JP2007063041A - 複合酸化物黒色粒子、その製造方法、黒色塗料およびブラックマトリックス - Google Patents

複合酸化物黒色粒子、その製造方法、黒色塗料およびブラックマトリックス Download PDF

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Abstract

【課題】 黒色度、特に青味を呈した黒色度に優れた複合酸化物黒色粒子、その製造方法、黒色塗料およびブラックマトリックスを提供する。
【解決手段】 少なくともモリブテンを含み、その含有量が0.3〜30質量%であることを特徴とする複合酸化物黒色粒子。
少なくともモリブテンを含有する複合水酸化物スラリーを湿式酸化し、得られた酸化物前駆体粒子をろ過、洗浄、乾燥、解砕したのち、焼成することを特徴とする複合酸化物黒色粒子の製造方法。

Description

本発明は複合酸化物黒色粒子、その製造方法、黒色塗料およびブラックマトリックスに関し、詳しくはモリブテンを含有する複合酸化物からなる複合酸化物黒色粒子であって、塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用などの黒色顔料として好適であり、特に、ブラックマトリックス用着色組成物やプラズマディスプレイ、プラズマアドレス液晶などの前面板の黒色電極、遮光層形成用に好適である、黒色度に優れた複合酸化物黒色粒子、その製造方法、黒色塗料およびブラックマトリックスに関する。
塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用などに用いられる黒色顔料は、黒色度、色相、着色力、隠ぺい力などの特性に優れ、かつ安価であることが求められており、カーボンブラックやマグネタイトをはじめとする酸化鉄系顔料、その他複合酸化物顔料が用途に応じて利用されている。
金属酸化物を主成分とする黒色顔料の代表例としては、特許文献1〜3が挙げられ、いずれも複合酸化物黒色顔料について、銅、クロム、鉄、マンガン、コバルト、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、アンチモン、チタンおよびバリウムからなる群から選ばれた二種以上の金属を主金属成分とする複合酸化物である旨の開示があり、より具体的には。Cu−Cr系、Cu−Mn系、Cu−Fe−Mn系、Co−Cr−Fe系、Co−Cr−Fe−Mn系、Co−Ni−Cr−Fe系が代表的な組成として挙げられている。
昨今、黒色顔料を用いる各種分野において高性能化、高品質化の要求が高まり、黒色顔料は微粒化が求められている。ブラックマトリックス用着色組成物やプラズマディスプレイ、プラズマアドレス液晶などの前面板の黒色電極、遮光層形成用の黒色顔料にもそういった要求は強い。
特開平9−124972号公報 特開平9−237570号公報 特開平2000−235114号公報
しかし、上記従来技術における黒色顔料は、微粒化すると光の散乱などにより、赤味を呈するものである。このようなことから、微粒化した際にも赤味を呈しにくい黒色顔料が強く求められている。
従って、本発明の目的は、上記従来技術が有する欠点の解消された、黒色粒子を提供することにある。
本発明者等は、黒色顔料を構成する成分を種々検討し、顔料の色に青味を持たせることで、微粒化による光の散乱で生じる赤味を打ち消し、十分な黒味を維持できる組成について、鋭意検討を行った。その結果、モリブテンを含有する複合酸化物からなる複合酸化物黒色粒子が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の複合酸化物黒色粒子は、少なくともモリブテンを含み、その含有量が0.3〜30質量%であることを特徴とする。
