JP2007079231A - 現像剤充填方法、現像剤充填装置、現像装置、プロセスカートリッジ - Google Patents

現像剤充填方法、現像剤充填装置、現像装置、プロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】 プロセスカートリッジや現像装置など部品が内部に配置され複雑な構造を有するユニット内に現像剤をムラなく充填することが可能な現像剤充填方法を提供する。
【解決手段】 体積基準のメディアン径が3乃至9μm、4μm以下の現像剤の割合が25%以下、12μm以上の現像剤の割合が1%以下の現像剤に、気流を加えて流動状態にして現像装置への充填を行う現像剤充填方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、現像装置やプロセスカートリッジのように内部に担持体や搬送部材などの部材を配置したユニット内に現像剤を充填する現像剤充填方法、現像剤充填装置に関する。
近年の電子写真方式の画像形成技術の進展により、プリンタや複写機などの機器がオフィスだけでなく一般家庭にまで普及してきているが、この様な市場の拡大に伴い装置の小型化やメンテナンスの簡便化などのニーズが高まっている。
メンテナンス簡便化のニーズ対応の例として、プロセスカートリッジや現像装置など所定量の現像剤が予め収納されてなるユニットをユーザに提供し、これを定期交換して装置のメンテナンスを行う方法がある。この方法により、ユーザは現像剤の補充や部品交換などの手間から解放され、メンテナンスフリーによる安定した画像形成が継続される。
また、装置のさらなる小型化とともにこれらの現像剤を収納したユニットのコンパクト化も進み、非磁性一成分系現像剤を収納し部品点数も少なくしたコンパクトな現像装置も登場している。生産サイドではこのようなコンパクトなプロセスカートリッジや現像装置の中に現像剤を効率よく充填させる技術が求められている。現像剤の充填技術としては、現像剤を容器内に供給後、脱気用部材を容器に入れて供給した現像剤から気体を吸引脱気しながら充填を行うもの(例えば、特許文献1参照)や、充填用補助容器を介して所定容器への充填を行うもの(例えば、特許文献2参照)がある。また、容器に振動を与えながら現像剤を容器内に充填するもの(例えば、特許文献3参照)や、さらには、現像剤に空気を吹き込んで流動化状態にして現像剤を容器に充填させるようにした技術(例えば、特許文献4、5参照)がある。
特開平8−305144号公報 特開平8−305152号公報 特開平9−39903号公報 特開2003−337801号公報 特開2005−67643号公報
しかしながら、上記特許文献に開示されたものは、大きな開口部を有するボトルへの充填を行うもので、搬送部材や担持体、駆動部品が設けられた複雑な構造を有するプロセスカートリッジや現像装置に、これらの技術をそのまま利用することはできなかった。
また、現像剤を充填するときユニット内全体にわたり現像剤をムラなく均一に充填させる必要がある。それは、画像ムラのないトナー画像を安定して形成するには十分な量の現像剤を装置内の現像領域にコンスタントに供給しなくてはならないためである。したがって、プロセスカートリッジや現像装置のような複雑な形状を有するユニット内に現像剤を充填することは手間と時間を要した。さらに、画像形成装置の小型化に伴いこれらのユニットも小型化し、現像剤を充填する部位もより小さくなっており、ユニット内への現像剤の充填はいっそう困難になっている。
特に、特許文献4や5のように現像剤を流動状態にして充填を行った現像装置やプロセスカートリッジでは、画像形成を行うと画像ムラの目立つプリント物が形成され、画質にも影響を与えていた。
本発明は、プロセスカートリッジや現像装置のように部品が配置され構造が複雑なユニット内部に現像剤をムラなく、効率よく充填することが可能であり、画像ムラのない安定した画像形成を行うことが可能な現像剤充填技術を提供することを目的とする。
また、本発明は供給口が小さくなって現像剤の充填がより困難な小型の現像装置やプロセスカートリッジにも現像剤を効率よく充填することが可能な現像剤充填技術を提供することを目的とする。
上記課題は、下記に記載のいずれかの構成により達成されることが確認された。
(1)
現像剤担持体と現像剤搬送部材と現像剤収納部とを有する現像装置内に気流が加えられた状態の現像剤を充填する現像剤充填方法であって、
該現像剤は、体積基準のメディアン径が3乃至9μm、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤の割合が25%以下、体積基準のメディアン径が12μm以上の現像剤の割合が1%以下であることを特徴とする現像剤充填方法。
(2)
プロセスカートリッジの内部に気流が加えられた状態の現像剤を充填する現像剤充填方法であって、
該現像剤は、体積基準のメディアン径が3乃至9μm、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤の割合が25%以下、体積基準のメディアン径が12μm以上の現像剤の割合が1%以下であることを特徴とする現像剤充填方法。
(3)
前記気流が加えられた状態の現像剤のかさ密度が0.1〜0.5g/cm3であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の現像剤充填方法。
(4)
前記(1)または(3)に記載の現像剤充填方法により現像剤が充填されたことを特徴とする現像装置。
(5)
前記(2)または(3)に記載の現像剤充填方法により現像剤が充填されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
(6)
現像剤担持体と現像剤搬送部材と現像剤収納部とを有する現像装置内に気流が加えられた状態の現像剤を充填する現像剤充填装置であって、
該現像剤に気流を加える気流供給手段を有し、
該現像剤は、体積基準のメディアン径が3乃至9μm、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤の割合が25%以下、体積基準のメディアン径が12μm以上の現像剤の割合が1%以下であることを特徴とする現像剤充填装置。
(7)
プロセスカートリッジの内部に気流が加えられた状態の現像剤を充填する現像剤充填装置であって、
該現像剤に気流を加える気流供給手段を有し、
該現像剤は、体積基準のメディアン径が3乃至9μm、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤の割合が25%以下、体積基準のメディアン径が12μm以上の現像剤の割合が1%以下であることを特徴とする現像剤充填装置。
(8)
前記気流が加えられた状態の現像剤のかさ密度が0.1〜0.5g/cm3であることを特徴とする前記(6)または(7)に記載の現像剤充填装置。
(9)
前記(6)または(8)に記載の現像剤充填装置により、現像剤が充填されたことを特徴とする現像装置。
(10)
前記現像装置は、前記現像剤の充填を行う前に少なくとも1度は画像形成装置に搭載されたものであることを特徴とする前記(9)に記載の現像装置。
