JP2007056547A - 断熱パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 真空断熱材の断熱性能を十分に発揮させることができると共に、真空断熱材の一部に釘打ちや切断加工を行っても断熱パネル全体としての断熱性能の劣化を小さく抑制でき、建築物用断熱材として使用可能な断熱パネルを提供する。
【解決手段】 基部フィルム5上の複数箇所に、断熱材6とそれを覆うカバーフィルム7を配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部8を備えた第一真空断熱材2と、それと同様な構造で複数の真空断熱部11を備えた第二真空断熱材3とを向かい合わせ、第一真空断熱材の真空断熱部の間に第二真空断熱材の真空断熱部を嵌め込んで一体化し、多数の独立した真空断熱部8、11を密に配置した構造の断熱パネル1を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は断熱パネルに関し、特に、施工に当たって、釘やビスなどで固定するとか、寸法を合わせるために切断加工することが通常に行われる建築物用断熱材として用いるのに好適な断熱パネルに関する。
従来、無機繊維成形材や樹脂発泡体などが多様の分野に断熱材として用いられている。近年、断熱性能の向上のため、これらの断熱材を樹脂フィルムやアルミ箔などからなるガスバリア性フィルムで密閉し、更に密閉した内部を減圧した真空断熱材が、主に冷蔵庫用として普及してきている。
真空断熱材は真空による断熱を有効に利用したことで優れた断熱効果を発揮するが、何らかの理由でガスバリア性フィルムに傷がつき、貫通孔が開くと、内部の減圧状態が維持されず、その結果真空による断熱効果が発揮できなくなる。そのため、釘やビスなどで固定するとか、寸法を合わせるために切断加工することが通常に行われる建築物用断熱材として使用することは難しい。
そこで、真空断熱材を建築物用断熱材として使用するために、真空断熱材を樹脂発泡体で覆って保護した構成の断熱パネル(特開平10−219866号公報参照)や、真空断熱材を樹脂発泡体の枠体に埋め込んで保護すると共に、表面に真空断熱材の埋設位置を示す表示を設けたり、樹脂発泡体の部分を釘打ちや切断箇所として表示した断熱パネル(特開2000−248653号公報参照)が開発されている。
特開平10−219866号公報 特開2000−248653号公報
しかしながら、これらの断熱パネルは、真空断熱材を、それよりも断熱性能の劣る樹脂発泡体と組み合わせていることから、断熱性能を十分には向上させることができないという問題があった。また、樹脂発泡体内に比較的大きい真空断熱材を埋め込んでおり、この真空断熱材の破断は断熱性能の大きい低下につながることから、釘打ちや切断加工はこれらの真空断熱材を避けて行う必要があり、釘打ちや切断加工の位置選定に対する自由度が低いという問題もあった。
本発明は係る問題点に鑑みてなされたもので、真空断熱材の断熱性能を十分に発揮させることができると共に、例え、真空断熱材の一部に釘打ちや切断加工を行っても断熱パネル全体としての断熱性能の劣化を小さく抑制でき、釘打ちや切断加工の位置選定の自由度を高くすることの可能な断熱パネルを提供すること及びそのパネルの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本願請求項1に係る発明の断熱パネルは、平坦な基部フィルム上の複数箇所に、断熱材とそれを覆うカバーフィルムを配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部を備えた第一真空断熱材と、平坦な基部フィルム上の複数箇所に、断熱材とそれを覆うカバーフィルムを配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部を備えると共にその真空断熱部の配置及び形状、寸法を、該真空断熱部が前記第一真空断熱材に形成している複数の真空断熱材の間の凹部に嵌め込まれ得るように設定した第二真空断熱材とを向かい合わせ、第一真空断熱材の真空断熱部の間に第二真空断熱材の真空断熱部を嵌め込む形態に組み合わせ、第一真空断熱材と第二真空断熱材とを互いに固定してパネル形態としたものである。すなわち、本発明の断熱パネルは、多数の独立した真空断熱部を密に配置した構造とし、例え一部の真空断熱部が釘打ちや切断加工等によって破れても他の真空断熱部には影響せず、このため断熱パネル全体としての断熱性能の劣化を小さく抑制できる構成としたものである。
