JP2007064242A - ディスクブレーキのダストカバー構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 組付けが容易で組付け工数を削減でき、且つ、組付けスペースが殆ど不要でドラムブレーキと同様にディスクブレーキの取付けが可能となるディスクブレーキのダストカバー構造を提供する。
【解決手段】 トレーリングアーム1に設けたブラケット7にスピンドル8の基部8bを固定し、前記スピンドル8に軸支したハブ9にディスクロータ10を固定する一方、前記スピンドル基部8bに設けた腕部8dにキャリパ11を固定したディスクブレーキのダストカバー構造において、前記ディスクロータ10を車両中央側から覆うダストカバー12の中央部に、前記スピンドル基部8bを収容する膨出部12cを形成すると共に、前記ダストカバー12の外周部に前記キャリパ11に沿った切り欠き部12iを設け、前記ダストカバー12を前記ブラケット7と前記スピンドル基部8bとの間に挟んで固定した。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ディスクブレーキのダストカバー構造に関し、更に詳しくはトーションビーム式サスペンションのリヤブレーキにおけるディスクブレーキのダストカバー構造に関する。
後車輪のサスペンション装置としてトーションビーム式サスペンションが用いられている。このトーションビーム式サスペンションは、車両の幅方向に間隔を置いて配設される左右一対のトレーリングアームをトーションビームで連結した構成を備えている(特許文献1参照)。このようなトーションビーム式サスペンションでは、前記トレーリングアームに設けたパネル状のブラケットにブレーキ部品やスピンドル(車軸)を固定するため、ブレーキ装置にはドラムブレーキを用い、ブレーキ装置をディスクブレーキ仕様とする場合には、前記ブラケットを使用しないアクスルビーム式サスペンション等他のサスペンション形式を採用していた。このため、同一の車種でもリヤブレーキの仕様によりサスペンション形式を変更する必要があった。
一方、ディスクブレーキは、ディスクロータと呼ばれる円板を両側からブレーキパッドで挟みつけて制動力を得るものであり、このディスクロータを飛石や水などから保護するためにディスクロータに隣接してダストカバーが取付けられている。このようなダストカバーの取付け構造としては、ダストカバーをスピンドルに圧入してかしめ固定するか、スピンドルにフランジを設け該フランジにダストカバーをボルトで固定するなどしていた(特許文献2参照)。このため、スピンドルの加工に工数が掛かると共に、ボルト留めやかしめ等の組付け工数が掛かるという問題があった。また、スピンドルの周囲にダストカバーを固定するためのスペースが必要となり、それもディスクブレーキ仕様が上記のトーションビーム式サスペンションに馴染まない要因となっていた。
特開2004−231081号公報 特開2004−353797号公報
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、組付けが容易で組付け工数を削減でき、且つ、組付けスペースが殆ど不要でドラムブレーキと同様にディスクブレーキの取付けが可能となるディスクブレーキのダストカバー構造を提供することにある。
上記従来技術の有する課題を解決するため、本発明は、トレーリングアームに設けたブラケットにスピンドルの基部を固定し、前記スピンドルに軸支したハブにディスクロータを固定する一方、前記スピンドル基部に設けた腕部にキャリパを固定したディスクブレーキのダストカバー構造において、前記ディスクロータを車両中央側から覆うダストカバーの中央部に、前記スピンドル基部を収容する膨出部を形成すると共に、前記ダストカバーの外周部に前記キャリパに沿った切り欠き部を設け、前記ダストカバーを前記ブラケットと前記スピンドル基部との間に挟んで固定した。
また、本発明において、前記ダストカバーと前記スピンドルの基部との接触面の周囲に沿って、前記ダストカバーに段部を形成し、該段部周囲の膨出部と前記ブラケットとを離間した。更に、前記スピンドルの基部にABSセンサを取付けた。