(11)
前記(7)または(8)に記載の現像剤充填装置により、現像剤が充填されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
(12)
前記プロセスカートリッジは、前記現像剤の充填を行う前に少なくとも1度は画像形成装置に搭載されたものであることを特徴とする前記(11)に記載のプロセスカートリッジ。
本発明によれば、複雑な形状、構造を有する現像装置やプロセスカートリッジに、気流を付与して流動状態にした現像剤を充填しても、画像形成時に濃度ムラのないトナー画像を安定して形成することができるようになった。このように、充填時の現像剤のかさ密度とともに、充填される現像剤(トナー)の粒径分布を特定することにより、現像剤を安定して充填できるようにするとともに、現像剤を充填したユニットを用いて安定した画像形成が行えるようになった。
また、本発明によれば、現像剤を供給する供給口が小さいような充填しにくいものでも安定して充填することができた。特に、コンパクトな画像形成装置で使用されることの多い非磁性1成分現像剤を収納する現像装置やプロセスカートリッジへの現像剤充填に効果的であることが見出された。
なお、本発明ではプロセスカートリッジや現像装置のことをユニットとも呼ぶが、これは、内部に現像剤を充填することが可能で、かつ、担持体や搬送部材などの部品が配置された構造を有し、画像形成装置に装填されて使用される交換可能な装置のことをいう。
本発明者は、流動性を付与して充填された現像剤を用いて画像形成を行うと濃度ムラが発生する原因を検討し、空気の吹き込みによる流動化の程度がトナーの粒径に依存するものと推測した。そして、粒径分布が広いとムラの発生が顕著に現れることを確認した。これは、現像剤(トナー)の粒径分布が広いとトナーの流動化が選択的に行われ、供給装置内で粒径の小さなものから先に供給されるようになり、同じ粒径分布を有する現像剤を供給することが困難になったためと推測される。
そこで、現像剤(トナー)の粒径分布を特定の範囲にして、供給装置内で流動化が均一に行われるようにすることにより、画像上にムラのない美しいトナー画像を安定して形成することができるようにしたのである。
さらに、本発明では現像剤に気流を加えて均一な流動性を付与させて現像剤の充填を行えるようにしたので、部品の配置などにより現像剤の充填が困難になっていたプロセスカートリッジや現像装置などのユニットに現像剤をムラなく効率よく充填できるようにした。とりわけ、供給口が小さく充填がいっそう困難な小型のユニットに使用されることの多い非磁性1成分現像剤を効率よく充填できるようになり、ムラのない美しいフルカラー画像を安定して提供できるようになった。以下、本発明について詳細に説明する。
図1に本発明に係る現像剤充填方法が適用可能な現像装置の例を示す。図1に示す現像装置2は、非磁性1成分系トナー(非磁性1成分現像剤)を用いて現像を行う現像装置の一例である。現像装置20は、図示しないモータにより図中反時計回り方向に回転駆動され、画像形成装置に組み込んだ状態で図示しない像担持体に接触または近接する現像ローラ24と、現像ローラ24の左側に設けたバッファ室26と、バッファ室26に隣接してホッパ28とを有する。
現像ローラ24は、導電性の円柱基体210と、基体210の外周にシリコーンゴムなど硬度の高い物質を用いて形成した弾性層212を有する。
バッファ室26にはトナー規制部材であるブレード214が現像ローラ24に圧接させた状態で配置されている。ブレード214は、現像ローラ24上のトナーの帯電量および付着量を規制するものである。また、現像ローラ24の回転方向に対してブレード214の下流側に、現像ローラ24上のトナー帯電量・付着量の規制を補助するためのブレード215をさらに設けてもよい。
また、現像ローラ24には供給ローラ25が押圧されている。供給ローラ25は、図示しないモータにより現像ローラ24と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動される。供給ローラ25は、導電性の円柱基体218と、該基体218の外周にウレタンフォームなどで形成された発泡層219を有する。
ホッパ28には一成分現像剤であるトナーTが収容されている。また、ホッパ28にはトナーTを攪拌する回転体224が設けてある。回転体224には、フィルム状の搬送羽根230が取付けられており、回転体224の矢印方向への回転によりトナーTを搬送する。搬送羽根230により搬送されたトナーTは、ホッパ28とバッファ室26を隔てる隔壁226に設けられた通路228を介してバッファ室26に供給される。搬送羽根230の形状は、回転体224の回転に伴い羽根230の回転方向前方でトナーTを搬送しながら撓むとともに、通路228の左側端部に到達すると真っ直ぐの状態に戻るようになっている。このように羽根230はその形状を湾曲状態を経て真っ直ぐに戻るようにすることでトナーTを通路228に供給している。
また、通路228の右側端部には通路228を閉鎖する弁232が設けている。弁232はフィルム状の部材で、一端が隔壁226の通路228右側面上側に固定され、トナーTがホッパ28から通路228に供給されると、トナーTからの押圧力により右側に押されて通路228を開けるようになっている。その結果、バッファ室26内にトナーTが供給されるようになっている。
また、弁232の他端には規制部材234が取り付けられている。規制部材234と供給ローラ25は、弁232が通路228を閉鎖した状態でも僅かな隙間が形成されるように配置される。規制部材234は、バッファ室26の底部に溜まるトナー量が過度にならないように調整するもので、現像ローラ24から供給ローラ25に回収されたトナーTがバッファ室26の底部に多量に落下しないように調整される。
現像装置20では、画像形成時に現像ローラ24が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ25の回転によりバッファ室26のトナーが現像ローラ24上に供給される。現像ローラ24上に供給されたトナーTは、ブレード214、215により帯電、薄層化された後、像担持体との対向領域に搬送され、像担持体上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかったトナーは、現像ローラ24の回転に伴ってバッファ室26に戻り、供給ローラ25により現像ローラ24から掻き取られ回収される。
次に、本発明に適用可能な現像剤充填装置について説明する。図2は、本発明が適用可能な現像剤充填装置の全体構成図であり、図3は現像剤を充填する排出開口部付近の部分拡大図である。現像剤充填装置Aは、内部に担持体や搬送部材などの部品を配置した現像装置やプロセスカートリッジなど予め決められた条件下での使用を経て交換される装置(本発明ではユニットともいう)内に現像剤をムラなく、しかも効率よく充填させるため、ユニットに充填する前の現像剤に気流を加える本発明における気流付与手段に相当する気流付与部A5を有する。
現像剤充填装置Aは、固定台上に立設したコラムスタンド上部に駆動手段を内蔵する駆動部A1が固定されている。駆動部A1は、駆動モータM1、電磁ブレーキEB、電磁クラッチEC、及びプーリP1、P2、P3、P4、ベルトB1、B2などの駆動伝達手段から構成される。
