JP2007076388A - 車両の姿勢制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
実旋回相関値が目標旋回相関値に近づくように車両(10)の各車輪(13L,13R,15L,15R)に対して制動力を調整する制御である姿勢制御を実行する姿勢制御手段(43)と、車両(10)の前後方向加速度および加速要求のうち少なくともいずれか一方に相関する値である加速相関値を検出する加速相関値検出手段(44)と、加速相関値検出手段(44)によって検出された加速相関値に応じて、姿勢制御手段(43)による各車輪(13L,13R,15L,15R)に対する最大制動力を変更する最大制動力変更手段(46)とを備えて構成する。
【選択図】 図1
Description
また、この姿勢制御によれば、図8に示すように、目標旋回半径よりも実際の旋回半径が大きくなる場合、即ちアンダーステアが生じた場合に、前外輪101,前内輪102および旋回中心側の後輪(後内輪)103に対する各制動力F101,F102,F103を、下式(2)の関係を満たすように設定することで、車両100に対して図8中時計回りのヨーモーメントYM100Bを発生させ、車両100が目標旋回半径に沿って走行できるようにすることもできるようになっている。
このような、車両の姿勢制御に関する技術の一例としては、以下の特許文献1の技術が挙げられ、この特許文献1には、単に車両の姿勢制御を実行するのみならず、例えば、アクセルペダルの踏込量が大きい場合や操舵角速度などが小さい場合には、ドライバによる車両制御に余裕があるとみなし、姿勢制御が実行されにくくする旨が開示されている。
したがって、特許文献1の技術によれば、姿勢制御を実行したとしても、ゲインの大小に応じて、姿勢制御の効果そのものが小さくなったり大きくなったりすることとなる。
他方、車両の安定性を高めるべく、ゲインを通常より大きく設定した場合には、姿勢制御の効果が必要以上に大きくなり、各車輪のブレーキ装置の磨耗部品の寿命の低下を招くとともに、モータスポーツなど高い速度で走行することを必要とする場面においては、高速走行の妨げとなってしまうという課題も生じる。
また、請求項4記載の本発明の車両の姿勢制御装置は、請求項1〜3いずれか1項に記載の内容において、該車両の前後方向加速度を実測する前後加速度センサが設けられ、該加速相関値取得手段は、該前後加速度センサの計測結果を該加速相関値とすることを特徴としている。
また、請求項6記載の本発明の車両の姿勢制御装置は、請求項1〜3いずれか1項に記載の内容において、該車両には、該車輪に対する制動力を発生させる油圧制動装置と、該油圧制動装置の油圧を計測する油圧計測手段が設けられ、加速相関値検出手段は、該油圧計測手段による計測結果を該加速相関値とすることを特徴としている。
また、オーバステア状態の車両の姿勢を制御するほうが、アンダーステア状態の車両の姿勢を制御するよりも一般的には困難であるため、姿勢制御手段による車両の安定性向上が望まれる場面であるが、オーバステア状態の車両に対する姿勢制御の最大制動力を、アンダーステア状態の車両に対する姿勢制御の最大制動力よりも大きく設定することにより、オーバステア状態の車両の安定性を確保しながら、各車輪に対する制動力が必要以上に大きくなることを防ぐことができる。
(請求項2)
また、姿勢制御の実行を規制することが望まれているのか否かに応じて、各車輪に対する制動力の最大値が変更されるようになっているので、姿勢制御による最大効果を必要に応じて変更することができる。(請求項3)
また、車両の前後方向加速度を実測する前後加速度センサの測定結果を加速相関値とすることができるようになっているので、姿勢制御の最大効果を車両の実際の挙動に応じて的確に変更することができる。(請求項4)
また、車両のドライバによる加速要求を検出する加速要求検出手段による計測結果を加速相関値としているので、ドライバの加減側要求に的確に対応して姿勢制御による最大効果を変更することができる。(請求項5)
また、車両の全車輪に対する制動力を発生させる油圧制動装置の油圧を計測する油圧計測手段による計測結果を加速相関値としているので、ドライバの加速要求に的確に対応して姿勢制御による最大効果を変更することができる。(請求項6)
また、エンジンの出力トルクに相関する値であるトルク相関値を検出する出力トルク相関値検出手段による検出結果を加速相関値としているので、車両の加減速に対応して姿勢制御による最大効果を変更することができる。(請求項7)
