JP2007055824A - モールドプレス成形装置、および成形品の製造方法 - Google Patents

モールドプレス成形装置、および成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数の成形型に対して、加熱やプレスを連続的に行うことで、光学素子等の成形品を効率よく製造可能なモールドプレス成形装置において、移送に伴う成形型の振動を防止することにより、高精度の光学素子などを安定して製造可能な構成、および成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】 モールドプレス成形装置1は、複数の成形型を各々、装置筐体2の周方向の所定位置に保持しておく一方、装置筐体2内で回転する移動ケース体3には、複数のヒータ6を設けておき、移動ケース体3を回転させて成形型を加熱する。移動ケース体3の各ゾーンT1〜T8のうち、ゾーンT4〜T6が到来している成形型配置領域R4〜R6では、押圧装置7により、成形型を押圧する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被成形素材を保持した成形型に加熱処理、プレス処理を連続的に行うことのできるモールドプレス成形装置、および成形品の製造方法に関するものである。更に詳しくは、成形後に被成形面に対する研磨等の後加工を必要としない成形精度を得るための成形技術に関するものである。
モールドプレス成形装置としては、従来、図8に示すように、複数の処理室P2〜P8が円周方向にこの順に構成され、処理室P2と処理室P8との間に搬出入部P1が配置されたものが提案されている。複数の処理室P2〜P8は各々、加熱室、プレス室、冷却室等に対応するものであり、これらの処理室P2〜P8の中を、被成形素材を収容した成形型が回転テーブル11によって順次移送されていく。ここで、処理室P2〜P8は、チャンバー12の中でケース13によって取り囲まれた状態にある。回転テーブル11は、中央の回転軸回りに間欠的に回転駆動可能に設けられており、成形型を支持した試料台が回転テーブル11上に配置されている(特許文献1参照)。
また、モールドプレス成形装置としては、加熱部、成形部、冷却部を一連の循環ルートに配置し、被成形素材と成形型とを、加熱部において同時に並行移送し、プレス圧力を加える前に、被成形素材を成形型の中に移し換える構造のものも提案されている。ここで、成形型が配置されたパレットは、押し出しシリンダーまたは引き出しシリンダーによって各工程に移送される(特許文献2参照)。
更に、特許文献3には、軟化したガラス素材を、成形型で加圧し、成形面を転写する工程、成形型を冷却する工程、取出工程を含むガラス光学素子の製造方法において、転写のための加圧に引き続き、冷却工程の途中で更に後加圧を行う方法が開示されている。
特公平7−29779号公報 特開平6−183753号公報 特開2002−145630号公報
特許文献1に記載されたモールドプレス成形装置によれば、被成形素材(例えば、ガラスプリフォーム)を収容した成形型を複数個用意し、順次モールドプレス成形装置内に導入し、装置内で間欠的に移送することによって、加熱、プレス、冷却といった処理が連続的に施され、レンズ等の光学素子といった成形品を効率よく製造できる。この装置では、加熱、プレス、冷却の各室は個々の所定温度に維持され、成形素材を収容した成形型はそれらの中を順次移送されることによって適切な温度サイクルを与えられる。ヒータやその周囲の装置部材など熱容量の大きいものの温度サイクルが必要ないため、生産効率、エネルギーの点で非常に有利である。
しかしながら、かかるモールドプレス成形装置によれば、回転テーブル上に配置された成形型は、回転起動時、移送時もしくは停止時に振動を受けることがあり、成形型内の被成形素材がわずかな位置ずれを起こすおそれがあり、このような位置ずれは成形精度を低下させるため好ましくない。特に、球形状や両凸曲面形状の被成形素材を収納した成形型において、成形型の上型もしくは下型の少なくとも一方が凸状成形面を有する成形型を使用する場合、すなわちメニスカスレンズや両凹レンズを成形する場合、成形型内における被成形素材の位置ずれが生じやすく、偏肉の原因となる。また、成形型を回転テーブルに配置した状態でプレスするため、回転テーブル自体がプレス荷重によって撓む可能性があり、このような撓みが発生すると成形型を鉛直方向に押圧できないので、成形品の形状に悪影響を及ぼすおそれがある。型形状を転写し、冷却前の成形体が振動を受けることで面精度劣化の原因となる事もある。
また、特許文献2に記載されたモールドプレス成形装置では、成形型を配置したパレットが移動する際の摩擦振動によって、特許文献1に記載のモールドプレス成形装置と同様、成形型内の被成形素材が位置ずれすることに起因する不具合が発生するおそれがある。しかも、隣接したパレットを接触させつつ順次押し出しているため、パレット間での熱伝導などが原因で、各成形型の精緻な温度管理を行えないという問題点がある。
更に、特許文献1や2に記載された成形装置では、成形型が一定時間ごとに移送されるため、押圧時間を長くする必要がある場合には、全工程における滞留時間が長くなり、サイクルタイムを延長させてしまう。また、押圧の間に移送をさせると、移送中は荷重のかからない時間が生じてしまうため、得ようとする成形体の大きさや形状によって最適のプレス条件を施すことができない問題がある。この問題は、実質的なサイクルタイム短縮のために、室数を増加して同時により多くの成形型を配置しようとするときに顕著になる。
