JP2007076440A - 車体前部構造 - Google Patents

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裕介 円能寺
Tomohito Murata
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Abstract

【課題】 ステアリングホイールとギヤボックスとの間に設けられた伸縮軸のコストの増加および大型化を抑制しながらギヤボックスの脱落を抑制する。
【解決手段】 車体前部構造150Aにおいて、ギヤボックス28は、ステアリングホイールの回転運動をステアリングラック36の車両左右方向への直線運動に変換する。脱落防止ブラケット30は、ギヤボックス28がダッシュボード50から離脱した場合に、ステアリングホイールとギヤボックス28との間に設けられたインターミディエイトシャフトの許容伸縮範囲以内にギヤボックス28の移動を規制する。脱落防止ブラケット30は、ギヤボックス28がダッシュボード50に取り付けられた状態で、ギヤボックス28の下部に対しインターミディエイトシャフトの許容伸縮範囲以内の間隔をあけてダッシュボード50に固定される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車体前部構造に関し、特に、ステアリングホイールの回転運動を操舵軸の車両左右方向への直線運動に変換するギヤボックスを有する車体前部構造に関する。
運転者は、ステアリングホイールを回転させることにより、車輪を転舵して車両の操舵を行う。このような車両の操舵を実現するため、タイロッドなどの操舵軸や、ステアリングホイールと操舵軸を機械的に接続するギヤボックスが一般に用いられる。車両が走行し操舵されることによって、このギヤボックスには振動や部材の弾性変形などによる変位が生じ得る。このため、ステアリングホイールとギヤボックスの間には、このような振動や変位がステアリングホイールに伝達することを抑制するインターミディエイトシャフトが通常設けられている。インターミディエイトシャフトは、たとえば特許文献1に示されるように雌軸と雄軸で構成され、伸縮することによりギヤボックスの振動や変位のステアリングホイールへの伝達を抑制する。
特開2004−217095号公報
しかし、ギヤボックスは、前述のように車両が走行することによって振動や変位が生じ得るため、ギヤボックスを取り付けるボルトなどの締結部材が緩んでギヤボックスが脱落するケースが考えられる。上述の特許文献において、雌軸に雄軸が抜け出ることを防止する抜け止め部を有するインターミディエイトシャフトが提案されているが、この場合、この抜け止め部によってギヤボックスの重量を支持しなければならない。ギヤボックスの重量は大きいため、これを支持することができるようにするには、抜け止め部を大型化するなどの必要がある。この場合、インターミディエイトシャフトのコストの増加を抑制することは困難となり、インターミディエイトシャフトの小型化も困難となる。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステアリングホイールとギヤボックスとの間に設けられた伸縮軸のコストの増加および大型化を抑制しながらギヤボックスの脱落を抑制することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車体前部構造は、ステアリングホイールの回転運動を操舵軸の車両左右方向への直線運動に変換するギヤボックスと、ギヤボックスが取り付けられる被取付部からギヤボックスが離脱した場合に、ステアリングホイールとギヤボックスとの間に設けられた伸縮軸の許容伸縮範囲以内に、ギヤボックスの移動を規制する移動規制手段と、を備える。
この態様によれば、ギヤボックスが被取付部から離脱した場合においても、伸縮軸の許容伸縮範囲以内にギヤボックスの移動を規制することができる。したがって、ギヤボックスの脱落を抑制しながら、ギヤボックスを支持するための伸縮軸のコストの上昇および大型化を抑制することができる。
