JP2007064873A - 排気ガスセンサの故障検出装置 - Google Patents

排気ガスセンサの故障検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 この発明は、排気ガスセンサの故障検出装置に関し、センサ素子のインピーダンスの相違に影響されることなく、常に正しくセンサ素子の割れを検出することを目的とする。
【解決手段】 空燃比センサ10は、排気側電極24と、大気側電極22とを備える。大気側電極22は大気に通じる大気室18に配置される。空燃比センサ10は排気通路内に配置されるため、センサ割れが発生すると、大気層18に排気ガスが侵入する。通常は空燃比センサ10に正電圧を印加して空燃比に応じた出力を得る。印加電圧を逆電圧に切り換えた直後は、センサ割れの有無によらず、インピーダンスに応じたセンサ電流i1が流れる。その後センサ電流は大気層18内の酸素濃度に応じた値i2に収束する。i2をi1で補正した値を判定値と比較することにより、センサ割れの有無を判断する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、排気ガスセンサの故障検出装置に関し、特に、排気ガスセンサの割れを検出する装置として好適な排気ガスセンサの故障検出装置に関する。
従来、例えば特開平8−327586号公報に開示されるように、内燃機関の排気通路に配置された酸素センサの異常を検出するためのシステムが知られている。酸素センサは、排気ガスに晒されるように設けられた排気側電極と、センサ素子内部の大気層に晒されるように設けられた大気側電極とを備えている。
大気層は、センサ素子により排気通路の内部空間から隔離され、かつ、大気に導通する空間である。上記従来のシステムは、大気側電極と排気側電極との間に電圧を印加して、両者間を流れる電流の大きさに基づいて異常の有無を判断する。
特開平8−327586号公報 特開2003−20989号公報 特開2003−14683号公報 特開平8−21282号公報
排気側電極を正極、大気側電極を負極として両者間に電圧を印加すると、センサ素子には、大気層内の酸素濃度に応じた電流が流れる。つまり、センサ素子が正常であれば、大気中の酸素濃度に対応する電流(以下、「正常電流」とする)が流通する。一方、センサ素子に割れが生じており、大気層中に排気ガスが混入している場合は、大気層中の酸素濃度が下がるため、センサ素子を流れる電流は、正常電流に比して小さなものとなる。
このように、排気側電極と大気側電極との間に電圧を印加することで発生する電流の値は、センサ素子に割れが生じているか否かに応じて変化する。従って、その電流の値に着目すれば、センサ素子に割れが生じているか否かを判断することが可能である。
しかしながら、センサ素子を流れる電流の大きさは、センサ素子のインピーダンスに応じて変化する。そして、センサ素子のインピーダンスは、その温度と相関を有している。このため、センサ素子の温度が正確に検出されていない限り、センサ素子を流れる電流それ自身に基づいてセンサ素子の異常を正しく判定することは困難である。この点、上述した従来のシステムは、必ずしも、センサ素子の割れを常に正しく検出し得るものではなかった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、センサ素子のインピーダンスの相違に影響されることなく、常に正しくセンサ素子の割れを検出することのできる排気ガスセンサの故障検出装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、排気ガスセンサの故障検出装置であって、
前記排気ガスセンサは、
内燃機関の排気通路内に晒された排気側電極と、
前記排気通路の内部に大気層を形成する大気層形成部材と、
前記大気層に晒された大気側電極と、
前記排気側電極と前記大気側電極との間に介在して、両者間での酸素イオンの移動を可能とする電解質層と、を備え、
前記大気側電極の電位より前記排気側電極の電位が高くなるように両者間に逆電圧を印加する逆電圧印加手段と、
前記逆電圧の印加に伴って前記大気側電極と前記排気側電極との間を流れる逆電流を検出する逆電流検出手段と、
前記大気側電極と前記排気側電極との間のインピーダンスと相関を有するインピーダンス相関値を取得するインピーダンス相関値取得手段と、
前記逆電流に重畳している前記インピーダンスの影響が排除されるように、前記逆電流を前記インピーダンス相関値で補正して補正値を算出する補正値算出手段と、
前記補正値と、判定値との比較に基づいて、前記排気ガスセンサの故障を検出する故障検出手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、排気ガスセンサの故障検出装置であって、
前記排気ガスセンサは、
内燃機関の排気通路内に晒された排気側電極と、
前記排気通路の内部に大気層を形成する大気層形成部材と、
前記大気層に晒された大気側電極と、
前記排気側電極と前記大気側電極との間に介在して、両者間での酸素イオンの移動を可能とする電解質層と、を備え、
前記大気側電極の電位より前記排気側電極の電位が高くなるように両者間に逆電圧を印加する逆電圧印加手段と、
前記逆電圧の印加に伴って前記大気側電極と前記排気側電極との間を流れる逆電流を検出する逆電流検出手段と、
前記大気側電極と前記排気側電極との間のインピーダンスと相関を有するインピーダンス相関値を取得するインピーダンス相関値取得手段と、
前記逆電流に重畳している前記インピーダンスの影響を判定値に重畳させることにより、補正判定値を算出する補正判定値算出手段と、
前記逆電流と、前記補正判定値との比較に基づいて、前記排気ガスセンサの故障を検出する故障検出手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1の発明において、前記補正値算出手段は、前記逆電圧の印加時間が所定の安定化時間に達した時点の前記逆電流に基づいて前記補正値を算出することを特徴とする。
また、第4の発明は、第2の発明において、前記故障検出手段は、前記逆電圧の印加時間が所定の安定化時間に達した時点の前記逆電流を、前記補正判定値と比較することを特徴とする。
また、第5の発明は、第3又は第4の発明の何れかにおいて、前記インピーダンス相関値は、前記逆電圧が印加された直後に発生する前記逆電流であることを特徴とする。
また、第6の発明は、第3又は第4の発明の何れかにおいて、
前記排気側電極の電位が前記大気側電極の電位より高くなるように両者間に正電圧を印加する正電圧印加手段を備え、
前記インピーダンス相関値は、前記大気側電極と前記排気側電極との間に印加される電圧が、前記逆電圧から前記正電圧に反転された直後に前記排気側電極と前記大気側電極との間に流通する正電流であることを特徴とする。
また、第7の発明は、第3乃至第6の発明の何れかにおいて、
排気圧力が判定値を超えているか否かを判定する排気圧力判定手段と、
排気圧力が前記判定値を超えている期間が判定期間を超えている場合に限り、前記故障の検出を許可する実行条件判定手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第8の発明は、第3乃至第8の発明の何れかにおいて、
機関回転数が許容上限値に達するとフューエルカットを行うフューエルカット手段と、
フューエルカットの実行中は、前記故障の検出を禁止する実行禁止手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第9の発明は、第3乃至第8の発明の何れかにおいて、排気ガスセンサの温度を取得する温度取得手段と、
排気ガスセンサの温度が実行許可温度に達していない場合は、前記故障の検出を禁止する実行禁止手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第10の発明は、第3乃至第9の発明のいずれかにおいて、
排気ガスセンサの温度を取得する温度取得手段と、
排気ガスセンサの温度が高いほど前記安定化時間を長く設定する安定化時間設定手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第11の発明は、排気ガスセンサの故障検出装置であって、
前記排気ガスセンサは、
内燃機関の排気通路内に晒された排気側電極と、
前記排気通路の内部に大気層を形成する大気層形成部材と、
前記大気層に晒された大気側電極と、
前記排気側電極と前記大気側電極との間に介在して、両者間での酸素イオンの移動を可能とする電解質層と、を備え、
フューエルカット条件の成立時にフューエルカットを実行するフューエルカット手段と、
前記大気側電極の電位より前記排気側電極の電位が高くなるように両者間に逆電圧を印加する逆電圧印加手段と、
前記逆電圧の印加に伴って前記大気側電極と前記排気側電極との間を流れる逆電流を検出する逆電流検出手段と、
フューエルカットの開始直後に前記逆電流を検出し、かつ、フューエルカットが所定時間継続した時点で前記逆電流を検出し、それらの逆電流に基づいて、前記排気ガスセンサの故障を検出する故障検出手段と、
排気圧力が判定値を超えているか否かを判定する排気圧力判定手段と、
排気圧力が前記判定値を超えている期間が判定期間を超えている場合に、排ガス充填条件の成立を判定する充填条件判定手段と、
排気圧力が判定値を下回った後、充填維持時間が経過するまでの間に限り、前記排ガス充填条件の成立を維持する充填条件維持手段と、
フューエルカットの開始時点で前記充填条件の成立が認められる場合に限り、前記故障の検出を許可する実行条件判定手段と、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、インピーダンス相関値で逆電流を補正することにより、補正値を算出することができる。逆電流は、大気層内の酸素濃度と、センサ素子のインピーダンスとにより決まる値である。その値をインピーダンス相関値で補正すれば、大気層内の酸素濃度を正しく表す値を求めることができる。本発明によれば、その補正値を判定値と比較することにより、センサ素子のインピーダンスに関わらず、常に正しく排気ガスセンサの割れを検出することができる。
第2の発明によれば、補正判定値と逆電流との比較に基づいて割れ故障の有無が判断される。逆電流には、大気層内の酸素濃度の影響と、センサ素子のインピーダンスの影響とが重畳している。補正判定値は、そのセンサ素子のインピーダンスの影響を判定値に重畳させたものである。従って、それら両者の比較によれば、センサ素子のインピーダンスに関わらず、常に正しく排気ガスセンサの割れを検出することができる。
第3の発明によれば、逆電圧の印加時間が所定の安定化時間に達した時点の逆電流に基づいて補正値が算出される。安定化時間の経過を待つことで、逆電流は収束値に近づく。このため、本発明によれば、安定した故障検出を行うことができる。
第4の発明によれば、逆電圧の印加時間が所定の安定化時間に達した時点の逆電流が、補正判定値と比較される。安定化時間の経過を待つことで、逆電流は収束値に近づく。このため、本発明によれば、安定した故障検出を行うことができる。
第5の発明によれば、逆電圧が印加された直後に発生する逆電流がインピーダンス値相関値とされる。逆電圧の印加直後は、大気側電極の近傍に酸素が十分に存在している。このため、その時点で発生する逆電圧は、大気層中の酸素濃度に規制されずに、センサ素子のインピーダンス値に応じた値となる。このため、本発明によれば、故障検出を正確に行うことができる。
第6の発明によれば、逆電圧から正電圧への反転がなされた直後に発生する正電流がインピーダンス値相関値とされる。正電圧への反転直後は、排気側電極の近傍に酸素が十分に存在している。このため、その時点で発生する正電圧は、排気ガス中の酸素濃度に規制されずに、センサ素子のインピーダンス値に応じた値となる。このため、本発明によれば、故障検出を正確に行うことができる。
第7の発明によれば、排気圧力が判定値を超えている期間が判定期間を超えている場合に限り、故障の検出を許可することができる。センサ素子に割れが生じていても、排気圧力が低い場合は、大気層中に排気ガスは侵入しない。大気層中に排気ガスが侵入していなければ、逆電流に割れの影響が表れないため、正しい故障検出はできない。本発明によれば、割れが発生していれば大気層中に排気ガスが侵入する環境下に限って故障の検出を許可することができるため、故障検出の精度を高めることができる。
第8の発明によれば、内燃機関の過回転防止のためにフューエルカットがされた場合に故障の検出を禁止することができる。過回転防止のためにフューエルカットが働く環境下では、排気圧力が十分高く、大気層に割れが生じていればその中に排気通路内のガスが侵入する。フューエルカット中はそのガスが大気となるため、大気層の掃気がなされ、割れの影響が逆電流に表れなくなる。本発明によれば、このような環境下で、誤った正常判定がなされるのを有効に阻止することができる。
第9の発明によれば、排気ガスセンサの温度が実行許可温度に達していない場合は、故障の検出を禁止することができる。排気ガスセンサの温度が低い環境下では、大気層内の酸素濃度の差が、逆電流とインピーダンス相関値との関係に適正に反映されないことがある。本発明によれば、そのような環境下で誤った故障検出が成されるのを有効に防ぐことができる。
第10の発明によれば、排気ガスセンサの温度が高いほど、逆電流を取得するまでの安定化時間を長く設定することができる。温度が低い領域では、安定化時間が伸びるほど、正常時の逆電流とインピーダンス相関値との関係が、割れ発生時の関係に近づく。従って、低温環境下では、安定化時間を大きく確保することは好ましくない。一方、十分な温度上昇の後は、正常時の逆電流とインピーダンス相関値との関係は、安定化時間に長期化しても、割れ発生時の関係にさほど近づかない。そして、割れの発生の影響は、安定化時間が長いほど逆電流に大きく表れる。従って、高温環境化では、安定化時間が長いほど、正常時と異常時の区別が容易となる。本発明によれば、排気ガスセンサの温度に応じて安定化時間を変化させることにより、広い温度領域に渡って故障検出の精度を十分に高く維持することができる。
第11の発明によれば、フューエルカットの開始後に逆電流の計測が行われる。割れが生じている場合は、フューエルカットの開始前に、排気ガスが大気層に侵入することができる。そして、フューエルカットが開始され、排気通路に空気が流通し始めると、大気層の内部が掃気され、その中の排気ガスが排出される。逆電流は、大気層中の酸素濃度と相関を有しているため、大気層中の排気ガスが掃気されるに従って、その値は増大する。このため、フューエルカットの開始時に、大気層中に排気ガスが十分に侵入していれば、排気ガスのインピーダンスが如何なる値であっても、その後の逆電流の挙動に基づいて割れの有無を判断することができる。排ガス充填条件が成立し、その成立が維持されている間は、大気層中に排気ガスが十分に侵入していることを保証することができる。そして、本発明では、その保証が得られている場合に限り、故障検出の実行を許可することができる。このため、本発明によれば、インピーダンスの影響を受けることなく、排気ガスセンサの故障診断を正確に行うことができる。
実施の形態1.