例えば、成形難度の高い、凹メニスカスレンズ、両凹レンズ、径20mm以上の中口径、大口径の光学素子を成形するときには、プレス条件の最適化が特に重要である。例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたモールドプレス成形装置では、被成形素材に対して所定温度にて初期加圧を行った後に、成形型を冷却する過程で、更に成形型を加圧する場合、初期加圧を一旦解除して後段の処理室に成形型を移送し、その処理室で成形型を再び加圧(二次加圧)することになる。このように温度条件の異なる初期加圧と二次加圧を、連続的に行うことができない場合、高精度の成形品を得ることが難しい。
特許文献3の装置によると、転写のための加圧に引き続き、冷却工程の途中で更に後加圧を行うことができる。しかしながら、プレス装置に固定された成形型が、同様にプレス装置に固定されたヒータにより昇温されるため、上記の温度サイクルに際しては、ヒータ自身やその周囲の装置部材の熱容量が昇温、降温の迅速な応答性を阻害し、サイクルタイムが短縮されにくい。
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、複数の成形型に対して、加熱やプレスを連続的に行うことで、光学素子等の成形品を効率よく製造可能なモールドプレス成形装置において、移送に伴う成形型の振動を防止することにより、高精度の光学素子などを安定して製造可能な構成、および成形品の製造方法を提供することにある。
また、本発明の課題は、常に成形型および成形品に処理を施すことにより、製造タクトを短縮可能なモールドプレス成形装置、および成形品の製造方法を提供することにある。
更に、本発明の課題は、成形型を押圧したまま、成形型が配置されている領域の温度を変更可能にして、成形精度を更に向上可能なモールドプレス成形装置、および成形品の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、被成形素材が収容された成形型を所定温度に加熱した状態で押圧手段により押圧して被成形素材を所定形状に成形するモールドプレス成形装置において、複数の前記成形型を各々、定位置に保持する成形型保持体と、前記複数の成形型の配置領域に複数の加熱部を順次、移動させていく駆動機構とを有していることを特徴とする。
本発明を適用したモールドプレス成形装置を用いた成形品の製造方法では、前記被成形素材が収容された前記複数の成形型を各々、前記成形型保持体によって所定の位置に保持した状態で、前記複数の成形型の配置領域に前記複数の加熱部を順次移動させ、前記成形型を所定の条件で加熱した状態で前記押圧手段によって前記成形型に押圧処理を行うことを特徴とする。
本発明では、複数の成形型に対して、加熱や押圧などの各種処理を連続的に行うことができるので、光学素子等の成形品を効率よく製造することができる。また、成形型は、複数の加熱部で順次、加熱されるため、適正な加熱パターンを実現できる。更に、成形型を定位置に保持した状態のまま、加熱や押圧などの各種処理を行い、成形型を移送しない。このため、移送に伴う成形型および被成形素材の振動が発生しないので、成形型内で被成形素材が位置ずれすることがない。また、成形型を回転テーブルなどの移送手段で保持する必要がないため、回転テーブルがプレス荷重によって撓むなどといった問題が発生せず、成形型を好適な方向から押圧できる。更に、成形型をパレットなどの移送手段で保持する必要がないため、パレット間での熱伝導が発生せず、各成形型の温度を精緻に管理することができる。それ故、本発明によれば、高精度の成形品を製造することができる。
本発明において、前記複数の加熱部は各々、異なる温度に前記成形型を加熱することが好ましい。このように構成すると、被成形素材を最適な温度条件に設定して成形することができる。
本発明において、前記複数の成形型は、前記成形型保持体によって円周方向で所定の間隔をあけた位置に保持され、前記駆動機構は、前記複数の加熱部が円周方向の所定位置に保持された回転体を備えていることが好ましい。
本発明において、前記複数の成形型の配置領域を不活性雰囲気に保持する装置筐体を有し、この装置筐体の内部には、前記複数の成形型の配置領域を囲むように移動ケース体が配置されることがある。このような場合、移動ケース体を前記複数の成形型の配置領域を囲んだ状態で前記装置筐体内で回転するように構成し、この移動ケース体を前記回転体として用いることが好ましい。この場合、当該移動ケース体の内側に前記複数の加熱部を取り付ければよい。
本発明において、前記複数の成形型の配置領域の各々に前記押圧手段が配置されていることが好ましい。このように構成したモールドプレス成形装置を用いた成形品の製造方法では、前記被成形素材が収容された前記複数の成形型を各々、前記成形型保持体によって所定の位置に保持した状態で、前記複数の成形型の配置領域に前記複数の加熱部を順次移動させ、前記成形型を所定の条件で加熱した状態で前記押圧手段によって前記成形型に押圧処理を行うとともに、前記押圧手段によって前記成形型に押圧処理を行ったまま、前記複数の加熱部を移動させて前記成形型の温度環境を変化させることが好ましい。
本発明において、前記回転体の周方向の所定位置には、前記押圧手段の全体あるいは当該押圧手段を構成する部材の一部が取り付けられている構成を採用してもよい。
本発明において、前記複数の成形型が配置されている領域の各々には、前記成形型を直接、あるいは前記成形型保持体を介して冷却するための冷却機構が配置されていることが好ましい。
本発明において、前記回転体の周方向の所定位置には、前記成形型を冷却するための冷却機構の全体あるいは当該冷却機構を構成する部材の一部が取り付けられている構成を採用してもよい。