駆動モータM1は電源投入とともに連続回転を開始し、プーリP1,P2、ベルトB1を介して電磁ブレーキEBを駆動させる。電磁ブレーキEBは駆動モータM1の回転を停止させたときの回転慣性を急速に低減させて駆動を急停止させる。
プーリP2と同軸上のプーリP3は、ベルトB2を介してプーリP4に駆動を伝達する。プーリP4の同軸上に設けた電磁クラッチECは、オーガ手段A2の回転軸A21を適時回転させる。
オーガ手段A2の回転軸A21の下部の先端部付近には、スクリューA22が固定され、回転軸A21と一体に回転可能である。
オーガ手段A2の下部は、ホッパA3内に収容されている。ホッパA3は円錐状をなし、その下部は小開口の現像剤供給路A4と接続している。ホッパA3の上部は広口の開口部を形成し、天蓋A31により密閉されている。天蓋A31の一部は、現像剤補給口A32、センサA33が設けられている。センサA33はホッパA3内に収容された現像剤Tの上面を検知する。
現像剤供給路A4は供給管A41により構成され、コラムスタンドに保持されたアーム部材の先端部に保持されている。現像剤供給路A4の上部A42はホッパA3と接続している。ホッパA3内に収容された現像剤Tは、現像剤供給路A4内のスクリューA22により搬送され、現像剤供給路A4の供給管A41を経由して排出開口部A43より排出される。
次に、本発明で行われる現像剤Tへの気流付与について説明する。図3に示すように、現像剤供給路A4の先端を構成する排出開口部A43の周面には、通気部A44と通気ダクトA45が設けられている。通気ダクトA45は図2の気流付与部A5の配管A53に接続し、電磁弁A52からエアポンプA51に通じている。排出開口部A43にエアを供給するときには、電磁弁A52を開きエアポンプA51を駆動してエア供給を行う。なお、現像剤充填時には排出開口部A43の直下に現像装置20が配置される。
図4は、排出開口部A43より流動化された現像剤Tを排出する状態を示す模式図である。現像剤Tを充填する時は、エアポンプA51の駆動により作製された加圧空気G1が開放された電磁弁A52を経由して通気ダクトA45に供給される。加圧空気G1の圧力は5〜35kPaが好ましい。そして、通気ダクトA45に供給された加圧空気G1は、通気部A44を透過して排出開口部A43内に進入し、排出開口部A43内の現像剤Tの粒子間に吹き込まれる。加圧空気G1を吹き込まれた現像剤Tは粒子間隔が拡大されるとともに加圧空気G1の作用により流動性が付与される。このように、排出開口部A43内に存在する現像剤Tは加圧空気G1により、かさ密度を下げて流動性が付与される。
本発明では、現像装置内に現像剤を充填するときに、特に、現像剤のかさ密度を0.1〜0.5g/cm3とすると、現像剤により適度な流動性が付与されるようになって、現像装置内の構成部材間のすき間にも確実に現像剤が供給されるとともに、現像剤を飛散させずに充填することができる。また、画像形成時にトナー飛散が起こりにくくなり、白地の美しいトナー画像が得られるようになった。ここで、現像剤のかさ密度とは、流動化状態にある現像剤の密度、すなわち、体積既知の容器に現像剤を充填するときに生ずる現像剤粒子間に存在する空隙も含めた体積で現像剤の質量を除した密度のことをいう。
流動状態の現像剤(トナー)のかさ密度測定は以下のように行う。
(1)図5に示すように開口部A43の下端部にステンレス管を配置するとともに、現像剤を充填させる透明の500mlメスシリンダーを用意する。
(2)500mlメスシリンダー内にステンレス製で先端ノズルを有する充填管をセットし、開口部下端部43Aに設けられたステンレス管と充填管とを内径6mmのウレタン製チューブで接続する。
(3)充填ノズル先端の高さは、メスシリンダーの底部を0とし0.1mmから255mmの範囲で任意の高さを保つように支持する。
(4)流動化圧力(加圧空気G1の圧力)を10kPaと20kPa、充填ノズルを内径3mmと6mmのものを用意し、メスシリンダー内に現像剤を充填する。
(5)充填量は500ml(メスシリンダー上限)とする。具体的には、流動化されて雲状になったトナーがメスシリンダーの500mlの目盛りに到達したとき、メスシリンダーより先端ノズルを抜いて、これを500mlの充填量とする。
(6)ノズルを抜いた後、充填されたトナーの質量を測定し、かさ密度を算出する。
上記手順に基づいて算出したかさ密度が0.1〜0.5g/cm3のとき、前述したように良好な現像剤充填が発現されることを確認した。
本発明では、現像剤に気流を付与することで現像剤を所定のかさ密度にする。気流により現像剤にかさ密度を付与する方法では、現像剤にずり応力などのストレスを加えずに流動性を付与するので、充填時に現像剤に添加された外添剤の埋没などによる現像剤の劣化を回避することが可能になる。その結果、現像剤が余計な負荷を受けずに充填されるので、画像欠陥のない高画質の画像形成を安定して行うことが可能である。
また、現像剤Tのかさ密度は、排出開口部A43へのエア供給量により制御することも可能である。例えば、20℃の作業環境下で現像剤の充填を行う場合、排出開口部A43の面積を10cm2として現像剤1kgに流動性を付与させるのに必要なエアの量は、2500〜25000ml/分、好ましくは、3000〜15000ml/分となる。
次に、非磁性一成分系現像剤を用いてフルカラーの画像形成を行う画像形成装置について図6を用いて説明する。
図6のフルカラー画像形成装置1は、回転駆動される感光体ドラム10の周囲に、この感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電ブラシ11や、この感光体ドラム10上に残留したトナーを掻き落すクリーナ12が設けられている。
また、帯電ブラシ11によって帯電された感光体ドラム10をレーザビームによって走査露光するレーザ走査光学系20が設けられており、このレーザ走査光学系20はレーザダイオード,ポリゴンミラー,fθ光学素子を内蔵した周知のものであり、その制御部にはシアン,マゼンタ,イエロー,ブラック毎の印字データがホストコンピュータから転送されるようになっている。そして、このレーザ走査光学系20は、上記の各色毎の印字データに基づいて、順次レーザビームとして出力し、感光体ドラム10上を走査露光し、これにより感光体ドラム10上に各色毎の静電潜像を順次形成するようになっている。
また、このように静電潜像が形成された感光体ドラム10に各色のトナーを供給してフルカラーの現像を行なうフルカラー現像装置30は、支軸33の周囲にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各非磁性1成分トナーを収容させた4つの色別の現像装置31C、31M、31Y、31Bkが設けられており、支軸33を中心として回転し、各現像装置31C、31M、31Y、31Bkが感光体ドラム10と対向する位置に導かれるようになっている。
