以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.電気的構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
D.内部抽選用乱数の取得方法:
D−1.スタートレバーの構造:
D−2.スタートレバー操作を検出する機構:
E.不正行為を防止可能な原理:
F.変形例:
F−1.第1の変形例:
F−2.第2の変形例:
F−3.第3の変形例:
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1は、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2と、遊技メダルを貸し出すためのメダル貸出装置4とが設けられている。前面扉2は、遊技の進行に応じた演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dと、遊技が行われる中段の領域の大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカ14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカ14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a、20b、20cが回転する様子を視認可能となっている。また、表示窓5の左右および下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類22が設けられている。
前面扉2の中段下方に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、上面には、遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口30と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを1枚だけ投入するための一枚投入ボタン32と、貯留されている遊技メダルを3枚投入するための三枚投入ボタン34などが設けられている。尚、遊技メダルの貯留とは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの枚数を記憶しておくことをいう。また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a、20b、20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a、20b、20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。また、操作部2mbには、上面に精算ボタン40が設けられ、前面に返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。また、返却ボタン42とは、投入した遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。尚、スタートレバー36を操作すると3つの回胴20a、20b、20cが回転して、各回胴に表示された図柄が変動表示されることから、本実施例のスタートレバー36は、本発明における「変動開始部材」の一態様を構成している。
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50と、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
図2は、前面扉2を開いて遊技機1の内部の構成を示した斜視図である。前面扉2の裏面側上部には、サブ制御基板ユニット102が設けられており、その左右にはスピーカ14が取り付けられている。サブ制御基板ユニット102の内部には、後述するサブ制御基板220が格納されており、図1に示した演出表示装置10や、各種ランプ類12、スピーカ14などを用いて行われる各種演出の制御を司っている。
前面扉2のほぼ中央には表示窓20が設けられており、その下方には、後述する扉基板240が格納された扉基板ユニット104が設けられ、扉基板ユニット104の下方には、投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106や、遊技メダルを遊技メダル払出口50に導くためのコインシュータ108などが取り付けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー36を操作する前に遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダルセレクタ106によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー116内に投入され、規格を満たしていないメダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。これに対して、スタートレバー36が操作された後に遊技メダルが投入された場合は、メダルセレクタ106内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、メダルセレクタ106の内部には、図示しないメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルはメダルセンサによって検出され、検出信号が後述する主制御基板200に供給されるようになっている。
一方、筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a、20b、20cが設けられており、これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る後述する主制御基板が格納された主制御基板ユニット110と、各回胴を駆動するための後述する回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112が設けられている。また、3つの回胴20a、20b、20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための後述する電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源スイッチ120sも設けられている。また、メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。
A−2.電気的構成 :