本発明においては、更に、前記成形型を当該成形型保持体上に搬入するとともに、前記成形型を前記成形型保持体上から搬出する成形型搬出入機構が構成されていることが好ましい。
本発明は、前記被成形素材として光学素子製造用のガラス素材を用い、前記成形品としてガラス光学素子を製造するのに適している。
本発明では、複数の成形型に対して、加熱や押圧などの各種処理を連続的に行うことができるので、光学素子等の成形品を効率よく製造することができる。また、成形型は、複数の加熱部で順次、加熱されるため、適正な加熱パターンを実現できる。更に、成形型を定位置に保持した状態のまま、加熱や押圧などの各種処理を行い、成形型を移送しない。このため、移送に伴う成形型および被成形素材の振動が発生しないので、成形型内で被成形素材が位置ずれすることがない。また、成形型を回転テーブルなどの移送手段で保持する必要がないため、回転テーブルがプレス荷重によって撓むなどといった問題が発生せず、成形型を好適な方向から押圧できる。更に、成形型をパレットなどの移送手段で保持する必要がないため、パレット間での熱伝導が発生せず、各成形型の温度を精緻に管理することができる。しかも、成形型については処理が終了次第、搬出することができるので、製造効率が高いという利点がある。それ故、本発明によれば、高精度のガラス光学素子を安定して製造することができ、このような高精度のガラス光学素子であれば、成形後に被成形面に対する研磨等の後加工を必要としない。よって、デジタルカメラ等の撮像機器や、光ピックアップ、携帯端末用小型撮像機器などに用いられるガラス光学素子は、その光学的要求性能が極めて高く、しかも低価格化の要求が強いが、本発明によれば、かかる要求に対応することができる。
図面を参照して、本発明を適用したモールドプレス成形装置の一例を説明する。
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るモールドプレス成形装置の平面的な構成を示す説明図である。図2(a)〜(e)は、図1のA−A′断面図、B−B′断面図、C−C′断面図、D−D′断面図およびE−E′断面図である。
図1に示すように、本形態におけるモールドプレス成形装置1では、機台(図示せず)上に、内側を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に保持可能な円環状の装置筐体2が固定されており、装置筐体2の内部には、8つの成形型配置領域R1〜R8が等間隔に配置されている。8つの成形型配置領域R1〜R8は、図1および図2を参照して以下に説明するように、いずれも同一な構造をもって構成されている。
図1および図2に示すように、成形型配置領域R1〜R8では、その中央部分に装置筐体2の底部から立ち上がった成形型支持台5(成形型保持体)が配置されており、成形型支持台5の上には成形型4が載置されている。成形型4は、下型、上型および胴型から構成され、内部には光学素子を製造するためのガラス素材などといった被成形素材を保持している。
成形型配置領域R1〜R8では、装置筐体2の上面部のうち、成形型支持台5と対向する位置に押圧装置7が固定されている。押圧装置7は、装置筐体2の上面部に固定された本体部分71と、この本体部分71から下方に突出したロッド72と、ロッド72の下端部に取り付けられた押圧ヘッド73とを備えている。
また、成形型配置領域R1〜R8では、装置筐体2の外周側面部に、内側に向けて張り出すようにカバー板21が固定されており、このカバー板21において、押圧装置7と成形型支持台5とが対向する部分には開口部22が形成されている。
成形型支持台5は、成形型搬出入装置9を構成する成形型昇降装置の出力軸90の先端部に固定されており、出力軸90が上昇した状態で成形型4を装置筐体2内部に位置させる。これに対して、出力軸90が下降した状態で、成形型支持台5は、成形型4を装置筐体2の下方位置まで搬出する。ここで、成形型搬出入装置9は、装置筐体2の下方位置に搬送アーム91を備えており、搬送アーム91は、装置筐体2の下方に下降してきた成形型支持台5から、全ての処理が完了した成形型4を搬出するとともに、空になった成形型支持台5に処理前の成形型4を搬入する。また、装置筐体2の底面部には、成形型昇降装置の出力軸90、成形型支持台5および成形型4を搬出入するための開口部23が形成されているとともに、装置筐体2の底面部には、開口部23を開閉するシャッタ板26を備えたシャッタ装置25が構成されている。
本形態において、成形型支持台5および出力軸90の内部は中空になっており、この中空部分には、冷却装置8の冷却ガス放出管81が配置されている。
このような構成は8つの成形型配置領域R1〜R8のいずれにおいても同様であるため、本形態のモールドプレス成形装置1では、成形型支持台5、押圧装置7、カバー板21、成形型搬出入装置9の昇降装置、および冷却装置8は計8組、構成されていることになる。なお、カバー板21は、各成形型配置領域R1〜R8に独立して構成してもよいが、一枚の円環状のカバー板で構成してもよい。
本形態のモールドプレス成形装置1は、装置筐体2の内部に配置された円環状の移動ケース体3(回転体)と、この移動ケース体3を装置筐体2の内部に沿って円周方向に回転させる駆動機構(矢印:CWで示す)とが配置されており、駆動機構は、移動ケース体3に対する回転軸(図示せず)と、この回転軸を中心に時計周りCWに移動ケース体3を間欠的に回転させるインデックス装置(図示せず)を備えている。
ここで、移動ケース体3は、装置筐体2内の定位置に保持された成形型4の各々に所定の処理を順次、行うための8つのゾーンT1〜T8に区画されている。これら8つのゾーンT1〜T8は各々、以下に示すように、
