以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.電気的構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
D.メダルセレクタの構造:
E.メダルセンサの構造:
F.変形例:
F−1.第1変形例:
F−2.第2変形例:
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1は、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2と、遊技メダルを貸し出すためのメダル貸出装置4とが設けられている。前面扉2は、遊技が行われる中段の領域と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカ14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカ14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a、20b、20cが回転する様子を視認可能となっている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類22が設けられている。
前面扉2の中段下方に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、上面には、遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口30と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを1枚だけ投入するための一枚投入ボタン32と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを3枚投入するための三枚投入ボタン34などが設けられている。尚、遊技メダルの貯留とは、遊技メダル投入口30に投入された遊技メダルの枚数が規定数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合にその超えた分を記憶しておくことや、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払い出し枚数を記憶しておくことをいう。また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a、20b、20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a、20b、20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。また、操作部2mbには、上面に精算ボタン40および返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。また、返却ボタン42とは、投入した遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50と、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
図2は、前面扉2を開いて遊技機1の内部の構成を示した斜視図である。前面扉2の裏面側上部には、サブ制御基板ユニット102が設けられており、その左右には一対のスピーカ14が取り付けられている。サブ制御基板ユニット102の内部には、後述するサブ制御基板220が格納されており、図1に示した演出表示装置10や、各種ランプ類12、スピーカ14などを用いて行われる各種演出の制御を司っている。
前面扉2のほぼ中央には表示窓20が設けられており、その下方には、後述する扉基板240が格納された扉基板ユニット104が設けられ、更に扉基板ユニット104の下方には、投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106や、遊技メダルを遊技メダル払出口50に導くためのコインシュータ108などが取り付けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー36を操作する前に遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダルセレクタ106によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー116内に投入され、規格を満たしていないメダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。これに対して、スタートレバー36が操作された後に遊技メダルが投入された場合は、メダルセレクタ106内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、メダルセレクタ106の内部には、後述するメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルが通過すると、これをメダルセンサによって検出することが可能となっている。こうして遊技メダルの通過が検出されると、その信号は後述する主制御基板200に供給される。遊技メダルがメダルセレクタ106を通過する様子については、別図を用いて後述する。