また、このフルカラー現像装置30における各現像器31C、31M、31Y、31Bkにおいては、上記図1に示すように、回転してトナーを搬送する現像剤担持体(現像スリーブ)2の外周面にトナー規制部材5が圧接されており、このトナー規制部材5により、現像スリーブ2によって搬送されるトナーの量を規制すると共に、搬送されるトナーを帯電させるようになっている。なお、このフルカラー現像装置30においては、現像スリーブ2によって搬送されるトナーの規制と帯電とを適切に行なうために、トナー規制部材を2つ設けるようにしてもよい。
そして、上記のようにレーザ走査光学系20によって感光体ドラム10上に各色の静電潜像が形成される毎に、上記のように支軸33を中心にして、このフルカラー現像装置30を回転させ、対応する色彩のトナーが収容された現像器31C、31M、31Y、31Bkを感光体ドラム10と対向する位置に順々に導き、各現像器31C、31M、31Y、31Bkにおける現像スリーブ32を感光体ドラム10に接触させて、上記のように各色の静電潜像が順々に形成された感光体ドラム10上に、帯電された各色のトナーを順々に供給して現像を行なうようになっている。
また、このフルカラー現像装置30より感光体ドラム10の回転方向下流側の位置には、中間転写体40として、回転駆動される無端状の中間転写ベルト40が設けられており、この中間転写ベルト40は感光体ドラム10と同期して回転駆動されるようになっている。そして、この中間転写ベルト40は回転可能な1次転写ローラ41により押圧されて感光体ドラム10に接触するようになっており、またこの中間転写ベルト40を支持する支持ローラ42の部分には、2次転写ローラ43が回転可能に設けられ、この2次転写ローラ43によって記録紙等の記録材Sが中間転写ベルト40に押圧されるようになっている。
更に、前記のフルカラー現像装置30とこの中間転写ベルト40との間のスペースには、中間転写ベルト40上に残留したトナーを掻き取るクリーナ50が中間転写ベルト40に対して接離可能に設けられている。
また、普通紙等の記録材Sを中間転写ベルト40に導く給紙手段60は、記録材Sを収容させる給紙トレイ61と、この給紙トレイ61に収容された記録材Sを1枚ずつ給紙する給紙ローラ62と、上記の中間転写ベルト40上に形成された画像と同期して給紙された記録材Sを中間転写ベルト40と上記の2次転写ローラ43との間に送るタイミングローラ63とで構成されており、このようにして中間転写ベルト40と2次転写ローラ43との間に送られた記録材Sを2次転写ローラ43によって中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40からトナー像を記録材Sが押圧転写させるようになっている。
一方、上記のようにトナー像が押圧転写された記録材Sは、エアーサクションベルト等で構成された搬送手段66により定着装置70に導かれるようになっており、この定着装置70において転写されたトナー像が記録材S上に定着され、その後、この記録材Sが垂直搬送路80を通して装置本体1の上面に排出されるようになっている。
次に、このフルカラー画像形成装置を用いてフルカラーの画像形成を行なう動作について具体的に説明する。
まず、感光体ドラム10と中間転写ベルト40とを同じ周速度でそれぞれの方向に回転駆動させ、感光体ドラム10を帯電ブラシ11によって所定の電位に帯電させる。
そして、このように帯電された感光体ドラム10に対して、上記のレーザ走査光学系20によりシアン画像の露光を行ない、感光体ドラム10上にシアン画像の静電潜像を形成した後、この感光体ドラム10にシアントナーを収容させた現像器31Cから前記のようにトナー規制部材によって荷電されたシアントナーを供給してシアン画像を現像し、このようにシアンのトナー像が形成された感光体ドラム10に対して中間転写ベルト40を1次転写ローラ41によって押圧させ、感光体ドラム10に形成されたシアンのトナー像を中間転写ベルト40に1次転写させる。
このようにしてシアンのトナー像を中間転写ベルト40に転写させた後は、前記のようにフルカラー現像装置30を支軸33を中心にして回転させ、マゼンタトナーが収容された現像器30Mを感光体ドラム10と対向する位置に導き、上記のシアン画像の場合と同様に、レーザ走査光学系20により帯電された感光体ドラム10に対してマゼンタ画像を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をマゼンタトナーが収容された現像器30Mによって現像し、現像されたマゼンタのトナー像を感光体ドラム10から中間転写ベルト40に1次転写させ、更に同様にして、イエロー画像及びブラック画像の露光,現像及び1次転写を順々に行なって、中間転写ベルト40上にシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックのトナー画像を順々に重ねてフルカラーのトナー像を形成する。
そして、中間転写ベルト40上に最終のブラックのトナー像が1次転写されると、記録材Sをタイミングローラ63により2次転写ローラ43と中間転写ベルト40との間に送り、2次転写ローラ43により記録材Sを中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40上に形成されたフルカラーのトナー像を記録材S上に2次転写させる。
そして、このようにフルカラーのトナー像が記録材S上に2次転写されると、この記録材Sを上記の搬送手段66により定着装置70に導き、この定着装置70によって転写されたフルカラーのトナー像を記録材S上に定着させ、その後、この記録材Sを垂直搬送路80を通して装置本体1の上面に排出させるようになっている。
次に、本発明に使用可能な現像剤について説明する。
本発明に使用可能な現像剤は、特に限定されるものではないが、非磁性一成分系の現像剤が好ましく使用される。非磁性一成分系現像剤を構成するトナーは、重合性単量体を水系媒体中で重合させて樹脂粒子を形成する工程を経て得られる重合トナーに代表されるケミカルトナーが好ましく使用される。
本発明に使用される現像剤(トナー)の粒径は、体積基準のメディアン径(体積D50%径)で3〜9μmであることが好ましい。また、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤(トナー)の比率は25%以下であり、12μm以上の現像剤(トナー)の比率は1%以下であることが好ましい。
上述した体積基準のメディアン径、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤(トナー)の比率、及び、12μm以上の現像剤(トナー)の比率は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター製)を接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作成する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター製)の入ったビーカーに、測定濃度5%〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを30000個に設定して測定する。尚、コールターマルチサイザーのアパチャ−径は100μmのものを使用する。