第1ゾーンT1:第1加熱ゾーン(加熱処理用)
第2ゾーンT2:第2加熱ゾーン(加熱処理用)
第3ゾーンT3:第3加熱ゾーン(加熱処理用)
第4ゾーンT4:第1押圧ゾーン(押圧処理用)
第5ゾーンT5:第2押圧ゾーン(押圧および徐冷処理用)
第6ゾーンT6:第3押圧ゾーン(押圧および徐冷処理用)
第7ゾーンT7:急冷ゾーン(急冷処理用)
第8ゾーンT8:搬出入ゾーン(搬出入用)
成形型4に対する処理に対応しており、移動ケース体3には、上記のゾーンT1〜T8がこの順に反時計周りCCWに配置されている。
本形態では、移動ケース体3のゾーンT1〜T8のいずれにおいても、移動ケース体3の外周側面部および内周側面部に抵抗加熱ヒータなどのヒータ6(加熱部)が配置されており、ヒータ6の背後にはリフレクタ60が配置されている。また、移動ケース体3において、8つのゾーンT1〜T8のいずれにおいても底面部にスリット31が形成されており、移動ケース体3が回転したときでも、移動ケース体3と成形型支持台5とが干渉しないようになっている。
また、円環状の装置筐体2の中心側には制御部10が構成されており、この制御部10は、移動ケース体3の移動および停止の制御、押圧装置7の駆動制御を行う。また、移動ケース体3の各ゾーンT1〜T8に配置されたヒータ6に対しては、スリップリング等のロータリージョイントやレール式の給電装置を介して給電が行われる。なお、装置筐体2の内側中央部には、制御部10と、移動ケース体3側のヒータ6、押圧装置7、冷却装置8などとの接続を円滑に行うための中継部(図示せず)が設けられている。
ここで、制御部10は、各ゾーンT1〜T8の温度を所定の条件に設定する。このようなゾーンT1〜T8毎の温度設定は、例えば、各ヒータ6を各々独立して駆動することにより行うことができる。この場合、第1ゾーンT1、および第2ゾーンT2のヒータ6は、成形型4に対する加熱処理用であるため、成形型4を急速に加熱するように大電力で駆動される。これに対して、第3ゾーンT3は均熱処理を兼ねているため、第1ゾーンT1、および第2ゾーンT2のヒータ6と比較して小電力、あるいは第2ゾーンT2のヒータ6と同等の電力で駆動される。第4ゾーンT4は押圧ゾーンであり、第3ゾーンT3のヒータ6と同等の電力で駆動される。第5ゾーンT5および第6ゾーンT6のヒータ6は、第3ゾーンT3に比較して小電力で駆動される。また、第7ゾーンT7および第8ゾーンT8のヒータ6には給電されない。
また、制御部10によって、各ゾーンT1〜T8の温度を所定の条件に設定するにあたっては、各ゾーンT1〜T8にシャッタ(図示せず)を設け、このシャッタの開閉により温度制御を行ってもよい。このような構成によれば、各ゾーンT1〜T8のヒータ6を一体に構成することができる。
(動作)
本形態におけるモールドプレス成形装置1では、装置筐体2内の定位置に成形型4を停止させておく一方、駆動装置によって、移動ケース体3を時計周りCWに間欠的に回転させることにより、各ゾーンT1〜T8を各成形型配置領域R1〜R8に順次、移動させて、成形型4に対する加熱処理、プレス処理、および冷却処理を順次行っていく。その様子を図1および図2を参照して説明する。
図1に示す時点において、第1ゾーンT1、第2ゾーンT2および第3ゾーンT3が位置する3つの成形型配置領域R1〜R3では、成形型4に対する加熱処理が行われ、図2(a)に示すように、成形型支持台5上において成形型4および成形型4内の被成形素材はヒータ6によって加熱されている。なお、第1ゾーンT1、第2ゾーンT2および第3ゾーンT3が位置する成形型配置領域R1〜R3では、押圧装置7、冷却装置8および成形型搬出入装置9は作動していない。ここで、第2ゾーンT2は、第1ゾーンT1よりも成形型4および被成形素材を更に高温に加熱する。また、第3ゾーンT3は、第2ゾーンT2の設定温度と同等か若干低い温度で成形型4を加熱し、成形型4および被成形素材を均一温度とする。
次に、第4ゾーンT4が位置する成形型配置領域R4では、成形型4に対する第1押圧処理が行われ、図2(b)に示すように、成形型支持台5上において成形型4の上型は、押圧装置7の押圧ヘッド73により、押圧される。この時のヒータ6による加熱温度は、前段の第3ゾーンT3と同等の温度(例えば、ガラス素材の粘度が107.5〜1010.5dPa・sとなる温度)に設定されている。
次に、第5ゾーンT5および第6ゾーンT6が位置する各成形型配置領域R5、R6では、成形型4に対する第2押圧処理および第3押圧処理が行われ、図2(c)に示すように、成形型支持台5上において成形型4の上型は、押圧装置7の押圧ヘッド73により押圧されている。この時のヒータ6による加熱温度は、第4ゾーンT4よりも低い温度(例えば、ガラス素材の粘度が1011.5dPa・s以下となる温度)に設定される。従って、第5ゾーンT5および第6ゾーンT6が位置する各成形型配置領域R5、R6では、成形型4に対する徐冷が同時に行われる。なお、第5ゾーンT5が位置する各成形型配置領域R5での押圧は、成形型配置領域R5に第4ゾーンT4が位置している状態から継続され、第6ゾーンT6が位置する各成形型配置領域R6での押圧は、成形型配置領域R6に第5ゾーンT5が位置している状態から継続されている。
次に、第7ゾーンT7が位置する成形型配置領域R7では、成形型4に対する冷却処理が行われ、図2(d)に示すように、成形型支持台5上の成形型4は、押圧装置7による押圧から解除されている。また、冷却装置8の冷却ガス放出管81から成形型支持台5の中空部内に冷却ガスが放出され、成形型支持台5を介して成形型4が冷却される。このような冷却により、成形型4内の温度はガラス転移温度以下まで急冷される。