一方、筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a、20b、20cが設けられており、これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る後述する主制御基板が格納された主制御基板ユニット110と、各回胴を駆動するための後述する回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112が設けられている。また、3つの回胴20a、20b、20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための後述する電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源スイッチ120sも設けられている。更に、メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。
A−2.電気的構成 :
図3は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図3に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280等がデータをやり取り可能に接続されて構成されている。
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の進行や演出を司る基板である。この主制御基板200には、CPU、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて搭載されており、前面扉2に搭載された扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号を受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を出力することにより、これら各種基板の動作を制御している。
サブ制御基板220も、上述した主制御基板200と同様に、CPUや、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられて、回胴の表面に描かれた図柄を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドを解析して、各種ランプ類12、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を出力することにより、各種の演出を行っている。
扉基板240には、前述したメダルセレクタ106や、貯留されている遊技メダルを投入するための各種投入ボタン32,34、回胴の回転を開始するためのスタートレバー36、回転している回胴を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン40、遊技の状態を表示する各種の表示パネル22などが接続されている。また、扉基板240は、前述した主制御基板200と、データをやり取り可能に接続されている。このため、前面扉2に設けられたスタートレバー36や、回胴停止ボタン38a、38b、38c、各種の投入ボタン32,34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号を主制御基板200に供給することが可能となっている。また、詳しくは後述するが、メダルセレクタ106に設けられたメダルセンサからのメダル通過信号も、扉基板240を介して主制御基板200に供給される。
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モータ24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cが設けられている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モータ24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを、所望の回転位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モータ24a,24b,24cには、いわゆるステッピングモータが使用されている。
また、メダル払出装置118は、図示しない中継基板を介して主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。
これら各種制御基板、および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。図3では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する回胴式の遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、回胴式遊技機で行われる遊技の概要を説明しておく。
遊技を開始するにあたっては、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、メダルのベットを行う。ベットする遊技メダル数は、通常、1枚または3枚に固定されている。尚、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、一枚投入ボタン32、あるいは三枚投入ボタン34を押すことにより、それぞれ1枚または3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが一斉に回転を開始する。それぞれの回胴には、複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、それぞれの回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で何れかの図柄が停止表示されて、何某かの図柄組合せが得られることになる。こうして得られた図柄組合せが、いわゆる「小役」と呼ばれる遊技役を成立させる組合せであった場合には、成立した遊技役に応じた遊技メダルが払い出される。