本発明では、粒径及び粒径分布を上記範囲内の値を有する現像剤(トナー)を前述した充填方法で現像装置やプロセスカートリッジに充填し、これらのユニットを用いて画像形成を行うときに画像ムラのない良好なトナー画像が安定して得られる。このように、現像剤(トナー)の粒径分布を特定範囲内にすることにより、現像剤充填時に現像剤を流動化させる際、個々の現像剤(トナー粒子)に同じレベルの流動性が付与され、常に同一条件でトナーがユニット内に投入されて現像剤の品質が維持される。
次に、本発明に使用可能な現像剤(トナー)の作製方法について説明する。
本発明に使用可能なトナーは、少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合して得られるものが好ましい。この製造方法は、重合性単量体を懸濁重合法により重合して樹脂粒子を調製し、あるいは、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合、あるいはミニエマルジョン重合を行って微粒の樹脂粒子を調製し、必要に応じて荷電制御性樹脂粒子を添加した後、有機溶媒、塩類などの凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を凝集、融着する方法で製造するものである。
〈懸濁重合法〉
本発明に使用可能なトナーを製造する方法の一例としては、重合性単量体中に本願の化合物及びトナーの構成成分として必要な着色剤や荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。ついで、加熱することで懸濁重合させ、重合終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することで本発明のトナーを調製する。尚、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
〈乳化重合法〉
また、本発明に使用可能なトナーを製造するその他の方法として樹脂粒子を水系媒体中で塩析/融着させて調製する方法も挙げられる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂及び着色剤等より構成される微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に水中に、これらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明のトナーを形成することができる。尚、ここにおいて凝集剤と同時にアルコールなど水に対して無限溶解する溶媒を加えても良い。
本発明に使用可能なトナーの製造方法では、重合性単量体に本発明の特定構造のエステル化合物を溶解あるいは分散させた後、水系媒体中に機械的に微粒分散させ、ミニエマルジョン重合法により重合性単量体を重合させる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる方法が好ましく用いられる。重合性単量体に特定構造のエステル化合物を溶かすとき、特定構造のエステル化合物を溶解させて溶かしても、溶融して溶かしてもよい。
また、本発明に使用可能なトナーの製造方法として、多段重合法によって得られる複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる工程が好ましく用いられる。
次に、好ましいトナーの製造方法(乳化重合会合法)の一例を詳細に説明する。
この製造方法には、
(1)樹脂微粒子の分散液を調製するための重合工程
(2)水系媒体中で樹脂微粒子と着色剤粒子を融着させて会合粒子を得る融着工程
(3)会合粒子の分散液を冷却する冷却工程
(4)冷却された会合粒子の分散液から当該会合粒子を固液分離し、当該会合粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(5)洗浄処理された会合粒子を乾燥する乾燥工程
(7)乾燥処理された会合粒子に外添剤を添加してトナーとする工程が含まれる。
以下、各工程について説明する。
〔重合工程〕
この重合工程の好適な一例においては、界面活性剤を含有した水系媒体中に、ワックスなどの成分を溶解あるいは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成し、ついで水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。なお、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。この重合工程において、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い攪拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。この重合工程により樹脂微粒子が得られる。
かかる樹脂微粒子は、着色された微粒子であっても良く、着色されていない微粒子であっても良い。着色された樹脂微粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。また、着色されていない樹脂微粒子を使用する場合には、後述する融着工程において、樹脂微粒子の分散液に着色剤微粒子の分散液を添加し、樹脂微粒子と着色剤微粒子とを融着させることで会合粒子を形成する。
〔融着工程〕
前記融着工程における融着の方法としては、重合工程により得られた樹脂微粒子(着色又は非着色の樹脂微粒子)を用いた塩析/融着法が好ましい。また、当該融着工程においては、樹脂微粒子や着色剤微粒子とともに、ワックス微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子などを融着させることができる。
前記融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらの内、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
着色剤微粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。又、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。尚、着色剤(微粒子)は表面改質されていても良い。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分子量液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
融着方法の好ましい形態の1つである塩析/融着法は、樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、かつ前記特定構造のエステル化合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加し、樹脂微粒子のガラス転移温度を実質的に下げることで融着を効果的に行う手法を採用しても良い。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。又、塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、ヨウ素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。さらに、前記水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等が挙げられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