[空燃比センサの構成]
図1は、本発明の実施の形態1において用いられる空燃比センサ10の構成を説明するための図である。より具体的には、図1は、空燃比センサ10の、センサ素子部分の断面図を示す。空燃比センサ10は、図1に示す断面構造を有するセンサ素子と、そのセンサ素子を保護するためのカバーとを備えている。空燃比センサ10は、そのカバーに覆われたセンサ素子が排気ガスに晒されるように、内燃機関の排気通路に組み付けられる。
空燃比センサ10のカバーには、排気通路の内部を流通するガスがセンサ素子に到達するように、複数の通気孔が設けられている。このため、図1に示す空燃比センサ10(センサ素子)は、周囲が排気ガスに晒された状態に置かれることになる。
空燃比センサ10は、ヒータ層12を有している。ヒータ層12の内部には、センサ素子を活性温度に加熱するためのヒータ14が埋め込まれている。図1において、ヒータ層12の上には大気層形成部材16が配置されている。大気層形成部材16は、アルミナなどのセラミックスで構成されている。
大気層形成部材16の上部には、ジルコニア等で構成された電解質層20が配置されている。大気層形成部材16の中央上部には、大気層18を形成するための窪みが設けられている。大気層18は、大気層形成部材16および電解質層20により排気通路の内部空間から隔絶されており、かつ、図示しない大気孔により大気に開放されている。
電解質層20の下面には、大気層18に晒されるように大気側電極22が配置されている。一方、電解質層20の上面には排気側電極24が配置されている。排気側電極24は、拡散抵抗層26により覆われている。拡散抵抗層26は、多孔質性の物質であり、排気通路を流れるガスが、大気側電極22に到達する速度を適度に規制する働きを有している。
空燃比センサ10には、図1中に符号(i)を付して示すような正電圧と、符号(ii)を付して示すような逆電圧とが選択的に印加される。正電圧は、具体的には、大気側電極22が排気側電極24に比して高電位となるように印加される。この場合、大気側電極22と排気側電極24との間には、排気ガス中の酸素過不足量に応じたセンサ電流、つまり、排気ガスの空燃比に応じたセンサ電流が流通する。このため、そのセンサ電流を検出すれば、排気空燃比を検知することができる。以下、大気側電極22から排気側電極24に向かう電流を「正電流」とし、その逆向きの電流を「逆電流」とする。
逆電圧は、具体的には、排気側電極24が大気側電極22に比して高電位となるように印加される。この場合、大気側電極22の表面に接している酸素がイオン化されて排気側電極24に向けてポンピングされる。その結果、大気側電極22と排気側電極24との間には、大気層18からポンピングされる酸素の量に応じた逆電流が流通する。
[空燃比センサの駆動回路]
図2は、空燃比センサ10を駆動するためのエンジンコンピュータ30の構成を説明するための回路図である。図2に示す回路は、空燃比センサ10の大気側電極22に接続される正極端子32と、空燃比センサ10の排気側電極24に接続される負極端子34を備えている。
正極端子32の電位は、オペアンプ36によるフィードバックにより、常に正側基準電圧(3.3V)に制御されている。負極端子34には、オペアンプ38を用いたフィードバック回路と、トランジスタ40を用いたスイッチ回路が接続されている。トランジスタ40は、ポート1の状態に応じてON状態とOFF状態を切り換える。負極端子34の電位は、トランジスタ40がOFF状態の場合は、オペアンプ38の機能により負側基準電圧(2.9V)に制御される。一方、トランジスタ40がONとなると、オペアンプ38に対する入力電位が高まり、負極端子34の電位が、正側基準電圧より高い逆電圧電位(3.7V程度)に上昇する。
エンジンコンピュータ30には、エアフロメータ42、回転数センサ44、及びスロットルセンサ46などのセンサが接続されている。エアフロメータ42は、内燃機関の吸入空気量Gaを検知するセンサである。回転数センサ44は、機関回転数NEに応じた出力を発するセンサである。また、スロットルセンサ46は、スロットル開度TAに応じた出力を発するセンサである。
エンジンコンピュータ30は、以上の通り構成されているため、ポート1をOFF状態とすることで、空燃比センサ10に対して0.4V程度の正電圧を印加することができる。また、ポート1をON状態とすることで、空燃比センサ10に対して0.4V程度の逆電圧を印加することができる。
エンジンコンピュータ30は、また、ADC1ポート及びADC2ポート、並びにADC3ポートを有している。ADC1ポートとADC2ポートの間には、空燃比センサ10を流れるセンサ電流に応じた電位差が表れる。また、ADC3ポートには、負極端子34の電位が導かれる。このため、エンジンコンピュータ30は、ADC1ポートの電位とADC2ポートの電位を取り込むことにより、センサ電流を検知することができる。また、ADC3ポートの電位を取り込むことにより、空燃比センサ10の排気側端子24にどのような電位が供給されているのかを検知することができる。
図2に示すエンジンコンピュータ30は、空燃比センサ10に対して0.4V程度の正電圧を印加しつつ、センサ電流を検知することができる。この場合、そのセンサ電流に基づいて、排気空燃比を検知することが可能である。また、エンジンコンピュータ30は、空燃比センサ10に対して0.4V程度の逆電圧を印加しつつ、センサ電流(逆電流)を検知することができる。この場合、その逆電流は、大気層18からポンピングされる酸素量に応じた値となる。
大気層18の内部は、空燃比センサ10が正常である場合には、排気通路の内部空間から隔絶された状態に維持される。しかしながら、空燃比センサ10には、大気層18に通じる割れなどが生ずることがある。図1は、ヒータ層12と大気層形成部材16に、上記割れが生じた状態を示している。
内燃機関の運転中は、排気ガスの圧力により、排気通路の内圧が大気層18の圧力より高くなる。このため、空燃比センサ10に上記の割れが生じていると、排気通路内を流通するガスが、割れを伝って大気層18内部に進入する事態が生ずる。この場合、大気層18内部の酸素濃度は、排気ガスが混入することにより、上記の割れが存在しない場合に比して低下する。
大気層18からポンピングされる酸素の量は、大気層18の酸素濃度が低いほど少量となり易い。このため、大気層18に割れが存在する場合は、逆電圧の印加に伴って発生する逆電流が、正常時に比して小さな値となり易い。つまり、逆電圧の印加に伴って発生する逆電流は、空燃比センサ10に割れが生じているか否かにより異なった値となる。従って、本実施形態のシステムにおいては、逆電流の値に基づいて、空燃比センサ10に割れが生じているか否かを判定することが考えられる。
しかしながら、逆電流の値は、センサ素子のインピーダンスに応じて変化する。そして、空燃比センサのインピーダンスは、センサ温度に応じて大きく変化する。図3は、正常な空燃比センサ10に発生する逆電流とセンサ温度との関係、並びに割れの生じている空燃比センサ10に発生する逆電流とセンサ温度との関係を表した図である。
図3に示すように、空燃比センサ10に割れが生じている場合は、大気層に排気ガスが侵入し、その結果、大気層の酸素濃度がさがるため、正常時に比して逆電流は小さな値となる。そして、何れの場合でも、逆電流の値は、センサ温度が高くなるほど、つまり、センサの内部抵抗が小さくなるほど大きな値となる。
その結果、図3に示す例においては、正常な空燃比センサ10における逆電流の範囲と、割れの生じた空燃比センサ10における逆電流の範囲とに重複が生じている。この場合、空燃比センサ10に割れが生じているか否かを、逆電流の値そのものから判断することは困難である。
[センサ割れの検出原理]
図4は、本実施形態において、センサ割れの有無を判定するために用いられる手法を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図4(A)は、空燃比センサ10への逆電圧の印加タイミングを示す図である。また、図4(B)は、空燃比センサ10を流れるセンサ電流の波形を示す図である。
図4(A)は、時刻t1〜t2の間だけ空燃比センサ10に逆電圧が印加され、それ以外の期間は空燃比センサ10に正電圧が印加されている状態を示している。ここでは、排気ガスがほぼ理論空燃比であり、正電圧の印加時に生ずるセンサ電流は、ほとんど0であるものとする。
時刻t1以前において、正電圧が印加されている間は、センサ割れの有無に関係なく、排気側電極24から大気側電極22に至る経路中にポンピング過程にある酸素イオンが存在していると共に、大気側電極22の表面付近に酸素が存在している。この状態で印加電圧が逆電圧とされると、大気側電極22と排気側電極24との間には、空燃比センサ10のインピーダンスに応じた逆電流が流れる。
センサ割れが生じていない場合には、大気層18の内部に十分な酸素が存在している。このため、この場合は、図4(B)中に破線で示すように、時刻t1からt2にかけて、逆電流の絶対値はさほど減少しない。一方、センサ割れが生じている場合は、時刻t1の時点で、大気層18に排気ガスが侵入している。この場合、酸素のポンピングが進むに連れて酸素濃度が更に低下するため、図4(B)中に実線で示すように、逆電流の絶対値は、時刻t1の後、明らかな減少を示す。その結果、時刻t2における逆電流は、正常時には、インピーダンスに対応した大きな値(以下、「i負(正常)」と称す)となり、他方、割れ発生時には、i負(正常)に比して絶対値の小さな値(以下、「i負(割れ有)」と称す)となる。
時刻t2の時点では、排気側電極24から大気側電極22に至る経路中にポンピング過程にある酸素イオンが存在していると共に、排気側電極24の表面付近にもポンピングされた酸素が存在している。この状態で印加電圧が正電圧に切り換えられると、大気側電極22と排気側電極24との間には、空燃比センサ10のインピーダンスに応じた正電流(以下、「i正」と称す)が流れる。
