JP2007063046A - 単結晶引上装置及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 装置製造コストの増大を抑制し、育成する単結晶の種類や部位に応じた自由度の高い熱環境を容易に形成することにより、結晶欠陥の少ない単結晶を得ることのできる単結晶引上装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】 チョクラルスキー法によってルツボ3から単結晶Cを引上げる単結晶引上装置1において、前記単結晶1の引上げを行う引上げ手段5と、前記引上げ手段5により引上げられる単結晶Cの周囲を空隙を介して包囲し、単結晶Cを冷却する円筒状の冷却筒2bと、前記単結晶Cと冷却筒2bとの間に形成された空隙内に設けられ、前記単結晶Cの周囲を包囲する円筒形の断熱部材20と、前記断熱部材20を前記単結晶に対して昇降移動させる昇降手段13とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 チョクラルスキー法によってルツボ3から単結晶Cを引上げる単結晶引上装置1において、前記単結晶1の引上げを行う引上げ手段5と、前記引上げ手段5により引上げられる単結晶Cの周囲を空隙を介して包囲し、単結晶Cを冷却する円筒状の冷却筒2bと、前記単結晶Cと冷却筒2bとの間に形成された空隙内に設けられ、前記単結晶Cの周囲を包囲する円筒形の断熱部材20と、前記断熱部材20を前記単結晶に対して昇降移動させる昇降手段13とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によって単結晶を引上げる単結晶引上装置及びその制御方法に関する。
シリコン単結晶の育成に関し、CZ法が広く用いられている。この方法は、ルツボ内に収容されたシリコンの溶融液の表面に種結晶を接触させ、ルツボを回転させるとともに、この種結晶を反対方向に回転させながら上方へ引上げることによって、種結晶の下端に単結晶を形成していくものである。
図5に示すように、従来のCZ法を用いた引上げ法は、先ず、炉体50内に回転自在に設けられたルツボ51に原料シリコンが装填され、ヒータ52により加熱されてシリコン融液Mとされる。しかる後、引上げ用のワイヤ53に取り付けられた種結晶Pがシリコン融液Mに接触させられ、シリコン単結晶Cが成長しながら引上げられる。
ところで、前記ルツボとしては一般に石英ガラスルツボが使用されるが、この石英ガラスルツボを高温環境に置くと、ルツボ自体が溶解し、酸素等の多量の不純物が前記シリコン融液M中に混入する。即ち、育成したシリコン単結晶Cには、シリコン融液M中の不純物が取り込まれ、点欠陥発生の要因となっていた。
また、前記点欠陥が発生すると、その後の単結晶履歴の影響により核析出し、デバイス製造過程において酸素誘起積層欠陥(OSF)や、酸素析出物(BMD)といった、さらに製品品質に重大な影響を及ぼす欠陥を形成し問題となっていた。
また、融液固化時にシリコン単結晶Cに取り込まれた原子空孔も、その後の熱履歴の影響により凝集して空隙(void)を形成し、製品の品質に多大な影響を与えていた。
また、融液固化時にシリコン単結晶Cに取り込まれた原子空孔も、その後の熱履歴の影響により凝集して空隙(void)を形成し、製品の品質に多大な影響を与えていた。
このような技術的課題に対し、特許文献1(特開昭47−26388号公報)には、育成中の単結晶の周囲を円筒形の熱遮蔽体で囲む構造を有する単結晶引上装置(図示せず)が開示されている。この特許文献1に示される単結晶引上装置によれば、前記円筒形の熱遮蔽体を用いることによって、熱環境を制御し、結晶欠陥の発生を抑制することができるとされている。
特開昭47−26388号公報