塩析/融着により融着を行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂微粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以上であると樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては樹脂のガラス転移温度以下であれば良いが、一般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
また、塩析剤を樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂微粒子のガラス転移温度以上であって、かつ、前記特定構造のエステル化合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。この融着工程により、樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(トナー粒子)の分散液が得られる。
〔冷却工程〕
この工程は、前記会合粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
〔固液分離・洗浄工程〕この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
〔乾燥工程〕この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理しても良い。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
〔外添処理工程〕
本発明に使用されるトナーは、非磁性一成分系現像剤として使用されることが好ましく、乾燥工程後に会合粒子に外添剤を混合し、トナーを作製する。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が使用される。
次に、本発明に使用可能なトナーを構成する化合物(結着樹脂、着色剤、ワックス、荷電制御剤、外添剤、滑剤)について説明する。
〈結着樹脂〉
樹脂を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
また、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
(着色剤)
着色剤は、公知の無機または有機着色剤が使用可能である。具体的な着色剤を以下に示す。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックや、マグネタイト、フェライト等の磁性粉が挙げられる。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
なお、これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することも可能である。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのがよい。
(ワックス)
本発明のトナーには、必要に応じてワックスを添加することができる。ワックスとしては、公知の化合物を用いることができ、具体的には、固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどが挙げられる。
また、低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなども用いることができる。特に、環球法による軟化点が70〜150℃のポリオレフィンが好ましく、さらには、当該軟化点が120〜150℃のポリオレフィンが好ましい。
なお、ワックスの添加量は、トナー全体に対して0.1〜20.0質量%、好ましくは1〜10質量%の含有率とすると、良好な結果が得られる。
(荷電制御剤、後処理剤)
非磁性一成分系トナーでは、トナーの帯電性調整やトナーの流動性向上のために、荷電制御剤や後処理剤等の様々な添加剤を添加させることができる。
荷電制御剤は、良好なフルカラーのトナー画像を形成させる視点から、様々な色彩のトナーの色調や光透過性に悪影響を及ぼさないことが求められ、無色や白色あるいは淡色の荷電制御剤が好ましい。具体的には、サリチル酸誘導体と亜鉛等の金属とのサリチル酸金属錯体、カリックスアレン系化合物、ホウ素化合物、含フッ素第4級アンモニウム塩系化合物等の荷電制御剤を単独または混合して使用する例が挙げられる。
上記サリチル酸金属錯体としては、例えば、特開昭53−127726号公報や特開昭62−145255号公報等に記載されたもの、カリックスアレン系化合物としては、例えば、特開平2−201378号公報等に記載されたもの、ホウ素化合物としては、例えば、特開平2−221967号公報等に記載されたもの、含フッ素第4級アンモニウム塩系化合物としては、例えば、特開平3−1162号公報等に記載されたものが挙げられる。また、トナーの帯電量調整や帯電立ち上がり性を向上させるために、サリチル酸金属錯体やカリックスアレン系化合物等の荷電制御剤に対して含フッ素第4級アンモニウム塩系化合物を併用させるようにすることも可能である。
荷電制御剤の添加量は、トナーの帯電性を適正に発現させるとともに、荷電制御剤のバインダー樹脂への適度な結着性を発現させるために、通常、バインダー樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5.0質量部添加させる。
また、後処理剤は、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化スズ、酸化ジルコニウム等を単独あるいは2種以上混合して使用することが可能である。また、後処理剤は、環境安定性を高めるために疎水化処理したものが好ましく、疎水化剤として、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系等の各種カップリング剤やシリコーンオイル等が挙げられる。特に、トナーの流動性や帯電に対する環境安定性等の観点から、疎水性シリカと疎水性チタニア、疎水性シリカと疎水性アルミナを組み合わせて使用することが好ましい。後処理剤の添加量は、トナーの流動性を高める一方、後処理剤の遊離による影響を防ぐ視点から、トナーに対して0.2〜3.0質量%が好ましい。
これらの荷電制御剤や後処理剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
(滑剤)