i負(割れ有)は、i負(正常)より絶対値の小さな値である。しかしながら、その値は、空燃比センサ10のインピーダンスに応じて、つまり、センサ温度に応じて変化する。このため、時刻t2における逆電流の値そのものからは、その逆電流がi負(正常)であるのか、i負(割れ有)であるのかを判断することはできない。他方、i正は、割れの有無に関わらず、空燃比センサ10のインピーダンスに対応した値となる。
つまり、時刻t2の時点で生ずるi負の絶対値と、その直後に生ずるi正の絶対値は、図5に示すように、センサ温度(インピーダンス)に対して、同様の依存性を示す。従って、i負をi正で補正すれば、i負からインピーダンスの影響を排除することが可能である。より具体的には、例えば、電流比「i負/i正」、或いは、「i正/i負」なる値を求めれば、時刻t2における大気層18の酸素濃度に対して相関を有し、かつ、インピーダンスの影響を含まない特性値を正しく算出することができる。そこで、本実施形態では、内燃機関の運転中に、電流比(i正/i負)を求めたうえで、その電流比(i正/i負)に基づいて、センサ割れの有無を判定することとした。
[実施の形態1における具体的処理]
図6は、本実施形態においてエンジンコンピュータ30が実行するルーチンのフローチャートである。図6に示すルーチンは、内燃機関の運転中に所定周期で起動されるものとする。
図6に示すルーチンでは、先ず、十分な排気圧力が発生しているかが判別される。具体的には、吸入空気量Gaが、判定値Gより多量であるかが判別される(ステップ100)。空燃比センサ10に割れが生じていても、排気圧力が小さい場合には、大気層18に排気ガスが侵入しない。判定値Gは、大気層18に排気ガスが侵入する程度に排気圧力が高いか否かを判断するための値である。
Ga>Gの成立が認められない場合は、割れが発生していても、大気層18に排気ガスが侵入しないと判断できる。本実施形態のシステムは、このような環境下では割れを検出することはできない。この場合、先ず、逆電圧印加履歴フラグがOFFとされる(ステップ102)。次に、空燃比センサ10に正電圧を印加するための処理が実行される(ステップ104)。次いで、印加電圧が正電圧であることを表すために、正電圧印加フラグがONとされ(ステップ106)、更に、逆電圧印加フラグがOFFとされる(ステップ108)。
ステップ100において、Ga>Gの成立が認められた場合は、大気層18に排気ガスが侵入する環境が整っていると判断できる。この場合は、次に、逆電圧印加履歴フラグがOFFであるかが判断される(ステップ110)。
逆電圧印加履歴フラグは、後述する通り、故障判定が終了した時点でONとされるフラグである。従って、Ga>Gが成立した後、既に故障判定が終了している場合は、ステップ110の条件が不成立となる。この場合は、故障判定のための処理を更に続ける必要がないため、以後速やかに今回の処理サイクルが終了される。
一方、未だ故障判定が終了していない間は、ステップ110において、逆電圧印加履歴フラグがOFFであると判断される。この場合は、次に、前回の処理サイクル時に逆電圧印加フラグがONであり、かつ、今回の処理サイクル時に正電圧印加フラグがONであるかが判別される(ステップ112)。
Ga>Gの成立が認められた後、始めてステップ112が実行される時点では、正電圧印加フラグがON、逆電圧印加フラグがOFFとされている。従って、この時点では、ステップ112の条件は不成立となる。この場合、次に、逆電圧印加時間が設定時間Tに達しているかが判別される(ステップ114)。
上記の「逆電圧印加時間」とは、空燃比センサ10への印加電圧が逆電圧に切り換えられた後の経過時間である。Ga>Gが成立した後、始めてステップ114の処理が実行される時点では、未だ逆電圧の印加が開始されていないため、その条件は不成立と判断される。この場合、次に、逆電圧を印加するための処理が実行される(ステップ116)。次いで、逆電圧印加フラグがONとされ(ステップ118)、正電圧印加フラグがOFFとされた後(ステップ120)、今回の処理サイクルが終了される。
Ga>Gの条件が成立したまま次回のサイクルが起動されると、ステップ112において、前回の逆電圧印加フラグはONであるが、今回の正電圧印加フラグがONではないと判断される。つまり、ステップ112において、条件不成立の判断がなされる。以後、正電圧印加フラグがONとされるまで、ステップ112では、繰り返し条件不成立の判定がなされる。
ステップ112において条件不成立の判断が繰り返される間に、逆電圧印加時間が設定時間Tに達すると、ステップ114において条件成立の判断がなされる。この場合、次に、その時点で発生しているセンサ電流(逆電流)の絶対値が「i負」として記憶される(ステップ122)。つまり、逆電圧印加時間がTに達した時点で生じていた逆電流が「i負」として計測される。
i負の計測が終わると、空燃比センサ10への印加電圧が正電圧に切り換えられる(ステップ124)。次いで、正電圧印加フラグがONとされ(ステップ126)、今回の処理サイクルが終了される。
Ga>Gの関係が満たされたまま次回の処理サイクルが起動されると、今度は、ステップ112において、前回の逆電圧印加フラグがONであり、かつ、今回の正電圧印加フラグがONであると判断される。この場合、ステップ112の次に、その時点のセンサ電流、つまり、印加電圧が正電圧に切り換えられた直後のセンサ電流が「i正」として計測される(ステップ128)。
次に、電流比(i正/i負)が算出される(ステップ130)。続いて、電流比(i正/i負)が判定値R以上であるかが判別される(ステップ132)。センサ割れが生じている場合は、i正に対してi負が小さな値となるため、電流比(i正/i負)は大きな値となる。このため、(i正/i負)≧Rの成立が認められた場合は、センサ割れの発生を表すべく異常判定がなされる(ステップ134)。一方、(i正/i負)≧Rが成立しないと判断された場合は、センサ割れが発生していないと判断できる。この場合は、正常判定がなされる(ステップ136)。
上記の処理が終わると、最後に、逆電圧印加履歴フラグがONとされる(ステップ138)。以後、ステップ110の条件が不成立となるため、故障検出のための処理(ステップ112〜138)は、スキップされる。そして、Ga>Gが一旦不成立になると、逆電圧印加履歴フラグがOFFとされ(ステップ102参照)、再び故障検出の実行準備状態となる。
以上説明したとおり、本実施形態のシステムによれば、大気層18の酸素濃度とインピーダンスの影響とが共に重畳しているi負を、主としてインピーダンスの影響のみが重畳しているi正で補正することにより、インピーダンスの影響を含まない電流比(i正/i負)を算出することができる。そして、このシステムは、電流比(i正/i負)を判定値Rと比較することにより、インピーダンスの変動に影響されることなく、センサ割れの有無を正確に判定することができる。
また、本実施形態において、逆電圧を印加するべき設定時間Tは、100〜200msec程度に設定されている。空燃比センサ10の出力は、内燃機関の空燃比フィードバック制御に利用されている。逆電圧の印加中は、その出力をフィードバック制御に利用することはできない。このため、逆電圧の印加時間(設定時間T)は十分に短いことが望ましい。他方、設定時間Tが過度に短いと、大気層18に排気ガスが侵入していても、i負に顕著な減少が表れない。上述した100〜200msecは、i負に顕著な減少を与えることができ、かつ、フィードバック制御の実行を不当に妨げない値である。このため、本実施形態のシステムによれば、空燃比の制御精度を悪化させることなく、高精度な割れ検出を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、i負を、インピーダンスと強い相関を有するi正で補正した値を判定値Rと比較することによりセンサ割れの有無を判断することとしているが、その判断の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、判定値Rをi正で補正することにより補正判定値(例えばR*i正)を求め、その値とi負を比較することによりセンサ割れの有無を判断することとしてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、故障検出の対象が空燃比センサ10とされているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、故障検出の対象は、リッチ出力とリーン出力を選択的に出力する酸素センサであってもよい。この点は、以下に説明する他の実施形態においても同様である。
尚、上述した実施の形態1においては、空燃比センサ10が前記第1又は第2の発明における「排気ガスセンサ」に、i正が前記第1又は第2の発明における「インピーダンス相関値」に、電流比(i正/i負)が前記第1の発明における「補正値」に、それぞれ相当していると共に、エンジンコンピュータ30により、前記第1又は第2の発明における「逆電圧印加手段」及び「逆電流検出手段」の機能が実現されている。更に、エンジンコンピュータ30が、ステップ128の処理を実行することにより前記第1又は第2の発明における「インピーダンス相関値取得手段」が、ステップ132の処理を実行することにより前記第1の発明における「補正値算出手段」が、ステップ132の処理を実行することにより前記第1の発明における「故障検出手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、エンジンコンピュータ30に、i正に基づいて補正判定値(R*i正)を算出させることにより前記第2の発明における「補正判定値算出手段」を、その補正判定値とi負との比較に基づいてセンサ割れの有無を判断させることにより前記第2の発明における「故障検出手段」を、それぞれ実現することができる。
また、上述した実施の形態1においては、逆電圧を印加するべき設定時間Tが、前記第3又は第4の発明における「安定化時間」に相当している。更に、ここでは、エンジンコンピュータ30によって前記第6の発明における「正電圧印加手段」の機能が実現されている。
実施の形態2.