図1に示すように、車両10の前方(図1中左方)側には、エンジン11およびトランスミッション12が備えられ、このエンジン11によって生じたトルクがトランスミッション12およびドライブシャフト14L,14Rを介して左右前輪13L,13Rに対してそれぞれ伝達されるようになっている。また、このトランスミッション12には図示しないディファレンシャルギアボックスが内蔵され、車両10が旋回した場合に生じる左右前輪13L,13Rでの回転速度が吸収されるようになっている。
さらに、車両10のドライバによって操作されるステアリングホイール(図示略)の角度、即ち、舵角を検出する舵角センサ23が設けられるとともに、ブレーキペダルに対するドライバの踏力に応じて上昇するブレーキマスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧センサ24が設けられている。
また、この車両10には、ECU(電子制御ユニット;Electronic Controlled Unit)30が備えられており、このECU30は、いずれも図示しない、インターフェースユニット,CPU,メモリなど種々の機器が内蔵されて構成されている。そして、このECU30のメモリ内には、ソフトウェアプログラムとして、実ヨーレイト検出部(実ヨーレイト検出手段)41,目標ヨーレイト検出部(目標ヨーレイト検出手段)42,姿勢制御部(姿勢制御手段)43,前後加速検出部(加速相関値取得手段)44,上限クリップ部(最大制動力変更手段)46および作動許可部(作動許可手段)47が内蔵されている。
また、目標ヨーレイト検出部42は、車輪速度センサ25L,25R,26L,26Rによって検出された各車輪13L,13R,15L,15Rの車輪速度と、舵角センサ23によって検出された舵角とに基づいて、ドライバが所望している方向に車両10が旋回するために必要なヨーレイト(目標ヨーレイト)を、車両10の目標とする旋回状態を示す目標旋回相関値として求めるものである。
なお、このUS/OS指数は車両10の旋回方向によって正負が逆転するようになっており、本実施形態においては、車両10の旋回方向とUS/OS指数とは以下のような関係(1)および(2)にあるものとする。
US/OS指数が正: アンダーステア状態
US/OS指数が負: オーバステア状態
・関係(2)−左旋回時
US/OS指数が正: オーバステア状態
US/OS指数が負: アンダーステア状態
したがって、目標ヨーレイト検出部42は、舵角センサ23により検出された舵角により車両10が右旋回中であると判定し且つUS/OS指数が正(US/OS指数>0)となっている場合には、車両10はアンダーステア状態にあると判定し、車両10が右旋回中であると判定し且つUS/OS指数が負(US/OS指数<0)となっている場合には、車両10はオーバステア状態にあると判定するようになっている。
また、上限クリップ部46は、目標ヨーレイト検出部42による車両10の旋回状態の判定結果(即ち、車両10にアンダーステアが生じているか或いはオーバステアが生じているか)に基づいて、後述する最大ブレーキ圧マップ48を参照することで、前後加速検出部44によって検出された加速相関値に応じて、姿勢制御部43による各車輪13L,13R,15L,15Rに対する最大制動力FMAXを変更するものである。
また、この最大ブレーキ圧マップ48には、車両10にオーバステアが生じている場合の最大制動力FMAXを規定するFMAX-OS、および、アンダーステアが生じている場合の最大制動力FMAXを規定するFMAX-USがそれぞれ設定されている。
したがって、加速相関値が一定であったとしても、車両10がオーバステア状態にある場合には、アンダーステア状態にある場合よりも、最大ブレーキ圧FMAXは大きく設定されるようになっている。
もっとも、ドライバが姿勢制御部43による姿勢制御を必要としていない場合であっても、車両10の安定性を最低限は確保する必要があるため、姿勢制御キャンセルスイッチ27がオン状態になっていたとしても、完全に姿勢制御部43の作動を停止させるのではなく、姿勢制御により作動する各ブレーキ装置16L,16R,17L,17Rの最大制動力FMAXをクリップするようになっているのである。
図3のフローチャートに示すように、まず、ステップS11において、ECU30の実ヨーレイト検出部41が、ヨーレイトセンサ21から信号を読込み、車両10の実際の旋回状態を示す実旋回相関値として取り扱われる実ヨーレイトを取得する。
