JP2007056538A - 排水管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建築物内で床スラブ14を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材17に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部2と、この継ぎ手部2から延びる管本体3とを有し、継ぎ手部2の外周面又は内周面には上記立管継ぎ手部材17との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域OLに対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材5が設けられている。
【選択図】図1
Description
立管継ぎ手部材には鋳鉄などを素材とする金属製のものや硬質塩化ビニルなどを素材とする樹脂製のものが知られており、また立管も、鋳鉄管や鋼管等の金属製のもの、或いは硬質塩化ビニルなどを素材とする樹脂管、更には樹脂管をセラミックや(耐火)モルタルなどで被覆した耐火二層管などが知られている。
しかし、排水管システム全体に耐火性を持たせようとすれば、立管継ぎ手部材や立管を全て金属製などの不燃材料製のものとする必要があり、高コストになるということがあった。
即ち、本発明に係る排水管は、建築物内で床スラブを貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部と、この継ぎ手部から延びる管本体とを有しており、上記継ぎ手部の外周面又は内周面には、上記立管継ぎ手部材との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域に対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材が設けられている。
継ぎ手部は、立管継ぎ手部材に設けられた受口型管端部に対して内嵌可能な挿口部として形成されたものでも、立管継ぎ手部材に設けられた挿口型管端部を内嵌可能な受口部として形成されたものでもよい。継ぎ手部が挿口部として形成されている場合、熱膨張性耐火材を設ける箇所は、継ぎ手部(挿口部)の内周面でも外周面でもよい。また継ぎ手部が受口部として形成されている場合には、継ぎ手部(受口部)の内周面に熱膨張性耐火材を設けることになる。
ここで「熱膨張性耐火材」とは、その体積や形状的な特性として、所定の温度以下では立管継ぎ手部材と排水管との接続を阻害するものとはならず、また立管継ぎ手部材や排水管の内部を排水が流れるのに邪魔とならないものであって、火災時などに所定の温度を超えたときには膨張して、排水管においてこの熱膨張性耐火材が設けられた箇所の内部、又はそこから近い立管継ぎ手部材内へと膨出してゆきその内部を閉塞(充満)させるものを言う。また一旦、所定の膨張を起こした後は、その後の加熱で焼損も溶損もしないものである。
このような構成であれば、建築物で火災等が発生した場合にあって、最終的に排水管が焼損乃至溶損するとしても、火災熱によって熱膨張性耐火材が所定の温度を超えて加熱された時点で(排水管が完全に焼損乃至溶損してしまう前に)当該熱膨張性耐火材が膨張し、立管継ぎ手部材内を閉塞させることになる。
すなわち、排水管が焼損乃至溶損しても火災への対応が図られることになるため、この排水管として、わざわざ耐火性のものを採用する必要がなく、非耐火性のもの(樹脂管等)を採用できる。従ってこの排水管を使って構築する排水管システム全体として低コスト化が図れる。
そのため、熱膨張性耐火材が膨張を始めるときにその膨張作用で排水管を押し潰しやすくなり、それだけ立管継ぎ手部材の内部閉塞が迅速且つ確実になるという利点がある。
一方、熱膨張性耐火材は、継ぎ手部の内周面や外周面に設ける場合に限らず、管本体側に設けても良い。
このような構成でも、建築物で火災等が発生した場合にあって、最終的に排水管が焼損乃至溶損するとしても、火災熱によって熱膨張性耐火材が所定の温度を超えて加熱された時点で(排水管が完全に焼損乃至溶損してしまう前に)当該熱膨張性耐火材が膨張し、耐火性付属部材内を閉塞させ、或いは耐火性付属部材内から立管継ぎ手部材内へ向けて膨出したうえで、この立管継ぎ手部材内を閉塞させることになる。