移動規制手段は、取付部が被取付部に固定された状態で、ギヤボックスの下部に対し伸縮軸の許容伸縮範囲以内の間隔をあけて被取付部に固定されてもよい。この態様によれば、ギヤボックスが被取付部に取り付けられた状態では、移動規制手段は、ギヤボックスと間隔を設けて取り付けられる。このため、ギヤボックスの振動や変位が、取付部と被取付部との固定箇所に伝達されることを抑制することができる。このため、移動規制手段が被取付部から脱落することが抑制される。また、ギヤボックスが被取付部から離脱した場合に、ギヤボックスは重力により移動規制手段上に落下する。このとき、ギヤボックスの移動は伸縮軸の許容伸縮範囲以内に抑制されるため、ギヤボックスを支持するための伸縮軸のコストの上昇および大型化を抑制することができる。
ギヤボックスは、移動規制手段の近傍において下方に突出する突出部を有してもよい。ギヤボックスが被取付部から離脱した場合に、ギヤボックスは重力により落下して移動規制手段に当接する。この態様によれば、突出部が移動規制手段に当接することによって、ギヤボックスの車両左右方向の移動が規制される。このため、ギヤボックスが被取付部から離脱した場合においても、車両の操舵を確保することができる。
ギヤボックスは車両左右方向に軸状に延在して形成され、両端部近傍に車体前部への取り付けのための下方に突出した取付部を有してもよい。移動規制手段は、ギヤボックスが被取付部に取り付けられた状態で、ギヤボックスに対し伸縮軸の許容伸縮範囲以内の間隔をあけて、ギヤボックスを囲うように、取付部の少なくとも一方の近傍において車体前部に固定されてもよい。
この態様によれば、ギヤボックスを被取付部に取り付けるための取付部を、ギヤボックスが被取付部から離脱した場合に車両左右方向の移動を規制する突出部として利用することができ、ギヤボックスの構成を簡素にすることができ、コストを低減させることができる。また、ギヤボックスを囲うように移動規制手段を被取付部に取り付けることにより、ギヤボックスの下方以外の方向においても、ギヤボックスの移動を規制することができる。
移動規制手段は、ギヤボックスとワイヤ取付部とを連結するワイヤを有していてもよい。ギヤボックスが被取付部に取り付けられた状態におけるギヤボックスとワイヤ取付部との距離をL、ワイヤの長さをL、伸縮軸の許容伸縮範囲をXとした場合に、L−L≦Xとなってもよい。
この態様によれば、ギヤボックスが被取付部に取り付けられた状態では、ワイヤはギヤボックスと被取付部とを弛緩した状態で結合される。このため、ギヤボックスの振動や変位によって、ワイヤとギヤボックスとの連結箇所、およびワイヤとワイヤ取付部との連結箇所において、振動や変位による影響が低減される。このため、これらの連結箇所の連結が外れることが抑制される。また、ギヤボックスが被取付部から離脱した場合に、ギヤボックスが移動することにより伸縮軸が許容伸縮範囲に達することが抑制される。このため、ギヤボックスを支持するための伸縮軸のコストの増加および大型化を抑制することができる。さらに車両左右方向のギヤボックスの移動もこのワイヤで規制することができる。このため、ギヤボックスが被取付部から離脱した場合においても、車両の操舵を確保することができる。
本発明の車体前部構造によれば、ステアリングホイールとギヤボックスとの間に設けられた伸縮軸のコストの増加および大型化を抑制しながらギヤボックスの脱落を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という。)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る操舵装置100Aのインターミディエイトシャフト14周辺を示す図である。本図は、インターミディエイトシャフト14周辺を、車両右方向から見た図である。操舵装置100Aは、ステアリングホイール10、第1ステアリングシャフト12、インターミディエイトシャフト14、第2ステアリングシャフト24、およびギヤボックス28などを有している。
インターミディエイトシャフト14は、車体前方に配置されたダッシュボード50に設けられた開口部に挿通され、上端部がダッシュボード50の車両後方に、下端部がダッシュボード50の車両前方に配置される。インターミディエイトシャフト14の上端部には第1自在継手16を介して第1ステアリングシャフト12が連結されている。第1自在継手16は、インターミディエイトシャフト14側に設けられるヨーク、第1ステアリングシャフト12側に設けられるヨーク、およびこれらヨークを連結する十字ピンなどによって構成される。第1自在継手16は、第1ステアリングシャフト12の回転運動を、第1ステアリングシャフト12と異なる方向に延在するインターミディエイトシャフト14の回転運動に変換する。第1ステアリングシャフト12の上端部にはステアリングホイール10が固定されている。ステアリングホイール10は車両室内に配置され、運転者に操作されることによって回転トルクが与えられる。
