JP2007076513A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 転舵軸の移動速度を安定させるための可撓環が組立て時に脱落するのを防ぐことができ、組立て作業性を向上することができるようにする。
【解決手段】 転舵軸3と、転舵軸3を収容するハウジング4と、転舵軸3に外嵌され、且つハウジング4内に軸線方向への移動を可能に内嵌されたブッシュ5と、該ブッシュ5の軸線方向一方及び他方へ移動量を制限する制限環6及び第1段部4bと、ブッシュ5及び制限環6の一方又はハウジング4に設けられた可撓環7,8とを備えており、ブッシュ5は可撓環7が嵌入保持され、且つ端面に環状保持溝51を有し、制限環6は軸線方向に突設され、且つ環状保持溝51に嵌入された環状の凸部61を有する構成とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は舵取操作に応じて車両の左右方向への移動が可能な転舵軸を備えたステアリング装置に関する。
車両のステアリング装置の一形式として、舵取操作に応じて車両の左右方向への移動が可能な転舵軸と、該転舵軸を収容し、且つ内周部に環状凹部を有する円筒形をなすハウジングと、前記転舵軸に相対移動を可能に外嵌され、且つ前記環状凹部に軸線方向への移動を可能に内嵌されたブッシュと、該ブッシュの外周部に外嵌保持された複数のOリングと、前記ブッシュの一方及び他方への移動量を制限する二つの制限環部とを備え、前記ブッシュ及びOリングにより転舵軸の移動をスムーズに行わせるように構成されている。
ところが、このように構成されたステアリング装置にあっては、ブッシュ及び環状凹部間の隙間を、ブッシュ及び転舵軸の間の隙間より大きくし、この隙間によるブッシュのガタつきを前記Oリングにより吸収するように構成されているため、舵取操作に応じて転舵軸が車両の左右方向へ移動するとき、Oリングの環状凹部との接触部に滑りが発生し、転舵軸と一体にブッシュが移動することが多いため、Oリングによる転舵軸の移動抵抗のバラツキが大きく、転舵軸を安定した速度で移動させ難いと言う問題があった。
また、例えば特許文献1に記載されているように、内周部に環状凹部を有する円筒形をなすハウジングと、該ハウジング内に収容される転舵軸に相対移動を可能に外嵌され、且つ前記環状凹部に軸線方向への移動を可能に内嵌されたブッシュと、該ブッシュの一方及び他方への移動量を制限する二つの制限環部とを備えたステアリング装置において、前記ブッシュの両端及び二つの制限環部の間に可撓環を設けることにより、転舵軸が車両の左右方向へ移動するとき、ブッシュが可撓環を撓ませ、転舵軸を安定した速度で移動させ得るように構成されたものが知られている。
特開2004−255988号公報
ところが、特許文献1のようにブッシュの両端及び二つの制限環部の間に可撓環が設けられたステアリング装置にあっては、組立て時に可撓環が脱落し易いため、組立作業性の改善策が要望されていた。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は転舵軸の移動速度を安定させるための可撓環が組立て時に脱落するのを防ぐことができ、組立て作業性を向上することができるステアリング装置を提供することにある。
第1発明に係るステアリング装置は、舵取操作に応じて車両の左右方向へ移動する転舵軸と、該転舵軸を収容するハウジングと、前記転舵軸に相対移動を可能に外嵌され、且つ前記ハウジング内に軸線方向への移動を可能に内嵌されたブッシュと、該ブッシュの一方及び他方への移動に抵抗を加える二つの可撓環と、前記ブッシュの一方及び他方への移動量を制限する二つの制限環部とを備えるステアリング装置において、前記ブッシュ及び制限環部の一方は前記可撓環が嵌入保持され、且つ端面に環状保持溝を有し、前記ブッシュ及び制限環部の他方又は前記ハウジングは軸線方向に突設され、且つ前記環状保持溝に嵌入された凸部を有することを特徴とする。
第2発明に係るステアリング装置は、第1発明において、前記環状保持溝は前記可撓環の軸線方向の厚さより深いことを特徴とする。
