JP2007055582A - ステアリングコラム - Google Patents

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謙二 今村
Masahiko Okawa
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Abstract

【課題】実用性の高いステアリングコラムを提供する。
【解決手段】コラム10を構成する固定部と移動部との一方に軸体102を、他方にその軸体102と係合する係合体104を設け、軸体102と係合体104とを設定移動方向に相対移動させることにより、移動部を車体に対して移動させ、かつ、その軸体102に設定移動方向に設定荷重が作用した場合に、その軸体102が収縮可能とされたコラムであって、軸体102の収縮に対する抵抗を、その抵抗の大きさを変更可能に発生させる対軸体収縮抵抗発生装置130を備えたことを特徴とする。運転者の二次衝突に対する衝撃吸収荷重として機能する軸体102の収縮に対する抵抗の大きさを変更することによって、例えば、二次衝突の衝撃の大きさに対応する大きさに変更することが可能であり、効果的な衝撃緩和が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に設けられ、ステアリングホイール等のステアリング操作部材を操作可能に保持するステアリングコラムに関する。
ステアリングコラム(以下、単に「コラム」という場合がある)は、ステアリング操作部材(以下、単に「操作部材」という場合がある)を操作可能に保持する保持具であり、運転者とステアリング操作部材との距離を調節するための機能、いわゆるテレスコピック機能を備えている。このコラムのテレスコピック動作を電動で実施するため、例えば、下記特許文献に記載されているように、コラムの車両前方側に位置して車体の一部に固定される固定部に、雄ねじロッドとその雄ねじロッドに螺合する雌ねじ部材との一方を設けるとともに、操作部材を保持して固定部に移動可能に保持された移動部に、雄ねじロッドと雌ねじ部材との他方を設け、それら雄ねじロッドと雌ねじ部材とを電動モータによって相対回転駆動させて、移動部をコラムの軸線方向に移動させることが行われている。そして、下記特許文献1に記載の技術は、車両の衝突に起因する運転者の操作部材への二次衝突の際に、その電動モータの起電力を利用して、その二次衝突に対する衝撃吸収を行っている。また、下記特許文献2に記載の技術は、二次衝突の際に、2つの部材で構成された雄ねじロッドが、それら2つの部材の相対移動によって収縮するように構成され、それら2つの部材を係止するピンの破断や2つの部材の間の摩擦によって、衝撃吸収を行っている。
特開2005−119538号公報 特開2003−276616号公報
上記特許文献に記載されたステアリングコラムは、テレスコピック機能と二次衝突に対処する機能とを融合させたユニークなコラムであるが、効果的な衝撃吸収や、衝撃吸収荷重の適切化等、実用性の向上のための種々の改良を施す余地が残されている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いステアリングコラムを提供することを課題とする。
本発明のステアリングコラムは、上記課題を解決するため、コラムを構成する固定部と移動部との一方に軸体を、他方にその軸体と係合する係合体を設け、軸体と係合体とを設定移動方向に相対移動させることにより、移動部を車体に対して移動させ、かつ、その軸体に設定移動方向に設定収縮荷重が作用した場合に軸体が収縮可能とされたものであり、軸体の収縮に対する抵抗を、その抵抗の大きさを変更可能に発生させる対軸体収縮抵抗発生装置を備えることを特徴とする。
本発明のステアリングコラムによれば、運転者の二次衝突に対する衝撃吸収荷重として機能する軸体の収縮に対する抵抗の大きさを変更することによって、例えば、二次衝突の衝撃の大きさに対応する大きさに変更することが可能であり、効果的な衝撃緩和が可能となる。その点において、本発明のステアリングコラムは、実用的なコラムとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項は、請求可能発明のステアリングコラムの前提となる態様を示した項であり、その(1)項に(18)項および(22)項の技術的特徴を付加したものが請求項1に相当し、請求項1に(23)項の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項1または請求項2に(24)項の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項3に(25)項および(26)項の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項1ないし請求項4のいずれかに(27)項および(29)項の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1ないし請求項5のいずれかに(6)項の技術的特徴を付加したものが請求項6に、それぞれ相当する。
(1)車両後方側の一端部にステアリング操作部材を操作可能に保持するステアリングコラムであって、
車両前方側に位置して車体の一部に固定される固定部と、
前記車両後方側の一端部を含んで構成され、その固定部によって概して車両の前後方向である設定移動方向に移動可能に支持された移動部と、
(a)前記設定移動方向に延びて配置され、前記固定部と前記移動部との一方に前記設定移動方向に移動不能に支持された軸体と、(b)その軸体と係合するとともに、前記固定部と前記移動部との他方に前記設定移動方向に移動不能に支持された係合体とを有し、前記軸体と前記係合体とを前記設定移動方向に相対移動させることで前記移動部を前記設定移動方向に移動させる移動装置とを備え、
前記軸体が、前記設定移動方向の設定された大きさの荷重の作用によって、前記固定部と移動部との一方に支持される部分と、前記係合体と係合する部分との間において、収縮するものとされたステアリングコラム。
本項に記載の態様は、先に説明したように、種々の請求可能発明に共通の構成要素を列挙した態様であり、本項は、請求可能発明の前提項としての意義を有する。本項に記載された態様のステアリングコラムは、平たく言えば、上記固定部と移動部との一方に軸体を、他方にその軸体と係合する係合体を設け、それら軸体と係合体とを相対移動させることによって、移動部を上記設定移動方向に移動させる構造とされるとともに、軸体に設定荷重が作用した場合に、その軸体が収縮可能な構造とされている。そのような構造により、本態様のコラムは、軸体と係合体との相対駆動によってコラムのテレスコピック動作を実現するとともに、軸体が収縮することで、車両の衝突に起因する運転者の操作部材への二次衝突に対する衝撃吸収を阻害することが防止あるいは抑制可能とされている。
本項に記載の態様では、ステアリングコラムの主体となるコラム本体として、例えば、チューブと、そのチューブに回転可能に保持されて車両後方側の端部に操作部材を保持するような構造のものを採用することが可能である。そのような構造のコラム本体を採用する場合、本項の態様は、そのコラム本体の車両前方側において、ブラケット等の支持部材によって、そのコラム本体を車体に対して移動可能に支持させるような態様とすることが可能である。そのような態様の場合には、その支持部材が上記固定部として機能し、コラム本体が上記移動部として機能することになる。また、コラム本体を車両前方側,車両後方側のそれぞれに位置する2つの部分を含んで構成することで収縮可能な構造とすることも可能であり、そのようなコラム本体を採用して、コラムの車両前方側に位置する部分を車体の一部に支持部材によって固定し、車両後方側に位置する部分を車体に対して移動させるような態様とすることも可能である。その場合、コラムの車両前方側に位置する部分と支持部材とを含んで上記固定部が構成され、コラムの車両後方側に位置する部分が上記移動部を構成することとなる。
本項の態様における「設定移動方向」は、コラムのテレスコピック動作、つまり、操作部材と運転者との離間距離を調節のための動作が、実質的に可能な方向であればよい。ステアリングコラムは、一般的に、車両前方側が下方に位置する姿勢で車体に対して傾斜して取り付けられる。そのような場合には、コラムの軸線方向を設定移動方向とすることが可能であり、また、軸線方向に移動部を移動可能とすれば、コラムの構造を簡略化することが可能である。
本項の態様において「移動装置」を構成する「軸体」および「係合体」は、その具体的な構造が特に限定されない。例えば、後に説明するように、雄ねじが形成されたロッドと、その雄ねじと螺合する雌ねじが形成されたナットとのそれぞれが、軸体,係合体として機能するような構成であってもよい。そのような構成の場合、雄ねじロッドとナットとを相対回転駆動させることにより、移動部を移動させることが可能である。また、ラックが形成されたラックバーと、そのラックと噛合するピニオンとのそれぞれが、軸体,係合体として機能するような構成であってもよい。そのような構成の場合は、ピニオンを回転駆動させることによって、移動部を移動させることが可能である。なお、移動部の移動力を発生させる駆動源としては、例えば、電動モータを採用することが可能である。
本項の態様において、「軸体」の収縮の機構は、特に限定されない。例えば、後に詳しく説明するように、軸体を2つの軸部材によって構成し、それら2つの軸部材の軸線方向の相対移動が許容されることで、その軸体が収縮するような機構とすることが可能である。また、軸体が1部材を主体として構成されるような場合、その1部材が変形することによって軸体が収縮するような機構とすることも可能である。
(2)当該ステアリングコラムが、
車両前方側と車両後方側との各々に位置して互いに部分的に嵌め合わされた2つのチューブ部材を有することで伸縮可能とされたステアリングチューブと、車両前方側と車両後方側との各々に位置して互いに部分的に嵌め合わされた2つのシャフト部材を有することで伸縮可能とされるとともに車両後方側の端部においてステアリング操作部材を保持するステアリングシャフトとを含んで構成され、そのステアリングシャフトが前記ステアリングチューブに回転可能に保持されるものであり、
前記2つのチューブ部材のうち車両前方側に位置するものと前記2つのシャフト部材のうち車両前方側に位置するものとを含んで構成される部分が前記固定部として、前記2つのチューブ部材のうち車両後方側に位置するものと前記2つのシャフト部材のうち車両後方側に位置するものとを含んで構成される部分が前記移動部として、それぞれ機能するものである(1)項に記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、ステアリングコラムの構成を伸縮可能型のコラムに限定した態様であり、車両前方側に位置するチューブ部材とシャフト部材とを含んで固定部が構成され、車両後方側に位置するチューブ部材とシャフト部材とを含んで移動部が構成されることになる。