上述の如く、本発明に係るディスクブレーキのダストカバー構造は、トレーリングアームに設けたブラケットにスピンドルの基部を固定し、前記スピンドルに軸支したハブにディスクロータを固定する一方、前記スピンドル基部に設けた腕部にキャリパを固定したディスクブレーキのダストカバー構造において、前記ディスクロータを車両中央側から覆うダストカバーの中央部に、前記スピンドル基部を収容する膨出部を形成すると共に、前記ダストカバーの外周部に前記キャリパに沿った切り欠き部を設け、前記ダストカバーを前記ブラケットと前記スピンドル基部との間に挟んで固定したので、ダストカバー組付けが容易であり、ダストカバー取付けのためのボルト留め、かしめ等の組付け工数、及び部品点数を削減できる。
また、ダストカバーの取付けスペースが殆ど不要で、スピンドル自体も小型化でき、ディスクブレーキをドラムブレーキと同様に取付けることが可能となり、それらの取付け寸法を同一にすることにより、サスペンション部品を変更せずにブレーキ仕様の選択、変更が可能となる。
更に、スピンドルがダストカバー内に収容されるので、スピンドルの錆防止のための強力な塗装等が不要となり製造工程を簡略化できると共に、車両後方から見える当該部位がダストカバーで包覆されることで外観が向上する。また、ブレーキ力が作用するスピンドル腕部がダストカバーで包覆され、飛石等から保護されるので耐久性を向上できる。
また、前記ダストカバーと前記スピンドルの基部との接触面の周囲に沿って、前記ダストカバーに段部を形成し、該段部周囲の膨出部と前記ブラケットとを離間したので、走行により振動し易いダストカバーとブラケットとの接触を回避し、それらの当接によるビビリ音を防止しつつ、膨出部の内部空間を確保でき、且つ、ダストカバー自体も制振性や強度を考慮した形状設計が可能となる。
更に、前記スピンドルの基部にABSセンサを取付けたので、ダストカバーでABSセンサやエンコーダを包覆する保護構造が可能となり、これらを飛石等から保護することができる。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るディスクブレーキのダストカバー構造を採用した車両右後輪部分を車両中央側から見た側面図であり、図2はそのA−A断面図であり、図3は分解状態を示す斜視図である。図において、トレーリングアーム1は、車両の幅方向に間隔を置いて左右一対設けられ、それぞれマウント取付部1aにおいて車体に枢支されると共に、前後方向の中間位置でトーションビーム2により相互に連結されている。トーションビーム2は断面が略逆U字形状をなし、その内側にはスタビライザー3が設けられている。
左右のトレーリングアーム1の車両中央側には、それぞれトーションビーム2に架け渡すようにスプリングロアシート4が設けられ、該スプリングロアシート4と車体側のスプリングアッパシート(図示せず)との間にコイルスプリング5が拘持される。さらに、トレーリングアーム1の後端には支軸1bが設けられ、該支軸1bにショックアブソーバ6の下端部6aが連結されている。
そして、トレーリングアーム1の後端近傍には、車両外方に臨ませてパネル状のブラケット7が立設されている。ブラケット7は、所定形状に打ち抜かれたパネル素材にて形成され、ブレーキおよび車軸部品を組付ける車両の前後方向に沿った取付面と、その取付面の車両前後側となる両側部分を車体中央側に折曲することによって平断面略コ字状に形成され、該両側部分の下側においてトレーリングアーム1に固着されている。そして、ブラケット7の略中央にはスピンドル8の基端部8aを嵌合する支持穴7aが形成され、その周囲には4個のブレーキおよび車軸部品を組付ける取付穴7bが設けられている。また、ブラケット7の車両中央側(取付面裏側)には補強板7cが重合され、前記4個の取付穴7bは補強板7cを貫通している。