インターミディエイトシャフト14の下端部には、第2自在継手22を介して、ダッシュボード50外部に配置される第2ステアリングシャフト24が連結されている。第2自在継手22も、インターミディエイトシャフト14側に設けられるヨーク、第2ステアリングシャフト24側に設けられるヨーク、およびこれらヨークを連結する十字ピンなどによって構成される。第2自在継手22は、インターミディエイトシャフト14の回転運動を、インターミディエイトシャフト14と異なる方向に延在する第2ステアリングシャフト24の回転運動に変換する。第2ステアリングシャフト24の下端部はギヤボックス28に連結されている。これによって、運転者によってステアリングホイール10が操作され回転されると、その回転運動が第1ステアリングシャフト12、インターミディエイトシャフト14、および第2ステアリングシャフト24を介してギヤボックス28の内部に伝達される。
インターミディエイトシャフト14は、雄軸18および雌軸20を有している。雌軸20の内部には、軸方向に延在する挿通孔が設けられ、この挿通孔に雄軸18が挿通される。雄軸18は、たとえばスプライン嵌合やセレーション嵌合などにより、雌軸20に対して相対的な回転が抑制されかつ軸方向に相対的に摺動可能に雌軸20に挿通される。こうして、インターミディエイトシャフト14は、第1ステアリングシャフト12から伝達された回転運動を第2ステアリングシャフト24に伝達し、および伸縮することが可能となっている。インターミディエイトシャフト14は、伸縮することにより第2ステアリングシャフト24を介して伝達されたギヤボックス28の振動や変位を吸収する。このため、ギヤボックス28の振動や変位がステアリングホイール10に伝達されることが抑制される。このように、インターミディエイトシャフト14は、ステアリングホイール10とギヤボックス28との間に設けられた伸縮軸として機能する。
インターミディエイトシャフト14は、伸縮する許容範囲が予め定められている。たとえばインターミディエイトシャフト14が許容範囲より大きく伸張すると、インターミディエイトシャフト14によってギヤボックス28の振動や変位を吸収することが困難となり、ギヤボックス28の振動や変位がステアリングホイール10に伝達される。これによって、運転者のステアリングホイール10を操作する感触に影響を与え得る。本実施形態においては、インターミディエイトシャフト14は、伸張する許容範囲がXとされている。
図2は、第1の実施形態に係る操舵装置100Aのギヤボックス28周辺を示す図である。本図は、車両前方からギヤボックス28周辺を見た図である。本実施形態において、ギヤボックス28の脱落を抑制するための車体前部構造は、ギヤボックス28および脱落防止ブラケット30などを備える。ギヤボックス28は、ギヤボックス部28b、ラックハウジング部28c、ギヤボックス取付部28aなどを有し、ラックハウジング部28cの内部に後述するステアリングラックを有している。
ラックハウジング部28cは、車両左右方向に延在し、内部にラック挿通孔を有する円筒形状に形成されている。このラック挿通孔に、軸状のステアリングラックが挿通される。ギヤボックス部28bも内部にステアリングシャフト挿通孔を有する円筒形状に形成されている。ギヤボックス部28bのステアリングシャフト挿通孔には、第2ステアリングシャフト24の下端部が挿通される。ギヤボックス部28bは、車両右側においてラックハウジング部28cと略直交するように一体的に形成される。
ステアリングラックにはラックギヤが形成されており、第2ステアリングシャフト24の下端部には、ピニオンギヤが形成されている。ラックハウジング部28cとギヤボックス部28bが交差する内部において、第2ステアリングシャフト24のピニオンギヤがステアリングラックのラックギヤに噛合している。これによって、ステアリングホイール10の回転運動が、車両左右方向へのステアリングラックの直線運動に変換される。ステアリングラックは、タイロッド(図示せず)、ナックルアーム(図示せず)を介して左前輪および右前輪の各々に連結されている。ステアリングラックが車両左右方向へ直線運動を行うことにより、左前輪および右前輪が転舵される。