(3)前記移動装置が、前記軸体が前記固定部と移動部との一方において単一の箇所にて支持される構造とされた(1)項または(2)項に記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様によれば、軸体が、それの1箇所において、上記固定部と移動部との一方に上記設定移動方向に移動不能に支持される。したがって、軸体の支持構造を単純化することが可能となる。なお、本項の態様においては、例えば、軸体が、1箇所において上記固定部と移動部との一方に支持され、上記固体部と移動部との他方に、上記1箇所以外の箇所において、上記係合体を介して支持されるような構造とすることも可能である。なお、本項の態様によれば、軸体が固定部と移動部との一方に2箇所で支持される場合に比較して、支持部品を削減することが可能であり、例えば、低コスト化,コラムの組立作業の容易化等を図ることが可能となる。
(4)前記移動装置が、前記軸体が前記固定部に支持され、前記係合体が前記移動部に支持される構造とされた(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
(5)前記移動装置が、前記軸体が前記移動部に支持され、前記係合体が前記固定部に支持される構造とされた(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
上記2つの項に記載の態様は、軸体および係合体と、固定部および移動部との関係を限定した態様である。軸体を固定部に移動不能に支持させれば、例えば、コラムのテレスコピック動作に伴う車両前方側への軸体の突出を防止可能となり、例えば、車両前方側に何らかの機能部品等が存在する場合に、その機能部品等への干渉を排除でき、設計の自由度が向上する。また、逆に、軸体を移動部に移動不能に支持させれば、車両後方側への軸体の突出を防止可能となり、例えば、運転者の二次衝突に対する衝撃吸収効果を阻害するような事態を容易に回避できる。なお、移動部に係合体が支持される態様は、移動部に軸体が支持される態様に比較して、軸体と係合体との重量差から、概して移動部側の重量が小さくなるため、運転者の二次衝突の際に効果的な衝撃吸収が可能となる。
(6)前記移動装置が、
前記軸体の前記係合体と係合する部分の外周部に雄ねじが形成され、かつ、前記係合体にその雄ねじに螺合する雌ねじが形成されて、前記軸体と前記係合体とが螺合する構造とされ、
それら軸体と係合体とが相対回転駆動されることによって、前記移動部を前記設定移動方向に移動させるものである(1)項ないし(5)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
(7)前記移動装置が、駆動源を有し、その駆動源によって前記軸体と前記係合体とを相対回転駆動させるものである(6)項に記載のステアリングコラム。
上記2つの項に記載の態様は、軸体と係合体とがねじ機構によって係合する態様である。具体的には、軸体を雄ねじが形成された雄ねじ付ロッドとし、係合体をその雄ねじに螺合する雌ねじが形成されたナット部材とするような態様である。これらの態様によれば、例えば、後者の態様のように電動モータ等の駆動源によって、雄ねじ付ロッドあるいはナットを回転駆動させることにより、コラムのテレスコピック動作を行うことができ、移動装置が簡便な構造となる。
(8)前記移動装置が、
前記軸体が前記固定部と移動部との一方に回転不能に支持され、かつ、前記係合体が前記固定部と移動部との他方に回転可能に支持され、
前記係合体が回転駆動されることによって、前記移動部を前記設定移動方向に移動させるものである(6)項または(7)項に記載のステアリングコラム。
(9)前記移動装置が、
前記軸体が前記固定部と移動部との一方に回転可能に支持され、かつ、前記係合体が前記固定部と移動部との他方に回転不能に支持され、
前記軸体が回転駆動されることによって、前記移動部を前記設定移動方向に移動させるものである(6)項または(7)項に記載のステアリングコラム。
上記2つの項に記載の態様は、軸体と係合体とをねじ機構によって係合させる態様において、軸体と係合体とのいずれを回転駆動させるかについての限定を加えた態様である。いずれを回転駆動させるかは、移動装置,コラムの構成に応じて適切な方を採用することが可能である。なお、後に説明するように、軸体自体に、あるいは、移動部と固定部とのいずれかと軸体との間に、軸体の収縮に対する抵抗を発生させる機構を設ける場合には、軸体が回転しない態様、つまり、係合体を回転駆動させる態様を採用すれば、その抵抗発生機構の構造を単純化できることになる。また、移動装置が駆動源を有する場合には、その駆動源が、固定部に固定され、軸体と係合体とのうち固定部に支持された方を回転駆動させる態様とすれば、移動部側の重量の増加を抑えることができるため、運転者の二次衝突の際に効果的な衝撃吸収が可能となる。この場合、移動部側の重量の増加を抑えるという観点からすれば、前述したように、軸体が固定部に支持され、その軸体を固定部に固定された駆動源が回転駆動する態様であることがより望ましい。
(10)前記移動装置が、
前記軸体と前記係合体との間の相対移動の範囲を制限することで、前記移動部の前記設定移動方向の移動の範囲を制限する移動範囲制限機構を備えた(1)項ないし(9)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、平たく言えば、軸体と係合体との相対移動に対するストッパを設けた態様である。本項に記載の態様によれば、コラムのテレスコピック動作の範囲を容易に制限することが可能となる。また、テレスコピック動作を行う駆動力が、軸体を伸縮させる力として作用することを防止でき、さらには、後に説明するように、軸体自体、あるいは、固定部と移動部との一方と軸体との間に軸体の収縮に対する抵抗を発生する機構を設けた場合において、例えば、テレスコ動作が終端に到ったときであっても、その機構に対して軸体と係合体との相対駆動力を作用させないようにすることが可能となる。そのことにより、前記軸体が収縮するために必要な荷重の設定において、その設定の自由度を向上させることも可能となるのである。
(11)前記移動範囲制限機構が、前記移動部の概して前方側への移動を制限するものである(10)項に記載のステアリングコラム。
(12)当該ステアリングコラムが、
前記移動部の概して前方側への移動が、前記軸体が収縮することで前記移動範囲制限機構による制限範囲を超えて行われるように構成された(11)項に記載のステアリングコラム。
後者の態様によれば、移動範囲制限機構による制限範囲を超えて、軸体の収縮に伴って移動部の前方側への移動が許容されるため、その移動を利用した効果的な衝撃吸収が十分に担保される。逆に、移動部の前方側への移動を制限する機構が、固定部と移動部との間に設けられた場合、効果的な衝撃吸収が阻害されることになる。つまり、前者の態様のように、移動範囲制限機構によって、前記移動部の前記設定移動方向の移動の範囲のうち、少なくとも前方側への移動を制限することが望ましいのである。
(13)前記移動範囲制限機構が、
前記軸体に固定的に設けられて前記軸体と前記係合体との相対移動に伴って前記係合体と相対移動可能なものであり、かつ、前記軸体と前記係合体との相対移動の際に前記係合体と当接することで、それら軸体と係合体との相対移動の範囲を制限する移動範囲制限部を含んで構成された(10)項ないし(12)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、移動範囲制限機構の構成を限定した態様であり、軸体自体に係合体との相対移動に対するストッパを設けた態様である。本項の態様によれば、簡便な構造によって、軸体と係合体との相対移動の範囲を制限することが可能である。
(14)前記移動装置が、
前記軸体が前記移動部に回転不能に支持され、前記係合体が前記固定部に回転可能に支持されるとともに、前記軸体の前記係合体と係合する部分の外周部に雄ねじが形成され、かつ、前記係合体にその雄ねじに螺合する雌ねじが形成されて、前記軸体と前記係合体とが螺合する構造とされ、
駆動源を有し、その駆動源により前記係合体が回転駆動されることによって前記移動部を前記設定移動方向に移動させるものであり、
前記移動範囲制限機構が、
(A)前記軸体に設けられた被係止部と、(B)前記固定部に固定的に設けられ、前記軸体と前記係合体との相対移動に伴って前記被係止部と相対移動可能な係止部とを含んで構成され、前記軸体と前記係合体との相対移動の際に前記被係止部が前記係止部に当接することで、それら軸体と係合体との相対移動の範囲を制限するものである(10)項ないし(12)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、移動装置が、移動部に固定的に設けられた軸体に対して、ねじ機構によって係合させた係合体を回転駆動させる構造とされた態様において、移動範囲制限機構の構成に限定を加えた態様である。本項の態様は、例えば、移動する軸体自体あるいはその軸体に固定した部材等を、固定部に固定された係止部に当接するように構成することができる。
(15)前記軸体が、前記固定部と移動部との一方に支持される部分を含んで構成された第1軸部材と、前記係合体と係合する部分を含んで構成された第2軸部材とを有し、それら第1軸部材と第2軸部材との前記設定移動方向の相対移動が許容されることで、収縮する構造とされた(1)項ないし(14)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
本項の態様は、簡単に言えば、軸体を2つの軸部材を含んで構成し、それら軸部材の相対移動によって軸体が収縮するような構造とされた態様である。例えば、2つの軸部材の一方をパイプ状のものとし、他方がその一方に挿入されるような構造とすることが可能である。本項の態様によれば、簡便な構造によって、軸体を収縮可能とすることができる。
(16)前記軸体が、常には前記第1軸部材と第2軸部材との相対移動を禁止し、前記設定移動方向の設定された大きさの荷重が作用した場合に、前記第1軸部材と第2軸部材との相対移動を許容する両部材相対移動許容機構を有する(15)項に記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、軸体が2つの軸部材によって構成されている場合において、設定荷重によって、それら2つの軸部材の相対移動を許容する機構を設けた態様である。本項の態様によれば、コラムのテレスコピック動作を確実なものとした上で、運転者の二次衝突に対する衝撃による軸体の収縮をも確実なものとすることができる。「両部材相対移動許容機構」の具体的な構造が特に限定されるものではないが、例えば、2つの軸部材を互いに係止する係止部材を設け、設定荷重によってその係止部材による係止が解除されるような構造を採用することができる。また、2つの軸部材の相対移動を摩擦力によって禁止し、設定荷重が作用した場合に、その摩擦力に打ち勝って、2つの軸部材の相対移動が許容されるような構造とすることも可能である。