図3は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図3に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280等がデータをやり取り可能に接続されて構成されている。
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の進行や演出を司る基板である。この主制御基板200には、CPU、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて搭載されており、前面扉2に搭載された扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号を受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を出力することにより、これら各種基板の動作を制御している。
サブ制御基板220も、上述した主制御基板200と同様に、CPUや、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられて、回胴の表面に描かれた図柄を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドを解析して、各種ランプ類12、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を出力することにより、これらを用いた各種演出を行っている。
扉基板240には、前述したメダルセレクタ106や、貯留されている遊技メダルを投入するための各種投入ボタン32,34、回胴の回転を開始するためのスタートレバー36、回転している回胴を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン40、遊技の状態を表示する各種の表示パネル22などが接続されている。また、扉基板240は、前述した主制御基板200と、データをやり取り可能に接続されている。このため、前面扉2に設けられたスタートレバー36や、回胴停止ボタン38a、38b、38c、各種の投入ボタン32,34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号を主制御基板200に供給することが可能となっている。また、メダルセレクタ106に設けられたメダルセンサの出力も、扉基板240を介して主制御基板200に供給されている。
尚、本実施例の遊技機1では、スタートレバー36を一定周期で操作することで不正に遊技メダルを払い出させる行為を回避するために、スタートレバー36が操作されたことを、特殊な方法を用いて検出している。この点については、スタートレバー36の詳細な構造も含めて後ほど詳しく説明する。
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モータ24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cが設けられている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モータ24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを、所望の回転位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モータ24a,24b,24cには、いわゆるステッピングモータが使用されている。
また、メダル払出装置118は、図示しない中継基板を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。
また、これら各種制御基板、および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。図3では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する回胴式の遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、回胴式遊技機で行われる遊技の概要を説明しておく。
遊技を開始するにあたっては、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、メダルのベットを行う。ベットする遊技メダル数は、通常、1枚または3枚に固定されている。尚、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、一枚投入ボタン32、あるいは三枚投入ボタン34を押すことにより、それぞれ1枚または3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが一斉に回転を開始する。それぞれの回胴には、複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、それぞれの回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で何れかの図柄が停止表示されて、何某かの図柄組合せが得られることになる。こうして得られた図柄組合せが、いわゆる「小役」と呼ばれる遊技役を成立させる組合せであった場合には、成立した遊技役に応じた遊技メダルが払い出される。ベットした遊技メダル数が3枚であった場合には、1枚だけベットした場合の3倍の遊技メダルの払い出しを受けることができる。
また、次の理由から、ベットする遊技メダル数が多くなるほど、遊技役を成立させ易くなっている。先ず、前面扉2に設けられた表示窓20は、回胴に描かれた3つの図柄を表示可能な大きさに設けられている。従って、各回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で3つずつの図柄が停止表示されることになるから、横方向には上段・中段・下段の3組の図柄組合せが得られ、斜め方向には2組の図柄組合せが得られる。このように図柄組合せが得られる方向は「ライン」と呼ばれ、結局、横方向には3ライン、斜め方向には2ラインの、合計5ラインが存在していることになる。ここで、ベットされた遊技メダルが3枚の場合は、これら5ライン全てが有効となり、何れかのライン上で遊技役の図柄組合せを揃えればよいが、1枚しか遊技メダルをベットしなかった場合は、有効なラインが限定され、他のラインで遊技役の図柄組合せが揃っても、遊技役を成立させることはできない。すなわち、ベットする遊技メダルの数が多い方が、遊技役を成立させ易くなっている。