また、次の理由から、ベットする遊技メダル数が多くなるほど、遊技役を成立させ易くなっている。先ず、前面扉2に設けられた表示窓20は、回胴に描かれた3つの図柄を表示可能な大きさに設けられている。従って、各回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で3つずつの図柄が停止表示されることになるから、横方向には上段・中段・下段の3組の図柄組合せが得られ、斜め方向には2組の図柄組合せが得られる。このように図柄組合せが得られる方向は「ライン」と呼ばれ、結局、横方向には3ライン、斜め方向には2ラインの、合計5ラインが存在していることになる。ここで、ベットされた遊技メダルが3枚の場合は、これら5ライン全てが有効となり、何れかのライン上で遊技役の図柄組合せを揃えればよいが、1枚しか遊技メダルをベットしなかった場合は、有効なラインが限定され、他のラインで遊技役の図柄組合せが揃っても、遊技役を成立させることはできない。すなわち、ベットする遊技メダルの数が多い方が、遊技役を成立させ易くなっている。
また、遊技役には、「小役」の他に、いわゆる「ボーナス役」と呼ばれる役も設けられており、ボーナス役を成立させる図柄組合せが得られた場合には、遊技状態が遊技者に有利な状態に切り換わる。このボーナス役には、いわゆる「レギュラーボーナス役(以下では、RB役)」と「ビッグボーナス役(以下では、BB役)」とが設けられており、RB役の場合は、遊技役の種類が増加し、その増加した遊技役が成立する確率が高くなる「RB遊技」が行われる。また、BB役の場合は、RB役よりも遊技者にとって更に有利な遊技状態、すなわち、所定枚数(例えば、465枚)の遊技メダルが払い出されるまで「RB遊技」を複数回行うことが可能な遊技状態に切り換わる。その結果、BB役が成立すると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することが可能となる。
以上に説明したように、回胴式の遊技機1では、遊技メダルをベットしてスタートレバー36を操作することにより回胴20a,20b,20cを一斉に回転させた後、回胴停止ボタン38a、38b、38cを押して回胴の回転を停止させる。そのときに得られた図柄組合せによって、遊技メダルが払い出されたり、あるいは有利な遊技状態に切り換わったりしながら遊技が進行していく。そして、BB役が成立した場合に最も多量の遊技メダルを獲得することができるから、遊技者はBB役を成立させることを常に願いながら、遊技を継続することになる。
こうした遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下では、主制御基板200が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
C.制御の概要 :
図4に示すように、遊技制御処理においては、まず、遊技メダルがベットされているか否かを判断する(ステップ10。以下「ステップ」を「S」と略記)。すなわち、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入されたか否か、あるいは一枚投入ボタン32または三枚投入ボタン34が操作されたか否かを判断する(S10)。前述したように、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106を通過する際にメダルセレクタ106内に設けられたメダルセンサによって検出される。また、一枚投入ボタン32や三枚投入ボタン34にも接点スイッチが内蔵されており、これら投入ボタンが操作されると接点スイッチによって検出される。そして、メダルセンサや接点スイッチからの検出信号は、扉基板240を経由して主制御基板200に供給されるので、主制御基板200は、これらの検出信号に基づいて、遊技メダルがベットされたか否かを判断することができる。尚、「リプレイ役」と呼ばれる特殊な遊技役が成立した場合には、遊技者が遊技メダルをベットしなくても自動的にベットされるので、「リプレイ役」が成立した場合にも、遊技メダルがベットされたものと判断される(S10:yes)。
S10において、遊技メダルがベットされていないと判断された場合には(S10:no)、当該判断処理(S10)を繰り返し行うことによって、遊技メダルがベットされるまで待機する。一方、遊技メダルがベットされたと判断されたら(S10:yes)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S20)。スタートレバー36には、検出センサが組み込まれており、スタートレバー36を操作すると、その動きを検出することが可能となっている。主制御基板200は、この検出センサの出力に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。そして、遊技メダルがベットされたにも拘わらず、スタートレバー36が操作されていないと判断された場合は(S20:no)、スタートレバー36が操作されるまで、かかる判断を繰り返しながら待機状態となる。一方、スタートレバー36が操作されたことが確認されたら(S20:yes)、遊技を進行させるべく、以下の一連の処理が行われる。