一般的な従来のステアリングコラムでは、移動部は、車体の一部あるいは固定部に係止されて、移動が禁止される構造とされている。そのような構造の場合、その係止による離脱荷重は、運転者の二次衝突による衝撃の効果的な吸収を阻害する一因となる。本項の態様では、移動部が車体の一部あるいは固定部に係止されない場合であっても、両部材相対移動許容機構による移動許容荷重を適切なものとすることにより、二次衝突の衝撃の効果的な吸収が可能となる。
(17)前記移動装置が、
前記軸体の前記係合体と係合する部分の外周部に雄ねじが形成され、かつ、前記係合体にその雄ねじに螺合する雌ねじが形成されて、前記軸体と前記係合体とが螺合する構造とされ、
それら軸体と係合体とが前記雄ねじおよび雌ねじの回転軸線まわりに相対回転駆動されることによって、前記移動部を前記設定移動方向に移動させるものであり、
前記軸体が、前記第1軸部材と前記第2軸部材との前記回転軸線まわりの相対回転を禁止する両部材相対回転禁止機構を有する(15)項または(16)項に記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、軸体と係合体をねじ機構によって係合させる態様を採用した場合において、2つの軸部材の間の相対回転を禁止する機構を備えた態様である。本項の態様によれば、コラムのテレスコピック動作を確実なものとすることができる。「両部材相対回転禁止機構」の具体的な構造は、特に限定されるものではないが、例えば、断面が円形をなす2つの軸部材の一方が他方に挿入されて軸体が構成されているような場合において、キーとキー溝とを採用するような構造,セレーションを採用するような構造等とすることが可能である。また、摩擦力によって、2つの軸部材の相対回転を禁止するような構造とすることもできる。さらに、2つの軸部材に断面形状が多角形を有するものを採用し、それらの一方が他方に挿入させられた構造が、両部材相対回転禁止機構として機能するような態様であってもよい。
(18)当該ステアリングコラムが、前記軸体の収縮に対する抵抗を発生させる対軸体収縮抵抗発生装置を備えた(1)項ないし(17)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、平たく言えば、軸体の収縮に対して、抵抗を発生させる機構を設けた態様である。軸体は、設定荷重が作用した場合に収縮可能とされており、運転者の操作部材への二次衝突の際に収縮するような構成のコラムとすることが可能である。そのような構成の場合、軸体の収縮に対する抵抗は、運転者の二次衝突に対する衝撃吸収荷重として機能するものとなる。なお、本項の態様は、例えば、固定部と移動部との相対移動に対して抵抗を発生させることによって、軸体の収縮に対して間接的に抵抗を発生させるような態様を含むものではない。具体的に言えば、対軸体収縮抵抗発生装置は、軸体の一部に、直接的に力が作用することによって、軸体の収縮に対する抵抗を発生させる構造の装置であることを意味する。ちなみに、本項の態様は、上記対軸体収縮抵抗発生装置と、固定部と移動部との相対移動に対して直接的に抵抗を発生させる装置との共存を排除するものではない。
一般に、テレスコピック機構と、二次衝突の衝撃吸収機構とを備えたコラムでは、テレスコピック動作の車両前方端から衝撃吸収荷重が発生するような構造とされる。このような構造では、例えば、テレスコピック機構により移動部が車両後方側に位置させられている場合において運転者の二次衝突が発生したときには、移動部が上記車両前方端に移動した後に衝撃吸収荷重が発生するため、移動部の空走期間が存在し、衝撃吸収においてロスが生じることになる。本項の態様では、軸体の収縮の開始時点からその軸体の収縮に対する抵抗、つまり、衝撃吸収荷重を発生させるように構成することができ、そのような構成とすれば、移動部がテレスコピック機構によっていずれの位置に位置させられていても、二次衝突の衝撃吸収におけるロスをなくすことが可能となる。
本項の態様において、対軸体収縮抵抗発生装置の具体的な構造は、特に限定されるものではない。後に説明するように、例えば、軸体の一部と他の一部との間の相対移動、あるいは、固定部と移動部との一方と軸体の一部との間の相対移動に対する摩擦力に起因する抵抗力が発生するような構造とすることができ、また、それらの相対移動に伴って変形する変形部材を設け、その変形部材の変形に要する力に起因する抵抗力が発生するような構造とすることができる。あるいは、軸体自体が変形を伴って収縮するような場合においては、その変形に要する力に起因する抵抗力が発生するような構造とすることも可能である。さらに、2以上の摩擦力を複合した力に起因する抵抗力が発生するような構造とすることができ、また、摩擦力と変形に要する力とを複合した力に起因する抵抗力が発生するような構造とすることも可能である。ちなみに、本項の態様は、それら種々の対軸体収縮抵抗発生装置を2つ以上備えるものであってもよい。
(19)前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記軸体に設けられた(18)項に記載のステアリングコラム。
(20)前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記固定部と前記移動部とのいずれかと収縮の際にそのいずれかと相対移動する軸体の一部との間に設けられた(18)項に記載のステアリングコラム。
(21)前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記固定部に設けられた(20)項に記載のステアリングコラム。
上記3つの項に記載の態様は、対軸体収縮抵抗発生装置の配設箇所に限定を加えた態様である。1つ目の態様のように、軸体自体に当該装置が設けられる場合は、当該装置のコンパクト化,コラムの構造の単純化等が図られることになる。また、2つ目の態様の場合、当該装置の配設に関する制約が比較的小さく、当該装置の構造の簡素化等が図られることになる。さらに、3つ目の態様の場合、移動部側の重量を増加させないため、効果的な衝撃吸収が可能となる。
(22)前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記軸体の収縮に対して発生させる抵抗の大きさを変更する抵抗変更機構を備えた(18)項ないし(21)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
本項の態様のように、軸体の収縮に対する抵抗の大きさを変更可能とすれば、その抵抗の変更によって、二次衝突の衝撃を効果的に吸収することが可能となる。具体的には、例えば、運転者がシートベルトを着用していない場合、衝突時の車両走行速度が大きい場合等、二次衝突の衝撃が大きいと予測される場合において、軸体の収縮に対する抵抗を大きくし、逆に、運転者がシートベルトを着用している場合、衝突時の車両走行速度が小さい場合等、二次衝突の衝撃が小さいと予測される場合において、軸体の収縮に対する抵抗を小さくするような態様とすることが可能である。
本項の態様において、「抵抗変更機構」の具体的な構造は、特に限定されるものではない。例えば、電磁ソレノイド,火薬によって作動するシリンダ装置等のアクチュエータを用い、そのアクチュエータの作動によって、上記抵抗の大きさを変更するような構造を採用することが可能である。なお、抵抗変更機構は、離散的に設定された互いに異なる2以上の大きさの間で抵抗を変更するような構造であってもよく、また、連続的に抵抗の大きさを変更するような構造であってもよい。また、実質的に抵抗が発生しない状態と、実質的に抵抗が発生する状態とを、選択的に実現するような態様であってもよい。
(23)前記抵抗変更機構が、常には、前記軸体の収縮に対して比較的大きな抵抗を発生させるものであり、その抵抗の大きさを低減させることが可能とされた(22)項に記載のステアリングコラム。
本項の態様によれば、移動部と固定部との間にそれらの相対位置を保持するための特別な機構を設けなくても、通常時における操作部材の操作や、コラムのテレスコピック動作を確実なものとするとともに、二次衝突の際に運転者が受ける衝撃を、抵抗変更機構によって減少させる、あるいは、なくすことが可能とされており、効果的な衝撃緩和が可能となる。
(24)前記軸体が、前記固定部と移動部との一方に支持される部分を含んで構成された第1軸部材と、前記係合体と係合する部分を含んで構成された第2軸部材とを有し、それら第1軸部材と第2軸部材との前記設定移動方向の相対移動が許容されることで、収縮する構造とされ、
前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記第1軸部材と第2軸部材との相対移動に対する抵抗を発生させるものである(18)項ないし(23)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、2つの軸部材によって軸体が構成される態様における対軸体収縮抵抗発生装置の機能についての限定を加えた態様である。本項の態様によれば、簡便に、軸体の収縮に対する抵抗を発生させることが可能となる。なお、対軸体収縮抵抗発生装置の具体的構造は、特に限定されるものではなく、例えば、2つの軸部材の間の摩擦力、あるいは、2つの軸部材のいずれかとそのいずれかと相対移動する固定部と移動部との間のいずれかとの間の摩擦力に起因する抵抗を発生する構造とすることができ、また。2つの軸部材の相対移動、あるいは、2つの軸部材のいずれかとそのいずれかと相対移動する固定部と移動部との相対移動に伴って変形を強要される変形部材を設け、その変形部材の変形に要する力に起因する抵抗を発生する構造とすることができる。なお、軸体が、前述した両部材相対移動許容機構を有する態様において、2つの軸部材の間の相対移動を許容する設定荷重は、本項の態様における2つの軸部材の間の相対移動に対する抵抗と考えることもできる。つまり、両部材相対移動許容機構は、対軸体収縮抵抗発生装置の一態様であると考えることができる。
(25)前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記第1軸部材と第2軸部材との相対移動に対してそれら2つの軸部材の間の摩擦力に起因する抵抗を発生させるものである(24)項に記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、2つの軸部材によって軸体が構成される態様における対軸体収縮抵抗発生装置の構造を具体的な一構造に限定した態様である。本項の態様によれば、当該装置を軸体自体に設け態様を容易に実現することが可能であり、コラムの構造を単純化することが可能である。なお、その対軸体収縮抵抗発生装置の構造は、2以上の摩擦力を複合した力に起因する抵抗力が発生するような構造とすることも可能である。具体的には、例えば、2つの軸部材の間の摩擦力と、2つの軸部材のいずれかとそのいずれかと相対移動する固定部と移動部との間のいずれかとの間の摩擦力とを複合した力に起因する抵抗を発生する構造とすることができる。