第3発明に係るステアリング装置は、第1発明において、前記環状保持溝は前記ブッシュに設けてあり、前記制限環部の少なくとも一つは前記ハウジング内に圧入された環体であり、前記凸部は前記環体に設けてあることを特徴とする。
第4発明に係るステアリング装置は、第1発明において、前記制限環部の少なくとも一つは前記ハウジング内に圧入された環体であり、前記環状保持溝は前記環体に設けてあり、前記凸部は前記ブッシュに設けてあることを特徴とする。
第1発明によれば、舵取操作に応じて転舵軸が車両の左右方向へ移動するとき、該転舵軸と一体にブッシュが移動しつつ可撓環が環状保持溝の底面及び凸部により挾圧されて軸線方向に撓むため、可撓環により転舵軸の移動速度を安定させることができる。しかも、可撓環は凸部が嵌入される環状保持溝に嵌入保持されているため、可撓環を脱落させることなくハウジング内に正確に組込むことができ、組込作業性を向上できる。また、環状保持溝と凸部との間で可撓環を軸線方向に挾圧するため、可撓環の材質及び撓み量をステアリング装置の機種に応じて設定することにより操舵感を簡易に調整することができる。
第2発明によれば、環状保持溝は可撓環の軸線方向の厚さより深いため、可撓環をより一層脱落し難くでき、組込作業性をより一層向上できる。
第3発明及び第4発明によれば、既存のブッシュ及び制限環部を用いて構成することができるため、組立て手順をかえることなく組み立てることができ、組立て作業性をより一層向上できる。
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係るステアリング装置の実施の形態1の構成を示す要部の拡大断面図、図2はステアリング装置の全体構成を示す模式図である。
図2に示したステアリング装置は、ピニオンを有し、ユニバーサルジョイント1a及び操舵軸1bを有する舵取手段1に連結されるピニオン軸2と、前記ピニオンに噛合するラック歯を有し、舵取操作に応じて車両の左右方向への移動が可能な転舵軸3と、該転舵軸3を収容するハウジング4と、転舵軸3に相対移動を可能に外嵌され、且つハウジング4内に軸線方向への移動を可能に内嵌されたブッシュ5とを備えたラックピニオン式のステアリング装置である。
ハウジング4は円筒形をなしており、一端部にはピニオン軸2を収容支持する支持筒と、内側に配され、転舵軸3のラック歯と反対側周面を支持するラックヨークとが設けられており、他端部には円筒形をなすブッシュ5が軸線方向への移動を可能に内嵌されている。
ハウジング4の他端部内側にはブッシュ5が内嵌される嵌合周面4aと、該嵌合周面4aの一縁に環状の第1段部4bを経て連なる中径周面4cと、該中径周面4cに環状の第2段部4dを経て連なる大径周面4eと、嵌合周面4aの他縁に環状の第3段部4fを経て連なる小径周面4gとを有しており、大径周面4eにブッシュ5の移動量を制限する制限環6、換言すれば環体が圧入により固定されている。この制限環6は第2段部4dに当接して位置決めされており、制限環6とブッシュ5との間に隙間が設けられている。尚、制限環6はブッシュ5の軸線方向一方への移動量を制限する第1の制限環部であり、第3段部4fはブッシュ5の他方への移動量を制限する第2の制限環部であり、また、第3段部4fは後記する第2の環状保持溝52に嵌入され、第2の可撓環8を挾圧するための環状の第2の凸部である。
転舵軸3は一端部が前記ラックヨークにより移動を可能に支持され、他端部がブッシュ5により移動を可能に支持されている。また、転舵軸3の両端はタイロッド10,10を介して操向車輪A,Aに連繋される。
ブッシュ5は嵌合周面に内嵌される嵌入部5aと、該嵌入部5aの一縁に環状段部5bを経て連なり、中径周面4cに嵌入される大径部5cを有し、内周部が転舵軸3に相対移動を可能に外嵌されている。第1段部4bと環状段部5bとの間に隙間が設けられている。また、一端面の径方向中途には軸線方向に凹の第1の環状保持溝51が設けられており、他端面の外周部には軸線方向に凹の第2の環状保持溝52が設けられている。第1及び第2の環状保持溝51,52は後記する可撓環の軸線方向の厚さより深くなっている。