スタートレバー36が操作されると、直ちに内部抽選処理が行われる(S30)。かかる処理では、スタートレバー36が操作されたタイミングで内部抽選用の乱数を1つ取得して、取得した乱数に応じて、遊技役を内部的に抽選する処理を行う。前述したように遊技役が成立するためには、その遊技役に対応する所定の図柄組合せが得られるように、3つの回胴20a,20b,20cを停止させなければならないが、それに先立って遊技機1の内部では、何れの遊技役を成立させるかの抽選が行われており、この抽選に当選しなければ、回胴停止ボタン38a,38b,38cをどのようなタイミングで押しても、遊技役の図柄組合せで回胴20a,20b,20cを停止させることはできないようになっている。そこで、スタートレバー36が操作されたら、先ず初めに内部抽選を行って、何れの遊技役を成立させるか、あるいは何れの遊技役も成立させないかを決定しておくのである。尚、内部抽選は、内部抽選用の乱数を周期的に更新しておき、スタートレバー36が操作されたタイミングに従って乱数を取得することによって行われている。
内部抽選処理を行ったら(S30)、主制御基板200は、続いて回胴回転始動処理を開始する(S40)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満足されているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを一斉に回転させる処理を行う。本実施例の回胴回転始動処理では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)以上経過していた場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モータ24a,24b,24cに対して駆動信号を出力することにより、3つの回胴20a,20b,20cを一斉に回転させる。
こうして3つの回胴20a,20b,20cを一斉に回転させたら、主制御基板200は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S50)。かかる処理では、回胴20a,20b,20cの回転が開始され、すべての回胴の回転速度が一定となった後に回胴停止ボタン38a,38b,38cが押されると、それぞれの回胴で停止表示される図柄を決定した後、回胴の回転速度を減速させて、決定した図柄の位置で回胴を停止させる制御を行う。なお、停止表示される図柄を決定する際には、先に行われた内部抽選の結果が参照され、何れの遊技役にも当選していない場合は遊技役が成立する図柄組合せが停止表示されることを避けるように、また、何れかの遊技役に当選している場合は、その遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されるように、各回胴の停止図柄を決定する。
図4に示した回胴回転停止処理(S50)では、以上のようにして、各回胴20a,20b,20cでの停止図柄を決定し、決定した位置でそれぞれの回胴20a,20b,20cを停止させる処理を行う。
以上のようにして、3つの回胴20a,20b,20cを停止させたら、主制御基板200は、入賞が成立しているか否かを判断する(S60)。ここで、「入賞」とは、内部抽選で遊技役に当選した後、その遊技役を成立させる図柄組合せが、有効ライン上に停止表示されることをいう。回胴回転停止処理(S50)において説明したように、内部抽選では遊技役に当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄組合せが得られるとは限らない。そこで、主制御基板200は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役の入賞が成立しているか否かを判断するのである。
参考として、本実施例の遊技機1に設定されている各種の遊技役と、それら遊技役を成立させるための図柄組合せを図5に例示した。また、図5では、各遊技役に入賞したときに払い出される遊技メダルの枚数も示されている。図示されているように、本実施例の遊技機1では、「BB役」、「RB役」、「スズの小役」、「プラムの小役」、「チェリーの小役」、「リプレイ役」などの遊技役が設定されている。また、「BB役」に対応する図柄組合せは、「7−7−7」あるいは「火山−火山−火山」の図柄組合せに設定されている。同様に、「RB役」に対応する図柄組合せは、「バー−バー−バー」の組合せに設定されており、「スズの小役」に対しては「スズ−スズ−スズ」の組合せが、「プラムの小役」に対しては「プラム−プラム−プラム」の組合せが設定されている。また、「チェリーの小役」は、左の回胴20aが「チェリー」の図柄で停止表示すれば、他の回胴20b,20cはどのような図柄で停止表示されても成立するように設定されている。更に、「リプレイ役」に対応する図柄組合せは、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」の図柄組合せに設定されている。図4のS60では、各回胴20a,20b,20cの回転が停止して、有効ライン上に得られた図柄組合せが、これら何れかの図柄組合せに該当しているか否かを判断する。そして、何れの図柄組合せにも該当していない(すなわち、入賞していない)と判断された場合は(S60:no)、図4の遊技制御処理の先頭の処理(S10)に戻って、遊技メダルが投入(あるいはベット)されたか否かを判断する処理を行う。そして、遊技メダルが投入(あるいはベット)されて、スタートレバーが操作されたことが確認された場合には、続く上述した一連の処理を再び実行する。