また、遊技役には、「小役」の他に、いわゆる「ボーナス役」と呼ばれる役も設けられており、ボーナス役を成立させる図柄組合せが得られた場合には、遊技状態が遊技者に有利な状態に切り換わる。このボーナス役には、いわゆる「レギュラーボーナス役(以下では、RB役)」と「ビッグボーナス役(以下では、BB役)」とが設けられており、RB役の場合は、遊技役を成立させる図柄組合せの種類が増加し、これら遊技役が成立する確率が高くなる「RB遊技」が行われる。また、BB役の場合は、RB役よりも遊技者にとって更に有利な遊技状態、すなわち、所定枚数(例えば、465枚)の遊技メダルが払い出されるまで「RB遊技」を複数回行うことが可能な遊技状態に切り換わる。その結果、BB役が成立すると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することが可能となる。
以上に説明したように、回胴式の遊技機1では、遊技メダルをベットしてスタートレバー36を操作することにより回胴20a,20b,20cを一定に回転させた後、回胴停止ボタン38a、38b、38cを押して回胴の回転を停止させる。そのときに得られた図柄組合せによって、遊技メダルが払い出されたり、あるいは有利な遊技状態に切り換わったりしながら遊技が進行していく。そして、BB役が成立した場合に最も多量の遊技メダルを獲得することができるから、遊技者はBB役を成立させることを常に願いながら、遊技を継続することになる。
こうした遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下では、主制御基板200が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
C.制御の概要 :
図4は、本実施例の遊技機1において主制御基板200が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が投入され、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのサムチェックや、RAMのクリアなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。
図4に示すように、遊技制御処理においては、まず、遊技メダルがベットされているか否かを判断する(ステップ10。以下「ステップ」を「S」と略記)。すなわち、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入されたか否か、あるいは一枚投入ボタン32または三枚投入ボタン34が操作されたか否かを判断する(S10)。前述したように、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106を通過する際にメダルセレクタ106内に設けられた図示しないメダルセンサによって検出される。また、一枚投入ボタン32や三枚投入ボタン34にも接点スイッチが内蔵されており、これら投入ボタンが操作されると接点スイッチによって検出される。そして、メダルセンサや接点スイッチからの検出信号は、扉基板240を経由して主制御基板200に供給されるので、主制御基板200は、これらの検出信号に基づいて、遊技メダルがベットされたか否かを判断することができる。尚、「リプレイ役」と呼ばれる特殊な遊技役が成立した場合には、遊技者が遊技メダルをベットしなくても自動的にベットされるので、「リプレイ役」が成立した場合にも、遊技メダルがベットされたものと判断される(S10:yes)。
S10において、遊技メダルがベットされていないと判断された場合には(S10:no)、当該判断処理(S10)を繰り返し行うことによって、遊技メダルがベットされるまで待機する。一方、遊技メダルがベットされたと判断されたら(S10:yes)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S20)。詳細には後述するが、スタートレバー36には、後述する検出センサが組み込まれており、スタートレバー36を操作すると、その動きを検出することが可能となっている。主制御基板200は、この検出センサの出力に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。そして、遊技メダルがベットされたにも拘わらず、スタートレバー36が操作されていないと判断された場合は(S20:no)、スタートレバー36が操作されるまで、かかる判断を繰り返しながら待機状態となる。一方、スタートレバー36が操作されたことが確認されたら(S20:yes)、遊技を進行させるべく、以下の一連の処理が行われる。
スタートレバー36が操作されると、直ちに内部抽選処理が行われる(S30)。かかる処理では、スタートレバー36が操作されたタイミングで内部抽選用の乱数を1つ取得して、取得した乱数に応じて、遊技役を内部的に抽選する処理を行う。前述したように遊技役が成立するためには、その遊技役に対応する所定の図柄組合せが得られるように、3つの回胴20a,20b,20cを停止させなければならないが、それに先立って遊技機1の内部では、何れの遊技役を成立させるかの抽選が行われており、この抽選に当選しなければ、回胴停止ボタン38a,38b,38cをどのようなタイミングで押しても、遊技役の図柄組合せで回胴20a,20b,20cを停止させることはできないようになっている。そこで、スタートレバー36が操作されたら、先ず初めに内部抽選を行って、何れの遊技役を成立させるか、あるいは何れの遊技役も成立させないかを決定しておくのである。
詳細には後述するが、内部抽選は、内部抽選用の乱数を周期的に更新しておき、スタートレバー36が操作されたタイミングに従って乱数を取得して、得られた乱数に基づいて遊技役の当否を決定している。このため、内部抽選用乱数が更新される周期と同期させてスタートレバー36が押されると、常に同じ乱数が取得されるので、常に同じ遊技役に当選させることも可能となる。実際のところ、特殊な器具を用いて内部抽選用乱数の更新周期と同期させてスタートレバー36を操作し、常に内部抽選で何れかの遊技役に当選させることにより、多量の遊技メダルを払い出させる不正行為が行われることがある。こうした点に鑑みて、本実施例の遊技機1では、スタートレバー36が操作されたときに、後述する方法によって内部抽選用乱数を取得することで、上述した不正行為が行われることを確実に防止することが可能となっている。
主制御基板200は、内部抽選処理に続いて、回胴回転始動処理を開始する(S40)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満足されているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを一斉に回転させる処理である。本実施例の回胴回転始動処理では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)以上経過していた場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モータ24a,24b,24cに対して駆動信号を出力する処理を行う。