第1及び第2の環状保持溝51,52にはOリング等の可撓性を有する第1及び第2の可撓環7,8が嵌入保持されており、第2の可撓環8に第3段部4fが当接している。また、嵌入部5aの中途には第3の環状保持溝53が設けられており、該環状保持溝53にOリング等の可撓性を有する第3の可撓環9が嵌入保持されている。
制限環6はブッシュ5と対向する端面に、第1の環状保持溝51に嵌入されて第1の可撓環7に当接し、ブッシュ5が移動するとき第1の環状保持溝51との間で第1の可撓環7を軸線方向に挾圧する環状の第1の凸部61が突設されている。
以上のように構成されたステアリング装置は、転舵軸3がハウジング4内に挿通された後、転舵軸3及びハウジング4の一端からブッシュ5が嵌入され、さらに、制限環6が大径周面4eに圧入される。この場合、第1の可撓環7は、軸線方向に凹であり、且つ第1の可撓環7の軸線方向の厚さより深い第1の環状保持溝51に嵌入保持され、脱落し難いようになっているため、第1の可撓環7を脱落させることなくブッシュ5を組込むことができる。また、第2の可撓環8は、軸線方向に凹であり、且つ第2の可撓環8の軸線方向の厚さより深い第2の環状保持溝52に嵌入保持され、脱落し難いようになっているため、第2の可撓環8を脱落させることなくブッシュ5を組込むことができる。また、第3の可撓環9はブッシュ5の軸線方向の中途に設けられた第3の環状保持溝53に嵌入保持されているため、ブッシュ5の組込み時に脱落しない。
また、ステアリング装置は、舵取手段1としての操舵軸1bに繋がるステアリングホイールBの操作により舵取手段1を介してピニオン軸2が回転し、ピニオンに噛合するラック歯を有する転舵軸3がハウジング4内で車両の左右方向に移動し、タイロッド10,10を介して操向車輪A,Aが操向される。
ステアリングホイールBが操舵中立位置のとき、ブッシュ5は制限環6(第1の制限環部)及び第3段部4f(第2の制限環部)の間の距離の中央にあり、第1の可撓環7に第1の凸部61が当接し、第2の可撓環8に第3段部4f(第2の凸部)が当接しており、ブッシュ5は、該ブッシュ5と制限環6及び第1段部4bとの間の隙間量だけ移動が可能であり、また、ブッシュ5の移動量に応じて第1及び第2の可撓環7,8は撓み可能になっている。また、ブッシュ5は転舵軸3に接触し、第3の可撓環9はハウジング4の嵌合周面4aに接触し、ブッシュ5に接触抵抗が加わっている状態で、ハウジング4及び転舵軸3とブッシュ5との相対移動が可能になっている。尚、ブッシュ5の転舵軸3との接触抵抗は、第3の可撓環9のハウジング4との接触抵抗より大きくなっている。
操舵中立位置から転舵軸3が車両の左右方向一方へ移動開始するとき、ブッシュ5は転舵軸3との接触抵抗により転舵軸3と一体に移動しつつ第1の可撓環7が第1の環状保持溝51の底面及び凸部61により挾圧されて軸線方向に撓み、ブッシュ5を介して転舵軸3に移動抵抗が加わり、転舵軸3の移動速度を安定させることができる。
また、操舵中立位置から転舵軸3が車両の左右方向他方へ移動開始するとき、ブッシュ5は転舵軸3との接触抵抗により転舵軸3と一体に移動しつつ第2の可撓環8が第2の環状保持溝52の底面及び第3段部4f(第2の凸部)により挾圧されて軸線方向に撓み、ブッシュ5を介して転舵軸3に移動抵抗が加わり、転舵軸3の移動速度を安定させることができる。
実施の形態2
図3はステアリング装置の実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。このステアリング装置は、ブッシュ5の一端面の外周部に、軸線方向に凹の第1の環状保持溝51を設け、該環状保持溝51の底面と、制限環6の端面に突設された環状の第1の凸部61とにより第1の可撓環7を軸線方向に挾圧するように構成したものである。尚、前記ブッシュ5の大径部5cと、ハウジング4の第1段部4bとは設けられていない。
第1の環状保持溝51は底部の内側周面を、開放縁側周面より小径とし、深さ方向の中途に環状段部51aを設けてある。