また、トナーにクリーニング性、転写性を向上させるために滑剤を混合してもよい。滑剤としては、例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これら滑剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。滑剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
実験その1
〔1成分現像剤(一成分トナー)の作製〕
[重合工程]
カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)をアルミニウムカップリング剤で処理したものを533.5gを246gのドデシル硫酸ナトリウムを溶解したリットルの純水に添加し撹拌を加えつつ超音波を照射し、カーボンブラックの水分散液を調製した。また、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3200)を熱を加えつつ界面活性剤水溶液中に添加し撹拌を行う事で乳化させた低分子量ポリプロピレン水分散液(固形分濃度=20質量%)を調製した。
上記カーボンブラック水分散液に低分子量ポリプロピレン水分散液2150gを加えて撹拌し、さらにスチレンモノマー4905g、n−ブチルアクリレート820g、メタクリル酸245g、tert−ドデシルメルカプタン165g、脱気済み純水42.5リットルをグラスライニング反応器(撹拌翼:三枚後退翼、バッフル、冷却管、温度センサー等を装着)添加した後に、窒素気流下撹拌を行いながら70℃に昇温した後、過硫酸カリウム205gを純水10リットルに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、70℃で6時間重合を行った後室温まで冷却した。このカーボンブラック含有着色分散液を「分散液1」とした。なお、この際のpHは4.7であった。
[会合工程]
上記分散液1の45リットルを水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=9に調整した後、ステンレス製反応器(撹拌翼:アンカー翼、バッフル、冷却管、温度センサー装着)に添加し、撹拌しつつ2.7モル/リットルの塩化カリウム水溶液8リットル、イソプロピルアルコール7リットル及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(エチレンオキサイド平均重合度は10である)810gを純水3リットルに溶解した水溶液を添加した。これにより会合粒子を作製後に内温を85℃まで昇温し6時間撹拌した後、室温まで冷却し、着色粒子1を得た。着色粒子1の体積基準のメディアン径は6.5μm、体積基準のメディアン径が4μm以下の着色粒子の割合が16.5%、12μm以上の着色粒子の割合は0.4%であった。
[トナーの作製]
得られた着色粒子1に対して、外添剤として疎水性シリカ(HDK社製:H1303)を0.8質量%、下記のようにして製造した疎水化度60%の疎水性チタニアAを1.0質量%の割合で加え、これらをヘンシェルミキサーにより混合させて添加処理を行ない、非磁性1成分系の現像剤であるブラックトナーを得た。なお、得られたトナーの体積基準のメディアン径、4μm以下のトナーの比率、12μm以上のトナーの比率は着色粒子測定時と同様の結果になった。
ここで、疎水性チタニアAについては、平均1次粒径が50nmのチタニア(チタン工業社製:STT30)を水系中で混合撹拌しながら、n−ヘキシルトリメトキシシランを固型分換算でチタニアの20質量%になるように添加混合し、これを乾燥し解砕して疎水化度60%の疎水性チタニアAを得た。なお、上記の疎水化度については、200mlのビーカーに純水を50ml入れて、これに測定する試料を0.2g添加し、これを撹拌しながら無水硫酸ナトリウムで脱水したメタノールをビュレットから加え、液面上に試料がほぼ見られなくなった点を終点とし、要したメタノールの量から下記の式によって疎水化度を算出した。
疎水化度=[メタノール使用量/(50+メタノール使用量)]×100
上記ブラックトナーで使用した着色剤を下記のものに変更した以外は同様の手順で、非磁性1成分系現像剤のシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーを作製した。なお、得られたトナーの体積基準のメディアン径、体積基準のメディアン径が4μm以下のトナーの比率、12μm以上のトナーの比率はブラックトナーと同じ値となった。
シアントナー :C.I.ピグメントブルー15:3
マゼンタトナー:C.I.ピグメントレッド123
イエロートナー:C.I.ピグメントイエロー17
〈現像剤の充填〉
図2の現像剤充填装置を用いて図1の現像装置20への現像剤充填を行った。充填時の条件を表1に示す。なお、現像装置20の外装を透明樹脂(ハイインパクトポリスチレン)で成形し、内部への現像剤の充填状態を確認できるようにした。
また、図2の現像剤充填装置のホッパ内に撹拌部材を投入し、撹拌部材を回転させて現像剤にかさ密度を付与して現像装置20への充填を行ったものを比較例とした。撹拌部材の回転数を表1に示す。
[評価]
下記に記載の方法により、現像剤充填時の作業性能、現像装置内に充填された現像剤の充填状態、及び、外添剤の埋没状況を評価した。また、現像剤の飛散とかぶり、細線再現性は、図3のフルカラー画像形成装置に各現像装置20を装填し、1000枚の連続プリントを行って評価を行った。画像形成時の条件は以下のとおりである。なお、画像形成条件は以下のとおりである。
・感光体 :積層型有機感光体
・DCバイアス :−500V
・Dsd(感光体と現像スリーブ間距離):600μm
・規制ブレード :ステンレス製を使用
・現像剤層厚 :700μm
・現像スリーブ径 :40mm
・温度 :20℃、60%RH環境
〈作業性能〉
図2の現像剤充填装置を用い、
3分間で所定量の現像剤充填作業を完了させた現像装置20の個数を求めて作業性を評価した。
〈充填ムラ〉
図1に示す現像装置2の外装を透明なポリスチレン樹脂で成形し、内部に現像ローラ等の構成部材を所定位置に配置させたモデル現像装置を用意し、これに現像剤を充填して充填ムラの発生状況を評価した。
○;現像装置内にムラなく充填され、画像形成装置に装填時に現像装置をふらなくても1000枚の連続プリントができた
△;ムラが若干観察されたが、装填時に現像装置を2〜3回ふることで1000枚の連続プリントが行えた
×;直径換算で1.5cm以上のすき間があり、現像装置を10回以上ふって装填しても1000枚になる前に画像にムラが見られた。
〈外添剤の埋没状況〉
走査型電子顕微鏡(SEM)により、外添剤の埋没状況を評価した。倍率2000倍の電子顕微鏡写真を撮影し、1000個の現像剤中で外添剤が埋没したものの個数を数えて評価した。埋没した現像剤の個数が5%以内を合格とした。
次に、図6のフルカラー画像形成装置1に上記充填を行った現像装置を装填して連続1000枚の連続プリントを行い、下記の評価を行った。なお、画像形成に使用した原稿は、画素率が7%の文字画像(3ポイント、5ポイント)、カラー人物顔画像(ハーフトーンを含むドット画像、反射濃度が1.30のグレイパッチ付き)、べた白画像、2色トナー使用のべた画像(シアントナーとマゼンタトナーを使用し、トナー付着量が15g/m2(定着後のトナー層の厚みが20μm))がそれぞれ1/4等分に掲載されたオリジナル画像(A4判)を用いた。
