JP2007073898A - バイパス機能付き太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】 逆バイアスに対してバイパス機能を発揮する信頼性の高い太陽電池を提供する。また、かかる太陽電池の安価な製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のバイパス機能付き太陽電池は、第1の導電型のベース層と第2の導電型のエミッタ層がpn接合する太陽電池であって、エミッタ層の側面からベース層の側面にかけて、第1の導電型を発現する不純物材料を含む金属材料層を備えることにより、pn接合面に逆方向のバイアスが印加されたときにバイパス回路を形成することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、逆バイアス電圧に対してバイパス機能を有する太陽電池およびその製造方法に関する。
一般に、太陽電池を電力源として使用する場合には、要求される電圧に合うような複数の太陽電池を直列に接続した組を作り、その直列の組をいくつか並列に接続して、所定の電流値が得られるように回路設計をして使用する。よって、太陽電池が直列に接続された組の一部に影が生じた場合などは、影の部分が発電しないばかりか、大きな抵抗となり、その直列の組の発生電力を大きく落としてしまうのみならず、場合によっては、その抵抗へ直列の組全体の電圧がかかってしまい、その部分が破壊される事態も生じ得る。
このような不具合を防ぐために、発電時に発電効率に悪影響を及ぼさず、かつ影などによって太陽電池が発電しなくなった場合にその部分を避けて電流を流すように、バイパスダイオードを組み込むような回路設計を行なうことが一般的である。これは、普及率の高いシリコン太陽電池においてのみならず、化合物太陽電池においても同様である。特に多接合型化合物太陽電池の場合は、太陽電池の特性上、逆方向の電圧に対して弱く、壊れやすいため、太陽電池1つに対して1つのバイパスダイオードを設けるように設計することが多い。
一方、シリコン太陽電池では、バイパスダイオードとしてのダイオード素子の回路組み込みを行なわずに、太陽電池そのものにバイパス機能を持たせる、バイパス機能付きシリコン太陽電池が知られている(特許文献1参照)。バイパス機能付きシリコン太陽電池は、高温の熱処理に耐えるシリコンにおいて、拡散法によって比較的容易に接合が形成できることを利用する方法であり、主たるpn接合のエミッタ領域とベース領域の両方に接するように、ベース領域よりも高い不純物濃度を持つ不純物領域であって、ベース領域と同じ導電型の不純物領域が点在して形成された構造を有している。
この太陽電池に逆方向の電圧が印加された場合に、その点在した不純物領域とエミッタ領域の間で形成されたpn接合で、ツェナー効果によるブレークダウンを生じさせ、その部分に逆電流を流すことにより、主たるpn接合に大きな逆方向電圧が印加されないような仕組みの太陽電池である。実際には、結晶シリコン太陽電池は逆方向電圧に対する耐性が比較的強く、よってこの場合には、太陽電池の破壊を防ぐことももちろんであるが、むしろ影などの影響によるシステム全体の発電効率の損失を低く抑える効果が大きいと考えられる。
特許第2837296号公報
一般に、化合物太陽電池は、シリコン太陽電池など他のタイプの太陽電池に比べて、光電変換効率が高く、限られた領域で大きな電力を得ることができる。反面、製造に高価な原料を用いるため、太陽電池自体の価格も高くなる。このため、集光システムのような少ない太陽電池で大きな電力が得られるシステム、または限られた発電領域しか確保することができない宇宙用途などに用いられる場合が多い。
このように、高価でかつ限定された用途で用いられている化合物太陽電池は、一方で逆方向電圧に対して弱いという一面を持っているため、それを含むシステムの中にバイパスダイオードを組み込むことは、必須となっている。バイパスダイオードを太陽電池発電の回路に組み込む場合には、たとえばそれぞれの太陽電池に対してダイオード素子をひとつずつ接続していく手間をかける必要がある。エネルギ密度の低い太陽光から光エネルギを利用する太陽電池発電では、数多くの太陽電池を使用するため、これらの作業量は大きなコスト負担となる。