本発明に係わる黒色複合酸化物粒子は、非常に青味の強い黒色顔料であることに起因して、微粒化した際にも赤味を呈さないことから、微粒黒色顔料を必要とする、塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用の黒色顔料として好適である。特に、ブラックマトリックス用着色組成物やプラズマディスプレイ、プラズマアドレス液晶などの前面板の黒色電極、遮光層形成用に好適である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の複合酸化物黒色粒子は、少なくともモリブテンを含有することを特徴とする複合酸化物黒色粒子である。
本発明の複合酸化物黒色粒子を検討するにあたって、本発明者らがさまざまな系(組成)の複合酸化物黒色粒子を生成したところによると、色々な金属酸化物の系で黒色顔料粒子が生成することがわかっている。例えば、Co−Mn系、Co−Cu系、Co−Mn−Fe系などがある。しかし、これらの複合酸化物は、粒子径を小さくするに従って赤味を呈したものとなる。
本発明者らが鋭意検討した結果、モリブテンを含有させた本発明の複合酸化物黒色粒子は非常に青味の強い黒色顔料であり、かつ微粒品であっても赤味が抑制されている。要するに、同じ粒径で比較した場合、モリブテンを含有した複合酸化物は、モリブテンを含有しない複合酸化物より赤味が抑制されている。換言すれば、同じ色味である粒子を比較した場合、本発明の複合酸化物黒色粒子の方が小さな粒径にすることが可能である。
本発明の複合酸化物黒色粒子は、モリブテンの含有量は粒子全体に対して0.3〜30質量%であることが重要である。0.3質量%未満の場合、色味改善の効果が充分に得られない。また、モリブテンの含有量が30質量%超の場合、モリブテンが粒子に十分に取り込まれずに不定形物として存在し、色味を損なう。色味改善と粒子形成のバランスを考慮すると1〜15質量%であると好ましい。
また、本発明の複合酸化物黒色粒子はモリブテン酸化物だけでは複合酸化物黒色粒子を構成し得ない。モリブテン酸化物以外の、黒色性に優れた酸化物との共存が必要である。モリブテンの単独酸化物では、黒色度の点において不十分であるばかりか、モリブテンが高価な材料であるため、工業製品としては好ましくない。
モリブテン以外の酸化物組成としては、銅、クロム、マンガン、ニッケル、および亜鉛のいずれか1種または2種以上の酸化物、もしくは複合酸化物であることが好ましい。上記群から選択された酸化物、もしくは複合酸化物は特許文献1〜3にあるように非常に優れた黒色粒子である。しかしながら、それらの黒色顔料は青味が不十分であるため、その組成だけでは微粒化した際に赤味を呈するものが多い。それに対して本発明の黒色顔料は、色味改善のためにモリブテンの含有が必要不可欠としている。
また、本発明の複合酸化物黒色粒子は、SEM観察による一次粒子の平均粒径が0.02〜0.1μmであることが好ましい。ここでいう平均粒径とはSEM(走査型電子顕微鏡)で10万倍の写真を撮影し、200個の粒子のフェレ径の平均値を指す。上記平均粒径がこの範囲であると、微細化が求められているブラックマトリックスや電極などの形成にも支障がなく、かつ十分な黒色性を確保することができ、好適である。
また、本発明の複合酸化物黒色粒子は、SEM観察による一次粒子の平均粒径0.02〜0.1μmに対応して、BET法による比表面積が10〜70m/gであると好ましい。ここで、BET法による比表面積が10m/g未満である場合、粒子自体が大きすぎて、塗料化した際の着色性が不良となる恐れが生じ、70m/gを超える場合、凝集性の強い顔料となり分散が不均一となる恐れがあり好ましくない。
また、本発明の複合酸化物黒色粒子は、JIS K5101−1991に準拠した粉体の原色塗膜評価において、色差計によるL値が21以下、a値が0.2以下、b値が0.2以下であることが好ましい。これらの数値が上記条件を満たさない場合、黒色度が低く、色相も赤味の抑制が不十分であり、黒色顔料として不具合である。
また、本発明の複合酸化物黒色粒子は、酸化チタンを用いた展色塗膜評価において、色差計によるL値が34以下、b値が−4.0以下であることが好ましい。これらの数値が上記条件を満たさない場合、分散性が悪いことに起因して黒色度が低く、色相も赤味の抑制が不十分であり好ましくない。なお、上記条件に加え、a値については−1.0以下であるとより好ましい。