いる。
こうして3つの回胴20a,20b,20cを一斉に回転させたら、主制御基板200は、今度は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S50)。かかる処理では、回胴20a,20b,20cの回転が開始され、回転速度が一定となってから所定時間(例えば30秒)以内に回胴停止ボタン38a,38b,38cが押されると、それぞれの回胴で停止表示される図柄を決定した後、回胴の回転速度を減速させて、決定した図柄の位置で回胴を停止させる制御を行う。また、停止表示される図柄を決定する際には、先に行われた内部抽選の結果が参照され、何れの遊技役にも当選していなかった場合は、遊技役が成立する図柄組合せを避けるように、各回胴の停止図柄を決定する。
この点について、若干の補足説明を行う。先ず回胴停止ボタン38a,38b,38cが押されると、ボタンが押されたタイミングでの回胴の回転位置に基づいて、それぞれの回胴について暫定的な停止図柄を決定する。次に、内部抽選の結果を参照して、何れの遊技役にも当選していなかった場合は、暫定的に決定した停止図柄が、何れかの遊技役を成立させる図柄組合せになっているか否かを判断する。そして、何れの遊技役を成立させる図柄組合せでも無かった場合は、暫定的に決定した停止図柄をそのまま採用して、最終的な停止図柄として決定する。暫定的な停止図柄が、何れかの遊技役を成立させる図柄であった場合には、遊技役が成立しないように停止図柄を変更して、変更後の図柄を最終的な停止図柄として決定する。
一方、内部抽選によって何れかの遊技役に当選していた場合は、暫定的に決定した停止図柄によって当選した遊技役が成立するか否かを判断する。そして、当選した遊技役を成立させることが出来る場合は、暫定的な停止図柄をそのまま最終的な停止図柄として決定する。これに対して、暫定的に決定した停止図柄によっては、当選した遊技役を成立させることが出来ない場合は、次のような処理を行う。先ず、暫定的に決定した停止図柄を少しずらすことで、当選した遊技役を成立させることが可能か否かを判断する。ずらすことの可能なコマ数は、一般的には4コマ以内に設定されている。そして、暫定的な停止図柄を所定コマ数の範囲内で修正すれば、当選した遊技役を成立させることが出来る場合は、遊技役が成立するように停止図柄を修正して、最終的な停止図柄として決定する。しかし、所定コマ数の範囲内でずらしただけでは、当選した遊技役を成立させる図柄組合せとすることが出来ない場合は、暫定的な停止図柄を修正することなく、そのまま採用して、最終的な停止図柄として決定する。
図4に示した回胴回転停止処理(S50)では、以上のようにして、各回胴20a,20b,20cでの停止図柄を決定し、決定した位置でそれぞれの回胴20a,20b,20cを停止させる処理を行う。尚、以上は、回胴の回転速度が一定速度に達してから所定時間(例えば30秒)以内に、回胴停止ボタン38a,38b,38cが押された場合について説明したが、所定時間が経過しても回胴停止ボタン38a,38b,38cが押されない場合には、時間が経過した時点でボタンが押されたものとして、上述した処理が行われる。
以上のようにして、3つの回胴20a,20b,20cを停止させたら、主制御基板200は、入賞が成立しているか否かを判断する(S60)。ここで、「入賞」とは、内部抽選で遊技役に当選した後、その遊技役を成立させる図柄組合せが、有効ライン上に停止表示されることをいう。回胴回転停止処理(S50)において説明したように、内部抽選では遊技役に当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄組合せが得られるとは限らない。そこで、主制御基板200は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役の入賞が成立しているか否かを判断するのである。
参考として、本実施例の遊技機1に設定されている各種の遊技役と、それら遊技役を成立させるための図柄組合せを図5に例示した。また、図5では、各遊技役に入賞したときに払い出される遊技メダルの枚数も示されている。図示されているように、本実施例の遊技機1では、「BB役」、「RB役」、「スズの小役」、「プラムの小役」、「チェリーの小役」、「リプレイ役」などの遊技役が設定されている。また、「BB役」に対応する図柄組合せは、「7−7−7」あるいは「火山−火山−火山」の図柄組合せに設定されている。同様に、「RB役」に対応する図柄組合せは、「バー−バー−バー」の組合せに設定されており、「スズの小役」に対しては「スズ−スズ−スズ」の組合せが、「プラムの小役」に対しては「プラム−プラム−プラム」の組合せが設定されている。また、「チェリーの小役」は、左の回胴20aが「チェリー」の図柄で停止表示すれば、他の回胴20b,20cはどのような図柄で停止表示されても成立するように設定されている。更に、「リプレイ役」に対応する図柄組合せは、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」の図柄組合せに設定されている。図4のS50では、各回胴20a,20b,20cの回転が停止して、有効ライン上に得られた図柄組合せが、これら何れかの図柄組合せに該当しているか否かを判断する。そして、何れの図柄組合せにも該当していない(すなわち、入賞していない)と判断された場合は(S60:no)、図4の遊技制御処理の先頭の処理(S10)に戻って、再び遊技メダルがベットされるまで待機する。そして、ベットされたことが確認されると(S10:yes)、上述の一連の処理を再度実行する。
一方、何れかの入賞が成立したと判断された場合は(S60:yes)、先ず初めに、入賞立した役が、リプレイ役であるか否かを判断する(S60)。そして、リプレイ役に入賞していた場合は(S60:yes)、リプレイ役に入賞した遊技で投入されていた枚数の遊技メダルを自動的に再投入した後(S70)、図4の遊技制御処理の先頭の処理(S10)に戻って遊技メダルがベットされたか否かを判断し、ベットされていなければ、再び遊技メダルがベットされるまで待機する。
一方、入賞した遊技役がリプレイ役ではなかった場合は(S60:no)、「BB役」、「RB役」、「スズの小役」、「プラムの小役」、「チェリーの小役」の何れかに入賞していることになるので、入賞した遊技役に応じた枚数の遊技メダルを払い出す処理(メダル払出処理)を実行する(S80)。かかる処理は、主制御基板200の内部で払い出すべき遊技メダルの枚数を求めた後、主制御基板200からメダル払出装置118に対して制御信号を出力することによって行われる。