そのため、火災が起こった後も、立管継ぎ手部材に対する排水管(継ぎ手部)の接続状態が所定時間以上保持されることになり、その間、立管継ぎ手部材に対する熱膨張性耐火材の位置付けが保持されることになるので、結果として、この熱膨張性耐火材が膨張したときの立管継ぎ手部材に対する閉塞作用が確実に得られることになる。
図3(A)(B)は、本発明に係る排水管1の一実施形態を示している。この排水管1は非耐火性材料(例えば硬質塩化ビニル等の樹脂材)を素材として形成されたものである。すなわち、材料コストは低廉で、且つ軽量であるという利点を有する反面、火災現場等において所定条件下に所定時間曝されると、焼損乃至溶損するおそれのあるものである。
この排水管1は、挿口部(ストレート管端部)として形成された継ぎ手部2と、この継ぎ手部2から延びる管本体3と、この管本体3の他端部側で受口部として形成された継ぎ手部4とを有している。そして挿口部として形成された方の継ぎ手部2に対して熱膨張性耐火材5が設けられている。
熱膨張性耐火材30は、例えば黒鉛を含有させたブチルゴム等によって形成されたもので、火災時などに所定の温度(例えば200℃)を超えると膨張し、膨張後の体積が膨張前に比べて5〜40倍に達するといった特性を有している。例えば、積水化学工業株式会社の商品名「フィブロック」を使用することができる。また、この他に、因幡電機産業株式会社製の商品名「熱膨張性耐熱シール材IP」(120℃から膨張を開始し、体積が4倍以上に膨張する)や、ニチアス株式会社製の商品名「パーモフレックス(熱膨張性シート)」(850℃、30分加熱後に発泡して4倍以上に膨張する)や、株式会社古河テクノマテリアル製の商品名「ヒートメル」(膨張開始温度120℃、顕著な膨張温度260℃、4〜8倍に膨張する)等を熱膨張耐火材9として使用できる。なお、熱膨張性耐火材9は、上記したものに限らず、他の種々のものを使用できる。
図3(A)に示すように、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の外周面に設けられるものとする場合、継ぎ手部2には、熱膨張性耐火材5の装着位置に相当させて外径が一回り細い部分を予め設けておき、この細い部分に熱膨張性耐火材5を設けることで、この熱膨張性耐火材5の外周面と管本体3の外周面とを面一に揃えさせるのが好適である。
また図4(A)(B)に示すように、排水管用パッキン7と熱膨張性耐火材5とを別々に形成したうえで、これら排水管用パッキン7と熱膨張性耐火材5とを継ぎ手部2の長手方向に沿って並設させてもよい。
また図3(B)に示すように、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の内周面に設けられるものとする場合、継ぎ手部2には、熱膨張性耐火材5の装着位置に相当させて内径が一回り径大な部分を予め設けておき、この径大部分内に熱膨張性耐火材5を設けることで、この熱膨張性耐火材5の内周面と管本体3の内周面とを面一に揃えさせるのが好適である。
なお、熱膨張性耐火材5を設けるための上記の各方法は一例を示しただけであって限定されるものではなく、例えば継ぎ手部2の細くした部分にリング状乃至筒状に成形したものを外嵌させるといった方法や、装着後に加硫工程を行って継ぎ手部2に熱膨張性耐火材5を一体化させる方法等も有効である。
このような構成を具備した本発明の排水管1は、図1及び図2に示すような排水管システム10において用いられる。
すなわち、排水管システム10は、集合住宅やビルなどの建築物に備え付けられるもので、建築物の各階層ごとに割り振られる排水配管構造11を、建築物全体にわたって連結させ、更に頂上部では建築物屋上へと繋がる伸頂通気管12を接続したり、また最下部ではベンド13を介して床下配管または地下埋設の横主管を接続したりすることにより、その全体として構成される。
立管継ぎ手部材17は例えば排水集合管20であって、耐火性材料(例えば鋳鉄等の金属)を素材として形成されたものである。すなわち、火災現場等において所定条件下に所定時間曝されても、焼損乃至溶損することはない。
本発明の排水管1は、熱膨張性耐火材5の設けられた方の継ぎ手部2を立管継ぎ手部材17との接続に用いる状態として、上記立管18や横枝管25、或いはベンド13等に使用される。