スピンドル8の基部8bは略四角形のフランジ状に形成され、前記取付穴7bに対応する4個のネジ穴8cが設けられている。更に、前記スピンドル基部8bから径方向外側に向けて腕部8dが岐出され、該腕部8dにはディスクブレーキのキャリパ11を固定するためのネジ穴8eが設けられている。また、前記腕部8dの下側に隣接してABSセンサの取付け部8fが突設されている。詳細には、ABSセンサの取付け部8fは、スピンドル基部8bから突設されるとともに、その側部が腕部8dと結合一体化され、ABSセンサの取付け部8fと腕部8dは、相互に補強部材となっている。そして、スピンドル8の軸部8gにはハブ9が支持されている。
ハブ9は、インナーレース9aと、該インナーレース9aにボールベアリング9cを介して回転自在に支持されているアウターレース9bとからなり、前記インナーレース9aをスピンドル8の軸部8gに嵌合し、スピンドル8の先端部にナット8hを螺合することにより、スピンドル8に固定される。そしてハブ9のアウターレース9bにはフランジ部9dが一体に形成され、該フランジ部9dには車両外方に向けてタイヤ取付け用のスタッドボルト9eが突設されると共に、ディスクロータ10が固定されている。
ディスクロータ10の上方にはキャリパ11が跨設されている。キャリパ11は、スピンドル8の腕部8dに固定されており、その内側に、ディスクロータ10の両側面に摺接する一対のブレーキパッド11a,11bが取り付けられる。また、キャリパ11にはブレーキパッド11a,11bでディスクロータ10を両側から挟みつけて制動力を得るため、該ブレーキパッド11a,11bをディスクロータ10側に加圧するピストン11cを備えている。そして、本発明の実施の形態に係るディスクブレーキには、該ディスクロータ10を車両中央側から覆うダストカバー12が設けられている。
ダストカバー12は、図2、図5に示すように、ディスクロータ10よりやや大きい円板部分12aの外周部に車両外方に立ち上がり、ディスクロータ10の外周を覆う突縁12bを形成する一方、円板部分12aの中央部には、車両中央側に膨出しスピンドル8の軸部8gを収容する膨出部12cを形成している。該膨出部12cは略裁頭円錐形をなし、その斜面には補強用のリブ12dを3箇所に形成する一方、平坦な中央部には前記スピンドル基部8bのフランジの外形形状に沿う段部12eを形成し、該段部12eで囲まれた略四角形状の接触面(取付面)12fの中央には、スピンドル基端部8aを嵌合する穴12gが形成され、さらに、穴12gの周囲の接触面(取付面)12fにはブラケット7の取付穴7bに対応する位置に4個の穴12hが設けられている。
また、本実施形態では、図1に示すように、スピンドル8の軸部8gに対して、キャリパ11を車両の前方でかつ上方に配置しているが、このキャリパ11に沿ってダストカバー12の外周の一部を切り欠き、膨出部12cに達する切り欠き部12iを設けてある。この切り欠き部12iによりキャリパ11およびスピンドル8の腕部8dとダストカバー12との干渉を防止しつつ、該ダストカバー12でディスクロータ10および車軸部品を保護することができると共に、車両後方から見える当該部位の後方側がダストカバー12で包覆されるので、錆等を隠すことが可能となり、車両の外観が向上する。
更に、切り欠き部12iの車両前側に位置した最深部は、更に下方にU字状に切り下げられ窓部12jが形成され、該窓部12jによりABSセンサ取付け部8fが外部に露見すると共に、該窓部12jの下方では膨出部12cの斜面がABSセンサ取付け部8f側に絞られ、内側に余剰空間が形成されないようにしてある。尚、ダストカバー12の前記切り欠き部12iの反対側となる下側部分は、他の円板部分12aよりやや車両中央側に膨出して空間が形成されると共に突縁12bを切り欠いて排出口12kが形成され、該排出口12kによりダストカバー12内に入り込んだ異物を排出することができる。
以上のように構成されたダストカバー12は、図3に示すように、スピンドル8をブラケット7に組み付ける際に、ブラケット7(及び補強板7c)の各取付穴7bに挿通したボルト13をダストカバー12の各穴12hに挿通してからスピンドル8のネジ穴8cに螺合することにより、ブラケット7とスピンドル8との間に挟んで固定される。これにより、ダストカバー12は、ブラケット7の取付面にスピンドル8と共に強固に共締め固定される。