請求項2に係る発明は、前記した請求項1に係る発明の断熱パネルにおいて、前記第一真空断熱材及び第二真空断熱材に形成している複数の真空断熱部の形状、寸法を同一としたものである。
請求項3に係る発明は、前記した請求項2に係る発明の断熱パネルにおいて、前記真空断熱部の面積を、10〜400cm2 としたものである。
請求項4に係る発明は、前記した請求項1に係る発明の断熱パネルにおいて、面積の異なる真空断熱部を有する構成としたものである。
請求項5に係る発明は、前記した請求項4に係る発明の断熱パネルにおいて、面積の異なる複数の真空断熱部のうち、小面積の真空断熱部の面積を、10〜400cm2 としたものである。
請求項6に係る発明は、前記した請求項1から5のいずれか1項に係る発明の断熱パネルにおいて、前記第一真空断熱材と第二真空断熱材の形状、寸法を同一としたものである。
請求項7に係る発明は、前記した請求項1から5のいずれか1項に係る発明の断熱パネルにおいて、前記第二真空断熱材を、前記第一真空断熱材の異なる領域にそれぞれ取り付けた複数のセグメントで構成したものである。
請求項8に係る発明は、断熱パネルの製造方法を提供するもので、平坦な基部フィルム上の複数箇所に、断熱材とそれを覆うカバーフィルムを配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部を備えた第一真空断熱材を作製する工程と、平坦な基部フィルム上の複数箇所に、断熱材とそれを覆うカバーフィルムを配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部を備えると共にその真空断熱部の位置及び形状、寸法を、該真空断熱部が前記第一真空断熱材に形成している複数の真空断熱材の間の凹部に嵌め込まれ得るように設定した第二真空断熱材を作製する工程と、前記第一真空断熱材と第二真空断熱材を向かい合わせ、第一真空断熱材の真空断熱部の間に第二真空断熱材の真空断熱材を嵌め込んで固定する工程を有することを特徴とする。
本発明の断熱パネルは、パネルのほぼ全面に多数の独立した真空断熱部が密に配置された構造であるため、パネルのほぼ全域が真空断熱材として作用し、優れた断熱性能を発揮する。また、この断熱パネルに対して釘打ちや切断加工等を施す場合、小面積の真空断熱部が配置されている領域に釘打ちや切断加工等を施すことにより、例えその領域の真空断熱部が破れても、小面積の真空断熱部の断熱性能が低下するのみで、他の真空断熱部には影響せず、このため断熱パネル全体としての断熱性能の劣化を小さく抑制できる。このため、この断熱パネルは建築物用断熱材として好適に使用できる。更に、断熱パネルの全域に小面積の、例えば、10〜400cm2 の真空断熱部を形成しておけば、どの位置に釘打ちや切断加工等を施しても、断熱性能の劣化を小さく抑制でき、釘打ちや切断加工等を施す位置の選定の自由度が大きくなるという利点が得られる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る断熱パネルを説明する。図1は本発明の好適な実施の形態に係る断熱パネルを示すもので、(a)はその概略平面図、(b)はその概略側面図、(c)は(b)のA−A矢視概略断面図、(d)は断熱パネルの一部を拡大して示す概略断面図、図2は図1に示す断熱パネルの構成部品を示すもので、(a)は第一真空断熱材の概略平面図、(b)は(a)のB−B矢視概略断面図、(c)は第二真空断熱材の概略平面図、(d)は(c)のD−D矢視概略断面図、図3は図2に示す第一真空断熱材の一部を拡大して示す概略断面図である。図1〜図3において、全体を参照符号1で示す断熱パネルは、第一真空断熱材2と第二真空断熱材3で構成されている。