これに対して、前述のバイパス機能付きシリコン太陽電池は、太陽電池にダイオードを付ける必要がないという利点がある。また、バイパス機能となる構造が太陽電池の全面にちりばめられているので、太陽電池が何らかの原因によって欠けてしまった場合などにもその機能を失わずに全体の能力を保持することができる。このため、特に宇宙用途など、容易にメンテナンスのできない場所で使用する場合などに、その機能が活かされている。しかしながら、化合物太陽電池の場合には、このようなバイパス機能付きの構造をとることが難しく、特に、大幅に変換効率が改善されて注目を浴びつつある多接合型化合物太陽電池においては、未だこのようなバイパス機能付き太陽電池は存在しない。
多接合型太陽電池は、複数個の単一接合太陽電池が直列に接続されたものと同様の等価回路を持つため、バイパス機能を付加する場合には、それぞれ全ての接合に対してバイパス機能を付加しなくてはならない。よって、エピタキシャル層が積み重なって接合が形成される多接合型化合物太陽電池が従来の単一接合のバイパス機能付き太陽電池のような構造をとるためには、積み重なったエピタキシャル層の間に島状の接合を作る必要がある。このような構造を、エピタキシャル層の成膜中に形成するのは困難であり、一方でエピタキシャル層成膜後に各接合に対して島状の接合を形成するのも難しい。さらに、多接合型化合物太陽電池が高い光電変換効率を得るためには、そこに形成された多数のエピタキシャル層は、その役割毎に狭い範囲で構造が限定されており、その中に別の接合を形成できたとしても、その電気的特性を制御することは非常に困難である。
本発明の課題は、逆バイアスに対してバイパス機能を発揮する信頼性の高い太陽電池を提供することにある。また、かかる太陽電池の安価な製造方法を提供することにある。
本発明のバイパス機能付き太陽電池は、第1の導電型のベース層と第2の導電型のエミッタ層がpn接合する太陽電池であって、エミッタ層の側面からベース層の側面にかけて、第1の導電型を発現する不純物材料を含む金属材料層を備えることにより、pn接合面に逆方向のバイアスが印加されたときにバイパス回路を形成することを特徴とする。本発明は、III−V族化合物半導体からなる太陽電池においても有効である。
金属材料層は、エミッタ層に対してショットキー接合を形成する材料を含む態様が好ましく、具体的には、金属材料層が、Pt、Ag、PdまたはTiを含む態様が好ましい。また、第1の導電型がp型であり、金属材料層に含まれる不純物材料がZnまたはCである態様が好適である。
かかるバイパス機能付き太陽電池は、金属材料層の形成後に熱処理を施すことにより、製造できる。熱処理の温度は、300℃〜800℃が好ましい。
本発明によれば、逆バイアス電圧に対して安定したバイパス機能を有する太陽電池を提供することができる。また、安価で信頼性の高いバイパス機能付きの多接合型化合物太陽電池を提供することができる。
本発明の太陽電池は、図1に示すように、第1の導電型のベース層1と第2の導電型のエミッタ層2がpn接合する太陽電池であって、エミッタ層2の側面からベース層1の側面にかけて、第1の導電型を発現する不純物材料を含む金属材料層3を備えることにより、pn接合面4に逆方向のバイアスが印加されたときにバイパス回路を形成することを特徴とする。pn接合部分を挟んで、エミッタ層2の側面からベース層1の側面にかけて、図1に示すように、ベース層1と同じ導電型の不純物材料を含む金属材料層3を形成することにより、金属材料層3とエミッタ層2との接合面5に、金属材料層3から導入された不純物により新たなpn接合が形成される。また、図2に示すように、ベース層21と金属材料層23の界面では、同じ型の不純物によって良好なオーミックコンタクトが形成される。エミッタ層22との接合を形成した不純物は、金属材料層23からそれほど深く拡散して接合を形成しているわけではないので、この新たにできた接合面25から金属材料層23までが近い構造となっている。