次に、第8ゾーンT8が位置する成形型配置領域R8では、成形型4に対する全ての処理が完了しており、図2(e)に示すように、成形型搬出入装置9を構成する成形型昇降装置の出力軸90は、開口部23から成形型4および成形型支持台5を装置筐体2の下方まで降下させる。そして、搬送アーム91は、全ての処理が完了した成形型4を搬出する一方、これから処理を行う成形型4を成形型支持台5上に載置する。そして、昇降装置は、次の成形型4を成形型支持台5とともに移動ケースの内部にまで搬入する。
上記の動作は、所定の時間内に各成形型配置領域R1〜R8で並行して行われ、所定の時間が経過すると、移動ケース体3が時計周りCWの方向に回転し、上記の動作が繰り返される。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態を適用したモールドプレス成形装置1では、複数の成形型4に対して、加熱や押圧などの各種処理を連続的に行うことができるので、ガラス光学素子等の成形品を効率よく製造することができる。また、成形型4は、複数のヒータ6で順次、加熱されるため、最適な加熱パターンを実現できる。更に、成形型4を定位置に保持した状態のまま、加熱や押圧などの各種処理を行い、成形型4を移送しない。このため、移送に伴う成形型4および被成形素材の振動が発生しないので、成形型4内で被成形素材が位置ずれすることがない。また、成形型4を回転テーブルなどの移送手段で保持する必要がないため、回転テーブルがプレス荷重によって撓むなどといった問題が発生せず、成形型4を好適な方向から押圧できる。更に、成形型4をパレットなどの移送手段で保持する必要がないため、パレット間での熱伝導が発生せず、各成形型4の温度を精緻に管理することができる。従って、本形態によれば、高精度のガラス光学素子を安定して製造することができ、このような高精度のガラス光学素子であれば、成形後に被成形面に対する研磨等の後加工を必要としない。よって、デジタルカメラ等の撮像機器や、光ピックアップ、携帯端末用小型撮像機器などに用いられるガラス光学素子は、その光学的要求性能が極めて高く、しかも低価格化の要求が強いが、本発明によれば、かかる要求に対応することができる。
また、ヒータ6を搭載した移動ケース体3の方を移動させるため、成形型4を移動させる場合と違って成形型4の振動を考慮する必要がないので、移動ケース体3を高速で移動させることができる。それ故、処理と処理との間の時間を短縮できる。しかも、移動ケース体3が移動している間も押圧処理を継続できるなど、タクトを大幅に短縮できる。更に、成形に必要な、昇温・高温の熱サイクルを、熱容量の大きい筐体に及ぼさずに成形型4に施すため、熱サイクルの応答性、再現性が良く、短い成形サイクルタイムでの量産が行える。
更に、本形態では、複数の成形型配置領域R1〜R8の各々に押圧装置7が配置されているため、押圧装置7によって成形型4に押圧処理を行ったまま、ヒータ6を移動させて成形型4の温度環境を変化させることができる。それ故、初期加圧を行った後に、成形型4を冷却する過程で、更に成形型4を加圧する場合でも、初期加圧を解除することなく温度を変更して二次加圧することが可能である。それ故、初期加圧を解除した際の成形品の位置ずれや温度変化による成形品の収縮が発生しないので、高精度のガラス光学素子(成形品)を製造することができる。
なお、本形態においては、各成形型配置領域R1〜R8に冷却ガス放出管81を配置したため、押圧開始と同時、もしくは押圧開始直後に成形型4を冷却することもできる。
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2に係るモールドプレス成形装置を図1のA−A′線、B−B′線、C−C′線、D−D′線およびE−E′線に相当する位置で切断したときの断面図である。なお、本形態は、基本的な構成が実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
図3に示すように、本形態のモールドプレス成形装置1も、実施の形態1と同様、機台(図示せず)上に、内側を不活性雰囲気に保持可能な円環状の装置筐体2が固定されており、装置筐体2の内部には、成形型4が載置された成形型支持台5を備えた8つの成形型配置領域R1〜R8が等間隔に配置されている。
本形態のモールドプレス成形装置1でも、実施の形態1と同様、装置筐体2の内部に円環状の移動ケース体3が配置され、移動ケース体3の内部には、8つのゾーンT1〜T8が構成され、いずれのゾーンT1〜T8にも、所定の条件で制御されるヒータ6、およびリフレクタ60が配置されている。
このようなモールドプレス成形装置1において、本形態では、装置筐体2には、成形型配置領域R1〜R8のいずれにも、押圧装置7を構成する部材のうち、ロッド72を下方に向けた本体部分71が搭載されている一方、移動ケース体3の上面部には押圧ヘッド74が取り付けられている。押圧ヘッド74は、圧縮バネ75によって上方に付勢されている。
このように構成したモールドプレス成形装置1では、第4ゾーンT4が到来した成形型配置領域R4でロッド72が降下し、ロッド72により押圧ヘッド74が下方に押圧されて成形型4を押圧する。このような押圧は、移動ケース体3の第5ゾーンT5および第6ゾーンT6が到来した成形型配置領域R5、R6でも同様に行われる。また、ロッド72が上昇したとき、押圧ヘッド74は、圧縮バネ75によって上方に付勢されて上方に移動する。その他の構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