しかしながら、特許文献1にあっては、円筒形の熱遮蔽体によって多少の熱遮蔽効果を得ることはできるが、単結晶インゴッドの熱履歴を略完全に制御できるような充分な熱遮蔽効果を得ることはできなかった。即ち、熱環境の制御が不十分であり、単結晶中の点欠陥が酸素誘起積層欠陥(OSF)や酸素析出物(BMD)といった欠陥に展開したり、原子空孔が空隙(void)を形成する虞があった。
また、育成中の単結晶の熱履歴を制御し、生産効率の向上を図るには、各単結晶の種類に応じて熱環境を制御する必要がある。即ち、特許文献1に開示される円筒形の熱遮蔽体によって熱環境を制御するならば、育成する単結晶の種類や部位に応じて円筒形の長さ、厚さ、太さ等を換える必要があり、より多くのコストを要する上に、対応可能な単結晶に関し自由度が低かった。
本発明は、前記したような事情の下になされたものであり、チョクラルスキー法によってルツボから単結晶を引上げる単結晶引上装置において、装置製造コストの増大を抑制し、育成する単結晶の種類や部位に応じた自由度の高い熱環境を容易に形成することにより、結晶欠陥の少ない単結晶を得ることのできる単結晶引上装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するために、本発明に係る単結晶引上装置は、チョクラルスキー法によってルツボから単結晶を引上げる単結晶引上装置において、前記単結晶の引上げを行う引上げ手段と、前記引上げ手段により引上げられる前記単結晶の周囲を空隙を介して包囲し、前記単結晶を冷却する円筒状の冷却筒と、前記単結晶と前記冷却筒との間に形成された空隙内に設けられ、前記単結晶の周囲を包囲する円筒形の断熱部材と、前記断熱部材を前記単結晶に対して昇降移動させる昇降手段とを備えることに特徴を有する。
単結晶の熱は結晶外表面から放熱されるため、結晶が短い成長初期と、結晶が長い成長後期とでは単結晶全体の放熱特性が異なり、その温度分布が異なる。そこで、前記のように構成し、結晶の成長段階に応じて断熱部材を移動させることにより、単結晶全体に亘って略一定の結晶特性を有する単結晶を得ることができる。
また、温度帯域の異なる各部位に対して断熱部材の配置を制御することができるため、結晶欠陥の極めて少ないシリコン単結晶を得ることができる。
また、断熱部材と単結晶との距離寸法、断熱部材の材質、断熱部材の形状、断熱部材の配置位置等の各条件を変更するのみで熱環境を制御することができるため、冷却筒の形態を変更するよりも低コストで、単結晶の種類や部位に応じた自由度の高い熱環境を容易に実現することができる。
また、温度帯域の異なる各部位に対して断熱部材の配置を制御することができるため、結晶欠陥の極めて少ないシリコン単結晶を得ることができる。
また、断熱部材と単結晶との距離寸法、断熱部材の材質、断熱部材の形状、断熱部材の配置位置等の各条件を変更するのみで熱環境を制御することができるため、冷却筒の形態を変更するよりも低コストで、単結晶の種類や部位に応じた自由度の高い熱環境を容易に実現することができる。
また、前記昇降手段と前記引上げ手段の動作制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記引上げ手段による前記単結晶の引上げ動作に応じて、前記昇降手段により前記断熱部材を昇降移動させることが望ましい。
このように構成すれば、単結晶の引上げ動作により結晶が育成されるため、結晶の成長段階に応じて断熱部材の昇降動作を制御することができる。
このように構成すれば、単結晶の引上げ動作により結晶が育成されるため、結晶の成長段階に応じて断熱部材の昇降動作を制御することができる。
また、前記断熱部材は、前記単結晶の軸方向に夫々所定の間隙を介して複数個設けられてもよい。
このように構成すれば、単結晶の各部位に対応した各断熱部材の材質、形状(上下方向の長さ、厚さ等)等を異なるようにすることもでき、より自由度の高い熱環境及び熱履歴を得ることができる。
このように構成すれば、単結晶の各部位に対応した各断熱部材の材質、形状(上下方向の長さ、厚さ等)等を異なるようにすることもでき、より自由度の高い熱環境及び熱履歴を得ることができる。