また、本発明の複合酸化物黒色粒子は、吸油量が20〜50ml/100g以下であることが好ましい。この吸油量が20ml/100g未満の場合、塗料などで用いられる有機溶媒との相溶性が悪くなるため好ましくない。また、吸油量が50ml/100gを超える場合、粒子の形状が不定形であることなどに起因して凝集粒子が多く、その結果、塗料化した際の分散性や粉体の流動性に劣る。
また、本発明の複合酸化物黒色粒子は、グロスメーターによる鏡面反射率(60度)が65%以上であることが好ましく、70%以上であるとより好ましい。この反射率が65%未満の場合、塗料化した際の光沢性に劣り、塗膜の平滑性が不良となりやすく好ましくない。
また、本発明の複合酸化物黒色粒子は、凝集度が35%以下であることが好ましい。この凝集度が35%を超える場合には、粒子の凝集が著しく、流動性が不良であるのみならず、樹脂中での分散性も不良となる。
次に、本発明の複合酸化物黒色粒子の好ましい製造方法について述べる。
少なくともモリブテンを含有する複合水酸化物スラリーを湿式酸化し、得られた酸化物前駆体粒子をろ過、洗浄、乾燥、解砕したのち、300〜900℃にて焼成することにより本発明の複合酸化物黒色粒子が得られる。
少なくともモリブテンを含有する複合水酸化物スラリーは次のようにして得ることができる。モリブテン塩と、少なくともモリブテン以外の1種または2種以上の金属塩を含む水溶液とを水酸化アルカリを用いて中和混合する。水溶性のモリブテン塩としてはモリブテン酸ナトリウム、モリブテン酸アンモニウム、塩化モリブテンなど、水に可溶な塩であることが好ましい。モリブテン以外の金属塩としては銅、クロム、マンガン、ニッケル、および亜鉛の硫酸塩、塩化物、硝酸塩、炭酸塩など、可溶な塩が好ましい。また、水酸化アルカリとしては工業的に一般的に用いられている水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などが好ましい。
また、モリブテンおよびモリブテン以外の金属塩水溶液の濃度は飽和濃度以下であれば特に制限されないが、工業的な生産性を考慮すればトータルの金属濃度で0.2〜2.0mol/リットルであることが好ましい。トータルの金属濃度が0.2mol/リットル以下の場合、スラリー単位体積あたりに生産できる量が少なくなり、工業的に好適でない。また、スラリー濃度が2mol/リットルを超える場合、モリブテン含有水酸化物混合スラリーの粘性が高くなりすぎ、均一に混合するために非常に高エネルギーの混合装置を用いなければならなくなりエネルギーコスト高となるため好ましくない。大量生産、エネルギーコストの両方を考慮すれば、0.5〜1.5mol/リットルであれば更に好ましい。
また、少なくともモリブテンを含有する複合水酸化物スラリーを得るための、モリブテンおよびモリブテン以外の金属塩水溶液と水酸化アルカリとの中和混合は、いかなる混合態様でも良いが、より均一な複合水酸化物スラリーを生成せしめるためには、モリブテン含有水溶液に、水酸化アルカリおよびモリブテン以外の金属水溶液を同時に添加することが更に好ましい。
また、複合水酸化物を得るためには、0.1〜1.5リットル/分の速さでゆっくりと中和混合を行えば、均一な組成の水酸化物核粒子が得られる。添加速度が1.5リットル/分より速いと不均一な組成の水酸化物が形成されたり、不定形粒子が発生しやすく、また、0.1リットル/分より遅い場合では、得られる水酸化物および酸化物が上記範囲内で得られる生成物と比べ大差がなく、生産性を考慮すると好ましくない。
また、水酸化物を得る際の水酸化物スラリーのpHは9〜13に調整することが好ましい。調整の方法としては、中和混合中のスラリーpHを常時監視しながら、使用する水酸化アルカリの添加速度の調整や、使用する水酸化アルカリの濃度を調整したりすることで可能である。スラリーpHが9未満の場合、得られる水酸化物が不安定となりやすく、酸化物となった際に粒子形状が不定形となりやすい傾向にあり、逆にpHが13を超える場合、水酸化物の安定度が高くなり、酸化物を生成し難くなる傾向にあるため好ましくない。両者のバランスを考慮すれば、水酸化物を得る際の水酸化物スラリーのpHは10〜12であれば更に好ましい。
