施形態では、床板6を一部くり貫いて凹所6aを形成しているため、台車本体4を折り畳んでもこのヒンジ24cは床板6に干渉することはない。このように、分割本体4a、4bを広げた状態において、ヒンジ部24は床面6の上面からは突出しないため、従来のように、ヒンジを構成する蝶番等が台車本体の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、その蝶番によって荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるといった問題を解消することができる。なお、ここでは、床板6を一部くり貫いて凹所6aを形成し、この凹所6aにヒンジ部24を収容したが、これに限らず、ヒンジ部24をフレーム5a、5bの外側に装着しても良い。
【0036】
この分割本体4a、4bの底面にはピン孔25a−1、25b−1を有する突出片25a、25bがそれぞれ設けられ、分割本体4a、4bを広げた状態でそれらの突出片25a、25bが重合してピン孔25a−1、25b−1が一致するように構成されている。このピン孔25a−1、25b−1に固定ピン26を装着することによって、分割本体4a、4bは固定され1枚の台車本体4として機能する。
【0037】
次に図7を用いて前述した固定ピン26の構造を詳細に説明する。この固定ピン26は、ピン孔25a−1、25b−1に挿入し易いように尖塔状の先端部26aが形成され、後端部にはワイヤ28を係止するワイヤ孔26bが穿設されている。また、先端側には僅かに縮径した小径部26cが形成されている。この小径部26cを貫通して雌ねじ29が形成され、ボールプランジャ30が螺合されている。このボールプランジャ30は、先端にボール30aが進退可能に保持されており、常に突出方向に図示しないコイルばねで付勢されている。31は固定ピン26に装着したサークリップで、ボール30aとこのサークリップ31とで固定ピン26の脱落を防止している。
【0038】
分割本体4a、4bを広げた状態で突出片25a、25bのピン孔25a−1、25b−1を一致させ固定ピン26を挿入する訳であるが、この固定ピン26に螺合したボールプランジャ30のボール30aがピン孔25a−1、25b−1を通過する時に後退し、通過後に再び突出して固定ピン26の脱落を防止する。したがって、台車本体4の折り畳み作業は、この固定ピン26のワンタッチの脱着で簡単に行うことができ、作業性を格段に向上させることができる。また、固定ピン26に係止されたワイヤ28の一端は、フレーム5aに固定されているため、台車本体4を折り畳んだ状態、すなわち、固定ピン26をピン孔25a−1、25b−1から抜いた状態でも紛失する心配はない。
【0039】
図8は、本発明に係る折り畳み式手押し台車の他の実施形態を示す要部拡大平面図である。この実施形態は、前述した実施形態と折曲機構のみが異なり、その他同一部品同一部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
この実施形態も台車本体4の中央部で、左右一対のフレーム5a、5bに配設されたヒンジ部32を支点に折曲し折り畳むことができる。このヒンジ部32は3つのヒンジ32a、32b、32cから構成され、分割本体4a側のフレーム5aに固定されたヒンジ32aと、このヒンジ32aに突設されたヒンジアーム33の先端に配設され、枢軸34からなるヒンジ32bと、このヒンジ32bに回動可能に固定されたヒンジアーム35に係合するヒンジ32cとからなっている。
【0041】
ヒンジ32aは、略三角形状をなすヒンジアーム33の底部33aを2点で固定している。一方、ヒンジアーム33の頂部33bには枢軸34が挿入され、ヒンジアーム35を回動可能に支持している。ヒンジアーム33は、底部33aから頂部33bにかけて折曲され、段付き形状に形成されている。したがって、この頂部33bとフレーム5a間には空間が形成され、枢軸34の頭部34aを収容することができる。枢軸34に支持されたヒンジアーム35の先端部には長手方向に長窓35aが形成され、3つ目のヒンジ32cに係合している。このヒンジ32cは、両端にねじ部36aを有する段付きのピン36からなり、一端部を、ねじ部36aに螺合された固定ナット36bと段付き部36cとで分割本体4b側のフレーム5aを挟み込んだ状態で固定されている。また、他端部は、ねじ部36aに螺合された固定ナット36bと段付き部36cとでヒンジアーム35を相対移動可能に挟持している。分割本体4bを折り畳む際に、この他端部はヒンジアーム35の長窓35a内を摺動する。
【0042】
次に、台車本体4の折曲動作を図9を用いて説明する。分割本体4a、4bを広げた状態では、ヒンジ32bおよび32cの中心は略水平線上に一致し、ヒンジ32bは床板6の上面から突出しないように配設されている。また、分割本体4a、4bの端面同士は衝合し、この衝合面にヒンジ32bの中心が位置している。分割本体4a、4bの端部の底面には突出片37a、37bが一体に形成され、この突出片37a、37bにはピン孔37a−1、37b−1がそれぞれ穿設されている。分割本体4a、4bを広げた後、突出片37a、37bを重合させ、ピン孔37a−1と37b−1とを一致させる。そして、これらの37a−1と37b−1に固定ピン26を嵌合することによって二つの分割本体4a、4bは一体に固定され、一台の手押し台車として機能する。
【0043】
分割本体4bを折曲する際、まず分割本体4bを分割本体4aから水平方向に僅かに離反させ、ヒンジ32cを支点として分割本体4bを傾動させる。この分割本体4bの傾動に伴い、ヒンジ32bに対してヒンジアーム35が回動していく。分割本体4a、4bは、ヒンジアーム35によって連結されているため、分割本体4bを分割本体4a上に完全に折り畳んだ状態から分割本体4bを水平方向にスライドさせることができる。したがって、分割本体4a、4bの端面を合わせ、フレーム5c、5dに設けた固定用フック(図示せず)を係止させて両者を固定することができる。また、ヒンジアーム35の長窓35aに係合するヒンジ32cが長窓35a内を摺動することができるため、分割本体4aに対して分割本体4bを傾動させる際、ヒンジ32bに無理な荷重が負荷されず、スムーズに分割本体4bを傾動させることができる。