また、前記した課題を解決するために、本発明に係る単結晶引上装置の制御方法は、チョクラルスキー法によってルツボから単結晶を引上げる単結晶引上装置の制御方法において、前記単結晶を冷却する円筒状の冷却筒の中で前記単結晶を引上げるステップと、前記単結晶と前記冷却筒との間に形成された空隙において、前記単結晶の引上げ動作に応じて、前記単結晶の周囲を包囲する円筒形の断熱部材を前記単結晶に対して昇降移動させるステップとを実行することに特徴を有する。
このような方法によれば、単結晶の引上げ動作によって育成される結晶の成長段階に応じて断熱部材を移動させることにより、単結晶全体に亘って略一定の結晶特性を有する単結晶を得ることができる。
また、温度帯域の異なる各部位に対して断熱部材の配置を制御することができるため、結晶欠陥の極めて少ないシリコン単結晶を得ることができる。
このような方法によれば、単結晶の引上げ動作によって育成される結晶の成長段階に応じて断熱部材を移動させることにより、単結晶全体に亘って略一定の結晶特性を有する単結晶を得ることができる。
また、温度帯域の異なる各部位に対して断熱部材の配置を制御することができるため、結晶欠陥の極めて少ないシリコン単結晶を得ることができる。
本発明によれば、チョクラルスキー法によってルツボから単結晶を引上げる単結晶引上装置において、装置製造コストの増大を抑制し、育成する単結晶の種類や部位に応じた自由度の高い熱環境を容易に形成することにより、結晶欠陥の少ない単結晶を得ることのできる単結晶引上装置及びその制御方法を提供することができる。
以下、本発明に係わる単結晶引上装置及びその制御方法の実施形態について図面に基づき説明する。図1は本発明に係る単結晶引上装置1の構成を模式的に示すブロック図である。この単結晶引上装置1は、ドーム型のメインチャンバ2aと円筒形の冷却筒2bとで形成される炉体2を有する。冷却筒2bは、図示するように、その一端(上端)がメインチャンバ2aの頂部から上方に突出して設けられ、他端(下端)がメインチャンバ2aの内部中央部に亘って貫通している。この冷却筒2bは、引上げられる単結晶Cを冷却するためのものであり、円筒形の壁内部には図示しない冷却水路が筒全体に亘り形成され、冷却水が水路に流され循環することによって、効率的に単結晶Cを冷却できるようになされている。また、この冷却筒2bは、例えばSUS等の耐久性に優れた材質により形成されている。
また、単結晶引上げ装置1は、炉体2内で冷却筒2bの下方に設けられた石英ガラスルツボ(以下、単にルツボと称呼する)3を有する。このルツボ3は、回転軸7によって下方から支持され、回転軸7を介して回転可能になされている。
さらに、炉体2内には、ルツボ3に装填された半導体原料(原料シリコン)Mを溶融するヒータ4と、育成される単結晶Cを引上げる引上げ機構5とが設けられている。引上げ機構5は、モータ駆動される巻取り機構5aと、この巻取り機構5aに巻き上げられる引上げワイヤ5bを有し、ワイヤ5bの先端に種結晶Pが取り付けられている。
また、メインチャンバ2a内において、ルツボ3の上方且つ近傍には、育成中の単結晶Cにヒータ4等からの余計な輻射熱を与えないようするため、単結晶Cの周囲を囲むようにシールド部材としての輻射シールド6が設けられている。
さらに、炉体2内には、ルツボ3に装填された半導体原料(原料シリコン)Mを溶融するヒータ4と、育成される単結晶Cを引上げる引上げ機構5とが設けられている。引上げ機構5は、モータ駆動される巻取り機構5aと、この巻取り機構5aに巻き上げられる引上げワイヤ5bを有し、ワイヤ5bの先端に種結晶Pが取り付けられている。
また、メインチャンバ2a内において、ルツボ3の上方且つ近傍には、育成中の単結晶Cにヒータ4等からの余計な輻射熱を与えないようするため、単結晶Cの周囲を囲むようにシールド部材としての輻射シールド6が設けられている。