ラックハウジング部28cの両端部近傍には、ラックハウジング部28cの外周から下方に突出するギヤボックス取付部28aが、ラックハウジング部28cと一体的に形成される。ギヤボックス取付部28aがボルト34によって後述するダッシュボードに固定され、ギヤボックス28がダッシュボードに取り付けられる。
ギヤボックス28は、車両が走行し操舵されることによって、振動や部材の弾性変形などによる変位が生じ得る。その結果、ボルト34が緩むまたは外れるなどしてギヤボックス28がダッシュボードから離脱するケースが考えられる。ギヤボックス28の下方には空間があることから、ギヤボックス28がダッシュボードから離脱すると、重力によって下方に脱落してしまう。一方、ギヤボックス28とインターミディエイトシャフト14とは、第2ステアリングシャフト24を介して連結されている。このため、ギヤボックス28の脱落に対して何ら対策を講じなければ、ギヤボックス28が脱落すると、インターミディエイトシャフト14は、許容伸縮範囲まで伸張させられる。この場合、インターミディエイトシャフト14によってギヤボックス28の重量を支持することとなる。ギヤボックス28は、通常各部品が鉄系の金属材料で形成されていることから、重量は大きいものとなる。したがって、ギヤボックス28の脱落を抑制するため、ギヤボックス28の移動の規制をインターミディエイトシャフト14によって行う場合、インターミディエイトシャフト14を大型化または複雑化することを避けることは困難となる。
このため、本実施形態の車体前部構造150Aは、脱落防止ブラケット30を備える。脱落防止ブラケット30は、ダッシュボードにボルト32により固定される。脱落防止ブラケット30は、ラックハウジング部28cの車両右側および左側にそれぞれ1つずつ設けられる。脱落防止ブラケット30は、インターミディエイトシャフト14の許容伸縮範囲以内に、ギヤボックス28の移動を規制する。脱落防止ブラケット30の構造については、図3の説明において詳細に説明する。
ラックハウジング部28cの車両左側、すなわち本図における右側に設けられる脱落防止ブラケット30は、ラックハウジング部28cの車両左側端部近傍に設けられたギヤボックス取付部28aの内側、すなわち本図における左側に配置される。これによって、ギヤボックス28がダッシュボードから離脱した場合においても、脱落防止ブラケット30の車両左方向端部にギヤボックス取付部28aが当接し、ギヤボックス28の車両左方向の移動が規制される。
ラックハウジング部28cの車両右側、すなわち本図における左側に設けられる脱落防止ブラケット30は、ギヤボックス28の車両右側端部近傍に設けられたギヤボックス部28bの内側、すなわち本図における右側に配置される。これによって、ギヤボックス28がダッシュボードから離脱した場合においても、脱落防止ブラケット30の車両右方向端部にギヤボックス部28bが当接し、ギヤボックス28の車両右方向の移動が規制される。このように、ギヤボックス28がダッシュボードから離脱した場合においても、ギヤボックス28の車両左右方向の移動が規制されることから、ステアリングホイール10による車両の操舵を確保することができる。
図3は、図2の車体前部構造150Aの断面Aを示す図である。本図において左側が車両後方となり右側が車両前方となる。ギヤボックス28のラックハウジング部28cは、外周が略円形に形成され、内部に略円形のラック挿通孔が形成される。このラック挿通孔に、断面が略円形のステアリングラック36が挿通される。ラックハウジング部28cの下方には、ラックハウジング部28cの外周部から下方に突出したギヤボックス取付部28aが、ラックハウジング部28cと一体的に形成されている。ダッシュボード50は略鉛直な平面部を有している。ギヤボックス取付部28aにはボルト34を挿通するための貫通したボルト挿通孔が設けられている。ギヤボックス取付部28aは、ダッシュボード50の平面部に接合された状態で、ボルト挿通孔に車両前方から後方に向かってボルト32が挿通され、ダッシュボード50に締結される。これによって、ギヤボックス28がダッシュボード50に取り付けられる。このため、ダッシュボード50は、ギヤボックス28が取り付けられる被取付部として機能する。