第一真空断熱材2は、平坦な基部フィルム5上の複数箇所に、断熱材6とそれを覆うカバーフィルム7を配し、各断熱材6を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルム7を基部フィルム5に熱融着により固着した構造の一定高さの真空断熱部8を備えたものである。すなわち、第一真空断熱材2は、それぞれが独立して減圧されている多数の一定高さの真空断熱部8が間隔をあけて形成された構造のものであり、複数の真空断熱部8の間の領域(基部フィルム5とカバーフィルム7の接合領域)には凹部9が形成されている。基部フィルム5及びカバーフィルム7としては、融着性とガスバリア性を備えたフィルムが用いられ、具体的には少なくとも、融着可能な樹脂層とアルミ箔、アルミ蒸着層などのガスバリア性を付与する層とを有し、必要に応じ、強度、耐衝撃性を付与する層を備えた積層体が用いられる。基部フィルム5及びカバーフィルム7として用いるのに好適な積層体の層構成としては、断熱材6に面する側から、熱融着のための高密度ポリエチレン層/ガスバリア性を付与するためのアルミ箔/強度を付与するためのポリエチレンテレフタレート層/熱融着のための高密度ポリエチレン層を例示できる。なお、基部フィルム5及び/又はカバーフィルム7は、第一真空断熱材2の全面積に亘る1枚の構造のものに限らず、小面積のものを複数枚使用してもよい。例えば、基部フィルム5は第一真空断熱材2の全面積に亘る1枚の構造のものを用いるが、カバーフィルム7は、1個の断熱材6を覆う面積のもの或いは数個の断熱材6を覆う面積のもの等を複数枚用いるように変更してもよい。断熱材6は真空断熱部8の芯材として用いるもので、ロックウール、ガラスウール等の無機繊維マット、ウレタン、スチレン、エチレン等の樹脂発泡体、シリカパウダー等の無機粉末等を挙げることができる。
真空断熱部8の平面形状、配置等は限定するものではないが、この実施の形態では、角部を面取りした四角形状の、且つ同一寸法の多数の真空断熱部8が千鳥状に配置されている。また、隣接した4個の真空断熱部8で囲まれた凹部9は、一つの真空断熱部8を嵌め込むことができる寸法に形成されている。ここで、真空断熱部8の角部を面取りしているのは、後述するように、凹部9に第二真空断熱材3に形成している真空断熱部11を嵌め込む際に角部同士が干渉しないようにして嵌め込みを容易に行うためであり、嵌め込みに支障のない範囲で極力面取りは小さくすることが、断熱性能を高める上から好ましい。
第二真空断熱材3も、第一真空断熱材2と同様に、平坦な基部フィルム5上の複数箇所に、断熱材6とそれを覆うカバーフィルム7を配し、各断熱材6を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルム7を基部フィルム5に熱溶着により固着した構造の一定高さの真空断熱部11を備えたものである。この真空断熱部11の高さは、第一真空断熱材2の真空断熱部8の高さに等しく設定されており、また、真空断熱材11の配置及び形状、寸法は、この真空断熱部11が第一真空断熱材2に形成している複数の真空断熱材8の間の凹部9に嵌め込まれ得るように設定されている。なお、この実施の形態では前記したように、第一真空断熱材2において隣接した4個の真空断熱部8で囲まれた凹部9を、一つの真空断熱部8を嵌め込むことができる寸法に形成しているので、第二真空断熱材3に形成する真空断熱部11の形状、寸法は第一真空断熱材2の真空断熱部8と同じとしている。更には、第一真空断熱材2と第二真空断熱材3の形状、寸法も同じとしている。このように、同じ形状、寸法の真空断熱材を、第一真空断熱材2及び第二真空断熱材3として用いる構成とすると、断熱パネル1を構成する部品の種類が1つで良く、生産工程が簡単となる利点が得られる。
断熱パネル1は、上記した構成の第一真空断熱材2と第二真空断熱材3とを向かい合わせ、第一真空断熱材2の真空断熱部8の間に第二真空断熱材3の真空断熱部11を嵌め込む形態に組み合わせ、第一真空断熱材2と第二真空断熱材3とを熱溶着、接着剤等によって互いに固定してパネル形態としたものである。この構成により、図1に示すように、断熱パネル1のほぼ全面に、多数の真空断熱部8、11が密に存在することとなり、パネル全体を一つの真空断熱材で形成した場合とほぼ同様の優れた断熱性能を発揮することができる。また、この断熱パネル1を建築物用断熱材として用い、釘打ちや切断加工を施した場合、釘打ちや切断加工を施した領域の真空断熱部8、11に貫通孔があいて内部が減圧状態でなくなっても、真空断熱部8、11が独立しているため、他の領域の真空断熱部8、11の減圧状態が破られることはなく、断熱パネル1全体としての断熱性能の低下はわずかである。かくして、この断熱パネル1は、釘打ちや切断加工を施す位置にあまり制限されず、且つ高い断熱性能を発揮できるので、建築物用断熱材として特に好適である。なお、それ以外の用途に使用してもよい。