こうして得られた、少なくともモリブテンを含有する複合水酸化物は湿式で酸化することが重要である。湿式で酸化する手段としては、スラリーに酸素含有ガスを吹き込む方法や、過酸化水素などの酸化剤を添加する方法などがある。酸素含有ガスとしては空気などが使用できる。複合水酸化物は酸化されることにより本発明の複合酸化物黒色粒子の前駆体となる。湿式酸化を行わない場合、この前駆体生成が不十分となり、十分な黒色度、赤味を抑制した粒子を得ることができない。
また、湿式酸化を行う際に、酸化の作用が十分か否かを把握する方法としては酸化還元電位を測定する方法を用いることができる。具体的には、酸化還元電位の変化がなくなるまで湿式酸化を継続する。湿式酸化還元が十分でないと前駆体生成が不十分となり、十分な黒色度、赤味を抑制した粒子を得ることができない。
また、湿式酸化を行う際のスラリー温度は30〜60℃であることが好ましい。スラリー温度が30℃未満の場合、酸化反応の進行が遅く、また、60℃超の場合でも、酸化反応が急激に進行し、粒子形状が不均一になりやすく好ましくない。
更に、十分に酸化された複合酸化物前駆体を含んだスラリーは熟成を行うことが好ましい。十分な熟成を行う条件としては、スラリーを50〜150℃に昇温し、そのスラリー温度にて1〜6時間撹拌する方法がある。この熟成により、複合酸化物前駆体粒子の粒子形状、粒度分布の均整が取れる。100℃以下での熟成は電熱ヒーターや蒸気を用いた加熱を大気下で行えばよいが、100℃よりも高い温度で熟成を行う場合はオートクレーブなど高圧容器を用いても良い。熟成温度が50℃よりも低い場合は生成した粒子中に不定形物が含まれる場合があり好ましくない。150℃超の場合は前駆体粒子が成長しすぎ、その結果粒径の大きな複合酸化物前駆体粒子が生成するおそれがあり、好ましくない。不定形粒子の抑制と粒子形状のバランスを考慮すると、60〜95℃で熟成を行うことがより好ましい。また、熟成を行う時間が1時間よりも短い場合、熟成の効果が十分に発揮されず、また、6時間以上行っても生成する粒子に差はないことより、経済的でなく好ましくない。効果と経済性を考慮すると、2〜4時間熟成を行うことがより好ましい。
次に、得られた複合酸化物前駆体粒子を含んだスラリーは、常法のろ過、洗浄を行い、更に、含有する水分を除去するために乾燥される。
また、水分を蒸発した複合酸化物前駆体粒子乾燥体の水分量は1質量%以下であることが好ましい。含有水分量のコントロールは乾燥温度および乾燥時間を適宜調整することで行われる。乾燥温度は50〜120℃が好ましい。含有する水分量が1質量%より多い場合は後述する焼成工程で多量の水蒸気が発生し、焼成効率が低下するため好ましくない。上記水分量は、0.1〜0.6質量%に調整すると更に好ましい。
また、水分量を1質量%以下に調整した乾燥品に対し、解砕操作を行うことが必要である。解砕操作を行わない場合、凝集した複合水酸化物前駆体粒子を後述する焼成工程へと供給することとなり、焼成によって更に凝集が促進されるなどの不具合を生じる。解砕装置としては、高速回転型のハンマーミル、インパクトミル、ディスクミルなどが好ましい。
このようにして得られた複合酸化物前駆体粒子を、300〜900℃にて焼成する。焼成を行わないと複合酸化物前駆体粒子が複合酸化物黒色粒子へと変化しないからである。焼成温度が300℃未満の場合、その形態変化が十分でなく、十分な黒色性、青味が得られない。逆に900℃超の場合、粒子同士の焼結が進み、粒子径が大きくなり、着色性能が劣り黒色顔料として不適である。上記焼成温度において、更に好ましい条件は500〜700℃である。
また、焼成を行う時間としては1時間から3時間が好ましい。焼成時間が1時間未満の場合、形態変化が十分でなく、また、3時間超の場合、粒子同士の焼結が進むことがあり好ましくない。
また、焼成を行う際の雰囲気は大気中、不活性ガス雰囲気中、酸素濃度21体積%以上のいずれであってもかまわない。