(26)前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記軸体の収縮に対して発生させる抵抗の大きさを変更する抵抗変更機構を備え、
その抵抗変更機構が、前記第1軸部材と第2軸部材との間の摩擦力の大きさを変更することによって抵抗の大きさを変更可能とされた(25)項に記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、2つの軸部材の間の摩擦力に起因する抵抗を発生させる構造の対軸体収縮抵抗発生装置が、抵抗変更機構を備えた態様である。対軸体収縮抵抗発生装置が先に述べた2以上の摩擦力に起因する抵抗を発生させる構造である場合、そのうちの少なくとも1つの摩擦力を変更するような抵抗変更機構を備える態様も、本項の態様に含まれる。
(27)前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記軸体の収縮に伴って変形させられる変形部材を備え、その変形部材の変形に要する力を前記軸体の収縮に対する抵抗として発生させるものである(18)項ないし(26)項のいずれかに記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、対軸体収縮抵抗発生装置の構造を具体的な一構造に限定した態様であり、本項の態様には、例えば、いわゆる衝撃エネルギ吸収プレート(以下、「EAプレート」という場合がある)と呼ばれるようなものを変形部材として採用するような構造のものが含まれる。対軸体収縮抵抗発生装置は、例えば、変形部材が、軸体の一部と、その軸体の一部と収縮の際に相対移動するコラムの一部分との一方に係合する状態において、軸体の収縮に伴って、それらの他方によって変形が強いられるような構造を採用可能である。なお、本項の態様は、対軸体収縮抵抗発生装置が、前記固定部と前記移動部とのいずれかと、収縮の際にそのいずれかと相対移動する軸体の一部との間に設けられた態様の一態様と考えることも可能であり、比較的簡便な構造の装置となるという利点を有する。
(28)前記移動装置が、
前記軸体が前記固定部と移動部との一方に回転可能に支持され、前記係合体が前記固定部と移動部との他方に回転不能に支持されるとともに、前記軸体の前記係合体と係合する部分の外周部に雄ねじが形成され、かつ、前記係合体にその雄ねじに螺合する雌ねじが形成されて、前記軸体と前記係合体とが螺合する構造とされ、
前記軸体が回転駆動されることによって、前記移動部を前記設定移動方向に移動させるものであり、
前記変形部材が、前記固定部に支持されるとともに前記軸体に保持され、その変形部材の前記軸体に保持される部分と、前記軸体の前記変形部材を保持する部分とが相対移動不能な状態で、前記軸体の収縮に伴って変形させられるものとされ、
当該ステアリングコラムが、
前記変形部材の前記軸体に保持される部分と、前記軸体の前記変形部材を保持する部分との間に、前記変形部材に対する前記軸体の回転を許容する軸体回転許容機構を有する(27)項に記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様によれば、軸体が回転可能に支持される構造とされた場合であっても、テレスコピック動作時の軸体の回転を許容するとともに、軸体の収縮時に軸体の一部とその軸体と相対回転する変形部材とが係合する状態を確実に実現することが可能となる。
(29)前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記軸体の収縮に対して発生させる抵抗の大きさを変更する抵抗変更機構を備え、
その抵抗変更機構が、前記変形部材が前記軸体の収縮に伴って変形させられる状態と変形させられない状態とを切り換えることで、前記軸体の収縮に対して発生させる抵抗の大きさを変更するように構成された(27)項または(28)項に記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、変形部材の変形に要する力を抵抗として発生させる構造の対軸体収縮抵抗発生装置が、抵抗変更機構を備えた態様である。本項の態様によれば、変形部材が変形させられない状態とすることで、変形部材の変形に要する抵抗を0とすることが可能であり、本項の態様によれば、簡便な構成によって抵抗の大きさを変更できるという利点を有する。抵抗変更機構は、例えば、軸体の一部と、その軸体の一部と収縮の際に相対移動するコラムの一部分との少なくとも一方が、変形部材と係合しない状態とすることで、変形部材が変形させられない状態とするような構造のものを採用可能である。
(30)前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記変形部材をそれと係合する状態における前記軸体の収縮に伴って変形させる変形強要部を備え、
前記抵抗変更機構が、
前記変形強要部を変位させることで、その変形強要部と前記変形部材とが係合する状態と係合しない状態とを切り換えて、前記変形部材が前記変形強要部によって変形させられる状態と変形させられない状態とを切り換えるものである(29)項に記載のステアリングコラム。
本項に記載の態様は、変形部材の変形に要する力を抵抗として発生させる構造の対軸体収縮抵抗発生装置が備えた抵抗変更機構の構造に限定を加えた態様である。本項の態様は、変形強要部材を変形部材と係合しない状態とすることで、変形部材が変形させられない状態として、変形部材の変形に要する抵抗を0とすることが可能である。
以下、請求可能発明のいくつかの実施例およびその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<第1実施例>
図1に、本実施例のステアリングコラムを含んで構成されるステアリングシステムの全体構成を示す。本ステアリングコラム10は、インパネリインフォースメント12に設けられた1対のステアリングサポート14(以下、「サポート14」と略す場合がある)において、車体の一部に固定支持される。コラム10は、支持された状態では、図に示すように、車両前方側が下方に位置するように傾斜した姿勢で配置されることになる。コラム10は、主として、コラム本体20と、そのコラム本体20の前方部に設けられた前方ブラケット22と、コラム本体20の前方ブラケット22より車両後方側に設けられた後方ブラケット24とを含んで構成されており、前方ブラケット22と後方ブラケット24との各々が、サポート14に取り付けられることで、2箇所において支持される。
その支持されたコラム10は、後方に位置する部分がインパネ30から車両後方に突出する状態とされる。その突出する後端部には、ステアリング操作部材であるステアリングホイール32が取り付けられており、コラム10はステアリングホイール32を操作可能に保持するものとなっている。コラム10のインパネ30から突出する部分は、コラムカバー36によって覆われ、また、下部は、インパネロアカバー38によってカバーされている。コラム10の前端部は、図示を省略するインタミディエイトシャフトを介し、車室外に存在する転舵装置に接続される。
図2に、コラム10の側面断面図を示す。コラム本体20は、シャフト40と、そのシャフト40を挿通させた状態で回転可能に支持するチューブ42とを含んで構成されている。シャフト40は、車両後方側に位置させられる後部シャフト50と車両前方側に位置させられる前部シャフト52とを含んで構成されている。後部シャフト50はパイプ状に、前部シャフト52はロッド状に形成され、後部シャフト50の前方部に前部シャフト52の後方部が挿入されている。後部シャフト50の前部内周面,前部シャフト52の後部外周面には、それぞれ互いに噛合するスプラインが形成され、後部シャフト50と前部シャフト52は、軸方向に相対移動が可能かつ相対回転が不能な状態で接続されている。また、チューブ42は、車両後方側に位置させられる後部チューブ54と、車両前方側に位置させられる前部チューブ56とを含んで構成されている。後部チューブ54および前部チューブ56は、ともにパイプ状のものであり、前部チューブ56の後方部に後部チューブ54の前方部が挿入されている。後部チューブ54の前方部外周面には、環状の2つのライナ58が設けられており、このライナ58を介することによって、前部チューブ56は後部チューブ54にがたつきなく挿入される。前部チューブ56の内周面と接触するライナ58の外周面は減摩処理が施されており、後部チューブ54と前部チューブ56との軸方向の相対移動を容易ならしめている。また、後部チューブ54の後端部および前部チューブ56の前端部には、それぞれラジアルベアリング60,62が設けられ、後部チューブ54および前部チューブ56は、それぞれ、ラジアルベアリング60,62を介して、後部シャフト50および前部シャフト52の各々を、それらの中間部において回転可能に支持している。このような構造とされていることで、コラム本体20は、伸縮可能とされているのである。
コラム本体20は、前部チューブ56の前方端部と後方端部とにおいて、車体の一部に取り付けられる。前部チューブ56の前方端部には、先に説明した前方ブラケット22が固定的に設けられており、この前方ブラケット22には、軸挿通穴66が設けられている。インパネR/F12に設けられた1対のサポート14の各々には、軸穴68が穿設された軸受部材70がそれぞれ固定されており、前方ブラケット22の軸挿通穴66とそれら軸受部材70の軸穴68とに、支持軸72が挿通されることで、コラム本体20は、その支持軸72を中心に揺動可能に支持される(図1参照)。一方、後方端部は、後方ブラケット24に保持され、その後方ブラケット24が1対のサポート14に取り付けられて支持される。詳しく言えば、後方端部には、図示を省略する被保持部材が固定的に設けられており、この被保持部材が、後方ブラケット24の構成部分であるチャンネル形状(コの字形状)をなす保持部材80によって保持されるとともに、後方ブラケット24のもう1つの構成部材である被支持プレート82が1対のサポート14に組み付けられることで、前部チューブ56の後方端部が支持される。
上述のような構造とされていることから、コラム10の車両前方部分、詳しくは、コラム本体20の前方部分を構成する前部シャフト52,前部チューブ56および2つのブラケット22,24を含んで、車体の一部に固定される「固定部」が構成されている。また、コラム10の車両後方部分、詳しくは、コラム本体20の後方部分を構成する後部シャフト50,後部チューブ54を含んで、固定部によって設定移動方向であるコラム本体20の軸線方向に移動可能に支持された「移動部」が構成されているのである。
コラム10は、チルト機構90を有しており、詳しくは、前方ブラケット22および後方ブラケット24によるコラム本体20を保持する構造が、チルト機構90を構成するものとされている。後方ブラケット24の保持部材80は、長穴92を有しており、その長穴92に被保持部材に設けられた軸部材(図示省略)が挿入されている。それにより、コラム本体20は、保持部材80に設けられた長穴92の分だけ前記支持軸72を中心として揺動可能とされているのである。図1および図2には、チルト機構90のロックレバー94が示されており、このロックレバー94を押し上げることにより、被保持部材が保持部材80によって強く挟持され、コラム本体20の揺動位置が固定されるようになっている。位置の調整は、ロックレバー94を押し下げることによって、固定を解除して行われる。なお、図1,2には、チルト機構90によってコラム本体20の車両後方端部が上下方向における中間位置に位置させられた状態が示されている。