こうして遊技メダルを払い出したら、今度は、入賞した遊技役が「RB役」であるか否かを判断する(S100)。そして、RB役に入賞していた場合は(S100:yes)、レギュラーボーナス遊技を行った後(S110)、S10の処理に戻って、上述した続く一連の処理を実行する。ここで、レギュラーボーナス遊技(RB遊技)とは、次のような遊技である。所定回数の遊技が行われるか(例えば、12ゲーム)、所定回数だけ入賞が成立するまで(例えば、8回入賞するまで)の間、遊技役を成立させる図柄の組合せが増加し、そして、内部抽選で当選する確率も高い確率に設定されている。このため、レギュラーボーナス遊技では、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することが可能であり、遊技者にとって有利な遊技状態となっている。尚、レギュラーボーナス遊技中は、RB役やBB役に入賞することはない。
一方、入賞した遊技役が「RB役」ではないと判断された場合は(S100:no)、「BB役」であったか否かを判断する(S120)。そして、BB役に入賞していた場合は(S120:yes)、ビッグボーナス遊技を行った後(S130)、S10の処理に戻って、上述した続く一連の処理を実行する。ここで、ビッグボーナス遊技(BB遊技)とは、所定枚数(例えば、465枚)の遊技メダルが払い出されるまで、前述したレギュラーボーナス遊技を複数回、連続的に発生させることが可能な遊技状態である。つまり、ビッグボーナス遊技は、「RB役」の入賞が成立するまでの導入遊技と、「RB役」の入賞成立後のレギュラーボーナス遊技とから構成されるもので、所定枚数(例えば、465枚)の遊技メダルが払い出されるまで、導入遊技とレギュラーボーナス遊技とを繰り返し行う遊技である。そして、ビッグボーナス遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数(例えば、465枚)に到達すると、ビッグボーナス遊技は終了する。このため、ビッグボーナス遊技は、上述したレギュラーボーナス遊技よりも、更に多量の遊技メダルを獲得することが可能であり、遊技者にとって更に有利な遊技状態となっている。
これに対して、入賞した遊技役が「BB役」でもないと判断された場合は(S120:no)、「リプレイ役」、「RB役」、「BB役」の何れでもないから、「小役」に入賞していたことになり、小役の入賞に対する遊技メダルの払い出しは、S90で既に行われている。そこで、この場合は、図4の遊技制御処理の先頭の処理(S10)に戻って遊技メダルがベットされたか否かを判断した後、上述した続く一連の処理を繰り返す。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、遊技メダルを投入し、スタートレバー36を操作して内部抽選を行い、回胴停止ボタン38aa,38b,38cを押して、各回胴20a,20b,20cの図柄を、内部抽選に当選した遊技役に対応する図柄組合せで停止表示させることを繰り返すことによって遊技が進行していく。ここで、内部抽選は、一定周期で内部抽選用乱数を更新しておき、スタートレバー36が操作されたことを検出して乱数を取得することによって行われている。このため、スタートレバー36を乱数の更新周期に同期させて操作すれば、常に内部抽選に当選することが可能であり、これを利用して多量の遊技メダルを払い出させる不正行為が行われる可能性がある。こうした不正行為を防止するために、本実施例の遊技機1では、スタートレバー36が操作されると、次のような方法で内部抽選用乱数を取得している。
D.内部抽選用乱数の取得方法 :
本実施例の遊技機1では、スタートレバー36が操作されたことをセンサで検出して、内部抽選用乱数を取得している。そこで、以下では、先ず初めにスタートレバー36の構造と、スタートレバー36が操作されたことを検出するための機構について説明した後、これを受けて、内部抽選用乱数を取得する方法について説明する。
D−1.スタートレバーの構造 :
図6は、スタートレバー36の構造を概念的に示す断面図である。図6(a)は、スタートレバー36が操作されていない状態を示し、図6(b)はスタートレバー36が操作された状態を示している。図示されているように、スタートレバー36は、球状のノブに円柱状の細長いシャフトが接続された形状となっている。シャフトは中ほどから若干先端よりの位置で前面扉2に軸支されており、軸36gを中心として、ある程度の角度までは上下方向に回動可能となっている。また、シャフトの先端には、細長い角柱状の先端部36tが設けられており、この先端部36tは前面扉2の裏面側に貫通している。更に、先端部36tの途中には、円板状の保持部36hが設けられており、保持部36hと前面扉2の裏面との間には、バネ36pが圧縮された状態で取り付けられている。このため、スタートレバー36および先端部36tは、保持部36hを介してバネ36pから常に力を受けた状態となっており、このバネ力によって、スタートレバー36は図6(a)に示すような中立状態に保持されている。
また、遊技者が、スタートレバー36のノブを上下何れかの方向に操作すると、図6(b)に示されているように、スタートレバー36および先端部36tが軸36gを中心として回転する。このため、ノブが下方に押された場合は先端部36tが上方に大きく移動し、逆に、ノブが上方に押された場合は先端部36tが下方に大きく移動するようになっている。そして、遊技者がノブの操作を止めると、バネ36pの力によって、スタートレバー36は図6(a)に示した中立状態に戻され、先端部36tも初めの位置に復帰する。本実施例の遊技機1では、この先端部36tの動き(あるいは位置)を検出することで、スタートレバー36が操作されたことを検出するようになっている。
D−2.スタートレバー操作を検出する機構 :
図7は、内部抽選用乱数を取得するために、スタートレバー36が操作されたことを検出する機構の大まかな構成を示した説明図である。図示した例では、先端部36tの両側に発光ダイオード132aと、光トランジスタ132bとを設けて、いわゆるフォトインタラプタを構成し、先端部36tの動きを光学的に検出することにより、スタートレバー36が操作されたことを検出している。
尚、以下では、いわゆるフォトインタラプタと呼ばれる検出センサ132を用いて、先端部36tの動きを検出するものとして説明するが、先端部36tの動きを検出することができるのであれば、フォトインタラプタに限らず、どのような方式のセンサを検出センサ132として用いることも可能である。例えば、電磁誘導効果を利用して検出する方式のいわゆるマグネットピックアップと呼ばれるセンサや、ホール効果を利用したホールセンサなどを用いることができる。