【0044】
このように、本実施形態も前述したものと同様、分割本体4a、4bを広げた状態において、ヒンジ部32は床面6の上面からは突出しないため、従来のように、ヒンジを構成する蝶番等が台車本体の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、その蝶番によって荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるといった問題を解消することができる。
【0045】
前述したように、本発明に係る折り畳み式手押し台車の実施形態では、台車本体4を中央部から折曲可能に構成すると共に、操作側の一つの車輪3に対して制動力が作用するように構成されているため、複雑な機構を付加することなく制動力解除手段ごと台車本体4を折り畳むことができる。さらに、台車1の使用中には、折曲機構を構成するヒンジ部24、32は床面6の上面からは突出しないため、従来のように、ヒンジを構成する蝶番等が台車本体の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、その蝶番によって荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるといった問題を解消することができる。また、台車本体4の折り畳み作業も、固定ピン26のワンタッチの脱着で簡単に行うことができ、作業性を格段に向上させることができる
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る折り畳み式手押し台車は、レール上を転動する複数の車輪を備える台車本体と、この台車本体を折曲可能に二つの分割本体で構成し、前記複数の車輪のうち少なくとも1つの車輪に対して接離可能なブレーキシューと、このブレーキシューを車輪への当接方向に付勢する付勢手段と、台車本体の前後に差し込み可能なハンドルと、このハンドルの操作によって制動力を解除する制動力解除手段を備える折り畳み式手押し台車において、前記制動力解除手段を前記ハンドル側に配設すると共に、前記台車本体の中央部に折曲機構を設け、この折曲機構が台車本体を広げた時にその床面の上面から突出しないように構成したため、複雑な機構を付加することなく制動力解除手段ごと台車本体を折り畳むことができると共に、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、積載した荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る折り畳み式手押し台車の実施形態を示す平面図である。
【図2】同上側面図である。
【図3】本発明に係る折り畳み式手押し台車の制動部を示す分解斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本発明に係る折り畳み式手押し台車の制動力解除手段の作用説明図である。
【図6】(a)は本発明に係る折り畳み式手押し台車の折曲動作を示した説明図である。
(b)は(a)の断面図である。
【図7】(a)は本発明に係る折り畳み式手押し台車の固定ピンを示す正面図である。
(b)は(a)の要部断面図である。
【図8】本発明に係る折り畳み式手押し台車の他の実施形態を示す要部拡大平面図である。
【図9】本発明に係る折り畳み式手押し台車の他の実施形態における折曲動作を示した説明図である。
【図10】従来の折り畳み式手押し台車を示す側面図である。
【図11】同上台車本体を折曲して折り畳んだ状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・・・・折り畳み式手押し台車
2・・・・・・・・・・・・・・・レール
3・・・・・・・・・・・・・・・車輪
3a・・・・・・・・・・・・・・鉢状部
3b・・・・・・・・・・・・・・側板
4・・・・・・・・・・・・・・・台車本体
4a、4b・・・・・・・・・・・分割本体
5、5a、5b、5c、5d・・・フレーム
6・・・・・・・・・・・・・・・床板
7・・・・・・・・・・・・・・・軸受ユニット
8・・・・・・・・・・・・・・・車軸
9・・・・・・・・・・・・・・・ブレーキシュー
10・・・・・・・・・・・・・・回動軸
10a・・・・・・・・・・・・・偏心ピン
11・・・・・・・・・・・・・・ナット
12・・・・・・・・・・・・・・ボス部
13・・・・・・・・・・・・・・ブッシュ
14・・・・・・・・・・・・・・第2の回動レバー
15・・・・・・・・・・・・・・テンションボルト
16・・・・・・・・・・・・・・ロックナット
17・・・・・・・・・・・・・・コイルスプリング
18・・・・・・・・・・・・・・ストッパプレート
18a、19b−1・・・・・・・円孔
19・・・・・・・・・・・・・・第1の回動レバー
19a・・・・・・・・・・・・・ハンドルパイプ
19b・・・・・・・・・・・・・ハンドルプレート
19c・・・・・・・・・・・・・ピン
20・・・・・・・・・・・・・・支軸
21・・・・・・・・・・・・・・ロッド部材
22、23・・・・・・・・・・・自在継手
24、32・・・・・・・・・・・ヒンジ部
24a、24b、24c・・・・・ヒンジ
24a−1、24b−1・・・・・ヒンジアーム
25a、25b・・・・・・・・・突出片
25a−1、25b−1・・・・・ピン孔
26・・・・・・・・・・・・・・固定ピン
26a・・・・・・・・・・・・・先端部
26b・・・・・・・・・・・・・ワイヤ孔
26c・・・・・・・・・・・・・小径部
27・・・・・・・・・・・・・・ハンドル
27a・・・・・・・・・・・・・ハンドル本体
27b・・・・・・・・・・・・・レバー部
27a−1・・・・・・・・・・・係合溝
28・・・・・・・・・・・・・・ワイヤ
29・・・・・・・・・・・・・・雌ねじ