また、コラム10は、電動式のテレスコピック機構100を有している。そのテレスコピック機構100は、前記移動部を軸線方向に移動させる「移動装置」として機能するものであり、テレスコピック動作において機能する軸であって雄ねじが螺設された雄ねじ部を有する「軸体」としてのテレスコ軸102と、ベアリングボールを保持してテレスコ軸102の雄ねじ部と螺合する「係合体」としてのナット104と、「駆動源」としての電動モータ106とを含んで構成されている。モータ106は、減速機付モータであり、モータ固定部材108によって前部チューブ56に固定され、そのモータ106の出力軸は、それの端部がテレスコ軸102の車両前方側の端部と一体的に接続されている。つまり、テレスコ軸102は、モータ106の出力軸を延長する状態で設けられることで固定部に固定されるとともに、モータ106によって回転させられるように構成されている。一方、ナット104は、ナット固定部材110によって後部チューブ54に固定されて、テレスコ軸102の車両後方側の端部に螺設された雄ねじ部と螺合している。このような構造により、モータ106によってテレスコ軸102を回転駆動させることで、ナット104とそれが固定された移動部とを軸線方向に移動させること、つまり、テレスコピック動作を行うことが可能である。ちなみに、図1,2には、テレスコピック機構100によってコラム本体20の車両後方端部が車両前後方向における中間位置に位置させられた状態が示されている。
なお、テレスコ軸102には、それの雄ねじ部の車両前方側の端部に、ストッパ116が設けられている。このストッパ116は、テレスコピック動作、つまり、移動部の前方側への移動を制限する移動範囲制限機構として機能するものである。詳しくは、ストッパ116は、ナット104に当接することによって、テレスコ軸102とナット104の相対移動の範囲を制限する「移動範囲制限部」として機能するものであり、テレスコ動作を行う駆動力が、後述するテレスコ軸102を収縮させる力として作用することを防止することが可能となる。また、テレスコ軸102が、固定部において単一の箇所にて支持されていることから、本ステアリングコラム10は、支持構造が単純なものとなっているのである。さらに、本ステアリングコラム10は、テレスコ軸102と、そのテレスコ軸102を回転駆動させるモータ106とが固定部に支持されていることから、移動部側の重量が比較的小さくされている。
テレスコ軸102は、一端部がモータ106を介してコラム10の固定部に支持された第1軸部材120と、ナット104の螺合する雄ねじ部を有する第2軸部材122とを含んで構成されている。第1軸部材120はロッド状に、第2軸部材122はパイプ状に形成され、第2軸部材122の前方部に第1軸部材120の後方部が挿入されている。なお、それら第1軸部材120と第2軸部材122とは、通常のテレスコ動作時においては、摩擦力によって、軸方向の相対移動および相対回転が禁止されている。そして、テレスコ軸102に設定された大きさの荷重が作用した場合には、第2軸部材122が車両前方へ移動させられ、テレスコ軸102が収縮する構造とされている。つまり、テレスコ軸102は、常には2つの軸部材120,122の相対移動を禁止し、設定荷重が作用した場合に、相対移動を許容する「両部材相対移動許容機構」と、2つの軸部材120,122の相対回転を禁止する「両部材相対回転禁止機構」とを有するものとされているのである。
以上のような構造とされていることから、運転者が二次衝突する等によってステアリングホイール32に衝撃が加わった場合、移動部が車両前方へ移動してコラム本体20が収縮するのであるが、テレスコピック機構100においては、第2軸部材122が第1軸部材に対して車両前方に移動して、テレスコ軸102が収縮するのである。したがって、本ステアリングコラム10は、移動部の前方側への移動が、前記移動範囲制限機構による制限範囲を超えて、テレスコ軸102の収縮に伴って行われるように構成されている。なお、移動部の移動範囲の終点は、後部チューブ54に固定されたナット固定部材110が、前部チューブ56の前端に当接することによって規定される。ちなみに、本実施例においては、上記のような場合、モータ106よって、移動部の車両前方への移動に伴うナット104の移動に対して、テレスコ軸102が回転しないようにされている。
本ステアリングコラム10は、上述したテレスコ軸102の収縮に対して、抵抗を発生させる「対軸体収縮抵抗発生装置」を備えている。そのテレスコ軸102の収縮に対する抵抗は、コラム10の移動を阻止する方向の抵抗でもあり、運転者の二次衝突に対する衝撃吸収荷重として機能する。すなわち、対軸体収縮抵抗発生装置は、二次衝突の衝撃を吸収する衝撃吸収機構として機能するものとされているのである。まず、第1の対軸体収縮抵抗発生装置は、テレスコ軸102自体に設けられており、その収縮抵抗を発生させる構造は、上述した2つの軸部材120,122の間の摩擦力に起因するものとなっている。つまり、前記両部材相対移動許容機構は、第1の対軸体収縮抵抗発生装置として機能するものである。
もう1つの対軸体収縮抵抗発生装置である、第2の対軸体収縮抵抗発生装置を、図3をも参照しつつ説明する。図3は、第2の対軸体収縮抵抗発生装置130の要部の斜視を示している。対軸体収縮抵抗発生装置130は、テレスコ軸102の収縮に伴って変形する変形部材としての抵抗発生プレート132と、その抵抗発生プレート132の変形を強要する変形強要部材としての変形強要ロッド134とを含んで構成されている。その抵抗発生プレート132は、テレスコ軸102の収縮に対する抵抗を発生させる部材として機能するものであり、変形強要ロッド134とともにコラム10の固定部、詳しくは前部チューブ56の下部に配設されている。
抵抗発生プレート132は、帯状の金属材料からなり、概ねU字状に曲げられて形成されている。また抵抗発生プレート132は、それの湾曲部140の内側に、変形強要ロッド134が接する状態とされ、湾曲部140に繋がる上側プレート部142,下側プレート部144は、互いに略平行な状態でコラム10の軸線方向に延在している。その上側プレート部142が、前部チューブ56に固定して設けられた1対の保持部材146と、もう1対の保持片148(図1,2参照)とに保持されることで、抵抗発生プレート132は前部チューブ56に保持されている。また、下側プレート部144は、それの前端部が、下方に略直角に曲げられるとともに概してT字状に形成されたT字部150とされている。なお、変形強要ロッド134は、1対の保持部材146に設けられたロッド孔152の各々を挿通した状態とされており、後に詳しく説明するシリンダ装置によって、その変形強要ロッド134の軸方向に移動させることで、ロッド孔152および抵抗発生プレート132の湾曲部140から引き抜くことが可能とされている。
一方、テレスコ軸102には、樹脂製の環状部材160が、第1軸部材120に相対移動可能かつ相対回転可能に嵌められて、第2軸部材122の車両前方側に位置させられている。その環状部材160には、凹所162が設けられた係合部材164が固定されており、その係合部材164の凹所162が、上記抵抗発生プレート132のT字部150に係合した状態とされている。なお、環状部材160は、抵抗発生プレート132に対して係合部材164が回転しないようにしつつ、テレスコピック動作時においてテレスコ軸102の回転を許容するものであり、「軸体回転許容機構」を構成するものとなっている。
運転者の二次衝突によって、テレスコ軸102が収縮する場合、環状部材160が、第2軸部材122によって車両前方側に押されることになり、抵抗発生プレート132は、車両後方側の湾曲部140が変形強要ロッド134によって係止された状態で、T字部150が環状部材160に固定された係合部材164によって前方に押されることになる。それに伴って、抵抗発生プレート132における湾曲部140の位置が遷り動くように変形する。この変形に要する力に起因して、テレスコ軸102の収縮に対する抵抗力が発生するのであり、その抵抗力が衝撃吸収荷重として機能し、二次衝突の衝撃が吸収されるのである。
上記対軸体抵抗発生装置130においては、抵抗の大きさを変更することが可能とされている。図4は、その要部を示す正面断面図(図1におけるA−A断面)である。前記抵抗発生プレート132と変形強要ロッド134とを保持する保持部材146には、軸線方向と直交する方向に延びる姿勢で、シリンダ装置170が固定されている。シリンダ装置170は、シリンダ172と、シリンダ172内に移動可能に設けられたピストン174とを含んで構成されていおり、対軸体収縮抵抗発生装置130を構成する変形強要ロッド134の一端部が、シリンダ172の内部に挿入させられてピストン174に連結されている。
シリンダ172の内部、詳しくは、ピストン174とシリンダ172の保持部材146に連結された端部との間には、固体薬剤である火薬176が充填されている。この火薬176は、図示を省略するスパーク電極によって着火させられ、高圧気体を発生する。高圧気体は、火薬176が充填されているシリンダ172の空間内に充満させられ、その圧力によって、ピストン174が保持部材146から離れる向きに移動させられる。そのピストン174の移動により、変形強要ロッド134は、抵抗発生プレート132の湾曲部140から抜き出されることになる。その状態においては、テレスコ軸102が収縮しても、湾曲部140が変形強要ロッド134に係止されないため、抵抗発生プレート132は、変形せずに元の形状のまま前方に移動させられる。つまり、対軸体収縮抵抗発生装置130は、収縮に対する抵抗を発生させないことになるのである。このような構造から、対軸体収縮抵抗発生装置130は、テレスコ軸102の収縮に対して発生させる抵抗の大きさを変更する「抵抗変更機構」を備えたものとされているのである。
以上のように、本ステアリングコラム10は、軸体の収縮に対する抵抗を変更可能に構成されているため、後に詳しく説明するように、効果的な衝撃緩和が可能となる。また、本ステアリングコラム10は、前述したようにテレスコ軸102とモータ106とがコラム10の固定部に支持されていることに加えて、対軸体収縮抵抗発生装置130が固定部に設けられていることから、移動部側の重量の軽量化が図られたものとなっている。つまり、移動部側の重量が小さければ、二次衝突の際の衝撃エネルギも小さくできるのであり、効果的な衝撃吸収が可能となるのである。