したがって、この太陽電池に逆方向の電圧が加えられると、逆方向にリークがスタートする電圧は、図2に示すように、エミッタ層22からベース領域21に流れる電圧よりも、この新たに形成された接合面25から金属材料層23を通ってベース層21へ流れる電圧の方が低く、しかも比較的多量の電流を流すことができる。しかも、エミッタ層22には接合面25が形成されているため、光電変換による発電時に、漏れ電流による特性劣化を引き起こすことはない。したがって、非常に理想的なバイパス機能が得られることとなり、pn接合面に逆方向のバイアスが印加されたときに、バイパス回路を形成する機能を有し、太陽電池全体に大きな逆方向電圧がかからないようにするための保護回路として働く。特にpn接合が形成されている半導体材料が、III-V族の化合物半導体である場合にも本発明は有効である。
一般に、拡散によって形成するn/p接合においては、たとえば、p型の基板にn型の不純物を拡散して接合を形成すると、形成されるn層は、もともとあったp型の不純物濃度を超えた高濃度にすることによってn型の性質を持つ層であるため、n+/p接合、すなわち、pの濃度よりnの濃度が高い接合となる。よって、本発明においても、金属からの拡散によって新たに形成されるエミッタ層中の接合では、エミッタ層のn型不純物の濃度より拡散されたp型不純物の濃度の方が高くなる。
エピタキシャル基板中の各エピタキシャル層は、MBEまたはMOCVDなどの半導体薄膜生成装置によって、基板上に積み上げられて形成され、原理的にはn/pの接合形成についても、任意の濃度のp層上に任意の濃度のn層を積むことができる。したがって、本発明中のエミッタ層とベース層の不純物濃度も任意に設定できるが、通常は太陽電池の光電変換効率を考慮して、同程度またはエミッタ層の濃度を多少高くするのが一般的である。また、p型ベース層の濃度より、新たに形成されたp型層の濃度を十分に高濃度にすると、太陽電池の特性を損なわうことがない。
同じn型層に対して、濃度の異なるp型層によって形成されるpn接合の特性は、順方向の電圧に対しては、低濃度の方が先に電流が流れ出し、逆方向の電圧に対しては、低濃度の方が高い耐圧を持ち、高濃度の方が先にブレークダウンを起こす。このため、太陽電池として発電しているときには、順方向の特性が問題となるため、新たに形成した濃度の高い接合は、順方向側で太陽電池のpn接合の特性に悪影響を及ぼさない。逆に、発電していないときに、逆方向に電圧がかかった場合、ベース層との間のpn接合で電流が流れ出す電圧よりも低い電圧で、新たに形成した濃度の高い接合に電流が流れ出す。このため、ベース層と同じ導電型の金属材料層は、太陽電池に大きな逆方向電圧がかからないようにするための保護回路として働き、バイパス回路として機能する。
図3に示すように、金属材料層33はエミッタ層32に対してショットキー接合を形成する材料を含む態様が好ましい。かかる態様により、金属材料層33中の不純物の拡散が不十分である場合においても、エミッタ層32との境界でショットキー接合を形成することができる。したがって、光電変換による発電時に、漏れ電流による特性劣化を引き起こすことはない。具体的には、金属材料層は、Pt、Ag、PdまたはTiを含む態様が好ましい。
第1の導電型がp型であるときは、金属材料層に含まれる不純物材料はZnまたはCが好ましい。Znは融点が低く、比較的低温でも、p型ベース層中に拡散しやすい。また、不純物がCであるときは、高濃度の不純物層を形成することができる。図1には、ウエハをエッチングして空孔部6を形成し、空孔部6におけるエミッタ層2の側面からベース層1の側面にかけて、金属材料層3を形成した本発明の太陽電池を例示する。また、ウエハの側面9において、エミッタ層の側面からベース層の側面にかけて、金属材料層を形成しても同様に有効である。なお、図1の例では、エミッタ層2上に表電極8を、ベース層7上に裏電極7を形成してある。