そして、ステップS13において、この目標ヨーレイト検出部42は、実旋回相関値と目標旋回相関値とに基づいてUS/OS指数を求める。このUS/OS指数は、上述したように、車両10がアンダーステア傾向にあるのか、或いは、オーバステア傾向にあるのかを示す値であって、車両10が右旋回中である場合には、その値が大きいほどアンダーステア傾向が強くなっていることを示すものであり、逆に、車両10が左旋回中である場合には、その値が大きいほどオーバステア傾向が強くなっていることを示すものである。
このとき、姿勢制御キャンセルスイッチ27がオフ状態である場合には(ステップS14のNoルート)、作動許可部47が上限クリップ部46の作動を禁止するため、姿勢制御部43は、各ブレーキ装置16L,16R,17L,17Rの最大ブレーキ圧FMAXについての制限を受けずに通常の姿勢制御を実行する(ステップS15)。
一方、姿勢制御キャンセルスイッチ27がオン状態である場合(ステップS14のYesルート)、前後加速検出部44が、前後Gセンサ22によって計測された、車両10の前後方向加速度を示す前後G信号を読込み、車両10の前後方向の加減速に相関する値である加速相関値を求める(ステップS16)。
他方、目標ヨーレイト検出部42により、車両10にはアンダーステアが生じていると判定された場合、この上限クリップ部46は、各ブレーキ装置16L,16R,17L,17Rの最大ブレーキ圧FMAXを、アンダーステア発生時の最大ブレーキ圧FMAX-USを超えないように設定する。
図4(A)に示すように車両10がオーバステア状態であり、且つ、図2に示すように加速相関値がa1(即ち、車両10が加速中)であった場合、姿勢制御部43は、旋回中心とは反対側の前車輪(前外輪)13Lに制動力を加えることで、オーバステアを抑制するヨーモーメントを発生させる。
また、図5(A)に示すように車両10がオーバステア状態であり、且つ、図2に示すように加速相関値がa2(即ち、車両10が僅かに減速中)であった場合、姿勢制御部43は、前外輪13Lに制動力を加えることで、オーバステアを抑制するヨーモーメントを発生させる。なお、車両10が僅かに減速中とは、ここでは、エンジンブレーキを使用しているような場合を想定している。
また、図6(A)に示すように車両10がオーバステア状態であり、且つ、図2に示すように加速相関値がa3(即ち、車両10の減速度が大きい)場合、姿勢制御部43は、前外輪13Lに制動力を加えることで、オーバステアを抑制するヨーモーメントを発生させる。
つまり、制動制御キャンセルスイッチ27がオン状態であることにより、上限クリップ部46が作動している際に、図4(A),図5(A)および図6(A)に示すように、車両10にオーバステアが発生した場合には、前外輪13Lに対する制動力の最大値FMAXが、上限クリップ部46により、オーバステア発生時の最大ブレーキ圧FMAX-OSを超えないように制御されるので、姿勢制御実行による効果の度合いは、上限クリップ部46が作動していない場合よりも小さくなる。
同様に、図4(B)における後内輪15Rに対する制動力の最大値FMAX-US-a1よりも、図5(B)における後内輪15Rに対する制動力の最大値FMAX-US-a2の方が大きく、また、図5(B)における前外輪13Lに対する制動力の最大値FMAX-US-a2よりも、図6(B)における後内輪15Rに対する制動力の最大値FMAX-US-a3の方がさらに大きくなっている。つまり、加速相関値に応じて、制動力の最大値FMAXは異なり、これらの図4(B),図5(B)および図6(B)に示す場合においては、下式(4)の関係が満たされるようになっている。
このように、上式(3)および(4)の関係が成立しているのは、図2に示す最大ブレーキ圧マップ48において、オーバステア発生時の最大ブレーキ圧FMAX-OSおよびアンダーステア発生時の最大ブレーキ圧FMAX-USは、加速相関値が小さくなるに連れて増大するように設定されていることによるものである。
さらに、車両10の前後方向加速度を実測する前後Gセンサ22の測定結果に基づいて加速相関値を求めるようになっているので、車両10の実際の挙動に的確に対応して姿勢制御を実行させることができ、換言すれば、不要な姿勢制御の実行を廃することができる。