図7(a)は、スタートレバー36と、発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bとの位置関係や、これら発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bが、電源基板280や主制御基板200に接続されている様子を概念的に示した説明図である。図示されているように、発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bの位置は、スタートレバー36が操作されていない時(図6(a)に示した中立状態の時)に、スタートレバー36の先端部36tが、ちょうど発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bの間にくるような位置に設定されている。また、発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bには、電源基板280に設けられた後述するセンサ電力供給回路130から電力が供給され、光トランジスタ132bからの出力は、主制御基板200に設けられた乱数発生回路206に供給される。そして、乱数発生回路206からは、主制御基板200に搭載されたCPU201に向かって、内部抽選用乱数が供給されるようになっている。尚、乱数発生回路206は内部抽選用の乱数を周期的に発生していることから、本実施例の乱数発生回路206は、本発明における「乱数発生手段」の一態様を構成している。また、センサ電力供給回路130は、検出センサ132を動作させるためにパルス状の電力を供給していることから、本実施例のセンサ電力供給回路130は、本発明における「動作電力供給手段」および「パルス発生手段」の一態様を構成している。更に、主制御基板200に搭載されたCPU201は、検出センサ132からの検出信号に基づいて内部抽選用乱数を取得することにより遊技役の抽選を行っていることから、本実施例のCPU201は、本発明の「抽選手段」の一態様を構成している。
図7(b)は、発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bの電気的な構成を示した回路図である。周知のように、発光ダイオード132aは、規定の電力が供給されると光を放出する素子であり、光トランジスタ132bは一種のスイッチング素子であり、光を受け取っていない間はスイッチを切断し、光を受け取っている間はスイッチを接続する機能を有している。
また、本実施例の遊技機1に搭載されたセンサ電力供給回路130は、発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bに供給する電力を変動させ、これにより前述した不正行為の防止を可能としているが、理解の便宜から、初めは、通常の遊技機1と同様に一定の電力を供給しているものとして説明する。
発光ダイオード132aに一定の電力が供給されていれば、発光ダイオード132aからは常に光が放出されている。ここで、発光ダイオード132aと光トランジスタ132bとの間に先端部36tが存在している場合は、発光ダイオード132aからの光は先端部36tに遮られて光トランジスタ132bまで届かず、光トランジスタ132bが切断状態になる。図7(b)に示した回路図から明らかなように、光トランジスタ132bが切断状態にあれば、光トランジスタ132bからの出力電圧は高電圧状態となる。一方、発光ダイオード132aと光トランジスタ132bとの間に先端部36tが存在していない場合は、発光ダイオード132aからの光が光トランジスタ132bに届いて、光トランジスタ132bが接続状態になり、その結果、光トランジスタ132bからの出力電圧は低電圧状態となる。このように、発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bに対して一定の電力が供給されている場合は、スタートレバー36が操作されて先端部36tが移動すると、その瞬間に光トランジスタ132bの出力電圧が変動して、これを検出することが可能である。
これに対して、本実施例の遊技機1に搭載されたセンサ電力供給回路130は、フォトインタラプタが正常に動作可能な電圧(すなわち、発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bが何れも正常に動作可能な電圧)と、フォトインタラプタが正常に動作出来ない電圧(すなわち、発光ダイオード132aまたは光トランジスタ132bの何れかが、正常には動作できない電圧)とに変動する電力を、発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bに供給している。このため、たとえスタートレバー36が操作されて先端部36tが移動しても、フォトインタラプタが正常に動作可能な電力が供給されていない場合は、スタートレバー36が操作されたことを検出することができず、正常に動作可能な電力が供給されて初めて、スタートレバー36が操作されたことを検出することが可能となっている。
尚、センサ電力供給回路130から発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bに向かって供給される電力は、検出センサ132が正常に動作可能な電力と、正常の動作できない電力とに変動していれば、どのような態様とすることもできるが、本実施例では、検出センサ132が動作不能な電圧から動作可能な電圧に切り換わるパルスが、ランダムなタイミングで出力されるような形態で供給されている。
E.不正行為を防止可能な原理 :
次に、上述した構成により、不正行為を防止することが可能な原理について説明するが、その準備として、通常の遊技機では、スタートレバー36を一定周期で操作することで、不正行為が可能な理由について簡単に説明しておく。
図8は、通常の遊技機においてスタートレバー36を一定周期で操作することで不正行為が可能な理由を示した説明図である。図8の上段に示すように、通常の遊技機では、スタートレバー36の検出センサ132は、常に動作状態となっている。このため、スタートレバー36がOFFからONに操作されると直ちに検出され、検出信号が乱数発生回路206に供給される。乱数発生回路206では、65536通りの乱数を次々と発生させており、検出信号を受け取ると、その時に発生させた乱数を内部抽選用乱数として、主制御基板200のCPU201に出力している。