なお、図1の排水配管構造11で使用した排水管1は、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の外周面に設けられたタイプ(図3(A)に示したもの)である。そのため熱膨張性耐火材5は、立管継ぎ手部材17における上部継ぎ手部21の内周面(受口部内周面)と上部側の排水管1における継ぎ手部2の外周面(挿口部外周面)との嵌合によってできる周間に介設される状態となる。
また排水管1として、熱膨張性耐火材5が継ぎ手部2の内周面に設けられたタイプ(図3(B)に示したもの)を使用すると、図5に示す排水配管構造11のようになる。
この場合の熱膨張耐火材5は、排水管1内において排水流の流れに悪影響を及ぼさないことに主眼をおいてその体積及び形状が設定される。膨張後に立管継ぎ手部材17(上部継ぎ手部21)内を閉塞させるに十分となる体積及び形状に想定した設定とするのは同じである。
すなわち、床スラブ7の下方で火災が起こったと仮定して、立管継ぎ手部材17より下部側の立管18が焼損乃至溶損したり、この立管18と立管継ぎ手部材17の下部継ぎ手部22との接続部分に設けられる通常の排水管用パッキン(ゴム製等であって焼損乃至溶損するおそれのあるもの)が焼損乃至溶損したりして、立管継ぎ手部材17の内部に火炎、煤煙、有毒ガス等が入り込んだとする。場合によっては、立管継ぎ手部材17自体が火災熱を受けて高温になることがあるかもしれない。
また、床スラブ14の上方で火災が起こったと仮定して、この火災熱により、立管継ぎ手部材17の上部側の立管18(排水管1)が直接的に焼損乃至溶損し始めたときも、上記と同様に熱膨張性耐火材5は所定の所定の温度を超えた時点で膨張して上部継ぎ手部21内を閉塞することになる。
立管継ぎ手部材17自体は耐火性を有しているため、火災が床スラブ14の下方で起ころうが上方で起ころうが焼損も溶損もしないから、結果として、床スラブ14に形成された貫通孔15はこの立管継ぎ手部材17及びモルタル19によって閉塞状態を維持されることになる。
立管継ぎ手部材17の横継ぎ手部24に接続された排水管1でも、上記と同様に熱膨張性耐火材5によって横継ぎ手部24内が閉鎖される作用が得られるので、ここでも火炎、煤煙、有毒ガスなどの流出、新鮮空気の吸い込み等が防止されることになる。
このような図6に示した熱膨張性耐火材5の介設位置は、必然的に床スラブ14より下方の配置となるため、階下で起こった火災からいち早く火災熱を感じ取り、熱膨張性耐火材5を膨張させる迅速性(応答性)が得られる点で有益と言える。
図9に示す排水管1は、素管部40とこの素管部40まわりを被覆する耐火被覆層41とを有した、いわゆる耐火二層管として形成された実施形態である。
素管部40は、継ぎ手部2,4及び管本体3の原形を成す部分であって、樹脂等の非耐火性材料によって形成されている。また、耐火被覆層41は素管部40の全長に及んで設けられており、セラミックや(耐火)モルタル、金属板などの耐火性材料によって形成されている。
この場合、継ぎ手部2では、耐火被覆層41に熱膨張性耐火材5を装着すべき箇所(排水管1と立管継ぎ手部材17とを接続するうえで両者がオーバーラップする領域OL)に相当させて外径が一回り細い部分を予め設けておき、この細い部分に熱膨張性耐火材5を設けることで、この熱膨張性耐火材5の外周面と管本体3の外周面とを面一に揃えさせてある。
熱膨張性耐火材5を管本体3に対する上記の配置で保持させるために、耐火性付属部材50が設けられている。この耐火性付属部材50は、管本体3の外周部を全周的に取り囲むように形成された管外装部51を有している。またこの耐火性付属部材50は、継ぎ手部2の外周部を全周的に取り囲むように形成された継ぎ手外装部52を有している。これら管外装部51及び継ぎ手外装部52は、いずれも耐火性材料(鉄などの金属)によって形成されている。
このような排水管1では、建築物で火災等が発生した場合にあって、最終的に排水管1(管本体3)が焼損乃至溶損してしまうとしても、完全に焼損乃至溶損する前に、熱膨張性耐火材5は所定の温度を超えて加熱された時点で膨張し、耐火性付属部材50内を閉塞させ、或いは耐火性付属部材50内から立管継ぎ手部材17内へ向けて膨出したうえで、この立管継ぎ手部材17内を閉塞させることになる。