30・・・・・・・・・・・・・・ボールプランジャ
30a・・・・・・・・・・・・・ボール
31・・・・・・・・・・・・・・サークリップ
32a、32b、32c・・・・・ヒンジ
33、35・・・・・・・・・・・ヒンジアーム
33a・・・・・・・・・・・・・底部
33b・・・・・・・・・・・・・頂部
34・・・・・・・・・・・・・・枢軸
34a・・・・・・・・・・・・・頭部
35a・・・・・・・・・・・・・長窓
36・・・・・・・・・・・・・・ピン
36a・・・・・・・・・・・・・ねじ部
36b・・・・・・・・・・・・・固定ナット
36c・・・・・・・・・・・・・段付き部
37a、37b・・・・・・・・・突出片
37a−1、37b−1・・・・・ピン孔
50・・・・・・・・・・・・・・台車本体
50a、50b・・・・・・・・・分割本体
51・・・・・・・・・・・・・・操作力伝達ロッド
51a、51b・・・・・・・・・連結ロッド
52・・・・・・・・・・・・・・ボルトナット締結構造
53・・・・・・・・・・・・・・屈曲回動ヒンジ
55・・・・・・・・・・・・・・カバー体
56・・・・・・・・・・・・・・スプリング
58・・・・・・・・・・・・・・係止機構
60・・・・・・・・・・・・・・ハンドル杆
61・・・・・・・・・・・・・・蝶番
Δθ・・・・・・・・・・・・・・回動量
θ1、θ2・・・・・・・・・・・回動位置
a・・・・・・・・・・・・・・・軸心
a1、b1、c1・・・・・・・・ヒンジの中心
δ・・・・・・・・・・・・・・・すきま
p・・・・・・・・・・・・・・・点
T・・・・・・・・・・・・・・・作用線
【発明の属する技術分野】
本発明は、人力によってレール上を走行する手押し台車、特に台車本体を中央部から折曲可能に構成してコンパクトに格納収容できる折り畳み式手押し台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、軽便トロッコやハンドカート等の走行操作は、台車の車輪にスプリングで制動が与えられ、台車の端部に設けられたハンドルを回動することにより、ハンドルと連結する伝達ロッドが所定の引張力や押圧力を車輪制動機構に伝達して制動が解除され、台車の走行が可能となっている。
【0003】
しかしながら、小回りの効く台車の用途が多様化するにつれ、台車本体の長さも長尺化するようになってきており、台車本体を中央部から折曲できる構造のものも用いられるようになっている。この台車本体を折曲し格納する場合には、台車に装着した動力伝達ロッドを取り外してから台車本体を折曲し、別途収納管理しなければならない。こうした問題を解決するものとして、図10および図11に示す折り畳み式手押し台車が既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−341650号公報(第2、3頁、第1図)
【0005】
この折り畳み式手押し台車は、台車本体50を中央部から折曲可能に構成し、下部に配設されるハンドル杆60の操作力伝達ロッド51の台車本体折曲部対応位置に、両端に屈曲回動ヒンジ53を設けた継接片54を設け、同ヒンジ53によって屈曲可能に連結ロッド51a、51bからなる伝達ロッド51を継接し、推進時に継接部を被覆して連結ロッド51a、51bの直線性を保持し、後退時に継接部を露出して屈曲可能状態とするカバー体55を推進方向に付勢させて嵌着すると共に、このカバー体55後退位置に係止機構58を設けるよう構成したものである。
【0006】
一方、台車本体50を折り畳む場合には、カバー体55をスプリング56に抗して継接部露出方向に後退させ、このカバー体55を係止して伝達ロッド51の屈曲状態を保持した上で、分割本体50a、50bの折曲結合ボルトナット締結構造52を解離して伝達ロッド51ごと台車本体50を折り畳むことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この折り畳み式手押し台車において、長尺のロッド部分を取り外すことなく、台車本体50を伝達ロッド51ごと折り畳むことができるが、分割本体50a、50bの折曲結合ボルトナット締結構造52を解離する面倒さがあり、その作業に時間と労力を未だ要していた。また、台車本体50の折曲部には、蝶番61が台車本体50の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となるばかりか、その蝶番61によって荷物の姿勢が安定しないという問題も内在していた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡単なワンタッチ操作で台車を折り畳むことができると共に、台車上面から出っ張りを排除し、フラットな上面を有する折り畳み式手押し台車を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、レール上を転動する複数の車輪を備える台車本体と、この台車本体を折曲可能に二つの分割本体で構成し、前記複数の車輪のうち少なくとも1つの車輪に対して接離可能なブレーキシューと、このブレーキシューを車輪への当接方向に付勢する付勢手段と、台車本体の前後に差し込み可能なハンドルと、このハンドルの操作によって制動力を解除する制動力解除手段を備える折り畳み式手押し台車において、前記制動力解除手段を前記ハンドル側に配設すると共に、前記台車本体の中央部に折曲機構を設け、この折曲機構が台車本体を広げた時にその床面の上面から突出しないように構成した。
【0010】