ギヤボックス28のギヤボックス取付部28a近傍には、脱落防止ブラケット30が設けられる。脱落防止ブラケット30はコ字状に形成され、コ字の開口側の上下2箇所には外側に曲げられて形成された取付面が設けられている。2箇所の取付面にはそれぞれボルト32を挿通するためのボルト挿通孔が設けられており、ボルト32がこのボルト挿通孔に挿通されダッシュボード50に締結されることにより、脱落防止ブラケット30がダッシュボード50に固定される。
このとき、脱落防止ブラケット30は、ダッシュボード50とともに、ギヤボックス28を囲うようにダッシュボード50に取り付けられる。これによって、ギヤボックス28の径方向のうち、ギヤボックス28の下方以外の方向においても、ギヤボックス28の移動を規制することができる。
ギヤボックス28は、ダッシュボード50に取り付けられた状態でギヤボックス28の下方に位置する下方移動規制面30aを有する。下方移動規制面30aは、ボルト34が緩むまたは外れるなどによってギヤボックス28がダッシュボード50から離脱した場合において、ギヤボックス28の下方への移動を規制する。ギヤボックス28がダッシュボード50に取り付けられた状態では、ギヤボックス28の下部と下方移動規制面30aとは、Yの間隔が設けられる。このYは、インターミディエイトシャフト14の許容伸縮範囲としてのX以下の値とされる。このため、脱落防止ブラケット30は、ギヤボックス28の移動を規制する移動規制手段として機能する。これによって、ギヤボックス28が被取付部から離脱した場合においても、インターミディエイトシャフト14の許容伸縮範囲以内にギヤボックス28の移動を規制することができる。したがって、ギヤボックス28がダッシュボード50から離脱した場合に、インターミディエイトシャフト14によってギヤボックス28を支持する必要性を低減させることができ、インターミディエイトシャフト14のコストの増加および大型化を抑制することができる。
なお、脱落防止ブラケット30は、ギヤボックス28の外周と略等間隔となるよう、一部が円弧状に形成される。本実施形態においては、ギヤボックス28と脱落防止ブラケット30の円弧状の部分との間隔もYとなるよう、脱落防止ブラケット30が形成される。これによって、ギヤボックス28が下方だけではなく、脱落防止ブラケット30の円弧状の部分に向かって移動した場合においても、ギヤボックス28の移動をインターミディエイトシャフト14の許容伸縮範囲以下に抑制することができる。
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る操舵装置100Bのギヤボックス52周辺を示す図である。本図は、車両前方からギヤボックス52周辺を見た図である。なお、第1の実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
本実施形態において、ギヤボックス52の脱落を抑制するための車体前部構造150Bは、ギヤボックス52および脱落防止ワイヤ56などを備える。ギヤボックス52は、ギヤボックス部52b、ラックハウジング部52c、ギヤボックス取付部52aなどを有ししている。
ラックハウジング部52cは車両左右方向に延在し、内部にラック挿通孔を有する円筒形状に形成されている。このラック挿通孔にステアリングラックが挿通される。ギヤボックス部52bも内部にステアリングシャフト挿通孔を有する円筒形状に形成されている。このステアリングシャフト挿通孔には第2ステアリングシャフト24が挿通される。ラックハウジング部52cとギヤボックス部52bは、車両右側において略直交するように一体的に形成される。この第2ステアリングシャフト24からステアリングホイール10に至る、インターミディエイトシャフト14周辺の構成は第1の実施形態と同様である。また、第2ステアリングシャフト24とステアリングラックが機械的に連結され、ステアリングホイール10の回転運動が車両左右方向へのステアリングラックの直線運動に変換される構成も第1の実施形態と同様である。