〈現像剤飛散〉
1枚目〜50枚まで連続プリントを行ったところで、現像領域の下の部分に白紙を置き、飛散する現像剤を付着させ、その白紙を同評価機と同じ定着条件で定着させ、白紙の反射濃度(反射濃度0.00)との相対濃度を求めて評価を行った。評価は反射濃度計(コニカデンシトメータPDA−65)により行った。
○;0.01未満
△;0.01以上0.03未満
×;0.03以上。
〈かぶり〉
1000枚プリント終了時のベタ白画像でのかぶりを評価した。反射濃度計(コニカデンシトメータPDA−65)を用い、白紙の反射濃度を0.000とした相対濃度で評価した。
○;0.001未満
△;0.001以上0.003未満
×;0.003以上
〈細線再現性〉
2ドットラインの画像信号に対応するライン画像のライン幅を印字評価システム「RT−2000」(ヤーマン社製)により測定した。
○;1枚目の形成画像のライン幅と1000枚目の形成画像のライン幅のいずれも200μm以下であり、ライン幅の変動が10μm以下
×;上記以外の場合。
〈濃度むら〉
スタート時と1000枚目に出力した記録用紙裏面に形成されたカラー人物顔画像部に設けられたグレイパッチ部のR濃度の変動を反射濃度計により評価した。
濃度変動=(2000枚目の反射濃度)−(スタート時の反射濃度)
◎:濃度差が0.05未満
○:濃度差が0.05以上0.20未満
×:濃度差が0.20以上
結果を表1に示す。
Figure 2007079231
表1に示すように、気流を付与して現像剤に流動性を付与したものでは良好な充填性が発現されるとともに、外添剤の埋没による現像剤の劣化の影響が見られなかった。一方、撹拌により現像剤にかさ密度を付与した場合には、実施例で得られたような充填性が見られず、また、撹拌が強くなるほど現像剤の劣化も進行した。
また、画質は、気流を付与した現像剤では現像剤の飛散がほとんど見られず、また、画像形成に伴って破損等の現像剤の劣化による画質の低下も見られなかったが、比較例では実施例で得られた様な画質は得られなかった。
実験その2
前述の会合工程における条件を制御して、体積基準のメディアン径が2.5μm、3.0μm、9.0μm、9.5μmの非磁性1成分系の各現像剤(トナー)を作製し、表2に示す条件で充填を行うとともに、実験その1で行ったものと同様の画質評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2007079231
表2に記載のように、本発明に該当する3.0μm、9.0μmの現像剤を用いたケースでは濃度ムラなどの画質不良を発生させることなく、安定した画像形成を行うことができた。一方、比較例である2.5μm、9.5μmの現像剤を用いたケースでは、画像不良が発生し、本発明の効果を見出すことができなかった。
非磁性一成分系現像剤を用いる現像装置の断面模式図である。 本発明の適用可能な現像剤充填装置の全体構成図である。 排出開口部付近の部分拡大図である。 排出開口部より現像剤を排出する状態を示す模式図である。 流動化された現像剤のかさ密度測定方法を示す模式図である。 非磁性一成分系現像剤用のフルカラー画像形成装置の断面模式図である。
符号の説明
1 画像形成装置
20 現像装置
24 現像ローラ
25 供給ローラ
26 バッファ室
28 ホッパ
A 現像剤充填装置
A4 現像剤供給部
A41 供給管
A43 排出開口部
A44 通気部
A45 通気ダクト
A5 気流付与部
A51 エアポンプ
A52 電磁弁
A53 配管
T 現像剤、トナー

Claims (12)

  1. 現像剤担持体と現像剤搬送部材と現像剤収納部とを有する現像装置内に気流が加えられた状態の現像剤を充填する現像剤充填方法であって、
    該現像剤は、体積基準のメディアン径が3乃至9μm、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤の割合が25%以下、体積基準のメディアン径が12μm以上の現像剤の割合が1%以下であることを特徴とする現像剤充填方法。
  2. プロセスカートリッジの内部に気流が加えられた状態の現像剤を充填する現像剤充填方法であって、
    該現像剤は、体積基準のメディアン径が3乃至9μm、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤の割合が25%以下、体積基準のメディアン径が12μm以上の現像剤の割合が1%以下であることを特徴とする現像剤充填方法。
  3. 前記気流が加えられた状態の現像剤のかさ密度が0.1〜0.5g/cm3であることを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤充填方法。
  4. 請求項1または3に記載の現像剤充填方法により現像剤が充填されたことを特徴とする現像装置。
  5. 請求項2または3に記載の現像剤充填方法により現像剤が充填されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 現像剤担持体と現像剤搬送部材と現像剤収納部とを有する現像装置内に気流が加えられた状態の現像剤を充填する現像剤充填装置であって、
    該現像剤に気流を加える気流供給手段を有し、
    該現像剤は、体積基準のメディアン径が3乃至9μm、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤の割合が25%以下、体積基準のメディアン径が12μm以上の現像剤の割合が1%以下であることを特徴とする現像剤充填装置。
  7. プロセスカートリッジの内部に気流が加えられた状態の現像剤を充填する現像剤充填装置であって、
    該現像剤に気流を加える気流供給手段を有し、
    該現像剤は、体積基準のメディアン径が3乃至9μm、体積基準のメディアン径が4μm以下の現像剤の割合が25%以下、体積基準のメディアン径が12μm以上の現像剤の割合が1%以下であることを特徴とする現像剤充填装置。
  8. 前記気流が加えられた状態の現像剤のかさ密度が0.1〜0.5g/cm3であることを特徴とする請求項6または7に記載の現像剤充填装置。
  9. 請求項6または8に記載の現像剤充填装置により、現像剤が充填されたことを特徴とする現像装置。
  10. 前記現像装置は、前記現像剤の充填を行う前に少なくとも1度は画像形成装置に搭載されたものであることを特徴とする請求項9に記載の現像装置。
  11. 請求項7または8に記載の現像剤充填装置により、現像剤が充填されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 前記プロセスカートリッジは、前記現像剤の充填を行う前に少なくとも1度は画像形成装置に搭載されたものであることを特徴とする請求項11に記載のプロセスカートリッジ。
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