図11に示す排水管1も、管本体3側に熱膨張性耐火材5が設けられた実施形態である。図10に示した排水管1との違いは、継ぎ手部2が挿口部として形成されている点にあり、これに伴い、熱膨張性耐火材5を保持する耐火性付属部材50は、継ぎ手外装部52を有さず、代わりに、管外装部51を管本体3側に固定するための連結部54を有したものとなっている。この耐火性付属部材50の上部は、ボルト等の固定手段55によって、排水集合管20の下部継ぎ手部22に固定されている。なお、この固定手段55はボルトに限らず、粘着テープ、接着剤その他の種々のものを採用できる。
ところで、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、排水管1において管本体3が長管であるか短管であるか、太管であるか細管であるかといった違いは何ら限定されない。また本発明に係る排水管1は、ベンド13を含む旨説明したことからも明らかなように、T字管(図示略)など形状の異なる各種タイプとしても実施できる。
2 継ぎ手部
3 管本体
5 熱膨張性耐火材
14 床スラブ
17 立管継ぎ手部材
40 素管部
41 耐火被覆層
51 管外装部
50 耐火性付属部材
52 継ぎ手外装部
OL オーバーラップ領域
Claims (7)
- 建築物内で床スラブ(14)を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材(17)に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部(2)と、この継ぎ手部(2)から延びる管本体(3)とを有し、上記継ぎ手部(2)の外周面又は内周面には上記立管継ぎ手部材(17)との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域(OL)に対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする排水管。
- 前記継ぎ手部(2)は、立管継ぎ手部材(17)に設けられた受口型管端部に対して内嵌可能な挿口部として形成されており、この継ぎ手部(2)の外周面又は内周面に前記熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排水管。
- 前記継ぎ手部(2)は、立管継ぎ手部材(17)に設けられた挿口型管端部を内嵌可能な受口部として形成されており、この継ぎ手部(2)の内周面に前記熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排水管。
- 建築物内で床スラブ(14)を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材(17)に対して内嵌又は外嵌の嵌合関係を持って接続可能にされた継ぎ手部(2)と、この継ぎ手部(2)から延びる管本体(3)とを有し、この管本体(3)において上記継ぎ手部(2)に近接した部位のまわりに、当該部位の外周面を取り囲む耐火性材料製の管外装部(51)を有した耐火性付属部材(50)が設けられており、この耐火性付属部材(50)の管外装部(51)と管本体(3)との周間には、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材(5)が介設されていることを特徴とする排水管。
- 前記耐火性付属部材(50)は、管外装部(51)から継ぎ手部(2)側へ延びて当該継ぎ手部(2)の外周面をも取り囲む耐火性材料製の継ぎ手外装部(52)を有していることを特徴とする請求項4記載の排水管。
- 前記継ぎ手部(2)及び管本体(3)は非耐火性材料によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の排水管。
- 建築物内で床スラブ(14)を貫通して配管される耐火性の立管継ぎ手部材(17)に対してこの立管継ぎ手部材(17)に設けられた受口型管端部へ内嵌可能な挿口部として形成された継ぎ手部(2)と、この継ぎ手部(2)から延びる管本体(3)とを有し、これら継ぎ手部(2)及び管本体(3)は、非耐火性材料によって形成された素管部(40)と、この素管部(40)まわりを被覆する耐火性材料によって形成された耐火被覆層(41)とを有しており、上記継ぎ手部(2)の外周面には、上記立管継ぎ手部材(17)との嵌合によってできる両者のオーバーラップ領域(OL)に対応する位置付けで、所定の温度で膨張する熱膨張性耐火材(5)が設けられていることを特徴とする排水管。
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