このように、操作側の少なくとも1つの車輪に対して制動力が作用するよう、またこの制動力解除手段を操作側に配設することにより、複雑な機構を付加することなく制動力解除手段ごと台車本体を折り畳むことができる。さらに、台車本体の中央部に折曲機構を設け、この折曲機構が台車本体を広げた時にその床面の上面から突出しないように構成したため、従来のように、ヒンジを構成する蝶番等が台車本体の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、その蝶番によって荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるといった問題を解消することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記ハンドルを略鉛直方向に延びるハンドル本体と、このハンドル本体の上端部に固定されて略水平方向に延びるレバー部とで構成し、このレバー部の回動操作によって前記制動力解除手段を駆動して前記ブレーキシューによる制動力を解除するようにした。したがって、台車の走行に際し、ハンドル本体は台車の進行方向に殆ど移動しないため、ハンドル本体を持てば走行路の勾配等に拘わらず、台車との距離を一定に保ったまま台車を押してこれに追随することができ、台車の走行速度を容易に制御することができる。さらに、制動力解除操作と台車の移動操作とを独立して行うことができ、ハンドルのレバー部の回動操作によって制動力を解除した状態で、ハンドル本体を押して前進させるだけでなく、手前に引張って台車を後進させることもでき、ハンドルを差し替えることなく同一場所で自由に台車を前後進させることができる。
【0012】
好ましくは、請求項3に記載の発明のように、前記制動力解除手段は、前記ハンドルのレバー部と共に略水平方向に回動する第1の回動レバーと、前記ブレーキシューを支持して略垂直方向に回動する第2の回動レバーと、第1の回動レバーと第2の回動レバーとを連結して略前後方向に延びるロッド部材を備え、前記ハンドルのレバー部を前記ブレーキシューを付勢するスプリングに抗して回動することにより、このブレーキシューを車輪から離反させ制動力を解除するようにすれば、操作側(ハンドル側)の一つの車輪に対して制動力が作用するように構成することができ、複雑な機構を付加することなく制動力解除手段ごと台車本体を折り畳むことができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記折曲機構が、前記台車本体の中央部両端に設けたヒンジ部で構成され、このヒンジ部が、前記分割本体にそれぞれ固定されたヒンジと、これらのヒンジに回動可能に固定されたヒンジアームと、このヒンジアームを介して連結されたフローティングヒンジとからなるので、台車本体を広げた時にその床面の上面からヒンジが突出しないように構成することが容易にできる。
【0014】
好ましくは、請求項5に記載の発明のように、前記分割本体を広げた状態で、その端面同士を僅かなすきまを持って対峙させ、このすきまの略中央に前記フローティングヒンジの中心を位置させると共に、このヒンジの中心と前記固定ヒンジの中心とを略水平線上に一致させるようにすれば、ヒンジの回動を最小限に抑制して折曲操作をスムーズに行うことができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、前記折曲機構が、前記台車本体の中央部両端に設けたヒンジ部で構成され、このヒンジ部が、前記分割本体にそれぞれ固定されたヒンジと、一方のヒンジに回動可能に固定され、長手方向に長窓を形成したヒンジアームとからなり、この長窓に他方のヒンジを係合させて前記分割本体を連結したので、ヒンジアームの長窓に係合するヒンジが長窓内を摺動することができるため、分割本体に対して分割本体を傾動させる際、ヒンジに無理な荷重が負荷されず、スムーズに分割本体を傾動させることができる。
【0016】
好ましくは、請求項7に記載の発明のように、前記分割本体の底面にピン孔を有する突出片を設け、当該分割本体を広げた状態でこれらの突出片が重合してそのピン孔が一致するように構成すると共に、このピン孔に固定ピンを挿入するようにすれば、ワンタッチで固定ピンの脱着作業ができ、複雑な作業をすることなく台車を簡単に折り畳むことができる。
【0017】
好ましくは、請求項8に記載の発明のように、前記固定ピンが、この先端側に小径部を有し、この小径部にボールを進退可能に保持したボールプランジャを装着したものを採用すれば、ワンタッチで固定ピンの脱着ができると共に、簡単な構成で固定ピンの脱落を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、本発明に係る折り畳み式手押し台車の実施形態を示し、図1は平面図、図2は側面図である。
【0019】
この折り畳み式手押し台車1は、地上に敷設されたレール2上を転動する4個の車輪3によって走行自在に支持された台車本体4を有している。この台車本体4は、その進行方向の中央部において折曲可能に連結された分割本体4a、4bによって構成されている。これら分割本体4a、4bは、矩形パイプで矩形枠状に形成したフレーム5の上面に床板6を被着して構成されている。なお、フレーム5は、左右一対のフレーム5a、5bと前後一対のフレーム5c、5dからなる。
【0020】
各車輪3は、鋼鈑プレス成形により形成された鉢状部3aと、この鉢状部3aの開口部を閉塞する側板3bとで構成されている。この車輪3の表面には防錆処理としての塗装が施されているが、例えばウレタンゴムや合成樹脂等を被覆し、車輪の転動に伴う騒音を抑制するようにしても良い。このように構成される車輪3は、図1に示すように、左右一対のフレーム5a、5bの前後に軸受ユニット7(図2参照)を介して回転自在に横架された車軸8の両端部に固定されている。
【0021】
本実施の形態における折り畳み式手押し台車1は、一つの車輪3に対して制動力が作用するように構成されている。車輪3に対してブレーキシュー9が接離可能に配設されており、図3に示すように、このブレーキシュー9は横方向に延びる回動軸10に一体に突設された偏心ピン10aによって回動自在に支持され、偏心ピン10aの先端に螺合するナット11で締結されている。
【0022】
回動軸10は、図4に示すように、フレーム5aに固着されたボス部12にブッシュ13を介して回動自在に支持されている。この回動軸10のフレーム5aの内側方に臨む端部には第2の回動レバー14が固着されている。また、図2に示すように、ブレーキシュー9の回動中心、すなわち、偏心ピン10aの軸心aは、制動力の作用線T(点pにおいて車輪3の外周に引いた接線)上に位置している。