ラックハウジング部52cの両端部近傍には、ラックハウジング部52cの外周から下方に突出するギヤボックス取付部52aが、ラックハウジング部52cと一体的に形成される。2つのギヤボックス取付部52aの各々には、車両上方から下方へ貫通するボルト挿通孔が設けられている。ギヤボックス取付部52aは車体前部に設けられたサスペンションメンバー70に載置され下方に向かってボルト54が挿通され、サスペンションメンバー70に締結される。これによって、ギヤボックス52がサスペンションメンバー70に固定される。
本実施形態では、車体前部に設けられたダッシュボード50とギヤボックス52とを連結する脱落防止ワイヤ56が2本設けられている。2本の脱落防止ワイヤ56は、2つのギヤボックス取付部52aの近傍かつ2つのギヤボックス取付部52aの間において、それぞれの一端がギヤボックス52に巻かれ結ばれることによってギヤボックス52と連結されている。2本の脱落防止ワイヤ56のそれぞれの他端は、ギヤボックス28の上方のダッシュボード50上のワイヤ取付部において、ボルト58によってプレート60を介してダッシュボード50に固定されている。
なお、ボルト54が緩むまたは外れるなどによってギヤボックス52がサスペンションメンバー70から離脱した場合、脱落防止ワイヤ56は、ギヤボックス52の車両左右方向への移動も規制する。これによって、ステアリングホイール10による車両の操舵を確保することができる。
図5は、図4の車体前部構造150Bの断面Bを示す図である。本図において左側が車両後方となり右側が車両前方となる。ギヤボックス52のラックハウジング部52cは、外周が略円形に形成され、内部に略円形のラック挿通孔が形成される。このラック挿通孔に、断面が略円形のステアリングラック62が挿通される。
ギヤボックス52のギヤボックス取付部52aは、車両前後方向に延在するブロック状に形成される。ギヤボックス取付部52aの略中央の上面には、ラックハウジング部52cが一体的に固定される。ギヤボックス取付部52aには、ラックハウジング部52cを挟んで車両前方および車両後方にそれぞれ上面から下面に貫通するボルト挿通孔が設けられている。サスペンションメンバー70にギヤボックス取付部52aが載置された状態で、この2箇所のボルト挿通孔にそれぞれボルト54が下方に向かって挿通され、サスペンションメンバー70に締結される。これによって、ギヤボックス52がサスペンションメンバー70に固定される。
ギヤボックス52の車両後方には、略鉛直な平面部を有するダッシュボード50があり、ギヤボックス52より上方のダッシュボード50上のワイヤ取付部に脱落防止ワイヤ56がボルト58により固定される。ボルト58とダッシュボード50の間にはプレート60が設けられる。
ギヤボックス52がサスペンションメンバー70に取り付けられた状態において、ダッシュボード50のワイヤ取付部とギヤボックス52との間の距離はLとされている。これに対し、ダッシュボード50のワイヤ取付部とギヤボックス52を連結する脱落防止ワイヤ56の長さは、Lよりも長いLとされている。このため、ギヤボックス52がサスペンションメンバー70に取り付けられた状態では、脱落防止ワイヤ56は弛緩した状態でダッシュボード50とギヤボックス52とを連結している。このため、ギヤボックス52の振動や変位によって、脱落防止ワイヤ56とギヤボックス28との連結箇所、および脱落防止ワイヤ56とワイヤ取付部との連結箇所において、振動や変位による影響が低減される。このため、これらの連結箇所の連結が外れることが抑制される。
ギヤボックス52がサスペンションメンバー70から離脱した場合、ギヤボックス52は、脱落防止ワイヤ56がLに張りつめる範囲、すなわちダッシュボード50のワイヤ取付部から半径Lの円弧の内側に、ギヤボックス52の移動を規制する。このL、Lは、L−L≦Xとなるように設定される。これによって、ボルト54が緩むまたは外れるなどによりギヤボックス52がサスペンションメンバー70から離脱した場合に、ギヤボックス52の移動を、インターミディエイトシャフト14の許容収縮範囲以内に抑制することができる。このため、脱落防止ワイヤ56は、ギヤボックス52の移動を規制する移動規制手段として機能する。脱落防止ワイヤ56が設けられることによって、ギヤボックス28がダッシュボード50から離脱した場合に、インターミディエイトシャフト14によってギヤボックス28を支持する必要性を低減させることができ、インターミディエイトシャフト14のコストの増加および大型化を抑制することができる。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