一方、何れかの入賞が成立したと判断された場合は(S60:yes)、先ず初めに、入賞した役が、リプレイ役であるか否かを判断する(S70)。そして、リプレイ役に入賞していた場合は(S70:yes)、リプレイ役に入賞した遊技で投入されていた枚数の遊技メダルを自動的に再投入した後(S80)、図4の遊技制御処理の先頭の処理(S10)に戻って、遊技メダルが投入(あるいはベット)されたか否かおよびスタートレバーが操作されたか否かを確認する処理を行う。
一方、入賞した遊技役がリプレイ役ではなかった場合は(S70:no)、「BB役」、「RB役」、「スズの小役」、「プラムの小役」、「チェリーの小役」の何れかに入賞していることになるので、入賞した遊技役に応じた枚数の遊技メダルを払い出す処理(メダル払出処理)を実行する(S90)。かかる処理は、主制御基板200の内部で払い出すべき遊技メダルの枚数を求めた後、主制御基板200からメダル払出装置118に対して制御信号を出力することによって行われる。
こうして遊技メダルを払い出したら、今度は、入賞した遊技役が「RB役」であるか否かを判断する(S100)。そして、RB役に入賞していた場合は(S100:yes)、レギュラーボーナス遊技を行った後(S110)、S10の処理に戻って、遊技メダルが投入(あるいはベット)されたことを確認した後、上述した続く一連の処理を実行する。ここで、レギュラーボーナス遊技とは、ボーナス遊技が行われていない一般遊技のときに比べて遊技役の種類(入賞成立となる図柄組合せの種類)が増加し、その増加した遊技役が内部抽選で当選する確率も高い確率に設定される遊技のことであり、増加した遊技役に所定回数だけ入賞が成立するまで(例えば、8回入賞するまで)継続される。このため、レギュラーボーナス遊技では、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することが可能であり、遊技者にとって有利な遊技状態となっている。尚、レギュラーボーナス遊技中は、RB役やBB役に入賞することはない。
一方、入賞した遊技役が「RB役」ではないと判断された場合は(S100:no)、「BB役」であったか否かを判断する(S120)。そして、BB役に入賞していた場合は(S120:yes)、ビッグボーナス遊技を行った後(S130)、S10の処理に戻って、遊技メダルが投入(あるいはベット)されたことを確認した後、上述した続く一連の処理を実行する。ここで、ビッグボーナス遊技(BB遊技)とは、「RB役」の入賞が成立するまでの導入遊技と、「RB役」の入賞成立後のレギュラーボーナス遊技とから構成される特殊な遊技状態であり、BB遊技中は、前述したRB遊技を複数回、連続的に発生させることが可能である。そして、ビッグボーナス遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数(例えば、465枚)に到達すると、ビッグボーナス遊技は終了する。このため、ビッグボーナス遊技は、上述したレギュラーボーナス遊技よりも、更に多量の遊技メダルを獲得することが可能であり、遊技者にとって更に有利な遊技状態となっている。
これに対して、入賞した遊技役が「BB役」でもないと判断された場合は(S120:no)、「リプレイ役」、「RB役」、「BB役」の何れでもないから、「小役」に入賞していたことになり、小役の入賞に対する遊技メダルの払い出しは、S90で既に行われている。そこで、この場合は、図4の遊技制御処理の先頭の処理(S10)に戻って遊技メダルが投入(あるいはベット)されたことを確認した後、上述した続く一連の処理を繰り返す。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、遊技メダルを投入し、スタートレバー36を操作して内部抽選を行い、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押して、各回胴20a,20b,20cの図柄を、内部抽選に当選した遊技役に対応する図柄組合せで停止表示させることを繰り返すことによって遊技が進行していく。また、投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106によって選別され、規格に適合した寸法の遊技メダルが適切なタイミングで投入されると、メダルセレクタ106に設けられたメダルセンサによって検出することが可能となっている。以下では、メダルセレクタ106の構造とメダルが通過する様子について説明する。
D.メダルセレクタの構造 :
図6は、本実施例の遊技機1に搭載されているメダルセレクタ106の大まかな構造を示した説明図である。図示されているようにメダルセレクタ106は、遊技メダルを選別するメダル選別部310と、不適切なタイミングで投入された遊技メダルを返却するメダル返却部320とから構成されている。
遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルは、初めにメダル選別部310に導かれる。メダル選別部310では、遊技メダルの外形寸法が規格に合致するか否かが検査され、規格内のメダルだけが選別されて、下流側のメダル返却部320へと導かれる。このとき、規格より小さな寸法の遊技メダルは、メダル選別部310に設けられた開口部312から落下して、下方に設けられたコインシュータ108を経由して遊技メダル払出口50に返却される。また、規格より大きな寸法の遊技メダルは、開口部312の手前で詰まってしまう。そして、遊技機1の前面に設けられた返却ボタン42が押されると(図1参照)、下方のコインシュータ108に落下して遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。