本実施例のステアリングコラムは、上記対軸体収縮抵抗発生装置の他に、固定部と移動部との相対移動に対して直接的に抵抗を発生させることで、衝撃を吸収する衝撃吸収機構180も備えている。その衝撃吸収機構180は、コラム本体20のチューブ42に設けられている。詳しく言えば、後部チューブ54の外周面には、前部チューブ56の後方端部より後方に、軸線方向に延びる4つの凸条182が形成されている。4つの凸条182は、それぞれが、前部チューブ56の内周面より僅かに突出する高さに形成されている。そのため、移動部が移動する際、前部チューブ56の後方端部によって4つの凸条182が押し潰されながら、コラム本体20が収縮することになる。この4つの凸条182の変形に要する力が、固定部と移動部との相対移動に対する抵抗力として機能し、移動部は、その抵抗力の存在下で移動し、衝撃が吸収されるのである。
移動部は、テレスコピック機構100によって、固定部に対して移動させられる構造であり、上記衝撃吸収機構180は、テレスコピック動作の車両前方端から衝撃吸収荷重が発生する構造となっている。例えば、テレスコピック機構100により移動部が車両後方側に位置させられている場合には、前部チューブ56の後方端部と凸条182とが離れており、運転者の二次衝突が発生したときには、移動部が車両前方に移動した後に衝撃吸収荷重が発生するため、二次衝突直後から衝撃吸収荷重が発生しない場合もある。それに対し、本実施例および以下に説明する実施例のような、ステアリングコラムがテレスコ軸102の収縮に対して抵抗を発生させる対軸体収縮抵抗発生装置を備える場合には、移動部がテレスコピック機構100によっていずれの位置に位置させられていても、運転者の二次衝突の後、すぐに衝撃吸収荷重を発生させることが可能となるのである。
本実施例のステアリングシステムでは、前記抵抗変更機構は、制御装置であるステアリング電子制御ユニット(ECU)200によって作動させられる(図1参照)。ECU200は、CPU,ROM,RAM,バス,I/O(入出力インタフェース)等を含んで構成されるコンピュータを主体とするものであり、そのコンピュータのI/Oには、車両に設けられた各種センサが接続されている。ECU200は、それらからの各種情報を入手可能とされており、それら入手した情報に基づいて、二次衝突の衝撃が大きいと予測される場合に抵抗変更機構を作動させる。センサは、具体的にいえば、車両の衝突を検知する車両衝突センサ(C.S)202、運転者のシートベルトの着用の有無を検知するシートベルトセンサ(Sb.S)204、車両の走行速度を検出する車速センサ(Sp.S)206等である。
車両衝突時に運転者がステアリングホイール32に二次衝突する際の衝撃の大きさは、運転者のシートベルトの着用の有無によって異なる。運転者がシートベルトを着用している場合は、シートベルトによって運転者の有する運動エネルギがある程度吸収されるため、二次衝突の際の衝撃、つまりステアリングホイール32に加わる衝撃は比較的小さいものとなる。逆に、シートベルトを着用していない場合は、その衝撃は比較的大きいものとなる。運転者に与える衝撃を比較的小さいものとするためには、ステアリングホイール32に加わる衝撃が小さい場合に、大きい場合に比較して、衝撃吸収荷重、つまり収縮に対する抵抗を低減させることが望ましい。そのような理由から、本実施例のステアリングシステムでは、ECU200は、車両衝突センサ202が衝突を検知しかつシートベルトセンサ204がシートベルトの着用を検知した場合に、シリンダ装置170に充填された火薬176に着火電流を供給し、抵抗変更機構を作動させるような制御を行うものとされている。しかし、運転者がシートベルトを着用している場合であっても、例えば、車両が高速道路等において高速で走行している状態で衝突した場合には、シートベルトだけでは衝撃を十分に吸収できず、二次衝突の衝撃は大きなものとなる。そこで、本実施例のステアリングシステムでは、車速センサ206によって衝突時の車両の走行速度を検出し、高速で走行している場合には、大きな衝撃吸収荷重を利用するため、抵抗変更機構を作動させないようにされている。
<第2実施例>
図5に、第2実施例のステアリングコラムを有するステアリングシステムを車両左側から眺めた側面図を示す。なお、本実施例のステアリングコラムは、移動装置および対軸体収縮抵抗発生装置を除き、第1実施例のコラムと略同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第1実施例のコラムと同じ機能の構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
本実施例のステアリングコラムは、第1実施例と同様に、移動装置として機能する電動テレスコピック機構300を有しており、そのテレスコピック機構300は、軸体としてのテレスコ軸302と、係合体としてのナット304と、駆動源となる電動モータ306とを含んで構成される。ただし、本実施例におけるテレスコピック機構300は、テレスコ軸302が移動部に支持され、かつ、ナット304が固定部に支持され、ナット304がモータ306によって回転駆動させられる構造とされている。詳しくは、ナット304は、ナットハウジング308の内部に2つのベアリング310を介して回転可能に保持され、そのハウジング308が固定部を構成する前部チューブ56に固定されることで、ナット304は固定部に支持される。ナット304は、外周に複数の歯が形成されてウォームホイールとされており、そのナット304には、モータ306の回転軸に連結されたウォーム312が噛合させられている。一方、テレスコ軸302は、車両後方側の端部が、軸保持部材314によって移動部を構成する後部チューブ54に固定され、車両前方側に形成された雄ねじ部が、ナット304に螺合される。このような構造により、モータ306によってナット304を回転駆動させることで、テレスコ軸302とそれが固定された移動部とを軸線方向に移動させること、つまり、テレスコピック動作を行うことが可能である。
上述した第1実施例においては、移動装置としてのテレスコピック機構100は、軸体としてのテレスコ軸102が固定部に支持され、係合体としてのナット104が移動部に支持される構造とされているため、ステアリングコラム10は、車両前方側への軸体の突出を防止可能であり、例えば、車両前方側にパワーステアリングを構成する操作部材の補助装置330(図1参照)等が存在する場合であっても、その補助装置330へ軸体が干渉しないようにされていた。それに対し、本実施例においては、移動装置が、軸体が移動部に支持され、係合体が固定部に支持される構造とされている。このような構造とすることで、車両後方側への軸体の突出を防止可能となり、例えば、二次衝突に対する衝撃吸収効果を阻害することを容易に回避できる。
図6,図7に、本実施例のステアリングコラムのテレスコピック機構の要部を示す。図6は、軸体としてのテレスコ軸を車両左側から眺めた側面断面図であり、図7は、その正面断面図(図6におけるC−C断面)である。本ステアリングコラムにおいて、テレスコ軸302は、一端部が移動部に支持された第1軸部材350と、ナット304の螺合する雄ねじ部を有する第2軸部材352とを含んで構成されいる。第1軸部材350は、角形のロッド状に形成され、第2軸部材352は、車両後方側の部分が角形のパイプ状に形成され、第2軸部材352の後方部に第1軸部材350の前方部が挿入されている。つまり、本実施例においては、2つの軸部材350,352に断面形状が角形の形状のものを採用し、一方が他方に挿入させられた構造が、「両部材相対回転禁止機構」として機能するようにされているのである。
第1軸部材350の上面および下面と、第2軸部材352の内周面との間の各々には、板ばね360が設けられ、第1軸部材350の下面と板ばね360との間には、スペーサ362が介装されている。それら第1軸部材350と第2軸部材352とは、その板ばね360の弾性力によって、通常のテレスコ動作時においては、相対移動が禁止され、テレスコ軸302に設定された大きさの荷重が作用した場合には、第1軸部材350が車両前方へ移動させられ、テレスコ軸302が収縮する構造とされている。つまり、板ばね360,スペーサ362等を含んで、「両部材相対移動許容機構」が構成されている。つまり、本実施例のステアリングコラムは、上記弾性力によって生じる摩擦力に起因して、テレスコ軸302の収縮に対する抵抗を発生させる「対軸体収縮抵抗発生装置」を備えるものとされているのである。
また、上記スペーサ362は、L字状に曲げられたものであり、上下方向に延びる延設部364が、第2軸部材352の前端から、下方に延び出すようにされている。一方、第2軸部材352の下面には、固定部材370によって、シリンダ装置372が、車両前後方向に延びる姿勢で固定されている。シリンダ装置372は、シリンダ374と、シリンダ374内に移動可能に設けられたピストン376と、一端部がピストン376に固定されて他端部がシリンダ374より車両後方側に突出するピストンロッド378と、ピストンロッド378の他端部に固定的に取り付けられたプランジャヘッド380とを含んで構成されている。ピストン376は、シリンダ374内部の車両前方側の端部との間に比較的狭い空間を挟んで位置させられ、その空間には、火薬382が充填されている。プランジャヘッド380の車両後方側の端部である先端部は、スペーサ362の延設部364に当接させられている。
上記シリンダ装置372は、図示を省略するスパーク電極によって火薬382が着火させられることによって作動する。着火によって火薬382は高圧気体を発生させ、その圧力によってピストン376が車両後方側に向かって移動する。ピストン376の移動により、プランジャヘッド380は、スペーサ362を車両後方側に移動させる。なお、スペーサ362には、第1軸部材350と板ばね360との間に介装される部分に、開口部390が設けられており、スペーサ362が車両後方側に移動させられた場合には、その開口部390が、板ばね360の第1軸部材350側に突出する部分に嵌るようになっている(図11における二点鎖線)。すなわち、板ばね360による締め代が広げられ、弾性力が小さくなるのであり、テレスコ軸302の収縮に対する抵抗も小さくなるのである。このような構造から、本実施例のステアリングコラムにおいては、対軸体収縮抵抗発生装置が「抵抗変更機構」を備えるものとされ、その抵抗変更機構は、スペーサ360,シリンダ装置372等を含んで構成されているのである。
なお、テレスコ軸302、詳しくは第2軸部材352の中間部上面には、凸部394が設けられている。一方、コラム10の固定部、詳しくは前部チューブ56の下部には、2つのストッパ396,398が、それぞれ凸部394の車両後方側,車両前方側の各々に位置するように固定的に設けられている。凸部394が、ストッパ396,398に当接することによって、テレスコ軸302とナット304の相対移動の範囲を制限するように構成されている。つまり、それら凸部394,ストッパ396,398を含んで、「移動範囲制限機構」が構成されており、テレスコ動作を行う駆動力が、後述するテレスコ軸302を収縮させる力として作用することを防止することが可能となる。なお、凸部394が「被係止部」として、ストッパ396,398が「係止部」として、それぞれ機能するものとなっている。