このような構成のモールドプレス成形装置1でも、複数の成形型4に対して、加熱や押圧などの各種処理を連続的に行うことができるので、ガラス光学素子等の成形品を効率よく製造することができる。また、成形型4は、複数のヒータ6で順次、加熱されるため、最適な加熱パターンを実現できる。更に、成形型4を定位置に保持した状態のまま、加熱や押圧などの各種処理を行い、成形型4を移送しないため、移送に伴う成形型4および被成形素材の振動が発生しないので、成形型4内で被成形素材が位置ずれすることがないなどの効果を奏する。
[実施の形態3]
(全体構成)
図4は、本発明の実施の形態3に係るモールドプレス成形装置の平面的な構成を示す説明図である。図5(a)〜(d)は、図4のF−F′断面図、G−G′断面図、H−H′断面図、およびI−I′断面図である。なお、本形態は、基本的な構成が実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの説明を省略する。
図4に示すように、本形態におけるモールドプレス成形装置1でも、実施の形態1と同様、機台(図示せず)上に、内側を不活性雰囲気に保持可能な円環状の装置筐体2が固定されており、装置筐体2の内部には、8つの成形型配置領域R1〜R8が等間隔に配置されている。8つの成形型配置領域R1〜R8は、図4および図5を参照して以下に説明するように、いずれも同一な構造をもって構成されている。
図4および図5に示すように、成形型配置領域R1〜R8では、その中央部分に装置筐体2の底部から立ち上がった成形型支持台5が配置されており、成形型支持台5の上には成形型4が載置されている。成形型4は、下型、上型および胴型から構成され、内部にはガラス素材などといった被成形素材を保持している。成形型支持台5は、成形型搬出入装置9を構成する成形型昇降装置の出力軸90の先端部に固定されている。
このような構成は、8つの成形型配置領域R1〜R8のいずれにおいても同様であるため、本形態のモールドプレス成形装置1では、成形型支持台5、成形型搬出入装置9の成形型昇降装置、およびシャッタ装置25は計8組、構成されていることになる。
また、本形態のモールドプレス成形装置1も、実施の形態1と同様、装置筐体2の内部に配置された円環状の移動ケース体3と、この移動ケース体3を装置筐体2の内部に沿って円周方向に回転させる駆動機構(矢印:CWで示す)とが配置されており、駆動機構は、移動ケース体3に対する回転軸と、この回転軸を中心に時計周りCWに移動ケース体3を間欠的に回転させるインデックス装置を備えている。
ここで、移動ケース体3は、装置筐体2内の定位置に保持された成形型4の各々に所定の処理を順次、行うための8つのゾーンT1〜T8に区画され、各ゾーンT1〜T8の境界部分にはシャッタU1〜U8を備えている。8つのゾーンT1〜T8は各々、以下に示すように、
第1ゾーンT1:第1加熱ゾーン(加熱処理用)
第2ゾーンT2:第2加熱ゾーン(加熱処理用)
第3ゾーンT3:第3加熱ゾーン(加熱処理用)
第4ゾーンT4:第1押圧ゾーン(押圧処理用)
第5ゾーンT5:第2押圧ゾーン(押圧および徐冷処理用)
第6ゾーンT6:第3押圧ゾーン(押圧および徐冷処理用)
第7ゾーンT7:急冷ゾーン(急冷処理用)
第8ゾーンT8:搬出入ゾーン(搬出入用)
成形型4に対する処理に対応しており、移動ケース体3に対して上記のゾーンT1〜T8がこの順に反時計周りCCWに配置されている。また、移動ケース体3において、8つのゾーンT1〜T8のいずれにおいても、底面部にはスリット31が形成されており、移動ケース体3が回転したときでも、移動ケース体3と成形型支持台5とが干渉しないようになっている。
本形態において、移動ケース体3には、8つのゾーンT1〜T8のうち、第1ゾーンT1から第6ゾーンT6までの6つのゾーンT1〜T6に対してのみ抵抗加熱ヒータなどのヒータ6が配置されており、ヒータ6の背後にはリフレクタ60が配置されている。
また、移動ケース体3には、第4ゾーンT4から第6ゾーンT6までの3つのゾーンT4〜T6に対してのみ押圧装置7が各々搭載されている。押圧装置7は、図4に示すように、連結アーム39を介して移動ケース体3に固定され、移動ケース体3と一体に回転する。ここで、押圧装置7は、ロッド72を下方に向けた本体部分71、および押圧ヘッド73を備えており、本体部分71は、装置筐体2の上方に配置されている。但し、装置筐体2には周方向に装置筐体2の内外を封止可能なスリット28が形成され、このスリット28内をロッド72が貫通しているため、移動ケース体3が回転しても、ロッド72と装置筐体2が干渉することがない。なお、ロッド72は、移動ケース体3の上面部においても上下動可能に支持されている。
更に、本形態では、移動ケース体3には、第7ゾーンT7に対してのみ冷却装置8Aが搭載されている。冷却装置8Aは、図4に示すように、連結アーム38を介して移動ケース体3に固定され、移動ケース体3と一体に回転する。ここで、冷却装置8Aは、冷却ガス放出管82を備えており、この冷却ガス放出管82は、L字状に屈曲して移動ケース体3の内側にまで到達している。但し、冷却ガス放出管82は、装置筐体2において周方向に延びたスリット28内を貫通しているので、移動ケース体3が回転しても、冷却ガス放出管82と装置筐体2が干渉することがない。
本形態でも、装置筐体2の内側中心部分には制御部10が構成されており、この制御部10は、移動ケース体3の移動および停止の制御、押圧装置7の駆動制御を行う。また、移動ケース体3の各ゾーンに配置されたヒータ6に対しては、スリップリング等のロータリージョイントやレール式の給電装置を介して給電が行われる。更に、装置筐体2の内側中央部には、制御部10と、移動ケース体3側のヒータ6、押圧装置7、冷却装置8Aなどとの接続を円滑に行うための中継部(図示せず)が設けられている。