ここで、個々の真空断熱部8、11の面積は、小さい方が、破断した際のパネル全体の断熱性能の低下を小さくできるので好ましいが、あまり小さいと製造が困難となる。そこで、図1〜図3に示す実施の形態のように、真空断熱部8、11を同一形状、同一寸法とした場合には、真空断熱部8、11を、30〜200mm角程度の大きさ、或いは、10〜400cm2 程度の面積とすることが好ましい。
上記した構成の断熱パネル1の製造に当たっては、まず、第一真空断熱材2及び第二真空断熱材3を作製する。この作製は、基部フィルム5の上の所定位置に断熱材6を置き、その上にカバーフィルム7を乗せ、全体を減圧室に入れて基部フィルム5とカバーフィルム7間を減圧状態とし、その状態で各断熱材6の周縁を熱板で加圧し、カバーフィルム7と基部フィルム5を熱融着することで行うことができる。また、この方法に代えて、予めカバーフィルム7に断熱材6を収容する多数の凹部を形成しておき、その凹部に断熱材6を収容した後、その上に基部フィルム5を乗せ、全体を減圧室に入れて基部フィルム5とカバーフィルム7間を減圧状態とし、その状態で各断熱材6の周縁を熱板で加圧し、カバーフィルム7と基部フィルム5を熱融着する方法によっても作製できる。また、図4に示すように、カバーフィルム7として、1個の断熱材6を覆う面積のものを多数枚用いる場合には、個々の断熱材6の、基部フィルム5に接する面以外の面を各カバーフィルム7で被覆すると共にそのカバーフィルム7の周縁部分7aを、断熱材6の、基部フィルム5に接する面の周縁に基部フィルム5と融着させるための耳部として残しておき、断熱材6とそれを覆ったカバーフィルム7を、断熱材6の被覆されていない面が基部フィルム5に接触するように基部フィルム5に乗せ、基部フィルム5とカバーフィルム7の間を減圧状態とし、カバーフィルム7の周縁部分7aを熱板で加熱し、カバーフィルム7を基部フィルム5を熱融着する方法によっても作製できる。
次に、第一真空断熱材2と第二真空断熱材3とを向かい合わせ、第一真空断熱材2の真空断熱部8の間に第二真空断熱材3の真空断熱部11を嵌め込む形態に組み合わせ、第一真空断熱材2と第二真空断熱材3とを熱溶着して一体化する。これにより、図1に示す断熱パネル1を製造できる。なお、第一真空断熱材2と第二真空断熱材3との固定には接着剤などの他の固定手段を用いても良い。
上記した実施の形態では、同一形状、同一寸法の多数の真空断熱部8、11を一定ピッチで配置し、全体の形状、寸法も同一とした第一真空断熱材2、第二真空断熱材3を組み合わせて断熱パネル1を形成しているが、本発明はこの構成に限らず、第一真空断熱材2、第二真空断熱材3の各々に設けている真空断熱部8、11を場所によって形状や寸法が異なるものとするとか、第一真空断熱材2の真空断熱部8と第二真空断熱材3の真空断熱部11を形状や寸法が異なるようにしてもよい。更に、一つの第一真空断熱材2に組み合わせる第二真空断熱材3は、必ずしも第一真空断熱材2の全面に組み合わせることができる大きさを持った一体構造のものに限らず、複数のセグメントに分割した形態とし、各セグメントを第一真空断熱材2の対応する領域に取り付けることで、全体をパネル状とするようにしてもよい。
図5、図6は異なる大きさの真空断熱部を用い且つ第二真空断熱材を複数のセグメントで構成した形態の断熱パネルの例を示すものである。図5(a)は断熱パネルの概略平面図、(b)はその概略側面図、(c)は(b)のE−E矢視概略断面図、図6は図5に示す断熱パネルの構成部品を示すもので、(a)は第一真空断熱材の概略平面図、(b)は(a)のF−F矢視概略断面図、(c)は(a)のG−G矢視概略断面図、(d)は第二真空断熱材を形成するセグメントの概略平面図、(e)は(d)のH−H概略断面図、(f)は第二真空断熱材を形成する他のセグメントの概略平面図である。この実施の形態に係る断熱パネル1Aは、第一真空断熱材2Aと複数のセグメント3Aa、3Ab、3Acを有する第二真空断熱材3Aで構成されている。
第一真空断熱材2Aは、平坦な基部フィルム5上の複数箇所に、断熱材6とそれを覆うカバーフィルム7を配し、各断熱材6を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルム7を基部フィルム5に固着した構造の一定高さの真空断熱部8a、8b、8c、8d、8eを備えている。ここで、真空断熱部8a、8b、8c、8d、8eは形状や寸法が異なるものであり、断熱パネル1Aを使用する際に釘打ちや切断加工の対象となる確率の高い領域、例えば、周縁領域及び中央を横切る領域には、面積の小さい真空断熱部8b、8c、8d、8eを配置すると共にこれらの小面積の真空断熱部8b、8c、8d、8eに挟まれて形成される凹部9a、9b、9cも小面積となるようにしている。