また、引上げられる単結晶Cと冷却筒2bとの間に形成された空隙には、昇降機構(昇降手段)13により昇降可能になされ、単結晶Cの周囲を包囲する円筒形の断熱部材20が設けられている。尚、昇降機構13は、断熱部材20を吊下げて支持する複数のワイヤ13bと、ワイヤ13bの巻き上げ/下げを行う巻上げ機構13aとを有する。
この断熱部材20は、冷却筒2bによる単結晶Cの冷却効果を抑制(徐々に冷却)し、また、保温効果を向上するために用いられる。即ち、単結晶Cにおいて断熱部材20により包囲された部位については保温され、包囲されていない部位については冷却筒2bと直接対面するため急速に冷却されるように構成されている。
この断熱部材20は、冷却筒2bによる単結晶Cの冷却効果を抑制(徐々に冷却)し、また、保温効果を向上するために用いられる。即ち、単結晶Cにおいて断熱部材20により包囲された部位については保温され、包囲されていない部位については冷却筒2bと直接対面するため急速に冷却されるように構成されている。
ここで、断熱部材20と単結晶Cとの間の距離寸法は、育成する単結晶の所望特性に応じて設定される。即ち、断熱部材20と単結晶Cとの間の距離が離れると、単結晶Cの外表面からの放熱が促進され、距離が近いと保温されるためである。
また、断熱部材20の材質や、形状(上下方向の長さ寸法、厚さ寸法等)等の各条件によっても熱環境に影響するため、それら各条件についても単結晶の所望特性に応じて設定される。
また、断熱部材20の材質や、形状(上下方向の長さ寸法、厚さ寸法等)等の各条件によっても熱環境に影響するため、それら各条件についても単結晶の所望特性に応じて設定される。
また、図1に示す単結晶引上装置1は、シリコン融液Mの温度を制御するヒータ4の供給電力量を制御するヒータ制御部4aと、石英ガラスルツボ3を回転させるモータ10と、モータ10の回転数を制御するモータ制御部10aとを備えている。さらには、石英ガラスルツボ3の高さを制御するルツボ昇降装置11と、ルツボ昇降装置11を制御するルツボ昇降装置制御部11aと、成長結晶の引上げ速度と回転数を制御するワイヤリール回転装置制御部5cと、昇降機構13の制御を行う昇降機構制御部13cとを備えている。これら各制御部4a、10a、11a、5c、13cはコンピュータ8の演算制御装置8bに接続されている。また、コンピュータ8の記憶装置8aには、単結晶引上げの一連の動作が規定されたプログラム等が記録されている。
次に、このように構成された単結晶引上装置1の制御方法について図1乃至図4に基づいて説明する。図2は単結晶引上装置1の動作の流れを示すフロー図、図3はコンピュータ8の記憶装置8aに記録され、断熱部材20の昇降動作に用いられる参照テーブルである。また、図4は単結晶Cの引上げに応じた断熱部材20の配置位置の例を示す図である。
以下、単結晶引上げ処理においては、コンピュータ8の記憶装置8aに記憶されたプログラムに基づき、順次引上げ工程が処理される。
先ず、演算制御装置8bの指令によりヒータ制御部4aを作動させてヒータ4を加熱し、石英ガラスルツボ3の原料シリコンMが溶融される(図2のステップS1)。
このとき、演算制御装置8bにより昇降機構制御部13cが制御され、巻上げ機構13aにより、断熱部材20の下端が冷却筒2bの下端より例えば50mm下方となるよう断熱部材20が移動される(図2のステップS2)。これは冷却筒2nによる余計な熱吸収を抑制し、原料シリコンMの溶融速度を向上するための動作である。
先ず、演算制御装置8bの指令によりヒータ制御部4aを作動させてヒータ4を加熱し、石英ガラスルツボ3の原料シリコンMが溶融される(図2のステップS1)。
このとき、演算制御装置8bにより昇降機構制御部13cが制御され、巻上げ機構13aにより、断熱部材20の下端が冷却筒2bの下端より例えば50mm下方となるよう断熱部材20が移動される(図2のステップS2)。これは冷却筒2nによる余計な熱吸収を抑制し、原料シリコンMの溶融速度を向上するための動作である。