ここで、制御部10は、各ゾーンT1〜T6の温度を所定の条件に設定する。このようなゾーンT1〜T6毎の温度設定は、例えば、各ゾーンT1〜T6に設けたシャッタU1〜U7の開閉により温度制御を行う。このような構成によれば、各ゾーンのヒータ6を一体に構成することができる。
なお、ゾーンT1〜T6毎の温度設定は、実施の形態1のように、各ヒータ6を各々独立して駆動することによっても行うことができる。
(動作)
本形態におけるモールドプレス成形装置1では、実施の形態1と同様、装置筐体2内の定位置に成形型4を停止させておく一方、移動ケース体3を間欠的に回転させることにより、各ゾーンT1〜T8を各成形型配置領域R1〜R8に順次、移動させて、成形型4に対する加熱処理、プレス処理、および冷却処理を順次行っていく。その様子を図4および図5を参照して説明する。
図4において、第1ゾーンT1、第2ゾーンT2および第3ゾーンT3が位置する3つの成形型配置領域R1〜R3では、成形型4に対する加熱処理が行われ、図5(a)に示すように、成形型支持台5上において成形型4および成形型4内の被成形素材はヒータ6によって加熱される。なお、第2ゾーンT2は、第1ゾーンT1よりも成形型4および被成形素材を更に高温に加熱する。また、第3ゾーンT3は、第2ゾーンT2の設定温度と同等か若干低い温度で成形型4を加熱し、成形型4および被成形素材を均一の温度とする。
次に、第4ゾーンT4が位置する成形型配置領域R4では、成形型4に対する第1押圧処理が行われ、図5(b)に示すように、成形型支持台5上において成形型4の上型は、押圧装置7の押圧ヘッド73により、押圧されている。この時のヒータ6による加熱温度は、前段の第3ゾーンT3と同等の温度に設定されている。
次に、第5ゾーンT5および第6ゾーンT6が位置する各成形型配置領域R5、R6では、成形型4に対する第2押圧処理および第3押圧処理が行われる。その様子は概ね、図5(b)と同様に表される。ここでのヒータ6による加熱温度は、第4ゾーンT4よりも低い温度に設定される。従って、第5ゾーンT5および第6ゾーンT6が位置する各成形型配置領域R5、R6では、成形型4に対する徐冷が同時に行われる。なお、第5ゾーンT5が位置する各成形型配置領域R5での押圧は、成形型配置領域R5に第4ゾーンT4が位置していたときの押圧を一旦解除して、第5ゾーンT5が成形型配置領域R5まで移動し、停止してから、押圧装置7が成形型4を押圧する。また、第6ゾーンT6が位置する成形型配置領域R6での押圧は、成形型配置領域R6に第5ゾーンT5が位置していたときの押圧を一旦解除して、第6ゾーンT6が成形型配置領域R6まで移動し、停止してから、押圧装置7が成形型4を押圧する。
次に、第7ゾーンT7が位置する成形型配置領域R7では、成形型4に対する冷却処理が行われ、図5(c)に示すように、成形型支持台5上の成形型4は、押圧装置7による押圧から解除されている。また、冷却装置8の冷却ガス放出管81から成形型4に冷却ガスが放出され、成形型4が直接、冷却される。このような冷却により、成形型4内の温度はガラス転移温度以下まで低下する。
次に、第8ゾーンT8が位置する成形型配置領域R8の成形型4は、全ての処理が完了しており、図5(d)に示すように、成形型搬出入装置9を構成する成形型昇降装置は、開口部23から成形型4および成形型支持台5を装置筐体2の下方まで降下させる。そして、搬送アーム91は、全ての処理が完了した成形型4を搬出する一方、これから処理を行う成形型4を成形型支持台5上に載置する。そして、昇降装置は、次の成形型4を成形型支持台5とともに移動ケースの内部にまで搬入する。
上記の動作は、所定の時間内に各成形型配置領域R1〜R8で並行して行われ、所定の時間が経過すると、移動ケース体3が時計周りCWの方向に回転し、上記の動作が繰り返される。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のモールドプレス成形装置1でも、実施の形態1と同様、複数の成形型4に対して、加熱や押圧などの各種処理を連続的に行うことができるので、光学素子等の成形品を効率よく製造することができる。また、成形型4は、複数のヒータ6で順次、加熱されるため、最適な加熱パターンを実現できる。更に、成形型4を定位置に保持した状態のまま、加熱や押圧などの各種処理を行い、成形型4を移送しないため、移送に伴う成形型4および被成形素材の振動が発生しない。このため、成形型4内で被成形素材が位置ずれすることがないので、高精度のガラス光学素子を安定して製造することができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
なお、本形態においても、実施の形態1と同様、成形型支持台5および出力軸の内部を中空とし、その中空部分には、冷却装置8の冷却ガス放出管81を配置した構造を採用してもよい。このような冷却装置8を用いれば、押圧開始と同時、もしくは押圧開始直後に成形型4を冷却することができる。
[その他の実施の形態]
上記形態では、成形型4の上方に押圧装置7を配置した構造であったが、図6に示すように、成形型支持台5の側に、ロッド76を備えた押圧装置7Bを設ける一方、移動ケース体3の上面部に受け部77を構成し、押圧装置7Bによって成形型支持台5を上方に押し上げることにより、受け部77と成形型支持台5との間で成形型4を押圧してもよい。