【0023】
横方向のフレーム5cにはテンションボルト15が前後方向に挿通され、ロックナット16によって締結されている。このテンションボルト15と第2の回動レバー14との間にはコイルスプリング17が縮装されている。したがって、第2の回動レバー14と回動軸10の偏心ピン10aおよびブレーキシュー9はコイルスプリング17によって付勢されており、ブレーキシュー9は車輪3の外周に押圧されて制動力を発生させる方向に常時付勢されている。
【0024】
一方、フレーム5aの端部には上下一対のストッパプレート18が固着されており(図3参照)、上下一対のストッパプレート18間には、第1の回動レバー19が支軸20を中心として略水平方向に回動自在に枢着されている。そして、この第1の回動レバー19と第2の回動レバー14とは、台車本体4の前後方向に沿って配設されたロッド部材21によって連結されている。これら第1の可動レバー19と第2の回動レバー14およびロッド部材21によって制動力解除手段を構成している。
【0025】
ここで、図3を用いて制動力解除手段の構成を詳細に説明する。第1の回動レバー19は、垂直に立設した円筒状のハンドルパイプ19aの上下にハンドルプレート19bを水平に固着すると共に、ハンドルパイプ19aにピン19cを貫通保持して構成されている。この第1の回動レバー19を、一対のストッパプレート18間に差し込むと共に、ハンドルプレート19bに穿設した円孔19b−1をストッパプレート18に穿設した円孔18aに合わせ、円孔18a、19b−1に支軸20を挿通させることによって、前述したように支軸20を中心として略水平方向に回動可能に枢着される。そして、この第1の回動レバー19にはロッド部材21の一端が自在継手22を介して連結されている。一方、ロッド部材21の他端は自在継手23を介して第2の回動レバー14に連結されている。
【0026】
このように、折り畳み式手押し台車1においては、停止時には前述したコイルスプリング17の付勢力によってブレーキシュー9が車輪3に押圧されて所定の制動力が生じ、この制動力によって台車1に対して荷物等の積み降ろしを作業性良く行うことができる。そして、台車1の走行に際しては、第1の回動レバー19のハンドルパイプ19aに図2に示すハンドル27を略垂直に差し込んで操作することにより、制動力解除手段を駆動して制動力を解除すると共に、台車1を押してこれを走行させることができる。
【0027】
ハンドル27は丸パイプで略T字状に形成され、略垂直方向に延びるハンドル本体27aと、このハンドル本体27aの上端部に固定され、略水平方向に延びるレバー部27bとで構成されている。このハンドル本体27aの下端差し込み部に相当する部分には、その下端が開口する係合溝27a−1が形成されている(図2参照)。
【0028】
このように構成されるハンドル27は、このハンドル本体27aが略垂直になるように下端部を第1の回動レバー19のハンドルパイプ19a内に上方から差し込み、係合溝27a−1をピン19cに係合させることによってハンドル27の回り止めがなされる。
【0029】
ここで、台車1が停止している時には、ブレーキシュー9はコイルスプリング17の付勢力によって車輪3の外周面に押圧されて所定の制動力を発生している。この時、第1の回動レバー19のハンドルパイプ19aは図5の実線に示すようにストッパプレート18に当接しており、また、ハンドル27のレバー部27bはθ1の位置にある。
【0030】
次に、台車1を走行させる時は、ハンドル27のレバー部27bを持って水平にθ2の位置までΔθだけ矢印方向に回動させると、第1の回動レバー19も支軸20を中心として同方向にΔθだけ回動する。この第1の回動レバー19の回動動作によってロッド部材21が矢印方向に押されて第2の回動レバー14を、回動軸10を中心として図2の時計方向に回動させる。すると、回動軸10の偏心ピン10aも回動軸10の軸心を中心として同方向に回動してブレーキシュー9を車輪3から離反させる。よって、ブレーキシュー9によって車輪3に加えられていた制動力が解除され、台車1は走行可能な状態となる。なお、ハンドル27のレバー部27bの回動量(Δθ)は、第1の回動レバー19のハンドルパイプ19aがストッパプレート18に当接することによって規制される(図9の鎖線)。
【0031】
前述したように、制動力を解除した状態でハンドル27のハンドル本体27aを前方(図1および図2の右方)に押せば、台車1はレール2上を前方に向かって走行する。このように、走行に際してハンドル27のハンドル本体27aは台車1の進行方向に殆ど移動しないため、ハンドル本体27aを持てば、走行路の勾配に拘わらず、台車1との距離を一定に保ったまま台車1を押して追随することができ、台車1の走行速度を自由にコントロールすることができる。また、制動力解除方向(レバー部27bの回動方向)と、台車1の移動方向(ハンドル本体27aの押圧方向)とが異なるため、ハンドル27のレバー部27bの回動操作によって制動力を解除した状態で、ハンドル本体27aを手前に引張って台車1を後進させることもできる。
【0032】
この折り畳み式手押し台車1は、台車本体4を中央部から折曲可能に構成しているが、次に、図1、図2および図6を用いて台車本体4の折曲部の機構について詳細に説明する。
【0033】
図2の2点鎖線で示すように、台車1は、台車本体4の中央部に装着したヒンジ部24を支点に折曲し折り畳むことができる。このヒンジ部24は、台車本体4の中央部両端の床板6を一部くり貫いて形成した凹所6a内に収容されている。ヒンジ部24は、3つのヒンジ24a、24bおよび24cとで構成され、このうち2つのヒンジ24a、24bはフレーム5a、5bにそれぞれ回動可能に固定されている。一方、中央のヒンジ24cはフローティング状態になっている。固定側ヒンジ24a、24bは、そのヒンジアーム24a−1、24b−1の一端がボルト等で回動可能に固定され、他端がピン等でヒンジ24cによって回動可能に連結されている。