ここで発生させる乱数は65536通りで常に一定であるから、乱数発生回路206では、この65536通りの乱数が、一定周期で繰り返し発生していることになる。従って、乱数が更新される周期と同じ周期でスタートレバー36を操作すれば、常に同じ乱数が発生したタイミングで検出信号を出力して、常に同じ内部抽選用乱数を取得することができる。もちろん、乱数の更新周期と同じ周期でスタートレバー36を操作することは、ほとんど不可能であるが、予め乱数の更新周期を組み込んだ特殊な器具を使用すれば、こうしたことが可能となり、内部抽選で常に特定の遊技役に当選させて、多量の遊技メダルを不正に払い出させることが可能となる。
これに対して、本実施例の遊技機1では、検出センサ132(ここでは、フォトインタラプタ)に供給する電力を変動させて、検出センサ132の状態を動作状態と非動作状態とに切り換えているために、特殊な器具を使用した不正行為を防止可能となっている。以下、この点について説明する。
図9は、検出センサ132に供給する電力を変動させることで、不正行為を防止することが可能な原理を示した説明図である。図7を用いて前述したように、本実施例の遊技機1では、電圧の変動する電力がセンサ電力供給回路130から検出センサ132に供給されており、このため検出センサ132は、動作状態と非動作状態とが常に切り換わっている。図9の上段には、検出センサ132の動作状態が切り換わっている様子が概念的に示されている。
次いで、図9の中段に示すように、スタートレバー36をOFFからONに操作する。操作したタイミングが、たまたま検出センサ132の動作中であった場合には、直ちにこれを検出して、検出信号を出力することができるが、検出センサ132が非動作中であれば、当然、レバー操作を検出することはできない。そして、検出センサ132が非動作状態から動作状態に切り換わった時点で、スタートレバー36が未だ操作されていれば、その時点で初めて、スタートレバー36が操作されたことが検出されて、検出信号が出力される。すなわち、この場合は、スタートレバー36が操作されてから、検出信号が出力されるまでに、若干の時間のズレが生じることになる。また、本実施例では、センサ電力供給回路130から出力されるパルス状の電圧はランダムなタイミングで出力されるから、スタートレバー36が操作されてから検出信号が出力されるまでのズレ時間は、毎回異なっている。このため、特殊な器具を使用して、乱数の更新周期と全く同じ周期でスタートレバー36を操作した場合でも、毎回異なった内部抽選用乱数が取得されることになり、常に内部抽選に当選させることができなくなるので、不正行為を防止することが可能となるのである。
以上、検出センサ132の状態が非動作状態から動作状態に切り換わった時点では、未だスタートレバー36がONの状態に保たれている場合について説明したが、センサの状態が切り換わった時点で、既にスタートレバー36がOFFの状態に戻っている場合も発生し得る。実際、遊技者の中には、スタートレバー36を操作する際に、1秒間に数回の割合で叩くように操作する遊技者も多数存在している。このようにスタートレバー36を操作した場合には、検出センサ132の状態が非動作状態から動作状態に切り換わった時点では、既にスタートレバー36がOFFになっている可能性がある。図10は、このように短時間に何度もスタートレバー36が操作される場合に、内部抽選用乱数が取得される様子を示す説明図である。
図示した例では、スタートレバー36は、比較的短期間ずつ、3回連続してON状態に操作されている。ここで、1回目の操作は、検出センサ132の非動作状態時に行われ、検出センサ132が動作状態に切り換わる前に操作が終了して、スタートレバー36がOFF状態に戻されている。従って、1回目の操作は検出されていない。2回目の操作は、検出センサ132の状態が動作状態に切り換わるとほぼ同時に行われ、スタートレバー36がON状態にされるとほぼ同時にレバー操作が検出されている。このため、図示した例では、2回目のスタートレバー36の操作とほぼ同時に検出信号が出力されて、内部抽選用乱数が取得される。実際に、何回目のレバー操作時に検出信号が出力されるかは、検出センサ132の動作状態が切り換わるタイミングや、スタートレバー36を操作する間隔、およびON状態になっている期間などによって決定され、遊技の度に異なっている。このため、図9に示した場合と同様に、乱数の更新周期と全く同じ周期でスタートレバー36を操作しても、遊技の度に異なった内部抽選用乱数が取得されるので、不正行為を防止することが可能となる。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、スタートレバー36が操作されたことを検出するための検出センサ132に供給する電力を、検出センサ132が動作可能な電力と動作不可能な電力とに変動させることで、スタートレバー36が操作されたタイミングに対して検出信号が出力されるタイミングをばらつかせ、これにより、不正行為を防止している。従って、検出センサ132への供給電力を変動させる必要があるものの、スタートレバー36については、新たな部品を追加するなど何らの改修も加える必要がない。また、パルスの発生回路を用いれば、検出センサ132に供給する電力を変動させることは極めて容易に実現することが可能であり、更に、パルス発生回路は広く使用される極めて信頼性の高い回路である。このため、故障に対する信頼性を何ら犠牲にすることなく、不正行為を防止することが可能となる。加えて、そのために必要な改修は、供給電力を変動させるという極めて簡単な改修でよいため、既存の回胴式の遊技機に不正行為の防止対策を施す場合でも、たいへん簡単に施すことが可能である。
F.変形例 :
上述した実施例には、種々の変形例が存在している。以下では、これらの変形例について簡単に説明する。
F−1.第1の変形例 :
上述した実施例では、検出センサ132に供給される電力は、パルス状の電圧がランダムなタイミングで供給されるものとして説明した。しかし、パルス状の電圧は必ずしもランダムに発生させる必要はない。例えば、一定周期でパルスを発生させる場合でも、パルスを発生させる周期を、乱数が更新される周期に対して、少し位相がずれるような周期に設定しておいてもよい。こうしておけば、たとえスタートレバー36が乱数の更新周期と同じ周期で操作された場合でも、スタートレバー36が操作されてから検出信号が出力されるまでの時間がずれ、ズレ時間の長さも遊技の度に異なっていくので、不正行為を効果的に防止することができる。
F−2.第2の変形例 :
また、上述した実施例では、センサ電力供給回路130から検出センサ132に、パルス状の電圧波形の電力が供給されるものとしたが、検出センサ132が動作可能な電力と動作不可能な電力とに変動する形態であれば、必ずしも電圧波形がパルス状に変化する形態で電力を供給する必要はない。たとえば、電源基板280で交流電源を直流電源に変換する過程の電力を利用して生成した電力を、検出センサ132に供給することとしてもよい。