メダル返却部320の内部にも遊技メダルの通過するメダル通路が設けられているが、この通路の一部は、底が抜けた状態となっており、この部分にメダルブロッカー322と呼ばれる部材が設けられている。メダルブロッカー322は、断面形状がL字型をしており、L字型の水平部分がメダル通路の底の抜けた部分にあてがわれるような状態で組み付けられている。このように、メダル通路の底がメダルブロッカー322によって塞がれた状態では、メダル選別部310で選別された遊技メダルは、メダル返却部320を通過してホッパー116に投入される。
また、メダルブロッカー322は、L字型の垂直部分の上端付近で軸支されており、図示しないアクチュエータを作動させることにより、上端付近の軸を中心として回動させることが可能となっている。メダルブロッカー322は、遊技メダルを投入できないタイミング(スタートレバー36を操作してから払い出しが終了するまでの遊技中、リプレイ役の成立に伴う再遊技中など)では回動された状態となっており、このため、メダル返却部320のメダル通路は、一部で底が抜けた状態となっている。従って、遊技メダルを投入できないタイミングでメダルが投入された場合には、たとえメダルの寸法が規格に合致してメダル返却部320に導かれても、メダルブロッカー322の部分で下方に落下し、ホッパー116には投入されないようになっている。こうしてメダルブロッカー322から落下した遊技メダルもコインシュータ108を経由して、遊技メダル払出口50から返却される。
また、メダルブロッカー322の下流側には、メダルセンサ324,326,328が設けられており、遊技メダルが通過したことを検出することが可能となっている。以下では、メダルセレクタ106に設けられたメダルセンサ324,326,328の構造について説明する。尚、メダルセンサ324,326,328は、遊技メダルが投入されたことを検出することから、本実施例のメダルセンサ324,326,328は、本願発明の「メダル投入検出手段」の一態様を構成している。
E.メダルセンサの構造 :
図7は、図6中のA−Aの位置でメダルセレクタ106の断面を取ることにより、メダルセンサ328の構造を示した説明図である。図示されているように、メダルセンサ328は、「コ」の字型の断面形状をしており、光を発する発光素子328aと、発光素子328aから光を受ける受光素子328bとが向かい合わせに配置された、いわゆる光透過型センサである。そして、このメダルセンサ328は、発光素子328aと受光素子328bとの間にメダルセレクタ106内のメダル通路を挟むようにして、メダルセレクタ106に取り付けられており、メダル通路の一部を構成している。尚、メダル通路の側面から光を発する本実施例の発光素子328aは、本願発明の「発光部」の一態様を構成し、また、発光素子328aからの光を受ける受光素子328bは、本願発明の「受光部」の一態様を構成している。
また、メダルセンサ328の発光素子328a側には、偏光フィルタ328cが設けられている。偏光フィルタ328cは、特定の振動方向の光だけを透過させる機能を有している。図7(a)中に矢印で示されるように、発光素子328aが発した光は、一定方向に振動する光だけが偏光フィルタ328cを通過して、向かい合う受光素子328bに到達する。メダル通路内に遮光物がなければ、図7(a)に示すように、受光素子328bは、発光素子328aからの光を絶えず受けた状態となっている。これに対して、遊技メダルが投入されると、図7(b)に示すように、発光素子328aからの光が遮られて、受光素子328bが受光しなくため、メダルセンサ328からメダル通過信号が出力されるようになっている。こうしてメダルセンサ328から出力されたメダル通過信号は、前述した扉基板240を介して主制御基板200に入力される。尚、本実施例のメダルセレクタ106には、3つのメダルセンサが設けられており、メダルセンサ324,326についても、上述したメダルセンサ328と同様の構成となっている。
以上に説明したように、本実施例のメダルセレクタ106では、規格に適合した寸法の遊技メダルが適切なタイミングで投入された場合にだけ、メダルセンサ324,326,328からメダル通過信号が出力されるようになっている。また、本実施例の遊技機1では、メダルセンサ324,326,328に偏光フィルタを設けることによって、液晶を用いてメダルセンサを誤判断させる不正行為を防止することが可能となっている。以下では、不正行為を防止することが可能な理由について説明するが、その準備として、まず初めに、液晶を組み込んだ薄板を用いて行われる不正行為について説明する。
前述したように、液晶を用いた不正行為は、液晶を組み込んだ薄板をメダル投入口30から挿入して、メダルセンサ324,326,328の位置に液晶をセットすることによって行われる。図8は、メダルセンサ328の位置に液晶をセットすることによって、メダルセンサ328を誤判断させる不正行為が行われる様子を示す説明図である。図では、メダルセンサ328の発光素子328aと受光素子328bとの間に、液晶がセットされた状態を表している。尚、ここでは、液晶と、メダルセンサ328の発光素子328aおよび受光素子328bとの着目しているため、図8では、それ以外の部分が省略されている。