【0034】
図6(a)は、台車本体4の折曲動作を示した説明図、図6(b)は(a)の側面図である。ここでは、動作説明を簡単にするため、ヒンジアーム24a−1、24b−1を省略している。分割本体4a、4bを広げた状態では、ヒンジ24a、24bおよび24cの中心a1、b1およびc1は略水平線上に一致し、ヒンジ24cは床板6の上面から突出しないように配設されている。また、分割本体4a、4bの端面同士は僅かなすきまδをもって対峙し、このすきまδの中央にヒンジ24cの中心c1が位置している。このような構成にすることにより、少なくともヒンジ24cの回動を最小限に抑制して分割本体4bの折曲操作をスムーズに行うことができる。
【0035】
このような状態で分割本体4bを折曲していくと、次第にヒンジ24cの中心c1はヒンジ24aの中心a1を中心として上方に移動し、分割本体4bを分割本体4aに完全に折り畳んだ状態では、固定側のヒンジ24a、24bの中心a1、b1の中間位置、すなわち、二等辺三角形の頂点に位置することになる。したがって、フローティング側のヒンジ24cは床板6の上面から突出するが、前述したように、本実施形態では、床板6を一部くり貫いて凹所6aを形成しているため、台車本体4を折り畳んでもこのヒンジ24cは床板6に干渉することはない。このように、分割本体4a、4bを広げた状態において、ヒンジ部24は床面6の上面からは突出しないため、従来のように、ヒンジを構成する蝶番等が台車本体の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、その蝶番によって荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるといった問題を解消することができる。なお、ここでは、床板6を一部くり貫いて凹所6aを形成し、この凹所6aにヒンジ部24を収容したが、これに限らず、ヒンジ部24をフレーム5a、5bの外側に装着しても良い。
【0036】
この分割本体4a、4bの底面にはピン孔25a−1、25b−1を有する突出片25a、25bがそれぞれ設けられ、分割本体4a、4bを広げた状態でそれらの突出片25a、25bが重合してピン孔25a−1、25b−1が一致するように構成されている。このピン孔25a−1、25b−1に固定ピン26を装着することによって、分割本体4a、4bは固定され1枚の台車本体4として機能する。
【0037】
次に図7を用いて前述した固定ピン26の構造を詳細に説明する。この固定ピン26は、ピン孔25a−1、25b−1に挿入し易いように尖塔状の先端部26aが形成され、後端部にはワイヤ28を係止するワイヤ孔26bが穿設されている。また、先端側には僅かに縮径した小径部26cが形成されている。この小径部26cを貫通して雌ねじ29が形成され、ボールプランジャ30が螺合されている。このボールプランジャ30は、先端にボール30aが進退可能に保持されており、常に突出方向に図示しないコイルばねで付勢されている。31は固定ピン26に装着したサークリップで、ボール30aとこのサークリップ31とで固定ピン26の脱落を防止している。
【0038】
分割本体4a、4bを広げた状態で突出片25a、25bのピン孔25a−1、25b−1を一致させ固定ピン26を挿入する訳であるが、この固定ピン26に螺合したボールプランジャ30のボール30aがピン孔25a−1、25b−1を通過する時に後退し、通過後に再び突出して固定ピン26の脱落を防止する。したがって、台車本体4の折り畳み作業は、この固定ピン26のワンタッチの脱着で簡単に行うことができ、作業性を格段に向上させることができる。また、固定ピン26に係止されたワイヤ28の一端は、フレーム5aに固定されているため、台車本体4を折り畳んだ状態、すなわち、固定ピン26をピン孔25a−1、25b−1から抜いた状態でも紛失する心配はない。
【0039】
図8は、本発明に係る折り畳み式手押し台車の他の実施形態を示す要部拡大平面図である。この実施形態は、前述した実施形態と折曲機構のみが異なり、その他同一部品同一部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
この実施形態も台車本体4の中央部で、左右一対のフレーム5a、5bに配設されたヒンジ部32を支点に折曲し折り畳むことができる。このヒンジ部32は3つのヒンジ32a、32b、32cから構成され、分割本体4a側のフレーム5aに固定されたヒンジ32aと、このヒンジ32aに突設されたヒンジアーム33の先端に配設され、枢軸34からなるヒンジ32bと、このヒンジ32bに回動可能に固定されたヒンジアーム35に係合するヒンジ32cとからなっている。
【0041】
ヒンジ32aは、略三角形状をなすヒンジアーム33の底部33aを2点で固定している。一方、ヒンジアーム33の頂部33bには枢軸34が挿入され、ヒンジアーム35を回動可能に支持している。ヒンジアーム33は、底部33aから頂部33bにかけて折曲され、段付き形状に形成されている。したがって、この頂部33bとフレーム5a間には空間が形成され、枢軸34の頭部34aを収容することができる。枢軸34に支持されたヒンジアーム35の先端部には長手方向に長窓35aが形成され、3つ目のヒンジ32cに係合している。このヒンジ32cは、両端にねじ部36aを有する段付きのピン36からなり、一端部を、ねじ部36aに螺合された固定ナット36bと段付き部36cとで分割本体4b側のフレーム5aを挟み込んだ状態で固定されている。また、他端部は、ねじ部36aに螺合された固定ナット36bと段付き部36cとでヒンジアーム35を相対移動可能に挟持している。分割本体4bを折り畳む際に、この他端部はヒンジアーム35の長窓35a内を摺動する。
【0042】