図11は、電源基板280の内部で、検出センサ132に供給する電力を生成している様子を概念的に示した説明図である。前述したように電源基板280は、主制御基板200や、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260などの各種基板に所定電圧の直流電源を供給する基板である。そして、この直流電源は100Vの単相交流電源を引き込んで、電源基板280の内部で次のようにして生成されている。
先ず、100Vの単相交流電源を全波整流回路に通して、100Vの脈流電源を生成する。全波整流回路とは、交流電源の負電圧の部分だけ符号を反転させて、正電圧に変換する回路であり、ダイオードを組み合わせることで極めて簡単に構成することができる。図11には、全波整流回路によって交流が脈流に変換される様子が概念的に示されている。こうして得られた脈流は、電圧が大きく変動する波形となっているので、平滑回路を通して、ほぼ一定電圧の波形に変換する。図11には、大きく電圧が変動する脈流が、平滑回路によって、ほぼ一定の電圧に変換される様子が概念的に示されている。こうして得られた直流電源の電圧を規定の電圧に変圧して各種基板に供給する。
第2の変形例のセンサ電力供給回路130では、電源基板280の全波整流回路で生成された脈流を取り込んで、最高電圧が検出センサ132の動作規定電圧(若しくは、動作規定電圧を若干超える電圧)となるように変圧した後、得られた脈流電圧を検出センサ132に供給することとしても良い。尚、図11には、検出センサ132の動作規定電圧が5Vであり、ほぼ5Vの脈流に変圧している様子が示されている。
こうすれば、検出センサ132の動作規定電圧値から0Vまで、電圧値が変動する脈流状の電力を検出センサ132に供給することができるので、検出センサ132は動作状態と非動作状態とを繰り返すことになる。そして、スタートレバー36が操作されたときに、たまたま検出センサ132が動作状態にあれば、直ちに検出信号が出力されるが、スタートレバー36の操作時に検出センサ132が非動作状態であれば、遅れたタイミングで検出信号が出力される。その結果、スタートレバー36が操作されてから検出信号が出力されるまでの時間がばらつくこととなるので、たとえ、内部抽選用乱数の更新周期と同期させてスタートレバー36を操作しても、常に内部抽選で所定の遊技役に当選させることができず、不正行為を効果的に防止することが可能となる。尚、第2の変形例における電源基板280は、外部から供給された交流電圧を全波整流して、遊技機1の動作電力を生成している。従って、第2の変形例の電源基板280は、本発明の「電源回路」の一態様を構成している。また、上述した第2の変形例では、全波整流回路によって交流電圧を全波整流するものとして説明したが、半波整流回路によって交流電圧を半波整流することとしてもよい。この場合においても、電圧値が変動する脈流状の電力を検出センサ132に供給することができるので、スタートレバー36が操作されてから検出信号が出力されるまでの時間に、ばらつきを持たせることができる。
F−3.第3の変形例 :
上述した各種実施例では、センサ電力供給回路130からの電源は、検出センサ132を構成する発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bの何れにも供給されるものとして説明した。しかし、検出センサ132を動作状態と非動作状態とに切り換えることができるのであれば、センサ電力供給回路130からの電源を、必ずしも発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bに供給する必要は無い。
図12は、こうした第3の変形例においてセンサ電力供給回路130からの電力を供給する様子を示す回路図である。図示した例では、センサ電力供給回路130からの電力は発光ダイオード132aにのみ供給されており、光トランジスタ132bにはトランジスタの動作規定電圧(ここでは5V)が供給されている。こうした構成では、光トランジスタ132bは常に動作状態となっているが、発光ダイオード132aに供給される電力は、発光ダイオードが発光可能な電圧と発光不可能な電圧とに変動しているので、検出センサ132全体としては動作状態と非動作状態とを繰り返している。このため、たとえスタートレバー36を、内部抽選用乱数の更新周期に同期させて操作しても、内部抽選で常に当選させることができず、不正行為を効果的に防止することが可能となる。
尚、図12では、センサ電力供給回路130の電力は発光ダイオード132aに供給し、光トランジスタ132bには動作規定電源を供給するものとして説明したが、センサ電力供給回路130の電力を光トランジスタ132bに供給し、発光ダイオード132aには動作規定電源を供給することしても良い。この場合は、発光ダイオード132aは常に動作状態となっているが、光トランジスタ132bは光を検知可能な状態と検知不可能な状態とに切り換わることになるので、検出センサ132全体としては動作状態と非動作状態とを繰り返す。このため、内部抽選用乱数の更新周期に同期させてスタートレバー36を操作しても、常に内部抽選に当選させる不正行為を効果的に防止することが可能となる。
また、以上の各種実施例では、検出センサ132に供給される高電圧側の電圧を変動させるものとして説明したが、検出センサ132を動作状態と非動作状態とに変動させることができればよく、従って、低電圧側(接地側)の電圧を変動させる態様とすることも可能である。
図13は、検出センサ132の接地側の電圧を変動させる態様を示した回路図である。尚、図13では、発光ダイオード132aの接地側の電圧を変動させる場合について示しているが、光トランジスタ132bの接地側の電圧を変動させてもよく、更には、発光ダイオード132aおよび光トランジスタ132bをまとめて接地側の電圧を変動させることも可能である。
図13に示した例では、発光ダイオード132aの接地側の電圧が低電圧となっている場合は、発光ダイオード132aに電流が流れてダイオードが発光し、検出センサ132が動作状態となるが、接地側の電圧が高電圧となっている場合は、発光ダイオード132aの両端に電位差が生じないのでダイオードが発光することが無く、検出センサ132は非動作状態となる。このため、検出センサ132全体としては動作状態と非動作状態とに切り換わるので、内部抽選用乱数の更新周期に同期させてスタートレバー36を操作して行う不正行為を効果的に防止することが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。