まず、液晶の構造と特性について簡単に説明する。図8に示すように、液晶の両面には偏光フィルタ510,512が設けてあり、偏光フィルタ510と偏光フィルタ512とは、偏光方向(透過させる光の振動方向)が直交するようになっている。さらに、2枚の偏光フィルタ510,512の間には液晶分子が封入されている。この液晶分子は、分子の形状が細長い形状をしており、液晶にかける電圧のON−OFFによって、分子の配向(細長い分子が並んでいる向き)が変わるようになっている。そして、液晶に電圧をかけない状態で光が入射すると、図8(a)に示すように、光の振動方向は液晶内で90度回転するため、最初の偏光フィルタ510を透過した光は、偏光方向が直交する2枚目の偏光フィルタ512も通り抜けて光が透過する。これに対して、液晶に電圧をかけると、液晶分子の配向が変化して、図8(b)に示すように、入射した光の振動方向は回転しないため、直進した光は2枚目の偏光フィルタ512で遮断され、光が透過しない状態となる。このように液晶は、印加する電圧をON−OFFすることにより、光が透過する状態と、透過しない状態とを切り換えることが可能となっている。
このような液晶の特性を利用して、液晶にかける電圧のON−OFFを切り換えて不正行為が行われる。まず、電圧をOFFにしておくと、液晶は透明な状態となり、光を透過させるので、図8(a)のように、発光素子328aの発する光は受光素子328bに到達する。次いで、電圧をONにすると、液晶は不透明な状態となり、図8(b)のように、発光素子328aからの光を遮るため、遊技メダルが通過した場合と同様に、メダルセンサ328からメダル通過信号が出力される。その結果、この信号を受信した主制御基板200は、遊技メダルが投入されたと判断してしまうこととなる。このように、液晶にかける電圧を操作(ON−OFF)して、発光素子328aからの光が透過する状態と、遮断される状態とを切り換えることによって、あたかも遊技メダルが通過して光を遮ったようにみせかけて、メダルセンサを誤判断させることができる。しかし、本実施例の遊技機1では、液晶の有する上述した特性を逆に利用して、メダルセンサに偏光フィルタを設けることにより、不正行為を防止することが可能となっている。
図9は、メダルセンサ328に偏光フィルタ328cを設けることによって、不正行為を防止することが可能な理由を示す説明図である。図9(a)は、メダルセレクタ106に不正器具が挿入されていない状態のメダルセンサ328を表している。図示されているように、発光素子328aが発する光には、縦方向にも横方向にも満遍なく偏光した成分が含まれている。この光が偏光フィルタ328cに入射すると、一方向に偏光した成分の光だけが透過する。ここでは、偏光フィルタ328cの偏光方向を横方向とすると、横方向に振動する光だけが偏光フィルタ328cを通り抜けることができる。こうして偏光フィルタ328cを透過した光は、メダル通路を横切って受光素子328bに到達する。そして、遊技メダルが投入されて、メダルセンサ328を通過すると、偏光フィルタ328cを透過した光が遮られて、メダルセンサ328からメダル通過信号が出力される。
一方、図9(b)は、メダルセレクタ106に不正器具が挿入され、メダルセンサ328の偏光フィルタ328cと受光素子328bとの間に不正器具の液晶がセットされた状態を表している。上述したように、液晶の両面には偏光フィルタが設けられているので、偏光方向が一致する光しか液晶の内部に入射し得ない。従って、図9(b)に示したように、発光素子328a側に設けられた偏光フィルタ328cの偏光方向と、液晶の入射側に設けられている偏光フィルタ510の偏光方向とが偶然一致しない限り、光は液晶内に入射することができない。このため、ほとんどの場合、発光素子328aからの光が、液晶にかける電圧の有無にかかわらず遮断され、受光素子328bに届かなくなる。その結果、液晶にかける電圧を操作(ON−OFF)しても、受光素子328bが光を受ける状態と、受けない状態とを切り換えることができないので、メダルセンサを誤判断させる不正行為を防止することが可能となる。
上述の説明では、偏光フィルタ328cを、メダルセンサ328の発光素子328a側に設けていたが、受光素子328b側に設けることとしてもよい。図10は、偏光フィルタ328cを受光素子328b側に設けても不正行為を防止することができる理由を示す説明図である。図では、メダルセンサ328の発光素子328aと偏光フィルタ328cとの間に不正器具の液晶がセットされた状態を表している。前述したように、液晶の両面には偏光フィルタが設けられているため、液晶を通り抜けた光は、一方向に偏光した成分の光だけとなっている。そして、図10に示すように、液晶の出口側に設けられている偏光フィルタ512の偏光方向と、受光素子328b側に設けた偏光フィルタ328cの偏光方向とが一致していなければ、液晶を透過した光は、偏光フィルタ328cによって遮断され、受光素子328bに到達することができない。その結果、液晶にかける電圧のON−OFFを切り換えても、遊技メダルが通過したようにメダルセンサを誤判断させることができないので、不正行為を防止することが可能となる。
F.変形例 :
F−1.第1変形例 :
以上に説明したように、メダルセンサの発光素子側あるいは受光素子側に偏光フィルタを設けておくことによって、不正器具の液晶がセットされると、発光素子からの光が常に受光素子に届かないようにすることが可能である。それでも、液晶に設けられている偏光フィルタの偏光方向によっては、発光素子の発する光が受光素子に到達する場合も生じ得る。例えば、図11に示すように、発光素子328a側に設けた偏光フィルタ328cの偏光方向と、液晶の入射側に設けられている偏光フィルタ510の偏光方向とが一致していると、偏光フィルタ328cを透過した光は、そのまま偏光フィルタ510も通り抜けて、液晶の内部に入射する。そして、液晶内に入った光は、液晶に電圧をかけない状態では、液晶を透過して受光素子328bに到達する。この状態から電圧をかけると、光が遮断されて、メダルセンサ328からメダル通過信号が出力されるので、不正行為を有効に防止できなくなってしまう。