さらに、演算制御装置8bの指令によりモータ制御部10aと、ルツボ昇降装置制御部11aと、ワイヤリール回転装置制御部12とが作動し、石英ガラスルツボ3が回転すると共に、巻取り機構5aが作動してワイヤ5bが降ろされる。そして、ワイヤ5bに取付けられた種結晶Pがシリコン融液Mに接触され、種結晶Pの先端部を溶解するネッキングが行われる。
しかる後、演算制御装置8bの指令によりヒータ4への供給電力や、単結晶引上げ速度(通常、毎分数ミリの速度)などをパラメータとして引上げ条件が調整され、単結晶Cの引上げが行われる(図2のステップS3)。
しかる後、演算制御装置8bの指令によりヒータ4への供給電力や、単結晶引上げ速度(通常、毎分数ミリの速度)などをパラメータとして引上げ条件が調整され、単結晶Cの引上げが行われる(図2のステップS3)。
ここで、断熱部材20の配置位置は、単結晶Cの引上げ動作により育成された単結晶Cの成長段階に応じて決定される(図4のステップS4)。即ち、単結晶Cの熱は結晶外表面から放熱されるため、結晶が短い成長初期と、結晶が長い成長後期とでは単結晶全体の放熱特性が異なり、その温度分布が異なる。そこで、結晶の成長段階に応じて断熱部材20を移動させることにより、全体に亘って略一定の結晶特性を有する単結晶Cを得るようになされる。
具体的には、例えば次のように断熱部材20の配置が決定される。図3に示す参照テーブルTには、単結晶育成開始後からの引上げ機構5におけるワイヤ5bの絶対的な巻取り長と、その巻取り長に対し育成された単結晶Cの長さと、それに対応する断熱部材20の最適な配置位置との関係がコンピュータシミュレーション等の結果に基づき予め記録されている。
尚、この参照テーブルTの各数値は、育成する単結晶の所望特性や断熱部材20の材質、形状等の各条件によって夫々設定される。また、断熱部材20の配置位置として指定される位置P1、P2の値は、例えば昇降機構13におけるワイヤ13bの絶対的な巻取り長として指定される。
尚、この参照テーブルTの各数値は、育成する単結晶の所望特性や断熱部材20の材質、形状等の各条件によって夫々設定される。また、断熱部材20の配置位置として指定される位置P1、P2の値は、例えば昇降機構13におけるワイヤ13bの絶対的な巻取り長として指定される。
コンピュータ8の演算制御装置8bは、この参照テーブルTに基づき昇降機構制御部13cを制御し、巻き上げ機構13aにより断熱部材20の昇降動作を行う。
例えば、図3の参照テーブルTにおいて、単結晶育成初期段階を示すワイヤ5bの巻取り長x(cm)のときには位置P1の情報に基づいて、図4(a)に示すように断熱部材20を配置するよう制御がなされる。即ち、単結晶育成初期の単結晶の長さが短い段階では、単結晶Cの放熱効率が高いため、冷却筒2bによって必要以上に冷却される虞がある。この例の場合、OSFを発生させず、BMDが高密度に発生するシリコン単結晶の生成を目的としているので、その場合、900℃〜450℃の結晶温度帯で単結晶Cを保温しておくのが望ましい。そのため、単結晶Cの長さが短い段階では、単結晶Cの略全体を包囲するように断熱部材20が位置P1に配置され、冷却筒2bによる冷却作用が緩和される。
例えば、図3の参照テーブルTにおいて、単結晶育成初期段階を示すワイヤ5bの巻取り長x(cm)のときには位置P1の情報に基づいて、図4(a)に示すように断熱部材20を配置するよう制御がなされる。即ち、単結晶育成初期の単結晶の長さが短い段階では、単結晶Cの放熱効率が高いため、冷却筒2bによって必要以上に冷却される虞がある。この例の場合、OSFを発生させず、BMDが高密度に発生するシリコン単結晶の生成を目的としているので、その場合、900℃〜450℃の結晶温度帯で単結晶Cを保温しておくのが望ましい。そのため、単結晶Cの長さが短い段階では、単結晶Cの略全体を包囲するように断熱部材20が位置P1に配置され、冷却筒2bによる冷却作用が緩和される。