また、実施の形態1、2では、冷却装置8を構成する部材を装置筐体2に搭載した方式を採用し、実施の形態3では、冷却装置8Aを構成する部材を移動ケース体3に搭載した方式を採用したが、図7(a)に示すように、冷却装置8を構成する部材のうち、冷却ガス中継部材86を装置筐体2に固定しておく一方、移動ケース体3に対して冷却ガス放出管87を設け、図7(b)に示すように、移動ケース体3の移動に伴って、冷却ガス中継部材86の配管と、冷却ガス放出管87とが連通した際、冷却ガス中継部材86を中継して冷却ガス放出管87に冷却ガスを供給し、冷却ガス放出管87から成形型4に冷却ガスを放出するように構成してもよい。
更に、上記実施の形態では、成形型配置領域R1〜R8を円周方向に配置した構造であったが、例えば、矩形の循環ルートに沿って成形型配置領域R1〜R8を配置し、矩形の循環ルートに沿って、ヒータ6が移動する構成を採用してもよい。
本発明の実施の形態1に係るモールドプレス成形装置の平面的な構成を示す説明図である。 (a)〜(e)は、図1のA−A′断面図、B−B′断面図、C−C′断面図、D−D′断面図およびE−E′断面図である。 本発明の実施の形態2に係るモールドプレス成形装置を図1のA−A′線、B−B′線、C−C′線、D−D′線およびE−E′線に相当する位置で切断したときの断面図である。 本発明の実施の形態3に係るモールドプレス成形装置の平面的な構成を示す説明図である。 (a)〜(d)は、図4のF−F′断面図、G−G′断面図、H−H′断面図、およびI−I′断面図である。 本発明を適用したモールドプレス成形装置に使用可能な別の押圧装置の構成を示す説明図である。 本発明を適用したモールドプレス成形装置に使用可能な別の冷却装置の構成を示す説明図である。 従来のモールドプレス成形装置の平面的な構成を示す説明図である。
符号の説明
1 モールドプレス成形装置
2 装置筐体
3 移動ケース(回転体)
4 成形型
5 成形型支持台(成形型保持体)
6 ヒータ(加熱部)
7、7B 押圧装置
9 成形型搬出入装置
8、8A 冷却装置
25 シャッタ装置
R1〜R8 成形型配置領域
T1〜T8 ゾーン

Claims (12)

  1. 被成形素材が収容された成形型を所定温度に加熱した状態で押圧手段により押圧して前記被成形素材を所定形状に成形するモールドプレス成形装置において、
    複数の前記成形型を各々、定位置に保持する成形型保持体と、前記複数の成形型の配置領域に複数の加熱部を順次、移動させていく駆動機構とを有していることを特徴とするモールドプレス成形装置。
  2. 請求項1において、前記複数の加熱部は各々、異なる温度に前記成形型を加熱することを特徴とするモールドプレス成形装置。
  3. 請求項1または2において、前記複数の成形型は、前記成形型保持体によって円周方向で所定の間隔をあけた位置に保持され、
    前記駆動機構は、前記複数の加熱部が円周方向の所定位置に保持された回転体を備えていることを特徴とするモールドプレス成形装置。
  4. 請求項3において、前記複数の成形型の配置領域を不活性雰囲気に保持する装置筐体を有し、
    前記回転体は、前記複数の成形型の配置領域を囲んだ状態で前記装置筐体内で回転する移動ケース体であり、
    当該移動ケース体の内側に前記複数の加熱部が取り付けられていることを特徴とするモールドプレス成形装置。
  5. 請求項3または4において、前記複数の成形型の配置領域の各々に前記押圧手段が配置されていることを特徴とするモールドプレス成形装置。
  6. 請求項3または4において、前記回転体の周方向の所定位置には、前記押圧手段の全体あるいは当該押圧手段を構成する部材の一部が取り付けられていることを特徴とするモールドプレス成形装置。
  7. 請求項3または4において、前記複数の成形型が配置されている領域の各々には、前記成形型を直接、あるいは前記成形型保持体を介して冷却するための冷却機構が配置されていることを特徴とするモールドプレス成形装置。
  8. 請求項3または4において、前記回転体の周方向の所定位置には、前記成形型を冷却するための冷却機構の全体あるいは当該冷却機構を構成する部材の一部が取り付けられていることを特徴とするモールドプレス成形装置。
  9. 請求項1乃至8の何れか一項において、更に、前記成形型を当該成形型保持体上に搬入するとともに、前記成形型を前記成形型保持体上から搬出する成形型搬出入機構が構成されていることを特徴とするモールドプレス成形装置。
  10. 請求項1乃至9の何れか一項に記載のモールドプレス成形装置を用いた成形品の製造方法であって、
    前記被成形素材が収容された前記複数の成形型を各々、前記成形型保持体によって所定の位置に保持した状態で、前記複数の成形型の配置領域に前記複数の加熱部を順次移動させ、前記成形型を所定の条件で加熱した状態で前記押圧手段によって前記成形型に押圧処理を行うことを特徴とする成形品の製造方法。
  11. 請求項5に記載のモールドプレス成形装置を用いた成形品の製造方法であって、
    前記被成形素材が収容された前記複数の成形型を各々、前記成形型保持体によって所定の位置に保持した状態で、前記複数の成形型の配置領域に前記複数の加熱部を順次移動させ、前記成形型を所定の条件で加熱した状態で前記押圧手段によって前記成形型に押圧処理を行うとともに、
    前記押圧手段によって前記成形型に押圧処理を行ったまま、前記複数の加熱部を移動させて前記成形型の温度環境を変化させることを特徴とする成形品の製造方法。
  12. 請求項10または11において、前記被成形素材は、光学素子製造用のガラス素材であり、前記成形品はガラス光学素子であることを特徴とする成形品の製造方法。
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