これに対して、メダルセレクタ106に搭載されている3つのメダルセンサに偏光フィルタをそれぞれ設けておき、これらの偏光フィルタの中のいずれか1つの偏光方向を他と異なるようにしておけば、不正行為を効果的に防止することが可能となる。図12は、3つのメダルセンサにそれぞれ設けた偏光フィルタの中で1つだけ偏光方向が他と異なっている状態を例示した説明図である。図示されているように、偏光フィルタ324c,326c,328cは、いずれもメダルセンサの発光素子側に設けられており、偏光フィルタ326cは偏光フィルタ324c,328cと偏光方向が異なっている。尚、図では、メダルセンサ324,326,328が搭載されているメダルセレクタ106は一点鎖線で示されており、各メダルセンサに設けられた発光素子、受光素子、偏光フィルタ以外の部分は省略されている。また、図中の矢印は、発行素子の発する光が進行する方向を表している。
上述したように、不正行為が成立するためには、3つのメダルセンサ324,326,328の全てにおいて、メダルセンサに設けた偏光フィルタの偏光方向と、不正器具の液晶に設けられている偏光フィルタの偏光方向とが一致している必要がある。こうした点に鑑みて、図12に示すように、偏光フィルタ324c,326c,328cの偏光方向が互いに異なるように設置しておけば、偏光方向が全て同一である場合に比べて、3つのメダルセンサ324,326,328の全てで、偏光方向が一致する可能性が低くなる。このため、何れかのメダルセンサの誤判断を防止して、効果的に不正行為を防止することが可能である。
また、上述の図12を用いた説明では、3つのメダルセンサ324,326,328は、いずれも発光素子側に偏光フィルタを設けることとしていたが、偏光フィルタを発光素子側に設けたものと、受光素子側に設けたものとが混在するようにしても、効果的に不正行為を防止することが可能である。
図13は、偏光フィルタを発光素子側に設けたメダルセンサと、受光素子側に設けたメダルセンサとを混在させた状態を例示する説明図である。図では、3つ偏光フィルタ324c,326c,328cの偏光方向は全て同一であり、偏光フィルタ324c,328cが発光素子側に設けられ、偏光フィルタ326cは受光素子側に設けられている。前述したように、光が液晶を通り抜けると、光の振動方向は必ず90度回転しているので、不正器具の液晶の入射側の偏光フィルタと偏光方向が同一の偏光フィルタを受光素子側に設けると、不正器具の液晶を透過した光と偏光方向が一致せず、光を遮断することができる(図10参照)。このため、図13のように、偏光方向が同一の偏光フィルタであっても、発光素子側に設けたメダルセンサと、受光素子側に設けたメダルセンサとを混在させておけば、全て発光素子側に偏光フィルタを設ける場合と比べて、3つのメダルセンサ324,326,328の全てにおいて、発光素子の発する光が受光素子に到達するように液晶がセットされる可能性が低くなる。その結果、全てのメダルセンサを誤判断させて行われる不正行為を効果的に防止することが可能である。
F−2.第2変形例 :
上述した実施例および第1変形例では、偏光フィルタをメダルセンサの発光素子側または受光素子側のいずれか一方に設けるものとして説明した。しかし、メダルセンサの発光素子側と受光素子側の両方に偏光フィルタを設けておき、これらの偏光方向を同じ方向に揃えておくようにしてもよい。図14は、メダルセンサの発光素子側と受光素子側とに偏光方向が同一の偏光フィルタを設けて不正行為を防止する様子を示した説明図である。図14(a)は、メダルセレクタ106に不正器具が挿入される前のメダルセンサ328を表している。図示されているように、発光素子328a側に設けた偏光フィルタ328cと、受光素子328b側に設けた偏光フィルタ328dとは偏光方向が同一である。このため、発光素子328aの発する光は、偏光フィルタ328c,328dのどちらも通り抜けて、受光素子328bに到達する。そして、遊技メダルが投入されると、発光素子328aからの光を遮って、メダルセンサ328からメダル通過信号が出力される。
これに対して、図14(b)は、メダルセンサ328の位置に不正器具の液晶がセットされた状態を表している。前述したように、液晶に入射した光は、振動方向が必ず90度回転して液晶を通り抜ける。このため、図14(b)に示すように、発光素子328a側に設けた偏光フィルタ328cの偏光方向と、液晶の入射側に設けられている偏光フィルタ510の偏光方向とが一致して、発光素子328aからの光が液晶の内部に入射した場合であっても、液晶を通り抜けた光は、受光素子328b側に設けた偏光フィルタ328dと偏光方向が一致しないので、受光素子328bに到達することができない。また、図9(b)を用いて前述したように、液晶の入射側に設けられている偏光フィルタ510の偏光方向と、発光素子328a側に設けた偏光フィルタ328cの偏光方向とが一致しなければ、発光素子328aの光は、液晶に入射する前に遮断され、受光素子328bに到達することができない。
このように、メダルセンサの発光素子側と受光素子側の両方に偏光フィルタを設けておくことによって、不正器具の液晶がセットされると、液晶に入射する前、あるいは液晶を透過した後のいずれかで発光素子の発する光を遮断して、受光素子に届かなくすることができる。このため、メダルセンサを誤判断させる不正行為を一層効果的に防止することが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。