[実施の形態2の特徴]
次に、図7及び図8を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1と同様のハードウェア構成を用いて、エンジンコンピュータ30に後述する図8に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図7は、本実施形態において、センサ割れの有無を判断するために用いられる手法を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図7(A)は、空燃比センサ10への電圧印加のパターンを示す図である。また、図7(B)は、正常時のセンサ電流と割れ発生時のセンサ電流とを比較して表した図である。
図7(A)及び図7(B)は、それぞれ実施の形態1の動作を表す図4(A)及び図4(B)と同様である。すなわち、図7(A)は、時刻t1〜t2にかけて印加電圧が逆電圧とされ、それ以外の期間は印加電圧が正電圧とされる様子を示している。この場合、逆電圧の印加直後(時刻t1)に生ずるセンサ電流(負の電流)、及び正電圧への反転直後(時刻t2)に生ずるセンサ電流(正の電流)は、上述した通り、センサ割れの有無に関わらず空燃比センサ10のインピーダンスに応じた値となる。そして、正電圧への反転直前(時刻t2)に発生していたセンサ電流(負の電流)は、大気層18中の酸素濃度(つまり、センサ割れの有無)と、インピーダンスとによって決まる値である。
上述した実施の形態1では、正電圧への反転直前のセンサ電流(図4(B)のi負)を、正電圧への反転直後のセンサ電流(図4(B)のi正)で補正することにより、インピーダンスの影響を含まない電流比(i正/i負)を求め、その補正値に基づいてセンサ割れの有無を判断している。逆電圧印加直後に発生するセンサ電流も、正電圧への反転直後に生ずるセンサ電流と同様にインピーダンスに対応する値である。このため、実施の形態1の場合と同様の判断は、正電圧への反転直前のセンサ電流(図7(B)のi2)を、逆電流印加直後のセンサ電流(図7(B)のi1)で補正することによっても実現することができる。そこで、本実施形態のシステムは、その手法を用いてセンサ割れの有無を判断する。
[実施の形態2における具体的処理]
図8は、本実施形態においてエンジンコンピュータ30が実行するルーチンのフローチャートである。図8に示すルーチンは、内燃機関の運転中に所定周期で起動されるものとする。
図8に示すルーチンでは、先ず、吸入空気量Gaが、判定値Gより多量であるかが判別される(ステップ140)。Ga>Gが不成立である場合は、センサ割れが検知できる程度に排気圧力が上昇していないと判断される。この場合、逆電圧印加履歴フラグがOFFとされ(ステップ142)、正電圧の印加処理が実行された後(ステップ144)、今回の処理サイクルが終了される。
一方、Ga>Gの成立が認められた場合は、十分な排気圧力が存在すると判断される。この場合は、次に、逆電圧印加履歴フラグがOFFであるかが判断される(ステップ146)。
Ga>Gの成立が認められた後、始めてステップ146が実行される時点では、逆電圧印加履歴フラグはOFFとされている。従って、この時点では、ステップ146の条件が成立する。この場合、次に、逆電圧が印加中であるかが判別される(ステップ148)。
Ga>Gが成立した後、始めてステップ148が実行される段階では、未だ逆電圧の印加が開始されていない。この場合、ステップ148の条件が不成立と判断され、逆電圧の印加処理が実行された後(ステップ150)、今回の処理サイクルが終了される。
Ga>Gの条件が成立したまま次回のサイクルが起動されると、今度は、ステップ148において、逆電圧が印加中であると判断される。この場合、次に、逆電圧印加時間が設定時間Tに達しているかが判別される(ステップ152)。
上記の「逆電圧印加時間」とは、空燃比センサ10への印加電圧が逆電圧に切り換えられた後の経過時間である。Ga>Gが成立した後、始めてステップ152の処理が実行される時点では、逆電圧印加時間が未だ設定時間Tに達していない。従って、この段階では、その条件は不成立と判断される。この場合、次に、センサ電流(負の電流)の最大絶対値を第1逆電流i1として計測する処理が行われる(ステップ154)。
Ga>Gの関係が成立している限り、次回以降図8に示すルーチンが起動される毎に、逆電圧印加時間がTに達するまで、繰り返しステップ154の処理が実行される。ステップ154では、具体的には、最新のセンサ電流の絶対値が、現在記憶しているi1より大きい場合に、i1をその最新値に更新する処理がなされる。このような処理によれば、逆電圧印加時間が設定時間Tに達するまでに発生した最大のセンサ電流を第1逆電流i1として記憶することができる。
印加電圧が正電圧から逆電圧に切り換えられた後、センサ電流は、適当な時定数に従って最大値に増大する。そして、この最大値は、センサ割れの有無に関わらず、空燃比センサ10のインピーダンスに対応した値となる。従って、上記の処理によれば、空燃比センサ10のインピーダンスに対応するセンサ電流を適切に第1逆電流i1として記憶することができる。
Ga>Gの関係が成立したまま逆電圧印加時間が設定時間Tに達すると、ステップ152において条件成立が判断される。この場合、次に、その時点で生じているセンサ電流が第2逆電流i2として計測される(ステップ156)。設定時間Tは、実施の形態1の場合と同様に、空燃比フィードバック制御に悪影響を与えず、かつ、逆電流をある程度収束値に近づけることのできる時間(100〜200msec程度)に設定されている。
センサ割れが発生している場合は、大気層18内の酸素濃度が下がっているため、設定時間Tの間にセンサ電流は大きく減少する。一方、センサ割れが生じていない場合は、大気層18内に十分に酸素が存在しているため、設定時間Tの間にそのようなセンサ電流の減少は生じない。従って、上記ステップ156の処理によれば、センサ割れの有無に関する情報が重畳されているセンサ電流を適正に第2逆電流i2として記憶することができる。
図8に示すルーチンでは、次に、センサ割れの有無に関する情報を含む逆電流、つまり第2逆電流i2を、インピーダンスの情報を含む逆電流、つまり第1逆電流i1で補正した値(電流(i1/i2)が算出される(ステップ158)。
次いで、電流比(i1/i2)が、判定値Ic以上であるかが判別される(ステップ160)。センサ割れが生じている場合は、i1に対してi2が小さな値となるため、「i1/i2」は大きな値となる。このため、(i1/i2)≧Icの成立が認められた場合は、センサ割れの発生を表すべく異常判定がなされる(ステップ162)。一方、(i1/i2)≧Icが成立しないと判断された場合は、センサ割れが発生していないと判断され、正常判定がなされる(ステップ164)。
上記の処理が終わると、故障判定が終了したことを表すべく、逆電圧印加履歴フラグがONとされる(ステップ166)。以後、印加電圧を正電圧に切り換える処理が行われた後(ステップ168)、今回の処理サイクルが終了される。
Ga>Gが維持されたまま再び本ルーチンが起動されると、ステップ146において逆電圧印加履歴フラグがOFFではないと判断される。その結果、速やかに処理サイクルが終了され、不必要な故障検出処理の繰り返しが回避される。
以上説明したとおり、本実施形態のシステムによれば、大気層18の酸素濃度とインピーダンスの影響とが共に重畳しているi2を、主としてインピーダンスの影響のみが重畳しているi1で補正することにより、インピーダンスの影響を含まない電流比(i1/i2)を算出することができる。そして、このシステムは、電流比(i1/i2)を判定値Icと比較することにより、実施の形態1の場合と同様に、インピーダンスの変動に影響されることなく、センサ割れの有無を正確に判定することができる。
[実施の形態2の変形例]
ところで、上述した実施の形態2においては、第2逆電流i2を、インピーダンスと強い相関を有する第1逆電流i1で補正した値を判定値Icと比較することによりセンサ割れの有無を判断することとしているが、その判断の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、判定値Icをi1で補正することにより補正判定値(例えばIc*i1)を求め、その値とi2を比較することによりセンサ割れの有無を判断することとしてもよい。
また、上述した実施の形態2においては、センサ割れの有無を、内燃機関の通常運転中に判定することとしている。しかしながら、その判定は、内燃機関においてフューエルカットが実行されている状況下で行うこととしてもよい。以下、図9を参照して、フューエルカット中にセンサ割れの有無を判定する手法を説明する。
図9(A)は、フューエルカットの実行タイミングを表す波形を示す。図9(B)は、空燃比センサ10に対する印加電圧のパターンを表す図である。図9(C)は、大気層18の酸素濃度を正常時(破線)と割れ発生時(実線)とで対比して表した図である。また、図9(D)は、センサ電流の波形である。
図9は、時刻t1からt3に渡ってフューエルカットが実行され、時刻t1からt2にかけて空燃比センサ10に逆電圧が印加された例を示している。空燃比センサ10に割れが生じていない場合は、大気層18が常に大気で満たされている。従って、この場合は、図9(C)中に破線で示すように、大気層18中の酸素濃度は、常に十分に高い値で安定している。
これに対して、センサ割れが生じている場合は、排気通路を流れるガスが大気層18に侵入してくるため、大気層18中の酸素濃度は、そのガスの影響を受ける。内燃機関の通常運転中は、排気通路内に理論空燃比近傍の排気ガスが流通する。一方、フューエルカット中は、排気通路内に燃料成分を含まない空気が流通する。このため、センサ割れが生じている場合、大気層18内の酸素濃度は、図9(C)中に実線で示すように、フューエルカットが開始されるまでは安定的に低い値となり、フューエルカットの開始後は、上昇する傾向を示す。そして、フューエルカットが終了すると、その酸素濃度は、再び低下し始める。
空燃比センサ10が正常であり、大気層18内に十分に酸素が存在している場合は、図9(D)中に破線で示すように、第2逆電流i2の絶対値が第1逆電流i1の絶対値に比して僅かに小さな値となる。一方、センサ割れが生じている場合は、フューエルカット中に大気層18中の酸素濃度が上昇することから、図9(D)中に実線で示すように、第2逆電流i2の絶対値は第1逆電流i1の絶対値に比して大きな値となる。
従って、フューエルカットに合わせて逆電圧を印加する場合は、電流比(i1/i2)は、正常時に大きな値となり、センサ割れの発生時に小さな値となる。従って、この場合は、上述した実施の形態2の場合(ステップ160参照)と判定の基準を反転させ、(i1/i2)>Ic’の成立時に正常判定を行い、その不成立時に異常判定を行うことが必要である(Ic’はこの変形例に適した判定値)。
つまり、上述した実施の形態2においては、(i1/i2)>Icの成立時にセンサ割れの発生を判定することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、センサ割れの有無をフューエルカットの実行中に判定することとしたうえで、(i1/i2)>Ic’の不成立時にセンサ割れの発生を認めることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態2においては、第1逆電流i1が前記第1又は第2の発明における「インピーダンス相関値」に、電流比(i1/i2)が前記第1の発明における「補正値」に、それぞれ相当している。また、エンジンコンピュータ30が、ステップ154の処理を実行することにより前記第1又は第2の発明における「インピーダンス相関値取得手段」が、ステップ158の処理を実行することにより前記第2の発明における「補正値算出手段」が、ステップ160の処理を実行することにより前記第1の発明における「故障検出手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態2においては、エンジンコンピュータ30に、i1に基づいて補正判定値(Ic*i1)を算出させることにより前記第2の発明における「補正判定値算出手段」を、その補正判定値とi2との比較に基づいてセンサ割れの有無を判断させることにより前記第2の発明における「故障検出手段」を、それぞれ実現することができる。
実施の形態3.