また、加速中の車両10で姿勢制御が実行された場合であっても、最大制動力FMAXの抑制度が大きくなることにより、ドライバや他の乗員の違和感を低減することもできる。
また、図2に示すように、最大制動力FMAXが、車両10の加速度が大きくなるほどに小さくなるように設定されているので、ブレーキ装置16L,16R,17L,17Rが発熱することを抑制し、また、ブレーキ装置21L,21R,22L,22Rのパッドが磨耗することを抑制することができる。
上述の実施形態においては、前後加速検出部44が、車両10の前後方向加速度を実測する前後加速度センサ22の測定結果を加速相関値とする場合を例にとって説明したが、このような場合に限定するものではない。
別の例としては、この前後加速検出部44が、マスタシリンダ圧センサ24よる計測結果を加速相関値として扱うようにしてもよい。この場合、ドライバによるブレーキペダルの踏力に応じて、姿勢制御による最大ブレーキ圧FMAXを抑制することで、姿勢制御の最大効果を的確に変更することができる。
22 前後加速度センサ
24 ブレーキマスタシリンダ圧センサ(油圧計測手段)
27 姿勢制御キャンセルスイッチ(規制要求検出手段)
41 実ヨーレイト検出部(実旋回相関値検出手段)
42 目標ヨーレイト検出部(目標旋回相関値取得手段)
43 姿勢制御部(姿勢制御手段)
44 前後加速検出部(加速相関値取得手段)
46 上限クリップ部(最大制動力変更手段)
47 作動許可部(作動許可手段)
Claims (7)
- 車両の実際の旋回状態を示す実旋回相関値を検出する実旋回相関値検出手段と、
該車両の目標とする旋回状態を示す目標旋回相関値を求める目標旋回相関値取得手段と、
該実旋回相関値検出手段により検出された該実旋回相関値が該目標旋回相関値取得手段によって取得された該目標旋回相関値に近づくように該車両の各車輪に対して制動力を調整する制御である姿勢制御を実行する姿勢制御手段と、
該車両の前後方向加速度および加速要求のうち少なくともいずれか一方に相関する値である加速相関値を検出する加速相関値検出手段と、
該加速相関値検出手段によって検出された該加速相関値に応じて、該姿勢制御手段による該各車輪に対する最大制動力を変更する最大制動力変更手段とを備えて構成する
ことを特徴とする、車両の姿勢制御装置。 - 該最大制動力変更手段は、実旋回相関値と目標旋回相関値とに基づき旋回状態検出手段により該車両がオーバステア状態にあると判定された場合における最大制動力よりも、該車両がアンダーステア状態にあると判定された場合における最大制動力を小さくする
ことを特徴とする、請求項1記載の車両の姿勢制御装置。 - 該姿勢制御手段の作動を規制する旨の要求を検出する規制要求検出手段と、
該姿勢制御手段に対する作動規制要求を該規制要求検出手段が検出した場合にのみ該最大制動力変更手段の作動を許可する作動許可手段とを備える
ことを特徴とする、請求項1または2記載の車両の姿勢制御装置。 - 該車両の前後方向加速度を実測する前後加速度センサが設けられ、
該加速相関値取得手段は、該前後加速度センサの計測結果を該加速相関値とする
ことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項記載の車両の姿勢制御装置。 - 該車両のドライバによる加減速要求を検出する加減速要求検出手段が設けられ、
加速相関値検出手段は、該加減速要求検出手段による検出結果を加速相関値とする
ことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項記載の車両の姿勢制御装置。 - 該車両には、該車輪に対する制動力を発生させる油圧制動装置と、該油圧制動装置の油圧を計測する油圧計測手段が設けられ、
加速相関値検出手段は、該油圧計測手段による計測結果を該加速相関値とする
ことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項記載の車両の姿勢制御装置。 - 該車両には駆動力を発生させるエンジンと、該エンジンの出力トルクに相関する値であるトルク相関値を検出する出力トルク相関値検出手段とが設けられ、
該加速相関値検出手段は、該トルク相関値検出手段による計測結果を該加速相関値とする
ことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項記載の車両の姿勢制御装置。
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