一方、第二真空断熱材3Aを形成する複数のセグメント3Aa、3Ab、3Acも、平坦な基部フィルム5上の複数箇所に、断熱材6とそれを覆うカバーフィルム7を配し、各断熱材6を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルム7を基部フィルム5に固着した構造の一定高さの真空断熱部11a、11b、11c等を備えている。この真空断熱部11a、11b、11c等も、第一真空断熱材2Aに形成している凹部9a、9b、9c等に嵌め込むことができるように配置や形状、寸法等が定められている。
断熱パネル1Aは、第二真空断熱材3Aを形成する複数のセグメント3Aa、3Ab、3Acのそれぞれを、上記した構成の第一真空断熱材2Aの対応する領域に向かい合わせ、第一真空断熱材2Aの真空断熱部8b、8c、8d、8eの間に第二真空断熱材3Aのセグメント3Aa、3Ab、3Acの真空断熱部11a、11b、11cを嵌め込む形態に組み合わせ、第一真空断熱材2Aと第二真空断熱材3Aのセグメント3Aa、3Ab、3Acとを熱溶着、接着剤等によって互いに固定してパネル形態としたものである。この構成により、図5(c)に示すように、断熱パネル1Aのほぼ全面に、多数の真空断熱部8a、8b、8c、8d、8e及び11a、11b、11cが密に存在することとなり、パネル全体を一つの真空断熱材で形成した場合とほぼ同様の優れた断熱性能を発揮することができる。また、この断熱パネル1を建築物用断熱材として用い、釘打ちや切断加工を施す際には、小面積の真空断熱部8b、8c、8d、8e及び11a、11b、11cを配置した領域に釘打ちや切断加工を施すことにより、その領域の真空断熱部の内部が減圧状態でなくなって断熱特性が低下したとしても、その真空断熱部が独立していて且つ小面積であるため、他の領域の真空断熱部の減圧状態が破られることはなく、断熱パネル1A全体としての断熱性能の低下はわずかである。かくして、この断熱パネル1Aも、釘打ちや切断加工を施す領域にあまり制限されず、且つ高い断熱性能を発揮できるので、建築物用断熱材として特に好適である。勿論、それ以外の用途に使用してもよい。
この場合においても、釘打ちや切断加工を施す領域に配置する真空断熱部8b、8c、8d、8e及び11a、11b、11cの面積は、小さい方が、破断した際のパネル全体の断熱性能の低下を小さくできるので好ましいが、あまり小さいと製造が困難となる。そこで、釘打ちや切断加工を施す領域に配置する小面積の真空断熱部8b、8c、8d、8e及び11a、11b、11cは、30〜200mm角程度の大きさ、或いは、10〜400cm2 程度の面積とすることが好ましい。
図5に示す構成の断熱パネル1Aは、小面積の真空断熱部8b、8c、8d、8e及び11a、11b、11cを、周縁領域及び中央を横切る領域に配置しているのみであるので、釘打ちや切断加工を施す位置がこれらの領域に限定されるが、その他の領域には大面積の真空断熱部8aを配置したことで、一つのパネルに形成する真空断熱部の個数を少なくでき、更に、第二真空断熱材3Aは第一真空断熱材2Aの全面を覆う大きさとする必要はなく、複数のセグメント3Aa、3Ab、3Acで必要な領域のみを覆う構成とすることができ、これによって、製造コストを下げることができる。
なお、図5、図6に示した断熱パネル1Aでは、第二真空断熱材3Aのセグメント3Aa、3Ab、3Acがそれぞれ、1枚の基部フィルム5に2個の真空断熱部を形成した構成であるが、これに限らず、1枚の基部フィルム5に3個以上の真空断熱部を形成した構成としてもよく、また、使用場所によっては、1個の真空断熱部のみを備えたセグメントを用いても良い。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、第一真空断熱材に第二真空断熱材を嵌め込んで形成した断熱パネルをそのままの状態で使用するものとして説明しているが、これに限らず、第一真空断熱材に第二真空断熱材を嵌め込んで断熱パネルを形成した後、更に、該断熱パネルをフィルムや布帛などのシート状物で被覆したり、該断熱パネルの表面及び裏面の少なくとも一方又は双方に前記シート状物あるいは板状物(ベニヤ板や薄い金属板など)を貼り付けても良い。これらにより、運搬時や施工時の断熱パネルの破損を減少させることができる。また、断熱パネルとしての強度を向上させることもできる。