[実施の形態3の特徴]
次に、図10及び図11を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1のハードウェア構成を用いて、エンジンコンピュータ30に、後述する図11に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
本実施形態のシステムは、上述した実施の形態2の場合と同様に、吸入空気量Gaが判定値Gを超えていることを条件に電流比(i1/i2)を求め、その電流比(i1/i2)に基づいてセンサ割れの有無を判断する。図10(A)及び図10(B)は、判定値Gの大小が電流比(i1/i2)に与える影響を説明するための図である。
具体的には、図10(A)は、判定値Gを小さな値に設定した場合に生ずる現象を説明するための図である。判定値Gを小さな値に設定した場合、排気圧力が比較的小さい状況下でGa>Gの条件が成立する。ところが、このような状況下では、大きな割れが生じていれば大気層18内に排気ガスが侵入するが、その割れが小さい場合には、Ga>Gが長期間成立しても、大気層18中に排気ガスが侵入しない。
電流比(i1/i2)は、大気層18への排気ガスの侵入量が多いほど大きな値となる。このため、小さいセンサ割れを起こしているセンサの電流比(i1/i2)は、図10(A)に示すように、Ga>Gの継続時間に関わらず、正常センサの電流比(i1/i2)と殆ど同じ値となる。このため、判定値Gを小さな値に設定した場合、小さいセンサ割れの発生が検出できない事態が生じ得る。
図10(B)は、判定値Gを大きな値に設定した場合の現象を説明するための図である。この場合、Ga>Gの成立する状況下では十分に大きな排気圧力が発生するため、その状況が継続するに連れて、大気層18中には徐々に排気ガスが侵入する。このため、Ga>Gが十分に長い時間継続すれば、小さいセンサ割れを起こしたセンサの電流比(i1/i2)は、図10(B)に示すように、正常センサの電流比i1/i2と区別し得る値となる。そこで、本実施形態では、小さいセンサ割れの発生をも精度良く検知するために、判定値Gを十分に大きな値に設定すると共に、Ga>Gの成立が十分に長い時間継続している場合に限り、電流比(i1/i2)に基づく異常判定の実施を許可することとした。
[実施の形態3における具体的処理]
図11は、本実施形態においてエンジンコンピュータ30が実行するルーチンのフローチャートである。図11に示すルーチンは、ステップ170及び172が挿入されている点を除いて、図8に示すルーチンと同様である。但し、図11に示すルーチン中、ステップ140において用いられる判定値Gは、空燃比センサ10に生じているセンサ割れが小さなものであっても、大気層18中に排気ガスを侵入させるに足る吸入空気量であるものとする。
図11に示すルーチンでは、ステップ140においてGa>Gが不成立であると判断された場合、積算空気量GVOLがゼロとされた後(ステップ170)、ステップ142及び144の処理が実行される。積算空気量GVOLは、吸入空気量Gaをサイクル毎に積算した値である。ステップ170の処理が実行されることにより、積算空気量GVOLは、実質的に、Ga>Gが継続的に成立している間に発生した吸入空気量Gaの積算値となる。
ステップ140においてGa>Gの成立が認められた場合は、次に、積算空気量GVOLが判定量Vを超えているかが判別される(ステップ172)。センサ割れが小さなものであると、Ga>Gが成立した後、大気層18中に有意な量の排気ガスが侵入するまでにある程度の時間が必要である。判定量Vは、その時間の経過を保証するための値である。従って、GVOL>Vが成立しないと判別された場合は、小さな割れからは大気層18内に十分な量の排気ガスが侵入していない可能性があると判断できる。
大気層18に十分な量の排気ガスが侵入していないと、センサ割れを検出することはできない。このため、ステップ172においてGVOL>Vの不成立が判定された場合は、センサ割れの検出処理が行われることなく、速やかに今回の処理が終了される。このような処理によれば、小さなセンサ割れの見逃しを確実に避けることができる。
一方、上記ステップ172において、GVOL>Vの成立が認められた場合は、センサ割れが生じていれば、それが小さなものであっても、大気層18に十分な量の排気ガスが侵入していることが保証できる。この場合は、以後、センサ割れの有無を判断するべくステップ146以降の処理が実行される。
以上説明した通り、図11に示すルーチンによれば、センサ割れが発生していれば、それが小さいものであっても確実にその発生が検知できる条件下でのみ、センサ割れの有無の判断を許可することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、センサ割れの大きさに影響されることなく、センサ割れの有無を正確に判定することができる。
ところで、上述した実施の形態3においては、センサ割れが小さいものであっても大気層18に十分な量の排気ガスが侵入していることを保証するために、積算空気量GVOLが判定量Vを超えていることを条件として設定しているが、その保証の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、十分な排気ガス量の侵入は、Ga>Gの関係が、所定時間継続しているか否かを見ることによっても保証することができる。
更に、十分な排気ガス量の侵入は、吸入空気量Gaでなく排気圧力に基づいて保証することとしてもよい。すなわち、排気圧力が所定値以上となる環境が、所定時間継続した場合にセンサ割れの有無の判定を許可することとしてもよい。
また、上述した実施の形態3は、実施の形態2に対してGVOL>Vの条件判定を組み合わせたものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、GVOL>Vの条件判定は、実施の形態1に組み合わせることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態3においては、エンジンコンピュータ30が、ステップ140の処理を実行することにより前記第7の発明における「排気圧力判定手段」が、ステップ172の処理を実行することにより前記第7の発明における「実行条件判定手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態4.
[実施の形態4の特徴]
次に、図12を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1のハードウェア構成において、エンジンコンピュータ30に、後述する図12に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1乃至3のシステムでは、吸入空気量Gaが判定値Gを超えている場合にセンサ割れの検出が許可される。Ga>Gが成立する環境下では、センサ割れが生じていれば、大気層18に排気ガスが侵入する。この場合、電流比(i正/i負)(図4参照)、或いは電流比(i1/i2)(図7参照)が大きな値となるため、センサ割れの検知が可能となる。
ところで、内燃機関の運転中は、例えば、機関回転数NEが十分に高い環境下でスロットル弁が閉じられたような場合にフューエルカットが行われる。フューエルカットの実行中は、排気通路に空気が流入する。センサ割れの生じている空燃比センサ10の周囲を空気が流通すれば、大気層18が掃気され、その内部の排気ガス濃度が低下する。そして、大気層18内部の排気ガス濃度が低下すれば、電流比(i正/i負)、(i1/i2)が正常値に近づくため、センサ割れの検出が困難となる。
上記のフューエルカットは、スロットル弁が閉じられた状況下で、つまり、吸入空気量Gaが絞られた状況下で実行される。このため、実施の形態1乃至3のシステムでは、そのフューエルカットの実行中にセンサ割れの有無が判定されることはない。従って、それらのシステムによれば、減速時のフューエルカットの実行に伴って、センサ割れの有無に関して誤った判定がなされることはない。
しかしながら、内燃機関においては、過回転防止のためのフューエルカットが実行されることがある。つまり、内燃機関においては、機関回転数NEが許容上限値に達すると、それ以上の回転数上昇を避けるためにフューエルカットが行われる。このフューエルカットは、吸入空気量Gaが十分に多量である状況下で行われる。このため、実施の形態1乃至3のシステムでは、過回転防止のためのフューエルカットの実行中にセンサ割れの有無が判定される事態が生じ得る。そして、そのような判定によれば、大気層18内の排気ガスが掃気されてしまうことから、センサ割れが見逃される事態が生じ得る。そこで、本実施形態のシステムは、センサ割れの検出条件として、フューエルカットの状態を判断することとし、フューエルカットの実行中は、吸入空気量Gaに関わる条件が成立していても、センサ割れの検出を禁止することとした。
[実施の形態4における具体的処理]
図12は、本実施形態においてエンジンコンピュータ30が実行するルーチンのフローチャートである。図12に示すルーチンは、ステップ172の後ろにステップ180が挿入されている点を除いて、図11に示すルーチンと同様である。即ち、図12に示すルーチンでは、ステップ172において、積算空気量GVOLが判定量Vを超えていると判断された場合に、フューエルカットが実行されていないかが判別される(ステップ180)。
その結果、フューエルカットが実行されていないと判別された場合は、センサ割れの検出を進めるべくステップ146以降の処理が実行される。一方、ステップ180において、フューエルカットの実行が認められた場合は、センサ割れの検出が禁止され、ステップ142及び144の処理が実行された後、今回の処理サイクルが終了される。
以上の処理によれば、フューエルカットの実行中は、確実にセンサ割れの検出を禁止することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、フューエルカットの実行に伴って、センサ割れの有無が誤判定されるのを確実に防ぐことができる。
ところで、上述した実施の形態4は、フューエルカット中にセンサ割れの検出を禁止する処理を実施の形態3に対して組み合わせることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、フューエルカット中にセンサ割れの検出を禁止する処理は、実施の形態1又は2と組み合わせることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態4においては、エンジンコンピュータ30が、減速時や過回転時にフューエルカットを行うことにより前記第8の発明における「フューエルカット手段」が、ステップ180の処理を実行することにより前記第8の発明における「実行禁止手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態5.