また、図3の参照テーブルTにおいて、単結晶育成後期段階を示すワイヤ5bの巻取り長y(cm)のときには位置P2の情報に基づいて、図4(b)に示すように断熱部材20を配置するよう制御がなされる。
単結晶育成の後期段階においては、この例では、育成中の単結晶Cの上部がBMD(酸素析出物)核の生成温度帯(900℃〜450℃)となり、下部がOSF(酸素誘起積層欠陥)核の生成温度帯(1050℃〜900℃)となる。OSFを発生させず、BMDが高密度に発生するシリコン単結晶を生成する場合、1050℃〜900℃の下部を急冷却し、900℃〜450℃の上部を徐々に冷却する必要がある。
このため、育成後期において断熱部材20は、単結晶Cの上部を包囲するように位置P2に移動される。これにより、単結晶Cの上部は徐々に冷却される。一方、単結晶Cの下部は、冷却筒2bと直接対面するようになされ、その温度が900℃〜450℃となるように急速に冷却される。
単結晶育成の後期段階においては、この例では、育成中の単結晶Cの上部がBMD(酸素析出物)核の生成温度帯(900℃〜450℃)となり、下部がOSF(酸素誘起積層欠陥)核の生成温度帯(1050℃〜900℃)となる。OSFを発生させず、BMDが高密度に発生するシリコン単結晶を生成する場合、1050℃〜900℃の下部を急冷却し、900℃〜450℃の上部を徐々に冷却する必要がある。
このため、育成後期において断熱部材20は、単結晶Cの上部を包囲するように位置P2に移動される。これにより、単結晶Cの上部は徐々に冷却される。一方、単結晶Cの下部は、冷却筒2bと直接対面するようになされ、その温度が900℃〜450℃となるように急速に冷却される。
尚、前記参照テーブルTを用いた断熱部材20の配置制御では、OSFを発生させず、BMDが高密度に発生するシリコン単結晶を生成するための例を示したが、本発明の構成においては、その配置制御に限定されるものではない。
例えば、単結晶の固化後、急激に単結晶Cを冷却すると、熱膨張により単結晶Cが破断する虞がある。このため、例えば1100℃以上の高温域に該当する部位に断熱部材12を配置し、徐々に冷却することによって熱膨張による破断を防止するようにしてもよい。
例えば、単結晶の固化後、急激に単結晶Cを冷却すると、熱膨張により単結晶Cが破断する虞がある。このため、例えば1100℃以上の高温域に該当する部位に断熱部材12を配置し、徐々に冷却することによって熱膨張による破断を防止するようにしてもよい。
このとき、void(空隙)成長やOSF核、BMD核の生成温度帯は1100℃以下であるため、1100℃以下の部位は冷却筒2bと直接対面させて急冷するのが望ましい。また、1100℃以上の部位は1100℃以下になるまで断熱部材20を介して徐々に冷却し、1100℃以下に下がった時点で冷却筒2bと直接対面させ、急速に冷却するのが望ましい。このようにすれば、結晶欠陥の発生する温度帯域(1100℃以下)にある部位が急速に冷却されるため、結晶欠陥のない、若しくは極めて少ないシリコン単結晶を得ることが出来る。
尚、この場合においても、予めコンピュータシミュレーション等により得られたデータに基づいて断熱部材20の最適な配置位置を記録した参照テーブルを予め作成し、その参照テーブルに基づいて断熱部材20の昇降制御を行うのが好ましい。
尚、この場合においても、予めコンピュータシミュレーション等により得られたデータに基づいて断熱部材20の最適な配置位置を記録した参照テーブルを予め作成し、その参照テーブルに基づいて断熱部材20の昇降制御を行うのが好ましい。
また、図1において、断熱部材20は1個の構成を示したが、それに限定されず、単結晶Cの軸方向に夫々所定の間隙を介して複数個設けられる構成としてもよく、その場合、各断熱部材の材質、形状(上下方向の長さ、厚さ等)等を異なるようにしてもよい。このようにすれば、より自由度の高い熱環境及び熱履歴を得ることができる。