本発明の好適な実施の形態に係る断熱パネルを示すもので、(a)は概略平面図、(b)は概略側面図、(c)は(b)のA−A矢視概略断面図、(d)は断熱パネルの一部を拡大して示す概略断面図 図1に示す断熱パネルの構成部品を示すもので、(a)は第一真空断熱材の概略平面図、(b)は(a)のB−B矢視概略断面図、(c)は第二真空断熱材の概略平面図、(d)は(c)のD−D矢視概略断面図 図2に示す第一真空断熱材の一部を拡大して示す概略断面図 第一真空断熱材の変形例を製造途中の状態で示す概略断面図 本発明の他の実施の形態に係る断熱パネルを示すもので、(a)は概略平面図、(b)は概略側面図、(c)は(b)のE−E矢視概略断面図 図5に示す断熱パネルの構成部品を示すもので、(a)は第一真空断熱材の概略平面図、(b)は(a)のF−F矢視概略断面図、(c)は(a)のG−G矢視概略断面図、(d)は第二真空断熱材を形成するセグメントの概略平面図、(e)は(d)のH−H概略断面図、(f)は第二真空断熱材を形成する他のセグメントの概略平面図
符号の説明
1、1A 断熱パネル
2、2A 第一真空断熱材
3、3A 第二真空断熱材
3Aa、3Ab、3Ac セグメント
5 基部フィルム
6 断熱材
7 カバーフィルム
8、8a、8b、8c、8d、8e、11、11a、11b、11c 真空断熱部
9、9a、9b、9c 凹部

Claims (8)

  1. 平坦な基部フィルム上の複数箇所に、断熱材とそれを覆うカバーフィルムを配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部を備えた第一真空断熱材と、平坦な基部フィルム上の複数箇所に、断熱材とそれを覆うカバーフィルムを配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部を備えると共にその真空断熱部の配置及び形状、寸法を、該真空断熱部が前記第一真空断熱材に形成している複数の真空断熱部の間の凹部に嵌め込まれ得るように設定した第二真空断熱材を備え、前記第一真空断熱材と第二真空断熱材を向かい合わせ、第一真空断熱材の真空断熱部の間に第二真空断熱材の真空断熱材を嵌め込んで固定した断熱パネル。
  2. 前記第一真空断熱材及び第二真空断熱材に形成している複数の真空断熱部の形状、寸法を同一としていることを特徴とする請求項1記載の断熱パネル。
  3. 前記真空断熱部の面積を、10〜400cm2 としたことを特徴とする請求項2記載の断熱パネル。
  4. 面積の異なる真空断熱部を備えていることを特徴とする請求項1記載の断熱パネル。
  5. 面積の異なる複数の真空断熱部のうち、小面積の真空断熱部の面積を、10〜400cm2 としたことを特徴とする請求項4記載の断熱パネル。
  6. 前記第一真空断熱材と第二真空断熱材の形状、寸法を同一としたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の断熱パネル。
  7. 前記第二真空断熱材が、前記第一真空断熱材の異なる領域にそれぞれ取り付けた複数のセグメントで構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の断熱パネル。
  8. 平坦な基部フィルム上の複数箇所に、断熱材とそれを覆うカバーフィルムを配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部を備えた第一真空断熱材を作製する工程と、平坦な基部フィルム上の複数箇所に、断熱材とそれを覆うカバーフィルムを配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部を備えると共にその真空断熱部の位置及び形状、寸法を、該真空断熱部が前記第一真空断熱材に形成している複数の真空断熱材の間の凹部に嵌め込まれ得るように設定した第二真空断熱材を作製する工程と、前記第一真空断熱材と第二真空断熱材を向かい合わせ、第一真空断熱材の真空断熱部の間に第二真空断熱材の真空断熱材を嵌め込んで固定する工程を有する断熱パネルの製造方法。
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