[実施の形態5の特徴]
次に、図13乃至図18を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1のハードウェア構成において、エンジンコンピュータ30に、後述する図17に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図13は、本実施形態において、センサ割れの有無を判断するために用いられる手法を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図13(A)は、フューエルカットの実行状態を示す波形を示す。図13(B)は、空燃比センサ10に対する印加電圧の変化を示す波形である。また、図13(C)は、空燃比センサ10を流れるセンサ電流の波形である。
本実施形態の装置は、フューエルカットが開始される以前は、空燃比センサ10に対して正電圧を印加する(図13(B)参照)。エンジンコンピュータ30は、この間、センサ電流に基づいて排気空燃比を検知することができる。
フューエルカットが開始されると、その時点で印加電圧が逆電圧に変更される(図13(B)参照)。この際、逆電圧の印加に伴って生ずる逆電流が第1逆電流i1として取得される(図13(C)参照)。
フューエルカットが開始される以前は、排気通路の空燃比が理論空燃比の近傍に維持されている。このため、センサ割れが生じている場合は、フューエルカットの開始時点において、大気層18に排気ガスが混入している。特に、排気ガスが多量に混入しており、大気層18中の酸素濃度が十分に下がっている場合は、逆電圧の印加直後から、逆電流は小さなものとなる。図13(C)中に実線で示す第1逆電流i1は、このような環境下で発生する逆電流である。
大気層18に通じる割れが生じていない場合は、フューエルカットの開始時点において、大気層18の内部が大気で満たされている。この場合は、大気層18中の酸素濃度が十分に高いため、第1逆電流i1は、図13(C)中に破線で示すように、絶対値の大きなものとなる。
フューエルカットの開始後、所定の逆電圧印加時間t(例えば50〜100msec)が経過すると、その時点で印加電圧が正電圧に戻される。その後、フューエルカットの開始時点からの経過時間が逆電圧印加間隔Tint(例えば1sec)に達すると、再び、逆電圧印加時間tだけ逆電圧が印加される。エンジンコンピュータ30は、その時点で生ずる逆電流を第2逆電流i2として取得する(図5(C)参照)。
フューエルカットの実行中は、空燃比センサ10の周囲を、燃料を含まない空気が流通する。このため、センサ割れが生じていると、逆電圧印加間隔Tintの間に大気層18の掃気が進み、その内部の際訴濃度が上昇する。その結果、第2逆電流i2は、センサ割れの有無に関わらず、ほぼ大気中の酸素濃度に対応した値となる。
エンジンコンピュータ30は、以後、第1逆電流i1の絶対値に比して、第2逆電流i2の絶対値が有意に大きいか否かを判断する。その結果、両者がさほど変わらないと判断された場合は、空燃比センサ10が正常であると判断する。一方、第2逆電流i2の絶対値が第1逆電流i1の絶対値に比して十分に大きいと判断された場合は、空燃比センサ10にセンサ割れが生じていると判断する。
ところで、上述したセンサ割れの検出手法は、センサ割れの発生時には、フューエルカットの開始時点において、大気層18中に有意な量の排気ガスが混入していることを前提としている。しかしながら、この前提は、必ずしも常に成立するものではない。
図14は、上記の前提が成立する場合のタイミングチャートである。一方、図15は、その前提が成立しない場合のタイミングチャートである。これらの図において、図14(A)及び図15(A)は吸入空気量Gaを示す。図14(B)及び図15(B)は積算空気量GVOLを示す。また、図14(C)及び図15(C)は、フューエルカットの状態を表している。
図14に示す例では、時刻t1に吸入空気量Gaが判定値Gを超え、時刻t2に積算空気量GVOLが判定量Vを超えている。その後、スロットル弁が急激に閉じられ、時刻t3にはGaがGを下回ることによりGVOLがゼロにリセットされている。そして、短い遅れ時間Tfの後、時刻t4において、フューエルカットが開始されている。
図14に示す例によれば、時刻t3までは、センサ割れの箇所から大気層18へ排気ガスが侵入する環境が整っている。他方、時刻t3の後は、排気圧力が急激に低下し、大気層18が掃気される環境が成立する。しかしながら、時刻t3の後、フューエルカットが開始される時刻t4までの遅れ時間Tfが十分に短い場合は、時刻t4の時点で、大気層18中に有意な量の排気ガスが残存している。このため、図14に示す場合には、フューエルカットの開始と同時に逆電圧の印加が開始されれば、上記の前提が成立し、センサ割れを検出することが可能である。
図15は、時刻t2の後、スロットル弁が緩やかに閉じられた例を示している。そして、この例では、時刻t3において吸入空気量Gaが判定値Gを下回った後、長い遅れ時間Tfが経過した時点(時刻t4)で、フューエルカットが開始されている。図15に示すような場合は、時刻t3以降、フューエルカットの開始時までに、大気層18の掃気環境が長期に渡って成立し、大気層18の掃気が十分に進められてしまう。この場合、フューエルカットの開始時点において上記の前提が崩れているため、センサ割れが適切に検出できない事態が生じ得る。
そこで、本実施形態では、フューエルカットに先立って、積算空気量GVOLが判定量Gを超えていたことに加えて、吸入空気量Gaが判定値Gを下回った後、十分に短い時間の後にフューエルカットが開始された場合にのみ、図13に示す手法によるセンサ割れの検出を許可することとした。
図16は、上記の規則に従ってセンサ割れの検出が行われる場合の動作を説明するためのタイミングチャートである。具体的には、図16(A)は吸入空気量Gaの変化を示す。図16(B)は積算空気量GVOLの変化を示す。図16(C)は、後述するガス置換フラグの状態を示す。図16(D)は、遅れ時間Tfの変化を示す。また、図16(E)はフューエルカットの状態を表している。
図16は、吸入空気量Gaが図14に示す場合と同様に変化した例を示している。センサ割れが生じている場合は、積算空気量GVOLが判定量Vを超えた時点(時刻t2)で、大気層18に排気ガスが十分に侵入したと判断できる。ガス置換フラグは、図16(C)に示すように、その時点でONとされるフラグである。従って、本実施形態のシステムでは、ガス置換フラグがONであれば、大気層18に排気ガスが十分に侵入した履歴があると認めることができる。
遅れ時間Tfは、排気圧力が下がって、大気層18が掃気される環境が整った後、フューエルカットが開始されるまでの経過時間である。このため、図16(D)に示すように、遅れ時間Tfは、吸入空気量Gaが判定値Gを下回る時刻t3から、フューエルカットが開始される時刻t4までインクリメントされる。
本実施形態において、エンジンコンピュータ30は、フューエルカットの開始時点において、ガス置換フラグがONであり、かつ、遅れ時間Tfが判定許可待ち時間(以下、単に「判定時間」とする)Ts以下であるかを判定する。判定時間Tsは、掃気環境が整っている状況下で、大気層18内に有意な量の排気ガスが滞留する時間である。従って、上記2つの条件が共に成立している場合は、大気層18内に排気ガスが十分に混入していると判断できる。
図16は、フューエルカットの開始時点において、それらの条件が共に成立している例を示している。本実施形態のシステムは、このような場合にのみ、センサ割れの検出を許可する。このため、本実施形態のシステムによれば、大気層18内に十分に排気ガスが存在しない環境下で、誤った判断がなされるのを有効に防ぐことができる。
[実施の形態5における具体的処理]
図17は、本実施形態において、エンジンコンピュータ30が実行するルーチンのフローチャートである。図17に示すルーチンでは、先ず、吸入空気量Gaが判定値Gを超えているか否かが判別される(ステップ190)。内燃機関の始動後、Gaが小さな値に維持されているような状況下では、この条件が不成立と判断される。
Ga>Gが不成立であると認められると、積算空気量GVOLが0とされる(ステップ192)。次いで、条件成立フラグがONであるかが判別される(ステップ194)。条件成立フラグは、フューエルカットの開始時に、センサ割れの検出条件が成立していた場合にセットされるフラグである。内燃機関の始動直後は、イニシャル処理によりこのフラグはOFFとされている。この場合、ステップ194において、条件不成立との判別がなされ、次に、ガス置換フラグがONであるかが判別される(ステップ196)。
ガス置換フラグも、内燃機関の始動直後は、イニシャル処理によりOFFとされている。従って、この場合は、ステップ196においても条件不成立の判別がなされる。上記の判別がなされると、次に、遅れ時間Tfが最大値にセットされる(ステップ198)。以後、今回の処理サイクルは、速やかに終了される。
吸入空気量Gaが十分に大きな値になると、ステップ190において、Ga>Gが成立すると判断される。この場合、次に、積算空気量GVOLがインクリメントされる(ステップ200)。以上説明した処理によれば、積算空気量GVOLには、Ga>Gが継続的に成立している間に生じた吸入空気量Gaの積算量を記憶させることができる。
次に、積算空気量GVOLが判定量Vを超えたか否かが判別される(ステップ202)。Ga>Gが成立した直後は、GVOL>Vの関係が成立せず、ステップ202において条件不成立の判断がなされる。この場合、ガス置換フラグがOFFとされた後、今回の処理サイクルが終了される。
Ga>Gの成立が維持されている間は、図17に示すルーチンが起動される毎に、ステップ202の処理が実行される。そして、GVOL>Vが成立する前にGaがGを下回ると、ステップ192〜198が実行されることにより、全ての設定が再び初期状態に戻される。一方、GVOL>Vが成立するまでGa>Gの関係が維持されると、ステップ202において条件成立が判断される。この場合、ガス置換フラグがONとされ(ステップ206)、更に、遅れ時間Tfが0とされる(ステップ208)。
上記の処理の後に吸入空気量Gaが判定値Gを下回ると、ステップ192及び194の処理に続き、ステップ196において、ガス置換フラグがONであると判断される。この場合、遅れ時間Tfがインクリメントされ(ステップ210)、次に、遅れ時間Tfが判定時間Tsより短いかが判別される(ステップ212)。
遅れ時間Tfは、ガス置換フラグがONとされると同時に0とされている(上記ステップ208参照)。このため、ステップ212の処理が始めて実行される時点では、Tf<Tsが成立する。この場合、次に、フューエルカットが開始されているか否かが判断される(ステップ214)。
フューエルカットの開始が認められるまでは、ステップ214において、フューエルカットがOFFであるとの判断がなされる。この場合は、以後、条件成立フラグがOFFとされた後(ステップ216)、今回の処理サイクルが終了される。
吸入空気量Gaが判定値Gを超えない限りは、遅れ時間Tfが判定時間Tsに達するまで、図17に示すルーチンが起動される毎にステップ214の処理が繰り返される。遅れ時間Tfが判定時間Tsに達する前にフューエルカットが開始されると、ステップ214の条件が成立し、条件成立フラグがONとされる(ステップ218)。
次に、フューエルカットの開始時点からの経過時間が、逆電圧印加時間t以下であるかが判別される(ステップ220)。
フューエルカットの開始直後は、ステップ220の条件が成立する。その場合、次に、空燃比センサ10に逆電圧を印加するため処理が実行される(ステップ222)。次いで、逆電流のピーク値を第1逆電流i1として取得するための処理が実行される(ステップ224)。
吸入空気量Gaが判定値Gを下回ったまま再び図17に示すルーチンが起動されると、今度は、ステップ194において、条件成立フラグがONであると判断される。その結果、無条件でステップ214以降の処理が実行される。そして、フューエルカットの開始後、逆電圧印加時間tが経過するまでの間は、上記ステップ220〜224の処理が繰り返される。
燃料カットが実行されたまま逆電圧印加時間tが経過すると、ステップ220の条件が不成立となる。この場合は、次に、フューエルカットの開始後の経過時間が、逆電圧印加間隔Tintより大きく、かつ、Tint+t以下であるかが判別される(ステップ226)。
フューエルカットの開始後の経過時間が逆電圧印加間隔Tintに達するまでは、上記の判定が否定される。この場合、次に、空燃比センサ10に正電圧を印加するための処理が実行される(ステップ228)。
一方、上記の経過時間が逆電圧印加間隔Tintに達した後、Tint+tを超えるまでは、上記ステップ226において、条件成立が判定される。この場合、先ず、逆電圧印加のための処理が実行され(ステップ230)、次いで、逆電流のピーク値を第2逆電流i2として取得する処理が実行される(ステップ232)。
フューエルカット開始後の経過時間がTint+tを超えるまでは、図17に示すルーチンが起動される毎に上記ステップ230および232の処理が繰り返される。その結果、最終的には、上記経過時間がTint+tに達するまでに生じた逆電流のピーク値が、第2逆電流i2として記憶される。
図17に示すルーチンでは、ステップ232の処理に続いて、第1逆電流i1に対する第2逆電流i2の比(i2/i1)が、判定値R以上であるかが判別される(ステップ234)。判定値Rは、i2の絶対値がi1の絶対値に比して有意に大きいかを判断するために設定された1.0より大きな値である。このため、上記の条件が成立する場合は、第2逆電流i2の絶対値が、第1逆電流i1の絶対値に比して有意に大きいと判断できる。エンジンコンピュータ30は、この場合、センサ割れの存在を認め、異常判定を行う(ステップ236)。
一方、上記ステップ234において、i2/i1≧Rの不成立が認められた場合は、第2逆電流i2と第1逆電流i1とが大きく異ならないと判断できる。この場合は、センサ割れの存在が否定され、正常判定がなされる(ステップ238)。
フューエルカット開始後、経過時間がTint+tを超えた後は、図12に示すルーチンが起動される毎に、ステップ226において条件不成立が判定され、ステップ228の処理、すなわち、空燃比センサ10に正電圧を印加する処理が実行される。その後、フューエルカットが終了すると、ステップ214の条件が不成立となり、ステップ216において条件成立フラグがOFFにリセットされる。
以後、Ga>Gの関係が維持されれば、図17に示すルーチンが起動される毎に、ステップ210の処理(Tfのインクリメント)が繰り返される。その結果、遅れ時間Tfが判定時間Tsに達すると、ステップ212の条件が不成立となりガス置換フラグがOFFとされる(ステップ240)。以上の処理により初期の状態が復元される。
図17に示すルーチンによれば、上記の通り、ガス置換フラグがON(ステップ206参照)とされた後、吸入空気量Gaが判定量Gを下回ると、フューエルカットが開始されるまでステップ194→196→210〜216の処理が繰り返される。そして、遅れ時間Tfが判定時間Tsに達する前にフューエルカットが開始されれば、ステップ218以降の処理によりセンサ割れの検出処理が行われる。
これに対して、遅れ時間Tfが判定時間Tsに達するまでにフューエルカットが開始されなかった場合は、センサ割れの検出処理が実行されることなくステップ240の処理が実行され、その結果、初期状態が復元される。つまり、図17に示す処理によれば、フューエルカットの開始時に、大気層18に十分に排気ガスが残存しているべき環境が整っている場合にのみセンサ割れの検出を許可し、そうでない場合にはその検出を禁止することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、スロットル弁が緩やかに閉じられた場合に、センサ割れが見逃されるという不都合を確実に回避することができる。
ところで、上記の説明においては、判定時間Tsを固定値として取り扱うこととしているが、その時間は、内燃機関の運転状態に応じて変化させることとしてもよい。すなわち、吸入空気量Gaが判定値Gを下回った後(スロットル弁が閉じられた後)、大気層18内の掃気は、排気圧力が低いほど急速に進行する。そして、スロットル弁が閉じられた状況下では、機関回転数NEが高いほど、排気圧力は低圧(負圧)化し易い。このため、大気層18内に十分な排気ガスが残存している時間は、機関回転数NEが高いほど短時間となる。
図18は、上記の傾向に基づいて、機関回転数NEとの関係で判定時間Tsを定めたマップの一例である。このマップを用いる場合、エンジンコンピュータ30には、例えば、ガス置換フラグがONとされた後、始めてステップ190の条件が不成立となった時点で、判定時間Tsを設定させる。この場合、機関回転数NEが高いほど、センサ割れの検出が許される遅れ時間Tfを短くすることができ、センサ割れの有無に関する判定精度を更に高めることができる。
また、上述した実施の形態5においては、大気層18に排気ガスが侵入する環境が整っているか、及び、大気層18が掃気される環境にあるかを、吸入空気量Gaに基づいて判断することとしているが、その判断の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、それらの判断は、排気圧力に基づいて行うこととしてもよい。
尚、上述した実施の形態5においては、空燃比センサ10が前記第11の発明における「排気ガスセンサ」に相当していると共に、エンジンコンピュータ30により、前記第11の発明における「逆電圧印加手段」及び「逆電流検出手段」の機能が実現されている。更に、エンジンコンピュータ30が、減速時にフューエルカットを行うことにより前記第11の発明における「フューエルカット手段」が、ステップ218〜238の処理を実行することにより前記第11の発明における「故障検出手段」が、ステップ190の処理を実行することにより前記第11の発明における「排気圧力判定手段」が、ステップ202の処理を実行することにより前記第11の発明における「充填条件判定手段」が、ステップ212の処理を実行することにより前記第11の発明における「充填条件維持手段」及び「実行条件判定手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態6.