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、単結晶Cの引上げ動作により育成される単結晶Cの成長段階に応じて、断熱部材20の昇降動作(配置)が制御される。これにより、全体に亘り略一定の結晶特性を有する単結晶Cを得ることが出来る。また、温度帯域の異なる各部位に対して断熱部材の配置を制御することにより、結晶欠陥の極めて少ないシリコン単結晶を得ることができる。
また、断熱部材20と単結晶Cとの距離寸法、断熱部材20の材質、断熱部材20の形状、断熱部材20の配置位置等の各条件を変更するのみで熱環境を制御することができるため、冷却筒2bの形態を変更するよりも低コストで、単結晶の種類や部位に応じた自由度の高い熱環境を容易に実現することができる。
続いて、本発明に係る単結晶引上装置及びその制御方法について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に示した構成の単結晶引上装置を用い、実際に実験を行うことにより、その効果を検証した。
以下の表1に記載の実施例1,2における共通の実験条件を示す。
以下の表1に記載の実施例1,2における共通の実験条件を示す。
[実施例1]
実施例1では、先ず、原料溶解時に断熱部材の下端が冷却筒の下端よりも50mm下となる位置まで断熱部材を下降し、冷却筒による余計な熱吸収を抑制する効果を検証した。その結果、断熱部材を使用しない場合よりも原料溶解時間が約5%短縮された。
実施例1では、先ず、原料溶解時に断熱部材の下端が冷却筒の下端よりも50mm下となる位置まで断熱部材を下降し、冷却筒による余計な熱吸収を抑制する効果を検証した。その結果、断熱部材を使用しない場合よりも原料溶解時間が約5%短縮された。
次いで、単結晶育成時において、断熱部材を設置する位置が、予めコンピュータシミュレーションにより求められた単結晶温度900℃〜450℃の部位を保温する位置となるようにした。尚、この温度よりも高い単結晶に部位については、放熱効果を高めるために、断熱部材を設置せず、単結晶の外表面と冷却筒の内面とが直接対面するようにした。
その結果、育成した単結晶の長さが65%の部位でOSFが発生せず、且つ、高密度のBMD発生により高いゲッタリング能力を有するシリコン単結晶を得ることが出来た。
その結果、育成した単結晶の長さが65%の部位でOSFが発生せず、且つ、高密度のBMD発生により高いゲッタリング能力を有するシリコン単結晶を得ることが出来た。
[実施例2]
実施例2では、単結晶育成中において、育成された単結晶の長さに応じて断熱部材の位置を移動させることにより熱環境を制御し、その効果を検証した。
具体的には、900℃〜450℃の結晶温度帯を効果的に保温するために、単結晶長さが短いときには断熱部材を低い位置に配置し、単結晶の長さが長くなるに伴って断熱部材を上昇させた。尚、単結晶の長さに伴う断熱部材の昇降動作制御は、予めコンピュータシミュレーションから求められたシーケンスに同期させて行った。
その結果、単結晶80%の部位において、OSFが発生せず、高密度のBMD発生により、高いゲッタリング能力を有するシリコン単結晶を得ることができた。
実施例2では、単結晶育成中において、育成された単結晶の長さに応じて断熱部材の位置を移動させることにより熱環境を制御し、その効果を検証した。
具体的には、900℃〜450℃の結晶温度帯を効果的に保温するために、単結晶長さが短いときには断熱部材を低い位置に配置し、単結晶の長さが長くなるに伴って断熱部材を上昇させた。尚、単結晶の長さに伴う断熱部材の昇降動作制御は、予めコンピュータシミュレーションから求められたシーケンスに同期させて行った。
その結果、単結晶80%の部位において、OSFが発生せず、高密度のBMD発生により、高いゲッタリング能力を有するシリコン単結晶を得ることができた。
以上の実施例1、2の結果から、本発明に係る単結晶引上装置及びその制御方法によれば、温度帯域の異なる各部位に対して断熱部材の配置を制御することにより、結晶欠陥の極めて少ないシリコン単結晶を得ることができることを確認した。