次に、台車本体4の折曲動作を図9を用いて説明する。分割本体4a、4bを広げた状態では、ヒンジ32bおよび32cの中心は略水平線上に一致し、ヒンジ32bは床板6の上面から突出しないように配設されている。また、分割本体4a、4bの端面同士は衝合し、この衝合面にヒンジ32bの中心が位置している。分割本体4a、4bの端部の底面には突出片37a、37bが一体に形成され、この突出片37a、37bにはピン孔37a−1、37b−1がそれぞれ穿設されている。分割本体4a、4bを広げた後、突出片37a、37bを重合させ、ピン孔37a−1と37b−1とを一致させる。そして、これらの37a−1と37b−1に固定ピン26を嵌合することによって二つの分割本体4a、4bは一体に固定され、一台の手押し台車として機能する。
【0043】
分割本体4bを折曲する際、まず分割本体4bを分割本体4aから水平方向に僅かに離反させ、ヒンジ32cを支点として分割本体4bを傾動させる。この分割本体4bの傾動に伴い、ヒンジ32bに対してヒンジアーム35が回動していく。分割本体4a、4bは、ヒンジアーム35によって連結されているため、分割本体4bを分割本体4a上に完全に折り畳んだ状態から分割本体4bを水平方向にスライドさせることができる。したがって、分割本体4a、4bの端面を合わせ、フレーム5c、5dに設けた固定用フック(図示せず)を係止させて両者を固定することができる。また、ヒンジアーム35の長窓35aに係合するヒンジ32cが長窓35a内を摺動することができるため、分割本体4aに対して分割本体4bを傾動させる際、ヒンジ32bに無理な荷重が負荷されず、スムーズに分割本体4bを傾動させることができる。
【0044】
このように、本実施形態も前述したものと同様、分割本体4a、4bを広げた状態において、ヒンジ部32は床面6の上面からは突出しないため、従来のように、ヒンジを構成する蝶番等が台車本体の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、その蝶番によって荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるといった問題を解消することができる。
【0045】
前述したように、本発明に係る折り畳み式手押し台車の実施形態では、台車本体4を中央部から折曲可能に構成すると共に、操作側の一つの車輪3に対して制動力が作用するように構成されているため、複雑な機構を付加することなく制動力解除手段ごと台車本体4を折り畳むことができる。さらに、台車1の使用中には、折曲機構を構成するヒンジ部24、32は床面6の上面からは突出しないため、従来のように、ヒンジを構成する蝶番等が台車本体の上面から突出し、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、その蝶番によって荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるといった問題を解消することができる。また、台車本体4の折り畳み作業も、固定ピン26のワンタッチの脱着で簡単に行うことができ、作業性を格段に向上させることができる
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る折り畳み式手押し台車は、レール上を転動する複数の車輪を備える台車本体と、この台車本体を折曲可能に二つの分割本体で構成し、前記複数の車輪のうち少なくとも1つの車輪に対して接離可能なブレーキシューと、このブレーキシューを車輪への当接方向に付勢する付勢手段と、台車本体の前後に差し込み可能なハンドルと、このハンドルの操作によって制動力を解除する制動力解除手段を備える折り畳み式手押し台車において、前記制動力解除手段を前記ハンドル側に配設すると共に、前記台車本体の中央部に折曲機構を設け、この折曲機構が台車本体を広げた時にその床面の上面から突出しないように構成したため、複雑な機構を付加することなく制動力解除手段ごと台車本体を折り畳むことができると共に、荷物等の積み下ろし時に障害となったり、積載した荷物等が傾き、その姿勢が安定しなくて運搬に不都合が生じるようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る折り畳み式手押し台車の実施形態を示す平面図である。
【図2】同上側面図である。
【図3】本発明に係る折り畳み式手押し台車の制動部を示す分解斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本発明に係る折り畳み式手押し台車の制動力解除手段の作用説明図である。
【図6】(a)は本発明に係る折り畳み式手押し台車の折曲動作を示した説明図である。
(b)は(a)の断面図である。
【図7】(a)は本発明に係る折り畳み式手押し台車の固定ピンを示す正面図である。
(b)は(a)の要部断面図である。
【図8】本発明に係る折り畳み式手押し台車の他の実施形態を示す要部拡大平面図である。
【図9】本発明に係る折り畳み式手押し台車の他の実施形態における折曲動作を示した説明図である。
【図10】従来の折り畳み式手押し台車を示す側面図である。
【図11】同上台車本体を折曲して折り畳んだ状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・・・・折り畳み式手押し台車
2・・・・・・・・・・・・・・・レール
3・・・・・・・・・・・・・・・車輪
3a・・・・・・・・・・・・・・鉢状部
3b・・・・・・・・・・・・・・側板
4・・・・・・・・・・・・・・・台車本体
4a、4b・・・・・・・・・・・分割本体
5、5a、5b、5c、5d・・・フレーム
6・・・・・・・・・・・・・・・床板
7・・・・・・・・・・・・・・・軸受ユニット
8・・・・・・・・・・・・・・・車軸
9・・・・・・・・・・・・・・・ブレーキシュー
10・・・・・・・・・・・・・・回動軸
10a・・・・・・・・・・・・・偏心ピン
11・・・・・・・・・・・・・・ナット
12・・・・・・・・・・・・・・ボス部
13・・・・・・・・・・・・・・ブッシュ
14・・・・・・・・・・・・・・第2の回動レバー
15・・・・・・・・・・・・・・テンションボルト
16・・・・・・・・・・・・・・ロックナット