[実施の形態6の特徴]
次に、図18乃至図24を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1のハードウェア構成において、エンジンコンピュータ30に、後述する図24に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図19は、空燃比センサ10のインピーダンス特性の温度依存性を説明するための図である。より具体的には、図19(A)は、十分に暖機された状態(高温時)におけるインピーダンスの周波数特性を示す。一方、図19(B)は、暖機の過程(低温時)におけるインピーダンスの周波数特性を示す。これらの図において、横軸はインピーダンスの実部であり、縦軸はインピーダンスの虚部を示している。
空燃比センサ10のインピーダンスは周波数特性を有している。図19(A)及び図19(B)において、符号Fと共に示されている矢印は、印加電圧の周波数の軸を示している。これらの図に示すように、空燃比センサ10のインピーダンスは、温度に関わらず、周波数が高くなるに従って実数成分が小さくなり、かつ、虚数成分に2つのピークが表れるように変化する。そして、図19(A)と図19(B)との比較から明らかなように、そのインピーダンスは、低温時ほど、実数成分が大きくなるような傾向を示す。
本実施形態のシステムは、実施の形態2の場合と同様に、内燃機関の通常運転中に、逆電圧印加直後のセンサ電流(第1逆電流i1)と、設定時間T後のセンサ電流(第2逆電流i2)とを計測する。そして、それらの電流比(i1/i2)に基づいてセンサ割れの有無を判断する(図7参照)。より具体的には、その電流比(i1/i2)が判定値Ic以上である場合にセンサ割れの発生を認定する。
逆電圧の印加直後は、印加電圧に急激な変化が生ずる。この場合、空燃比センサ10のインピーダンスは、交流電圧の印加に対する値となる。つまり、空燃比センサ10は、第1逆電流i1の計測時点では、交流印加に対するインピーダンスを示す。一方、設定時間Tが経過した段階では、印加電圧が安定している。このため、空燃比センサ10は、第2電流の印加時には、直流印加に対するインピーダンスを示す。
図19(A)に示すF0は、第1逆電流i1の計測時に印加電圧(逆電圧)に重畳している周波数である。空燃比センサ10は、暖機の終了後は、その周波数F0に対して「インピーダンスZ0」を示す。この場合、第1逆電流i1は、センサ割れの有無に関わらず、Z0に対応した値となる。
また、暖機終了後の空燃比センサ10は、図19(A)に示すように、直流電圧(F=0)の印加に対しては、実数成分のみを含む内部抵抗Ri0を示す。従って、大気層18に十分な酸素が存在すれば、第2逆電流i2は、その内部抵抗Ri0に応じた値となる。他方、センサ割れの発生により、大気層18内に酸素が十分に存在しない場合は、第2逆電流i2は、内部抵抗Ri0に対応する値に比して小さな値となる。
図19(A)に示すように、第1逆電流i1の計測時におけるインピーダンスZ0と、第2逆電流i2の計測時における内部抵抗Ri0とは、絶対的な大きさが殆ど同じである。このため、正常センサが十分に暖機されている場合には、電流値(i1/i2)は概ね1となる。他方、センサ割れが生じている場合は、i2が正常時の値に比して小さくなるため、電流比(i1/i2)は、正常時の値(概ね1)に比して小さな値となる。従って、判定値Icをそれらの間に設定すれば、センサ割れを検知することが可能である。
しかしながら、空燃比センサ10の低温時には、以下に説明するように、上記の手法によっては、センサ割れが精度良く検知できない事情が発生する。すなわち、図19(B)に示すように、空燃比センサ10の低温時には、周波数F0に対応するインピーダンスがZ1となり、また、直流印加に対するインピーダンスが「内部抵抗Ri1」となる。
インピーダンスZ1の大きさは、高温時に生ずるZ0と大きく異ならない。ところが、低温時の内部抵抗Ri1は、高温時に生ずるRi0に比して顕著に大きな値となる。内部抵抗Ri1が大きな値であると、大気層18内に多量に酸素が存在しても、センサ電流は、その内部抵抗Ri1の制約を超えて流通することはできない。換言すると、低温時には、大気層18内の酸素量が多量であっても少量であっても、センサ電流は内部抵抗Ri1に規制されることになり、何れにしろ小さな値となる。このため、低温時の第2電流は、センサが正常であっても異常であっても、何れにしろ第1逆電流i1に比して小さな値となる。その結果、低温時に算出される電流比(i1/i2)は、センサ割れの有無に関わらず正常値(概ね1)に比して大きな値となる。
以上説明した通り、電流比(i1/i2)は、高温時には、センサ割れの発生時に大きな値となり、また、正常時には小さな値(ほぼ1)となる。そして、低温時には、センサ割れの有無に関わらず、電流比(i1/i2)は、正常値(ほぼ1)に比して大きな値となる。図20は、この傾向を、電流比(i1/i2)とセンサ温度との関係に整理して表した図である。すなわち、図20に示すように、異常時の電流比(i1/i2)は、センサ温度の高低によらず、常に正常値に比して大きな値を示す。他方、正常時の電流比(i1/i2)は、センサ温度が下がることにより、その値を増大させる。このため、センサ温度が低い領域では、電流比(i1/i2)に基づいて正確にセンサ割れの発生を検知することは困難である。
図21は、逆電圧の印加時間と、電流比(i1/i2)の温度特性との関係を説明するための図である。より具体的には、図21(A)は、逆電圧の印加設定時間をTとして実測した電流比(i1/i2)をプロットした図である。また、図21(B)は、逆電圧の印加設定時間を2Tとして実測した電流比(i1/i2)をプロットした図である。これらの図において、白抜きの△,□及び○は、正常な空燃比センサ10により得られた結果である。また、黒塗りの△、□及び○は、センサ割れの生じている空燃比センサ10により得られた値である。
図21(A)に示す特性、及び図21(B)に示す特性は、何れも、全体として図20に示す特性と整合している。すなわち、何れの実測結果においても、高温領域では、白抜きの結果(正常時の結果)と黒塗りの結果(異常時の結果)が分離されており、他方、低温領域では、それら両者が混じり合っている。
図21(A)に示す結果と図21(B)に示す結果とを更に詳細に比較すると、高温領域では、図21(B)に示す結果の方が、図21(A)に示す結果に比して、正常時の結果と異常時の結果の境界が明確であることが判る。その一方で、中温領域を比較すると、図21(A)の結果では、正常時の結果と異常時の結果との間に境界を引けるのに対して、図21(B)の結果では、両者間に境界が引けないことが判る。
つまり、図21(A)及び図21(B)に示す結果は、高温領域での故障検出精度を高めるためには逆電圧の印加時間が長いことが望ましく、他方、中温領域で故障検出を可能とするためには、その印加時間を短くする必要があることを表している。そこで、本実施形態では、低温領域では故障検出の実行を禁止し、中温領域では逆電圧印加時間をTとして故障検出を行い、高温領域ではその時間をT*n(nは例えば2)として故障検出を実行することとした。
ところで、空燃比センサ10のセンサ温度は、そのインピーダンスに対して相関を有している。具体的には、両者の関係は、図22に示すような特性曲線で表すことができる。この関係が既知であれば、上述した故障検出の実行に関する規則は、インピーダンスとの関係で定めることが可能である。このため、本実施形態では、厳密には、空燃比センサ10のインピーダンスに基づいて、故障検出の禁止判定、並びに逆電圧印加時間の設定等が行われる。
但し、故障検出の禁止判定や、逆電圧印加時間の設定の基礎とする物理量は、インピーダンスに限られるものはない。すなわち、センサ温度は、内燃機関の始動後における累積吸入空気量や、排気温度など基づいて推定することが可能である。このため、故障検出の禁止領域や、印加時間をT、或いはT*nとするべき領域は、図23に示すように、推定温度との関係で定めておくことも可能である。この場合、故障検出の禁止判定や、逆電圧印加時間の設定は、推定温度を基礎として行うことができる。
[実施の形態6における具体的処理]
図24は、本実施形態においてエンジンコンピュータ30が実行するルーチンのフローチャートである。図24に示すルーチンは、ステップ146と148の間にステップ250〜258が挿入されている点を除き、図12に示すルーチンと同様である。以下、図24において、図12に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
図24に示すルーチンでは、ステップ146の条件が成立する場合、次に、空燃比センサ10のインピーダンスが検出される(ステップ250)。インピーダンスは、例えば、印加電圧に所定の変化を与え、その変化に伴うセンサ電流の変化量を検出することにより検出することができる。この検出の手法は公知であると共に、本発明の主要部ではないため、ここでは、これ以上の説明は省略する。
次に、検出したインピーダンスが、故障検出の禁止領域に属しているか否かが判別される(ステップ252)。エンジンコンピュータは、図22に示すように、故障検出の規則をインピーダンスとの関係で定めたマップを記憶している。ここでは、そのマップを参照して上記の判別が行われる。
上記の判別の結果、インピーダンスが禁止領域に属していると判別された場合は、以後、センサ割れの検出処理が実行されることなく今回の処理サイクルが終了される。このため、図24に示すルーチンによれば、低温領域での異常判定の実行を、確実に禁止することができる。
一方、上記ステップ252において、インピーダンスが禁止領域に属していないと判別された場合は、次に、そのインピーダンスが常用領域に属しているかが判別される(ステップ254)。インピーダンスが常用領域に属していないと判別された場合は、空燃比センサ10が未だ暖機の過程にあり、中温領域に属していると判断できる。
中温領域でセンサ割れを検出するためには、逆電圧の印加時間を短時間とする必要がある。このため、上記の判別がなされた場合は、次に、逆電圧の設定時間Tが、所定時間Tにセットされる(ステップ256)。そして、以後、ステップ148〜168においては、逆電圧の印加時間をTとしてセンサ割れの検出処理が実行される。
これに対して、上記ステップ254において、インピーダンスが常用領域に属していると判断された場合は、空燃比センサ10の暖機が既に終了していると判断できる。この場合、逆電圧の印加時間TがT×nに設定される(ステップ258)。以後、ステップ148〜168では、そのT*nを用いてセンサ割れの検出処理が実行される。
以上説明した通り、図24に示すルーチンによれば、上述した規則に従って、故障検出の禁止を判定し、また、逆電圧の印加時間を設定することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、暖機過程における誤判定を確実に防止し、中温領域において正確な故障検出を実現し、また、常用領域(高温領域)において極めて精度の良い故障検出を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態6では、空燃比の温度に応じて故障検出の規則を定める手法を、実施の形態4の手法(図12参照)に組み合わせることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記の手法は、実施の形態1乃至3の手法の何れに組み合わせることとしてもよい。