この実施の形態にあっては、第1の環状保持溝51内で環状段部51aにより第1の可撓環7を係止することができるため、第1の可撓環7をより一層脱落し難くできる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
実施の形態3
図4はステアリング装置の実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図である。このステアリング装置は、制限環6の端面に軸線方向に凹の第1の環状保持溝51を設け、該環状保持溝51に嵌入される環状の第1の凸部61をブッシュ5の一端に設け、該凸部61と環状保持溝51の底面とにより第1の可撓環7を軸線方向に挾圧するように構成したものである。
第1の環状保持溝51は底部の内側周面を、開放縁側周面より小径とし、深さ方向の中途の環状段部51aを設けてある。
この実施の形態にあっては、環状保持溝51内で環状段部51aにより第1の可撓環7を係止することができるため、第1の可撓環7をより一層脱落し難くできる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
尚、以上説明した実施の形態ではブッシュ5の軸線方向他方への移動量を制限する第2の制限環部をハウジング4自体が有する第3段部4fにより構成としたが、その他、第2の制限環部及び第2の環状保持溝52は、図1、図3、又は図4の第1の制限環部及び第1の環状保持溝51のように構成してもよい。
また、環状の第1及び第2の凸部(61,第3段部4f)を有する構成としたが、その他、第1及び第2の凸部は非環状とし、複数の周方向位置に突設された構成としてもよい。
本発明に係るステアリング装置の実施の形態1の構成を示す要部の拡大断面図である。 本発明に係るステアリング装置の全体構成を示す模式図である。 本発明に係るステアリング装置の実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。 本発明に係るステアリング装置の実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図である。
符号の説明
3 転舵軸
4 ハウジング
4b 第1段部(制限環部)
4f 第3段部(凸部)
5 ブッシュ
51,52 環状保持溝
6 制限環(制限環部,環体)
61 凸部
7,8 可撓環

Claims (4)

  1. 舵取操作に応じて車両の左右方向へ移動する転舵軸と、該転舵軸を収容するハウジングと、前記転舵軸に相対移動を可能に外嵌され、且つ前記ハウジング内に軸線方向への移動を可能に内嵌されたブッシュと、該ブッシュの一方及び他方への移動に抵抗を加える二つの可撓環と、前記ブッシュの一方及び他方への移動量を制限する二つの制限環部とを備えるステアリング装置において、前記ブッシュ及び制限環部の一方は前記可撓環が嵌入保持され、且つ端面に環状保持溝を有し、前記ブッシュ及び制限環部の他方又は前記ハウジングは軸線方向に突設され、且つ前記環状保持溝に嵌入された凸部を有することを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記環状保持溝は前記可撓環の軸線方向の厚さより深い請求項1記載のステアリング装置。
  3. 前記環状保持溝は前記ブッシュに設けてあり、前記制限環部の少なくとも一つは前記ハウジング内に圧入された環体であり、前記凸部は前記環体に設けてある請求項1記載のステアリング装置。
  4. 前記制限環部の少なくとも一つは前記ハウジング内に圧入された環体であり、前記環状保持溝は前記環体に設けてあり、前記凸部は前記ブッシュに設けてある請求項1記載のステアリング装置。
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JP2008074218A (ja) * 2006-09-20 2008-04-03 Jtekt Corp ステアリング装置

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