第1の実施形態のようにダッシュボード50にギヤボックス28が取り付けられているような場合においても、ギヤボックス28は、脱落防止ワイヤによってダッシュボード50と連結されてもよい。この場合も、ダッシュボード50のワイヤ取付部とギヤボックス52との間の距離をL、ダッシュボード50のワイヤ取付部とギヤボックス52を連結する脱落防止ワイヤ56の長さをLとした場合に、L−L≦Xとなるよう、LおよびLが設定される。これによっても、ギヤボックス28がダッシュボード50から離脱した場合において、ギヤボックス28の移動をインターミディエイトシャフト14の許容伸縮範囲以内に抑制することができる。
第2の実施形態のようにサスペンションメンバー70にギヤボックス52が取り付けられているような場合においても、脱落防止ブラケット30が、サスペンションメンバー70と共にギヤボックス52を囲うように取り付けられていてもよい。この場合、脱落防止ブラケット30の車両前方の内周としての前方移動規制面とギヤボックス52の外周との間隔は、インターミディエイトシャフト14の許容伸縮範囲としてのXよりも小さい間隔とされる。これによっても、ギヤボックス52がダッシュボード50から離脱した場合において、ギヤボックス52の移動をインターミディエイトシャフト14の許容伸縮範囲以内に抑制することができる。
第1の実施形態に係る操舵装置のインターミディエイトシャフト周辺を示す図である。 第1の実施形態に係る操舵装置のギヤボックス周辺を示す図である。 図2の車体前部構造の断面Aを示す図である。 第2の実施形態に係る操舵装置のギヤボックス周辺を示す図である。 図4の車体前部構造の断面Bを示す図である。
符号の説明
10 ステアリングホイール、 14 インターミディエイトシャフト、 28 ギヤボックス、 30 脱落防止ブラケット、 50 ダッシュボード、 52 ギヤボックス、 56 脱落防止ワイヤ、 70 サスペンションメンバー、 100A・100B 操舵装置、 150A・150B 車体前部構造。

Claims (5)

  1. ステアリングホイールの回転運動を操舵軸の車両左右方向への直線運動に変換するギヤボックスと、
    前記ギヤボックスが取り付けられる被取付部から前記ギヤボックスが離脱した場合に、前記ステアリングホイールと前記ギヤボックスとの間に設けられた伸縮軸の許容伸縮範囲以内に前記ギヤボックスの移動を規制する移動規制手段と、
    を備えることを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記移動規制手段は、前記ギヤボックスが前記被取付部に取り付けられた状態で、前記ギヤボックスの下部に対し前記伸縮軸の許容伸縮範囲以内の間隔をあけて前記被取付部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
  3. 前記ギヤボックスは、前記移動規制手段の近傍において下方に突出する突出部を有することを特徴とする請求項2に記載の車体前部構造。
  4. 前記ギヤボックスは車両左右方向に軸状に延在して形成され、両端部近傍に車体前部への取り付けのための下方に突出した取付部を有し、
    前記移動規制手段は、前記取付部が前記被取付部に固定された状態で、前記ギヤボックスに対し前記伸縮軸の許容伸縮範囲以内の間隔をあけて、前記ギヤボックスを囲うように、前記取付部の少なくとも一方の近傍において前記車体前部に固定されることを特徴とする請求項2または3記載の車体前部構造。
  5. 前記移動規制手段は、前記ギヤボックスとワイヤ取付部とを連結するワイヤを有し、
    前記ギヤボックスが前記被取付部に取り付けられた状態における前記ギヤボックスと前記ワイヤ取付部との距離をL、ワイヤの長さをL、前記伸縮軸の許容伸縮範囲をXとした場合に、L−L≦Xとなることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012091741A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Hi-Lex Corporation 係留装置及びそれを用いたステアリング係留機構

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