本発明の太陽電池の製造方法においては、金属材料層の形成後に熱処理を施す。熱処理工程を設けることにより、金属材料と半導体材料との反応、拡散および合金化を進めることができ、不純物の拡散が生じて、バイパス機能を安定化することができる。このような観点から、熱処理温度は、300℃以上が好ましく、500℃以上がより好ましい。一般に、半導体材料の外側から内側へ不純物を拡散させようとする場合には、800℃以上の高温での熱処理が必要とされる。しかしながら、本発明においては、金属材料層に予め不純物が混ぜられているので、金属と半導体の合金化の中で、比較的低いエネルギであっても、容易に半導体中に拡散でき、接合形成などが可能となる。このため、熱処理温度は、800℃以下とすることができ、600℃以下とすることも可能である。
実施例1
図4(a)に示すような、3接合型化合物太陽電池用のエピタキシャルウエハを用意し、このウエハをエッチングすることによってバイパス機能を付加するための各サブセルの接合部分を露出させた(図4(b))。図4(b)に示すように、このウエハは、p型ベース層41a、41b、41cと、n型エミッタ層42a、42b、42cとを備える。また、
トンネル接合層(p++/n++)44、43aを有するとともに、バッファ層(n)43bを有する。さらに、受光面には表電極45を有する。
各サブセルのpn接合部分を挟んで、エミッタ層42a、42b、42cの各側面からベース層41a、41b、41cの各側面にかけて、金属材料層46を形成した(図4(c))。第1の導電型のベース層はp型層であるため、金属材料層46は、第1の導電型であるp型を発現する不純物Znを30%含んだAg層とした。つぎに、チッ化珪素からなる保護膜57を全面に形成した後、窒素中、600℃の温度で10分間アニールを行なった(図5(a))。アニール化により、各サブセルの金属材料層56との境界にあるn型エミッタ層にp型の拡散層50を形成するとともに、金属材料層56はエミッタ層に対してショットキー接合を形成した。最後に、保護膜57を除去し、表面コンタクト層58と裏面電極59を形成した(図5(b))。製造したタンデム型太陽電池は、pn接合面に逆方向のバイアスを印加することにより、バイパス回路を形成することができた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
安価で安定な信頼性の高いバイパス機能つきの太陽電池を提供することができる。
本発明の太陽電池の典型的な構造を示す断面図である。 本発明の太陽電池における金属材料層、エミッタ層とベース層の接合状態を示す断面図である。 本発明の太陽電池における金属材料層、エミッタ層とベース層の接合状態を示す断面図である。 本発明の太陽電池の製造方法を示す工程図である。 本発明の太陽電池の製造方法を示す工程図である。
符号の説明
1 ベース層、2 エミッタ層、3 金属材料層、4 pn接合面。

Claims (7)

  1. 第1の導電型のベース層と第2の導電型のエミッタ層がpn接合する太陽電池であって、エミッタ層の側面からベース層の側面にかけて、第1の導電型を発現する不純物材料を含む金属材料層を備えることにより、前記pn接合面に逆方向のバイアスが印加されたときにバイパス回路を形成することを特徴とするバイパス機能付き太陽電池。
  2. III−V族化合物半導体からなることを特徴とする請求項1に記載のバイパス機能付き太陽電池。
  3. 前記金属材料層は、エミッタ層に対してショットキー接合を形成する材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のバイパス機能付き太陽電池。
  4. 前記金属材料層は、Pt、Ag、PdまたはTiを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバイパス機能付き太陽電池。
  5. 前記第1の導電型がp型であり、前記金属材料層に含まれる不純物材料がZnまたはCであることを特徴とする請求項1に記載のバイパス機能付き太陽電池。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池の製造方法であって、金属材料層の形成後に熱処理を施すことを特徴とするバイパス機能付き太陽電池の製造方法。
  7. 前記熱処理の温度が、300℃〜800℃であることを特徴とする請求項6に記載のバイパス機能付き太陽電池の製造方法。
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