上記取付け状態において、段部12eが形成されていることによって、段部12eで囲まれた略四角形状の接触面(取付面)12fの周囲はダストカバー12(膨出部12c)がブラケット7の表面から離間され、ダストカバー12とブラケット7との接触によるビビリ音が防止されると共に、円錐形のダストカバー12の基本形状や円錐形のダストカバー12の膨出部12cにリブ12dを設ける等、制振性や強度を考慮した形状設計が可能となる。
また、ダストカバー12の固定に要するスペースは該ダストカバー12の板厚のみであるため、スピンドル8をブラケット7とハブ9との間の僅かなスペースで固定することができる。これにより、ダストカバー12、スピンドル8、ハブ9、ディスクロータ10、キャリパ11が、従来のドラムブレーキアッシーに相当するディスクブレーキアッシーを構成し、ドラムブレーキ仕様とディスクブレーキ仕様とで、サスペンション部品への同様の取付が可能となり、ブラケット7を始めとするサスペンション部分を共通化することができる。
更に、上記取付け状態において、ディスクロータ10がダストカバー12で覆われるのは勿論、ブレーキ力が作用するスピンドル8の基部8aや、ハブ9の基端部に設けたABSセンサ用のリングエンコーダ14、該リングエンコーダ14に臨ませて取付け部8fに固定されるABSセンサヘッド(図示せず)がダストカバー12内に包覆され、飛石等から保護される。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
本発明の実施の形態に係るディスクブレーキのダストカバー構造を採用した車両右後輪部分を示す左側面図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の実施の形態に係るディスクブレーキのダストカバー構造を採用した車両右後輪部分の分解状態を示す斜視図である。 図1のB方向矢視図である。 本発明の実施の形態に係るダストカバーを示す正面図である。
符号の説明
1 トレーリングアーム
1a マウント取付部
1b 支軸
2 トーションビーム
3 スタビライザー
4 スプリングロアシート
5 コイルスプリング
6 ショックアブソーバ
6a 下端部
7 ブラケット
7a 支持穴
7b 取付穴
7c 補強板
8 スピンドル
8a 基端部
8b 基部
8c ネジ穴
8d 腕部
8e ネジ穴
8f ABSセンサ取付け部
8g 軸部
8h ナット
9 ハブ
9a インナーレース
9b アウターレース
9c ボールベアリング
9d フランジ部
9e スタッドボルト
10 ディスクロータ
11 キャリパ
11a,11b ブレーキパッド
11c ピストン
12 ダストカバー
12a 円板部分
12b 突縁
12c 膨出部
12d リブ
12e 段部
12f 接触面
12g 穴
12h 穴
12i 切り欠き部
12j 窓部
12k 排出口
13 ボルト
14 リングエンコーダ

Claims (3)

  1. トレーリングアームに設けたブラケットにスピンドルの基部を固定し、前記スピンドルに軸支したハブにディスクロータを固定する一方、前記スピンドル基部に設けた腕部にキャリパを固定したディスクブレーキのダストカバー構造において、前記ディスクロータを車両中央側から覆うダストカバーの中央部に、前記スピンドル基部を収容する膨出部を形成すると共に、前記ダストカバーの外周部に前記キャリパに沿った切り欠き部を設け、前記ダストカバーを前記ブラケットと前記スピンドル基部との間に挟んで固定したことを特徴とするディスクブレーキのダストカバー構造。
  2. 前記ダストカバーと前記スピンドルの基部との接触面の周囲に沿って、前記ダストカバーに段部を形成し、該段部周囲の膨出部と前記ブラケットとを離間したことを特徴とする請求項1記載のディスクブレーキのダストカバー構造。
  3. 前記スピンドルの基部にABSセンサを取付けたことを特徴とする請求項1または2記載のディスクブレーキのダストカバー構造。
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