<第3実施例>
図8,図9に、第3実施例のステアリングコラムのテレスコピック機構の要部を示す。図8は、軸体としてのテレスコ軸を車両左側から眺めた側面断面図であり、図9は、その正面断面図(図8におけるD−D断面)である。なお、本実施例のステアリングコラムは、テレスコ軸の構造を除き、第2実施例のコラムと略同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第2実施例のコラムと同じ機能の構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
本実施例のステアリングコラムにおいて、テレスコ軸302は、第2実施例と同様に、一端部が移動部に支持された第1軸部材400と、ナット304の螺合する雄ねじ部を有する第2軸部材402とを含んで構成され、第1軸部材400は、角形のロッド状に形成され、第2軸部材402は、車両後方側の部分が角形のパイプ状に形成されている。第2軸部材402の内部には、角形のパイプ状の介装パイプ404が挿入され、第2軸部材402の後方端部に位置させられている。それら第2軸部材402と介装パイプ404とは、第2軸部材402に設けられた係合孔406と、介装パイプ404に設けられた係合溝408とに、係合ピン410が嵌められて、相対移動不能とされている。そして、介装パイプ404に、第1軸部材400の前方部が挿入されている。
第1軸部材400の上面および下面と、介装パイプ404の内周面との間には、板ばね420が設けられている。第1軸部材400と介装パイプ404とは、つまり、第1軸部材400と第2軸部材402とは、その板ばね420の弾性力によって、通常のテレスコ動作時においては、相対移動が禁止され、テレスコ軸302に設定された大きさの荷重が作用した場合には、第1軸部材400が車両前方へ移動させられ、テレスコ軸302が収縮する構造とされている(図8における二点鎖線)。つまり、板ばね420等を含んで、「両部材相対移動許容機構」が構成されている。また、本実施例のステアリングコラムは、上記弾性力によって生じる摩擦力に起因して、テレスコ軸302の収縮に対する抵抗を発生させる「対軸体収縮抵抗発生装置」を備えるものとされているのである。
第2軸部材402の下面には、固定部材430によって、電磁ソレノイド432が固定されている。ソレノイド432は、ピン434を有するものであり、励磁されることによってピン434が車両後方側に突出する構造とされている。ソレノイド432を励磁した状態を図10に示す。ソレノイド432を励磁すれば、ピン434は、係合ピン410に設けられたピン係合溝436に挿入され、ピン434とピン係合溝436とが有する傾斜面の作用によって、係合ピン410が下方に抜き出される。なお、第2軸部材402の内周面には、樹脂製のカラー438が設けられており、介装パイプ404と樹脂カラー438との間の摩擦力が、上記板ばね420の弾性力によって生じる摩擦力より小さい大きさとされている。つまり、その状態において、テレスコ軸302に設定された大きさの荷重が作用した場合には、第1軸部材400とともに介装パイプ404も車両前方へ移動させられ、テレスコ軸302が収縮するのである。その場合の収縮に対する抵抗は、介装パイプ404と樹脂カラー438との間の摩擦力に起因するものであり、小さい抵抗に変更させられたことになる。このような構造から、本実施例のステアリングコラムにおいては、対軸体収縮抵抗発生装置が「抵抗変更機構」を備えるものとされ、その抵抗変更機構は、介装パイプ404,係合ピン410,ソレノイド432、樹脂カラー438等を含んで構成されている。
<第4実施例>
図11〜図13に、第4実施例のステアリングコラムのテレスコピック機構の要部を示す。図11は、軸体としてのテレスコ軸を車両左側から眺めた側面図であり、図12は、テレスコ軸を車両下方から眺めた断面図であり、図13は、テレスコ軸を車両左側から眺めた側面断面図である。なお、本実施例のステアリングコラムは、テレスコ軸の構造を除き、第2実施例のコラムと略同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第2実施例のコラムと同じ機能の構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
本実施例における、テレスコ軸302は、第2実施例と同様に、一端部が移動部に支持された第1軸部材450と、ナット304の螺合する雄ねじ部を有する第2軸部材452とを含んで構成され、第1軸部材450は、角形のロッド状に形成され、第2軸部材452は、車両後方側の部分が角形のパイプ状に形成され、第2軸部材452の後方部に第1軸部材450の前方部が挿入されている。ただし、それら第1軸部材450と第2軸部材452とは、ボルト454とナット456とによって締結されている。
上記の締結構造について、詳しく説明する。第1軸部材450には、車幅方向に貫通して軸方向に延びる長孔460が設けられており、その長孔460の前方の端部は、その端部を除くスロット部462の幅より僅かに大きい円孔部464とされている(図13参照)。また、第2軸部材452には、側面の各々に、取付孔466が設けられている。それら第1軸部材450の長孔460の円孔部464と第2軸部材452の取付孔466とには、長孔460のスロット部462の幅より外径が僅かに大きな樹脂製のカラー468が嵌められており、その樹脂カラー468,2つの軸部材450,452が、ボルト454およびナット456によって挟持される。また、ボルト454およびナット456によって、金属製の板を概してL字状に曲げられて形成されたスペーサ470も挟持される。スペーサ470には、ボルト454の頭部の外径より狭く、かつ、ボルト454のねじ部の外径より広い幅のスリット472が設けられ、スペーサ470は、このスリット472にボルト454のねじ部が挿通させられて、ボルト454の頭部と第1軸部材450との間においてボルト454およびナット456によって挟持される。
このような構造により、第1軸部材450と第2軸部材452とは、それら両部材に挿通させられた樹脂カラー468およびボルト454と、ボルト454およびナット456による締結力によって、通常のテレスコ動作時においては、相対移動が禁止されている。テレスコ軸302に設定された大きさの荷重が作用した場合には、第1軸部材450が樹脂カラー468を変形させて車両前方へ移動させられ、テレスコ軸302が収縮する構造とされている。つまり、ボルト454,ナット456,樹脂カラー468,スペーサ470等を含んで、「両部材相対移動許容機構」が構成されている。また、本実施例のステアリングコラムは、上記変形した樹脂カラー468と第1軸部材450の長孔460との間の摩擦力と、上記締結力によって生じる摩擦力とを複合した力に起因して、テレスコ軸302の収縮に対する抵抗を発生させる「対軸体収縮抵抗発生装置」を備えるものとされているのである。
第2軸部材452の側面には、固定部材480によって、シリンダ装置482が、車両前後方向に延びる姿勢で固定されている。シリンダ装置482は、シリンダ484と、ピストン486と、ピストンロッド488とを含んで構成されており、ピストンロッド488の車両後方側に突出する端部が、連結部材490によって、上記スペーサ470の第2軸部材452に対して立設する部分に連結されている。なお、ピストン486は、シリンダ484内部の車両後方側の端部との間に比較的狭い空間を挟んで位置させられ、その空間には、火薬492が充填されている。
上記シリンダ装置482は、図示を省略するスパーク電極によって火薬492が着火させられることによって作動する。着火によって火薬492は高圧気体を発生させ、その圧力によってピストン486が車両前方側に向かって移動する。それに伴って、スペーサ470は、ボルト454の頭部と第2軸部材452との間から抜き出される。すなわち、ボルト452およびナット454による締結力が消滅させられ、締結力によって生じる摩擦力が0となるのであり、樹脂カラー468と第1軸部材450の長孔460との間の摩擦力に起因する収縮抵抗のみ発生させられるのである。このような構造から、本実施例のステアリングコラムにおいては、対軸体収縮抵抗発生装置が「抵抗変更機構」を備えるものとされ、その抵抗変更機構は、スペーサ470,シリンダ装置482等を含んで構成されているのである。
なお、上記第4実施例において、樹脂カラー468と第1軸部材450の長孔460との間の摩擦力に起因して、テレスコ軸302の収縮に対する抵抗は、その大きさが変更されないものであったが、図14に示すように変更させることも可能である。図に示すように、本変形例においては、ボルトおよびナットは採用されておらず、樹脂カラー468の内側には、ロッド500が挿入されている。ロッド500は、一端部側に延び出しており、その延び出した部分の外径が、樹脂カラー468に挿入された部分の外径より小さくされている。以下、ロッド500の樹脂カラー468に挿入された部分を大径部502と呼び、一端部側に延び出した部分を小径部504と呼ぶこととする。
また、ロッド500の小径部504は、一端部にピストン510が連結されており、そのピストン510が内部を移動可能とされたシリンダ512が、第2軸部材452に固定されている。ピストン510のロッド500が連結されていない面と、シリンダ512との間には、火薬514が充填されている。図示を省略するスパーク電極によって火薬514を着火すると、着火によって火薬514は高圧気体を発生させ、その圧力によってピストン510が第2軸部材452に向かって移動する。それに伴って、樹脂カラー468の内側には、ロッド500の小径部504が挿入されている状態となるのである。
樹脂カラー468の内側に、ロッド500の大径部502が挿入された状態においては、上記第6実施例と同様に、樹脂カラー468と第1軸部材450の長孔460との間の摩擦力に起因して、収縮抵抗を発生させる。それに対して、上記の小径部504が挿入された状態においては、樹脂カラー468の形状が変形してしまうのであり、上記の樹脂カラー468と第1軸部材450の長孔460との間の摩擦力は発生せず、収縮に対する抵抗も発生しないことになる。すなわち、本変形例の対軸体収縮抵抗発生装置は、「抵抗変更機構」を備えるものとされているのである。
<第5実施例>
図15,図16に、第5実施例のステアリングコラムのテレスコピック機構の要部を示す。図15は、軸体としてのテレスコ軸を車両左側から眺めた側面断面図であり、図16は、その正面断面図(図15におけるE−E断面)である。なお、本実施例のステアリングコラムは、テレスコ軸の構造を除き、第2実施例のコラムと略同様の構成であるため、本実施例の説明においては、第2実施例のコラムと同じ機能の構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