本発明は、チョクラルスキー法によって単結晶を引上げる単結晶引上装置に関するものであり、半導体製造業界等において好適に用いられる。
1 単結晶引上装置
2 炉体
2a メインチャンバ
2b 冷却筒
3 石英ガラスルツボ
4 ヒータ
5 引上げ機構(引上げ手段)
8 コンピュータ
8a 記憶装置
8b 演算記憶装置(制御手段)
13 昇降機構(昇降手段)
20 断熱部材
C 単結晶
M 原料シリコン、シリコン融液
P 種結晶
2 炉体
2a メインチャンバ
2b 冷却筒
3 石英ガラスルツボ
4 ヒータ
5 引上げ機構(引上げ手段)
8 コンピュータ
8a 記憶装置
8b 演算記憶装置(制御手段)
13 昇降機構(昇降手段)
20 断熱部材
C 単結晶
M 原料シリコン、シリコン融液
P 種結晶
Claims (4)
- チョクラルスキー法によってルツボから単結晶を引上げる単結晶引上装置において、
前記単結晶の引上げを行う引上げ手段と、
前記引上げ手段により引上げられる前記単結晶の周囲を空隙を介して包囲し、前記単結晶を冷却する円筒状の冷却筒と、
前記単結晶と前記冷却筒との間に形成された空隙内に設けられ、前記単結晶の周囲を包囲する円筒形の断熱部材と、
前記断熱部材を前記単結晶に対して昇降移動させる昇降手段とを備えることを特徴とする単結晶引上装置。 - 前記昇降手段と前記引上げ手段の動作制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記引上げ手段による前記単結晶の引上げ動作に応じて、前記昇降手段により前記断熱部材を昇降移動させることを特徴とする請求項1に記載された単結晶引上装置。 - 前記断熱部材は、前記単結晶の軸方向に夫々所定の間隙を介して複数個設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された単結晶引上装置。
- チョクラルスキー法によってルツボから単結晶を引上げる単結晶引上装置の制御方法において、
前記単結晶を冷却する円筒状の冷却筒の中で前記単結晶を引上げるステップと、
前記単結晶と前記冷却筒との間に形成された空隙において、前記単結晶の引上げ動作に応じて、前記単結晶の周囲を包囲する円筒形の断熱部材を前記単結晶に対して昇降移動させるステップとを実行することを特徴とする単結晶引上装置の制御方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005249016A JP2007063046A (ja) | 2005-08-30 | 2005-08-30 | 単結晶引上装置及びその制御方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101160268B1 (ko) | 2010-06-25 | 2012-06-27 | 주식회사 엘지실트론 | 단결정 잉곳 성장장치 |
WO2014115935A1 (en) * | 2013-01-23 | 2014-07-31 | Lg Siltron Incorporated | Single-crystal ingot, apparatus and method for manufacturing the same |
JP2017105691A (ja) * | 2015-12-07 | 2017-06-15 | 信越半導体株式会社 | シリコン単結晶の製造方法及びシリコン単結晶製造装置 |
KR102041370B1 (ko) * | 2018-07-16 | 2019-11-06 | 한국세라믹기술원 | 단결정 성장 장치 |
-
2005
- 2005-08-30 JP JP2005249016A patent/JP2007063046A/ja not_active Withdrawn
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