また、上述した実施の形態6においては、中温領域での故障検出を可能とし、かつ、高温領域で高い検出精度を得るために、温度領域に応じて逆電圧の印加時間を切り換えることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、高温領域で印加電圧を長くすることが有利である理由は、その領域では、酸素のポンピング量を増やした方が正常時のi2と異常時のi2の差が顕著になるからである。そして、酸素のポンピング量は、印加時間を伸ばす代わりに、印加電圧を高めても増やすことができる。このため、本発明においては、中温領域の印加電圧に比して高温領域での印加電圧が大きくなるように、逆電圧の値を切り換えることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態6においては、エンジンコンピュータ30が、ステップ250の処理を実行することにより前記第9又は第10の発明における「温度取得手段」が、上記ステップ252の処理を実行することにより前記第9の発明における「実行禁止手段」が、それぞれ実現されている。また、ここでは、エンジンコンピュータ30が、ステップ256及び258の処理を実行することにより前記第10の発明における「安定化時間設定手段」が実現されている。
本発明の実施の形態1において用いられる空燃比センサの構成を説明するための図である。 図1に示す空燃比センサを駆動するためのエンジンコンピュータの構成を説明するための回路図である。 正常な空燃比センサに発生する逆電流とセンサ温度との関係、並びに割れの生じている空燃比センサに発生する逆電流とセンサ温度との関係を表した図である。 本発明の実施の形態1において、センサ割れの有無を判定するために用いられる手法を説明するためのタイミングチャートである。 逆電圧の印加に伴って発生するセンサ電流(i負)の温度特性、並びに正電圧への反転直後に発生するセンサ電流(i正)の温度特性を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2において、センサ割れの有無を判断するために用いられる手法を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2の変形例において、センサ割れの有無を判断するために用いられる手法を説明するためのタイミングチャートである。 吸入空気量Gaと比較される判定値Gの大小が電流比(i1/i2)に与える影響を説明するための図である。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態5において、センサ割れの有無を判断するために用いられる手法を説明するためのタイミングチャートである。 センサ割れが生じていれば、フューエルカットの開始時に大気層中に排気ガスが残存する動作を説明するためのタイミングチャートである。 センサ割れが生じていても、フューエルカットの開始時に大気層中に排気ガスが残存しない動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態5において、センサ割れの検出が許可される場合の動作を説明するためのタイミングチャートである。 本発明の実施の形態5において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態5の変形例において用いられる判定時間Tsのマップである。 空燃比センサのインピーダンス特性の温度依存性を説明するための図である。 電流比(i1/i2)とセンサ温度との関係を表した図である。 逆電圧の印加時間と、電流比(i1/i2)の温度特性との関係を説明するための図である。 故障検出の実行規則をセンサ温度との関係、及びインピーダンスとの関係で示した図である。 故障検出の実行規則をセンサ温度との関係、及びセンサの推定温度との関係で示した図である。 本発明の実施の形態6において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 空燃比センサ
18 大気層
20 電解質層
22 大気側電極
24 排気側電極
30 エンジンコンピュータ
i1 第1逆電流
i2 第2逆電流
T 逆電流印加時間(設定時間)
Ga 吸入空気量
G 判定値
GVOL 積算空気量
V 判定量
Tint 逆電圧印加間隔
Tf 待ち時間
Ts 判定許可待ち時間(判定時間)

Claims (11)

  1. 排気ガスセンサの故障検出装置であって、
    前記排気ガスセンサは、
    内燃機関の排気通路内に晒された排気側電極と、
    前記排気通路の内部に大気層を形成する大気層形成部材と、
    前記大気層に晒された大気側電極と、
    前記排気側電極と前記大気側電極との間に介在して、両者間での酸素イオンの移動を可能とする電解質層と、を備え、
    前記大気側電極の電位より前記排気側電極の電位が高くなるように両者間に逆電圧を印加する逆電圧印加手段と、
    前記逆電圧の印加に伴って前記大気側電極と前記排気側電極との間を流れる逆電流を検出する逆電流検出手段と、
    前記大気側電極と前記排気側電極との間のインピーダンスと相関を有するインピーダンス相関値を取得するインピーダンス相関値取得手段と、
    前記逆電流に重畳している前記インピーダンスの影響が排除されるように、前記逆電流を前記インピーダンス相関値で補正して補正値を算出する補正値算出手段と、
    前記補正値と、判定値との比較に基づいて、前記排気ガスセンサの故障を検出する故障検出手段と、
    を備えることを特徴とする排気ガスセンサの故障検出装置。
  2. 排気ガスセンサの故障検出装置であって、
    前記排気ガスセンサは、
    内燃機関の排気通路内に晒された排気側電極と、
    前記排気通路の内部に大気層を形成する大気層形成部材と、
    前記大気層に晒された大気側電極と、
    前記排気側電極と前記大気側電極との間に介在して、両者間での酸素イオンの移動を可能とする電解質層と、を備え、
    前記大気側電極の電位より前記排気側電極の電位が高くなるように両者間に逆電圧を印加する逆電圧印加手段と、
    前記逆電圧の印加に伴って前記大気側電極と前記排気側電極との間を流れる逆電流を検出する逆電流検出手段と、
    前記大気側電極と前記排気側電極との間のインピーダンスと相関を有するインピーダンス相関値を取得するインピーダンス相関値取得手段と、
    前記逆電流に重畳している前記インピーダンスの影響を判定値に重畳させることにより、補正判定値を算出する補正判定値算出手段と、
    前記逆電流と、前記補正判定値との比較に基づいて、前記排気ガスセンサの故障を検出する故障検出手段と、
    を備えることを特徴とする排気ガスセンサの故障検出装置。
  3. 前記補正値算出手段は、前記逆電圧の印加時間が所定の安定化時間に達した時点の前記逆電流に基づいて前記補正値を算出することを特徴とする請求項1記載の排気ガスセンサの故障検出装置。
  4. 前記故障検出手段は、前記逆電圧の印加時間が所定の安定化時間に達した時点の前記逆電流を、前記補正判定値と比較することを特徴とする請求項2記載の排気ガスセンサの故障検出装置。
  5. 前記インピーダンス相関値は、前記逆電圧が印加された直後に発生する前記逆電流であることを特徴とする請求項3又は4記載の排気ガスセンサの故障検出装置。
  6. 前記排気側電極の電位が前記大気側電極の電位より高くなるように両者間に正電圧を印加する正電圧印加手段を備え、
    前記インピーダンス相関値は、前記大気側電極と前記排気側電極との間に印加される電圧が、前記逆電圧から前記正電圧に反転された直後に前記排気側電極と前記大気側電極との間に流通する正電流であることを特徴とする請求項3又は4記載の排気ガスセンサの故障検出装置。
  7. 排気圧力が判定値を超えているか否かを判定する排気圧力判定手段と、
    排気圧力が前記判定値を超えている期間が判定期間を超えている場合に限り、前記故障の検出を許可する実行条件判定手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項記載の排気ガスセンサの故障検出装置。
  8. 機関回転数が許容上限値に達するとフューエルカットを行うフューエルカット手段と、
    フューエルカットの実行中は、前記故障の検出を禁止する実行禁止手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3乃至7の何れか1項記載の排気ガスセンサの故障検出装置。
  9. 排気ガスセンサの温度を取得する温度取得手段と、
    排気ガスセンサの温度が実行許可温度に達していない場合は、前記故障の検出を禁止する実行禁止手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3乃至8の何れか1項記載の排気ガスセンサの故障検出装置。
  10. 排気ガスセンサの温度を取得する温度取得手段と、
    排気ガスセンサの温度が高いほど前記安定化時間を長く設定する安定化時間設定手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3乃至9の何れか1項記載の排気ガスセンサの故障検出装置。
  11. 排気ガスセンサの故障検出装置であって、
    前記排気ガスセンサは、
    内燃機関の排気通路内に晒された排気側電極と、
    前記排気通路の内部に大気層を形成する大気層形成部材と、
    前記大気層に晒された大気側電極と、
    前記排気側電極と前記大気側電極との間に介在して、両者間での酸素イオンの移動を可能とする電解質層と、を備え、
    フューエルカット条件の成立時にフューエルカットを実行するフューエルカット手段と、
    前記大気側電極の電位より前記排気側電極の電位が高くなるように両者間に逆電圧を印加する逆電圧印加手段と、
    前記逆電圧の印加に伴って前記大気側電極と前記排気側電極との間を流れる逆電流を検出する逆電流検出手段と、
    フューエルカットの開始直後に前記逆電流を検出し、かつ、フューエルカットが所定時間継続した時点で前記逆電流を検出し、それらの逆電流に基づいて、前記排気ガスセンサの故障を検出する故障検出手段と、
    排気圧力が判定値を超えているか否かを判定する排気圧力判定手段と、
    排気圧力が前記判定値を超えている期間が判定期間を超えている場合に、排ガス充填条件の成立を判定する充填条件判定手段と、
    排気圧力が判定値を下回った後、充填維持時間が経過するまでの間に限り、前記排ガス充填条件の成立を維持する充填条件維持手段と、
    フューエルカットの開始時点で前記充填条件の成立が認められる場合に限り、前記故障の検出を許可する実行条件判定手段と、
    を備えることを特徴とする排気ガスセンサの故障検出装置。
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