本実施例における、テレスコ軸302は、第2実施例と同様に、一端部が移動部に支持された第1軸部材550と、ナット304の螺合する雄ねじ部を有する第2軸部材552とを含んで構成され、第1軸部材550は、角形のロッド状に形成され、第2軸部材552は、車両後方側の部分が角形のパイプ状に形成され、第2軸部材552の後方部に第1軸部材550の前方部が挿入されている。また、第1軸部材550の側面と第2軸部材552の内周面との間には、板ばね554が設けられており、本実施例のコラムも、その板ばね554の弾性力によって生じる摩擦力に起因して、収縮抵抗を発生させる。
ただし、本実施例においては、第2軸部材552内部に、抵抗発生プレート560が配設されている。抵抗発生プレート560は、帯状の金属材料からなり、概ねU字状に曲げられて形成されている。抵抗発生プレート560は、それの湾曲部562が車両前方側に位置させられ、湾曲部562に繋がる上側プレート部564,下側プレート部566は、それぞれが第2軸部材552の内周面の上面側,下面側の各々に沿って後方側に延びている。なお、上側プレート部564は、第2軸部材552から外側に突出して、さらに延び出している。それら第2軸部材552と抵抗発生プレート560とは、第2軸部材552に設けられた係合孔568と、抵抗発生プレート560の下側プレート部566に設けられた係合溝570とに、係合ピン572が嵌められている。その状態において、上側プレート部564と下側プレート部566との間に、車両前方側の先端にガイドキャップ574が嵌められた第1軸部材550が挿入され、ガイドキャップ574が湾曲部562の内側に接する状態とされている。
このような構造とさていることで、テレスコ軸302に設定された大きさの荷重が作用した場合には、第1軸部材550の車両前方への移動に伴って抵抗発生プレート560における湾曲部562の位置が遷り動くように変形しながら、テレスコ軸302が収縮する構造とされている。つまり、本実施例のステアリングコラムは、先に述べた板ばね554の弾性力によって生じる摩擦力と、上記抵抗発生プレート560の変形に要する力とを複合した力に起因して、テレスコ軸302の収縮に対する抵抗を発生させる「対軸体収縮抵抗発生装置」を備えるものとされているのである。
第2軸部材552の下面には、シリンダ装置580が、下方に延びる姿勢で固定されている。シリンダ装置580は、シリンダ582と、ピストン584とを含んで構成されており、前記係合ピン572の一端部がピストン584に連結されている。なお、ピストン584は、シリンダ582内部の上面との間に比較的狭い空間を挟んで位置させられ、その空間には、火薬586が充填されている。シリンダ装置580は、図示を省略するスパーク電極によって火薬586が着火させられることによって作動する。着火によって火薬586は高圧気体を発生させ、その圧力によってピストン584が下方に向かって移動する。それに伴って、係合ピン572は、抵抗発生プレート560の下側プレート部566から抜き出される。その状態においては、テレスコ軸302が収縮しても、抵抗発生プレート560が元の形状を保ったまま、第1軸部材550とともに前方に移動させられる。つまり、対軸体収縮抵抗発生装置は、抵抗発生プレート560の変形に要する力に起因する収縮抵抗を発生させないことになるのであり、「抵抗変更機構」を備えたものとされているのである。
第1実施例のステアリングコラムを含んで構成されるステアリングシステムの全体構成を示す図である。 第1実施例のステアリングコラムの側面断面図である。 図1における第2の対軸体収縮抵抗発生装置の要部を車両前方側から示す斜視図である。 図1における対軸体収縮抵抗発生装置が備える抵抗変更機構の要部を示す正面断面図(図1におけるA−A断面)である。 第2実施例のステアリングコラムを含んで構成されるステアリングシステムの全体構成を示す図である。 第2実施例のステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部を車両左側から見た側面断面図である。 第2実施例のステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部の正面断面図(図6におけるC−C断面)である。 第3実施例のステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部を車両左側から見た側面断面図である。 第3実施例のステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部の正面断面図(図8におけるD−D断面)である。 第3実施例のステアリングコラムが備える対軸体収縮抵抗発生装置の抵抗変更機構を作動させた場合における、テレスコピック機構の要部を車両左側から見た側面断面図である。 第4実施例のステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部を車両左側から見た側面図である。 第4実施例のステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部を下方から見た断面図である。 第4実施例のステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部を車両左側から見た側面断面図である。 第4実施例の変形例としてのステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部を下方から見た断面図である。 第5実施例のステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部を車両左側から見た側面断面図である。 第5実施例のステアリングコラムにおけるテレスコピック機構の要部の正面断面図(図15におけるE−E断面)である。
符号の説明
10:ステアリングコラム 20:コラム本体 22:前方ブラケット 24:後方ブラケット 32:ステアリングホイール(ステアリング操作部材) 40:シャフト 42:チューブ 50:後部シャフト 52:前部シャフト 54:後部チューブ 56:前部チューブ 100:テレスコピック機構(移動装置) 102:テレスコ軸(軸体) 104:ナット(係合体) 106:電動モータ(駆動源) 112:ストッパ(移動範囲制限部) 120:第1軸部材 122:第2軸部材 130:対軸体収縮抵抗発生装置 132:抵抗発生プレート 134:変形強要ロッド 164:係合部材 170:シリンダ装置 176:火薬 180:衝撃吸収機構 200:ステアリング電子制御ユニット(ECU) 300:テレスコピック機構(移動装置) 302:テレスコ軸(軸体) 304:ナット(係合体) 330:補助装置 350:第1軸部材 352:第2軸部材 360:板ばね 362:スペーサ 372:シリンダ装置 382:火薬 394:凸部(被係止部) 396,398:ストッパ(係止部) 400:第1軸部材 402:第2軸部材 404:介装パイプ 410:係合ピン 420:板ばね 432:ソレノイド 450:第1軸部材 452:第2軸部材 454:ボルト 456:ナット 460:長孔 468:樹脂カラー 470:スペーサ 482:シリンダ装置 492:火薬 550:第1軸部材 552:第2軸部材 554:板ばね 560:抵抗発生プレート 572:係合ピン 574:ガイドキャップ 580:シリンダ装置 586:火薬

Claims (6)

  1. 車両前方側に位置して車体の一部に固定される固定部と、
    車両後方側の一端部にステアリング操作部材を保持し、前記固定部によって概して車両の前後方向である設定移動方向に移動可能に支持された移動部と、
    (a)前記設定移動方向に延びて配置され、前記固定部と前記移動部との一方に前記設定移動方向に移動不能に支持された軸体と、(b)その軸体と係合するとともに、前記固定部と前記移動部との他方に前記設定移動方向に移動不能に支持された係合体とを有し、前記軸体と前記係合体とを前記設定移動方向に相対移動させることで前記移動部を前記設定移動方向に移動させる移動装置とを備え、
    前記軸体が、前記設定移動方向の設定された大きさの荷重の作用によって、前記固定部と移動部との一方に支持された部分と、前記係合体と係合する部分との間において、収縮するものとされたステアリングコラムであって、
    当該ステアリングコラムが、前記軸体の収縮に対する抵抗を、その抵抗の大きさを変更可能に発生させる対軸体収縮抵抗発生装置を備えたステアリングコラム。
  2. 前記対軸体収縮抵抗発生装置が、常には、前記軸体の収縮に対して比較的大きな抵抗を発生させるものであり、その抵抗の大きさを低減させることが可能とされた請求項1に記載のステアリングコラム。
  3. 前記軸体が、前記固定部と移動部との一方に支持された部分を含んで構成された第1軸部材と、前記係合体と係合する部分を含んで構成された第2軸部材とを有し、それら第1軸部材と第2軸部材との前記設定移動方向の相対移動が許容されることで、収縮する構造とされ、
    前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記前記第1軸部材と第2軸部材との相対移動に対する抵抗を発生させるものである請求項1または請求項2に記載のステアリングコラム。
  4. 前記対軸体収縮抵抗発生装置が、前記第1軸部材と第2軸部材との相対移動に対してそれら2つの軸部材の間の摩擦力に起因する抵抗を発生させるものであり、その摩擦力の大きさを変更することによって抵抗の大きさを変更可能とされた請求項3に記載のステアリングコラム。
  5. 前記軸体収縮抵抗発生装置が、
    前記軸体の収縮に伴って変形させられる変形部材を備え、その変形部材の変形に要する力を前記軸体の収縮に対する抵抗として発生させ、
    その変形部材が前記軸体の収縮に伴って変形させられる状態と変形させられない状態とを切り換えることで、前記軸体の収縮に対して発生させる抵抗の大きさを変更するものである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のステアリングコラム。
  6. 前記移動装置が、
    前記軸体の前記係合体と係合する部分の外周部に雄ねじが形成され、かつ、前記係合体にその雄ねじに螺合する雌ねじが形成されて、前記軸体と前記係合体とが螺合する構造とされ、
    それら軸体と係合体とが相対回転駆動されることによって、前記移動部を前記設定移動方向に移動させるものである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のステアリングコラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009107557A (ja) * 2007-10-31 2009-05-21 Nsk Ltd 電動テレスコ調整式ステアリング装置
JP2010241326A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 Jtekt Corp パワーステアリング装置

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