17・・・・・・・・・・・・・・コイルスプリング
18・・・・・・・・・・・・・・ストッパプレート
18a、19b−1・・・・・・・円孔
19・・・・・・・・・・・・・・第1の回動レバー
19a・・・・・・・・・・・・・ハンドルパイプ
19b・・・・・・・・・・・・・ハンドルプレート
19c・・・・・・・・・・・・・ピン
20・・・・・・・・・・・・・・支軸
21・・・・・・・・・・・・・・ロッド部材
22、23・・・・・・・・・・・自在継手
24、32・・・・・・・・・・・ヒンジ部
24a、24b、24c・・・・・ヒンジ
24a−1、24b−1・・・・・ヒンジアーム
25a、25b・・・・・・・・・突出片
25a−1、25b−1・・・・・ピン孔
26・・・・・・・・・・・・・・固定ピン
26a・・・・・・・・・・・・・先端部
26b・・・・・・・・・・・・・ワイヤ孔
26c・・・・・・・・・・・・・小径部
27・・・・・・・・・・・・・・ハンドル
27a・・・・・・・・・・・・・ハンドル本体
27b・・・・・・・・・・・・・レバー部
27a−1・・・・・・・・・・・係合溝
28・・・・・・・・・・・・・・ワイヤ
29・・・・・・・・・・・・・・雌ねじ
30・・・・・・・・・・・・・・ボールプランジャ
30a・・・・・・・・・・・・・ボール
31・・・・・・・・・・・・・・サークリップ
32a、32b、32c・・・・・ヒンジ
33、35・・・・・・・・・・・ヒンジアーム
33a・・・・・・・・・・・・・底部
33b・・・・・・・・・・・・・頂部
34・・・・・・・・・・・・・・枢軸
34a・・・・・・・・・・・・・頭部
35a・・・・・・・・・・・・・長窓
36・・・・・・・・・・・・・・ピン
36a・・・・・・・・・・・・・ねじ部
36b・・・・・・・・・・・・・固定ナット
36c・・・・・・・・・・・・・段付き部
37a、37b・・・・・・・・・突出片
37a−1、37b−1・・・・・ピン孔
50・・・・・・・・・・・・・・台車本体
50a、50b・・・・・・・・・分割本体
51・・・・・・・・・・・・・・操作力伝達ロッド
51a、51b・・・・・・・・・連結ロッド
52・・・・・・・・・・・・・・ボルトナット締結構造
53・・・・・・・・・・・・・・屈曲回動ヒンジ
55・・・・・・・・・・・・・・カバー体
56・・・・・・・・・・・・・・スプリング
58・・・・・・・・・・・・・・係止機構
60・・・・・・・・・・・・・・ハンドル杆
61・・・・・・・・・・・・・・蝶番
Δθ・・・・・・・・・・・・・・回動量
θ1、θ2・・・・・・・・・・・回動位置
a・・・・・・・・・・・・・・・軸心
a1、b1、c1・・・・・・・・ヒンジの中心
δ・・・・・・・・・・・・・・・すきま
p・・・・・・・・・・・・・・・点
T・・・・・・・・・・・・・・・作用線
Claims (8)
- レール上を転動する複数の車輪を備える台車本体と、この台車本体を折曲可能に二つの分割本体で構成し、前記複数の車輪のうち少なくとも1つの車輪に対して接離可能なブレーキシューと、このブレーキシューを車輪への当接方向に付勢する付勢手段と、台車本体の前後に差し込み可能なハンドルと、このハンドルの操作によって制動力を解除する制動力解除手段を備える折り畳み式手押し台車において、
前記制動力解除手段を前記ハンドル側に配設すると共に、前記台車本体の中央部に折曲機構を設け、この折曲機構が台車本体を広げた時にその床面の上面から突出しないようにしたことを特徴とする折り畳み式手押し台車。 - 前記ハンドルを略鉛直方向に延びるハンドル本体と、このハンドル本体の上端部に固定されて略水平方向に延びるレバー部とで構成し、このレバー部の回動操作によって前記制動力解除手段を駆動して前記ブレーキシューによる制動力を解除するようにした請求項1に記載の折り畳み式手押し台車。
- 前記制動力解除手段は、前記ハンドルのレバー部と共に略水平方向に回動する第1の回動レバーと、前記ブレーキシューを支持して略垂直方向に回動する第2の回動レバーと、第1の回動レバーと第2の回動レバーとを連結して略前後方向に延びるロッド部材を備え、前記ハンドルのレバー部を、前記ブレーキシューを付勢するスプリングに抗して回動することにより、このブレーキシューを車輪から離反させ制動力を解除するようにした請求項1または2に記載の折り畳み式手押し台車。
- 前記折曲機構が、前記台車本体の中央部両端に設けたヒンジ部で構成され、このヒンジ部が、前記分割本体にそれぞれ固定されたヒンジと、これらのヒンジに回動可能に固定されたヒンジアームと、このヒンジアームを介して連結されたフローティングヒンジとからなる請求項1乃至3いずれかに記載の折り畳み式手押し台車。
- 前記分割本体を広げた状態で、その端面同士を僅かなすきまを持って対峙させ、このすきまの略中央に前記フローティングヒンジの中心を位置させると共に、このヒンジの中心と前記固定ヒンジの中心とを略水平線上に一致させた請求項4に記載の折り畳み式手押し台車。
- 前記折曲機構が、前記台車本体の中央部両端に設けたヒンジ部で構成され、このヒンジ部が、前記分割本体にそれぞれ固定されたヒンジと、一方のヒンジに回動可能に固定され、長手方向に長窓を形成したヒンジアームとからなり、この長窓に他方のヒンジを係合させて前記台車本体を連結した請求項1乃至3いずれかに記載の折り畳み式手押し台車。
- 前記分割本体の底面にピン孔を有する突出片を設け、当該分割本体を広げた状態でこれらの突出片が重合してそのピン孔が一致するように構成すると共に、このピン孔に固定ピンを挿入するようにした請求項1乃至6いずれかに記載の折り畳み式手押し台車。
- 前記固定ピンが、この先端側に小径部を有し、この小径部にボールを進退可能に保持したボールプランジャを装着してなる請求項7に記載の折り畳み式手押し台車。
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2002
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