このようにして得られたモリブテンを含有する複合酸化物黒色粒子は、凝集をほぐすために解砕を行うと、黒色顔料としての着色性能が向上し、より一層好ましい。解砕の方法としては、乾式にて行う方法、湿式にて行う方法のいずれであってもかまわない。乾式での解砕方法としては、高速回転型のハンマーミル、インパクトミル、ディスクミルなど、圧縮・せん断・へらなで作用のあるホイール型混練機など、気流を用いたジェットミルなどが挙げられる。湿式の解砕方法としては、焼成にて得られたモリブテン含有複合酸化物黒色粒子を、少なくとも常温付近まで冷却し、水に懸濁した後、高速回転型のホモミキサー、湿式ジェットミル、メディアを使った湿式ボールミルやアトライターなどで処理する方法が挙げられる。湿式での解砕の場合、再度ろ過、洗浄を行い水分を除去するために乾燥することが必要となる。乾式、湿式いずれの解砕操作であっても、粒子自体を破壊する強度の操作を加えることは好ましくない。このような操作で粒子が破壊されると、粒度分布が広くなり、顔料としての性能、特に色味に影響を与えることがある。
また、必要に応じて、凝集粒子を除去するために、分級操作を加えることも可能である。分級操作としては、乾式の振動篩、乾式サイクロンなどの気流分級、湿式の方法として湿式サイクロンなどが挙げられる。
本発明の複合酸化物黒色粒子を用いて得られる黒色塗料、そしてそれを用いて得られたブラックマトリックス、プラズマディスプレイ、あるいはプラズマアドレス液晶であれば、黒色度、流動性をはじめとして、耐酸化性、焼成被膜の均一性や光沢性に優れている。
以下、実施例などにより本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
モリブデン酸ソーダ水溶液0.15mol/リットルを5リットル調製した(A液)。
前記モリブデン酸ソーダ水溶液とは別に、硫酸マンガン5水塩水溶液1.1mol/リットルを3リットル用意した(B液)。
更に、12mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を1.2リットル調製した(C液)。
それぞれの液を調製後、A液を20リットルの撹拌機つきの反応容器に入れ、そこにB液を0.5リットル/分の速度で連続的に添加した。その後、C液も連続的に添加し、混合スラリーのpHが12となるように調整した。その間、スラリー温度を40℃に維持した。
調整が完了して30分後、液温を50℃に維持しながら、エアーを3リットル/分の割合で約2時間吹き込み、酸化還元電位が変化しなくなった時点でエアー吹き込みを終了した。
更に、生成した複合水酸化物前駆体粒子含有スラリーを85℃に昇温し、その後3時間熟成を行った。こうして熟成された複合水酸化物前駆体粒子含有スラリーをろ過、洗浄した後、80℃で10時間乾燥を行い、水分量が0.2質量%の複合水酸化物前駆体粒子乾燥品を得た。
乾燥品を粉砕し、大気中で、600℃、2時間の焼成を行い、複合酸化物粒子を得た。
得られた複合酸化物粒子は、以下に示す方法で評価した。評価した結果を表1に示す。
<評価方法>
(a)モリブテンおよびモリブテン以外の金属含有率
試料を溶解し、ICPにて測定した。
(b)SEM観察による一次粒子の平均粒径(以下SEM径)
SEM(走査型電子顕微鏡)で10万倍の写真を撮影し、200個の粒子のフェレ径を測定した。
(c)凝集度(流動性)
Hosokawa Micron製「Powder Tester TypePT−E」(商品名)を用いて、振動時間を65secにて測定した。測定結果を所定の計算式にて凝集度を求めた。
(d)比表面積
島津−マイクロメリティックス製2200型BET計にて測定した。
(e)吸油量
JIS K 5101−1991に準拠して行った。
(f)原色塗膜測定
粉体の原色塗膜測定はJIS K5101−1991に準拠して行った。
試料2.0gにヒマシ油1.4ccを加え、フーバー式マーラーで練りこむ。この練り込んだサンプル2.0gにラッカー7.5gを加え、さらに練り込んだ後これをミラーコート紙上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、色差計(東京電色社製、カラーアナライザーTC-1800型)にて、L、a、b値を測定した。
(g)展色塗膜測定
試料0.5gと酸化チタン(石原産業社製R800)1.5gにヒマシ油1.3ccを加え、フーバー式マーラーで練り込む、この練り込んだサンプル2.0gにラッカー4.5gを加え、さらに練り込んだ後、これをミラーコート紙上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、色差計(東京電色社製カラーアナライザーTC−1800型)にて、L、a、b値を測定した。
(h)鏡面反射率(塗膜の表面平滑性に伴う光沢性)
スチレンアクリル系樹脂(TB−1000F)を(樹脂:トルエン=1:2)にて溶解した液を60g、熱処理後の試料10g、直径1mmのガラスビーズ90gを内容積140mlのビンに入れ、蓋をした後、ペイントシェーカー(トウヨウセイキ社製)にて30分混合した。これをガラス板上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、ムラカミ式グロスメーター(GM−3M)にて60度の反射率を測定した。
〔実施例2〜7、比較例1〜5〕
表1に示す組成の金属塩水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で複合酸化物粒子を得た。
得られた複合酸化物粒子について、実施例1と同様に諸特性を評価した。結果を表2に示す。
表2からも明らかなとおり、実施例のモリブテン含有複合酸化物黒色粒子は、展色塗膜の黒色度、特に青味を呈した黒色度に優れた粒子であった。かつ、流動性をはじめとして、塗料化時の分散性、塗料を塗膜化したときの表面平滑性に優れていた。
これに比べ、比較例1の複合酸化物粒子は、モリブデン含有量が過剰なため、複合酸化物粒子中に取り込まれ切れず、モリブデン単味の不定形酸化物粒子が多く発生したと目される。その結果、吸油量が高く、展色塗膜の黒色度、色相的にも劣る(展色L、a、b値いずれも高い)ものであった。また、鏡面反射率が低く、塗料化された際の分散性や粉体の流動性に劣る上、凝集度も高く、塗膜の平滑性にも悪影響を与えるものであった。
比較例2〜4の複合酸化物粒子は、モリブデンの代わりに他金属元素を含んだ複合酸化物粒子であるため、実施例と同程度の粒度にもかかわらず、展色色相が劣っていた(展色a、b値いずれも高め)。また、鏡面反射率、凝集度がやや劣り、塗料化された際の分散性や、塗膜の平滑性にも悪影響を与えるものであった。
比較例5の複合酸化物粒子は、モリブデン含有量が過少なため、モリブデン含有の効果が不足し、展色塗膜の色相に劣っていた(展色a、b値いずれも高め)。また、鏡面反射率が低く、塗料化された際の分散性や粉体の流動性に劣っていた。























Claims (7)

  1. 少なくともモリブテンを含み、その含有量が0.3〜30質量%であることを特徴とする複合酸化物黒色粒子。
  2. モリブテン以外の含有元素が銅、クロム、マンガン、ニッケル、および亜鉛のいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物黒色粒子。
  3. SEM観察による一次粒子の平均粒径が0.02〜0.1μmであることを特徴とする請求項1〜2に記載の複合酸化物黒色粒子。
  4. 酸化チタンを用いた展色塗膜の色差測定においてL値34以下、b値−4.0以下の請求項1〜3に記載の複合酸化物黒色粒子。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の複合酸化物黒色粒子を含有する黒色塗料。
  6. 請求項5に記載の黒色塗料により形成されたブラックマトリックス。
  7. 少なくともモリブテンを含有する複合水酸化物スラリーを湿式酸化し、得られた酸化物前駆体粒子をろ過、洗浄、乾燥、解砕したのち、焼成することを特徴とする請求項1〜4に記載の複合酸化物黒色粒子の製造方法。



























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